説明

汚泥などの乾燥装置

【課題】 ドラム内にはモータにて回転するスクリューを配置し、ドラム上部に設けた投入口から含水率の高い汚泥を投入し、上記スクリューの回転と共に熱風を与えることで乾燥してドラム底部に設けた排出口から排出することが出来る汚泥乾燥装置の提供。
【解決手段】 スクリュー2はパイプ状で内部空間を有す中心軸に螺旋羽根16を取付け、螺旋羽根16の外周には連結棒17を中心軸と平行に取付け、スクリュー2の中心軸はドラムの両端面から突出してベース5から起立して設けた軸受け10a,10bに載って支持し、中心軸3には熱風を流して該中心軸外周から熱風を噴射する為に多数の小さい穴を設けている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は臭気を外に逃がすことなく、省スペースで効率よく、汚泥、オカラ、生ゴミ、醤油粕などを乾燥することが出来る汚泥の乾燥装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
我国の産業廃棄物の年間総量は約4億トンで、その内の約19%を下水汚泥が占め、下水道の普及に伴って発生する下水汚泥量は年々増加している。ところで、下水汚泥の利用率は約74%を超えており、昔は埋め立て処理されていたが、近年での有効利活用としては、堆肥化、炭化、助燃材としての燃料化、及び焼却灰のセメント原料化などであるが、多くは焼却処理されているのが現状である。
【0003】
上記炭化以外についての利活用に関しては、多額の設備投資とその活用化に多くの重油が使用され、焼却すれば大量の二酸化炭素(CO)が排出され、またダイオキシン発生の問題も残されている。そして、埋め立て処分するには広い埋立地が必要になると共に、埋立てることで有機物が分解する際に二酸化炭素やメタンガスが多量に発生する。
【0004】
そこで、下水汚泥を堆肥化することで、農作物の肥料として活用することが好ましいが、下水汚泥は含水率が高く(85%)、堆肥の発酵に最適な含水率(60%)まで低下させる必要がある。オガクズや籾殻などの副資材を加えることで含水率60%まで低下させるには大量の副資材が必要となる。そして、汚泥に副資材を加えて堆肥化するためには汚泥排出量の2倍の容量の堆肥化施設が必要となる。
【0005】
従来においても下水汚泥を乾燥する為の装置は数多く開発されて来ている。しかし、これらの汚泥乾燥装置は、その乾燥処理に大量のエネルギーを必要とし、乾燥時に発生する水蒸気にアンモニアなどの臭気が含まれて問題と成るが、この臭気対策は容易でない。
【0006】
特開2007−136348号に係る「油浴式汚泥乾燥機」は、脱水汚泥を効率よく乾燥処理することができる油浴式汚泥乾燥機である。
廃油を収納した横型円筒式の加熱炉の入側に汚泥投入機、出側に汚泥排出機を設けるとともに、投入した汚泥を廃油中で攪拌・加熱しながら入側から出側へ搬送するスクリュー式の搬送機を加熱炉内部の軸方向に設けた油浴式汚泥乾燥機であって、前記汚泥投入機に汚泥を多数のヒモ状に分散させて押し出すための孔開き部材を上下反転自在に設けており、乾燥処理を迅速かつ効率的に行うことが出来る。
【0007】
特開平8−206698に係る「スクリュ−撹拌式汚泥乾燥機」は、汚泥乾燥機の乾燥効率の向上を目的としたものであり、 スチームジャケットを備えたケーシング内にスクリュー羽根を設けた複数の回転軸を配設し、ジャケットと回転軸とスクリュー羽根に加熱蒸気を供給して、ケーシング内に投入された汚泥を加温、乾燥させるようにした乾燥機において、ケーシングの前端底部に汚泥の投入口を設け、汚泥を連続的に投入できるようにし、スクリュー羽根への汚泥の接触を良好にして乾燥効率を向上できるようにしている。
【0008】
特開2007−111652号に係る「汚泥乾燥装置」は、汚泥を効率よく乾燥することができる装置である。
円筒型容器内で汚泥をスクリューで攪拌して乾燥させる汚泥乾燥装置において、スクリューの回転軸が横向きであり、スクリューの螺旋状羽根の間隔が乾燥汚泥の排出口側にて狭くし、汚泥投入口に、汚泥投入口を複数の部分に区分する補助部材が取付けられている。そして、螺旋状羽根の軸方向に伸びた、汚泥加熱用流体を通すパイプを螺旋状羽根の周縁部に固定し、さらに、前記パイプの前記回転軸の周りの回転方向の側面側に鋸歯状の造粒板を配設している。
【0009】
このように、水分を多量に含んでいる汚泥を効率よく乾燥する為の汚泥乾燥装置は色々存在している。ところで、これらの乾燥装置はスクリューを備え、投入口から投入された汚泥はスクリューの回転と共に乾燥されながら送られ、そして排出口から排出される。粘性が高くて固まっている汚泥はスクリューの回転に伴って移動するが、固まった状態での汚泥を乾燥することは容易でない。
【0010】
一方、産業廃棄物として処理しなくてはならない対象物は、上記汚泥のみならず、オカラ、醤油粕、生ゴミも同じである。
【特許文献1】特開2007−136348号に係る「油浴式汚泥乾燥機」
【特許文献2】特開平8−206698に係る「スクリュ−撹拌式汚泥乾燥機」
【特許文献3】特開2007−111652号に係る「汚泥乾燥装置」
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
このように、従来の汚泥乾燥装置には上記のごとき問題がある。本発明が解決しようとする課題はこれら問題点であり、攪拌能力に優れると共に消費されるエネルギーを抑え、また外部への臭気の発散を防止することが出来る汚泥、オカラ、醤油粕、生ゴミなどの乾燥装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係る汚泥などの乾燥装置は、ドラム内にスクリューを設け、このスクリューを回転する駆動装置を有している。スクリューは螺旋状を成して中心軸に取付けられ、上記ドラム内に投入される汚泥などはスクリューが回転することで投入側から排出側へ送られる。そして、スクリューは加熱され、投入されてドラム内を移動する汚泥などを乾燥することが出来る。また、ドラム外周を加熱する為にラバーヒータなどを該ドラム外周に取付けている。
【0013】
ここで、中心軸は内部に空間を有すパイプとし、この空間には熱風が流れ、中心軸からスクリュー羽根へと伝達される熱は該スクリューを加熱することが出来る。そして、スクリューが回転することでドラム内の汚泥が十分に攪拌されるように、スクリュー羽根の外周には中心軸と平行を成して連結棒を取付けている。また、スクリュー軸の入口側には半径方向へ延びる攪拌棒を有している。そして、ドラム上部には排気口を設け、乾燥時に生じる水蒸気と共に臭気が捕集される。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る汚泥乾燥装置は、ドラム内に投入された汚泥などはスクリューの回転に伴って排出側へ移動し、排出されるまでに乾燥されて含水率を大きく低下することが出来る。スクリューのパイプ状中心軸に熱風を流すと共に、該中心軸外周に設けた多数の小さい穴から熱風が吹き出すことでドラム内の汚泥は効率よく乾燥される。下水汚泥の場合であれば、85%程あった含水率を、ドラムから排出されるまでに含水率60%程度まで低下し、堆肥の発酵に最適となる。
【0015】
そして、本発明ではスクリューの羽根の外周部に軸と平行を成して連結棒が取付けられている為に、この連結棒はスクリューの回転に伴ってドラム内の汚泥などを攪拌し、固まった汚泥であれば細かく砕かれ、中心軸の穴から噴射する熱風が細かく砕かれた汚泥の隅々まで行き渡る為に、乾燥効率は高くなる。また、ドラムの外周にヒータを取付けることでスクリュー中心軸から噴射する熱風と共に汚泥などを効率よく短時間で乾燥させることが出来る。一方、ドラムは密封されて臭気が外部へ漏れることはなく、該臭気は燃焼工程の吸気として利用される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係る汚泥乾燥装置を示す実施例。
【図2】(a)はスクリュー、(b)は図1のD−D断面、(c)は図1のC−C断面、(d)は図1のB−B断面、(e)は図1のA−A断面を示している。
【図3】スクリューを単独で表している具体例。
【図4】「下水汚泥」、「オカラ、醤油粕」を乾燥する工程図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1、図2は本発明に係る汚泥乾燥装置を示す実施例であり、図1の(a)は断面を含む平面図、(b)は断面を含む正面図を表し、同図の1はドラム、2はスクリュー、3は中心軸をそれぞれ表している。図2の(a)はスクリュー、(b)は図1のD−D断面、(c)は図1のC−C断面、(d)は図1のB−B断面、(e)は図1のA−A断面を示している。ドラム1は底部4を滑らかな円弧としたU形断面の容器であり、上部には上蓋5が取着され、内部には上記スクリュー2が収容されている。
【0018】
ベース5には複数ヶ所に支持脚6,6・・・が起立し、この支持脚6,6・・・に上記ドラム1が載置されている。そこで、支持脚6はドラム1の滑らかな円弧状の底部4になじむように受け面を形成し、左右、前後の4箇所に配置した支持脚6,6・・・に載って安定して支えられる。そして、ドラム1の内部に収容されるスクリュー2は、中心軸3がドラム1の両端面7a,7bから突出して延び、ドラム1の両側に設けた軸受け8a,8bに支持されている。
【0019】
両端面7a,7bから突出して延びた中心軸3の先端には軸円盤9a,9bが取着され、この軸円盤9a,9bは軸受け8a,8bに設けた軸受けローラ10a,10bに載って支持され、回転することが出来る。勿論、軸受けローラ10a,10bも回転出来るように軸支されている。図2(c)に示しているように、ベース5から起立した軸受け8には4個の軸受けローラ10,10・・・が配列され、これら4個の軸受けローラ10,10・・・に軸円盤9が支持されている。
【0020】
ここで、軸受けローラ10は中央部が窪んだ凹形断面を形成し、軸円盤9は外周先端が尖った凸形状を有している。そこで、軸受けローラ10,10・・・に載って支持される軸円盤9は、スラスト荷重を受けて軸方向への移動が拘束される。従って、凹凸形状を逆にして、軸円盤9の外周を凹部形状とし、軸受けローラ10の外周を凸部形状とすることも可能である。このように、本発明ではスクリュー2を回転可能に軸支する軸受け8a,8bをドラム1の外に設けることでスクリュー2は安定して回転することが出来る。ここで、上記中心軸3を支持する為の軸受け構造は同図に示す場合に限るものではなく、スラスト荷重も支えることが出来る軸受け構造とすればよい。
【0021】
そして、中心軸3には右側の軸円盤9bと端面7bとの間にスプロケット11が取付けられ、ベース側にはモータ24で回転駆動されるスプロケット12が配置され、両スプロケット11,12にはチェーン13が巻き掛けられている。従って、両軸受け8a,8bに支持されたスクリュー2は上記モータ24にて回転駆動され、ドラム1に投入される汚泥を攪拌されながら乾燥することが出来る。
【0022】
ドラム1の上部上蓋6には投入口14が右側に設けられ、ドラム1の底部4には左側に排出口15が設けられている。そこで、投入口14から多くの水分を含んだ汚泥が投入され、そしてドラム1の内部ではスクリュー2にて攪拌されると共に噴出する熱風にて乾燥され、含水率を低くして排出口15から排出される。ドラム1に投入された汚泥を攪拌する場合、該スクリュー2には大きな回転トルクが作用し、両スプロケット12,11に巻き掛けたチェーン13を介してゆっくり回転することが出来る。そして、汚泥はスクリュー2の回転に伴って排出口15の方向へ攪拌しながら移動する。
【0023】
汚泥が移動することでその反力として軸方向への押圧力が作用するが、軸受け8a,8bに設けた軸受けローラ10a,10a・・・、10b,10b・・・に軸円盤9a,9bが噛み合うことで、軸方向の移動は阻止される。ところで、本発明の汚泥乾燥装置は中心軸3から熱風を噴出し、またドラム1の底部4から両側部にかけてラバーヒータを取付けている。
【0024】
従って、ドラム1に投入された汚泥は中心軸3から噴出す熱風と外周に貼り付けたラバーヒータとで該汚泥を効率よく短時間で乾燥して含水率を低下することが可能となる。図3はスクリュー2を単独で表している具体例であり、中心軸3の周りに螺旋状を成したスクリュー羽根16を取付けている。そしてスクリュー羽根16の外周には連結棒17,17・・・が中心軸3と平行を成して取付けられ、また、スクリュー羽根16の中間部位には別の連結棒18,18・・・が中心軸3と平行を成して取付けられている。さらに、中心軸3には外方向へ延びる攪拌棒19,19・・・を取付けている。
【0025】
中心軸3にスクリュー羽根16を取付けただけのスクリュー2であれば、ドラム内の汚泥は該スクリュー2の回転と共に軸方向へ移動して排出口15から排出されるだけであるが、スクリュー羽根16の外周に連結棒17,17・・・を設けることで、また中間部位に連結棒18,18・・・を設けることで、該汚泥はスクリュー2の回転に伴って攪拌される。そして、攪拌と同時に中心軸3から噴射される熱風にて汚泥は効率よく乾燥する。含水率85%の下水汚泥であれば、堆肥の発酵に最適な含水率60%まで低下することが出来る。
【0026】
中心軸3は内部が空洞化しているパイプで構成され、熱風発生ファン20からパイプ21を流れて中心軸3へ送られる。そして中心軸3の外周には小さい穴が多数設けられ、これら穴から熱風が噴射して汚泥に吹き付けられる。図2(a)には中心軸3の外周にノズル22,22・・・を取付けた場合を示しているが、中心軸3の内部を流れる熱風はノズル22,22・・・から吹き出して、汚泥に吹き付けると共に、スクリュー羽根16に吹付ける。
【0027】
すなわち、スクリュー羽根16に吹き付けられるようにノズル22は湾曲した形状とし、熱風が当ることでスクリュー羽根16が加熱され、スクリュー羽根16に接する汚泥は加熱されて短時間で乾燥する。そして、中心軸3の半径方向へ延びる攪拌棒19,19・・・は固まっている汚泥をスクリュー2の回転に伴って細かく砕くことが出来る。また、ドラム1は密封されていて、汚泥の乾燥時に発生する臭気が外部へ逃げないようにし、臭気はドラム1の上部に設けた排気口23から、乾燥時に生じる水蒸気と共に捕集したうえで、水洗い脱臭し、脱離液と共に施設に還元し、新たなコストを生じないように成っている。
【0028】
上記実施例では汚泥の乾燥について説明したが、本発明に係る乾燥装置は汚泥に限るものではなく、「オカラ」、「醤油粕」、「生ゴミ」なども対象とし、これらを効率よく短時間で乾燥処理することも可能である。図4は「下水汚泥」と「オカラ、醤油粕」の乾燥処理工程を示している。
【0029】
85%の含水率を有す下水汚泥を本発明に乾燥装置を用いて40〜70%に乾燥し、これをオガクズなどの副資材を混合して発酵するならば堆肥化することが出来る。また、これをさらに乾燥し、含水率10〜20%の固形状として燃料とすることも可能である。本発明に係る乾燥装置は図4における一次乾燥工程に使用される。
【0030】
一方、「オカラ、醤油粕」の場合には、同じく一次乾燥として本発明の乾燥装置が使われ、含水率は40〜70%に低下して固形状となる。固形状となったオカラや醤油粕は、さらに二次乾燥されて焼却され、灰となる。
【符号の説明】
【0031】
1 ドラム
2 スクリュー
3 中心軸
4 底部
5 ベース
6 上蓋
7 端面
8 軸受け
9 軸円盤
10 軸受けローラ
11 スプロケット
12 スプロケット
13 チェーン
14 投入口
15 排出口
16 螺旋羽根
17 連結棒
18 連結棒
19 攪拌棒
20 熱風ファン
21 パイプ
22 ノズル
23 排気口
24 モータ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース上にはドラムを取付け、該ドラム内にはモータにて回転するスクリューを配置し、ドラム上部に設けた投入口から含水率の高い汚泥、オカラ、醤油粕、又は生ゴミなどを投入し、上記スクリューの回転と共に熱風を与えることで乾燥してドラム底部に設けた排出口から排出することが出来る汚泥乾燥装置において、上記スクリューはパイプ状で内部空間を有す中心軸に螺旋羽根を取付け、螺旋羽根の外周には連結棒を中心軸と平行に取付け、スクリューの中心軸はドラムの両端面から突出してベースから起立して設けた軸受けに支持され、中心軸には熱風を流して該中心軸外周から熱風を噴射する為に多数の小さい穴を設け、そしてドラム上部には臭気を乾燥時荷生じる水蒸気と共に捕集する排気口を設けたことを特徴とする汚泥などの乾燥装置。
【請求項2】
螺旋羽根の中間部位にも連結棒を中心軸と平行に設けた請求項1記載の汚泥などの乾燥装置。
【請求項3】
上記中心軸の先端に軸円盤を取着し、軸受けには複数の軸受けローラを回転可能に軸支し、上記軸円盤を軸受けローラに載せて支持し、そして軸円盤の外周と軸受けローラの外周には軸方向移動を拘束する為に互いに噛み合うように凹部と凸部を形成した請求項1、又は請求項2記載の汚泥などの乾燥装置。
【請求項4】
上記ドラム外周にヒータを取付けた請求項1、請求項2、又は請求項3記載の汚泥などの乾燥装置。






【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−46882(P2013−46882A)
【公開日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−185359(P2011−185359)
【出願日】平成23年8月27日(2011.8.27)
【出願人】(511209826)株式会社ヴァイオス (1)
【出願人】(511209837)エコロジーわかやま協同組合 (1)
【Fターム(参考)】