説明

汎用顔料ペースト用のペースト樹脂

本発明は、水希釈性アルキド樹脂Bと、少なくとも1つのアミノ基含有ビニル型モノマーA1を含む塩基性アクリルコポリマー樹脂Aとの混合物であるペースト樹脂AB、並びに、多種多様な顔料と共に、水系着色塗料及び溶媒系着色塗料の両方を配合する、その使用方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有色塗料の着色のための汎用顔料ペースト用のペースト樹脂に関する。
【背景技術】
【0002】
塗料産業において、在庫管理及び物流は混色方式を用いることによって合理化されている。このような方式では、各種の利用可能なベース塗料からベース塗料を選択すること、及び選択したベース塗料に1つ又は複数の顔料ペーストを添加することによって顧客に対して選択される塗料の色が作製される。ここで、顔料ペーストは、1つ又は複数の顔料と、良好な分散特性を有するペースト樹脂との均質混合物である。このような方式は、例えば、特許文献1に開示されているように、装飾コーティングの分野で広く使用されている。
【0003】
塗料着色方式用の顔料ペーストの例は、特許文献2(水系ポリエステル)、特許文献3(溶媒系ポリエステル)、及び特許文献4(溶媒系塗料用のアクリル変性ポリエステル)に開示されている。少なくとも1つの顔料に加えて、顔料ペーストは典型的に、特定の樹脂と、溶媒と、通常、添加剤も含む。様々な色に関する顔料の化学的性質は、チャンネルブラック又はランプブラックの形態の炭素等の単純な無機元素から、無機酸化物(酸化鉄、銅、コバルト、クロム及び鉛ベースの顔料等)及び有機顔料(アゾ顔料、フタロシアニン顔料、並びにペリレン顔料、アントラキノン顔料及びキナクリドン顔料等の多環式芳香族顔料等)まで大いに異なる。各顔料について、相溶性の樹脂を使用することが要求される。この樹脂は、さらに、ベース塗料のバインダ系と、また大半の色では、2つ以上の顔料ペーストの添加が必要とされるため、他の顔料ペースト中に使用される樹脂とも相溶性であることが要求される。樹脂はまた、顔料を十分量分散させることができるものとする。これまで、溶媒系塗料及び水系塗料の両方と相溶性であると共にバインダ樹脂の通常範囲内にあるものとも相溶性である着色方式の使用はかなえられていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】欧州特許第0,311,209号明細書
【特許文献2】国際公開第91/06607号パンフレット
【特許文献3】国際公開第99/49963号パンフレット
【特許文献4】欧州特許第0,458,479号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、本発明の目的は、顔料が溶媒系であっても水系であっても、大抵の種類の顔料と、また大抵のバインダ樹脂と相溶性である、樹脂(「ペースト樹脂」)を含む顔料ペーストを提供することである。ペースト樹脂は、上述されるもの等の種々の原料をベースとした様々な顔料を分散させる十分な分散力及び湿潤力を有するものとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本目的は、水希釈性アルキド樹脂Bと塩基性アクリルコポリマー樹脂Aとの混合物であるペースト樹脂ABであって、該塩基性アクリルコポリマー樹脂Aが、少なくとも1つの共重合性オレフィン性不飽和をそれぞれ有する少なくとも3種類のビニルモノマーのコポリマーであり、該ビニルモノマーが、少なくとも1つのアミノ基含有ビニル型モノマーA1、アルキル基中に1個〜13個の炭素原子を有する直鎖状又は分岐状アルキル(メタ)アクリレートから成る群から選択される少なくとも1つのモノマーA2、及びポリエーテルグリコールに由来する部位を有する少なくとも1つの親水性ビニルモノマーA3を含み、該ポリエーテルグリコールが、ポリエチレングリコール、又はオキシアルキレン基の全質量中のオキシエチレン基の質量分率が少なくとも60%であるエチレングリコールとプロピレングリコールとの混合エーテルであり、上記ポリエーテルグリコールのヒドロキシル基の1つが、エーテル基に転化し、オレフィン性不飽和モノカルボン酸によるエステル化によって、又はオレフィン性不飽和アルコールによるエーテル化によって、又はヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとジイソシアネートとの付加物による反応を介したウレタン形成によって、他のヒドロキシル基が消費される、ペースト樹脂を提供することによって達成された。
【発明を実施するための形態】
【0007】
水希釈性アルキド樹脂Bの酸価は、好ましくは0.2mg/g〜5mg/g、特に好ましくは0.5mg/g〜3mg/gであり、23℃の温度及び25s−1の剪断応力において50%強度の水分散液中でDIN EN ISO 3219に従って測定される動粘度は5mPa・s〜25mPa・sであることが好ましい。
【0008】
アルキド樹脂Bは、アルキド樹脂Baと、ポリオキシエチレングリコールのC−〜C−モノアルキルエーテルBb1、又はエチレングリコールとプロピレングリコールとの混合エーテルのC−〜C−モノアルキルエーテルBb2、又はそれらの混合物と、脂環式ジカルボン酸の無水物Bb3との付加物Bbとの縮合生成物をベースとし、Bb1及びBb2の物質量の合計と、Bb3の物質量との比率が、0.95モル:1.05モル〜1.05モル:0.95モルであることが好ましい。
【0009】
水希釈性アルキド樹脂Bは好ましくは、エステル化条件下、即ち水の除去を受けて、好ましくは共沸蒸留及び共留剤の再循環を介したキシレン等の共留剤の存在下におけるBaとBbとの反応によって生成される。通常のエステル化触媒を使用することもできる。取り出したサンプルの酸価が3mg/g以下となるまで、好ましくは170℃〜260℃の温度におけるエステル化を続ける。
【0010】
メチルメタクリレートと、アルキル基中に2個〜12個の炭素原子をそれぞれ有するアルキルアクリレート又はアルキルメタクリレートとから生成されるアクリルコポリマー(A1)、メチルメタクリレートと、接着促進モノマー(3−(2−メタクリル−オキシエチル)−2,2−スピロ−シクロへキシルオキサゾリジン等)とから生成される第2のアクリルコポリマー(A2)、及びフタレートエステル又はアルキド樹脂である可塑剤(A3)の配合物(A)と、ポリメチルメタクリレート、若しくはメチルメタクリレートのコポリマー、又はこれらのポリマーの混合物であるコポリマー(B1)、及びセルロースアセトブチレート(B2)、及び有機可塑剤(B3)を含む顔料アクリル組成物(B)との混合物を含むコーティング組成物が、米国特許第3,878,140号明細書に開示されている。ここに開示されるアルキド樹脂可塑剤は、不乾性油脂肪酸と、多価アルコールと、ジカルボン酸又はその無水物との反応生成物である。
【0011】
殺生材料と、ポリマーバインダの非水性分散液であって、アクリル樹脂の重合用の分散媒として、少なくとも90%の不揮発分の質量分率、10kg/モル〜250kg/モルのz平均モル質量を有する少なくとも1つのアルキド樹脂を含み、アルキド部分とアクリル部分との質量比が50:50〜30:70である、非水性分散液との組合せである防汚剤が、米国特許出願公開第2005/0096407号明細書から知られている。使用されるアルキド樹脂は、実施例1A(ダイズ油、無水トリメリット酸、及びトリメチロールエタン)及び実施例1B(ダイズ油脂肪酸、ペンタエリスリトール、クロトン酸及びイソフタル酸)にも例示されているような、ダイズ又はアマニ脂肪酸をベースとした長油又は中油性アルキドであり得る。
【0012】
酸価は、質量m(サンプル)に対する、質量m(サンプル)を有するサンプルを中和するのに必要な水酸化カリウムの質量m(KOH)の比率として、DIN EN ISO 3682に従い通常通りに定義され、サンプルが溶液又は分散液である場合には、m(サンプル)の代わりに該溶液又は分散液中の固形物の質量m(固形分)が用いられ、通常単位は「mg/g」である。
【0013】
アルキド樹脂Baは通常の方法で、1分子当たり2つ以上のヒドロキシル基を有する1つ又は複数のポリオールBa1と、1つ又は複数の多塩基酸(1分子当たり2つ以上の酸性基を有する)Ba2と、1つ又は複数のトリグリセリド油Ba4を代わりに用いてもよく又はこれと一緒に混合されていてもよい1つ又は複数の脂肪酸Ba3との共縮合によって生成される。任意に、縮合混合物はまた、1つ又は複数の一塩基酸Ba5を含有していてもよい。好ましくは、脂肪酸Ba3の少なくとも1つが、1分子当たり少なくとも1つのオレフィン性不飽和を有する。好ましくは、トリグリセリド油Ba4の少なくとも1つが、少なくとも1つのオレフィン性不飽和を分子中に有する脂肪酸に由来する少なくとも1つの残基を含む。
【0014】
ポリオールBa1は、1分子当たり2つ〜6つのヒドロキシル基、好ましくは1分子当たり最大4つのヒドロキシル基を有する脂肪族直鎖状又は分岐状ヒドロキシル化合物、例えば、エチレングリコール、1,2−及び1,3−プロピレングリコール、1,2−及び1,4−ブタンジオール、グリセロール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、エリスリトール、トレイトール、ペンタエリスリトール、ジトリメチロールプロパン、ジトリメチロールエタン、ソルビトール、並びにマンニトール等である。
【0015】
多塩基酸Ba2は、2つ〜4つの酸基、好ましくは3個〜20個の炭素原子を有する脂肪族直鎖状、分岐状若しくは環状、又は芳香族であってもよく、好ましくはフタル酸、トリメリット酸、テトラヒドロフタル酸、アジピン酸、マロン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、イソフタル酸及びテレフタル酸、並びにベンゾフェノンテトラカルボン酸から成る群から選択され得る。
【0016】
脂肪酸Ba3は、好ましくは4個〜24個の炭素原子を有する少なくともモノオレフィン性不飽和脂肪族モノカルボン酸であることが好ましい。好ましくは、ラウロレイン酸、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、ガドリン酸、エルカ酸、リシノール酸、リノール酸及びリノレン酸、並びにこれらの混合物、特に天然混合物(ダイズ油脂肪酸、アマニ油脂肪酸、ヒマワリ油脂肪酸、ベニバナ油脂肪酸、ゴム種子油脂肪酸、及びトール油脂肪酸等)である。
【0017】
トリグリセリド油Ba4は、好ましくは120cg/g〜200cg/gのヨウ素価を有する油、特に好ましくはダイズ油、アマニ油、ヒマワリ油、ベニバナ油、ゴム種子油、及びトール油である。
【0018】
一塩基酸Ba5は好ましくは、芳香族モノカルボン酸(安息香酸又はアルキル置換安息香酸、脂環式モノカルボン酸、特にいわゆる樹脂酸等)、脂肪族分岐状カルボン酸(イソノナン酸、2−エチルヘキサン酸、又は(登録商標)Versatic acid、α−分岐状デカン酸の混合物等)である。
【0019】
好ましくは、アルキド樹脂Baの酸価は、5mg/g未満、特に好ましくは0.1mg/g〜4mg/g、とりわけ好ましくは0.2mg/g〜3.5mg/gである。それらのヒドロキシル価は、好ましくは30mg/g〜100mg/g、特に好ましくは40mg/g〜90mg/g、とりわけ好ましくは60mg/g〜85mg/gである。
【0020】
付加物Bbは、ポリオキシエチレングリコールのC−〜C−モノアルキルエーテルBb11、エチレングリコールとプロピレングリコールとの混合エーテルのC−〜C−モノアルキルエーテルBb12、及びそれらの混合物から成る群から選択されるヒドロキシル基含有モノアルキルエーテルBb1と、脂環式ジカルボン酸の無水物Bb2との反応生成物であり、Bb11及びBb12の物質量の合計と、Bb2の物質量との比率が好ましくは、0.95モル:1.05モル〜1.05モル:0.95モルである。付加物Bbの酸価は、好ましくは5mg/g〜60mg/g、特に好ましくは10mg/g〜45mg/g、とりわけ好ましくは15mg/g〜40mg/gである。
【0021】
ヒドロキシ官能性エーテルBb11は好ましくは、ポリエチレングリコールのメチル、エチル、n−プロピル及びn−ブチルモノエーテルであり、このポリエチレングリコールの重量平均モル質量は、好ましくは500g/モル〜4000g/モル、特に好ましくは750g/モル〜3000g/モルである。1分子当たりのヒドロキシル基の平均数は、好ましくは0.8〜1.2、特に好ましくは0.9〜1.1である。とりわけ好ましくは、エタノールで部分的にエーテル化された、1000g/モル〜2000g/モルのモル質量を有するポリエチレングリコールである。
【0022】
ヒドロキシ官能性エーテルBb12は好ましくは、エチレングリコールと1,2−プロピレングリコールとの混合エーテルのメチル、エチル、n−プロピル及びn−ブチルモノエーテルであり、2個又は3個の炭素原子をそれぞれ有するオキシアルキレン基の質量と、混合エーテルBb12中の全てのオキシアルキレン基の質量の合計との比率として算出される、オキシエチレン基の質量分率は10%〜85%であり、オキシプロピレン基の質量分率は90%〜15%であり、このエーテルの重量平均モル質量は、好ましくは500g/モル〜10000g/モル、特に好ましくは1000g/モル〜8000g/モルである。1分子当たりのヒドロキシル基の平均数は、好ましくは0.8〜1.2、特に好ましくは0.9〜1.1である。
【0023】
脂環式ジカルボン酸の無水物Bb2は、好ましくは8個〜12個の炭素原子を有していてもよく、好ましくは、テトラヒドロフタル酸無水物、ヘキサヒドロフタル酸無水物、及びそれらの同族体(メチルテトラヒドロフタル酸無水物又はブチルテトラヒドロフタル酸無水物等)から成る群から選択される。驚くべきことに、非環式ジカルボン酸の環状無水物(マレイン酸無水物又はコハク酸無水物等)は本発明の状況において、顔料の相溶性を阻害するため、良好に作用しないことが見出された。
【0024】
塩基性アクリルコポリマー樹脂Aは、少なくとも1つの共重合性オレフィン性不飽和をそれぞれ有する少なくとも3種類のビニルモノマーのコポリマーである。それは、好ましくは少なくとも1つのアミノ基(特に好ましくは第三級アミノ基)を有する、少なくとも1つのアミノ基含有ビニル型モノマーA1を含む。特に有用なアミノ官能性ビニルモノマーは、第三級アミノアルコールと、アクリル酸又はメタクリル酸とのエステル(ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート等)、及びモノ第三級モノ第一級ジアミンのアミド(ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、3−N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等)、及び対応するジエチルアミノ化合物である。さらなるモノマーA2は、アルキル基中に1個〜13個の炭素原子を有する直鎖状又は分岐状アルキル(メタ)アクリレート、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート及び2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートである。Aをもたらす重合反応において存在するさらなるモノマーは、ポリエチレングリコール又はエチレングリコールとプロピレングリコールとの混合エーテルに由来する部位を有する、親水性ビニルモノマーA3であり、混合エーテルにおけるオキシアルキレン基の全質量中のオキシエチレン基の質量分率は少なくとも60%であり、ポリエーテルフラグメントのモル質量は、好ましくは200g/モル〜5000g/モル、特に好ましくは500g/モル〜1500g/モルであり、ポリエーテルグリコールのヒドロキシル基の1つは、エーテル基、好ましくはメチルエーテル基、エチルエーテル基又はブチルエーテル基に転化され、(メタ)アクリル酸若しくは他のオレフィン性不飽和モノカルボン酸によるエステル化によって、又はオレフィン性不飽和アルコール(アリルアルコール又はメタリルアルコール等)によるエーテル化によって、又はヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとジイソシアネートとの付加物による反応を介したウレタン形成によって、他のヒドロキシル基は消費される。ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、芳香族イソシアネート(トルイレンジイソシアネート又はビス(4−イソシアナトフェニル)メタン等)と、200g/モル〜5000g/モルのモル質量のポリエチレングリコールとの付加物、該ポリエチレングリコールと(メタ)アクリル酸とのエステル、及び該ポリエチレングリコールと(メタ)アリルアルコールとのエーテルであるモノマーA3を使用することが特に好ましい。2つ以上のモノマーA3の混合物を使用することもできる。モノマーA1、モノマーA2及びモノマーA3の質量分率は、好ましくはそれぞれ15%〜40%、15%〜45%及び30%〜60%、特に好ましくはそれぞれ20%〜35%、20%〜40%及び35%〜55%、とりわけ好ましくはそれぞれ25%〜30%、25%〜35%及び40%〜50%である。慣例により溶液中で、アルコール(イソプロパノール等)又はエステル(ブチルアセテート等)を溶媒として、またアゾ触媒又はペルオキソ触媒(アゾビスイソブチロニトリル、tert−アミルペルオクトエート又はtert−アミルペルオキシド等)を用いて重合を行う。
【0025】
モノマーA1〜モノマーA3と共に、同様にビニル型であり、即ち同様に少なくとも1つの共重合性オレフィン性不飽和基を分子中に有するいずれかのさらなるモノマーA4を共重合することもできる。これらのモノマーA4はまた、これらのモノマーA4の2つ以上の混合物形態で使用されてもよい。このようなモノマーは好ましくはスチレン、アルキルスチレン、特にメチルスチレン(「ビニルトルエン」)の異性体のいずれか、ビニルナフタレン、オレフィン性不飽和カルボン酸のアルキルエステル、オレフィン性不飽和ジカルボン酸のジアルキルエステル、該酸のヒドロキシアルキルエステル、かかる酸に由来の不飽和アミド及びニトリル、アルキルビニルエーテル、並びにアルキルビニルケトンである。酸性ビニル型モノマー(アクリル酸又はメタクリル酸等)は当然ながらあまり好ましくない。
【0026】
構成成分A及び構成成分Bは、45%〜75%のA及び55%〜25%のB、好ましくは50%〜70%のA及び50%〜30%のB、特に好ましくは55%〜65%のA及び45%〜35%のBの質量比で混合される。
【0027】
顔料は無機顔料及び有機顔料を含む。無機顔料の例としては、二酸化チタン、酸化亜鉛、カーボンブラック、酸化鉄、バナジウム酸ビスマス、ローシェンナ又はローアンバー及びバーントシェンナ又はバーントアンバー、酸化クロムグリーン、カドミウム顔料、クロム顔料等が挙げられる。有機顔料の例としては、フタロシアニン、キナクリドン、キノフタロン、アントラキノン、イソインドリン、ピラントロン、インダントロン、ジオキサジンの誘導体、ジケトピロロピロール、アゾ化合物等が挙げられる。任意に、クレイ、シリカ、タルク、マイカ、ウォラストナイト、木粉等のフィラー顔料を添加してもよい。
【0028】
顔料ペーストは、ペースト樹脂AB、及び無機顔料及び有機顔料から成る群から選択される少なくとも1つの顔料から作製され得る。これは好ましくは、ペースト樹脂ABと、少なくとも1つの顔料とを混合すること、混合物を剪断下で均質化することであって、顔料ペーストを形成する、均質化すること、及び該顔料ペーストと、有機塗料バインダを含む無着色塗料又は白色塗料とを混合することによって行われる。有機塗料バインダは好ましくは、アルキド樹脂、アクリル樹脂、アクリル変性アルキド樹脂、ウレタンアルキド及びウレタン変性アクリル樹脂から成る群から選択される。しかしながら、ポリウレタン樹脂等の他の塗料バインダも、単独、又は上述の1つ又は複数との混合物形態で使用することができる。このようにして作製される顔料ペーストは、水系塗料と又は溶媒系塗料と組み合わせて使用することができ、あらゆる組合せで、高い光沢及び良好な色の濃さを有する有色塗料又は着色塗料を提供する。
【0029】
高い顔料含有量は、多量の溶媒を用いなければ本発明による顔料ペーストにおいて実現することができる。有機顔料を使用する場合、顔料含有量は好適には、5%〜45%、好ましくは25%〜40%の質量分率の範囲をとる。無機顔料を使用する場合、顔料含有量は好ましくは、10重量%より大きく、又はより好ましくは60%よりもさらに大きい質量分率であるものとする。半透明顔料、例えば半透明酸化鉄を使用すれば、顔料含有量は、5%を超える、好ましくは20%を超える、又はさらに30%以上の質量分率をとり得る。
【0030】
所望であれば、本発明による顔料ペーストはまた、消泡剤、艶消剤、沈降防止剤、皮張り防止剤(メチルエチルケトキシム等)、及び/又は他の好適な添加剤を含み得る。
【0031】
本発明はまた、一連のベース塗料からベース塗料を選択し、その後ベース塗料を上記顔料ペーストの1つ又は複数と混合することによって、塗料を着色する方法を対象とする。理論では、単一の透明ベース塗料を用いてあらゆる色を混合することが可能であるが、一般的に、十分な隠ぺい力を有する色を得る着色方式では白色ベース塗料も使用される。
【0032】
所望であれば、種々のグレードの白色ベース塗料を使用してもよい。
【0033】
一般的にはまた、限られた数の事前に着色されたベース塗料を使用して、十分な隠ぺい力を有する混色(miscible colours)の範囲を広げる。所望であれば、高光沢のための別個のベース塗料、又はサテン光沢(satin gloss)塗料を使用してもよい。
【0034】
本発明による顔料ペーストは、多種多様な塗料バインダ樹脂(水系自然乾燥型アルキド樹脂、アクリル樹脂、及びポリウレタン樹脂、並びに溶媒系アルキド樹脂又はアクリル樹脂等)と共に使用することができるため、特に有用である。それらは、良好な光沢及び優れた顔料分散度、並びに色安定性を有する塗料をもたらす。
【0035】
以下の実施例は、実施例中に開示される特徴に限定するよう意図することなく、本発明をさらに例示するものと意図される。
【0036】
実施例中、単位「%」を伴う含有量は全て特に指定のない限り質量分率である。
【0037】
粘度は、23℃、100s−1の剪断速度でISO 3219に従って測定した。固形分(「不揮発分」)の質量分率は、ISO 3251に従って算出した。油含有量は、アルキド樹脂の質量中の油(複数可)の質量分率(慣習的単位「%」)である。
【実施例】
【0038】
実施例1 アルキド樹脂Bの調製
2000g/モルのモル質量を有する929gのモノメトキシポリエチレングリコールと、71gのテトラヒドロフタル酸無水物とを、触媒として1gのトリエチルアミンの存在下で150℃まで、26.5mg/gの一定の酸価に達するまで反応させることによって、付加物を調製した。
【0039】
冷却させた後、644gのこの付加物を、160gのヒマワリ油、連鎖停止剤として72gの安息香酸、100gのフタル酸無水物及び100gのペンタエリスリトールから成る、70mg/gのヒドロキシル価及び3mg/g未満の酸価を有する409gのアルキド樹脂と混合した。樹脂混合物の質量の10%の量のキシレンをこれに添加し、得られた混合物を220℃に加熱し、水を完全に分離し、その後、蒸留してキシレンを除去させた。残った生成物の酸価は2.5mg/g未満である。樹脂の動粘度は、50%強度の水溶液に関して測定した場合9.5Pa・sであった。この粘度は40℃での2週間の貯蔵中でも変化しなかった。
【0040】
実施例2 アクリルコポリマーAの調製
270gのジメチルアミノエチルメタクリレート、50gのブチルアクリレート、及び230gの2-エチルヘキシルアクリレートの混合物と、各々1モルのヒドロキシエチルメタクリレート、トルイレンジイソシアネート及び750g/モルのモル質量の乾燥ポリエチレングリコールモノメチルエーテルを反応させることによって調製された450gの付加物とを、5時間かけて200gのイソプロパノールに溶解した20gのtert−アミルペルオクトエートと同時に、還流条件において窒素ブランケット下で攪拌しながら330gのイソプロパノールに添加した。添加が完了した後1時間この混合物を攪拌し、その後、さらに20gの触媒溶液を添加した。反応が停止し、残渣モノマー濃度が0.3%より低くなったら、減圧下およそ110℃での蒸留によって溶媒を除去した。その後、反応容器に窒素を流し、反応塊を周囲温度まで冷却させた。
【0041】
実施例3 ペースト樹脂の調製
600gの実施例1のアルキド樹脂、及び400gの実施例2のアクリル樹脂を、両方とも樹脂ケトル(resin kettle)に充填した後、混合し、80℃で1時間、均質混合物が得られるまで攪拌した。攪拌は続けたまま加熱を止め、次に、30分かけて1222gの水を添加し、その後、ケトルを周囲温度まで冷却させた。約45%の固形分の質量分率を有する粉砕樹脂の半粘性の透明な溶液が得られた。
【0042】
実施例4 ベースとなる白色塗料の配合
4.1 溶媒系白色アルキド塗料
303gの溶媒系アルキド樹脂((登録商標)Vialkyd AS 6172/55 SD60(Cytec Surface Specialties Austria GmbH)、(登録商標)Shellsol D60(低質量分率(0.1%未満)の芳香族化合物を有する、C10−〜C12−パラフィン及び−ナフテンの混合物)に溶解した、57%の油含有量を有する、ダイズ油をベースとしたアルキド樹脂)、さらに67gの(登録商標)Shellsol D60、及び268gの白色二酸化チタン顔料((登録商標)Kronos 2190(Kronos Titan GmbH))を混合し、室温において30分間ビーズミルで粉砕した後、さらに303gの(登録商標)Vialkyd AS 6172/55 SD60、6.7gの皮張り防止剤(オキシムをベースとした(登録商標)Additol XL 297/100(Cytec Surface Specialties Austria GmbH))、各々16.8gの(登録商標)Octa−Soligen Cobalt 1、(登録商標)Octa−Soligen Calcium 2及び(登録商標)Octa−Soligen Zirconium 6の乾燥剤混合物(金属オクトエート乾燥剤(Borchers GmbH)、数値は、(登録商標)Shellsol D60を溶媒として用いた溶液中の金属オクトエートの質量分率(%)を表す)、並びに1.9gの流展添加剤(flow and leveling additive)(ポリエーテル変性シリコーンをベースとした(登録商標)Additol VXL 4930(Cytec Surface Specialties Austria GmbH))の混合物を用いてレットダウンさせた。得られた白色塗料(およそ1000g)は、上記と同様に測定した場合542mPa・sの粘度を有していた。
【0043】
4.2 水系白色アルキド塗料
395gの水系アルキド樹脂((登録商標)Resydrol AY 586w/38WA、アクリル変性アルキド樹脂(Cytec Surface Specialties Austria GmbH))、及び254gの白色二酸化チタン顔料(親水性処理済の(登録商標)Kronos 2059(Kronos Titan GmbH))、21.5gの組合せ乾燥剤((登録商標)Additol VXW 4940、脱イオン水で50%強度まで希釈された、Co、Ba及びZr化合物をベースとした乾燥剤のエマルジョン(Cytec Surface Specialties Austria GmbH))、1.45gの脱泡剤(液体炭化水素ベース、(登録商標)Additol VXW 6211(Cytec Surface Specialties Austria GmbH))及び5.35gの流展添加剤(ポリエーテル変性シリコーンをベースとした(登録商標)Additol XW 329(Cytec Surface Specialties Austria GmbH))を混合し、室温において30分間ビーズミルで粉砕した後、さらに268gの(登録商標)Resydrol AY 586w/38WA、5.35gの(登録商標)Additol XL 297(上記参照)、24.4gの脱イオン水、及び7.3gの25%強度のアンモニア水溶液の混合物を用いてレットダウンさせた。得られた白色塗料(およそ1000g)は、上記と同様に測定した場合949mPa・sの粘度、及び10%強度の水分散液に関して求めた場合8.5〜9.0のpHを有していた。
【0044】
実施例5 顔料ペーストの調製
実施例3の本発明によるペースト樹脂から下記のように有色顔料ペーストを調製した(構成成分の質量(g))。
【0045】
表1 本発明による顔料ペースト
【表1】

(1)イソチアゾリノンをベースとした防腐剤添加剤((登録商標)Additol VXW 6372(Cytec Surface Specialties Austria GmbH))
(2)液体炭化水素をベースとした脱泡剤添加剤((登録商標)Additol VXW 6211(Cytec Surface Specialties Austria GmbH))
(3)(登録商標)Hostaperm yellow H3G(Pigment Yellow 154)
(4)(登録商標)Hostaperm red E3B(Pigment Violet 19)
(5)(登録商標)Hostaperm violet RL spec(Pigment Violet 23)
(6)(登録商標)Hostaperm Green GG01
【0046】
実施例6 着色塗料の塗工結果
顔料(登録商標)Hostaperm yellow H3G(Pigment Yellow 154)、(登録商標)Hostaperm red E3B(Pigment Violet 19)、(登録商標)Hostaperm violet RL spec(Pigment Violet 23)、及び(登録商標)Hostaperm Green GG01を用いた種々の色の、商業用の水系顔料ペースト((登録商標)Colanyl(Clariant International Ltd.))及び溶媒系顔料ペースト((登録商標)Hostatint(idem))と、商業用グレードのものと同じ顔料から成るが、実施例3のペースト樹脂を用いた実施例5の顔料ペーストとを、実施例4.1の溶媒系白色アルキド塗料及び実施例4.2の水系白色アルキド塗料から着色塗料を調製することによって比較した。
【0047】
顔料ペースト5.1〜顔料ペースト5.4、及び比較のために商業用の水系顔料ペースト及び溶媒系顔料ペーストを着色ペーストとして使用し、以下の配合表に従い実施例4.1及び実施例4.2の白色塗料をベースとした有色塗料を調製した。
【0048】
表2 塗料の調製(顔料ペーストのデータ及び顔料ペーストの質量(g))
【表2】

【0049】
着色ペースト5.1、着色ペースト5.2、着色ペースト5.3及び着色ペースト5.4をそれぞれ用いて、塗料6.1、塗料6.4、塗料6.6及び塗料6.9を調製した。水系顔料ペーストである(登録商標)Colanyl yellow H3G100、(登録商標)Colanyl red 3B130、(登録商標)Colanyl violet RL131、及び(登録商標)Colanyl green GG131をそれぞれ用いて、塗料6.2C、塗料6.5C、塗料6.7C及び塗料6.10Cを調製し、溶媒系顔料ペーストである(登録商標)Hostatint yellow AH3G100、(登録商標)Hostatint violet ARL 100、及び(登録商標)Hostatint green GG30をそれぞれ用いて、塗料6.3H、塗料6.8H及び塗料6.11Hを調製した。「1」又は「2」は、152gの溶媒系(sb)白色塗料4.1又は162gの水系(wb)白色塗料4.2を用いて塗料を調製したかに応じて、塗料の名称に接尾辞としてつける。
【0050】
ガラスパネル(10cm×15cm)上において150μmの湿潤膜強度でアプリケータフレーム(BYK-Gardner製のPA−2056)を用いてこれらの塗料から調製し、24時間室温(21℃)で乾燥させた塗膜に関して、光沢及び色の濃さを測定した。結果を表3にまとめる。光沢は室温(21℃)及び50%相対湿度でBYK製のmicro−triglossメータを用いて測定した。最大の着色力を示す「1」〜低着色力を示す「5」で色の濃さを評価した。
【0051】
表3 塗料試験の結果

【表3】

【0052】
本発明によるペースト樹脂で作製される顔料ペーストは、水系白色塗料と組み合わせて、商業用の水系顔料ペーストで得られる結果に匹敵する好ましい結果をもたらすのに対し、同じ水系塗料と組み合わせた商業用の溶媒系顔料ペーストは光沢及び色の濃さが低いことが、この表から見ることができる。
【0053】
他方、本発明によるペースト樹脂で作製される顔料ペーストはまた、溶媒系白色塗料と組み合わせて、商業用の溶媒系顔料ペーストで得られる結果に匹敵する好ましい結果をもたらすのに対し、同じ溶媒系塗料と組み合わせた商業用の水系顔料ペーストは光沢及び色の濃さが低い。
【0054】
したがって、本発明によるペースト樹脂は、市販の現行の技術水準の同じクラスの顔料ペーストと同様に実施する場合には共に、一般的な相溶性に関する矛盾を伴うことなく、溶媒系塗料及び水系塗料の両方と例外的に良好な相溶性を有する。同様の結果は、溶媒系アクリル塗料バインダ及び水系アクリル塗料バインダをベースとして顔料塗料を作製した場合に見出された。したがって、水系アルキド塗料又は溶媒系アルキド塗料と共に用いられ、また水系アクリル塗料又は溶媒系アクリル塗料と共に用いられる、本発明によるペースト樹脂をベースとする着色ペーストを1つだけ調製しておけば塗料の配合に十分であり、このため、指定の塗料バインダの各々に対して異なる顔料ペーストをストックしておく必要が無くなる。
【0055】
また、本発明によるペースト樹脂で調製される顔料ペーストは、先に記載した無機顔料材料及び有機顔料材料と組み合わせて、塗料バインダとして、アクリル化アルキド樹脂をベースとしたハイブリッド樹脂に、並びにウレタンアルキド樹脂及びウレタンアクリル樹脂に使用することができることが見出された。
【0056】
塩基性アクリルコポリマー樹脂におけるクラスA3のモノマーの重要な効果は、このクラスのモノマーA3を含まない比較例から最も良く理解することができる。
【0057】
実施例7 比較用アクリルコポリマー樹脂からの顔料ペースト
7.1 比較用アクリル樹脂
250gのジメチルアミノエチルメタクリレート、650gのn−ブチルアクリレート、及び100gのヒドロキシエチルアクリレートの混合物を、70gのメトキシプロパノールに溶解した20gのアゾビス−イソバレロニトリルの溶液と共に8時間かけて、85℃に維持された160gのメトキシプロパノールを充填したガラス容器に添加し、容器の内容物を窒素ブランケット下で攪拌した。添加の完了後、反応混合物をもう2時間攪拌し、さらに1g量の同じラジカル開始剤を添加し、10gのメトキシプロパノールに溶解させ、反応混合物をもう2時間攪拌した。その後、さらに20gのメトキシプロパノールを添加して、混合物を室温まで冷却させた。
【0058】
7.2 アルキド樹脂とアクリル樹脂との混合物
129gの実施例7.1のアクリル樹脂溶液をガラス容器に移し、減圧下140℃における蒸留によって溶媒メトキシプロパノールを除去した。次に、容器に窒素を流し、100℃未満に冷却後、133gの実施例1のアルキド樹脂を添加し、80℃で1時間アクリル樹脂と十分に混合させた。加熱を止めることによって、及び313gの完全な脱イオン水を30分かけて添加することによって、攪拌しながら混合物を冷却させた。その後、容器及びその内容物を周囲温度にまで冷却させた。約45%の固形分の質量分率を有する、樹脂と水との不均質混合物が得られた。
【0059】
7.3 顔料ペーストの調製
30.1gの実施例7.2の混合物のサンプルを、均質化直後且つ相分離前に取り出し、27.7gの脱イオン水、0.2gのイソチアゾリノンベースの防腐剤((登録商標)Additol VXW 6372(Cytec Surface Specialties Austria GmbH))、液体炭化水素をベースとした2gの脱泡剤((登録商標)Additol VXW 6211(Cytec Surface Specialties Austria GmbH))、及び40gのキナクリドンレッド顔料(Pigment Violet 19、(登録商標)Hostaperm Red E3B(Clariant Deutschland GmbH))と混合させた。この混合物を室温(21℃)において30分間ビーズミルで均質化させた。
【0060】
7.4 着色塗料の調製
5gの実施例7.3の顔料ペーストを152gの実施例4.1の溶媒系白色アルキド塗料に添加することによって着色塗料を作製した。ガラスパネル(10cm×15cm)上において150μmの湿潤膜強度でアプリケータフレーム(BYK-Gardner製のPA−2056)を用いてこれらの塗料から調製し、24時間室温(21℃)で乾燥させた塗膜に関して、光沢及び色の濃さを測定した。結果を表4にまとめる。光沢は室温(21℃)及び50%相対湿度でBYK製のmicro−triglossメータを用いて測定し、最大の着色力を示す「1」〜低着色力を示す「5」で色の濃さを評価した。
【0061】
表4 比較用アクリル樹脂から作製したペースト樹脂を用いた結果
【表4】

【0062】
水系アルキド塗料(実施例4.2の白色塗料)を実施例7.3の顔料ペーストと組み合わせて用いた場合にも同様の結果が得られた。
【0063】
親水性に改質された塩基性アクリル樹脂をペースト樹脂の一成分として、本発明によるアルキド樹脂と一緒に使用する場合に、着色塗料における光沢及び色の濃さが顕著に改善することがこの比較例から示される。この有利な効果は溶媒系塗料及び水系塗料の両方に見られる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水希釈性アルキド樹脂(B)と塩基性アクリルコポリマー樹脂(A)との混合物であるペースト樹脂(AB)であって、該塩基性アクリルコポリマー樹脂(A)が、少なくとも1つの共重合性オレフィン性不飽和をそれぞれ有する少なくとも3種類のビニルモノマーのコポリマーであり、該ビニルモノマーが、少なくとも1つのアミノ基含有ビニル型モノマー(A1)、アルキル基中に1個〜13個の炭素原子を有する直鎖状又は分岐状アルキル(メタ)アクリレートから成る群から選択される少なくとも1つのモノマー(A2)、及びポリエーテルグリコールに由来する部位を有する少なくとも1つの親水性ビニルモノマー(A3)を含み、該ポリエーテルグリコールが、ポリエチレングリコール、又はオキシアルキレン基の全質量中のオキシエチレン基の質量分率が少なくとも60%であるエチレングリコールとプロピレングリコールとの混合エーテルであり、前記ポリエーテルグリコールのヒドロキシル基の1つが、エーテル基に転化し、オレフィン性不飽和モノカルボン酸によるエステル化によって、又はオレフィン性不飽和アルコールによるエーテル化によって、又はヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとジイソシアネートとの付加物による反応を介したウレタン形成によって、他のヒドロキシル基が消費される、ペースト樹脂。
【請求項2】
前記水希釈性アルキド樹脂(B)が、0.2mg/g〜5mg/gの酸価を有する、請求項1に記載のペースト樹脂(AB)。
【請求項3】
前記水希釈性アルキド樹脂(B)が、アルキド樹脂(Ba)と、ポリオキシエチレングリコールのC−〜C−モノアルキルエーテル(Bb1)、又はエチレングリコールとプロピレングリコールとの混合エーテルのC−〜C−モノアルキルエーテル(Bb2)、又はそれらの混合物と、脂環式ジカルボン酸の無水物(Bb3)との付加物(Bb)との縮合生成物をベースとし、前記水希釈性アルキド樹脂(B)中、Bb1及びBb2の物質量の合計と、Bb3の物質量との比率が、0.95モル:1.05モル〜1.05モル:0.95モルである、請求項1に記載のペースト樹脂(AB)。
【請求項4】
モノマー(A1)の質量分率が15%〜40%であり、モノマー(A2)の質量分率が15%〜45%であり、モノマー(A3)の質量分率が30%〜60%である、請求項1に記載のペースト樹脂(AB)。
【請求項5】
前記モノマー(A3)が、ポリエチレングリコールモノエーテルと、トルイレンジイソシアネートと、ヒドロキシエチルメタクリレートとの反応生成物である、請求項1に記載のペースト樹脂(AB)。
【請求項6】
前記アルキド樹脂(Ba)が、1分子当たり2つ以上のヒドロキシル基を有する1つ又は複数のポリオール(Ba1)と、1つ又は複数の多塩基酸(Ba2)と、1つ又は複数のトリグリセリド油(Ba4)を代わりに用いてもよく又はこれと一緒に混合されていてもよい1つ又は複数の脂肪酸(Ba3)との共縮合によって生成される、請求項3に記載のペースト樹脂(AB)。
【請求項7】
構成成分(A)及び構成成分(B)が、45%〜75%のAと、55%〜25%のBとの質量比で混合される、請求項1に記載のペースト樹脂(AB)。
【請求項8】
請求項1に記載のペースト樹脂(AB)と、無機顔料及び有機顔料から成る群から選択される少なくとも1つの顔料とを含む、顔料ペースト。
【請求項9】
請求項1に記載のペースト樹脂を使用する方法であって、前記ペースト樹脂(AB)を少なくとも1つの顔料と混合すること、混合物を剪断下で均質化することであって、顔料ペーストを形成する、均質化すること、及び前記顔料ペーストと、有機塗料バインダを含む無着色塗料又は白色塗料とを混合することを含む、ペースト樹脂を使用する方法。
【請求項10】
前記塗料バインダが、アルキド樹脂、アクリル樹脂、アクリル変性アルキド樹脂、ウレタンアルキド、及びウレタン変性アクリル樹脂から成る群から選択される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記塗料が水系塗料である、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記塗料が溶媒系塗料である、請求項9に記載の方法。

【公表番号】特表2011−521016(P2011−521016A)
【公表日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−504451(P2011−504451)
【出願日】平成21年4月15日(2009.4.15)
【国際出願番号】PCT/EP2009/054481
【国際公開番号】WO2009/127668
【国際公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【出願人】(505456584)サイテク サーフェィス スペシャルティーズ オーストリア ゲーエムベーハー (16)
【Fターム(参考)】