説明

汚染物質を水性の繊維物質懸濁液から除去する方法

【課題】汚染物質粒子をできるだけ効果的に析出することができ、装置および運転に関する過度に高いコストおよび手間を必要としない調成方法を提供する。
【解決手段】ファインフラクションおよびコースフラクションをその都度別個のフローテーションで処理し、かつ別個のフローテーション内で以下の特徴、すなわちインレットコンシステンシ、非通過量、滞留時間、薬品種類、比薬品量、薬品添加の場所、供給されるフローテーション空気の比量、気泡サイズ、フローテーションセルの数、フローテーションセルの種類、重力の場の大きさ、リジェクトに関するフローテーションステップの数またはアクセプトに関するフローテーションステップの数といった特徴が個別的にまたは互いに組み合わされてそれぞれ異なって選択されることにより、前記フローテーションのフローテーション作用を弁別するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、繊維を含むファインフラクションと繊維を含むコースフラクションとを形成するためのフラクショネーションを包含する、汚染物質を水性の繊維物質懸濁液、特に古紙懸濁液から複数の選択的なフローテーションにより除去する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
上記類の方法は、紙繊維懸濁液から、その中に懸濁した不都合な固体物質粒子、いわゆる「汚染物質」の少なくとも一部を析出するために使用される。周知のごとく、フローテーション時に、析出したい物質を含む泡または浮遊泥(フロス)が形成される。この種の方法の典型的な使用事例は、印刷された古紙から得られる水性の繊維懸濁液の調成である。この繊維懸濁液内で印刷インキ粒子は既に繊維から剥離されている。その結果、印刷インキ粒子は浮選される。ここで説明したフローテーションプロセスは、紙繊維物質と不都合な固体物質粒子との間の差異、すなわち繊維物質がそのどちらかといえば親水性の性質に基づいて繊維懸濁液中に留まる一方、前記固体物質粒子が疎水性であり、それゆえ空気気泡と共に泡内に達するという差異を利用する。印刷インキ粒子の他に多数の別の物質も存在する。これらの物質は疎水性であり、それゆえフローテーションにより繊維物質から分離される。そのような物質は特に接着剤、微細なプラスチック粒子および場合によっては樹脂である。ここで述べたフローテーション法により繊維が異物から分離される(両者は固体物質である。)ので、選択的なフローテーション、いわゆる選択浮選(selektive Flotation)」と呼ばれる。やはり使用される概念「フローテーションデインキング(Flotationsdeinking)」は一般に、印刷インキ粒子の除去(脱墨)のためだけでなく、より一般的に、繊維物質懸濁液からの異物の選択的なフローテーションのためにも使用される。
【0003】
相前後する2つのフローテーションステップを有しており、両フローテーションステップの間で機械的な処理を実施する方法が広く普及している。Herbert Britz氏の専門論文「Flotationsdeinking−Grundlagen und Systemeinbindung(Wochenblatt fuer Papierfabrikation10、1993年、第394頁〜第401頁)」から、まず「フローテーションI」を使用し、その後そのアクセプトのための高コンシステンシディスパージングを使用し、さらにその後、ディスパージング時に繊維から剥離された印刷インキの除去のための「フローテーションII」を使用することが公知である。
【0004】
そのような方法は極めて有効であるが、相対的に手間がかかる。それというのも、各部分ステップが、すべての紙繊維物質のための完全な選択的なフローテーションを包含しているからである。
【0005】
ドイツ連邦共和国特許出願公開第10256519号明細書から公知の方法では、全繊維物質がまず浮選される(フローテーション1)。その後、繊維フラクショネーションが実施される。このフラクショネーションのコースフラクションは分散され、引き続いてフラクショネーションのファインフラクションと共に2度目のフローテーションが実施される(フローテーション2)。
【特許文献1】ドイツ連邦共和国特許出願公開第10256519号明細書
【特許文献2】ドイツ連邦共和国特許第3005681号明細書
【特許文献3】欧州特許第0341913号明細書
【特許文献4】ドイツ連邦共和国特許出願公開第10236962号明細書
【非特許文献1】Herbert Britz:Flotationsdeinking−Grundlagen und Systemeinbindung(Wochenblatt fuer Papierfabrikation10、1993年、第394頁〜第401頁)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
それゆえ本発明の課題は、汚染物質粒子をできるだけ効果的に析出することができ、装置および運転に関する過度に高いコストおよび手間を必要としない調成方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために本発明の方法では、ファインフラクションおよびコースフラクションをその都度別個のフローテーションで処理し、かつ別個のフローテーション内で以下の特徴、すなわちインレットコンシステンシ、非通過量、滞留時間、薬品種類、比薬品量、薬品添加の場所、供給されるフローテーション空気の比量、気泡サイズ、フローテーションセルの数、フローテーションセルの種類、重力の場の大きさ、リジェクトに関するフローテーションステップの数またはアクセプトに関するフローテーションステップの数といった特徴が個別的にまたは互いに組み合わされてそれぞれ異なって選択されることにより、前記フローテーションのフローテーション作用を弁別するようにした。
【発明の効果】
【0008】
本発明による方法は、フローテーションがその都度1つのフラクションを処理するにすぎず、これらのフラクションにより課される固有の要求に合わせて最適に調整されることができるという利点を有している。
【0009】
典型的にこの方法は古紙懸濁液に使用される。この出発材料は種々異なる繊維と異物とから成る混合物を含んでいる。この混合物から、フラクショネーションにより、比較的小さな部分の着色剤および/または填料がコースフラクションに移送される一方、ファインフラクションは比較的大きな量の浮選可能な汚染物質を短繊維と共に含んでいる。そうして形成されたファインフラクションにおけるフローテーション条件はコースフラクションよりも好都合である。すなわち、ファインフラクションのフローテーションは例えばより高いコンシステンシで良好な結果にもたらされることもできるのに対し、例えば通常の全流式フローテーションは約1.3%のコンシステンシで実施される。本発明による方法の使用時、ファインフラクションは約1.5%で、コースフラクションは約0.9%で浮選されることができる。その際、条件および要求に合わせてこのコンシステンシ値を微調整することは容易に可能である。フローテーションに対する別の影響可能性は薬品調量の変更により提供される。
【0010】
以下に本発明について図面を参照しながら説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
図1に示した簡単な回路図において、水性の繊維物質懸濁液Sはまずフラクショネーション(分別)3に供給される。そのようなフラクショネーションにおいて、他の繊維に比べて著しく長く、場合によってはより硬い繊維がコースフラクション(Grobfraktion)Gに案内される一方、短繊維、微細物質、填料および微細な汚染物質粒子がファインフラクション(Feinfraktion)Fに達する。ここに挙げたのは固体物質だけである。液体、つまり主に水は両フラクションと共に流動する。その際、コンシステンシのシフト、より厳密に言えば通常、ファインフラクションFがコースフラクションGよりも低いコンシステンシを有するようなシフトが生じ得る。フラクショネーションは、すべての繊維または著しく大きな部分の繊維がコースフラクションGに達するように実施されることもできる。ファインフラクションGはその場合、ほとんど繊維を含んでいない(短繊維も)が、浮選したい汚染物質を含む有機/無機の微細物質の大部分を含んでいる。その際、繊維の部分は一般に、Bauer−McNettに基づくスクリーンR100の残分として求められる(TAPPIスタンダードT233に基づく試験法)。微細物質は同じ分析でスクリーンの通過分として生じる。
【0012】
図1に示されているように、ファインフラクションFはフローテーション1に案内され、そこで自体公知の形式で汚染物質から清浄化される。このフローテーション1は短繊維フローテーションと呼ばれることもできる。それというのも、フローテーションの運転パラメータが、短繊維および微細物質で特に富まされた懸濁液、すなわち短繊維および微細物質の濃度が高められた懸濁液に合わせて調整されているからである。フローテーション1におけるプロセスは公知である。大部分の汚染物質を含むフローテーション泡R1と、大部分の繊維を含む清浄化されたアクセプトA1とが形成される。
【0013】
フラクショネーション3のコースフラクションGは水Wで希釈され、長繊維フローテーションと呼ばれることもできるフローテーション2で清浄化され、フローテーション2から、清浄化されたアクセプトA2が獲得される。この場合もフローテーション泡R2が汚染物質導出のために形成される。
【0014】
本発明による方法を最適に、ひいては特に経済的かつ効果的に実施し得るように、運転パラメータおよび/またはフローテーションのために使用される装置をその都度、浮選したい懸濁液、すなわちここで観察される事例ではファインフラクションFおよびコースフラクションGに合わせて調整する可能性が存在する。フローテーションにおける重要なパラメータはインレットコンシステンシ(Einlaufkonsistenz)、すなわち懸濁液がフローテーション装置に供給される際の固体物質含有量である。懸濁液の通過量に関する非通過量(Ueberlaufmenge)、すなわち残分量も、有効性、特にアクセプトの清浄性に対する強い影響を有している。大きな非通過量はアクセプトを改善するが、リジェクトに関する別のステップにおけるより大きな損失またはより大きな手間に至る。フローテーション領域における懸濁液のより大きな滞留時間は少なくとも所定の限度内でフローテーション効果を改善するもしくはより難しい物質に合わせて調節することができる。フローテーション薬品において、種類と、繊維物質量に関する比薬品量とは変更されることができる。その際、フローテーション装置の運転コストにおいて重大な役割を果たす薬品に関するコストは最小化される。つまり、例えば薬品の量および種類により、長繊維懸濁液の、短繊維懸濁液に比してより大きな粘度に合わせて調節されることができる。薬品添加のための場所の選択によっても適当な変更が可能である。周知のごとく、薬品は少なくとも既に部分的にパルピング(離解)時に添加されることができ、フローテーション装置の直前で添加されることもできる。
【0015】
供給されるフローテーション空気の量および気泡サイズもフローテーション効果に影響を及ぼし、特に浮選したい粒子のサイズに合わせて調整される。フローテーションセルのより大きな数は、その他のパラメータが同じであるとき、その作用を強化することができる。周知のごとく、フローテーションセルの種類の相違、例えばフローテーションセルが、実質的に垂直に流動する懸濁液案内を有するフローテーション塔であるか、または水平のフローテーションセルであるかの相違もある。大抵のフローテーションセルが地球重力の場内で運転される一方、例えば渦流またはサイクロンにより重力の場を強化する可能性も存在する。多くの事例では、フローテーション装置のリジェクト側で、改めて1回または複数回浮選される。このことは通常、リジェクトに関する別のフローテーションステップと呼ばれる。それにより、例えば非通過量が拡大され、それでもなおフローテーション装置全体の良好な歩留まりが達成される。アクセプト側でも複数のフローテーションステップが相前後して貫流されることができる。多くの事例では、上記パラメータのうちの1つを変更することで十分であるが、これらの上記パラメータのうちの複数を、本発明の課題を解決するために変更することも何ら問題なく可能である。
【0016】
図1に示した機能回路図を説明するために、図2には若干詳細な図が、ここでは具体的な機械的な記載を見て取ることができないような形で示されている。この図面によれば、フラクショネーション3のために、プレッシャスクリーンとも呼ばれる加圧式ソータ(Drucksortierer)の類の湿式スクリーン機械が使用される。加圧式ソータはフラクショネーションの要求に応じて構成され運転される。この加圧式ソータはつまり汚染物質の分離のために役立つものでなく、できる限りすべての繊維が通過分に達するようになっている。加圧式ソータでのフラクショネーションのために必要なパラメータは自体公知である。最も重要なパラメータはスクリーン開口の形状およびサイズ、非通過率(Ueberlaufrate)およびスクリーンクリアリングである。汚染物質除去(「ソーティング」もしくは「スクリーニング」)時とは異なり、つまりフラクショネーション時、非通過分も大部分繊維から成る。繊維物質懸濁液Sはそのような加圧式ソータのハウジングの内部にポンプにより圧送され、スクリーンバスケット7の助けを借りて分別される。加圧式ソータでのフラクショネーションのために必要なパラメータは自体公知である。最も重要なパラメータはスクリーン開口の形状およびサイズ、懸濁液のコンシステンシ、非通過率およびスクリーンクリアリングの種類である。典型的なスクリーン開口は0.2mm〜0.5mmの範囲の丸穴または0.1mm〜0.3mmのスリットである。フラクショネーション3の実現のための運転条件および装置の選択により、繊維物質の、コースフラクションおよびファインフラクションへの分割が調節される。
【0017】
フラクショネーション3は択一的にウォッシング装置(ウォッシャ)30の使用によっても運転される。ウォッシング装置30のろ液はその際ファインフラクションFである。繊維物質のためのそのようなウォッシング装置は公知である。ウォッシング装置は、水を固体物質から分離するために役立つ(フィルタ)だけでなく、固体物質自体の分別も行うべきである。特に適した技術的な実施形態および有利なパラメータは例えばドイツ連邦共和国特許出願公開第3005681号明細書に記載されている。循環する2つのスクリーンベルトを備えた同様に作業する装置も公知である。1つの例は欧州特許第0341913号明細書に示されている。
【0018】
周知のごとく、繊維はただしハイドロサイクロンで分別されることもできる。その際、0.3%〜0.7%のコンシステンシが特に有利である。
【0019】
フラクショネーション3のファインフラクションFはここでは、フローテーション1を実施する概略的にのみ示されたフローテーション装置への進入の直前に空気Lと混合され、その後フローテーションにもたらされる。フローテーション装置はリジェクト側に複数のステップ、例えば2つのステップを有している。その際に形成されるフローテーション泡R1は除去され、リジェクト処理8に案内される。装置次第でリジェクト処理8が単数または複数のフローテーションステップで実施されることができる。このための幾つかの種々異なる接続可能性は自体公知である。分別する加圧式ソータの非通過分、つまりコースフラクションGは水Wで希釈された後フローテーション2に移動する。既に説明したように、コースフラクションGのフローテーションはファインフラクションFに比して一般に困難な条件下で進行する。この理由の1つは長繊維がフロックを形成する傾向にあることにあり、フロックは汚染物質のフローテーションを阻止する。またコースフラクションの粘度はファインフラクションの粘度よりも高い。例えば1.3%を下回る値にコンシステンシを減じることはフローテーション結果を大幅に改善する。コースフラクションGは部分流にすぎないので、シンニング(希釈)が方法全体(物質収支、水循環)に与える負荷は相対的に僅かである。
【0020】
図3によれば、既に離解された古紙Aはまず、スクリーニングもしくはソーティング9により、粗い異物および中間的な異物から清浄化される。このために特にホールソータ(Lochsortierer)およびハイドロサイクロンが適している。そうして形成された繊維物質懸濁液Sはフラクショネーション3によりファインフラクションFとコースフラクションGとに分割される。多くの事例でフローテーションの実施前にディスパージング(分散)4を行うことは有意義である。そのような事例は図3および図4に示されている。コースフラクションGはシックニング(濃縮)5により、より高いコンシステンシ、有利には15%〜25%のコンシステンシを得て、その後ディスパージング4と、引き続いてのシンニング6、例えば0.5%〜1%のコンシステンシへのシンニングを経る。周知のごとく、そのような使用例でのディスパージング4の主な目的は、繊維に付着した汚染物質の剥離である。場合によっては、ディスパージングにより得られる別の効果、例えば残留フレークの離解がこれに由来していることもできる。分散かつ希釈された物質はその後フローテーション2に達する。
【0021】
図4には図2と類似の形式で、この方法のために使用可能な装置が若干詳細に示されている。その際、繊維物質懸濁液Sはまずフラクショネーション3に供給される。フラクショネーション3はここでも、スクリーンバスケット7を装備した加圧式ソータの助けを借りて実施される。周知のごとく、繊維はただしハイドロサイクロンまたはスクリーンプレス(Siebpresse)で分別されることもできる。ファインフラクションF、つまりスクリーンバスケット7の通過分はフローテーション1に達する。フローテーション1で、清浄化されたアクセプトA1とフローテーション泡R1とが形成される。
【0022】
フラクショネーション3からのコースフラクションGのコンシステンシはシックニング5により15%〜25%の値に高められる。このためにここでは例示的にスクリュープレス19が暗示されている。ただし周知のごとく、場合によっては多段式に作業する別のシックニング装置(シックナ)も存在する。このシックニング5からのろ液10は例えば繊維物質懸濁液Sの形成のために使用されることができる。濃縮された物質11はその後、図示されていない搬送スクリューシステムを介してディスクディスパージャ18に達する。ディスクディスパージャ18では周知のごとく、歯を備えたディスパージャ工具が短い間隔を置いて互いに相対的に運動させられ、高いせん断力により高コンシステンシの物質のディスパージングを生ぜしめる。択一的にはニーダが使用されることもできる。通常、ディスパージングのために設けられた高コンシステンシの物質を、例えば80℃〜95℃の温度に加熱することが有利である。このために、ここに暗示されているように、ディスクディスパージャ18内への蒸気Dの直接的な供給が実施されることができる。コースフラクションGのディスパージング4のための別の可能性は、例えばドイツ連邦共和国特許出願公開第10236962号明細書に記載された方法に従って作業するコンプレッションリファイナの使用にある。この方法は繊維損傷なしに極めて良好なディスパージングをもたらす。このディスパージングはディスクディスパージャまたはニーダに比してより低いコンシステンシで実施されることができ、このことは装置およびエネルギに関するコストを節減する。ディスパージング4にて繊維物質に伝達される機械的な仕事量は通常30kWh/t〜120kWh/tの間、有利には約60kWh/tの値に調節される。
【0023】
ディスパージング4の後、シンニング6が水Wの添加により例えばチェスト内で実施される。そうして準備された繊維物質懸濁液は引き続いてフローテーション2で良好な結果を伴って浮選可能な異物から清浄化される。多くの事例で、フローテーション1のアクセプトA1とフローテーション2のアクセプトA2とが1つのチェスト12内で混合され、さらに処理されることができる。その際一般に、別のフローテーションを設けることはもはや不要である。むしろ、本発明は別のフローテーションを節減する可能性を提供する。それというのも、個々のフラクションに合わせて特別に調整されたフローテーション1,2により、既に完全に満足の行くフローテーション結果が達成可能であるからである。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明による方法の回路図である。
【図2】本発明による装置の概略図である。
【図3】方法の別のバリエーションを示す図である。
【図4】図3に示した方法のための装置の概略図である。
【符号の説明】
【0025】
1 フローテーション
2 フローテーション
3 フラクショネーション
4 ディスパージング
5 シックニング
6 シンニング
7 スクリーンバスケット
8 リジェクト処理
9 ソーティング
10 ろ液
11 濃縮された物質
12 チェスト
18 ディスクディスパージャ
19 スクリュープレス
30 ウォッシング装置
A 古紙
A1 アクセプト
A2 アクセプト
D 蒸気
F ファインフラクション
G コースフラクション
L 空気
R1 フローテーション泡
R2 フローテーション泡
S 繊維物質懸濁液
W 水

【特許請求の範囲】
【請求項1】
繊維を含むファインフラクション(F)と繊維を含むコースフラクション(G)とを形成するためのフラクショネーション(3)を包含する、汚染物質を水性の繊維物質懸濁液(S)、特に古紙懸濁液から複数の選択的なフローテーションにより除去する方法において、
ファインフラクション(F)およびコースフラクション(G)をその都度別個のフローテーション(1,2)で処理し、かつ別個のフローテーション(1,2)内で以下の特徴、すなわちインレットコンシステンシ、非通過量、滞留時間、薬品種類、比薬品量、薬品添加の場所、供給されるフローテーション空気の比量、気泡サイズ、フローテーションセルの数、フローテーションセルの種類、重力の場の大きさ、リジェクトに関するフローテーションステップの数またはアクセプトに関するフローテーションステップの数といった特徴が個別的にまたは互いに組み合わされてそれぞれ異なって選択されることにより、前記フローテーション(1,2)のフローテーション作用を弁別することを特徴とする、汚染物質を水性の繊維物質懸濁液から除去する方法。
【請求項2】
ファインフラクション(F)を短繊維で富ませ、コースフラクション(G)を長繊維で富ませる、請求項1記載の方法。
【請求項3】
ファインフラクション(F)を処理するフローテーション(1)が短繊維フローテーションであり、コースフラクション(G)を処理するフローテーション(2)が長繊維フローテーションである、請求項2記載の方法。
【請求項4】
ファインフラクション(F)を微細物質で富ませ、コースフラクション(G)を短繊維および長繊維で富ませる、請求項1記載の方法。
【請求項5】
フラクショネーション(3)を加圧式ソータ内で実施し、コースフラクション(G)を処理するフローテーション(2)を、ファインフラクション(F)を処理するフローテーション(1)内のコンシステンシとは少なくとも0.5%の分だけ弁別されるコンシステンシで運転する、請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
コースフラクション(G)を処理するフローテーション(2)を、最高で1.5%、有利には0.7%〜1.3%のコンシステンシで実施し、ファインフラクション(F)を処理するフローテーション(1)を、最高で2.5%、有利には1.5%〜2%のコンシステンシで実施する、請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
コースフラクション(G)を処理するフローテーション(2)における懸濁液の滞留時間を、ファインフラクション(F)を処理するフローテーション(1)における滞留時間とは少なくとも10%、有利には少なくとも20%の分だけ異なるように調節する、請求項1から6までのいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
コースフラクション(G)を処理するフローテーション(2)において、供給されるフローテーション空気の、体積流量に関する比量を、ファインフラクション(F)を処理するフローテーション(1)とは少なくとも10%、有利には20%の分だけ異なるように調節する、請求項1から7までのいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
コースフラクション(G)を処理するフローテーション(2)における平均的な気泡サイズを、ファインフラクション(F)を処理するフローテーション(1)とは異なるように調節し、その差異が少なくとも10%、有利には少なくとも20%であるようにする、請求項1から8までのいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
コースフラクション(G)を処理するフローテーション(2)に支配する重力の場を、ファインフラクション(F)を処理するフローテーション(1)とは異なるように調節する、請求項1から9までのいずれか1項記載の方法。
【請求項11】
コースフラクション(G)を処理するフローテーション(2)において、ファインフラクション(F)を処理するフローテーション(1)とは異なる数の、リジェクトに関するフローテーションステップを使用する、請求項1から10までのいずれか1項記載の方法。
【請求項12】
コースフラクション(G)を処理するフローテーション(2)において、ファインフラクション(F)を処理するフローテーション(1)とは異なる数の、アクセプトに関するフローテーションステップを使用する、請求項1から11までのいずれか1項記載の方法。
【請求項13】
コースフラクション(G)を処理するフローテーション(2)において、ファインフラクション(F)を処理するフローテーション(1)とは異なる非通過部分を形成し、その差異が少なくとも20%であるようにする、請求項1から12までのいずれか1項記載の方法。
【請求項14】
コースフラクション(G)をフローテーション(2)前に濃縮し、分散し、その後再び希釈する、請求項1から13までのいずれか1項記載の方法。
【請求項15】
ディスパージング(4)をディスクディスパージャまたはニーダ内で、15%〜35%のコンシステンシで実施する、請求項14記載の方法。
【請求項16】
ディスパージング(4)をコンプレッションリファイニングにより実施する、請求項14記載の方法。
【請求項17】
ディスパージング(4)時に伝達される比仕事量が30kWh/t〜120kWh/t、有利には約60kWh/tである、請求項14から16までのいずれか1項記載の方法。
【請求項18】
フラクショネーション(3)を、少なくとも1つのスクリーンを装備した加圧式ソータにより実施する、請求項1から17までのいずれか1項記載の方法。
【請求項19】
スクリーンに設けられた開口が、0.08mm〜0.3mm、有利には0.1mm〜0.15mmのスリット幅を有するスリットである、請求項18記載の方法。
【請求項20】
スクリーンに設けられた開口が穴である、請求項18記載の方法。
【請求項21】
スクリーンに設けられた開口が、0.1mm〜2mm、有利には0.3mm〜1mmの直径を有する丸穴である、請求項20記載の方法。
【請求項22】
フラクショネーション(3)をスクリュープレス内で実施する、請求項1から17までのいずれか1項記載の方法。
【請求項23】
フラクショネーション(3)を0.6%〜4%のコンシステンシで実施する、請求項1から22までのいずれか1項記載の方法。
【請求項24】
フラクショネーション(3)をハイドロサイクロン内で、0.1%〜2%、有利には0.3%〜0.7%のコンシステンシで実施する、請求項1から17までのいずれか1項記載の方法。
【請求項25】
前記両フローテーション(1,2)の他に、汚染物質を繊維物質懸濁液から除去するための別のフローテーションを実施しない、請求項1から24までのいずれか1項記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−316400(P2006−316400A)
【公開日】平成18年11月24日(2006.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−129602(P2006−129602)
【出願日】平成18年5月8日(2006.5.8)
【出願人】(301017916)フォイト ペイパー パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (7)
【氏名又は名称原語表記】Voith Paper Patent GmbH
【住所又は居所原語表記】St. Poeltener Str. 43, D−89522 Heidenheim, Germany
【Fターム(参考)】