説明

汚泥の脱水方法

【課題】凝集剤の薬注率の低減を図り、システム全体としてのSS回収率を向上させ、さらに排水の発泡を抑制できる汚泥の脱水方法を提供する。
【解決手段】一次凝集工程と混合工程と分離工程と二次凝集工程と脱水工程を経て脱水対象汚泥を脱水するものであって、第1の凝集混和槽2で脱水対象汚泥7に高分子凝集剤8を注入して凝集汚泥を生成し、スクリュープレス脱水機6の濃縮ゾーンから排出する濃縮ゾーン分離液と脱水ゾーンから排出する脱水ゾーン分離液を混合手段3に供給し、混合手段3で第1の凝集混和槽2の凝集汚泥に濃縮ゾーン分離液と脱水ゾーン分離液を混合して混合汚泥を生成し、分離装置4で混合手段3の混合汚泥を分離液と分離汚泥に分離し、第2の凝集混和槽5で分離装置4の分離汚泥に凝集剤を混合して凝集汚泥を生成し、スクリュープレス脱水機6で凝集汚泥を脱水する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は汚泥の脱水方法に関し、脱水ろ液の処理技術に係るものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の技術としては特許文献1に記載するものがある。これは、汚泥貯留槽から供給する脱水対象液に凝集剤を添加してスクリュープレス脱水機に圧入し、凝集剤により凝集フロックを形成した脱水対象液をスクリュープレス脱水機で脱水し、スクリュープレス脱水機から排出する脱水分離液を分離槽に供給し、分離槽に貯留する脱水分離液に微細気泡を混入・攪拌し、脱水分離液中のSSを微細気泡に付着させて泡沫分離し、分離したSSを含む泡沫層を汚泥貯留槽へ返送してSSを系内に留め、SSを除去した脱水分離液を処理水として系外へ取り出すものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3883400号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、スクリュープレス脱水機やロータリープレス脱水機では金属ろ材を用いるので、脱水対象の汚泥を脱水機内に圧入してろ過する。このため、脱水機に圧入する凝集フロックには圧入圧力に耐える強度が必要である。
【0005】
図7に示すように、薬注率が低い場合には凝集剤は荷電中和に消費されて凝集フロック強度は低くなる。この荷電中和に必要な薬注率を超えると架橋・フロックの粗大化が進行して凝集フロック強度が高くなり、脱水に必要な最適レベルとなる。
【0006】
しかし、圧入ろ過に必要な凝集フロック強度のレベルは脱水に必要な最適レベルを超えるものであり、添加する高分子凝集剤の薬注率を高くせざるを得ず、ランニングコストが多大となる。
【0007】
また、金属ろ材にはパンチングメタルを使用することが多い。パンチングメタルは、薄肉で目詰まりし難い特長を有するが、凝集フロックの捕捉率も低く、SSがスクリーン外へ漏出してしまい、SS回収率が低下する傾向を有している。
【0008】
また、排水した分離液を貯留する分離槽では、排水中に残る未反応の残留凝集剤に因って発泡するので、発泡を抑制するために消泡剤などが必要になる。
本発明は上記した課題を解決するものであり、凝集剤の薬注率の低減を図り、システム全体としてのSS回収率を向上させ、さらに排水の発泡を抑制できる汚泥の脱水方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明の汚泥の脱水方法は、一次凝集工程と混合工程と分離工程と二次凝集工程と脱水工程を経て脱水対象汚泥を脱水するものであって、一次凝集工程で脱水対象汚泥に凝集剤を注入して凝集汚泥を生成し、脱水工程の脱水機の濃縮ゾーンから排出する濃縮ゾーン分離液と脱水ゾーンから排出する脱水ゾーン分離液との少なくとも何れかを混合工程に供給し、混合工程で一次凝集工程の凝集汚泥に、脱水工程から供給する濃縮ゾーン分離液と脱水ゾーン分離液との少なくとも何れかを混合して混合汚泥を生成し、分離工程で混合工程の混合汚泥を分離液と分離汚泥に分離し、二次凝集工程で分離工程の分離汚泥に凝集剤を混合して凝集汚泥を生成し、脱水工程で二次凝集工程の凝集汚泥を脱水機で脱水することを特徴とする。
【0010】
本発明の汚泥の脱水方法は、混合工程と分離工程と凝集工程と脱水工程を経て脱水対象汚泥を脱水するものであって、脱水工程の脱水機の濃縮ゾーンから排出する濃縮ゾーン分離液と脱水ゾーンから排出する脱水ゾーン分離液との少なくとも何れかを混合工程に供給し、混合工程で脱水対象汚泥に、脱水工程から供給する濃縮ゾーン分離液と脱水ゾーン分離液との少なくとも何れかと、凝集剤とを混合して混合汚泥を生成し、分離工程で混合工程の混合汚泥を分離液と分離汚泥に分離し、凝集工程で分離工程の分離汚泥に凝集剤を混合して凝集汚泥を生成し、脱水工程で凝集工程の凝集汚泥を脱水機で脱水することを特徴とする。
【0011】
本発明の汚泥の脱水方法は、凝集工程と混合工程と分離工程と脱水工程を経て脱水対象汚泥を脱水するものであって、脱水工程の脱水機の濃縮ゾーンから排出する濃縮ゾーン分離液と脱水ゾーンから排出する脱水ゾーン分離液との少なくとも何れかを混合工程に供給し、凝集工程で脱水対象汚泥に凝集剤を注入して凝集汚泥を生成し、混合工程で凝集工程の凝集汚泥に脱水工程から供給する濃縮ゾーン分離液と脱水ゾーン分離液との少なくとも何れかを混合して混合汚泥を生成し、分離工程で混合工程の混合汚泥を分離液と分離汚泥に分離し、脱水工程で分離工程の分離汚泥を脱水機で脱水することを特徴とする。
【0012】
本発明の汚泥の脱水方法は、凝集工程と分離工程と脱水工程を経て脱水対象汚泥を脱水するものであって、脱水工程の脱水機の濃縮ゾーンから排出する濃縮ゾーン分離液と脱水ゾーンから排出する脱水ゾーン分離液を混合工程で混合し、混合汚泥を凝集工程に供給し、凝集工程で脱水対象汚泥と混合汚泥に凝集剤を注入して凝集汚泥を生成し、分離工程で凝集工程の凝集汚泥を分離液と分離汚泥に分離し、脱水工程で分離工程の分離汚泥を脱水機で脱水することを特徴とする。
【0013】
本発明の汚泥の脱水方法は、凝集工程と脱水工程を経て脱水対象汚泥を脱水するものであって、脱水工程の脱水機の濃縮ゾーンから排出する濃縮ゾーン分離液と脱水ゾーンから排出する脱水ゾーン分離液を、混合工程で混合した後に、分離工程で分離液と分離汚泥に分離し、分離汚泥を凝集工程に供給し、凝集工程で脱水対象汚泥に凝集剤を注入し、かつ分離工程の分離汚泥を混合して凝集汚泥を生成し、脱水工程で凝集工程の凝集汚泥を脱水機で脱水することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
以上のように本発明によれば、残留凝集剤成分が付着した状態で脱水機から排出されるSS分を脱水機に戻すことで、金属ろ材を使用する脱水機であっても凝集剤の薬注率を低下させることができ、ランニングコストを抑制できる。
【0015】
脱水機から漏出したSS分を再び脱水機へ供給できるので、システム全体としてのSS回収率を向上させることができ、分離液処理装置等の付帯設備を簡易化することができる。
【0016】
また、脱水ゾーンから排出するSS分は既にフロック化しており、このフロック化したSS分を脱水対象汚泥中に戻すことで、フロック化したSS分が核となって脱水対象汚泥の凝集フロック化を促進する。
【0017】
さらに、排水に含まれる未反応の凝集剤成分を減少させることで、後段に配置する分離液槽などで排水が発泡することによるトラブルを抑制でき、消泡剤などの薬品使用量が減少する。
【0018】
また、未反応の残留凝集剤成分を多く含む濃縮ゾーンから排出する濃縮ゾーン分離液と、残留凝集剤成分は少ないが、SS分の濃度が高い脱水ゾーンから排出する脱水ゾーン分離液とを混合して、濃縮ゾーン分離液の残留凝集剤成分を脱水ゾーン分離液のSS分に付着させることで、凝集剤の薬注率をさらに低下させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の第1の実施の形態における汚泥の脱水方法を示すブロック図
【図2】本発明の第2の実施の形態における汚泥の脱水方法を示すブロック図
【図3】本発明の第3の実施の形態における汚泥の脱水方法を示すブロック図
【図4】本発明の第4の実施の形態における汚泥の脱水方法を示すブロック図
【図5】本発明の第5の実施の形態における汚泥の脱水方法を示すブロック図
【図6】本発明の実施の形態における混合手段である脱水分離液の受け皿を示す平面図
【図7】薬注率と凝集フロック強度の相関を示すグラフ図
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の第1の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1に示すように、第1の実施の形態における汚泥の脱水方法は、汚泥貯留槽1に貯留する原汚泥を脱水対象汚泥とするものであり、第1の凝集混和槽2で行なう一次凝集工程と、混合手段3により行なう混合工程と、分離装置4により行なう分離工程と、第2の凝集混和槽5で行なう二次凝集工程と、スクリュープレス脱水機6で行なう脱水工程を経て脱水対象汚泥を脱水するものである。
【0021】
脱水対象汚泥7を汚泥貯留槽1から第1の凝集混和槽2へ供給する汚泥配管21の途中において、または第1の凝集混和槽2において凝集剤配管22から高分子凝集剤8を注入し、注入した凝集剤を第1の凝集混和槽2で脱水対象汚泥に混和させて凝集汚泥を生成する。
【0022】
第1の凝集混和槽2の凝集汚泥は汚泥配管23で混合手段3に供給し、スクリュープレス脱水機6の濃縮ゾーンから排出する濃縮ゾーン分離液と脱水ゾーンから排出する脱水ゾーン分離液との少なくとも何れかをそれぞれ分離液配管24、25で混合手段3に供給し、混合手段3で第1の凝集混和槽2の凝集汚泥に濃縮ゾーン分離液と脱水ゾーン分離液を混合して混合汚泥を生成する。
【0023】
本実施の形態では、分離液配管24、25により濃縮ゾーン分離液と脱水ゾーン分離液を混合手段3に供給するが、スクリュープレス脱水機6の下部に混合手段3を設置して濃縮ゾーン分離液と脱水ゾーン分離液をスクリュープレス脱水機6から混合手段3へ直接に流下させることも可能である。
【0024】
混合手段3は、図6に示すように、スクリュープレス脱水機6の下部に設置された平面視方形をなす脱水分離液の受け皿9からなる。あるいは、混合手段として脱水分離液の受け皿9を使用せず、タンクを別置きすることもできる。
【0025】
脱水分離液の受け皿9は排出口9aに向けて角錐状に窪んだ攪拌部9bを有しており、濃縮ゾーン分離液と脱水ゾーン分離液の水流を駆動力として混合作用を行う。
混合手段3の混合汚泥を汚泥配管26で分離装置4に供給し、分離装置4で混合汚泥を分離液と分離汚泥に分離する。分離装置4には、重力式、気泡分離式、スクリーン式、ベルト式など、形式を問わずに適用できる。
【0026】
分離液は後段の分離液槽(図示省略)や分離液処理装置(図示省略)に供給し、分離汚泥は定量ポンプ10を備えた汚泥配管27を通して第2の凝集混和槽5に定量的に供給する。本実施の形態では定量ポンプ10を使用する構成を示すが、定量ポンプ10に代えて他の方式のポンプや供給手段を採用することも可能である。例えば各装置を高低差のある位置に配置し、自然流下により分離装置4から分離汚泥を第2の凝集混和槽5へ供給する。
【0027】
第2の凝集混和槽5では、分離装置4から供給する分離汚泥に凝集剤を混合して凝集汚泥を生成する。この凝集剤は、第1の凝集混和槽2に供給する高分子凝集剤8であっても良く、あるいはポリ硫酸第二鉄等の無機系凝集剤であっても良い。
【0028】
スクリュープレス脱水機6は、第2の凝集混和槽5の凝集汚泥を脱水し、脱水ケーキを系外へ排出し、上述したように、濃縮ゾーンから排出する濃縮ゾーン分離液と脱水ゾーンから排出する脱水ゾーン分離液をそれぞれ分離液配管24、25で混合手段3に供給することができる。
【0029】
本実施の形態におけるスクリュープレス脱水機6は、前半部に濃縮ゾーンを有し、後半部に脱水ゾーンを有する構成をなし、前半部の濃縮ゾーンから排出する濃縮ゾーン分離液が未反応の残留凝集剤成分を多く含むものであり、後半部の脱水ゾーンから排出する脱水ゾーン分離液が、残留凝集剤成分は少ないもののSS分の濃度が高いものである。
【0030】
このような構成であるために、混合手段3で濃縮ゾーン分離液と脱水ゾーン分離液とを混合して、濃縮ゾーン分離液の残留凝集剤成分を脱水ゾーン分離液のSS分に付着させ、この残留凝集剤成分が付着したSS分を分離装置4で濃縮してスクリュープレス脱水機6に戻すことで、金属ろ材を使用するスクリュープレス脱水機6であっても凝集剤の薬注率を低下させることができ、ランニングコストを抑制できる。
【0031】
さらに、混合手段3で第1の凝集混和槽2の凝集汚泥にスクリュープレス脱水機6の分離液を混合して混合汚泥を生成するので、残留凝集剤の効果によって脱水性能が向上するとともに、スクリュープレス脱水機6へ供給する汚泥濃度が上昇してさらに脱水性能が向上する。また、本実施の形態では、定量ポンプ10で破壊された凝集フロックを第2の凝集混和槽5で再度凝集させてスクリュープレス脱水機6へ投入するので、さらに脱水性能が向上する。
【0032】
スクリュープレス脱水機6の金属ろ材であるパンチングメタル等から漏出したSS分を再びスクリュープレス脱水機6へ供給できるので、システム全体としてのSS回収率を向上させることができ、分離液処理装置等の付帯設備を簡易化することができる。
【0033】
また、脱水ゾーンから排出するSS分は既にフロック化しており、このフロック化したSS分を脱水対象汚泥中に戻すことで、フロック化したSS分が核となって、混合手段3および第2の凝集混和槽5で脱水対象汚泥の凝集フロック化を促進する。
【0034】
さらに、排水に含まれる未反応の凝集剤成分を減少させることで、後段に配置する分離液槽などで排水が発泡することによるトラブルを抑制でき、消泡剤などの薬品使用量が減少する。
【0035】
脱水分離液の受け皿9に発生する水流を利用して濃縮ゾーン分離液と脱水ゾーン分離液を混合すれば、別途に混合槽等を設ける必要がない。
本実施の形態では、分離汚泥を定量ポンプ10で定量的に供給するので、急激な流量の変動がなくなり、スクリュープレス脱水機6の運転が安定する。
(第2の実施の形態)
第1の本実施の形態では、第1の凝集混和槽2と第2の凝集混和槽5を用いた。しかしながら、第1の凝集混和槽2を無くすことも可能である。
この構成を第2の実施の形態として図2に示す。
【0036】
図2に示す構成において、先に図1で説明した構成要素には同符号を付してその説明を省略する。
ここでは、スクリュープレス脱水機6の前段に配置した一つの凝集混和槽51のみを備える構成としている。
【0037】
この構成に係る汚泥の脱水方法は、混合手段3により行なう混合工程と、分離装置4により行なう分離工程と、凝集混和槽51で行なう凝集工程と、スクリュープレス脱水機6で行なう脱水工程を経て脱水対象汚泥を脱水するものである。
【0038】
脱水対象汚泥7を汚泥貯留槽1から混合手段3へ供給する汚泥配管21の途中において、または混合手段3において凝集剤配管22から高分子凝集剤8を注入する。
スクリュープレス脱水機6の濃縮ゾーンから排出する濃縮ゾーン分離液と脱水ゾーンから排出する脱水ゾーン分離液をそれぞれ分離液配管24、25で混合手段3に供給し、混合手段3で脱水対象汚泥7に濃縮ゾーン分離液と脱水ゾーン分離液を混合して混合汚泥を生成する。
【0039】
本実施の形態では、分離液配管24、25により濃縮ゾーン分離液と脱水ゾーン分離液を混合手段3に供給するが、スクリュープレス脱水機6の下部に混合手段3を設置して濃縮ゾーン分離液と脱水ゾーン分離液をスクリュープレス脱水機6から混合手段3へ直接に流下させることも可能である。
【0040】
混合手段3の混合汚泥を汚泥配管26で分離装置4に供給し、分離装置4で混合汚泥を分離液と分離汚泥に分離する。分離液は後段の分離液槽(図示省略)や分離液処理装置(図示省略)に供給し、分離汚泥は定量ポンプ10を備えた汚泥配管27を通して凝集混和槽51に定量的に供給する。
【0041】
本実施の形態では定量ポンプ10を使用する構成を示すが、定量ポンプ10に代えて他の方式のポンプや供給手段を採用することも可能である。例えば各装置を高低差のある位置に配置し、自然流下により分離装置4から分離汚泥を凝集混和槽51に供給する。
【0042】
凝集混和槽51では、分離装置4から供給する分離汚泥に凝集剤を混合して凝集汚泥を生成する。この凝集剤は、先に注入した高分子凝集剤8であっても良く、あるいはポリ硫酸第二鉄等の無機系凝集剤であっても良い。
【0043】
スクリュープレス脱水機6は凝集混和槽51の凝集汚泥を脱水し、脱水ケーキを系外へ排出し、上述したように、濃縮ゾーンから排出する濃縮ゾーン分離液と脱水ゾーンから排出する脱水ゾーン分離液をそれぞれ分離液配管24、25で混合手段3に供給する。他の基本的な作用効果は第1の実施の形態と同様である。
(第3の実施の形態)
また、第1の実施の形態では、第1の凝集混和槽2と第2の凝集混和槽5を用いたが、第2の凝集混和槽5を無くすことも可能である。
【0044】
この構成を第3の実施の形態として図3に示す。図3に示す構成において、先に図1で説明した構成要素には同符号を付してその説明を省略する。
ここでは、混合手段3の前段に配置した一つの凝集混和槽52のみを備える構成としている。他の構成は先の図1のものと同様であり、基本的な作用効果は第1の実施の形態と同様である。
【0045】
この構成における汚泥の脱水方法は、凝集混和槽52で行なう凝集工程と、混合手段3により行なう混合工程と、分離装置4により行なう分離工程とスクリュープレス脱水機6で行なう脱水工程を経て脱水対象汚泥を脱水するものである。
【0046】
脱水対象汚泥7を汚泥貯留槽1から凝集混和槽52へ供給する汚泥配管21の途中において、または凝集混和槽52において凝集剤配管22から高分子凝集剤8を注入し、注入した凝集剤を凝集混和槽52で脱水対象汚泥に混和させて凝集汚泥を生成する。
【0047】
凝集混和槽52の凝集汚泥は汚泥配管23で混合手段3に供給し、スクリュープレス脱水機6の濃縮ゾーンから排出する濃縮ゾーン分離液と脱水ゾーンから排出する脱水ゾーン分離液をそれぞれ分離液配管24、25で混合手段3に供給し、混合手段3で凝集混和槽52の凝集汚泥に濃縮ゾーン分離液と脱水ゾーン分離液を混合して混合汚泥を生成する。
【0048】
本実施の形態では、分離液配管24、25により濃縮ゾーン分離液と脱水ゾーン分離液を混合手段3に供給するが、スクリュープレス脱水機6の下部に混合手段3を設置して濃縮ゾーン分離液と脱水ゾーン分離液をスクリュープレス脱水機6から混合手段3へ直接に流下させることも可能である。
【0049】
混合手段3の混合汚泥は汚泥配管26で分離装置4に供給し、分離装置4で混合汚泥を分離液と分離汚泥に分離する。分離液は後段の分離液槽(図示省略)や分離液処理装置(図示省略)に供給し、分離汚泥は定量ポンプ10を備えた汚泥配管27を通してスクリュープレス脱水機6に定量的に供給する。
【0050】
本実施の形態では定量ポンプ10を使用する構成を示すが、定量ポンプ10に代えて他の方式のポンプや供給手段を採用することも可能である。例えば各装置を高低差のある位置に配置し、自然流下により分離装置4から分離汚泥をスクリュープレス脱水機6に供給する。
【0051】
スクリュープレス脱水機6は分離汚泥を脱水し、脱水ケーキを系外へ排出し、濃縮ゾーンから排出する濃縮ゾーン分離液と脱水ゾーンから排出する脱水ゾーン分離液をそれぞれ分離液配管24、25で混合手段3に供給する。
(第4の実施の形態)
また、第1の実施の形態では、第1の凝集混和槽2と第2の凝集混和槽5を用いたが、第2の凝集混和槽5を無くすことも可能である。
【0052】
この構成を第4の実施の形態として図4に示す。図4に示す構成において、先に図1で説明した構成要素には同符号を付してその説明を省略する。
ここでは、混合手段3の後段に配置した一つの凝集混和槽52のみを備える構成としている。他の構成は先の図1のものと同様であり、基本的な作用効果は第1の実施の形態と同様である。
【0053】
この構成における汚泥の脱水方法は、凝集混和槽52で行なう凝集工程と、分離装置4により行なう分離工程とスクリュープレス脱水機6で行なう脱水工程を経て脱水対象汚泥を脱水するものであり、凝集混和槽52に混合手段3の混合工程で生成する混合汚泥を供給するものである。
【0054】
脱水対象汚泥7を汚泥貯留槽1から凝集混和槽52へ供給する汚泥配管21の途中において、または凝集混和槽52において凝集剤配管22から高分子凝集剤8を注入し、注入した凝集剤を凝集混和槽52で脱水対象汚泥に混和させて凝集汚泥を生成する。
【0055】
凝集混和槽52の凝集汚泥は、分離装置4で分離液と分離汚泥に分離する。分離液は後段の分離液槽(図示省略)や分離液処理装置(図示省略)に供給し、分離汚泥は定量ポンプ10を備えた汚泥配管27を通してスクリュープレス脱水機6に定量的に供給する。
【0056】
本実施の形態では定量ポンプ10を使用する構成を示すが、定量ポンプ10に代えて他の方式のポンプや供給手段を採用することも可能である。例えば各装置を高低差のある位置に配置し、自然流下により分離装置4から分離汚泥をスクリュープレス脱水機6に供給する。
【0057】
スクリュープレス脱水機6は分離汚泥を脱水し、脱水ケーキを系外へ排出し、濃縮ゾーンから排出する濃縮ゾーン分離液と脱水ゾーンから排出する脱水ゾーン分離液をそれぞれ分離液配管24、25で混合手段3に供給し、混合手段3で濃縮ゾーン分離液と脱水ゾーン分離液を混合して混合汚泥を生成し、汚泥配管26で凝集混和槽52に供給する。
【0058】
本実施の形態では、分離液配管24、25により濃縮ゾーン分離液と脱水ゾーン分離液を混合手段3に供給するが、スクリュープレス脱水機6の下部に混合手段3を設置して濃縮ゾーン分離液と脱水ゾーン分離液をスクリュープレス脱水機6から混合手段3へ直接に流下させることも可能である。
(第5の実施の形態)
また、第1の実施の形態では、第1の凝集混和槽2と第2の凝集混和槽5を用いたが、第2の凝集混和槽5を無くし、第1の凝集混和槽2からスクリュープレス脱水機6へ脱水対象汚泥を供給することも可能である。
【0059】
この構成を第4の実施の形態として図5に示す。図5に示す構成において、先に図1で説明した構成要素には同符号を付してその説明を省略する。
ここでは、スクリュープレス脱水機6の前段に配置した一つの凝集混和槽53のみを備え、凝集混和槽53からスクリュープレス脱水機6へ脱水対象汚泥を供給する。
【0060】
この構成における汚泥の脱水方法は、凝集混和槽53で行なう凝集工程と、スクリュープレス脱水機6で行なう脱水工程を経て脱水対象汚泥を脱水するものである。
脱水対象汚泥7を汚泥貯留槽1から凝集混和槽53へ供給する汚泥配管21の途中において、または凝集混和槽53において凝集剤配管22から高分子凝集剤8を注入し、注入した凝集剤を凝集混和槽53で脱水対象汚泥に混和させて凝集汚泥を生成する。この際に、後述する分離装置4の分離汚泥を混和する。
【0061】
凝集混和槽53の凝集汚泥は汚泥配管31でスクリュープレス脱水機6に供給して脱水する。スクリュープレス脱水機6は凝集汚泥を脱水し、脱水ケーキを系外へ排出し、濃縮ゾーンから排出する濃縮ゾーン分離液と脱水ゾーンから排出する脱水ゾーン分離液をそれぞれ分離液配管24、25で混合手段3に供給する。
【0062】
本実施の形態では、分離液配管24、25により濃縮ゾーン分離液と脱水ゾーン分離液を混合手段3に供給するが、スクリュープレス脱水機6の下部に混合手段3を設置して濃縮ゾーン分離液と脱水ゾーン分離液をスクリュープレス脱水機6から混合手段3へ直接に流下させることも可能である。
【0063】
混合手段3で濃縮ゾーン分離液と脱水ゾーン分離液を混合して後に、分離装置4で分離液と分離汚泥に分離し、分離汚泥を汚泥配管32を通して定量ポンプ33で凝集混和槽53に供給する。凝集混和槽53では、先に述べたように、脱水対象汚泥に高分子凝集剤8を注入し、かつ分離装置4の分離汚泥を混合して凝集汚泥を生成する。
【0064】
本実施の形態では定量ポンプ33を使用する構成を示すが、定量ポンプ33に代えて他の方式のポンプや供給手段を採用することも可能である。例えば各装置を高低差のある位置に配置し、自然流下により分離装置4から分離汚泥を凝集混和槽53に供給する。
【0065】
この構成では、残留凝集剤成分を付着させたSS分を直接に凝集混和槽53に返送するので、残留凝集剤成分の凝集効果が劣化する前に再使用することができ残留凝集剤成分を有効に作用させることができ、脱水性が向上する。また、分離装置4の分離汚泥を返送する先は、凝集混和槽53のみならず、汚泥配管21や凝集剤配管22であっても良い。
【符号の説明】
【0066】
1 汚泥貯留槽
2 第1の凝集混和槽
3 混合手段
4 分離装置
5 第2の凝集混和槽
6 スクリュープレス脱水機
7 脱水対象汚泥
8 高分子凝集剤

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一次凝集工程と混合工程と分離工程と二次凝集工程と脱水工程を経て脱水対象汚泥を脱水するものであって、
一次凝集工程で脱水対象汚泥に凝集剤を注入して凝集汚泥を生成し、
脱水工程の脱水機の濃縮ゾーンから排出する濃縮ゾーン分離液と脱水ゾーンから排出する脱水ゾーン分離液との少なくとも何れかを混合工程に供給し、
混合工程で一次凝集工程の凝集汚泥に、脱水工程から供給する濃縮ゾーン分離液と脱水ゾーン分離液との少なくとも何れかを混合して混合汚泥を生成し、
分離工程で混合工程の混合汚泥を分離液と分離汚泥に分離し、
二次凝集工程で分離工程の分離汚泥に凝集剤を混合して凝集汚泥を生成し、
脱水工程で二次凝集工程の凝集汚泥を脱水機で脱水することを特徴とする汚泥の脱水方法。
【請求項2】
混合工程と分離工程と凝集工程と脱水工程を経て脱水対象汚泥を脱水するものであって、
脱水工程の脱水機の濃縮ゾーンから排出する濃縮ゾーン分離液と脱水ゾーンから排出する脱水ゾーン分離液との少なくとも何れかを混合工程に供給し、
混合工程で脱水対象汚泥に、脱水工程から供給する濃縮ゾーン分離液と脱水ゾーン分離液との少なくとも何れかと、凝集剤とを混合して混合汚泥を生成し、
分離工程で混合工程の混合汚泥を分離液と分離汚泥に分離し、
凝集工程で分離工程の分離汚泥に凝集剤を混合して凝集汚泥を生成し、
脱水工程で凝集工程の凝集汚泥を脱水機で脱水することを特徴とする汚泥の脱水方法。
【請求項3】
凝集工程と混合工程と分離工程と脱水工程を経て脱水対象汚泥を脱水するものであって、脱水工程の脱水機の濃縮ゾーンから排出する濃縮ゾーン分離液と脱水ゾーンから排出する脱水ゾーン分離液との少なくとも何れかを混合工程に供給し、
凝集工程で脱水対象汚泥に凝集剤を注入して凝集汚泥を生成し、
混合工程で凝集工程の凝集汚泥に脱水工程から供給する濃縮ゾーン分離液と脱水ゾーン分離液との少なくとも何れかを混合して混合汚泥を生成し、
分離工程で混合工程の混合汚泥を分離液と分離汚泥に分離し、
脱水工程で分離工程の分離汚泥を脱水機で脱水することを特徴とする汚泥の脱水方法。
【請求項4】
凝集工程と分離工程と脱水工程を経て脱水対象汚泥を脱水するものであって、
脱水工程の脱水機の濃縮ゾーンから排出する濃縮ゾーン分離液と脱水ゾーンから排出する脱水ゾーン分離液を混合工程で混合して混合汚泥を生成し、混合汚泥を凝集工程に供給し、
凝集工程で脱水対象汚泥と混合汚泥に凝集剤を混合して凝集汚泥を生成し、
分離工程で凝集工程の凝集汚泥を分離液と分離汚泥に分離し、
脱水工程で分離工程の分離汚泥を脱水機で脱水することを特徴とする汚泥の脱水方法。
【請求項5】
凝集工程と脱水工程を経て脱水対象汚泥を脱水するものであって、
脱水工程の脱水機の濃縮ゾーンから排出する濃縮ゾーン分離液と脱水ゾーンから排出する脱水ゾーン分離液を、混合工程で混合した後に、分離工程で分離液と分離汚泥に分離し、分離汚泥を凝集工程に供給し、
凝集工程で脱水対象汚泥に凝集剤を混合し、かつ分離工程の分離汚泥を混合して凝集汚泥を生成し、
脱水工程で凝集工程の凝集汚泥を脱水機で脱水することを特徴とする汚泥の脱水方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−196641(P2012−196641A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−63439(P2011−63439)
【出願日】平成23年3月23日(2011.3.23)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】