説明

汎用コンバイン

【課題】刈取部に設けたリールが所定以上の高さに上昇駆動された場合であっても、該リールと、オーガとの衝突を防止できるとともに、オーガの自動収納位置の切換え忘れを防ぐことにより、オーガの自動収納の誤操作によるリールとオーガの衝突も効率的に防止できる汎用コンバインを提供することを課題としている。
【解決手段】オーガ9が平面視リール17とラップした第1収納位置Bと、オーガ9が平面視リール17とラップしない第2収納位置Aとを前記制御部75に設定し、オーガレスト32を、第1収納位置Bのオーガ9を受止める第1受止め位置と、第2収納位置Aのオーガ9を受止める第2受止め位置とに切換可能に、走行機体2側に支持し、前記制御部75は、オーガレスト32が第1受止め位置の場合には、オーガ9が第1収納位置に収納され、オーガレスト32が第2受止め位置の場合には、オーガ9が第2収納位置に収納されるように自動制御を実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
走行機体にオーガを左右旋回可能且つ上下揺動可能に支持した汎用コンバインに関する。
【背景技術】
【0002】
走行機体の前方に刈取部を支持し、走行機体にオーガを左右旋回可能且つ上下揺動可能に支持し、オーガが、走行機体に沿うようにして、刈取作業時用の収納位置と路上走行時用の収納位置とに収納させる自動制御を実行する制御部を設け、実行操作手段による自動制御の実行操作の検出によって、上記自動制御が実行されるように該制御部を構成した特許文献1に記載のコンバインが従来公知になっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平3−285613号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記文献では、作業時及び路上時の収納位置へ自動収納できる一方で、別途に設けたモード切換スイッチにより、オーガの収納位置の切換操作を行うため、オペレータが収納位置の切換操作をし忘れて不測の位置にオーガを自動収納させてしまう場合がある他、前記刈取部を昇降可能に連結し、該刈取部にリールを昇降可能に支持し、該刈取部及びリールの上昇によって所定以上の高さにリールを位置させることのできる汎用コンバインにおいては、オペレータの誤操作によって自動収納するオーガがリールに衝突する虞があった。
【0005】
本発明は、刈取部に設けたリールが所定以上の高さに上昇駆動された場合であっても、該リールが、収納位置に収納したオーガと衝突することを防止できるとともに、オーガの自動収納位置の切換え忘れを防ぐことにより、自動制御によるオーガの自動収納の誤操作によるリールとオーガの衝突も効率的に防止できる汎用コンバインを提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため本発明は、第1に、走行機体2の前方に昇降可能に刈取部3を連結し、該刈取部3にリール17を昇降可能に支持し、走行機体2にオーガ9を左右旋回可能且つ上下揺動可能に支持し、オーガ9が、走行機体2に沿うようにして、側面視で、刈取部3及びリール17の上昇によって所定以上の高さに位置するリール17にラップする位置まで下降した収納位置に収納させる自動制御を実行する制御部75を設け、実行操作手段76による自動制御の実行操作の検出によって、上記自動制御が実行されるように該制御部75を構成し、オーガ9が平面視リール17とラップした第1収納位置Bと、オーガ9が平面視リール17とラップしないように第1収納位置Bよりも左右外側に位置する第2収納位置Aとの少なくとも2つの収納位置を前記制御部75に設定し、オーガ9を受止めて支持するオーガレスト32を、第1収納位置Bに収納されたオーガ9を受止める第1受止め位置と、第2収納位置Aに収納されたオーガ9を受止める第2受止め位置との少なくとも2箇所で切換可能に、走行機体2側に支持し、オーガレスト32が第1受止め位置に切換えられた状態及び第2受止め位置に切換えられた状態の少なくとも2つの状態を検出する切換状態検出手段56を設け、前記制御部75は、オーガレスト32の第1受止め位置への切換えが切換状態検出手段56によって検出されている場合には、オーガ9が第1収納位置に収納されるように自動制御を実行する一方で、オーガレスト32の第2受止め位置への切換えが切換状態検出手段56によって検出されている場合には、オーガ9が第2収納位置に収納されるように自動制御を実行することを特徴としている。
【0007】
第2に、前記リール17の走行機体2に対する相対高さを検出する高さ検出手段82,83を設け、前記制御部75は、上記自動制御の実行中、高さ検出手段82,83によって、リール17が予め定めた所定高さ以上への上昇が検出されるとともに、前記切換状態検出手段56によって、オーガレスト32が第1受止め位置に位置していることが検出された場合には、上記自動制御の実行を停止することを特徴としている。
【0008】
第3に、前記リール17の走行機体2に対する相対高さを検出する高さ検出手段82,83を設け、前記制御部75は、上記自動制御の実行中、高さ検出手段82,83によって、リール17が予め定めた所定高さ以上への上昇が検出されるとともに、前記切換状態検出手段56によって、オーガレスト32が第1受止め位置に位置していることが検出された場合には、オーガレスト32位置に該オーガを左右旋回させ、その後、自動制御の実行を停止させることにより、オーガ9の下降をキャンセルすることを特徴としている。
【0009】
第4に、オーガ9の手動の左右旋回操作及び上下揺動操作を検出する手動操作検出手段71,72,73,74を設け、前記制御部75は、手動制御の実行中、オーガレスト32の位置を切換状態検出手段56によって検出し、該オーガレスト32位置以外の左右旋回位置にオーガ9が左右旋回されている場合には、手動操作検出手段74によって、オーガの下降揺動操作が検出されても、オーガ9の下降揺動をキャンセルすることを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
上記構成によれば、オーガの収納位置が、オーガレストの位置切換という関連した動作によって、自動的に切換えられるため、他の操作具によって、オーガの収納位置を切換える場合と比較して、オーガの収納位置の切換忘れを、より効率的に防止できる他、オーガの複数の収納位置毎にオーガレストを設ける必要も無く、コストを低減可能である。これに加え、上記の構成によって、リールがオーガと干渉する可能性のある位置に昇降されている場合に、第1収納位置に収納する自動制御を誤って実行し、リールにオーガを衝突するような事態も未然に防ぐことが可能になる。
【0011】
また、前記リールの走行機体に対する相対高さを検出する高さ検出手段を設け、前記制御部は、上記自動制御の実行中、高さ検出手段によって、リールが予め定めた所定高さ以上への上昇が検出されるとともに、前記切換状態検出手段によって、オーガレストが第1受止め位置に位置していることが検出された場合には、上記自動制御の実行を停止すれば、誤って前記自動制御を実行した際のリールとオーガの衝突をより確実に防止できる。
【0012】
また、前記リールの走行機体に対する相対高さを検出する高さ検出手段を設け、前記制御部は、上記自動制御の実行中、高さ検出手段によって、リールが予め定めた所定高さ以上への上昇が検出されるとともに、前記切換状態検出手段によって、オーガレストが第1受止め位置に位置していることが検出された場合には、オーガレスト位置に該オーガを左右旋回させ、その後、自動制御の実行を停止させることにより、オーガの下降をキャンセルすれば、オーガの下降によるリールとの接触を防止できるとともに、左右旋回は行われるため次の操作をすぐに行うことができる。
【0013】
なお、オーガの手動の左右旋回操作及び上下揺動操作を検出する手動操作検出手段を設け、前記制御部は、手動制御の実行中、オーガレストの位置を切換状態検出手段によって検出し、該オーガレスト位置以外の左右旋回位置にオーガが左右旋回されている場合には、手動操作検出手段によって、オーガの下降揺動操作が検出されても、オーガの下降揺動をキャンセルすれば、オペレータの誤操作によるオーガとリールの不測の接触を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明を適用した汎用コンバインの右側面図である。
【図2】本発明を適用した汎用コンバインの全体平面図である。
【図3】刈取部の本体及び掻込リールを最下降位置に下降させた状態を示す汎用コンバインの全体左側面図である。
【図4】刈取部の本体を最下降位置に下降させるとともに掻込リールを最上昇位置に上昇させた状態を示す汎用コンバインの全体左側面図である。
【図5】刈取部の本体を最上昇位置に上昇させるとともに掻込リールを最下降位置に下降させた状態を示す汎用コンバインの全体左側面図である。
【図6】刈取部の本体及び掻込リールを最上昇位置に上昇させた状態を示す汎用コンバインの全体左側面図である。
【図7】オーガの左右旋回範囲を示す平面図である。
【図8】オーガを最上昇位置に上方揺動させた状態の汎用コンバインの側面図である。
【図9】走行受止め位置に切換えられたオーガレストを示す左前斜視図である。
【図10】走行受止め位置に切換えられたオーガレストを示す右後斜視図である。
【図11】作業受止め位置に切換えられたオーガレストを示す左前斜視図である。
【図12】作業受止め位置に切換えられたオーガレストを示す右後斜視図である。
【図13】オーガレストの取付構造を示す分解斜視図である。
【図14】操縦部の平面図である。
【図15】マルチステアリングレバーの背面図である。
【図16】リモコンの正面図である。
【図17】制御部のブロック図である。
【図18】オーガの自動旋回を行うメインルーチンの処理フロー図である。
【図19】オーガ設定制御の処理フロー図である。
【図20】オーガ自動制御の処理フロー図である。
【図21】オーガ自動収納制御の処理フロー図である。
【図22】手動下降制御の処理フロー図である。
【図23】別実施例2におけるオーガ自動制御の処理フロー図である。
【図24】別実施例2におけるオーガ自動収納制御の処理フロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図示する例に基づき本発明の実施形態について説明する。
図1及び図2は、本発明を適用した汎用コンバインの右側面図及び全体平面図である。本汎用コンバインは、走行部である左右一対のクローラ式走行装置1,1に支持された走行機体2と、該走行機体2の前方に昇降可能に連結されて圃場の穀稈の刈取作業を行う刈取部3とを備えている。
【0016】
該走行機体2は、オペレータが乗込んで操向操作を行う操縦部4を刈取部3の真後ろ側近傍における右寄り位置に設け、該操縦部4の後方斜め左側に前記刈取部3で刈取られた穀稈の脱穀作業等を行う脱穀部6を設置し、操縦部4の後方且つ脱穀部6の右側方に脱穀部6で脱穀された処理物である穀粒を収納するグレンタンク7を配置し、脱穀部6の後方に脱穀後の藁屑等を排出する排出部8を設けることにより、構成されている。
【0017】
この他、走行機体2には、グレンタンク7内に収納された穀粒を機外に排出するオーガ9が、左右旋回可能且つ上下揺動可能に支持されている。ちなみに、該オーガ9は、穀粒がグレンタンク7からの排出しない未使用時、倒伏するように最下降位置に下方揺動された状態で、予め定められた収納位置A,Bに収納される。
【0018】
前記脱穀部6には、上方及び外側側方がシリンダカバー11によって開閉自在に覆われた扱室(図示しない)が形成され、扱室には、前後方向に延びる円柱状の扱胴(図示しない)が、軸回りに回転自在に支持されている。扱胴を回転駆動させている状態で、該扱室に刈取部3からの穀稈が導入されることにより、穀稈の脱穀処理が行われる。ちなみに、シリンダカバー11は、左右内側の端部を支点に、上下回動するように、走行機体2側に取付支持されている。
【0019】
前記刈取部3は、後側半部に配されたフィーダ12及び前側半部に配された刈取フレーム13によって本体が構成され、前方に突出する前後方向の分草体であるデバイダ14を、刈取フレーム13の左右の側壁側にそれぞれ一体的に設けるとともに、外側側方に突出する分草体であるナローガイド16を、刈取フレーム13の未刈側(具体的には左側)の側壁外面に設け、左右方向に延びる筒枠状の掻込リール(リール)17を、平面視左右のデバイダ14間に位置するように配置し、左右の刈取フレーム13の間に、掻込リール17の下方且つ後側に位置するようにして、左右方向のレシプロ式の刈刃18を架設し、左右方向に延びる円柱状の掻込体19を、刈刃18の後方斜め上方に位置するようにして、刈取フレーム13の左右側壁の間に、自身の軸回りに回転駆動可能に支持している。
【0020】
ちなみに、ナローガイド16は、刈取フレーム13の側壁外面に沿って収納される収納姿勢と、刈取フレーム13から未刈側に展開される展開姿勢とに、姿勢切換可能に支持されている。この展開姿勢時のナローガイド16は、前部及び中途部が刈取フレーム13前端側から後方に向かって左右外側に傾斜するように延設され、後部が真後側に延びている。
【0021】
そして、該刈取部3は、全体が上下揺動するように、本体の後端部を走行機体2側に取付支持している。これに加えて、フィーダ12の下面側と、走行機体2の前面下端側との間には、リフトシリンダ21が設けられ、このリフトシリンダ21の伸縮によって、刈取部3は走行機体2に対して昇降駆動される。
【0022】
掻込リール17は、電動シリンダであって掻込リール17を前後動させる支持部材22を介してフィーダ12に上下揺動可能に支持された左右一対の支持アーム23間に、自身の軸回りに回転自在に架設支持されている。前記支持アーム23と刈取フレーム13との間には、伸縮によって前記掻込リール17を刈取部3の本体に対して昇降させるリールシリンダ24が左右それぞれに設置されるとともに、他方側の支持アーム23は、掻込リール17側に動力を伝動する伝動ケース20によって構成されている。すなわち、掻込リール17は、刈取部3の本体に対して昇降されるとともに、伝動ケース20からの動力によって自身の軸回りに回転駆動される。
【0023】
該構成の刈取部3によれば、刈取部3の本体及び掻込リール17を下降させ、掻込リール17を回転駆動させるとともに刈刃18を切断駆動(具体的には、左右往復駆動)させている状態で、走行機体2を前進走行させると、左右のデバイダ14によって、刈取部3前方に位置する圃場の穀稈が、刈取フレーム13の左右の側壁間に案内される。
【0024】
このようにして、左右のデバイダ14によって、刈取フレーム13の左右の側壁間に案内された穀稈は、掻込リール17及び刈刃18によって、株元側が切断処理されながら、全体が前方側に掻き込まれ、さらに後方の掻込体19によって、フィーダ12内に導入される。このフィーダ12内に導入された穀稈は、フィーダ12内に設置されたコンベア等の搬送装置(図示しない)によって、後方搬送され、上述した脱穀部6に渡される。
【0025】
なお、刈取部3の最外端側(具体的には、刈取部3の最左端側)に位置するナローガイド16は、未刈側の穀稈を、走行機体2及び刈取部3から遠ざかる側(左右外側)に案内するように構成されており、未刈側の穀稈が、意図せずに倒伏したり、切断させたりすることを防止している。
【0026】
図3は、刈取部の本体及び掻込リールを最下降位置に下降させた状態を示す汎用コンバインの全体左側面図であり、図4は、刈取部の本体を最下降位置に下降させるとともに掻込リールを最上昇位置に上昇させた状態を示す汎用コンバインの全体左側面図であり、図5は、刈取部の本体を最上昇位置に上昇させるとともに掻込リールを最下降位置に下降させた状態を示す汎用コンバインの全体左側面図であり、図6は、刈取部の本体及び掻込リールを最上昇位置に上昇させた状態を示す汎用コンバインの全体左側面図である。
【0027】
図3に示すように、走行機体2に対して、刈取部3の本体と、掻込リール17とを、共に最下降位置まで下降させると、刈取部3の本体が圃場面に近接した状態になるとともに、該掻込リール17が、本体側に近接した状態になる。
【0028】
また、図4及び図5に示すように、刈取部3の本体と掻込リール17の内、何れか一方を最上昇位置に上昇させるとともに、他方を最下降位置に下降させた状態では、収納位置A,Bに収納された前記オーガ9に対して、前記掻込リール17が、側面視非ラップな高さまで(収納位置A,Bに収納されたオーガに達しない高さまで)、上方側に変位する。
【0029】
さらに、刈取部3の本体及び掻込リール17を共に最上昇位置まで上昇させると、収納位置に収納された前記オーガ9に対して、前記掻込リール17が、側面視ラップする高さまで(収納位置に収納されたオーガ9に達する高さまで)、上方側に変位する。ちなみに、刈取部3の掻込リール17以外の部材は、本体及びオーガ9が何れの位置に昇降された場合でも、側面視でラップしないように配置構成されている。
【0030】
次に、図1、図3〜図13に基づき前記オーガについて説明する。
前記オーガ9は、走行機体2の後端部右寄り位置に配置された上下方向の縦筒26と、縦筒26の上端部に基端部が支持された直線状の排出筒27とを備えている。縦筒26は、油圧作動するオーガモータ28によって自身の軸回りに回転駆動され、排出筒27は、該排出筒27と縦筒26との間に設置されたオーガシリンダ29の伸縮によって全体が上下揺動される。
【0031】
すなわち、オーガモータ28によって、オーガ9が左右旋回されるとともに、オーガシリンダ29の伸縮によって、オーガ9が上下揺動される。そして、排出筒27の先端部(オーガ9の先端部)を、穀粒供給位置の真上側に位置させ、縦筒26内及び排出筒27内に設置されたオーガ螺旋(図示しない)を回転駆動させることにより、グレンタンク7内の穀粒が、オーガ9先端部の排出口31から、機外に排出される。
【0032】
図7は、オーガの左右旋回範囲を示す平面図であり、図8は、オーガを最上昇位置に上方揺動させた状態の汎用コンバインの側面図である。オーガ9は、排出筒27が基端から先端に向かって平面視左斜め前方に延びた収納位置A,Bと、排出筒27が基端から先端に向かって平面視右斜め前方に延びて操縦部4の真上側を通過する操縦側位置Cと、排出筒27が基端から先端に向かって平面視真右に延びる真右位置Dと、排出筒27が基端から先端に向かって平面視真後に延びる真後位置Eと、排出筒27が基端から先端に向かって平面視真左に延びる真左位置Fとを、旋回位置として有している。
【0033】
さらに、収納位置A,Bには、走行収納位置(第1収納位置)Bと、作業収納位置(第2収納位置)Aとの2種類があり、作業収納位置Aは、走行収納位置Bに対して、オーガ9を若干左旋回させた位置に配されている。
【0034】
すなわち、オーガ9を、反時計回りに最大限旋回させた位置が、作業収納位置Aであり、この作業収納位置Aから、オーガ9を、時計回りに旋回させると、走行収納位置B→操縦部側位置C→真右位置D→真後位置Eと変位し、最後に、時計回りに最大限旋回させた位置である真左位置Fに変位する。ここで、真右位置Dから真左位置Fの間はオーガからグレンタンク内の穀粒を排出する排出位置となる。
【0035】
一方、オーガ9を最上方位置に上方揺動した場合には、排出筒27が基端から先端に向かって45度程度上方に傾斜した状態になり、オーガ9を最下降位置に下方揺動した場合には、排出筒27が基端から先端に向かって0度に近い状態になる(図3乃至6参照)。
【0036】
なお、この2つの収納位置A,Bの何れかに旋回されたオーガ9を、走行機体2の上面側に沿って倒伏するように最下降位置に下方揺動させると、排出筒27の中途部が走行機体2に設置されたオーガレスト(オーガ受)32に受止められ、安定的に支持された状態で、該オーガ9が収納される。
【0037】
このため、オーガレスト32は、走行収納位置Bに収納されたオーガ9の中途部を受止める走行受止め位置と、作業収納位置Aに収納されたオーガの中途部を受止める作業受止め位置との2箇所に切換可能に、走行機体2側に支持されている。
【0038】
そして、走行収納位置Bに収納されたオーガ9は、平面視において、掻込リール17とラップするとともに走行機体2及び刈取部3の機体幅内に収納される一方で、作業収納位置Aに収納されたオーガ9は、平面視において、掻込リール17と非ラップな状態になるとともに走行機体2及び刈取部3の機体幅から左右外側に突出した状態になる(図1参照)。
【0039】
これに加えて、作業収納位置Aに収納されることによって走行機体2から左側方に突出したオーガ9の先端部は、平面視で上述した展開姿勢のナローガイド16の前端より後方に位置するとともに、平面視で該展開姿勢のナローガイド16の最外端よりも掻込リール17寄り(左右内側)に位置している。この展開姿勢のナローガイド16は、操縦部4にいるオペレータから目視可能な位置に配されている。このため、ナローガイド16に障害物が衝突しないように、目視しながら、圃場を走行させれば、作業収納位置Aに収納されたオーガ9の先端部が、障害物に衝突する事態も効率的に防止できる。
【0040】
図9,図10は、走行受止め位置に切換えられたオーガレストを示す左前斜視図及び右後斜視図であり、図11,図12は、作業受止め位置に切換えられたオーガレストを示す左前斜視図及び右後斜視図であり、図13は、オーガレストの取付構造を示す分解斜視図である。前記オーガレスト32は、下降してくるオーガ9の排出筒27周面を円滑に受止めることが可能なように、正面視上方側が開放された楔状に形成されるとともに、該オーガレスト32は、支持装置33によって、脱穀部6とグレンタンク7との境界部の間における操縦部4寄り箇所に、支持されている。
【0041】
さらに詳しく説明すると、正面視V字状をなすオーガレスト32は、上方に向かって左右に二股状に別れて突出するが、この左右の突出した部分の内、脱穀部6寄りの突出部分は、グレンタンク7寄りの突出部分に比べて、より上方に突出しており、このオーガレスト32の背面側に係止プレート34を溶接等で一体的に取付けることによって、側面視下方が開放されたフック部36が形成されている。
【0042】
上記支持装置33は、上下方向の支柱37と、支柱37の上端部から平面視脱穀部側に突出する左右方向の支持ステー38と、支柱37の中途部と支持ステー38の中途部とを連結して補強する補強プレート39と、支柱37の下端側に一体的に設けられた支持部材41とを備えている。支持部材41は、脱穀部6の枠体を構成する脱穀フレーム42側(具体的には、脱穀フレーム42に溶着されてグレンタンク7を走行機体2側に解除可能にロックするロック部材60側)にボルト固定される他、この支持部材41には、脱穀フレーム42側に屈曲された棒状の脱穀側連結フレーム43と、操縦部4の枠体を構成する操縦フレーム44側に屈曲された棒状の操縦側連結フレーム46とが、溶接等によって、取付固定されている。脱穀側連結フレーム43は、脱穀フレーム42側端部に一体的に設けられた取付ブラケット47を介して、脱穀フレーム42側にボルト固定されるとともに、操縦側連結フレーム46は、操縦フレーム44側端部に一体的に設けられた取付ブラケット48が操縦フレーム44にボルト固定される他、操縦側連結フレーム46の取付ブラケット48は、脱穀側連結フレーム43の中途部に溶着固定されている。以上によって、支持装置33は、脱穀部6とグレンタンク7と操縦部4とに、強固に固定されている。
【0043】
上記オーガレスト32と、この支持装置33の補強プレート39とは、連結アーム51によって連結されている。連結アーム51は、上下の端部が、支持装置33と、オーガレスト32とに、それぞれ左右回動可能に取付支持されている。
【0044】
そして、正面視V字状をなす姿勢を保持させながら、オーガレスト32を持上げてグレンタンク7側(右側)移動させることにより、該連結アーム51を、支持装置33に対して、グレンタンク7側に回動させ、これによって、支持ステー38のグレンタンク7側半部が、オーガレスト32のフック部36に下方側から嵌り込んで、両者が係合され、オーガレスト32が、上述の走行受止め位置で、位置決め固定される。
【0045】
一方、正面視V字状をなす姿勢を保持させながら、オーガレスト32を持上げて脱穀部6側(左側)に移動させることにより、該連結アーム51を、支持装置33に対して、脱穀部6側に回動させ、これによって、支持ステー38の脱穀部6側半部が、オーガレスト32のフック部36に下方側から嵌り込んで、両者が係合され、オーガレスト32が、上述の作業受止め位置で、位置決め固定される。
【0046】
また、各受止め位置において、前後方向のロックピン52を、オーガレスト32の係止プレート34及び支持装置33の支持ステー38に挿脱可能に挿通させ、スナップピン53によってロックピン52の両部材からの抜止めを行うことにより、オーガレスト32の支持装置33へのロックを行う。ちなみに、スナップピン53を取外し、ロックピン52を、支持装置33及びオーガレスト32から抜取ることにより、オーガレスト32の支持装置33への固定(ロック)は解除される。ちなみに、ロックピン52を挿通させるロック孔54が、係止プレート34及び支持ステー38の対向箇所に穿設されている。
【0047】
さらに、オーガレスト32下端部の脱穀部6側縁部には、作用面が脱穀部側を向いたオーガレストスイッチ56(切換状態検出手段)を設ける一方で、支持ステー38の脱穀部6側端部には、オーガレストスイッチ56の作用面に対向するように前方突出した作動プレート57が一体的に取付け固定されている。
【0048】
このため、オーガレスト32を作業受止め位置に切換えた場合には、作動プレート57にオーガレストスイッチ56が当接し、オーガレストスイッチ56が入作動される一方で、オーガレスト32を走行受止め位置に切換えた場合には、作動プレート57とオーガレストスイッチ56との当接が解除され、オーガレストスイッチ56が切作動される。すなわち、オーガレストスイッチ56のON・OFFを検出することによって、オーガレスト32が走行受止め位置と、作業受止め位置の何れに切換えられているかを検出することができる。
【0049】
該構成のオーガレスト32及び支持装置33によれば、オーガレスト32を走行受止め位置に固定することにより、走行収納位置に左右旋回された前記オーガを載置・収納することができるとともに、オーガレスト32を作業受止め位置に固定することにより、作業収納位置に旋回操作された前記オーガを載置・収納することができる。
【0050】
また、前記オーガレスト32を、上述の走行受止め位置から作業受止め位置へあるいは、作業受止め位置から走行受止め位置へ切換えるにあたりロックピン52を取外した場合においても、該オーガレスト32は、連結アーム51により支持装置33側に常時連結されているため、オーガレスト32の受止め位置を切換える際に、該オーガレスト32のフック部36が支持ステー38から不測に外れる事態を防止できる。
【0051】
また、オーガレスト32は、連結アーム51の支持装置33側を支点として円弧状に左右揺動して所定の収納位置でロックピン54による固定が可能となる構成のため、確実に所定の走行収納姿勢又は作業収納姿勢に切換えることができる。さらに、簡易なリンク機構によってオーがレスト32の姿勢切換が行われるため、安価に構成することができる。
【0052】
さらに、オーガレスト32は、操縦部4の後端部左側及び脱穀部6の前端部右側に取付けられることにより、排出筒27の中途部より基端部側を支持する構成となっているため、オーガレスト32を作業受止め位置及び走行受止め位置に切換える際に、左右スライド幅を大きくとる必要がない。また、単一のオーガレスト32の受止め位置を切換えることにより各収納位置のオーガ9を収納するため、各収納位置に操作されたオーガ9を確実に所定位置で載置・収納できる。
【0053】
また、オーガレスト32は、支持装置33によって、脱穀部6とグレンタンク7との境界部の間における操縦部4寄り箇所に支持さるとともに、該支持装置33は、支柱37及び支持ステー38により逆L字型に形成されていることから、支持ステー38の作業受止め位置の下方側(支持ステー左方下側)、つまり脱穀部の右端上面側が開放されるように配置されているため、該オーガレスト32及び支持装置33は、脱穀部6上面側の開閉可能なシリンダカバー11の開閉作動を阻害しない。
【0054】
次に、図14乃至図17に基づき、刈取部の本体及び掻込リールの昇降と、オーガレストの上下揺動及び左右旋回とを制御する制御部の構成について説明する。
図14は、操縦部の平面図であり、図15は、マルチステアリングレバーの背面図であり、図16は、リモコンの正面図であり、図17は、制御部のブロック図である。
【0055】
図14より、前記操縦部4は、オペレータが着座する座席58と、座席58の前方に配置されるマルチステアリングレバー59と、座席58の側方(図示する例では左側方)に配置された主変速操作具である主変速レバー61と、主変速レバー61の左右外側側方(図示する例では左側方)に設けた副変速レバー62と、主変速レバー61の後方に配置されて刈取部3に関する各種操作具が設けられた調整パネル63と、座席58の左右一方側(図示する例では右側)の後側に設置されたオーガリモコン64とを備え、マルチステアリングレバー59と座席58との間には床面となるフロアステップ66が形成されている。
【0056】
前記調整パネル63には、前記刈取部3及び脱穀部6への動力の入切を操作する脱穀・刈取クラッチスイッチ67が設けられている。
【0057】
前記ステアリングレバー59は、前後揺動操作且つ左右揺動操作可能に支持されており、この前後揺動操作によって刈取部3が昇降されるとともに、左右揺動操作によって車体が左右旋回されるように、後述の制御部によって、刈取部3の昇降制御及び車体の操向制御を行う。
【0058】
また、前記マルチステアリングレバー59の上部に形成されたグリップには、上下一対の押し操作式のスイッチが左右それぞれ設置されている(計4つ)。右側に配置された上下一対のモーメンタリ動作する押し操作式のスイッチは、上側のスイッチがリール上昇スイッチ68、下側のスイッチがリール下降スイッチ69であって、前記掻込リール17の昇降を行う(図15参照)。なお、左側に配置された上下一対のモーメンタリ動作する押し操作式スイッチは、上側のスイッチがリール前方移動スイッチ65、下側のスイッチがリール後方移動スイッチ70であり、掻込リール17の前後動を行う。
【0059】
前記オーガリモコン64の中央部は、左右及び上下箇所に、モーメンタリ動作する押し操作式のスイッチであるオーガ手動スイッチ71,72,73,74がそれぞれ設置されている。左右のスイッチは、それぞれオーガの左右旋回操作を行うオーガ左旋回スイッチ71及びオーガ右旋回スイッチ72であり、上下のスイッチは、それぞれオーガの昇降駆動の操作を行うオーガ上昇スイッチ73及びオーガ下降スイッチ74である。
【0060】
該オーガリモコン64は、オーガ手動スイッチ71,72,73,74の中央に、後述の制御部により、オーガを所定の位置へ自動旋回させるオーガ旋回自動を実行するオーガ自動スイッチ76が設置されているとともに、オーガリモコン64の上側には、該オーガ旋回自動によるオーガ9の旋回先を指定する旋回位置切換スイッチ77が配置されている(図16参照)。
【0061】
図17より、制御部75の入力側には、前記オーガリモコン64に配置された上述のオーガ自動スイッチ76と、前記オーガ手動スイッチ71,72,73,74と、前記オーガ9の左右旋回位置を検出するオーガ旋回ポテンショ78と、前記オーガ9がオーガシリンダ29により最上昇位置に操作されたことを検出するオーガ上限スイッチ79と、前記オーガレストスイッチ56と、前記マルチステアリングレバー59の前後方向の操作位置を検出するマルチ昇降ポテンショ81と、前記掻込リール17の上昇操作を検出するリール上昇スイッチ68と、前記掻込リール17の下降操作を検出するリール下降スイッチ69と、前記脱穀・刈取クラッチスイッチ67と、脱穀・刈取クラッチの位置を検出する脱穀・刈取クラッチポテンショ84と、が接続される他、さらに、制御部75の入力側には、走行機体2に対する相対高さを検出する高さ検出手段として、刈取部3の本体の昇降高さを検出するリフトポテンショ82と、刈取フレーム13に対する掻込リール17の昇降高さを検出するリール高さポテンショ83とが接続されている。
【0062】
一方、制御部75の出力側には、前記オーガモータ28と、作動油の供給・排出によって上述のオーガシリンダ29を伸縮作動させるオーガバルブ86と、作動油の供給・排出によって上述のリフトシリンダ21を伸縮させるリフトバルブ88と、作動油の供給・排出によって上述のリールシリンダ24を伸縮させるリールバルブ89と、警報ホーン87と、前記脱穀・刈取クラッチの入切作動を行う脱穀・刈取クラッチモータ91とが接続されている。
【0063】
制御部75は、前記オーガ自動スイッチ76の押し操作により、オーガレスト32のある位置まで左右旋回及び上下揺動して収納位置A,Bまで操作するオーガ自動収納制御あるいは、前記旋回位置切換スイッチ77により選択された真右位置D、真後位置E又は真左位置Fの何れかの穀粒排出位置へ左右旋回するオーガ自動旋回制御を実行するオーガ自動制御を行うように構成されている。
【0064】
該オーガ自動制御は、まずオーガ9を、オーガ上限スイッチ79が押し操作されるオーガ9の最上昇位置まで上昇駆動させ、該状態で所定の位置まで左右旋回駆動させ、その後に、オーガシリンダ28によりオーガを所定高さまで下降駆動が行われることにより、オーガ9を所定位置へ自動的に操作する。
【0065】
このとき、制御部75は、オーガ設定制御により、オーガ自動収納制御の実行時におけるオーガ9の収納位置A,Bを決定する構成となっている。
【0066】
制御部75は、前記オーガ手動スイッチ71,72,73,74により、オーガ9の左右旋回及び上下揺動操作するオーガ手動旋回制御が実行される。詳しくは、オーガ上昇スイッチ73の押し操作が検出されている間は、オーガ9が上昇駆動され、オーガ上限スイッチ79によりオーガ9の最上昇位置が検出された状態で且つ、オーガ左旋回スイッチ71又はオーガ右旋回スイッチ72の押し操作が検出されている間は、オーガ9が左右旋回駆動される。
【0067】
このとき、該オーガ9の左旋回限界位置は、前記オーガレストスイッチ56がONの場合は、作業収納位置Aまで左旋回可能となり、前記オーガレストスイッチ56がOFFの場合は、走行収納位置Bが左旋回限界位置となり、走行収納位置Bから先の左旋回駆動が規制される。
【0068】
さらに、オーガ下降スイッチ74の押し操作が検出された場合にはオーガ9が下降駆動されるところ、該オーガ9が平面視で作業収納位置Aから真右位置Dの間であって且つオーガレスト32が固定されている側の収納位置A,Bと、真右位置Dとを除いた位置(以下、規制範囲)に左右旋回されている場合においては、オーガ9の下降駆動を規制する手動下降規制制御を行うように制御部75が構成されている。
【0069】
すなわち、オーガレスト32が作業受止め位置にある場合は、平面視で作業収納位置Aから真右位置Dの間であって且つ作業収納位置Aと、真右位置Dとを除いた位置が規制範囲となり、オーガレスト32が走行受止め位置にある場合は、平面視で作業収納位置A(あるいは走行収納位置B)から真右位置Dの間であって且つ走行収納位置Bと、真右位置Dとを除いた位置が規制範囲となる。
【0070】
また、制御部75は、オーガ9が平面視で走行収納位置Bから操縦部側位置Cの間であって且つ走行収納位置B及び操縦部側位置Cを除いた位置に左右旋回されている場合においては、掻込リール17の上昇駆動を規制するように構成されている。
【0071】
なお、前記掻込リールを最上昇位置に操作した場合であっても、オーガと接触しない所定の高さまでオーガを上方揺動させればオーガの左右旋回を許容する構成であっても良い。
【0072】
次に、図18乃至21に基づいて、上述のオーガ設定制御と、オーガ自動制御とについて説明する。
図18は、オーガの自動旋回を行うメインルーチンの処理フロー図である。同図に示す通り、制御部75は、処理が開始されると、ステップS1に進む。ステップS1では、オーガ自動収納制御の実行時にオーガ9が収納される収納位置A,Bを決定するオーガ設定制御を実行し、該サブルーチンが終了すると、ステップS2に進む。ステップS2では、オーガ自動旋回制御又はオーガ自動収納制御を実行することによりオーガを所定位置に旋回操作を行うオーガ自動制御のサブルーチンを実行し、該サブルーチンの処理が終了すると、ステップS1に処理を戻す。
【0073】
図19は、オーガ設定制御の処理フロー図である。制御部75はオーガ設定制御が開始されると、ステップS11に進む。ステップS11では、オーガレストスイッチ56のON・OFFを検知し、オーガレストスイッチ56がONであってオーガレスト32が作業受止め位置で固定されていることが検出された場合には、ステップS12に進み、オーガ自動収納制御におけるオーガ収納位置を作業収納位置Aに設定してリターンする。一方、ステップS11において、オーガレストスイッチ56がOFFであってオーガレスト32が走行受止め位置で固定されていることが検出された場合には、オーガ自動収納制御におけるオーガ収納位置を走行収納位置Bに設定してリターンする。
【0074】
すなわち、オーガレスト32の位置を作業受止め位置に切換えることにより、オーガ自動収納制御時のオーガ9の収納位置が作業収納位置Aに切換えられ、オーガレスト32の位置を走行受止め位置に切換えることにより、オーガ自動収納制御時のオーガ9の収納位置が走行収納位置Bに切換えられるため、オペレータが自動収納制御によりオーガ9が収納される位置を認識し易く、収納位置の切換え忘れを効率的に防止できる。
【0075】
図20は、オーガ自動制御の処理フロー図である。制御部75は、オーガ自動制御が開始されると、ステップS21に進む。ステップS21では、オーガ自動スイッチ76のON・OFF状態を示す自動フラグのON・OFFをチェックし、自動フラグがOFFであればステップS22に進み、旋回自動フラグをOFFに設定してステップS23に進み、格納自動フラグをOFFに設定してリターンする。一方、ステップS21において、自動フラグがONの場合は、ステップS24に進む。
【0076】
ステップS24では、図示しない別途のルーチンによりオーガリモコン64でセットされる格納自動フラグのON・OFFをチェックし、格納自動フラグがOFFの場合は、ステップS25に進み、旋回自動フラグのON・OFFがチェックされる。ステップS25で、旋回自動フラグがOFFの場合は、ステップS26に進み、オーガ旋回ポテンショ78により、オーガ9が排出位置にあるか収納位置にあるかが判断される。ステップS26で、オーガ9が収納位置にあることが検出された場合は、ステップS27に進んで旋回自動フラグがONにセットされてステップS28に進み、オーガ自動旋回制御が実行されてリターンする。なお、ステップS25において、旋回自動フラグがONの場合には直接ステップS27に進み旋回自動フラグがONにセットされてステップS28に進み、オーガ自動旋回制御が実行されてリターンする。
【0077】
一方、ステップS24で格納自動フラグがONであった場合、及びステップS26でオーガ9が収納位置以外にあることが検出された場合は、ステップS29に進み、格納自動フラグがONにセットされ、ステップS30に進む。
【0078】
ステップS30では、掻込リール17の高さ検出手段であるリフトポテンショ82及びリール高さポテンショ83により掻込リール17の高さを検出し、該掻込リール17の高さが設定された所定値以下の場合、ステップS31に進み、オーガ自動収納制御が実行されてリターンする。一方、ステップS30において、掻込リール17の高さが所定値以上の場合、ステップS32に進み、自動フラグがOFFにセットされてリターンする。
【0079】
すなわち、オーガ自動スイッチの押し操作時のオーガ位置が、各収納位置A,Bの場合はオーガ自動旋回制御が実行され、収納位置以外にある場合はオーガ自動収納制御が実行される。また、ステップS30により、掻込リール17の高さが所定値より高いことが検出された場合には、該オーガ自動収納制御がキャンセルされるため、オーガ自動制御による旋回作動によってオーガが掻込リール17に衝突する事態が回避される。以下、オーガ自動制御のステップS31において実行されるオーガ自動収納制御について説明する。
【0080】
図21は、オーガ自動収納制御の処理フロー図である。制御部75は、オーガ自動収納制御が開始されると、ステップS41に進む。ステップS41では、別途のルーチンによってセットされる格納自動フラグのON・OFF状態をチェックし、該格納自動フラグがONであればステップS42に進み、上げフラグをONにセットし、ステップS43に進む。
【0081】
ステップS43では、オーガ上限スイッチ79によりオーガ9が最上昇位置まで上昇駆動されているか否かが検出され、オーガ9が最上昇位置でない場合はステップS44に進み、オーガ9を上昇駆動させるためオーガバルブ86を上昇にセットしてリターンする。
【0082】
一方、ステップS43でオーガ上限スイッチ79によりオーガ9の最上昇位置が検知された場合は、ステップS45に進み、オーガ9を前記オーガ設定制御によりセットした収納位置へ旋回作動させる旋回フラグがONにセットされてステップS46に進む。ステップS46では、オーガ旋回ポテンショ78により、オーガ9が平面視で収納位置にあるか否かが判断され、オーガ9が収納位置以外にある場合は、ステップS47に進み、オーガモータ86を旋回にセットしてリターンする。
【0083】
一方、ステップS46でオーガ旋回ポテンショ78によりオーガ9が収納位置まで左右旋回されていることが検出された場合は、ステップS48に進み、下げフラグがONにセットされてステップS49に進む。ステップS49では、前回のステップ時に下げフラグがONだったか否かが判断され、前回ステップで下げフラグがOFFの場合はステップS50に進み、下降タイマがセットされ、ステップS51に進む。一方、ステップS49で前回ステップの下げフラグがONの場合は直接ステップS51に進む。
【0084】
ステップS51では、セットされた下降タイマが0か否かが検出され、下降タイマが0でない場合は、ステップS52に進み、オーガバルブを下降にセットしてリターンする。一方で、ステップS51で下降タイマが0となっていた場合は、ステップS53に進み、自動フラグがOFFにセットされる。
【0085】
また、ステップS41において格納自動フラグがOFFとなっていた場合は、ステップS54に進み上げフラグがOFFにセットされてステップS55に進み、旋回フラグがOFFにセットされてステップS56に進み、下げフラグがOFFにセットされてステップS53に進み、自動フラグがOFFにセットされてリターンする。
【0086】
次に、図22に基づき、上述の手動下降規制制御について説明する。
図22は、手動下降制御の処理フロー図である。制御部75は、手動下降制御が開始されると、ステップS61に進む。ステップS61では、オーガレストスイッチ56のON・OFFを検知してオーガレスト32の受止め位置を検出し、オーガレストスイッチ56がOFFであってオーガレスト32が作業受止め位置であることを検出した場合は、ステップS62に進む。ステップS62では、オーガ旋回ポテンショ78により、オーガ9が前記規制範囲にあるか否かが検出され、該オーガ9が規制範囲にある場合は、リターンする。
【0087】
一方、ステップS62でオーガ旋回ポテンショ78によりオーガ9が規制範囲以外にあることが検出された場合は、ステップS63に進む。ステップS63では、リフトポテンショ82及びリール高さポテンショ83により掻込リール17の走行機体2に対する高さが検出され、掻込リール17が所定位置より高いところまで上昇駆動されている場合は、リターンする。一方、ステップS63で、掻込リール17が所定高さより低い位置にある場合は、ステップS64に進み、オーガバルブが下降にセットされてリターンする。
【0088】
ステップS61において、オーガレストスイッチ56のON状態が検知されてオーガレスト32が作業受止め位置にあることが検出された場合は、ステップS65に進む。ステップS65では、オーガ旋回ポテンショ78により、オーガ9が規制範囲にあるか否かが検出され、オーガが規制範囲外にあることが検出された場合は、ステップS64に進み、オーガバルブが下降にセットされてリターンする。一方で、ステップS65で、オーガ9が規制範囲内にあることが検出された場合はリターンする。
【0089】
すなわち、オーガ9が平面視で規制範囲内にある場合は、オーガ9の下降駆動が規制されるとともに、オーガレスト32が走行受止め位置であることが検出されて且つ、掻込リール17が所定高さよりも高い位置にあることが検出された場合には、オーガ9が規制範囲外であっても、オーガ9の下降駆動が規制される。このため、オペレータの誤操作によって掻込リール17の上にオーガ9を下降駆動させて衝突する事態を未然に防止できる。
【0090】
次に、図23及び図24に基づき、本発明の別実施例2について、上述の例と異なる点を説明する。
図23は、別実施例2におけるオーガ自動制御の処理フロー図である。制御部75は、オーガ自動制御が開始されると、ステップS101に進む。ステップS101では、オーガ自動スイッチ76のON・OFF状態を示す自動フラグのON・OFFをチェックし、自動フラグがOFFであればステップS102に進み、旋回自動フラグをOFFに設定してステップS103に進み、格納自動フラグをOFFに設定してリターンする。一方、ステップS101において、自動フラグがONの場合は、ステップS104に進む。
【0091】
ステップS104では、格納自動フラグのON・OFFをチェックし、格納自動フラグがOFFの場合は、ステップS105に進み、旋回自動フラグのON・OFFがチェックされる。ステップS105で、旋回自動フラグがOFFの場合は、ステップS106に進み、オーガ旋回ポテンショ78により、オーガ9が排出位置にあるか収納位置にあるかが判断される。ステップS106で、オーガ9が収納位置にあることが検出された場合は、ステップS107に進んで旋回自動フラグがONにセットされてステップS108に進み、オーガ自動旋回制御が実行されてリターンする。なお、ステップS105において、旋回自動フラグがONの場合には直接ステップS107に進み旋回自動フラグがONにセットされてステップS108に進み、オーガ自動旋回制御が実行されてリターンする。
【0092】
一方、ステップS104で格納自動フラグがONであった場合、及びステップS106でオーガ9が収納位置以外にあることが検出された場合は、ステップS109に進み、格納自動フラグがONにセットされ、ステップS110に進み、オーガ自動収納制御が実行されてリターンする。
【0093】
図24は、別実施例2におけるオーガ自動収納制御の処理フロー図である。制御部75は、オーガ自動収納制御が開始されると、ステップS201に進む。ステップS201では、別途のルーチンによってセットされる格納自動フラグのON・OFF状態をチェックし、該格納自動フラグがONであればステップS202に進み、上げフラグをONにセットし、ステップS203に進む。
【0094】
ステップS203では、オーガ上限スイッチ79によりオーガ9が最上昇位置まで上昇駆動されているか否かが検出され、オーガ9が最上昇位置でない場合はステップS204に進み、オーガバルブ86を上昇にセットしてリターンする。
【0095】
一方、ステップS203でオーガ上限スイッチ79によりオーガ9の最上昇位置が検知された場合は、ステップS205に進み、オーガ9を前記オーガ設定制御によりセットされた収納位置へ旋回作動させる旋回フラグがONにセットされてステップS206に進む。ステップS206では、オーガ旋回ポテンショ78により、オーガ9が平面視で収納位置にあるか否かが判断され、オーガ9が収納位置以外にある場合は、ステップS207に進み、オーガモータ86を旋回にセットしてリターンする。
【0096】
一方、ステップS206でオーガ旋回ポテンショ78によりオーガ9が収納位置まで左右旋回されていることが検出された場合は、ステップS208に進み、下げフラグがONにセットされてステップS209に進む。ステップS209では、前回のステップ時に下げフラグがONだったか否かが判断され、前回ステップで下げフラグがOFFの場合はステップS210に進み、下降タイマがセットされ、ステップS211に進む。一方、ステップS209で前回ステップの下げフラグがONの場合は直接ステップS211に進む。
【0097】
ステップS211では、リフトポテンショ82及びリール高さポテンショ83より掻込リール17の走行機体2に対する高さが検出され、掻込リール17の高さが所定値よりも低い場合はステップS212に進む。ステップS212では、セットされた下降タイマが0か否かが検出され、下降タイマが0でない場合は、ステップS213に進み、オーガバルブを下降にセットしてリターンする。
【0098】
一方で、ステップS211で掻込リール17の高さが所定値よりも高かった場合、及びステップS212で下降タイマが0となっていた場合は、ステップS214に進み、自動フラグがOFFにセットされてリターンする。
【0099】
また、ステップS201において格納自動フラグがOFFとなっていた場合は、ステップS215に進み上げフラグがOFFにセットされてステップS216に進み、旋回フラグがOFFにセットされてステップS217に進み、下げフラグがOFFにセットされてステップS214に進み、自動フラグがOFFにセットされてリターンする。
【0100】
すなわち、掻込リールの高さが所定値(収納位置A,Bまで下降したオーガと側面視ラップする高さ)以上に上昇駆動されている場合であっても、オーガ9を最上昇位置にした状態で平面視走行収納位置Bまでの左右旋回は実行され、その後のオーガ9の下降駆動がキャンセルされるため、掻込リール17の高さが所定値よりも高い位置にある状態で、オーガ自動収納制御を実行した場合でも、平面視収納位置A,Bの位置までの左右旋回作動は実行されるため、次の作業に入りやすい。
【符号の説明】
【0101】
A 作業収納位置(第2収納位置)
B 走行収納位置(第1収納位置)
2 走行機体
3 刈取部
9 オーガ
17 掻込リール(リール)
32 オーガレスト
56 オーガレストスイッチ(切換状態検出手段)
71 オーガ左旋回スイッチ(手動操作検出手段)
72 オーガ右旋回スイッチ(手動操作検出手段)
73 オーガ上昇スイッチ(手動操作検出手段)
74 オーガ下降スイッチ(手動操作検出手段)
75 制御部
76 オーガ自動スイッチ(実行操作手段)
82 リフトポテンショ(高さ検出手段)
83 リール高さポテンショ(高さ検出手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行機体(2)の前方に昇降可能に刈取部(3)を連結し、該刈取部(3)にリール(17)を昇降可能に支持し、走行機体(2)にオーガ(9)を左右旋回可能且つ上下揺動可能に支持し、オーガ(9)が、走行機体(2)に沿うようにして、側面視で、刈取部(3)及びリール(17)の上昇によって所定以上の高さに位置するリール(17)にラップする位置まで下降した収納位置に収納させる自動制御を実行する制御部(75)を設け、実行操作手段(76)による自動制御の実行操作の検出によって、上記自動制御が実行されるように該制御部(75)を構成し、オーガ(9)が平面視リール(17)とラップした第1収納位置(B)と、オーガ(9)が平面視リール(17)とラップしないように第1収納位置(B)よりも左右外側に位置する第2収納位置(A)との少なくとも2つの収納位置を前記制御部(75)に設定し、オーガ(9)を受止めて支持するオーガレスト(32)を、第1収納位置(B)に収納されたオーガ(9)を受止める第1受止め位置と、第2収納位置(A)に収納されたオーガ(9)を受止める第2受止め位置との少なくとも2箇所で切換可能に、走行機体(2)側に支持し、オーガレスト(32)が第1受止め位置に切換えられた状態及び第2受止め位置に切換えられた状態の少なくとも2つの状態を検出する切換状態検出手段(56)を設け、前記制御部(75)は、オーガレスト(32)の第1受止め位置への切換えが切換状態検出手段(56)によって検出されている場合には、オーガ(9)が第1収納位置に収納されるように自動制御を実行する一方で、オーガレスト(32)の第2受止め位置への切換えが切換状態検出手段(56)によって検出されている場合には、オーガ(9)が第2収納位置に収納されるように自動制御を実行する汎用コンバイン。
【請求項2】
前記リール(17)の走行機体(2)に対する相対高さを検出する高さ検出手段(82,83)を設け、前記制御部(75)は、上記自動制御の実行中、高さ検出手段(82,83)によって、リール(17)が予め定めた所定高さ以上への上昇が検出されるとともに、前記切換状態検出手段(56)によって、オーガレスト(32)が第1受止め位置に位置していることが検出された場合には、上記自動制御の実行を停止する請求項1記載の汎用コンバイン。
【請求項3】
前記リール(17)の走行機体(2)に対する相対高さを検出する高さ検出手段(82,83)を設け、前記制御部(75)は、上記自動制御の実行中、高さ検出手段(82,83)によって、リール(17)が予め定めた所定高さ以上への上昇が検出されるとともに、前記切換状態検出手段(56)によって、オーガレスト(32)が第1受止め位置に位置していることが検出された場合には、オーガレスト(32)位置に該オーガを左右旋回させ、その後、自動制御の実行を停止させることにより、オーガ(9)の下降をキャンセルする請求項1記載の汎用コンバイン。
【請求項4】
オーガ(9)の手動の左右旋回操作及び上下揺動操作を検出する手動操作検出手段(71,72,73,74)を設け、前記制御部(75)は、手動制御の実行中、オーガレスト(32)の位置を切換状態検出手段(56)によって検出し、該オーガレスト(32)位置以外の左右旋回位置にオーガ(9)が左右旋回されている場合には、手動操作検出手段(74)によって、オーガの下降揺動操作が検出されても、オーガ(9)の下降揺動をキャンセルする請求項1乃至3の何れか記載の汎用コンバイン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2012−187075(P2012−187075A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−55306(P2011−55306)
【出願日】平成23年3月14日(2011.3.14)
【出願人】(000001878)三菱農機株式会社 (1,502)
【Fターム(参考)】