説明

汚泥排出物飛散防止装置

【課題】ワイヤに付着した汚泥排出物の周囲への飛散を防止し得る汚泥排出物飛散防止装置を実現する。
【解決手段】クローラクレーン2の支柱部3の上端から吊り下げられた吊り部吊下ワイヤ6に昇降自在に吊り下げられた所定の内部空間を有し、当該内部空間を介して工具吊下ワイヤ5を縦貫させることにより、上記工具吊下ワイヤ5を下降させた際に付着した汚泥排出物の飛散を上記内部空間に抑える蛇腹状でなるワイヤ包囲管体22を具えるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は汚泥排出物飛散防止装置に関し、特に、ビルディングなどの建造物に使用された支持杭を破砕し撤去する際に適用して好適なものである。
【背景技術】
【0002】
従来、クレーンの支柱部から吊り下げたワイヤで掘削工具を保持し、当該ワイヤを巻き下げ地中に設けた掘削穴へ掘削工具を下降させた後に当該ワイヤを巻き上げ掘削工具を上昇させることで、泥水、泥土、破砕された破砕支持杭、破砕鉄筋、破砕岩石等を含んだ汚泥排出物を掘削穴から排出する掘削装置が用いられている(特許文献1参照)。
【0003】
また掘削装置において、地中から排出した泥土の周囲への飛散を防ぐものが提案されている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−121989公報
【特許文献2】特許第2835188号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで特許文献1に示した掘削装置においては、掘削工具を掘削穴へ下降させた際に汚泥排出物がワイヤに付着すると、当該掘削工具を引き上げた際に汚泥排出物がワイヤから周囲に飛散し、周囲を汚したり破損させたりしてしまう可能性があるため、これを防止することが望ましい。
【0006】
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、ワイヤに付着した汚泥排出物の周囲への飛散を防止し得る汚泥排出物飛散防止装置を提案しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる問題を解決するため本発明の汚泥排出物飛散防止装置においては、クレーンにおける支柱部3の上端から吊り下げられた連結部吊下ワイヤ4に昇降自在に保持された工具連結部11を縦貫する、支柱部3の上端から吊り下げられた工具吊下ワイヤ5に昇降自在に保持され、工具連結部11と着脱可能な掘削工具13により掘削を行う掘削装置における汚泥排出物飛散防止装置において、支柱部3の上端から吊り下げられた吊り部吊下ワイヤ6に昇降自在に吊り下げられ所定の内部空間を有し、当該内部空間を介して工具吊下ワイヤ5を縦貫させることにより、工具吊下ワイヤ5を下降させた際に付着した汚泥排出物の飛散を内部空間に抑えるワイヤ包囲管体22を具えるようにした。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ワイヤに付着した汚泥排出物の飛散をワイヤ包囲管体内部に抑え下端部から排出することができるので、ワイヤに付着した汚泥排出物の周囲への飛散を防止し得る汚泥排出物飛散防止装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】掘削装置の全体構成を示す略線図である。
【図2】ワイヤ包囲管体の上端部の構成を示す略線図である。
【図3】ワイヤ包囲管体の下端部の構成(1)を示す略線図である。
【図4】ワイヤ包囲管体の下端部の構成(2)を示す略線図である。
【図5】ワイヤ包囲管体の下端部の構成(3)を示す略線図である。
【図6】ワイヤ包囲管体の下端部の構成(4)を示す略線図である。
【図7】掘削作業の様子(1)を示す略線図である。
【図8】掘削作業の様子(2)を示す略線図である。
【図9】他の実施の形態によるワイヤ包囲管体の下端部の構成を示す略線図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下図面について、本発明の一実施の形態を詳述する。
【0011】
(1)実施の形態
図1において、1は全体として、地中に埋設されたビルディング等の支持杭を撤去又は当該支持杭を地中に打ち込む穴を掘削し排土を掴み取って排出する手段として用いられる掘削装置を示し、掘削装置1は、作業機械としてクローラクレーン2を有する。
【0012】
クローラクレーン2は、支柱部3の上端部から吊り下げた連結部吊下ワイヤ4をワイヤ巻上部7によって巻き上げ又は巻き下げることにより、連結部吊下ワイヤ4の先端に設けたフック10を昇降自在に吊り上げ又は吊り下げるようになされている。
【0013】
フック10には工具連結部11が吊り下げられており、連結部吊下ワイヤ4が巻き上げ又は巻き下げられることにより、昇降自在になされている。
【0014】
また支柱部3の上端部からは、工具吊下ワイヤ5が吊り下げられており、当該工具吊下ワイヤ5は工具連結部11を縦貫し、その先端には例えばハンマグラブ等でなる、地盤12に埋設されている撤去対象杭100を撤去するための掘削工具13が取り付けられている。掘削工具13は、工具吊下ワイヤ5が巻き上げ又は巻き下げられることにより、昇降自在になされている。
【0015】
また掘削工具13は工具連結部11と着脱自在になされており、当該掘削工具13が工具連結部11と連結すると、連結部吊下ワイヤ4と工具吊下ワイヤ5とが一緒に巻き上げ又は巻き下げられることにより、当該工具連結部11と共に移動するようになされている。
【0016】
さらに支柱部3の上端部からは、吊り部吊下ワイヤ6が吊り下げられており、当該吊り部吊下ワイヤ6の先端には管体吊り部20が吊り下げられている。管体吊り部20は、吊り部吊下ワイヤ6が巻き上げ又は巻き下げられることにより、昇降自在になされている。また管体吊り部20はリング吊りワイヤ21を介して、ワイヤ包囲管体22を吊り下げている。
【0017】
工具連結部11の上部には、ワイヤ包囲管体22と当接可能に構成された管体受け部24が取り付けられており、当該ワイヤ包囲管体22は、伸長しきった状態においてその下端部が管体受け部24に接しない程度の昇降方向の長さを有している。
【0018】
本実施の形態の場合撤去対象杭100の中心軸位置は、撤去対象杭100の外形から芯出しをして決められ、当該中心軸位置を中心として予めクローラクレーン2によって敷設された養生用鉄板30上に、切削作業をする回転駆動機31が設置されている。
【0019】
回転駆動機31は、切削用の爪が取り付けられた先端刃先部32の上部に回転伝達筒部33を順次継ぎ足して装着していき、当該回転駆動機31の回転力を先端刃先部32に伝達することにより、地盤12を切削しながら当該先端刃先部32を地中深く進めて行くことができるようになされている。
【0020】
本実施の形態の場合、回転駆動機31には回転防止手段として反力棒34が取り付けられ、その遊端部をクローラクレーン2に固着することにより、反力棒34は、回転駆動機31が回転することを防止するようになされている。
【0021】
図2に示すように、ワイヤ包囲管体22の上端部は吊り部吊下ワイヤ6の先端に吊り部リブ40を介して管体吊り部20が吊り下げられている。
【0022】
管体吊り部20は鉄材でなり十字形に構成され、それぞれ吊り腕部25が互いに90度の角度を持ちながら吊り部リブ40を中心として外側へ四方に延設されている。
【0023】
それぞれの吊り腕部25は、その先端からリング吊りワイヤ21を介して、後述する管体上部リング42のリングリブ41を着脱自在に吊り下げている。
【0024】
管体上部リング42は鉄材でなり、ワイヤ包囲管体22の上端部の開口部とほぼ同じ直径のリング状に構成されており、管体上部取付部43が4箇所設けられ、当該管体上部取付部43がワイヤ包囲管体22の上端部に取り付けられている。
【0025】
ワイヤ包囲管体22は全体として円筒状に構成され、その内部空間に連結部吊下ワイヤ4及び工具吊下ワイヤ5を縦貫させている。またワイヤ包囲管体22は例えばターボリン素材により構成されており、その内面に泥水、泥土、破砕された破砕支持杭、破砕鉄筋、破砕岩石等が含まれる汚泥排出物が付着しても、ワイヤ包囲管体22が破れたり汚泥排出物を染み込ませたりすることなく弾くようになされている。
【0026】
さらにワイヤ包囲管体22には、昇降方向の一定間隔において円筒の周方向に金属性の補強リング23が取り付けられている。これによりワイヤ包囲管体22は全体として蛇腹状となっており、昇降方向に伸縮可能になされている。また補強リング23により、ワイヤ包囲管体22は内部から力が加わっても横方向には変形することなく、その形状を保つようになされている。
【0027】
このようにワイヤ包囲管体22は、管体吊り部20及びリング吊りワイヤ21を介して、吊り部吊下ワイヤ6により上端部が昇降自在になされていると共に、連結部吊下ワイヤ4及び工具吊下ワイヤ5を包囲し縦貫させるようになされている。
【0028】
図3に示すように、ワイヤ包囲管体22の下端部には管体下部リング50に4箇所設けられた管体下部取付部51を介して、当該管体下部リング50が取り付けられている。図3は、ワイヤ包囲管体22が伸長しきった状態であり、当該ワイヤ包囲管体22の下端部に設けられた管体下部リング50が管体受け部24に当接していない状態を示している。
【0029】
管体下部リング50は鉄材でなりワイヤ包囲管体22の下端部とほぼ同じ直径のリング状に構成されている。
【0030】
ワイヤ包囲管体22の内部には連結部吊下ワイヤ4が縦貫しており、その先端部に設けられたフック10には連結部ワイヤ52を介して工具連結部11が吊り下げられている。
【0031】
またワイヤ包囲管体22の内部には工具吊下ワイヤ5が縦貫しており、当該工具吊下ワイヤ5は工具連結部11の中央部に設けられた空間をさらに縦貫し、その下端には掘削工具13が吊り下げられている。
【0032】
実際上クローラクレーン2(図1)は、工具吊下ワイヤ5を巻き上げて掘削工具13を吊り上げ、掘削工具13の上端外周縁において外側に突出するよう設けられた上方鍔部55における円環状下面を工具連結部11の内周面に設けられた係止爪56に係止させることにより、図4に示すように工具連結部11と掘削工具13とを連結させ、ともに移動させる。
【0033】
またクローラクレーン2は、一旦工具吊下ワイヤ5を少しだけ巻き上げて掘削工具13を吊り上げることにより工具連結部11の係止爪56から掘削工具13の上方鍔部55を外して掘削工具13と工具連結部11との連結状態を解除した後、工具連結部11の位置は保持したまま工具吊下ワイヤ5を巻き下げて掘削工具13のみを下降させ、撤去対象杭100を掴むようになされている。
【0034】
ここで、工具連結部11の上部には、Y方向の両端に、X方向に伸びるようボルト53が螺合されている。それぞれのボルト53には、X軸を中心軸として回転可能なU字金具54を介して連結部ワイヤ52が取り付けられている。
【0035】
このため、図5に示すようにフック10の位置が工具連結部11の真上から横方向の下方にずれることがあっても、ボルト53を中心としてU字金具54が回転すると共に連結部ワイヤ52がY方向に撓むため、フック10から工具連結部11に対して不要な力が加わらないようにすることができる。
【0036】
図4に示すように工具連結部11の上部には、断面L字の複数の鉄材(アングル材)が組み合わされることにより形成された管体受け部24が溶接されている。
【0037】
管体受け部24は、Y方向に延設された延材58Aと、当該延材58AからX1方向に延設した2本のアングル材及び当該2本のアングル材のX1端部をY方向に連結し全体としてコの字型に構成されたコの字部59Aとが溶接された第1管体受け部57Aと、当該第1管体受け部57AとXY平面に関し対称に構成された第2管体受け部57Bとが工具連結部11を中心としてX方向に対向するよう構成されている。
【0038】
第1管体受け部57Aにおける延材58A及び第2管体受け部57Bにおける延材58BのY方向の中央部である溶接部60A及び60Bは、それぞれ工具連結部11と溶接されている。
【0039】
このように管体受け部24は、複数のアングル材が溶接されているだけであるため、金属材料を曲げるなどの加工をする必要がなく、簡易に構成されている。
【0040】
また管体受け部24は、工具連結部11のY1側及びY2側にはアングル材をX方向に配することなく開放させているため、上述したように連結部ワイヤ52がY方向に撓むことがあっても、当該連結部ワイヤ52が管体受け部24に接触し不要な力が加わってしまうことを防止できる。
【0041】
図6に示すように、連結部吊下ワイヤ4が巻き上げられることにより工具連結部11の上部に設けられた管体受け部24が当該工具連結部11と共に上昇すると、ワイヤ包囲管体22の下端部に設けられた管体下部リング50と摺動可能に当接することとなる。
【0042】
ここで、第1管体受け部57A及び第2管体受け部57Bにおける延材58A及び58Bは、延設方向(Y方向)の長さが、管体下部リング50の直径よりも長く構成されている。
【0043】
また、第1管体受け部57Aのコの字部59AにおけるY1端部の角部65AY1から、第2管体受け部57Bのコの字部59BにおけるY2端部の角部65BY2までの長さは、管体下部リング50の直径よりも長く構成されている。
【0044】
同様に第1管体受け部57Aのコの字部59AにおけるY2端部の角部65AY2から、第2管体受け部57Bのコの字部59BにおけるY1端部の角部65BY1までの長さは、管体下部リング50の直径よりも長く構成されている。
【0045】
これにより管体受け部24は、ワイヤ包囲管体22が横方向にずれることがあっても、ワイヤ包囲管体22を下方へ抜け落ちないようにするようにすることができる。
【0046】
また、上述したようにワイヤ包囲管体22の下端部には鉄材でなる管体下部リング50が取り付けられているため、管体下部リング50は、ワイヤ包囲管体22の下端部を横方向に摺動し易くすると共に、横方向に移動した際にワイヤ包囲管体22の下端部が管体受け部24と直接擦れることによりワイヤ包囲管体22が痛んでしまうことを防止できる。
【0047】
以上の構成においてクローラクレーン2は、以下に述べる作業手順に従って、撤去対象杭100の撤去作業を行う。
【0048】
まず図7(A)に示すように、掘削工具13が工具連結部11に連結され回転駆動機31の上方に位置する。このときワイヤ包囲管体22は伸長しきった状態となっており、その下端部に設けられた管体下部リング50は管体受け部24と当接していない。
【0049】
この状態において、図7(B)に示すようにクローラクレーン2(図示せず)は掘削工具13と工具連結部11との連結状態を解除し、ワイヤ包囲管体22及び工具連結部11を縦貫した工具吊下ワイヤ5を汚泥排出物で満たされた回転伝達筒部33内部へ巻き下げて掘削工具13を下降させ、撤去対象杭100を掴み取る。
【0050】
このとき、工具連結部11は図7(A)と同様の位置である回転駆動機31の上方に保持されている。また回転伝達筒部33内部に巻き下げされた工具吊下ワイヤ5には、汚泥排出物が付着することとなる。
【0051】
次にクローラクレーン2は撤去対象杭100を掴み取った掘削工具13を徐々に引き上げていく。通常工具吊下ワイヤ5に付着した汚泥排出物は、工具連結部11より下方における作業空間を利用して地盤12上に流されていく。
【0052】
しかしながら特に粘度が高い汚泥排出物は、工具吊下ワイヤ5に付着したまま工具連結部11内部を通過し工具連結部11より上方まで上昇するものがあり、そのような汚泥排出物は工具連結部11より上方において工具吊下ワイヤ5から飛び散る場合がある。
【0053】
そのように飛び散った汚泥排出物は、ワイヤ包囲管体22の内側に付着し下端部から排出されるため、ワイヤ包囲管体22の外側までは飛散しない。また、工具吊下ワイヤ5から飛び散ることなく付着したままの汚泥排出物については、作業終了後に工具吊下ワイヤ5から取り除けば良い。
【0054】
その後図8(A)に示すように、クローラクレーン2は工具吊下ワイヤ5を巻き上げて掘削工具13を回転駆動機31の上方まで引き上げ、工具連結部11に連結させる。掘削工具13に付着した汚泥排出物は、工具連結部11より下方である作業空間を利用して地盤12上に排出される。
【0055】
続いて図8(B)に示すように、クローラクレーン2は連結部吊下ワイヤ4及び工具吊下ワイヤ5を巻き上げて、撤去対象杭100の下端部が回転駆動機31の上方まで位置するよう工具連結部11に連結された掘削工具13を引き上げ、所定の排出場所へ当該撤去対象杭100を排出する。
【0056】
以上の構成によれば、クローラクレーン2は吊り部吊下ワイヤ6に昇降自在に吊り下げられ所定の内部空間を有する蛇腹状でなるワイヤ包囲管体22により、掘削工具13を保持する工具吊下ワイヤ5を縦貫させる。
【0057】
このためワイヤ包囲管体22は、工具吊下ワイヤ5に付着した汚泥排出物の飛散をワイヤ包囲管体22内部に抑え下端部から排出することができるので、工具吊下ワイヤ5に付着した汚泥排出物の周囲への飛散を防止できる。
【0058】
またクローラクレーン2は、撤去対象杭100を掴み取った掘削工具13と工具連結部11とを連結させ、管体受け部24を工具連結部11と共に上昇させる。このときクローラクレーン2は、管体受け部24を管体下部リング50と当接させて上方へ持ち上げていくことにより、管体受け部24と管体下部リング50との間には汚泥排出物を通過させる隙間がない状態を保ちながら掘削工具13を上昇させていく。
【0059】
このためワイヤ包囲管体22は、工具吊下ワイヤ5に付着した汚泥排出物が工具連結部11から上方において周囲に飛散することを常に防ぐことができる
【0060】
さらに、撤去対象杭100を排出するために工具連結部11を上方へ引き上げた際に、当該工具連結部11に取り付けられた管体受け部24がワイヤ包囲管体22の下端部を上方へ収縮させるため、別途ワイヤ包囲管体22の下端部を上方に収縮させる機構を設けることなく、撤去対象杭100を排出する際にワイヤ包囲管体22が邪魔にならないように作業空間を確保することができる。
【0061】
ここで、ワイヤ包囲管体22が昇降方向へ収縮すると、当該ワイヤ包囲管体22の下端部がたるむことによりその直径が小さくなる箇所が発生し、当該箇所が、ワイヤ包囲管体22内部における連結部吊下ワイヤ4、工具吊下ワイヤ5、フック10又は連結部ワイヤ52に接触し損傷してしまう場合がある。
【0062】
このような場合、クローラクレーン2は管体吊り部20を上昇させるだけで、ワイヤ包囲管体22の下端部のたるみを抑え、当該ワイヤ包囲管体22の損傷を防止できる。
【0063】
またワイヤ包囲管体22をクローラクレーン2に対し付け外しする際は、管体吊り部20を地上近傍まで下降させ管体吊り部20から管体上部リング42を付け外しするようになされているため、クローラクレーン2は、支柱部3を倒しその先端部を地上付近まで移動させるという作業を行う必要なく、管体吊り部20を下降させるだけで、ワイヤ包囲管体22の付け外しを行うことができる。
【0064】
(2)他の実施の形態
上述の実施の形態においては、Y方向に延設された延材58Aと、当該延材58AのY方向両端部よりやや中央よりからX1方向に延設した2本のアングル材及び当該2本のアングル材のX1端部をY方向に連結したコの字部59Aとにより構成された第1管体受け部57Aと、当該第1管体受け部57Aと対称に構成された第2管体受け部57Bとにより管体受け部24を構成する場合について述べた。
【0065】
本発明はこれに限らず、例えば図9に示すように、Y方向に延設された延材58AX
と、当該延材58AXのY方向両端部からX1方向に延設した2本のアングル材及び当該2本のアングル材のX1端部をY方向に連結したコの字部59AXとにより構成された第1管体受け部57AXと、当該第1管体受け部57AXと対称に構成された第2管体受け部57BXとにより管体受け部24Xを構成しても良い。
【0066】
これによりワイヤ包囲管体22が横方向にずれても、上述した実施の形態よりもさらにワイヤ包囲管体22が管体受け部24Xから下方へ抜け落ち難くすることができる。
【0067】
また管体受け部は、上述した実施の形態における形状に限らず、要はワイヤ包囲管体22の下端部が横方向にずれてもずり落ちない程度の大きさがあれば良い。
【0068】
さらに上述の実施の形態においては、ワイヤ包囲管体22を円筒状に構成する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、例えば四角形、三角形等、種々の断面形状を有するようにしても良い。
【0069】
要はワイヤ包囲管体22は、連結部吊下ワイヤ4及び工具吊下ワイヤ5を縦貫させ、横方向から包囲する内部空間を有する形状であれば良い。
【0070】
また上述の実施の形態においては、撤去対象杭100を地中から排出する際に本発明を適用する場合にする場合について述べたが、本発明はこれに限らず、支持杭を地中に打ち込む穴を掘削する際に排土を掴み取って排出する場合においても本発明を適用して良い。
【0071】
さらに上述の実施の形態においては、掘削工具としてハンマグラブを用いる場合について述べたが、本発明はこれに限らず、例えばアースオーガ、ドリリングバケット及び拡底バケット等、種々の掘削工具を用いても良い。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明はクレーンの支柱部から吊り下げたワイヤに保持された掘削工具により掘削を行う際に広く利用できる。
【符号の説明】
【0073】
1……掘削装置、2……クローラクレーン、3……支柱部、4……連結部吊下ワイヤ4、5……工具吊下ワイヤ、6……吊り部吊下ワイヤ、7……ワイヤ巻上部、10……フック、11……工具連結部、12……地盤、13……掘削工具、20……管体吊り部、21……リング吊りワイヤ、22……ワイヤ包囲管体、23……補強リング、24……管体受け部、25……吊り腕部、31……回転駆動機、32……先端刃先部、33……回転伝達部、34……反力棒、100……撤去対象杭、40……吊り部リブ、41……リングリブ、42……管体上部リング、43……管体上部取付部、50……管体下部リング、51……管体下部取付部、52……連結部ワイヤ、53……ボルト、54……U字金具、55……上方鍔部、56……係止爪、57A……第1管体受け部、57B……第2管体受け部、58A、58B……延材、59A、59B……コの字部、60A、60B……溶接部、65AY1、65AY2、65BY1、65BY2……角部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
クレーンにおける支柱部の上端から吊り下げられた連結部吊下ワイヤに昇降自在に保持された工具連結部を縦貫する、上記支柱部の上端から吊り下げられた工具吊下ワイヤに昇降自在に保持され、上記工具連結部と着脱可能な掘削工具により掘削を行う掘削装置における汚泥排出物飛散防止装置において、
上記支柱部の上端から吊り下げられた吊り部吊下ワイヤに昇降自在に吊り下げられ所定の内部空間を有し、当該内部空間を介して上記工具吊下ワイヤを縦貫させることにより、上記工具吊下ワイヤを下降させた際に付着した汚泥排出物の飛散を上記内部空間に抑えるワイヤ包囲管体
を具えることを特徴とする汚泥排出物飛散防止装置。
【請求項2】
上記工具連結部の上部に上記ワイヤ包囲管体の下端部と当接可能に取り付けられた管体受け部を具え、
上記工具連結部と共に上記管体受け部が上昇すると、上記管体受け部が上記ワイヤ包囲管体の下端部に当接し、上記ワイヤ包囲管体の下端部を上昇させる
ことを特徴とする汚泥排出物飛散防止装置。
【請求項3】
上記管体受け部は、上記ワイヤ包囲管体における下端部の開口部の直径よりも長い形状を有する
ことを特徴とする請求項1に記載の汚泥排出物飛散防止装置。
【請求項4】
上記管体受け部は、所定の第1方向に延設された延材と、当該延材から上記第1方向と略直交し上記管体受け部から外側へ向かう第2方向に延設されると共にその先端同士が上記第1方向に連結されたコの字部とを有する第1管体受け部と、
上記工具連結部に対し上記第1管体受け部と対称に配置された第2管体受け部と
を具えることを特徴とする請求項1に記載の汚泥排出物飛散防止装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2011−132768(P2011−132768A)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−294582(P2009−294582)
【出願日】平成21年12月25日(2009.12.25)
【出願人】(399044964)