汚泥掻寄機のスカムスキマの駆動装置
【課題】チェンレス汚泥掻寄機において、駆動装置の周回運動における前後・昇降動作を利用して、自動反転機能を備えたスカムスキマを揺動回転させるようにした汚泥掻寄機のスカムスキマの駆動装置を提供すること。
【解決手段】汚泥掻寄機Aの駆動装置2の周回運動の前後・昇降動作を利用し、スカムスキマ揺動手段Bを介して自動反転機能を備えたスカムスキマ8を揺動回転させるように構成する。
【解決手段】汚泥掻寄機Aの駆動装置2の周回運動の前後・昇降動作を利用し、スカムスキマ揺動手段Bを介して自動反転機能を備えたスカムスキマ8を揺動回転させるように構成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、汚泥掻寄機のスカムスキマの駆動装置に関し、特に、汚泥掻寄機の駆動力の一部を利用し、かつ該汚泥掻寄機の駆動と同期してスカムスキマを揺動させるようにした汚泥掻寄機のスカムスキマの駆動装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、下水処理場等においては、該下水処理場に流入する汚水中の汚砂や汚泥を沈殿除去するため沈殿池Cを設置し、該沈殿池内に池底に沿って汚泥掻寄用のフライト41を移動させて沈殿汚砂や汚泥を汚泥ピットP側に掻き寄せるよう、特に限定されるものではないが、例えば、図3に示すように、汚泥掻寄機Aを設置している。
この汚泥掻寄機A、特に限定されるものではないが、例えば、チェンレス汚泥掻寄機においては、図3に示すように、沈殿池C内に吊垂するようにして配設した汚泥掻寄機Aを水面上に配設した駆動装置2にて、複数のフライト41を所定間隔で備えたフライトフレーム4を、一定のストロークだけ池底に沿って前進移動させた後、池底より少し上昇させて同じストロークを後退させるようにした周回運動を行うように構成し、沈殿汚泥の掻き寄せを行うようにしている。
【0003】
また、水面に浮遊するスカムは、チェンレス汚泥掻寄機と別設のスカムスキマを揺動させてスカムスキマ内に吸引排出するようにしているが、このスカムスキマによる浮遊するスカムの排出を効率的に行うため、チェンレス汚泥掻寄機の駆動と同期してスカムスキマを揺動するようにしている。
【0004】
しかしながら、沈殿池内に配設したスカムスキマ8は、図4に示すように、スカムスキマ8を駆動するために駆動装置80をフレームFに固定し、該駆動装置80とスカムスキマ8とを駆動連結体83を介して連結して構成している。このため、汚泥掻寄機の駆動装置2の他にスカムスキマ駆動用の駆動装置80を別設する必要があり、さらにはスカムスキマ駆動の傾点位置検出のためのリミットスイッチ等を必要とするので構造が複雑になるとともに、またこの駆動装置80を汚泥掻寄機によるスカムの掻き寄せと同期して駆動するため、同期回路等の複雑な設備をも必要とし、その調整や保守に手数を要し、イニシャルコストとランニングコストが高価になるという問題があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、汚泥掻寄機の有する問題点に鑑み、チェンレス汚泥掻寄機において、駆動装置の周回運動における前後・昇降動作を利用して、自動反転機能を備えたスカムスキマを揺動回転させるようにした汚泥掻寄機のスカムスキマの駆動装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の汚泥掻寄機のスカムスキマの駆動装置は、汚泥掻寄機の駆動装置の周回運動の前後・昇降動作を利用し、スカムスキマ揺動手段を介して自動反転機能を備えたスカムスキマを揺動回転させるように構成したことを特徴とする。
【0007】
この場合において、駆動装置を、固定側に配設したピンラックと、該ピンラックに噛合してピンラックに沿って周回運動するようにした駆動ピニオンとにより構成することができる。
【0008】
また、スカムスキマ揺動手段を、駆動装置の周回運動にて揺動するよう駆動装置に配設したレバーと、該レバーとスカムスキマ間を連結するリンク機構とからなり、かつ汚泥掻寄機の運動に合わせてスカムスキマを揺動するように構成することができる。
【0009】
また、スカムスキマを、突設したウエイトの自重によりスカムスキマを反転させ、自動復帰するように構成することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の汚泥掻寄機のスカムスキマの駆動装置によれば、汚泥掻寄機の駆動装置の周回運動の前後・昇降動作を利用し、スカムスキマ揺動手段を介して自動反転機能を備えたスカムスキマを揺動回転させるように構成することにより、汚泥掻寄機の駆動装置に連動してスカムスキマを揺動駆動させることができるので、スカムスキマを駆動させる駆動装置や傾点位置検出のためのリミットスイッチ等の複雑な機構を必要とせず、スカムスキマを駆動しスカムを吸い込ませることができ、これにより、汚泥掻寄機の調整や保守が簡単となり、イニシャルコストとランニングコストを安くすることができる。
【0011】
また、駆動装置を、固定側に配設したピンラックと、該ピンラックに噛合してピンラックに沿って周回運動するようにした駆動ピニオンとにより構成することにより、汚泥掻寄機を移動することができるので、沈殿汚泥やスカムの掻き寄せが確実に行える。
【0012】
また、スカムスキマ揺動手段を、駆動装置の周回運動にて揺動するよう駆動装置に配設したレバーと、該レバーとスカムスキマ間を連結するリンク機構とからなり、かつ汚泥掻寄機の運動に合わせてスカムスキマを揺動するように構成することにより、汚泥掻寄機を駆動するだけで、スカムスキマを揺動することができるので、簡単な機構でスカムスキマを連動させて、スカムの排出をより確実に行うことができる。
【0013】
また、スカムスキマを、突設したウエイトの自重によりスカムスキマを反転させ、自動復帰するように構成することにより、スカムスキマの揺動力を解除するだけでスカムスキマが自動復帰できるので、スカムスキマの構成を簡単にして、故障の発生を抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の汚泥掻寄機のスカムスキマの駆動装置の実施の形態を、図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0015】
図1〜図2に、本発明の汚泥掻寄機のスカムスキマの駆動装置の一実施例を示す。
下水処理場に流入する汚水中の汚砂や汚泥を沈殿除去するために設置する沈殿池C内に、沈殿池の池底Cbに沈殿する汚砂や汚泥を池底の一部に配設した汚泥ピットP側に掻き寄せるための汚泥掻寄機Aを配設する。
この汚泥掻寄機Aは、水面上に配設した本体フレーム1の駆動装置2の駆動体21に吊下杆3を介してフライトフレーム4を下方側に、スカム掻寄フレーム5を上方側に平行するようにして配設するとともに、フライトフレーム4には汚泥掻寄用の複数のフライト41、41を定ピッチで、またスカム掻寄フレーム5には同様にして複数のスカム掻寄板51、51を定ピッチで、それぞれ備えるとともに、本体フレーム1には駆動装置2を配設して構成する。
【0016】
また、汚泥掻寄機Aを駆動する駆動装置2は、本体フレーム等の固定側に配設したピンラック22と、このピンラック22に噛合し、かつてピンラック22に沿って楕円形の周回軌道を運行するようにした駆動体21とにより構成する。
この駆動体21は、ピンラック22に噛合した駆動ピニオン23と、該駆動ピニオン23を回転駆動するようにしたモータ等の駆動源(図示省略)とにより構成する。
そして、この駆動体21を楕円形の周回軌道を運行するようにしたピンラック22は、複数本のピンを直線状に植設して構成し、かつピンラック22の長さを、特に限定されるものではないが、例えば、フライトフレーム4に配設するフライトピッチ等を鑑みて池底Cbに沿って一定のストロークLだけ前進或いは後進移動するようにして定め、また、楕円形をした周回軌道の高さHは、フライトフレーム4の降下時において汚泥掻寄用の複数のフライト41の下端縁が沈殿池Cの池底Cbに近設して沈殿汚泥を掻き寄せるようにする位置から、フライトフレーム4の上昇時においてスカム掻寄板51により水面位置に浮遊するスカムSをスカムスキマ側に掻き寄せられる位置まで上下するようにして定める。
【0017】
これにより、ピンラック22に噛合した駆動体21の駆動ピニオン23がモータ等の駆動源により回転駆動されると、駆動ピニオン23がピンラック22と噛合して移動する際、駆動ピニオン23はピンラック22を周回するようにして回転移動するようにする。この場合、駆動体側に吊下杆3を吊垂支持するようにしているため、駆動体21の楕円形の周回移動により、吊下杆3を介して吊垂支持したフライトフレーム4及びスカム掻寄フレーム5を備えた汚泥掻寄機Aの全体は、一定ストロークLを前進、及び後進し、かつこの前後進運動と組み合わせて、一定の高さHだけ上下動するようにする。
【0018】
また、汚泥掻寄機Aの駆動装置2には、スカムスキマ揺動手段Bを配設する。このスカムスキマ揺動手段Bは、ピンラック22による駆動体21の周回運動にて揺動するよう駆動装置に配設したレバー6と、該レバー6とスカムスキマ間を連結するよう配設したリンク7とから構成する。
このレバー6は、駆動装置2にピン軸を介して揺動可能に支持し、下端側をピンラック22に沿って周回運動する駆動体21により蹴られて揺動するようにし、またこのレバー6の上端にリンク7の一端側を枢着し、またこのリンク7の他端側をピン軸を介してスカムスキマ8に係止することで、汚泥掻寄機Aの移動に合わせてスカムスキマ8を揺動するようにする。
【0019】
スカムスキマ8は、沈殿池Cの汚泥ピットPと反対側のスカム掻寄側水面位置に揺動可能に配設する。このスカムスキマ8は、特に限定されるものではないが、例えば、図示の実施例のように円筒形でその一部を切り欠いてスカム吸込口81を形成し、通常はこのスカム吸込口81は、図1に示すように上面を向くようにして静止させ、スカム吸い込み時のみスカムスキマ8を揺動(傾転)させて、図2に示すように、スカム吸込口81が水面位置となるようにする。
また、このスカムスキマ8には、レバー6及びリンク7よりなるスカムスキマ揺動手段Bにて揺動した後、スカム吸込口81が上面を向く静止状態に自動的に復帰するよう、自動反転機能を備える。この自動反転機能は、図1に示すように、スカムスキマ8より上方へ突設したロッド9の先端にウエイト91を取り付けるようにして形成する。このウエイト91の自重により、スカムスキマ8を反転させ、自動復帰するようにする。
なお、このロッド9の一部に前記リンク7を係止することができる。
【0020】
次に、本発明の汚泥掻寄機のスカムスキマの駆動装置の作用について説明する。
駆動装置2のピンラック22に駆動ピニオン23が噛合されて駆動体21が矢符方向に周回運動を行う場合、ピンラック22の下方側に沿って駆動体21が移動する時、該駆動体に吊垂支持された汚泥掻寄機Aの全体は、降下状態で汚泥ピット側に向かって一定ストロークLだけ前進移動する。このとき、フライトフレーム4は降下位置にあって汚泥掻寄用のフライト41の下端縁が沈殿池内底に近設して沈殿汚泥を汚泥ピット側に掻き寄せる。そして、駆動体21がピンラック22の先端位置に達すると駆動体21は反転するようにしてピンラック22の上方側に沿って移動する。これにより、汚泥掻寄機Aの全体は引き上げられるようになる。
【0021】
この汚泥掻寄機Aの全体は引き上げられ、かつピンラック22に沿って、同様に一定ストロークLだけ後退移動するが、この場合、汚泥掻寄用のフライト41の下端縁は沈殿池内底面より引き上げられた状態となっているので沈殿汚泥の掻き寄せは不能となるが、水面位置に引き上げられたスカム掻寄板51により水面位置に浮遊するスカムをスカムスキマ8側に掻き寄せられるようになる。
【0022】
次に、駆動体21がピンラック22の上方側後端位置に達すると、図1に示すように、駆動体がレバー6の下端部と接触し、かつ駆動体21のさらなる移動によりレバー6は揺動するようになる。このレバー6の先端にはリンク7が枢着されているので、レバー6の揺動はこのリンク7をレバー揺動方向へ引くようになり、該リンク端を係止したスカムスキマ8は、ウエイト91に打ち勝って、そのスカム吸込口81が上面より水面側に向かうよう揺動する。
これにより、スカム掻寄板51により掻き寄せられ、水面に浮遊するスカムSを水面位置の汚水と共にスカム吸込口81よりスカムスキマ8内に吸い込まれるようになり、沈殿池Cの外へ排出される。
【0023】
なお、周回移動により駆動体がレバーの接触位置より離間すると、スカムスキマ8はウエイト91の自重により反転して自動復帰するものとなり、スカム吸込口81は上面を向き、静止し、次の揺動を待つようになる。
【0024】
本発明によれば、チェンレス汚泥掻寄機の駆動装置に連動して、スカムスキマを駆動させることにより、従来のようにスカムスキマを駆動させるための駆動装置や傾点位置検出のためのリミットスイッチ等の複雑な機構を必要とせず、スカムスキマを駆動してスカムを吸い込ませることができる。
また、これにより、汚泥掻寄機の調整や保守が簡単となり、イニシャルコストとランニングコストを安くすることができる。
【0025】
以上、本発明の汚泥掻寄機のスカムスキマの駆動装置について、実施例に基づいて説明したが、本発明は上記実施例に記載した構成に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜その構成を変更することができるものである。
【産業上の利用可能性】
【0026】
本発明の汚泥掻寄機のスカムスキマの駆動装置は、汚泥掻寄機を駆動する駆動装置の周回運動での前後・昇降動作を利用して、自動反転機能を備えたスカムスキマを揺動回転させるという特性を有していることから、沈殿池内のスカムの排出を行うスカムスキマ駆動の用途に好適に用いることがでる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の汚泥掻寄機のスカムスキマの駆動装置の一実施例を示す説明図である。
【図2】スカムスキマ駆動時の説明図である。
【図3】従来のチェンレス汚泥掻寄機の全体を示す説明図である。
【図4】従来のスカムスキマ駆動装置の説明図である。
【符号の説明】
【0028】
A 汚泥掻寄機
B スカムスキマ揺動手段
1 本体フレーム
2 駆動装置
21 駆動体
22 ピンラック
23 駆動ピニオン
3 吊下杆
4 フライトフレーム
41 汚泥掻寄用のフライト
5 スカム掻寄フレーム
51 スカム掻寄板
6 レバー
7 リンク
8 スカムスキマ
81 スカム吸込口
9 ロッド
91 ウエイト
【技術分野】
【0001】
本発明は、汚泥掻寄機のスカムスキマの駆動装置に関し、特に、汚泥掻寄機の駆動力の一部を利用し、かつ該汚泥掻寄機の駆動と同期してスカムスキマを揺動させるようにした汚泥掻寄機のスカムスキマの駆動装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、下水処理場等においては、該下水処理場に流入する汚水中の汚砂や汚泥を沈殿除去するため沈殿池Cを設置し、該沈殿池内に池底に沿って汚泥掻寄用のフライト41を移動させて沈殿汚砂や汚泥を汚泥ピットP側に掻き寄せるよう、特に限定されるものではないが、例えば、図3に示すように、汚泥掻寄機Aを設置している。
この汚泥掻寄機A、特に限定されるものではないが、例えば、チェンレス汚泥掻寄機においては、図3に示すように、沈殿池C内に吊垂するようにして配設した汚泥掻寄機Aを水面上に配設した駆動装置2にて、複数のフライト41を所定間隔で備えたフライトフレーム4を、一定のストロークだけ池底に沿って前進移動させた後、池底より少し上昇させて同じストロークを後退させるようにした周回運動を行うように構成し、沈殿汚泥の掻き寄せを行うようにしている。
【0003】
また、水面に浮遊するスカムは、チェンレス汚泥掻寄機と別設のスカムスキマを揺動させてスカムスキマ内に吸引排出するようにしているが、このスカムスキマによる浮遊するスカムの排出を効率的に行うため、チェンレス汚泥掻寄機の駆動と同期してスカムスキマを揺動するようにしている。
【0004】
しかしながら、沈殿池内に配設したスカムスキマ8は、図4に示すように、スカムスキマ8を駆動するために駆動装置80をフレームFに固定し、該駆動装置80とスカムスキマ8とを駆動連結体83を介して連結して構成している。このため、汚泥掻寄機の駆動装置2の他にスカムスキマ駆動用の駆動装置80を別設する必要があり、さらにはスカムスキマ駆動の傾点位置検出のためのリミットスイッチ等を必要とするので構造が複雑になるとともに、またこの駆動装置80を汚泥掻寄機によるスカムの掻き寄せと同期して駆動するため、同期回路等の複雑な設備をも必要とし、その調整や保守に手数を要し、イニシャルコストとランニングコストが高価になるという問題があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、汚泥掻寄機の有する問題点に鑑み、チェンレス汚泥掻寄機において、駆動装置の周回運動における前後・昇降動作を利用して、自動反転機能を備えたスカムスキマを揺動回転させるようにした汚泥掻寄機のスカムスキマの駆動装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の汚泥掻寄機のスカムスキマの駆動装置は、汚泥掻寄機の駆動装置の周回運動の前後・昇降動作を利用し、スカムスキマ揺動手段を介して自動反転機能を備えたスカムスキマを揺動回転させるように構成したことを特徴とする。
【0007】
この場合において、駆動装置を、固定側に配設したピンラックと、該ピンラックに噛合してピンラックに沿って周回運動するようにした駆動ピニオンとにより構成することができる。
【0008】
また、スカムスキマ揺動手段を、駆動装置の周回運動にて揺動するよう駆動装置に配設したレバーと、該レバーとスカムスキマ間を連結するリンク機構とからなり、かつ汚泥掻寄機の運動に合わせてスカムスキマを揺動するように構成することができる。
【0009】
また、スカムスキマを、突設したウエイトの自重によりスカムスキマを反転させ、自動復帰するように構成することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の汚泥掻寄機のスカムスキマの駆動装置によれば、汚泥掻寄機の駆動装置の周回運動の前後・昇降動作を利用し、スカムスキマ揺動手段を介して自動反転機能を備えたスカムスキマを揺動回転させるように構成することにより、汚泥掻寄機の駆動装置に連動してスカムスキマを揺動駆動させることができるので、スカムスキマを駆動させる駆動装置や傾点位置検出のためのリミットスイッチ等の複雑な機構を必要とせず、スカムスキマを駆動しスカムを吸い込ませることができ、これにより、汚泥掻寄機の調整や保守が簡単となり、イニシャルコストとランニングコストを安くすることができる。
【0011】
また、駆動装置を、固定側に配設したピンラックと、該ピンラックに噛合してピンラックに沿って周回運動するようにした駆動ピニオンとにより構成することにより、汚泥掻寄機を移動することができるので、沈殿汚泥やスカムの掻き寄せが確実に行える。
【0012】
また、スカムスキマ揺動手段を、駆動装置の周回運動にて揺動するよう駆動装置に配設したレバーと、該レバーとスカムスキマ間を連結するリンク機構とからなり、かつ汚泥掻寄機の運動に合わせてスカムスキマを揺動するように構成することにより、汚泥掻寄機を駆動するだけで、スカムスキマを揺動することができるので、簡単な機構でスカムスキマを連動させて、スカムの排出をより確実に行うことができる。
【0013】
また、スカムスキマを、突設したウエイトの自重によりスカムスキマを反転させ、自動復帰するように構成することにより、スカムスキマの揺動力を解除するだけでスカムスキマが自動復帰できるので、スカムスキマの構成を簡単にして、故障の発生を抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の汚泥掻寄機のスカムスキマの駆動装置の実施の形態を、図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0015】
図1〜図2に、本発明の汚泥掻寄機のスカムスキマの駆動装置の一実施例を示す。
下水処理場に流入する汚水中の汚砂や汚泥を沈殿除去するために設置する沈殿池C内に、沈殿池の池底Cbに沈殿する汚砂や汚泥を池底の一部に配設した汚泥ピットP側に掻き寄せるための汚泥掻寄機Aを配設する。
この汚泥掻寄機Aは、水面上に配設した本体フレーム1の駆動装置2の駆動体21に吊下杆3を介してフライトフレーム4を下方側に、スカム掻寄フレーム5を上方側に平行するようにして配設するとともに、フライトフレーム4には汚泥掻寄用の複数のフライト41、41を定ピッチで、またスカム掻寄フレーム5には同様にして複数のスカム掻寄板51、51を定ピッチで、それぞれ備えるとともに、本体フレーム1には駆動装置2を配設して構成する。
【0016】
また、汚泥掻寄機Aを駆動する駆動装置2は、本体フレーム等の固定側に配設したピンラック22と、このピンラック22に噛合し、かつてピンラック22に沿って楕円形の周回軌道を運行するようにした駆動体21とにより構成する。
この駆動体21は、ピンラック22に噛合した駆動ピニオン23と、該駆動ピニオン23を回転駆動するようにしたモータ等の駆動源(図示省略)とにより構成する。
そして、この駆動体21を楕円形の周回軌道を運行するようにしたピンラック22は、複数本のピンを直線状に植設して構成し、かつピンラック22の長さを、特に限定されるものではないが、例えば、フライトフレーム4に配設するフライトピッチ等を鑑みて池底Cbに沿って一定のストロークLだけ前進或いは後進移動するようにして定め、また、楕円形をした周回軌道の高さHは、フライトフレーム4の降下時において汚泥掻寄用の複数のフライト41の下端縁が沈殿池Cの池底Cbに近設して沈殿汚泥を掻き寄せるようにする位置から、フライトフレーム4の上昇時においてスカム掻寄板51により水面位置に浮遊するスカムSをスカムスキマ側に掻き寄せられる位置まで上下するようにして定める。
【0017】
これにより、ピンラック22に噛合した駆動体21の駆動ピニオン23がモータ等の駆動源により回転駆動されると、駆動ピニオン23がピンラック22と噛合して移動する際、駆動ピニオン23はピンラック22を周回するようにして回転移動するようにする。この場合、駆動体側に吊下杆3を吊垂支持するようにしているため、駆動体21の楕円形の周回移動により、吊下杆3を介して吊垂支持したフライトフレーム4及びスカム掻寄フレーム5を備えた汚泥掻寄機Aの全体は、一定ストロークLを前進、及び後進し、かつこの前後進運動と組み合わせて、一定の高さHだけ上下動するようにする。
【0018】
また、汚泥掻寄機Aの駆動装置2には、スカムスキマ揺動手段Bを配設する。このスカムスキマ揺動手段Bは、ピンラック22による駆動体21の周回運動にて揺動するよう駆動装置に配設したレバー6と、該レバー6とスカムスキマ間を連結するよう配設したリンク7とから構成する。
このレバー6は、駆動装置2にピン軸を介して揺動可能に支持し、下端側をピンラック22に沿って周回運動する駆動体21により蹴られて揺動するようにし、またこのレバー6の上端にリンク7の一端側を枢着し、またこのリンク7の他端側をピン軸を介してスカムスキマ8に係止することで、汚泥掻寄機Aの移動に合わせてスカムスキマ8を揺動するようにする。
【0019】
スカムスキマ8は、沈殿池Cの汚泥ピットPと反対側のスカム掻寄側水面位置に揺動可能に配設する。このスカムスキマ8は、特に限定されるものではないが、例えば、図示の実施例のように円筒形でその一部を切り欠いてスカム吸込口81を形成し、通常はこのスカム吸込口81は、図1に示すように上面を向くようにして静止させ、スカム吸い込み時のみスカムスキマ8を揺動(傾転)させて、図2に示すように、スカム吸込口81が水面位置となるようにする。
また、このスカムスキマ8には、レバー6及びリンク7よりなるスカムスキマ揺動手段Bにて揺動した後、スカム吸込口81が上面を向く静止状態に自動的に復帰するよう、自動反転機能を備える。この自動反転機能は、図1に示すように、スカムスキマ8より上方へ突設したロッド9の先端にウエイト91を取り付けるようにして形成する。このウエイト91の自重により、スカムスキマ8を反転させ、自動復帰するようにする。
なお、このロッド9の一部に前記リンク7を係止することができる。
【0020】
次に、本発明の汚泥掻寄機のスカムスキマの駆動装置の作用について説明する。
駆動装置2のピンラック22に駆動ピニオン23が噛合されて駆動体21が矢符方向に周回運動を行う場合、ピンラック22の下方側に沿って駆動体21が移動する時、該駆動体に吊垂支持された汚泥掻寄機Aの全体は、降下状態で汚泥ピット側に向かって一定ストロークLだけ前進移動する。このとき、フライトフレーム4は降下位置にあって汚泥掻寄用のフライト41の下端縁が沈殿池内底に近設して沈殿汚泥を汚泥ピット側に掻き寄せる。そして、駆動体21がピンラック22の先端位置に達すると駆動体21は反転するようにしてピンラック22の上方側に沿って移動する。これにより、汚泥掻寄機Aの全体は引き上げられるようになる。
【0021】
この汚泥掻寄機Aの全体は引き上げられ、かつピンラック22に沿って、同様に一定ストロークLだけ後退移動するが、この場合、汚泥掻寄用のフライト41の下端縁は沈殿池内底面より引き上げられた状態となっているので沈殿汚泥の掻き寄せは不能となるが、水面位置に引き上げられたスカム掻寄板51により水面位置に浮遊するスカムをスカムスキマ8側に掻き寄せられるようになる。
【0022】
次に、駆動体21がピンラック22の上方側後端位置に達すると、図1に示すように、駆動体がレバー6の下端部と接触し、かつ駆動体21のさらなる移動によりレバー6は揺動するようになる。このレバー6の先端にはリンク7が枢着されているので、レバー6の揺動はこのリンク7をレバー揺動方向へ引くようになり、該リンク端を係止したスカムスキマ8は、ウエイト91に打ち勝って、そのスカム吸込口81が上面より水面側に向かうよう揺動する。
これにより、スカム掻寄板51により掻き寄せられ、水面に浮遊するスカムSを水面位置の汚水と共にスカム吸込口81よりスカムスキマ8内に吸い込まれるようになり、沈殿池Cの外へ排出される。
【0023】
なお、周回移動により駆動体がレバーの接触位置より離間すると、スカムスキマ8はウエイト91の自重により反転して自動復帰するものとなり、スカム吸込口81は上面を向き、静止し、次の揺動を待つようになる。
【0024】
本発明によれば、チェンレス汚泥掻寄機の駆動装置に連動して、スカムスキマを駆動させることにより、従来のようにスカムスキマを駆動させるための駆動装置や傾点位置検出のためのリミットスイッチ等の複雑な機構を必要とせず、スカムスキマを駆動してスカムを吸い込ませることができる。
また、これにより、汚泥掻寄機の調整や保守が簡単となり、イニシャルコストとランニングコストを安くすることができる。
【0025】
以上、本発明の汚泥掻寄機のスカムスキマの駆動装置について、実施例に基づいて説明したが、本発明は上記実施例に記載した構成に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜その構成を変更することができるものである。
【産業上の利用可能性】
【0026】
本発明の汚泥掻寄機のスカムスキマの駆動装置は、汚泥掻寄機を駆動する駆動装置の周回運動での前後・昇降動作を利用して、自動反転機能を備えたスカムスキマを揺動回転させるという特性を有していることから、沈殿池内のスカムの排出を行うスカムスキマ駆動の用途に好適に用いることがでる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の汚泥掻寄機のスカムスキマの駆動装置の一実施例を示す説明図である。
【図2】スカムスキマ駆動時の説明図である。
【図3】従来のチェンレス汚泥掻寄機の全体を示す説明図である。
【図4】従来のスカムスキマ駆動装置の説明図である。
【符号の説明】
【0028】
A 汚泥掻寄機
B スカムスキマ揺動手段
1 本体フレーム
2 駆動装置
21 駆動体
22 ピンラック
23 駆動ピニオン
3 吊下杆
4 フライトフレーム
41 汚泥掻寄用のフライト
5 スカム掻寄フレーム
51 スカム掻寄板
6 レバー
7 リンク
8 スカムスキマ
81 スカム吸込口
9 ロッド
91 ウエイト
【特許請求の範囲】
【請求項1】
汚泥掻寄機の駆動装置の周回運動の前後・昇降動作を利用し、スカムスキマ揺動手段を介して自動反転機能を備えたスカムスキマを揺動回転させるように構成したことを特徴とする汚泥掻寄機のスカムスキマの駆動装置。
【請求項2】
駆動装置を、固定側に配設したピンラックと、該ピンラックに噛合してピンラックに沿って周回運動するようにした駆動ピニオンとにより構成したことを特徴とする請求項1記載の汚泥掻寄機のスカムスキマの駆動装置。
【請求項3】
スカムスキマ揺動手段を、駆動装置の周回運動にて揺動するよう駆動装置に配設したレバーと、該レバーとスカムスキマ間を連結するリンク機構とからなり、かつ汚泥掻寄機の運動に合わせてスカムスキマを揺動するように構成したことを特徴とする請求項1又は2記載の汚泥掻寄機のスカムスキマの駆動装置。
【請求項4】
スカムスキマを、突設したウエイトの自重によりスカムスキマを反転させ、自動復帰するように構成したことを特徴とする請求項1、2又は3記載の汚泥掻寄機のスカムスキマの駆動装置。
【請求項1】
汚泥掻寄機の駆動装置の周回運動の前後・昇降動作を利用し、スカムスキマ揺動手段を介して自動反転機能を備えたスカムスキマを揺動回転させるように構成したことを特徴とする汚泥掻寄機のスカムスキマの駆動装置。
【請求項2】
駆動装置を、固定側に配設したピンラックと、該ピンラックに噛合してピンラックに沿って周回運動するようにした駆動ピニオンとにより構成したことを特徴とする請求項1記載の汚泥掻寄機のスカムスキマの駆動装置。
【請求項3】
スカムスキマ揺動手段を、駆動装置の周回運動にて揺動するよう駆動装置に配設したレバーと、該レバーとスカムスキマ間を連結するリンク機構とからなり、かつ汚泥掻寄機の運動に合わせてスカムスキマを揺動するように構成したことを特徴とする請求項1又は2記載の汚泥掻寄機のスカムスキマの駆動装置。
【請求項4】
スカムスキマを、突設したウエイトの自重によりスカムスキマを反転させ、自動復帰するように構成したことを特徴とする請求項1、2又は3記載の汚泥掻寄機のスカムスキマの駆動装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図2】
【図3】
【図4】
【公開番号】特開2008−229524(P2008−229524A)
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−74116(P2007−74116)
【出願日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【出願人】(000005452)株式会社日立プラントテクノロジー (1,767)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【出願人】(000005452)株式会社日立プラントテクノロジー (1,767)
【Fターム(参考)】
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