説明

汚染および表面分解を最小限に抑えるための層間絶縁膜の表面改質

【課題】汚染および表面分解を最小限に抑えるための層間絶縁膜の表面改質
【解決手段】半導体システムは、誘電体層(104)を提供することと、誘電体層(104)内に、誘電体層(104)の上部に露出される導体(108)を提供することと、露出された導体(108)をキャッピングすることと、誘電体層(104)の表面を改質することであって、導体(108)を低pH溶液に溶解させて誘電体層(104)から導体(108)イオンを洗浄すること、導体(108)イオン下方の誘電体層(104)を溶解させること、機械的に強化された洗浄を行うこと、または誘電体層(104)上に疎水性層(800)を化学吸着させることを含むことと、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願についての説明]
本出願は、2006年6月9日に出願された米国仮特許出願第60/804,425号の利益を主張するものである。
本発明は、概して、半導体システムに関するものであり、より具体的には、高度な半導体製造システムおよび半導体デバイスシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスは、携帯電話、ラジオ、およびテレビなどの広範囲の製品に使用されている。半導体デバイスは、絶縁材料に埋め込まれた導電性の配線によって接続された集積回路を含む。
【0003】
半導体デバイスの小型化および低誘電率(低k)層間絶縁膜(ILD)絶縁材料の使用にともない、高信頼性の半導体デバイスを得ることがますます困難になっている。特に、銅(Cu)配線と低kILD材料との境界では、リーク、エレクトロマイグレーション、ストレスマイグレーション、破壊電圧、および絶縁膜経時破壊(TDDB)などのかたちで信頼性の問題が生じる。
【0004】
Cuは、シリコン(Si)内に容易に拡散して誘電体材料の分解を引き起こす。Cuは、また、酸化および腐食も受けやすい。したがって、Cuの酸化およびILD内へのCuのマイグレーションを阻止するためのパッシベーション層として、窒化シリコン(SiN)または炭化シリコン(SiC)などの材料のキャッピング層がCu表面上に配される。しかしながら、Cuとキャッピング層との境界は、Cuとキャッピング層との間の接着の弱さゆえに、やはり、主要な不良経路の1つになる。
【0005】
誘電体層は、製造プロセス(例えばCuの化学的機械的研磨(CMP)、またはコバルトタングステンリン(CoWP)などの金属性キャッピング層の無電解めっき)において表面汚染を受けやすい。これらの汚染物質は、とりわけストレス下(高温および高電場)において帯電したり移動したりする。これらの汚染物質の移動性は、境界に沿って移動するときに、高いリーク電流を発生させ、誘電体材料を損傷させることがある。
【0006】
低k材料(とりわけ多孔性低k材料)は、酸化シリコン(SiO2)誘電体材料より低密度であり、機械的特性が弱いすなわち化学結合が壊れやすい。
【0007】
湿式化学的洗浄プロセスまたは酸化的プラズマ洗浄プロセスによって引き起こされる損傷は、ダングリングボンド密度が増大すること、および末端のシリコン−メチル(Si−CH3)結合がより親水性の水酸化シリコン(Si−OH)基に変換されることとして現れる。これらの変換は、結果として、ウェッティング接触角の減少、吸湿の増大、k値の増加、およびリーク電流の悪化をもたらす。
【0008】
周辺の誘電体材料内へのCuのマイグレーションを阻止するために、Cuは、バリア層に囲われる。湿分の蓄積の増大は、バリアとCuとの境界におけるバリア層およびCuの酸化を促進する恐れがある。このようなプロセスは、TDDB寿命を縮めることが知られている。
【0009】
多孔性の低k誘電体は、よりいっそう吸湿に対して敏感であるので、その絶縁破壊性能に対する懸念は増大する。
【0010】
まとめると、デバイスの信頼性に影響するいくつかの要因として、Cuとキャッピング層との境界の性質、誘電体材料の表面汚染、機械的損傷に起因する低k誘電体の分解、疎水性から親水性への表面改質、および吸湿が挙げられる。
【0011】
銅相互接続上に金属/金属合金キャッピング層を適用してデバイス信頼性を高めようとして、多くの試みがなされてきた。しかしながら、境界信頼性の問題に関連した解決策は、当業者によって長らく模索されてはきたものの、長らく成し遂げられないままであった。
【発明の概要】
【0012】
本発明は、半導体システムを提供する。半導体システムを提供することは、誘電体層を提供することと、誘電体層内に、誘電体層の上部に露出される導体を提供することと、露出された導体をキャッピングすることと、誘電体層の表面を改質することであって、導体を低pH溶液に溶解させて誘電体層から導体イオンを洗浄すること、導体イオン下方の誘電体層を溶解させること、機械的に強化された洗浄を行うこと、または誘電体層上に疎水性層を化学吸着させることを含むことと、を含む。
【0013】
本発明の特定の実施形態は、上記に追加のまたは上記に代わるその他の利点を有する。これらの利点は、添付の図面を参照してなされる以下の詳細な説明を読むことによって、当業者に明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1の実施形態にしたがったCMPステップ後における半導体相互接続の拡大図である。
【図2】本発明の第1の実施形態にしたがった酸化物除去ステップ後における半導体相互接続の拡大図である。
【図3】本発明の第1の実施形態にしたがった疎水性層形成ステップ後における半導体相互接続の拡大図である。
【図4】本発明の第1の実施形態にしたがったキャッピングステップ後における半導体相互接続の拡大図である。
【図5】本発明の第2の実施形態にしたがったCMPステップ後における半導体相互接続の拡大図である。
【図6】本発明の第2の実施形態にしたがった酸化物除去ステップ後における半導体相互接続の拡大図である。
【図7】本発明の第2の実施形態にしたがったキャッピングステップ後における半導体相互接続の拡大図である。
【図8】本発明の第2の実施形態にしたがったデポジション後の処理ステップ後における半導体相互接続の拡大図である。
【図9】本発明の一実施形態を実施するために使用される半導体システムを示している。
【図10】本発明の別の一実施形態にしたがった半導体システムの流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下の実施形態は、当業者による本発明の作成および使用を可能にするのに十分な詳細さで説明される。本開示に基づいてその他の実施形態が明らかになり、また、本発明の範囲から逸脱することなくシステム、プロセス、または機械的変更がなされてよい。
【0016】
以下の説明では、本発明の完全な理解を可能にするために、多くの詳細が特定されている。しかしながら、当業者ならば明らかなように、本発明は、これらの詳細をともなわなくても実施可能である。また、本発明を不必要に不明瞭にすることを避けるため、周知の回路、システム構成、およびプロセスステップの一部は詳細に開示されない。
【0017】
同様に、システムの実施形態を示した図面は、半図式表示であって、正確な縮尺ではなく、特に、一部の寸法は、表示の明瞭化を目的として、大幅に誇張して図面に示されている。
【0018】
また、一部の特徴を共有している複数の実施形態を開示および説明するにあたり、その図解、説明、および理解を明確になおかつ容易にするために、同様のおよび類似の特徴は、通常、類似の参照符号を用いて説明される。実施形態は、説明の便宜上、第1の実施形態、第2の実施形態などのように番号を付されているが、これは、その他のいかなる意義を有することも、あるいは本発明を制限することも意図していない。
【0019】
解説を目的として、本明細書において使用される「水平」という用語は、集積回路の向きにかかわらずその面または表面に対して平行な平面として定められる。「鉛直」という用語は、今まさに定義された水平に対して垂直な方向を表す。「上方」、「下方」、「底部」、「上部」、「側部」(「側部壁」など)、「より高い」、「より低い」、「上側」、「〜の上」、および「〜の下」などの用語は、水平面を基準に定められる。「〜上」という用語は、要素間に直接的な接触があることを意味する。
【0020】
本明細書において使用される「処理」という用語は、説明される構造を形成するにあたって必要とされる材料のデポジション、パターン形成、露光、現像、エッチング、洗浄、成形、および/または材料の除去を含む。
【0021】
本明細書において使用される「システム」という用語は、用語が使用される文脈にしたがって、本発明の方法および装置を意味し表すものとする。
【0022】
本発明は、リーク電流の増大、電圧破壊の低下、および絶縁膜経時破壊の短縮を結果としてもたらすILD汚染および表面分解を最小限に抑えるまたは排除することによって、誘電体に起因する信頼性問題を解決することに関する。
【0023】
Cu相互接続上にキャッピング層を形成するプロセスフローは、一般に、
・酸化銅および強く結合した有機化合物をともなわない表面を確立するために、銅表面を洗浄するステップであって、この同じプロセスステップは、誘電体表面から汚染物質を除去する働きもする、ステップ、
・ウエハ表面から洗浄化学剤をすすぎ落とすステップ、
・銅特徴上に金属/金属合金キャップを選択的にデポジションするステップ、
・デポジションに起因するILD汚染を最小限に抑えるためなおかつ/もしくは膜の耐腐食性を助長するために、金属/金属合金キャップおよび/もしくはILDの後処理を行うステップ、
・ウエハ表面を脱イオン水ですすぐステップ、ならびに/またはウエハを乾燥させるステップ、
を含みうるいくつかのステップからなる。
【0024】
本発明の実施形態は、概して、上述されたプロセスフローの所定の時点にプロセスステップを追加する。
【0025】
1. Cu構造上に金属/金属合金キャップを形成した後に、様々な乾燥方法によって湿分を除去するステップ。
【0026】
銅相互接続上にキャッピング層を選択的にデポジションした直後に用いられるスピンすすぎ/乾燥技術は、湿分を完全に除去することができない。湿分の大幅な低減は、以下のプロセスの1つを使用して実現することができる。
a. キャッピング層のデポジション後における、
i. 不活性(N2など)環境内もしくは真空環境内におけるベーク、または
ii. 高温の不活性ガスを使用した乾燥
による熱処理。
上記の処理は、ともに、摂氏約30度から約150度までの温度で実施される。
b. 金属キャップ層のデポジション後に実施される、超臨界CO2を使用した臨界点乾燥(臨界点乾燥は、気体の密度と液体の密度とを等しく維持して気液界面を回避するために、亜臨界流体から超臨界流体までの溶液を使用する)。
c. 金属キャップ層のデポジション後に実施される、無水アルコールを非限定的な例として含む脱水剤を使用した乾燥。
d. ジ−t−ブチルジカーボネートおよび無水酢酸などを非限定的な例として含む水反応性の化学剤を使用した乾燥。これらの化合物と水との反応は、式1,2によって簡単に説明される。
(CH3)3COCOOCOOC(CH3)3 + H2O = 2CO2 + 2(CH3)3COH
無水酢酸については、
CH3COOCOCH3 + H2O = 2CH3COOH
これらの開始化学剤のさらなる利点は、それらの反応生成物が気体化合物または揮発性化合物のいずれかであることである。
このプロセスは、金属キャップ層デポジションプロセスの全手順の最終乾燥段階で実施される。より具体的には、金属/金属合金キャップデポジションプロセス後、ウエハは、概して、単純な化学的すすぎによって、または化学的すすぎをスクラブと組み合わせ、化学剤を含むもしくは含まない脱イオン水を使用して再びすすぐことによって、後洗浄され、ウエハは、次いで、非接着性の水を除去するためにスピン乾燥される。ウエハ上に水反応性の化学剤が導入されるのは、この段階の後である。水反応性の液体をウエハ表面全体に分布させた後、適切な反応時間を経た後に、ウエハはスピン乾燥され、プロセスは終了する。水反応性の液体の反応は、反応時間および反応収率を変更するために、室温または高温で実施することができる。
【0027】
これらのプロセスは、プロセスフローのごく最終的なステップ、すなわち乾燥のステップとして適用される。
【0028】
2. Cu構造上に金属キャップまたは金属合金キャップを形成した直後に、
a. プロセスフローの乾燥ステップの後に導入されるプラズマ(例えばAr、N2、NH3、H2など)洗浄、
b. プロセス手順の最終ステップとしての超臨界CO2乾燥、
c. i. 錯化(ヒドロキシエチルエチレンジアミンテトラ酢酸(HEDTA)やシアン化物などの化学剤を使用した発熱プロセスにおいて結合を形成すること)もしくは
ii. ILD表面上の金属化合物の電荷およびILDの表面電荷を変化させること(すなわち、低pH溶液(pH<2)は、表面および金属化合物をともに正に帯電させ、後者は、金属イオンに結合した化合物をプロトン化して金属化合物/錯体を分解することによって実現される)
を通じて誘電体表面から金属イオンを除去すること、
d. ILD上に金属が形成されている場合にそれを低pH溶液に溶解させること、
e. ILDを溶解させて汚染物質を剥離させること、
f. 上記を組み合わせること、または
g. 上記の任意を機械的に強化された洗浄(例えばスクラブ)と組み合わせること、
によって表面汚染を除去するステップ。
【0029】
一実施形態では、湿式洗浄の調合は、キャッピング層からの金属/金属合金の除去を最小限に抑えるために、腐食防止剤および/または脱酸素剤も含むことが望ましい。別の一実施形態では、湿式洗浄プロセスは、酸素を奪われた大気(体積百分率にしてO2<20%)内で実施される。
【0030】
プロセスc,d,eは、キャッピングプロセスの後処理段階にも含まれる。
【0031】
3. Cu構造上に金属/金属合金キャップを形成する直前(ILD上)または直後(ILD、金属キャップ、もしくは両者)に、疎水性層によって表面改質を行うステップ。この疎水性層は、誘電体上もしくは金属/金属合金キャップ上に選択的に化学吸着する、または金属キャッピング層(CoWP、CoWBなど)および誘電体表面の両方を覆うことが可能である。
【0032】
このような疎水性層は、非限定的な例として、別の官能基を通して基板に結合された後に表面上に保持される少なくとも1つの無極性基を含有したシラン、または1つもしくは複数の疎水性基すなわちアルキルもしくはアリルの長鎖に結合されるその他の無機アニオンを使用して、形成することができる。シラン上の反応性官能基の非限定的な例として、Si−OR、Si−X、またはSi−NH−Si(ここで、Rはアルキル基またはアリル基であり、Xはハロゲンである)が挙げられる。
【0033】
上記の分類には直接含まれないが疎水性層の形成に使用することができるさらに別のグループのシランは、環状アザシランである。
【0034】
非シラン化合物の一部の例は、リン酸アルキルまたはホスホン酸アルキルである。表面反応性の官能基は、キャッピングプロセスの最中および後に表面上に保持されるのに十分な強さで表面に結合しなければならない。
【0035】
キャッピングプロセスに先立って(すなわちCu構造上に金属キャップまたは金属合金キャップを形成することに先立って)使用される場合は、ILDはもちろん埋め込まれたCu構造も、ともに、洗浄する必要がある。洗浄は、Cu構造上にシラン層が形成されることを回避するために、銅構造から酸化銅を除去することが好ましいとされる。(アミンやチオールなど結合性の強い基をシラン化合物が含まない場合は、)酸化物を含まない銅に対するシランの結合が弱いので、シラン層の形成は、誘電体領域に限定される。
【0036】
このプロセスは、疎水性層を形成するので、水中でプロトン化/脱プロトン化反応または水素結合を経るいかなる官能基の使用も推奨されない。水に対して非感受性である好ましい官能基は、アルキル、アリル、またはそれらの誘導体であり、このうち1つまたは複数の(または最終的には全ての)水素原子は、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素などのハロゲン原子に置換され、なかでも、フッ素が最も好ましいとされる。
【0037】
層は、シラン蒸気(揮発性シランの場合)またはシラン溶媒に基板を曝露することによって形成することができる。溶媒は、湿分に対して最も感受性のシランを含有するエチルアルコール、i−プロパノール、1−メチル−2−ピロリジノン、もしくはクロロホルム、または加水分解に対して低感受性のシランやホスホン酸アルキルおよびリン酸アルキルの水溶液を、非限定的な例として含む。加水分解に対して低感受性のシランやホスホン酸アルキルおよびリン酸アルキルなどの後者の化合物は、しかしながら、非水溶液にも適用することができる。
【0038】
また、基板は、もし必要であれば、いかなる溶媒も使用せずにシラン化合物に直接曝露することができる。曝露は、室温で実施されることが好ましいが、層の厚さおよび架橋結合を制御するために、より低いまたはより高い温度を使用することもできる。表1は、様々なタイプの誘電体に対するシラン処理によって得られた結果を示している。
【0039】
【表1】

【0040】
詳述された上記のプロセスから形成された疎水性層は、プロセス後の吸湿に抵抗するバリアとしても機能することができる。例えばストレージの最中におけるこのような吸湿は、キャッピング層の酸化および腐食を引き起こし、これは、最終的には、ILD汚染の増大、その結果としてのリーク電流の増加、電圧破壊の悪化、およびTDDB性能の低下をもたらす。また、拡散に対抗するキャッピング層のバリア性能もまた、腐食によって悪影響を及ぼされる。
【0041】
概述された上記の疎水性層は、実際のキャッピング層のデポジション前、キャッピング層の形成直後(以下を参照せよ)、または後処理の一部として形成することができる。
【0042】
4. 疎水性層を形成する成分をデポジション溶液浴に含ませることによって表面を改質するステップ。
【0043】
上述された方法のあらゆる組み合わせが実用的である。応用は、例としてCu相互接続について論じられるが、Cu相互接続に限定されない。
【0044】
実施例1:
パターン形成されたウエハが、表面から酸化銅を除去するために洗浄液に曝露され、次いで、すすがれ乾燥される。次いで、ウエハは、室温で300秒間にわたってトルエントリメトキシシランに曝露され、続いて、i−プロパノールおよび脱イオン水ですすがれる。これらのステップの後、ウエハは、さらなる洗浄ステップを経るか、あるいは無電解デポジションおよび必要に応じた後続の後洗浄を施されるかして、次いで、すすがれ乾燥される。このようにして得られた表面は、たとえ全デポジションプロセス後でも、強い疎水性を保持している。大抵の場合、表面の接触角は、未処理ウエハよりも、シラン処理のフルプロセス後のほうが大きくなる。シラン処理がない場合は、接触角は、未処理ウエハのそれより大幅に小さい。この主張は、酸化シリコン、またはBlack Diamondなどのその他の酸化シリコン含有誘電体材料についても有効である。
【0045】
次に、図1を参照すると、本発明の第1の実施形態にしたがったCMPステップ後における半導体相互接続100の拡大図が示されている。
【0046】
半導体ウエハ102は、シリコン、ガリウムヒ素、ダイヤモンドなどの材料で形成されてよい。半導体ウエハ102は、トランジスタなどの半導体素子をその中および上に形成されるように処理された。
【0047】
半導体ウエハ102上には、ILDなどの誘電体層104がデポジションされた。誘電体層104は、酸化シリコン(SiOx)、テトラエトキシシラン(TEOS)、ボロフォスフォシリケート(BPSG)ガラスなどの、誘電率が4.2から3.9までの誘電体材料、またはフッ素化テトラエトキシラン(FTEOS)、水素シルセスキオキサン(HSQ)、ベンゾシクロブテン(BCB)などの、誘電率が3.9未満の低誘電率の誘電体材料で形成される。超低誘電率の誘電体材料は、誘電率が2.5未満の誘電体材料である。このような材料の例は、市販のTeflon、Teflon-AF、Teflonマイクロエマルション、ポリミドナノフォーム、シリカエーロゲル、シリカキセロゲル、およびメソ多孔性シリカを含む。
【0048】
誘電体層104は、バリア層106で裏打ちされたチャネルまたはビアを内部に形成されるように処理された。バリア層106は、タンタル(Ta)、窒化タンタル(TaN)、チタン(Ti)、タングステン(W)、それらの合金、およびそれらの化合物などの材料で形成される。
【0049】
バリア層106は、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、金(Au)、銀(Ag)、それらの合金、およびそれらの化合物などの導体108で満たされる。
【0050】
半導体相互接続100は、CMPを施され、導体108は、酸化され酸化物層110を形成した。導体108が銅である一実施形態では、酸化物層110は、酸化銅である。
【0051】
次に、図2を参照すると、本発明の第1の実施形態にしたがった酸化物除去ステップ後における半導体相互接続100の拡大図が示されている。
【0052】
酸化物除去ステップは、図1の酸化物層110を除去する。
【0053】
次に、図3を参照すると、本発明の第1の実施形態にしたがった疎水性層形成ステップ後における半導体相互接続100の拡大図が示されている。
【0054】
疎水性層300は、一実施形態では、シラン層であってよい。疎水性層300は、その性質ゆえに、バリア層106上や導体108上には形成されず、さらなる処理の最中に保持されるように誘電体層104に強く結合する表面反応性官能基を有する。
【0055】
次に、図4を参照すると、本発明の第1の実施形態にしたがったキャッピングステップ後における半導体相互接続100の拡大図が示されている。
【0056】
次いで、バリア層106上および導体108上に、キャッピング層400がデポジションされる。キャッピング層400は、無電解デポジションによってデポジションされたコバルト(Co)、コバルトタングステンリン(CoWP)、コバルトタングステンボロン(CoWB)、コバルトタングステンリンボロン(CoWPB)などの金属または金属化合物であってよい。
【0057】
実施例2:
キャッピング層がデポジションされ、デポジション溶液を除去するためにウエハ表面がすすがれた後、ウエハは、表面から汚染物質を除去するためのスクラブを施される。スクラブ溶液は、腐食防止剤(すなわちトルオールトリアゾール、ベンゾトリアゾールなどのトリアゾール化合物)、脱酸素剤(すなわちL−アスコルビン酸)、および洗浄溶液のためのpH調整剤としても機能する錯化剤を含有している。このようなpH調整剤の1つは、シュウ酸である。この溶液のpHは、1.5から2.0までの間である。防止剤の濃度は、0.1〜10000ppmであり、最も好ましくは100〜2000ppmである。脱酸素剤の濃度は、0〜10000ppmであり、最も好ましくは1000〜5000ppmである。シュウ酸の濃度は、2〜50g/L、最も好ましくは5〜15g/Lである。
【0058】
本発明の実施形態にしたがった方法のステップは、以下である。
1. Cu構造上に金属キャップまたは金属合金キャップを形成した後に、
a. CuのCMPとキャッピング層のデポジションとの間における、
i. 不活性(N2、Arなど)環境内もしくは真空環境内におけるベーク、もしくは
ii. 高温の不活性ガスを使用した乾燥
による熱処理、
b. 超臨界CO2を使用した臨界点乾燥、
c. 無水アルコールを非限定的な例として含む脱水剤を使用した乾燥、または
d. 水反応性の化学剤を使用した乾燥、
などの様々な乾燥方法によって湿分を除去するステップ。
2. Cu構造上に金属キャップまたは金属合金キャップを形成した後に、
a. プラズマ(例えばAr、N2、NH3、H2など)洗浄、
b. 超臨界CO2表面乾燥、
c. i. 錯化(例えばHEDTA、シアン化物など)もしくは
ii. ILD表面上の金属化合物の電荷およびILDの表面電荷を変化させること
を通じて誘電体表面から金属イオンを除去すること、
d. 金属を低pH溶液に溶解させること、
e. ILDを溶解させて汚染物質を剥離させること、
f. 上記を組み合わせること、または
g. 上記の任意を機械的に強化された洗浄(例えばスクラブ)と組み合わせること、
によって表面汚染を除去するステップ。
3. Cu構造上に金属/金属合金キャップを形成する前(ILD上)または後(ILD、金属キャップ、もしくは両者)に、多官能基シラン(少なくとも1つの官能基が無極性であり、疎水性層形成プロセスの最中および後も原型をとどめる一方で、もう一方の1つもしくは複数の基は、基板と反応してシランを表面に結合させる)、または疎水性官能基とキャッピングプロセスの最中および後に表面上に保持されるのに十分な強さで表面に結合する少なくとも1つの無機酸基とからなる任意のハイブリッド化合物を使用して、疎水性層を形成することによって表面改質を行うステップ。
4. 疎水性層を形成する成分をデポジション溶液浴に含ませることによって表面改質を行うステップ。
【0059】
上記の方法のあらゆる組み合わせが本発明の一実施形態の一部である。応用は、例としてCu相互接続について論じられるが、Cu相互接続に限定されない。
【0060】
次に、図5を参照すると、本発明の第2の実施形態にしたがったCMPステップ後における半導体相互接続100の拡大図が示されている。構造は、図1の場合と同じである。
【0061】
次に、図6を参照すると、本発明の第2の実施形態にしたがった酸化物除去ステップ後における半導体相互接続100の拡大図が示されている。構造は、図2の場合と同じである。
【0062】
次に、図7を参照すると、本発明の第2の実施形態にしたがったキャッピングステップ後における半導体相互接続100の拡大図が示されている。
【0063】
次いで、バリア層106上および導体108上に、キャッピング層700がデポジションされる。キャッピング層700は、無電解デポジションによってデポジションされるコバルト(Co)またはコバルトタングステンリン(CoWP)などの金属または金属化合物であってよい。
【0064】
次に、図8を参照すると、本発明の第2の実施形態にしたがったデポジション後の処理ステップ後における半導体相互接続100の拡大図が示されている。
【0065】
疎水性層800は、一実施形態では、シラン層であってよい。疎水性層800は、キャッピング層700の上に形成され、さらなる処理の最中も保持されるように誘電体層104と強く結合する表面反応性官能基を有する。
【0066】
次に、図9を参照すると、本発明の一実施形態を実施するために使用される半導体システム900が示されている。
【0067】
半導体システム900は、表面調整、イニシエーション、随意のすすぎ、デポジション、およびデポジション後の処理を一例として含むマルチステッププロセスを実施することができる。半導体システム900は、ウエハ処理チャンバおよび関連のシステム902と、ディスペンシングおよび関連のシステム904とを含む。
【0068】
次に、図10を参照すると、本発明の別の一実施形態にしたがった半導体システム1000の流れ図が示されている。半導体システム1000は、ブロック1002において、誘電体層を提供することと、ブロック1004において、誘電体層内に、誘電体層の上部に露出される導体を提供することと、ブロック1006において、露出された導体をキャッピングすることと、ブロック1008において、誘電体層の表面を改質することであって、導体を低pH溶液に溶解させて誘電体層から導体イオンを洗浄すること、導体イオン下方の誘電体層を溶解させること、機械的に強化された洗浄を行うこと、または誘電体層上に疎水性層を化学吸着させることを含むことと、を含む。
【0069】
追加の導体層および誘電体を同様に蓄積させることによるさらなる処理の後、ウエハは、個々の半導体チップに個別化され、集積回路パッケージにパッケージ化される。
【0070】
本発明は、特定の最良の形態の観点から説明されているが、当業者にならば、以上の説明に照らして多くの代替形態、変更形態、およびヴァリエーションが明らかであることが理解される。したがって、特許請求の範囲に含まれるこのようなあらゆる代替形態、変更形態、およびヴァリエーションを包含することを意図される。本明細書においてこれまでに示されたまたは添付の図面に図示されたあらゆる事柄は、例示的であって限定を意図しないものと解釈される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
相互接続デバイスを作成する方法であって、
誘電体層(104)を提供し、
前記誘電体層(104)内に、前記誘電体層(104)の上部に露出される導体(108)を提供し、
前記露出された導体(108)をキャッピングし、
前記誘電体層(104)の表面の改質であって、前記導体(108)を低pH溶液に溶解させて前記誘電体層(104)から導体(108)イオンを洗浄し、前記導体(108)イオン下方の前記誘電体層(104)を溶解させ、機械的に強化された洗浄を行い、または前記誘電体層(104)上に疎水性層(800)を化学吸着させる
方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、
前記表面の改質は、キャッピング後に、不活性環境内もしくは真空環境内におけるベークまたは高温の不活性ガスによる熱処理を含む方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法であって、
前記表面の改質は、キャッピング後における超臨界ガスによる臨界点乾燥を含む方法。
【請求項4】
請求項1に記載の方法であって、
前記表面り改質は、キャッピング後における脱水剤、水反応性化学剤、またはそれらの組み合わせによる乾燥を含む方法。
【請求項5】
請求項1に記載の方法であって、
前記表面の改質は、キャッピング後におけるプラズマ洗浄、超臨界ガス洗浄、またはそれらの組み合わせを含む方法。
【請求項6】
請求項1に記載の方法であって、
前記表面の改質は、錯化によって前記誘電体層(104)から導体(108)イオンの洗浄を含む方法。
【請求項7】
請求項1に記載の方法であって、
前記表面の改質は、前記導体(108)の電荷および前記誘電体層(104)の表面電荷を変化させることによって前記誘電体層(104)から導体(108)イオンの洗浄を含む方法。
【請求項8】
相互接続デバイスを作成する方法であって、
誘電体層(104)を提供し、
前記誘電体層(104)内に、前記誘電体層(104)の上部に露出される導体(108)を提供し、
前記露出された導体(108)をキャッピングし、
前記誘電体層(104)の表面り改質であって、前記誘電体層(104)上、前記キャッピング層(400)(700)上、またはそれらの組み合わせ上に疎水性層(800)を形成する
方法。
【請求項9】
請求項8に記載の方法であって、
前記表面の改質は、キャッピング後に、不活性環境内もしくは真空環境内におけるベークまたは高温の不活性ガスによる熱処理を含む方法。
【請求項10】
請求項8に記載の方法であって、
前記表面の改質は、キャッピング後における超臨界ガスによる臨界点乾燥を含む方法。
【請求項11】
請求項8に記載の方法であって、
前記表面の改質は、キャッピング後における脱水剤、水反応性化学剤、またはそれらの組み合わせによる乾燥を含む方法。
【請求項12】
請求項8に記載の方法であって、
前記表面の改質は、キャッピング後におけるプラズマ洗浄、超臨界ガス洗浄、またはそれらの組み合わせを含む方法。
【請求項13】
請求項8に記載の方法であって、
前記表面の改質は、錯化による前記誘電体層(104)からの導体(108)イオンの洗浄を含む方法。
【請求項14】
請求項8に記載の方法であって、
前記表面の改質は、前記導体(108)の電荷および前記誘電体層(104)の表面電荷を変化させることによる前記誘電体層(104)からの導体(108)イオンの洗浄を含む方法。
【請求項15】
相互接続デバイスを作成する方法であって、
誘電体層(104)を提供し、
前記誘電体層(104)内に、前記誘電体層(104)の上部に露出される導体(108)を提供し、
前記露出された導体(108)をキャップ材料でキャッピングし、
キャッピング直後における湿分除去、前記導体(108)またはキャップ材料の形成直後における表面汚染除去または疎水性層(800)形成、またはそれらの組み合わせによって、前記誘電体層(104)の表面を改質する
方法。
【請求項16】
請求項15に記載の方法であって、
前記表面の改質は、キャッピング前に、摂氏約30度から約150度までの温度での、不活性環境内もしくは真空環境内におけるベークまたは高温の不活性ガスによる熱処理を含む方法。
【請求項17】
請求項15に記載の方法であって、
前記表面の改質は、キャッピング後における二酸化炭素による臨界点乾燥を含む方法。
【請求項18】
請求項15に記載の方法であって、
前記表面の改質は、キャッピング後における無水アルコール、水反応性ジ−t−ブチルジカーボネート、無水酢酸、またはそれらの組み合わせによる乾燥を含む方法。
【請求項19】
請求項15に記載の方法であって、
前記表面の改質は、キャッピング後における非反応性ガスプラズマ洗浄、超臨界二酸化炭素洗浄、またはそれらの組み合わせを含む方法。
【請求項20】
請求項15に記載の方法であって、
前記表面の改質は、HEDTAまたはシアン化物を使用した錯化によって前記誘電体層(104)から導体(108)イオンを洗浄することを含む方法。
【請求項21】
請求項15に記載の方法であって、
前記表面の改質は、pHが2未満のpH溶液を使用して前記導体(108)の電荷および前記誘電体層(104)の表面電荷を変化させることによる前記誘電体層(104)からの導体(108)イオンの洗浄を含む方法。
【請求項22】
請求項15に記載の方法であって、
前記表面の改質は、pHが2未満のpH溶液に前記導体(108)を溶解させて前記誘電体層(104)から導体(108)イオンを洗浄すること、前記導体(108)イオン下方の前記誘電体層(104)を溶解させて汚染物質を剥離させること、機械的なスクラブ洗浄を行うこと、またはそれらを組み合わせることを含む方法。
【請求項23】
請求項15に記載の方法であって、
前記表面の改質は、非アミンシランまたは非チオールシランの疎水性層(800)の前記誘電体層(104)上への化学吸着を含む方法。
【請求項24】
請求項15に記載の方法であって、
前記表面の改質は、前記誘電体層(104)上、前記キャッピング層(400)(700)上、またはそれらの組み合わせ上への、シラン、アザシラン、またはホスホン酸塩の疎水性層(800)の形成を含む方法。
【請求項25】
請求項15に記載の方法であって、
前記表面の改質は、シラン蒸気、またはエチルアルコール、i−プロパノール、1−メチル−2−ピロリジノン、クロロホルム、ホスホン酸アルキル、もしくはリン酸アルキルを含む溶媒に対する曝露による前記誘電体層(104)上、前記キャッピング層(400)(700)上、またはそれらの組み合わせ上への疎水性層(800)の形成を含む方法。
【請求項26】
請求項15に記載の方法であって、
前記表面の改質は、酸素の体積百分率が20%未満である大気中での、腐食防止剤または脱酸素剤を使用した前記ウエハの湿式洗浄を含む方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2009−540581(P2009−540581A)
【公表日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−514560(P2009−514560)
【出願日】平成19年6月9日(2007.6.9)
【国際出願番号】PCT/US2007/070820
【国際公開番号】WO2007/146848
【国際公開日】平成19年12月21日(2007.12.21)
【出願人】(592010081)ラム リサーチ コーポレーション (467)
【氏名又は名称原語表記】LAM RESEARCH CORPORATION
【Fターム(参考)】