説明

汚染土壌浄化装置

【課題】
浄化用ガスと水とが無駄なく活用され、汚染土壌の浄化を効率的かつ効果的に行うことができる汚染土壌浄化装置を提供することを目的とする。
【解決手段】
地面Fに穿った穴内に貫入された浄化用管13a,13b,13cを介して、組成ガスとしてオゾンを含む浄化用ガスを地中Eに供給するための浄化用ガス供給装置3a,3b,3cを備える。浄化用管13a,13b,13cを介して地中Eに水を供給するための水供給装置5を備える。浄化用ガス供給装置3a,3b,3cにより浄化用ガスを供給するための所定の浄化用ガス供給時間と水供給装置5により水を供給するための所定の水供給時間とを交互に繰り返すように浄化用ガスと水とを供給するタイミングを制御するための制御装置7を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地中に存在するトリクロロエチレンやテトラクロロエチレン等の揮発性有機化合物(volatile organic compounds 以下「VOCs」という。)からなる汚染物質を無害化するための汚染土壌浄化装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に示されている従来の汚染土壌浄化装置においては、土壌の汚染部にオゾン圧入管を打込み、オゾン発生装置によりオゾンガスを圧入して、オゾンにより土中に存在するVOCsを酸化して水溶性物質に変化させる。
その後、水注入管により、土壌に注水して可溶性有機物質を溶解させ、水・ガス排出管により地上に汲み上げることによって、土壌に含まれているVOCsを除去するようにしている。
【特許文献1】特開平6−238260号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来の汚染土壌浄化装置によるVOCsの除去方法では、前記オゾンガスと水との地中への供給は、それぞれ1回ずつ行うようにしているため、地中のVOCsとオゾンガス中のオゾンとが反応してトリクロロ酢酸,トリクロロアセトアルデヒド(クロラール),トリクロロエタノール等の化合物が生成されると、それらの化合物によってVOCsが覆われ、オゾンとの反応が阻害されるという問題があった。
また、このため、供給されたオゾンガス中のオゾンと地中のVOCsとが十分に反応しないまま水・ガス排出管により地上に汲み上げられるだけでなく、前記化合物によってVOCsが覆われた後に供給されたオゾンガスは反応のために十分活用されずに無駄になるという問題もあった。
【0004】
本発明はこのような問題を解消するためになされたもので、浄化用ガスと水とが無駄なく活用され、汚染土壌の浄化を効率的かつ効果的に行うことができる汚染土壌浄化装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的を達成するために、本発明に係る汚染土壌浄化装置は、地面に穿った穴内に貫入された浄化用管を介して、組成ガスとしてオゾンを含む浄化用ガスを地中に供給するための浄化用ガス供給装置と、前記浄化用管を介して前記地中に水を供給するための水供給装置と、前記浄化用ガス供給装置により前記浄化用ガスを供給するための所定の浄化用ガス供給時間と前記水供給装置により水を供給するための所定の水供給時間とを交互に繰り返すように前記浄化用ガスと水とを供給するタイミングを制御するための制御装置とを備えたものである。
【0006】
請求項2に記載した発明に係る汚染土壌浄化装置は、請求項1に記載の汚染土壌浄化装置において、浄化用ガス供給管を介して前記浄化用ガス供給装置により前記浄化用ガスを前記浄化用管に供給すると共に水供給管を介して前記水供給装置により水を前記浄化用管に供給し、前記浄化用ガス供給管と前記水供給管とを、制御弁を介して前記浄化用管に接続し、前記浄化用ガスと水とを供給するタイミングに応じて、前記浄化用ガス供給管と前記浄化用管とを連通させる側と、前記水供給管と前記浄化用管とを連通させる側とに交互に前記制御弁を前記制御装置により切り換えるようにしたことを特徴とするものである。
【0007】
請求項3に記載した発明に係る汚染土壌浄化装置は、請求項2に記載の汚染土壌浄化装置において、前記水供給管の中途部に接続されたアルカリ液供給管を介してアルカリ液供給装置によりアルカリ液を前記水供給管に供給し、前記水供給時間における終期側の所定のアルカリ液供給時間に前記アルカリ液供給装置を前記制御装置により駆動させて前記アルカリ液を供給するようにしたことを特徴とするものである。
【0008】
請求項4に記載した発明に係る汚染土壌浄化装置は、請求項3に記載の汚染土壌浄化装置において、前記水供給管における前記アルカリ液供給管との接続部に、前記水供給管内の流路面積が絞られたアルカリ液導入用絞部を形成し、前記アルカリ液導入用絞部を水が通過するときに発生する負圧により前記アルカリ液供給管から前記アルカリ液を吸引して前記水供給管に導入するようにしたことを特徴とするものである。
【0009】
請求項5に記載した発明に係る汚染土壌浄化装置は、請求項2ないし請求項4のうち何れか一つに記載の汚染土壌浄化装置において、前記地中の汚染物質と前記浄化用ガス中のオゾンとの反応を促進させるための触媒液を、前記水供給管の中途部に接続した触媒液供給管を介して触媒液供給装置により前記水供給管に供給し、前記水供給時間における終期側の所定の触媒液供給時間に前記触媒液供給装置を前記制御装置により駆動させて前記触媒液を供給するようにしたことを特徴とするものである。
【0010】
請求項6に記載した発明に係る汚染土壌浄化装置は、請求項5に記載の汚染土壌浄化装置において、前記水供給管における前記触媒液供給管との接続部に、前記水供給管内の流路面積が絞られた触媒液導入用絞部を形成し、前記触媒液導入用絞部を水が通過するときに発生する負圧により前記触媒液供給管を介して前記触媒液を吸引して前記水供給管に導入するようにしたことを特徴とするものである。
【0011】
請求項7に記載した発明に係る汚染土壌浄化装置は、請求項1に記載の汚染土壌浄化装置において、前記浄化用管を介して前記地中に前記アルカリ液を供給するためのアルカリ液供給装置を備え、前記水供給時間における終期側の所定の時間または前記水供給時間が終了した後であって前記浄化用ガスを供給する前の所定の時間の少なくとも何れか一方の時間に、前記アルカリ液供給装置を前記制御装置により駆動させて前記アルカリ液を供給するようにしたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、浄化用ガスを供給するための所定の浄化用ガス供給時間と水を供給するための所定の水供給時間とを交互に繰り返すように浄化用ガスと水とを供給するタイミングを制御するための制御装置を備えたので、地中の汚染物質と浄化用ガス中のオゾンとが反応して化合物が生成された後、一旦、浄化用ガスの供給が中断され、その間にその化合物が水で洗い流される。そして、表面を覆っていた化合物が水で洗い流されて露出した未反応の汚染物質と、供給が再開された浄化用ガス中のオゾンとの反応が行われる。この結果、オゾンとの反応による化合物の生成とその化合物の洗浄とが交互に繰り返し行われることで、浄化用ガスと水とを無駄なく活用することができると共に、汚染土壌の浄化を効率的かつ効果的に行うことができる。
【0013】
請求項2記載の発明によれば、浄化用ガス供給管と水供給管とを、制御弁を介して浄化用管に接続し、浄化用ガスと水とを供給するタイミングに応じて交互に制御弁を制御装置により切り換えるようにしたので、単純な構造で、浄化用ガスと水とを交互に繰り返して浄化用管に導入するように構成することができ、汚染土壌浄化装置を安価に提供することができる。
【0014】
請求項3記載の発明によれば、アルカリ液供給管を介してアルカリ液供給装置によりアルカリ液を供給するようにしたので、地中の汚染物質と浄化用ガス中のオゾンとが反応して生成された化合物がアルカリ液によって中和されるため、該化合物が地中で飽和状態になることが防止され、汚染物質と浄化用ガス中のオゾンとの反応を促進させることができる。
また、水供給時間における終期側の所定の時間にアルカリ液を供給するようにしたので、水供給時間が終了した後にアルカリ液が地中に残留しやすくなるため、アルカリ液と前記化合物とを十分反応させることができる。
【0015】
請求項4記載の発明によれば、水供給管におけるアルカリ液供給管との接続部にアルカリ液導入用絞部を形成し、このアルカリ液導入用絞部を水が通過するときに発生する負圧によりアルカリ液供給管からアルカリ液を吸引して水供給管に導入するようにしたので、単純な構造でアルカリ液を水供給管に導入するように構成することができ、汚染土壌浄化装置を安価に提供することができる。
また、アルカリ液導入用絞部を水が通過するときに発生する負圧によりアルカリ液供給管からアルカリ液を吸引して水供給管に導入するようにしたので、この導入の際、アルカリ液と水とが十分に混合され、アルカリ液を水と共に地中に確実に行き渡らせることができる。
【0016】
請求項5記載の発明によれば、触媒液供給管を介して触媒液供給装置により触媒液を供給するようにしたので、地中の汚染物質と浄化用ガス中のオゾンとの反応を触媒液の触媒作用によって促進させることができる。
また、水供給時間における終期側の所定の触媒液供給時間に触媒液供給装置を制御装置により駆動させて触媒液を供給するようにしたので、水供給時間が終了した後に触媒液が地中に残留しやすくなるため、触媒液の触媒作用によって汚染物質と浄化用ガス中のオゾンとの反応を促進させることができる。
また、アルカリ液も水供給管に導入する場合は、アルカリ液と触媒液とが同じタイミングで水と共に地中の同じ場所に行き渡るので、触媒液の触媒作用によって汚染物質と浄化用ガス中のオゾンとの反応が促進されて化合物が生成されると、該化合物の近傍にはアルカリ液が必ず存在するため該化合物を速やかに中和させることができる。この結果、該化合物が地中で飽和状態になることが防止され、汚染物質と浄化用ガス中のオゾンとの反応を一層促進させることができる。
【0017】
請求項6記載の発明によれば、水供給管における触媒液供給管との接続部に触媒液導入用絞部を形成し、この触媒液導入用絞部を水が通過するときに発生する負圧により触媒液供給管から触媒液を吸引して水供給管に導入するようにしたので、単純な構造で、触媒液を水供給管に導入するように構成することができ、汚染土壌浄化装置を安価に提供することができる。
また、触媒液導入用絞部を水が通過するときに発生する負圧により触媒液供給管を介して触媒液を吸引して水供給管に導入するようにしたので、この導入の際、触媒液と水とが十分に混合され、触媒液を水と共に地中に確実に行き渡らせることができ、汚染土壌浄化装置を安価に提供することができる。
【0018】
請求項7記載の発明によれば、浄化用管を介して地中にアルカリ液を供給するためのアルカリ液供給装置を備えたので、地中の汚染物質と浄化用ガス中のオゾンとが反応して生成された化合物がアルカリ液によって中和されるため、該化合物が地中で飽和状態になることが防止され、汚染物質と浄化用ガス中のオゾンとの反応を促進させることができる。
また、水供給時間における終期側の所定の時間または水供給時間が終了した後であって浄化用ガスを供給する前の所定の時間の少なくとも何れか一方の時間に、アルカリ液供給装置を制御装置により駆動させてアルカリ液を供給するようにしたので、水供給時間が終了した後にアルカリ液が地中に残留しやすくなるため、アルカリ液と前記化合物とを十分反応させることができる。この結果、前記化合物が地中で飽和状態になることが防止され、汚染物質と浄化用ガス中のオゾンとの反応を促進させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明に係る汚染土壌浄化装置の実施の形態を図1ないし図6によって詳細に説明する。
図1は本発明に係る汚染土壌浄化装置の構成を示すブロック図であり、図2は吸引装置の構成を示す断面図であり、図3は第2の吸引装置の構成を示す断面図である。また、図4は本発明に係る汚染土壌浄化装置を作動させる際のタイムチャートであり、図5は本発明に係る汚染土壌浄化装置を作動させる際の別のタイムチャートであり、図6は本発明に係る汚染土壌浄化装置を作動させる際のさらに別のタイムチャートである。なお、図1については、作図の都合上、それぞれの構成部材の縮尺の比率は互いに異ならせて図示している。
【0020】
図1において、符号1で示すものは、この実施の形態による汚染土壌浄化装置を示しており、この汚染土壌浄化装置1は、組成ガスとしてオゾンを含む浄化用ガスを地中Eに供給するための浄化用ガス供給装置3a,3b,3cと、地中Eに水を供給するための電動ポンプからなる水供給装置5と、浄化用ガスと水とを供給するタイミング等を制御するための制御装置7と、地中Eにアルカリ液を供給するための電動ポンプからなるアルカリ液供給装置9a,9b,9cと、地中EのVOCsと浄化用ガス中のオゾンとの反応を促進させるための触媒液を地中Eに供給するための電動ポンプからなる触媒液供給装置11a,11b,11cとを備えている。前記浄化用ガス,水,アルカリ液および触媒液は、地面Fに穿った穴内に貫入された浄化用管13a,13b,13cを介して地中Eに供給される。
【0021】
前記浄化用ガスは、それぞれの一端部が電磁式の制御弁15a,15b,15cを介して前記浄化用管13a,13b,13cにそれぞれ接続された浄化用ガス供給管16,17,18により供給される。浄化用ガス供給管16,17,18は、それぞれ上流側供給管16a,17a,18aと下流側供給管16b,17b,18bとからなる。上流側供給管16a,17a,18aのそれぞれの一端部は前記浄化用ガス供給装置3a,3b,3cにそれぞれ接続され、上流側供給管16a,17a,18aのそれぞれの他端部は、電動式の圧縮機21で圧縮された空気が空気供給管23a,23b,23cを介してそれぞれ供給される吸引装置19a,19b,19cにそれぞれ接続されている。なお、前記圧縮機21は、浄化用管13a,13b,13cに浄化用ガスを供給する際の圧力を上げるためのものであり、浄化用ガス供給装置3a,3b,3cから送出される浄化用ガスの圧力を高く設定できる場合は、上流側供給管16a,17a,18aと下流側供給管16b,17b,18bとをそれぞれ直接接続して圧縮機21,空気供給管23a,23b,23cおよび吸引装置19a,19b,19cを省略してもよい。
【0022】
一方、前記下流側供給管16b,17b,18bのそれぞれの一端部は前記吸引装置19a,19b,19cにそれぞれ接続され、下流側供給管16b,17b,18bのそれぞれの他端部は制御弁15a,15b,15cにそれぞれ接続されている。また、空気供給管23a,23b,23cは第2の制御弁24を介して圧縮機21に接続されており、この第2の制御弁24が切り換えられることによって空気供給管23a,23b,23cの何れか1つだけに択一的に圧縮機21から空気が供給される。
【0023】
前記浄化用ガス供給装置3a,3b,3cには、酸素ガスが収容された酸素ボンベ25が酸素ガス供給管27を介して接続され、酸素ボンベ25の酸素ガスが浄化用ガス供給装置3a,3b,3cにそれぞれ導入され、浄化用ガス供給装置3a,3b,3c内で放電管による無声放電によってオゾンが発生し、酸素に対してオゾンが所定の割合で混合されて浄化用ガスが生成される。浄化用ガスとしては、例えば、容積比でオゾンが3パーセントないし5パーセントで残りが酸素からなるガスをあげることができる。各浄化用ガス供給装置3a,3b,3cからは、通常、毎分1リットルないし50リットルの容量(大気圧下での容量)の浄化用ガスがそれぞれ供給される。
なお、浄化用ガスとしては、前記のものに代えて、容積比でオゾンが0.1パーセントないし1パーセントで残りが空気からなるガスを使用してもよい。
【0024】
また、前記制御弁15a,15b,15cには、水供給管28,29,30のそれぞれの一端部が接続され、水供給管28,29,30のそれぞれの他端部は、電磁式の第3の制御弁31に接続されている。前記制御弁15aが切り換えられることによって浄化用ガス供給管16または水供給管28の何れか一方が択一的に前記浄化用管13aと連通させられ、制御弁15bが切り換えられることによって浄化用ガス供給管17または水供給管29の何れか一方が択一的に前記浄化用管13bと連通させられ、制御弁15cが切り換えられることによって浄化用ガス供給管18または水供給管30の何れか一方が択一的に前記浄化用管13cと連通させられる。
【0025】
前記第3の制御弁31は、前記水供給装置5に接続され、第3の制御弁31が切り換えられることによって水供給管28,29,30の何れか1つだけに択一的に、水槽33に貯留された水が水供給装置5によって供給される。これによって、各制御弁15a,15b,15cを介して、通常、毎分5リットルないし30リットルの容量の水が浄化用管13a,13b,13cにそれぞれ供給される。前記水供給管28,29,30は、それぞれ上流側供給管28a,29a,30aと下流側供給管28b,29b,30bとからなり、これらの上流側供給管28a,29a,30aと下流側供給管28b,29b,30bとは第2の吸引装置35a,35b,35cを介してそれぞれ接続されている。第2の吸引装置35a,35b,35cには、アルカリ液槽37に貯留されたアルカリ液を供給するためのアルカリ液供給管39の分岐管部39a,39b,39cと、触媒液槽41に貯留された触媒液を供給するための触媒液供給管43の分岐管部43a,43b,43cとがそれぞれ接続されている。
【0026】
前記アルカリ液としては、例えば、重量比で水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムが30パーセントないし50パーセントで残りが水である水溶液からなるアルカリ液をあげることができ、前記触媒液としては、例えば、重量比で硫酸第二鉄または二酸化マンガンが35パーセントないし40パーセントで残りが水である水溶液からなる触媒液をあげることができる。前記分岐管部39a,39b,39cのそれぞれの中途部には前記アルカリ液供給装置9a,9b,9cがそれぞれ配設され、前記分岐管部43a,43b,43cのそれぞれの中途部には前記触媒液供給装置11a,11b,11cがそれぞれ配設されている。各アルカリ液供給装置9a,9b,9cからは、通常、毎分0.5リットルないし3リットルの容量のアルカリ液がそれぞれ供給され、各触媒液供給装置11a,11b,11cからは、通常、毎分0.05リットルないし0.3リットルの容量の触媒液がそれぞれ供給される。
なお、前記浄化用ガス供給装置3a,3b,3c,水供給装置5,アルカリ液供給装置9a,9b,9c,触媒液供給装置11a,11b,11c,制御弁15a,15b,15c,圧縮機21,第2の制御弁24および第3の制御弁31は、電線(図示せず)を介して制御装置7に接続されており制御装置7によりそれぞれ駆動制御される。
【0027】
図2に示すように、前記吸引装置19aは、内部に吸引室45aが形成された吸引部本体45と、この吸引部本体45の両端から差し込まれて吸引部本体45に固着され先端同士が吸引室45aで一定の隙間を隔てて対向するように配置された吐出側ノズル47および吸引側ノズル49とからなる。これらの吐出側ノズル47および吸引側ノズル49は、対向する先端部が共に先細りに形成され、吐出側ノズル47の先端の孔径の方が吸引側ノズル49の先端の孔径より小さく形成されている。前記浄化用ガス供給管16の下流側供給管16bの端部は接続具50を介して前記吸引側ノズル49に接続され、浄化用ガス供給管16の上流側供給管16aの端部は吸引部本体45に接続され、空気供給管23aの端部は接続具51を介して前記吐出側ノズル47に接続されている。而して、浄化用ガス供給装置3aから供給され浄化用ガス供給管16の上流側供給管16aを通過して吸引室45aに流入した浄化用ガスが、圧縮機21で圧縮された空気が吐出側ノズル47から吐出され吸引側ノズル49内に流入するときに発生する負圧により吸引側ノズル49内に吸引され下流側供給管16b内を通過して制御弁15aに送出される。
なお、前記吸引装置19b,19cは吸引装置19aと同一の構造を有しているので、吸引装置19b,19cおよびこれらと前記上流側供給管17a,18a,前記下流側供給管17b,18b,前記空気供給管23b,23cとのそれぞれの接続構造についての詳細な説明は省略する。
【0028】
また、図3に示すように、前記第2の吸引装置35aは、前記アルカリ液供給管39の分岐管部39aが接続されるアルカリ液吸引部53と、触媒液供給管43の分岐管部43aが接続される触媒液吸引部55とを備えている。アルカリ液吸引部53は、内部に吸引室57aが形成された吸引部本体57と、この吸引部本体57の一端側に嵌合された吐出側ノズル59と、この吐出側ノズル59が吸引部本体57に嵌合された状態で吸引部本体57の一端側に螺合された固定具61と、吸引部本体57の他端側に螺合された吸引側ノズル63とからなる。吐出側ノズル59は、その端部(図3において右側)に形成されたフランジ部が吸引部本体57の端部(図3において右側)と固定具61の段部とで挟持されて固定されている。吐出側ノズル59と吸引側ノズル63とは、先端同士が吸引室57aで一定の隙間を隔てて対向するように位置付けられ、かつ、対向する先端部が共に先細りに形成されており、これらの先端部が本発明でいうアルカリ液導入用絞部を構成する。吐出側ノズル59の先端の孔径の方が吸引側ノズル63の先端の孔径より小さく形成されている。吸引側ノズル63と前記下流側供給管28bとは接続具65を介して接続され、前記分岐管部39aの端部は吸引部本体57に結着されている。
【0029】
一方、前記触媒液吸引部55は、内部に吸引室67aが形成された吸引部本体67と、この吸引部本体67の一端側に嵌合された吐出側ノズル69と、この吐出側ノズル69が吸引部本体67に嵌合された状態で吸引部本体67の一端側に螺合された固定具71と、吸引部本体67の他端側に螺合された吸引側ノズル73とからなる。吐出側ノズル69は、その端部(図3において右側)に形成されたフランジ部が吸引部本体67の端部(図3において右側)と固定具71の段部とで挟持されて固定されている。吐出側ノズル69と吸引側ノズル73とは、先端同士が吸引室67aで一定の隙間を隔てて対向するように位置付けられ、かつ、対向する先端部が共に先細りに形成されており、これらの先端部が本発明でいう触媒液導入用絞部を構成する。吐出側ノズル69の先端の孔径の方が吸引側ノズル73の先端の孔径より小さく形成されている。前記上流側供給管28aの端部は固定具71に螺合接続され、吸引側ノズル73は前記固定具61に螺合接続され、前記分岐管部43aの端部は吸引部本体67に結着されている。
【0030】
而して、前記触媒液供給装置11aによって供給され分岐管部43aを通過して前記触媒液吸引部55の吸引室67aに流入した触媒液が、水供給装置5によって供給された水が触媒液吸引部55の吐出側ノズル69から吐出され吸引側ノズル73内に流入するときに発生する負圧により吸引側ノズル73内に吸引され、吸引側ノズル73から前記アルカリ液吸引部53に送出される。
そしてさらに、前記アルカリ液供給装置9aによって供給され分岐管部39aを通過して吸引室57aに流入したアルカリ液が、前記吸引側ノズル73から吐出側ノズル59に流入した触媒液と水との混合液が吐出側ノズル59から吐出され吸引側ノズル63内に流入するときに発生する負圧により吸引側ノズル63内に吸引され、吸引側ノズル63から下流側供給管28b内を通過して制御弁15aに送出される。
【0031】
なお、前記第2の吸引装置35b,35cは第2の吸引装置35aと同一の構造を有しているので、第2の吸引装置35b,35cおよびこれらと前記アルカリ液供給管39の分岐管部39b,39c、前記触媒液供給管43の分岐管部43b,43c、前記上流側供給管29a,30a,前記下流側供給管29b,30bとのそれぞれの接続構造についての詳細な説明は省略する。
【0032】
上述した浄化用管13a,13b,13c,制御弁15a,15b,15c,浄化用ガス供給管16,17,18および吸引装置19a,19b,19c等については、少なくとも浄化用ガスと接触する部材は、浄化用ガス中のオゾンによって腐食しないように合成樹脂材またはステンレス鋼材等の耐蝕性を有する部材によって構成されている。
【0033】
上述した汚染土壌浄化装置1を使用して汚染土壌の浄化を行う場合は、まず、制御装置7に設けられた制御盤の電源スイッチ(図示せず)を作業者が操作して汚染土壌浄化装置1を起動させ、制御盤に設けられたタイマを設定して汚染土壌浄化装置1を作動させる時間を設定する。すると、制御装置7に設けられたメモリに予め記憶されたタイムチャート(図4を参照)に従って汚染土壌浄化装置1が作動を開始する。その工程は、図4に基づいて説明すると以下のようになる。なお、図4において、横軸は時間の経過を示しており、a1,a2,a3は浄化用ガスが供給されるタイミングを示しており、b1,b2,b3は水が供給されるタイミングを示しており、c1,c2,c3はアルカリ液が供給されるタイミングを示しており、d1,d2,d3は触媒液が供給されるタイミングを示している。また、図4において、a1,b1,c1,d1は、浄化用管13aに関する供給タイミングを示しており、a2,b2,c2,d3は、浄化用管13bに関する供給タイミングを示しており、a3,b3,c3,d3は、浄化用管13cに関する供給タイミングを示している。
【0034】
(1)浄化用管13aへの供給工程
本発明でいう浄化用ガス供給時間に当たる時間T11の間だけ、圧縮機21により圧縮された空気が第2の制御弁24により空気供給管23aだけに供給されて吸引装置19aに供給される。そして、浄化用ガス供給装置3aが前記時間T11の間だけ駆動され該浄化用ガス供給装置3aから供給された浄化用ガスは、吸引装置19aに供給された空気により発生した負圧により吸引装置19a内に吸引され下流側供給管16b内を通過して制御弁15aに送出される(図4中のa1を参照)。これによって、浄化用ガスが浄化用管13aを介して前記時間T11の間だけ地中Eに供給される。前記時間T11が終了すると同時に、本発明でいう水供給時間に当たる時間T12の間だけ水供給装置5が駆動され該水供給装置5により供給された水が第3の制御弁31により上流側供給管28aだけに供給され第2の吸引装置35aに供給される。また、前記時間T11が終了すると同時に下流側供給管28bと浄化用管13aとが連通するように制御弁15aが切り換えられ、第2の吸引装置35aに供給された水は下流側供給管28b,制御弁15aおよび浄化用管13aを介して前記時間T12の間だけ地中Eに供給される(図4中のb1を参照)。
【0035】
前記時間T12における終期側の、本発明でいうアルカリ液供給時間に当たる時間T13の間だけ前記アルカリ液供給装置9aが駆動され該アルカリ液供給装置9aにより第2の吸引装置35aにアルカリ液が供給される(図4中のc1を参照)。また、前記時間T12における終期側の、本発明でいう触媒液供給時間に当たる時間T14の間だけ前記触媒液供給装置11aが駆動され該触媒液供給装置11aにより第2の吸引装置35aに触媒液が供給される(図4中のd1を参照)。
なお、図4中のc1およびd1を見ると分かるように、アルカリ液供給装置9aによりアルカリ液の供給を開始するタイミングと触媒液供給装置11aにより触媒液の供給を開始するタイミングとは同時になるように設定され、時間T13と時間T14とは同一になるように設定されている。そして、時間T12と時間T13と時間T14とは同時に終了するように設定され、その終了と同時にアルカリ液供給装置9aおよび触媒液供給装置11aの駆動が停止される。
【0036】
(2)浄化用管13bへの供給工程
前記時間T11が終了すると同時に第2の制御弁24が切り換えられて、本発明でいう浄化用ガス供給時間に当たる時間T21の間だけ、圧縮機21で圧縮された空気が空気供給管23bだけに供給され吸引装置19bに供給される。そして、本発明でいう浄化用ガス供給時間に当たる時間T21の間だけ浄化用ガス供給装置3bが駆動され、該浄化用ガス供給装置3bから供給された浄化用ガスは、吸引装置19bに供給された空気により発生した負圧により吸引装置19b内に吸引され下流側供給管17b内を通過して制御弁15bに送出される(図4中のa2を参照)。これによって、浄化用ガスが浄化用管13bを介して前記時間T21の間だけ地中Eに供給される。前記時間T21が終了すると同時に第3の制御弁31が切り換えられると共に、本発明でいう水供給時間に当たる時間T22の間だけ水供給装置5が駆動され、該水供給装置5により供給された水が上流側供給管29aだけに供給され第2の吸引装置35bに供給される。また、前記時間T21が終了すると同時に下流側供給管29bと浄化用管13bとが連通するように制御弁15bが切り換えられ、第2の吸引装置35bに供給された水は下流側供給管29b,制御弁15bおよび浄化用管13bを介して前記時間T22の間だけ地中Eに供給される(図4中のb2を参照)。
【0037】
前記時間T22における終期側の、本発明でいうアルカリ液供給時間に当たる時間T23の間だけ前記アルカリ液供給装置9bが駆動され該アルカリ液供給装置9bにより第2の吸引装置35bにアルカリ液が供給される(図4中のc2を参照)。また、前記時間T22における終期側の、本発明でいう触媒液供給時間に当たる時間T24の間だけ前記触媒液供給装置11bが駆動され該触媒液供給装置11bにより第2の吸引装置35bに触媒液が供給される(図4中のd2を参照)。
なお、同図中のc2およびd2を見ると分かるように、アルカリ液供給装置9bによりアルカリ液の供給を開始するタイミングと触媒液供給装置11bにより触媒液の供給を開始するタイミングとは同時になるように設定され、時間T23と時間T24とは同一になるように設定されている。そして、時間T22と時間T23と時間T24とは同時に終了するように設定され、その終了と同時にアルカリ液供給装置9bおよび触媒液供給装置11bの駆動が停止される。
【0038】
(3)浄化用管13cへの供給工程
前記時間T21が終了すると同時に第2の制御弁24が切り換えられて、本発明でいう浄化用ガス供給時間に当たる時間T31の間だけ、圧縮機21で圧縮された空気が空気供給管23cだけに供給され吸引装置19cに供給される。そして、浄化用ガス供給装置3cが前記時間T31の間だけ駆動され、該浄化用ガス供給装置3cから供給された浄化用ガスは、吸引装置19cに供給された空気により発生した負圧により吸引装置19c内に吸引され下流側供給管18b内を通過して制御弁15cに送出される(図4中のa3を参照)。これによって、浄化用管13cを介して浄化用ガスが前記時間T31の間だけ地中Eに供給される。
前記時間T31が終了すると同時に第3の制御弁31が切り換えられると共に、本発明でいう水供給時間に当たる時間T32の間だけ水供給装置5が駆動され、該水供給装置5により供給された水が上流側供給管30aだけに供給され第2の吸引装置35cに供給される。また、前記時間T31が終了すると同時に下流側供給管30bと浄化用管13cとが連通するように制御弁15cが切り換えられて第2の吸引装置35cに供給された水は下流側供給管30b,制御弁15cおよび浄化用管13cを介して前記時間T32の間だけ地中Eに供給される(図4中のb3を参照)。
【0039】
前記時間T32における終期側の、本発明でいうアルカリ液供給時間に当たる時間T33の間だけ前記アルカリ液供給装置9cが駆動され該アルカリ液供給装置9cにより第2の吸引装置35cにアルカリ液が供給される(図4中のc3を参照)。また、前記時間T32における終期側の、本発明でいう触媒液供給時間に当たる時間T34の間だけ前記触媒液供給装置11cが駆動され該触媒液供給装置11cにより第2の吸引装置35cに触媒液が供給される(図4中のd3を参照)。
【0040】
なお、図4中のc3およびd3を見ると分かるように、アルカリ液供給装置9cによりアルカリ液の供給を開始するタイミングと触媒液供給装置11cにより触媒液の供給を開始するタイミングとは同時になるように設定され、時間T33と時間T34とは同一になるように設定されている。そして、時間T32と時間T33と時間T34とは同時に終了するように設定され、その終了と同時にアルカリ液供給装置9cおよび触媒液供給装置11cの駆動が停止される。
【0041】
前記時間T31が終了すると同時に第2の制御弁24が切り換えられて圧縮機21で圧縮された空気が再び空気供給管23aだけに供給され、上述した(1)ないし(3)の供給工程が順々に繰り返されて浄化用管13a,13b,13cを介して浄化用ガス等が地中Eに順々に供給される。そして、制御装置7の制御盤のタイマによって設定していた時間に到達したとき、汚染土壌浄化装置1の作動が停止する。
このようにして、各浄化用管13a,13b,13cごとに、浄化用ガスと水とが交互に供給されると共に、水を供給する時間T12,T22,T32のそれぞれの終期にアルカリ液および触媒液が供給される。なお、水が供給される時間T12,T22,T32とアルカリ液が供給される時間T13,T23,T33と触媒液が供給される時間T14,T24,T34とは、浄化用ガスが供給される時間T11,T21,T31の長さに応じてそれぞれ最適な時間になるように制御装置7によって自動的に設定される。
【0042】
上述したように構成された汚染土壌浄化装置1によれば、浄化用ガスを供給する時間T11,T21,T31と水を供給する時間T12,T22,T32とをそれぞれ交互に繰り返すように浄化用ガスと水とを供給するタイミングを制御するための制御装置7を備えているので、地中EのVOCsと浄化用ガス中のオゾンとが反応して化合物が生成された後、一旦、浄化用ガスの供給が中断され、その間にその化合物が水で洗い流される。そして、表面を覆っていた化合物が水で洗い流されて露出した未反応のVOCsと、供給が再開された浄化用ガス中のオゾンとの反応が行われる。この結果、オゾンとの反応による化合物の生成とその化合物の洗浄とが交互に繰り返し行われることで、浄化用ガスと水とを無駄なく活用することができると共に、汚染土壌の浄化を効率的かつ効果的に行うことができる。
【0043】
また、この実施の形態による汚染土壌浄化装置1によれば、浄化用ガス供給管16,17,18と水供給管28,29,30とを、それぞれ制御弁15a,15b,15cを介して浄化用管13a,13b,13cにそれぞれ接続し、浄化用ガスと水とを供給するタイミングに応じて交互に制御弁15a,15b,15cを制御装置7によりそれぞれ切り換えるようにしたので、単純な構造で、浄化用ガスと水とを交互に繰り返して浄化用管13a,13b,13cにそれぞれ導入するように構成することができ、汚染土壌浄化装置1を安価に提供することができる。
【0044】
また、この実施の形態による汚染土壌浄化装置1によれば、アルカリ液供給管39を介してアルカリ液供給装置9a,9b,9cによりアルカリ液を供給するようにしたので、地中EのVOCsと浄化用ガス中のオゾンとが反応して生成された化合物がアルカリ液によって中和されるため、該化合物が地中Eで飽和状態になることが防止され、VOCsと浄化用ガス中のオゾンとの反応を促進させることができる。
また、水を供給する時間T12,T22,T32における終期側の時間T13,T23,T33にアルカリ液を供給するようにしたので、時間T12,T22,T32が終了した後にアルカリ液が地中に残留しやすくなるため、アルカリ液と前記化合物とを十分反応させることができる。
【0045】
また、この実施の形態による汚染土壌浄化装置1によれば、水供給管28,29,30におけるアルカリ液供給管39との接続部にアルカリ液導入用絞部をそれぞれ形成し、このアルカリ液導入用絞部を水が通過するときに発生する負圧によりアルカリ液供給管39からアルカリ液を吸引して水供給管28,29,30に導入するようにしたので、単純な構造でアルカリ液を水供給管28,29,30にそれぞれ導入するように構成することができ、汚染土壌浄化装置1を安価に提供することができる。
また、アルカリ液導入用絞部を水が通過するときに発生する負圧によりアルカリ液供給管39からアルカリ液を吸引して水供給管28,29,30に導入するようにしたので、この導入の際、アルカリ液と水とが十分に混合され、アルカリ液を水と共に地中に確実に行き渡らせることができる。
【0046】
また、この実施の形態による汚染土壌浄化装置1によれば、触媒液供給管43を介して触媒液供給装置11a,11b,11cにより触媒液を供給したので、地中EのVOCsと浄化用ガス中のオゾンとの反応を触媒液の触媒作用によって促進させることができる。
また、水を供給する時間T12,T22,T32における終期側の、触媒液を供給する時間T14,T24,T34に触媒液供給装置11a,11b,11cを制御装置7によりそれぞれ駆動させて触媒液を供給するようにしたので、時間T12,T22,T32が終了した後に触媒液が地中に残留しやすくなるため、触媒液の触媒作用によってVOCsと浄化用ガス中のオゾンとの反応を促進させることができる。
また、アルカリ液も水供給管28,29,30に同時に導入されるので、アルカリ液と触媒液とが同じタイミングで水と共に地中Eの同じ場所に行き渡るため、触媒液の触媒作用によってVOCsと浄化用ガス中のオゾンとの反応が促進されて化合物が生成されると、該化合物の近傍にはアルカリ液が必ず存在するため該化合物を速やかに中和させることができる。この結果、該化合物が地中Eで飽和状態になることが防止され、汚染物質と浄化用ガス中のオゾンとの反応を一層促進させることができる。
【0047】
また、この実施の形態による汚染土壌浄化装置1によれば、水供給管28,29,30における触媒液供給管43との接続部に触媒液導入用絞部をそれぞれ形成し、この触媒液導入用絞部を水が通過するときに発生する負圧により触媒液供給管43から触媒液を吸引して水供給管28,29,30にそれぞれ導入するようにしたので、単純な構造で触媒液を水供給管28,29,30に導入するように構成することができ、汚染土壌浄化装置1を安価に提供することができる。
また、触媒液導入用絞部を水が通過するときに発生する負圧により触媒液供給管43を介して触媒液を吸引して水供給管28,29,30に導入するようにしたので、この導入の際、触媒液と水とが十分に混合され、触媒液を水と共に地中に確実に行き渡らせることができる。
【0048】
さらにまた、この実施の形態による汚染土壌浄化装置1によれば、浄化用ガスを供給する時間T11,T21,T31と水を供給する時間T12,T22,T32とをそれぞれ交互に繰り返すようにして浄化用ガスと水とをそれぞれ交互に浄化用管13a,13b,13cにそれぞれ導入するようにしたので、浄化用ガスを供給するための浄化用管と水を供給するための浄化用管とをそれぞれ共通にして1本ずつにすることができ、使用する浄化用管の本数を少なくすることができる。
【0049】
なお、上述した実施の形態においては、3本の浄化用管13a,13b,13cを介して浄化用ガス等を地中Eに供給する例を示したが、本発明は、このような構成に囚われることなく、4本以上の浄化用管を地面Fに穿った穴内に貫入して、これらの浄化用管を介して浄化用ガス等を地中Eに供給するようにしてもよい。
【0050】
また、この実施の形態においては、浄化用管13a,13b,13cを介して浄化用ガス等を地中Eに供給する場合の例を示したが、本発明は、このような構成に囚われることなく、浄化用管13a,13b,13cを互いに離間して汚染された地中Eに配置する一方、浄化用管13a,13b,13cをそれぞれ囲むように地面Fに穿った複数の穴内に回収用管をそれぞれ貫入すると共にそれらの回収用管に吸引ポンプを接続し、浄化用管13a,13b,13cを介して地中Eに供給された浄化用ガス等を前記回収用管を介して前記吸引ポンプにより回収するようにしてもよい。そして、制御装置7の制御盤を操作して浄化用ガスが供給される時間T11,T21,T31の長さをそれぞれ個別に変更することができるようにしておき、前記吸引ポンプで回収された水溶液に含まれるVOCsの濃度を検査器で計測して汚染の浄化の状況を確認しながら、その浄化の状況に応じて前記時間T11,T21,T31の長さを個別に適宜増減するようにすれば、水が供給される時間T12,T22,T32とアルカリ液が供給される時間T13,T23,T33と触媒液が供給される時間T14,T24,T34とが前記時間T11,T21,T31に応じて適切に変更されることとも相俟って効果的に汚染土壌の浄化を行うことができる。
【0051】
また、この実施の形態においては、図4に示したように、アルカリ液供給装置9a,9b,9cによりアルカリ液の供給を開始するそれぞれのタイミングと触媒液供給装置11a,11b,11cにより触媒液の供給を開始するそれぞれのタイミングとが、それぞれ同時になるように設定された例を示したが、本発明は、このような構成に囚われることなく、前記両タイミングのうち何れか一方を先にして両タイミングをずらすようにしてもよい。
【0052】
また、この実施の形態においては、時間T12と時間T13と時間T14,時間T22と時間T23と時間T24,時間T32と時間T33と時間T34とが、それぞれ同時に終了するように設定され、その終了と同時にアルカリ液供給装置9a,9b,9cおよび触媒液供給装置11a,11b,11cの駆動がそれぞれ停止される例を示したが、本発明は、このような構成に囚われることなく、時間T12が終了する少し前に時間T13もしくは時間T14の少なくとも何れか一方が終了するようにし、または、時間T22が終了する少し前に時間T23もしくは時間T24の少なくとも何れか一方が終了するようにし、または、時間T32が終了する少し前に時間T33もしくは時間T34の少なくとも何れか一方が終了するようにして、それらの終了時間に合わせてアルカリ液供給装置9a,9b,9cおよび触媒液供給装置11a,11b,11cの駆動がそれぞれ停止されるようにしてもよい。
【0053】
さらにまた、この実施の形態においては、水を供給する時間T12,T22,T32における終期側の時間T13,T23,T33にアルカリ液供給装置9a,9b,9cによりアルカリ液を供給するようにしたが、本発明は、このような構成に囚われることなく、アルカリ液供給装置9a,9b,9cからアルカリ液を直接、浄化用管13a,13b,13cに供給するように構成すると共に、図5に示すように、水を供給する時間T12,T22,T32が終了した後であって浄化用ガスを供給する前の時間T13,T23,T33にアルカリ液を供給するか、または、図6に示すように、水を供給する時間T12,T22,T32における終期側から、時間T12,T22,T32が終了した後であって浄化用ガスを供給する前までの間における時間T13,T23,T33にアルカリ液を供給するようにしてもよい。なお、これらの場合は、アルカリ液供給装置9a,9b,9cによりアルカリ液を供給している間、供給している浄化用管13a,13b,13cに対応する制御弁15a,15b,15cの弁体部をアルカリ液が浄化用ガス供給管16,17,18の方に逆流しないように閉弁するようにする。このように構成しても、前記時間T12,T22,T32が終了した後にアルカリ液が地中Eに残留しやすくなるため、アルカリ液と前記化合物とを十分反応させることができ、この結果、地中EのVOCsと浄化用ガス中のオゾンとが反応して生成された化合物がアルカリ液によって中和されるため、該化合物が地中Eで飽和状態になることが防止され、VOCsと浄化用ガス中のオゾンとの反応を促進させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】図1は本発明の実施の形態に係る汚染土壌浄化装置の構成を示すブロック図である。
【図2】図2は吸引装置の構成を示す断面図である。
【図3】図3は第2の吸引装置の構成を示す断面図である。
【図4】図4は本発明に係る汚染土壌浄化装置を作動させる際のタイムチャートである。
【図5】図5は本発明に係る汚染土壌浄化装置を作動させる際の別のタイムチャートである。
【図6】図6は本発明に係る汚染土壌浄化装置を作動させる際のさらに別のタイムチャートである。
【符号の説明】
【0055】
1 汚染土壌浄化装置
3a 浄化用ガス供給装置
3b 浄化用ガス供給装置
3c 浄化用ガス供給装置
5 水供給装置
7 制御装置
9a アルカリ液供給装置
9b アルカリ液供給装置
9c アルカリ液供給装置
11a 触媒液供給装置
11b 触媒液供給装置
11c 触媒液供給装置
13a 浄化用管
13b 浄化用管
13c 浄化用管
15a 制御弁
15b 制御弁
15c 制御弁
16 浄化用ガス供給管
17 浄化用ガス供給管
18 浄化用ガス供給管
28 水供給管
29 水供給管
30 水供給管
39 アルカリ液供給管
43 触媒液供給管
E 地中
F 地面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地面に穿った穴内に貫入された浄化用管を介して、組成ガスとしてオゾンを含む浄化用ガスを地中に供給するための浄化用ガス供給装置と、
前記浄化用管を介して前記地中に水を供給するための水供給装置と、
前記浄化用ガス供給装置により前記浄化用ガスを供給するための所定の浄化用ガス供給時間と前記水供給装置により水を供給するための所定の水供給時間とを交互に繰り返すように前記浄化用ガスと水とを供給するタイミングを制御するための制御装置とを備えた汚染土壌浄化装置。
【請求項2】
請求項1に記載の汚染土壌浄化装置において、
浄化用ガス供給管を介して前記浄化用ガス供給装置により前記浄化用ガスを前記浄化用管に供給すると共に水供給管を介して前記水供給装置により水を前記浄化用管に供給し、
前記浄化用ガス供給管と前記水供給管とを、制御弁を介して前記浄化用管に接続し、
前記浄化用ガスと水とを供給するタイミングに応じて、前記浄化用ガス供給管と前記浄化用管とを連通させる側と、前記水供給管と前記浄化用管とを連通させる側とに交互に前記制御弁を前記制御装置により切り換えるようにした汚染土壌浄化装置。
【請求項3】
請求項2に記載の汚染土壌浄化装置において、
前記水供給管の中途部に接続されたアルカリ液供給管を介してアルカリ液供給装置によりアルカリ液を前記水供給管に供給し、
前記水供給時間における終期側の所定のアルカリ液供給時間に前記アルカリ液供給装置を前記制御装置により駆動させて前記アルカリ液を供給するようにした汚染土壌浄化装置。
【請求項4】
請求項3に記載の汚染土壌浄化装置において、
前記水供給管における前記アルカリ液供給管との接続部に、前記水供給管内の流路面積が絞られたアルカリ液導入用絞部を形成し、
前記アルカリ液導入用絞部を水が通過するときに発生する負圧により前記アルカリ液供給管から前記アルカリ液を吸引して前記水供給管に導入するようにした汚染土壌浄化装置。
【請求項5】
請求項2ないし請求項4のうち何れか一つに記載の汚染土壌浄化装置において、
前記地中の汚染物質と前記浄化用ガス中のオゾンとの反応を促進させるための触媒液を、前記水供給管の中途部に接続した触媒液供給管を介して触媒液供給装置により前記水供給管に供給し、
前記水供給時間における終期側の所定の触媒液供給時間に前記触媒液供給装置を前記制御装置により駆動させて前記触媒液を供給するようにした汚染土壌浄化装置。
【請求項6】
請求項5に記載の汚染土壌浄化装置において、
前記水供給管における前記触媒液供給管との接続部に、前記水供給管内の流路面積が絞られた触媒液導入用絞部を形成し、
前記触媒液導入用絞部を水が通過するときに発生する負圧により前記触媒液供給管を介して前記触媒液を吸引して前記水供給管に導入するようにした汚染土壌浄化装置。
【請求項7】
請求項1に記載の汚染土壌浄化装置において、
前記浄化用管を介して前記地中に前記アルカリ液を供給するためのアルカリ液供給装置を備え、
前記水供給時間における終期側の所定の時間または前記水供給時間が終了した後であって前記浄化用ガスを供給する前の所定の時間の少なくとも何れか一方の時間に、前記アルカリ液供給装置を前記制御装置により駆動させて前記アルカリ液を供給するようにした汚染土壌浄化装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−272575(P2008−272575A)
【公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−5311(P2007−5311)
【出願日】平成19年1月15日(2007.1.15)
【出願人】(590002389)静岡県 (173)
【出願人】(591211711)カルト株式会社 (20)
【Fターム(参考)】