説明

汚泥管理システム

【課題】古紙由来の安価な脱水補助剤を用いて効率的な脱水処理を可能にする汚泥管理システムを提供する。
【解決手段】脱水設備に供給された汚泥に脱水補助剤を添加して単一または複数の脱水機で脱水する汚泥の脱水処理を管理する汚泥管理システムであって、脱水処理すべき汚泥の情報を入力する汚泥情報入力部31と、古紙由来の脱水補助剤の製造情報を入力する補助剤製造情報入力部32と、前記汚泥情報に基づいて必要となる脱水補助剤の情報を算出する補助剤情報演算部34と、前記補助剤情報演算部34で算出された補助剤情報と前記補助剤製造情報に基づいて、前記脱水設備に供給すべき脱水補助剤の情報を算出する物流情報演算部35と、前記物流情報演算部で算出された物流情報を出力する物流情報出力部36と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脱水設備に供給された汚泥に脱水補助剤を添加して脱水する汚泥の脱水処理を管理する汚泥管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
脱水設備に供給された汚泥、特に有機性汚泥をスクリュープレス装置、ロータリプレス装置、フィルタプレス装置、遠心分離装置、ベルトプレス装置等の脱水装置で脱水処理して、脱水ケーキを燃料や堆肥等の資源としてリサイクルする再資源化処理が行なわれる場合がある。
【0003】
このような場合、汚泥をより低含水率まで脱水した方が効率的にその後の処理が行なえるようになり、全体として処理費用が安価になるため、含水率が低くなるように凝集剤等の脱水補助剤の種類や投入量が選択・調整されている。そして、特許文献1に記載されているように、古紙も脱水補助剤の一例であり、汚泥中に繊維分が少ない場合に、凝集剤のみならず古紙由来の脱水補助剤を添加することによって、汚泥脱水の含水率を低くできることが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭61−293600号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
古紙由来の脱水補助剤として、新聞や雑誌等の古紙を裁断機や破砕機で繊維状に裂いた後に加圧して塊状にした製品が提供されているが、このような市販の脱水補助剤は、繊維が短く裁断されているため、脱水助剤としての機能に一定の制限があり、また購入コストが嵩むという問題がある。尚、脱水補助剤の購入コストを削減するために、収集した古新聞やダンボールを裁断して繊維化する設備を購入して脱水設備に設置すると、古紙由来の脱水補助剤の確保に要するコストを低減することができるものの、初期の設備費が嵩むという問題が生じる。
【0006】
本発明の目的は、上述した問題点に鑑み、古紙由来の安価な脱水補助剤を用いて効率的な脱水処理を可能にする汚泥管理システムを提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の目的を達成するため、本発明による汚泥管理システムの第一特徴構成は、特許請求の範囲の請求項1に記載した通り、脱水設備に供給された汚泥に脱水補助剤を添加して単一または複数の脱水機で脱水する汚泥の脱水処理を管理する汚泥管理システムであって、脱水処理すべき汚泥の情報を入力する汚泥情報入力部と、古紙由来の脱水補助剤の製造情報を入力する補助剤製造情報入力部と、前記汚泥情報に基づいて必要となる脱水補助剤の情報を算出する補助剤情報演算部と、前記補助剤情報演算部で算出された補助剤情報と前記補助剤製造情報に基づいて、前記脱水設備に供給すべき脱水補助剤の情報を算出する物流情報演算部と、前記物流情報演算部で算出された物流情報を出力する物流情報出力部と、を備えている点にある。
【0008】
上述の構成によれば、汚泥情報入力部に入力された脱水処理すべき汚泥の情報と、補助剤製造情報入力部に入力された古紙由来の脱水補助剤の製造情報に基づいて、補助剤情報演算部によって脱水処理に必要な脱水補助剤情報が予測して算出される。さらに、物流情報演算部が、この予測値に基づいて、脱水補助剤製造装置で製造された脱水補助剤を脱水設備に供給するための物流情報が算出され、物流情報出力部を介して出力された物流情報に基づいて、適切な時期に適切な量の脱水補助剤が脱水補助剤製造装置から脱水設備に供給されるようになる。
【0009】
同第二の特徴構成は、同請求項2に記載した通り、上述した第一の特徴構成に加えて、前記物流情報演算部は、前記補助剤情報演算部で算出された補助剤情報と前記補助剤製造情報に加えて、前記脱水設備に確保されている脱水補助剤の在庫情報に基づいて、前記脱水設備に供給すべき前記脱水補助剤の情報を算出する点にある。
【0010】
上述の構成によれば、物流情報演算部によって、補助剤情報演算部で算出された補助剤情報と、補助剤の在庫情報とに基づいて、脱水設備に供給すべき脱水補助剤の情報である物流情報が算出されるので、補助剤製造装置による古紙由来の脱水補助剤の製造量や時期が変動する場合であっても、必要な時期に必要な量の脱水補助剤が脱水補助剤製造装置から脱水設備に柔軟に供給されるようになる。
【0011】
同第三の特徴構成は、同請求項3に記載した通り、上述した第一または第二の特徴構成に加えて、古紙由来の脱水補助剤を製造する脱水補助剤製造装置が単一または複数の古紙発生場所に設置され、前記補助剤製造情報入力部は前記脱水補助剤製造装置から通信媒体を介して脱水補助剤の製造情報が入力される点にある。
【0012】
投入された古紙を溶解することにより繊維化し、繊維化した古紙を脱水して塊状化した古紙パックを製造する脱水補助剤製造装置は、オフィスで不要となった機密書類等の紙葉類が投入された場合に溶解処理するものであるので、古紙パックを定量的に製造するものではない。つまり、古紙パックの製造量や時期が変動するという特性を備えているため、安定的に脱水処理を継続するためには十分な在庫が必要になるという問題がある。しかし、脱水補助剤製造装置に備えた製造情報生成部から通信媒体を介して脱水補助剤の製造情報が補助剤製造情報入力部に入力されるので、脱水補助剤製造装置で製造される古紙パックの製造情報が正確に把握でき、脱水補助剤の在庫を増やすことなく、効率的に脱水補助剤を取得して脱水処理を行なうことができる。尚、このような脱水補助剤は、繊維が短く切断されることがないため、脱水機能が優れている。
【0013】
同第四の特徴構成は、同請求項4に記載した通り、上述した第三の特徴構成に加えて、前記脱水補助剤製造装置は、前記物流情報出力部から出力された物流情報を、通信媒体を介して取得し、取得した物流情報に基づいて、古紙の処理すべき量を出力する出力部を備えている点にある。
【0014】
上述の構成によれば、物流情報に基づいて脱水補助剤の需要の程度が判明するので、その情報に基づいて表示部に表示された古紙を処理すべき量によって、オペレータが、需要に沿うように古紙の処理量を調整することができるようになる。例えば、需要に対して古紙の処理量が少ない場合には、オフィスに蓄積された溶解処理用の古紙の投入量を増やし、需要に対して古紙の処理量が多い場合には、オフィスに蓄積された溶解処理用の古紙の投入量を減らすことが容易にできるようになる。
【0015】
同第五の特徴構成は、同請求項5に記載した通り、上述した第三または第四の特徴構成に加えて、前記脱水補助剤製造装置は、投入された古紙を溶解して繊維化し、さらに脱水して塊状化する装置である点にある。
【0016】
脱水補助剤として古紙を溶解して繊維化し、さらに脱水して塊状化する装置を用いれば、第三者による内容の知得を回避しながら気密書類等の処分を行なうことができ、その副産物が脱水補助剤として有効に活用できる。
【0017】
同第六の特徴構成は、同請求項6に記載した通り、上述した第三から第五の何れかの特徴構成に加えて、前記物流情報演算部は、前記脱水補助剤製造装置で製造された脱水補助剤ではない脱水補助剤であって、前記脱水設備に確保されている他の脱水補助剤の在庫情報と、それ以外の前記情報に基づいて、前記脱水補助剤製造装置で製造された脱水補助剤が前記他の脱水補助剤よりも優先して使用されるように、前記物流情報を算出する点にある。
【0018】
物流情報演算部によって、脱水補助剤製造装置により製造された脱水補助剤が、脱水設備に蓄積されている脱水補助剤よりも優先して使用されるように、物流情報が算出される結果、例えば、脱水補助剤製造装置により製造された脱水補助剤のコストよりも、在庫として蓄積されている脱水補助剤の購入コストが高い場合に、相対的に安価なコストの脱水補助剤が優先して使用されることで、脱水処理に要するコストを低減することができる。
【0019】
同第七の特徴構成は、同請求項7に記載した通り、上述した第一から第六の何れかの特徴構成に加えて、前記脱水設備は、汚泥を脱水する脱水機と、脱水設備に供給された汚泥を貯留する汚泥貯留槽と、汚泥貯留槽に貯留された汚泥を前記脱水機に供給するための混和槽と、前記混和槽に凝集剤を供給する凝集剤供給装置と、前記汚泥貯留槽または前記混和槽に脱水補助剤を供給する脱水補助剤供給装置と、を備え、前記補助剤情報演算部で算出される補助剤情報は、前記脱水補助剤供給装置によって供給される脱水補助剤の情報である点にあり、本発明による汚泥管理システムの好ましい適用例となる。
【発明の効果】
【0020】
以上説明した通り、本発明によれば、古紙由来の安価な脱水補助剤を用いて効率的な脱水処理を可能にする汚泥管理システムを提供することができるようになった。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】汚泥処理装置と汚泥管理システムの構成図
【図2】汚泥管理システムの処理手順を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明による汚泥管理システムを説明する。
図1に示すように、汚泥処理設備は、供給された汚泥を脱水処理する脱水設備1を備えている。処理対象となる汚泥は、収集されたし尿や浄化槽等の有機性の汚泥及び水処理の過程で発生する余剰汚泥であり、脱水設備1で脱水された汚泥の固形成分が堆肥や燃焼炉の燃焼助剤等に用いられ、汚泥から固形成分が分離された汚水が汚水処理設備で浄化された後に再利用される。
【0023】
脱水設備1は、単一または複数の脱水機15と、供給された汚泥を貯留する汚泥貯留槽11と、汚泥貯留槽11に貯留された汚泥を脱水機15に供給するための混和槽12と、混和槽12に高分子系の凝集剤を供給する凝集剤供給装置13と、汚泥貯留槽11または混和槽12に脱水補助剤を供給する脱水補助剤供給装置14を備えている。
【0024】
本実施形態では、脱水機15としてスクリュープレス方式の脱水機が採用されているが、他にロータリプレス方式、フィルタプレス方式、遠心分離方式、ベルトプレス方式等の任意の脱水機を用いることができる。
【0025】
脱水補助剤として、脱水補助剤製造装置によって製造された古紙由来の脱水補助剤が用いられる。脱水補助剤製造装置4は、溶解槽に投入された古紙を溶解して繊維化し、繊維化した古紙を塊状化して脱水する脱水部により所定形状に古紙パックを製造する装置で、溶解のための操作を行なう操作部44と、装置の状態を表示する表示部41と、溶解部42、脱水部43、操作部44、表示部41を制御する制御装置45を備えている。
【0026】
溶解部42は、水を主成分とする溶解液が充填された溶解槽と溶解槽内の液を攪拌する攪拌機構を備え、投入された機密文書等を槽内で攪拌して繊維状に溶解するブロックである。
【0027】
このような脱水補助剤製造装置4は、主に不要になった機密文書等の古紙を溶解するために用いられ、書類を作成する様々な一般のオフィスや役所のオフィス等に設置される装置である。例えば、汚泥処理設備に隣接するオフィスに脱水補助剤製造装置が設置されている場合には、当該オフィスに設置された脱水補助剤製造装置によって製造された脱水補助剤を汚泥の脱水処理に用いることができ、安価な脱水補助剤を確保することができる。
【0028】
しかも溶解式なので、機密書類であってもその内容を第三者に知得されること無く処理できる。このような脱水補助剤は、所定形状の塊となるパック製品であるため、運搬し易く、混和槽への定量供給が容易である。しかも、書類を直接溶解したものであるため繊維の長さが長く、脱水効率が高いという特徴がある。さらに、このようなパック製品は湿潤製を保って脱水設備に搬送することで、混和槽への供給後に速やかに溶ける。そのための気密性の高い容器に収容して運搬等することが好ましい。
【0029】
しかし、汚泥処理設備に供給される汚泥の量は変動が大きく、さらに、脱水補助剤製造装置4によって製造される脱水補助剤の量も日々の変動が大きいため、汚泥の量が増加したときに脱水処理が滞る虞がある。安定して脱水処理できるように、汚泥処理設備に隣接するオフィスに設置する脱水補助剤製造装置の台数を増やし、或は、予め大量の脱水補助剤を蓄積することも考えられるが、温湿度環境を整えた脱水補助剤の保管施設が必要になる等、設備費が嵩む点で好ましくない。
【0030】
汚泥管理システム3は、脱水設備に供給された汚泥に脱水補助剤を添加して脱水する汚泥の脱水処理を管理するシステムで、供給された汚泥の脱水処理に必要な脱水補助剤の物流を管理して、安価な費用で柔軟に脱水処理を行なうことができるシステムである。
【0031】
汚泥管理システム3は、専用の汚泥管理プログラムがインストールされたパーソナルコンピュータでなる汚泥管理装置30と、インターネットまたは専用の通信回線等の通信媒体5で汚泥管理装置30と接続された脱水補助剤製造装置4及び流入汚泥計測部、さらには汚泥の性状計測部等を備えている。
【0032】
図1の右上には、汚泥管理システム3の機能ブロックの構成図が示されている。汚泥管理装置30は、汚泥情報入力部としての汚泥発生情報入力部31と、補助剤製造情報入力部32と、脱水処理情報記憶部33と、補助剤情報演算部34と、物流情報演算部35と、物流情報出力部36を備えている。
【0033】
汚泥発生情報入力部31は、単一または複数の脱水機で脱水処理すべき汚泥の発生情報、例えば汚泥量とその性状及び供給時刻等の汚泥情報を入力するブロックである。また、補助剤製造情報入力部32は、脱水補助剤製造装置4による古紙由来の脱水補助剤の製造情報、例えば製造量と、製造時刻等を入力するブロックである。補助剤製造情報入力部32は、脱水補助剤製造装置4に備えた製造情報生成部として機能する制御装置45と通信媒体5を介して接続され、当該通信媒体5を介して脱水補助剤の製造情報が入力される。
【0034】
脱水処理情報記憶部33は、各入力部から入力された汚泥の発生情報と補助剤製造情報を累積記憶するブロックである。補助剤情報演算部34は、脱水処理情報記憶部33に記憶された汚泥の発生情報に基づいて、脱水処理すべき汚泥処理情報と当該汚泥処理情報に対応して必要となる脱水補助剤情報、例えば必要量と必要時刻等を算出するブロックである。
【0035】
物流情報演算部35は、補助剤情報演算部34で算出された脱水補助剤情報に基づいて、脱水補助剤製造装置4で製造された脱水補助剤を脱水設備1に供給するための物流情報、例えば脱水補助剤の収集時期とトラック等の搬送手段のスケジュールを算出するブロックである。物流情報出力部36は、物流情報演算部35で算出された物流情報を通信媒体5を介して物流管理センターのコンピュータや脱水補助剤製造装置4の制御装置45に出力するブロックである。
【0036】
脱水設備に脱水補助剤が蓄積されている場合には、脱水処理情報記憶部33にその在庫情報が更に記憶される。そして、物流情報演算部35は、補助剤情報演算部34によって算出された脱水補助剤情報と、脱水処理情報記憶部33に記憶された脱水補助剤の在庫情報に基づいて、脱水処理に必要な脱水補助剤情報を算出する。
【0037】
脱水補助剤製造装置4の制御装置45は、物流情報出力部36から出力された物流情報を取得して、需要に対応可能になるように古紙を処理すべき量を表示部41に表示する。つまり、物流情報からどの程度の量の脱水補助剤がどのような時期に必要となるのかを把握して、需要を満たすように表示部41に「処理量が不足しています。古紙を投入してください。」等のメッセージを表示し、表示に加えて或は表示に代えて音声メッセージを出力しまたは警報を出力するのである。
【0038】
以下、汚泥管理システム3により実行される汚泥管理手順を説明する。
図1及び図2に示すように、汚泥貯留槽11に備えた流入汚泥計測部(図示せず)で計測された流入汚泥量が、汚泥発生情報入力部31に入力され(S1)、さらに、汚泥処理設備に隣接されたオフィスや、遠隔のオフィスに設置された複数台の脱水補助剤製造装置4から脱水補助剤製造量と製造時刻が補助剤製造情報入力部32に入力される(S2)。これらの情報は、各事象の発生時点で入力されるが、一定の周期で入力されてもよい。何れの場合であっても時刻と量が正確に把握できればよい。
【0039】
汚泥発生情報入力部31は、入力された流入汚泥量と入力時刻を汚泥の発生情報として脱水処理情報記憶部33に記憶し、補助剤製造情報入力部32は、入力された脱水補助剤製造量と製造時刻を脱水補助剤製造情報として脱水処理情報記憶部33に記憶する(S3)。
【0040】
補助剤情報演算部34は、脱水処理情報記憶部33に累積記憶された過去の汚泥の発生情報に基づいて、今後供給される汚泥の発生量と汚泥の性状と時期を脱水処理すべき汚泥処理情報として推定する(S4)。脱水処理情報記憶部33には、所定のインタバルで補助剤情報演算部34によって算出された季節単位、月単位、週単位、日単位、時間単位の過去の汚泥発生情報の特性パターンが記憶されている。例えば、補助剤情報演算部34は、推定する日時と一致または近い過去の特性パターンに基づいて脱水処理すべき汚泥処理情報を算出するのである。
【0041】
次に、補助剤情報演算部34は、脱水処理すべき汚泥の性状を含む汚泥処理情報に対応して必要となる脱水補助剤の量と時期を脱水補助剤情報として算出する(S5)。予め設定された脱水補助剤の汚泥への添加率に従って数値計算することにより求められる。
【0042】
物流情報演算部35は、脱水処理情報記憶部33に累積記憶された過去の脱水補助剤製造情報に基づいて、今後製造される脱水補助剤の製造量と時期を推定する(S6)。脱水処理情報記憶部33には、所定のインタバルで物流情報演算部35によって算出された季節単位、月単位、週単位、日単位、時間単位の過去の脱水補助剤の製造情報の特性パターンが脱水補助剤製造装置毎に記憶されている。物流情報演算部35は、推定する日時と一致または近い過去の特性パターンに基づいて、各補助剤製造装置による脱水補助剤の製造パターンを予測演算し、補助剤情報演算部34で算出された脱水補助剤情報を充足するように、各脱水補助剤製造装置4で製造された脱水補助剤を脱水設備1に供給するための物流情報、具体的に、脱水補助剤の収集時期と収集用トラック等の搬送車の運行スケジュールを算出する(S7)。
【0043】
物流情報出力部36によって、物流情報演算部35で算出された物流情報が通信媒体5を介して収集用トラックの配車等を管理する物流管理センターのコンピュータに出力される(S8)。当該物流情報に基づいて各オフィスに設置された脱水補助剤製造装置5が設置されたオフィスに収集用トラック等が配車され、脱水補助剤が収集されて脱水設備に搬送される。脱水設備が複数存在する場合には、各脱水設備に対して処理が行なわれる。
【0044】
つまり、脱水補助剤製造装置5が設置されたオフィスが複数点在し、それらから一箇所の脱水設備に脱水補助剤を搬送する態様、単一または複数の脱水補助剤製造装置5が設置された単一のオフィスから一箇所または複数個所に設置された脱水設備に脱水補助剤を搬送する態様、脱水補助剤製造装置5が設置されたオフィスが複数点在し、それらから複数個所に点在する脱水設備に脱水補助剤を搬送する態様の何れの態様であっても、本発明を適用できる。
【0045】
上述したステップS7で、脱水処理情報記憶部33に脱水補助剤の在庫情報が記憶されている場合には、物流情報演算部35は、調達優先消費モードと在庫優先消費モードとの何れかのモードで物流情報を生成する。両モードは、予め管理者が汚泥管理システム3を備えたパーソナルコンピュータの操作部を操作して設定可能に構成されている。
【0046】
調達優先消費モードとは、在庫の脱水補助剤に優先して、各オフィスに設置された脱水補助剤製造装置で製造された脱水補助剤を収集して使用するように設定するモードであり、在庫優先消費モードとは、各オフィスに設置された脱水補助剤製造装置で製造された脱水補助剤の収集に優先して、在庫の脱水補助剤を使用するモードである。
【0047】
脱水補助剤製造装置4で製造された脱水補助剤よりも高価な市販品を在庫用の脱水補助剤とする場合に、調達優先消費モードを選択することによって、ランニングコストを軽減できるようになる。
【0048】
脱水補助剤製造装置4で製造された脱水補助剤を在庫用の脱水補助剤とする場合には、在庫優先消費モードを選択することにより、在庫の増大を解消することができる。脱水補助剤製造装置で製造された脱水補助剤は十分に乾燥されておらず、長期保存に適しないためであり、また、蓄積スペースを抑制するためである。
【0049】
脱水補助剤製造装置4が設置されるオフィスは、特に制限されるものではなく、脱水設備を含む汚泥処理設備の稼動状態を管理する事務所や、その周辺の一般オフィス、更には、汚泥処理設備から離隔した一般オフィスであればよい。各脱水補助剤製造装置4の制御装置と、物流管理センターのパーソナルコンピュータと、汚泥管理システムの主要部であるパーソナルコンピュータとが無線または有線の通信媒体で接続されていればよい。
【0050】
上述した実施形態は、何れも本発明の一例であり、当該記載により本発明が限定されるものではなく、各部の具体的構成は本発明の作用効果が奏される範囲で適宜変更設計可能であることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0051】
1:脱水設備
3:汚泥管理システム
4:脱水補助剤製造装置
5:通信媒体
11:汚泥貯留槽
12:混和槽
13:凝集剤供給装置
14:脱水補助剤供給装置
15:脱水機
30:汚泥管理装置
31:汚泥発生情報入力部
32:補助剤製造情報入力部
33:脱水処理情報記憶部
34:補助剤情報演算部
35:物流情報演算部
36:物流情報出力部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
脱水設備に供給された汚泥に脱水補助剤を添加して単一または複数の脱水機で脱水する汚泥の脱水処理を管理する汚泥管理システムであって、
脱水処理すべき汚泥の情報を入力する汚泥情報入力部と、
古紙由来の脱水補助剤の製造情報を入力する補助剤製造情報入力部と、
前記汚泥情報に基づいて必要となる脱水補助剤の情報を算出する補助剤情報演算部と、
前記補助剤情報演算部で算出された補助剤情報と前記補助剤製造情報に基づいて、前記脱水設備に供給すべき脱水補助剤の情報を算出する物流情報演算部と、
前記物流情報演算部で算出された物流情報を出力する物流情報出力部と、
を備えている汚泥管理システム。
【請求項2】
前記物流情報演算部は、前記補助剤情報演算部で算出された補助剤情報と前記補助剤製造情報に加えて、前記脱水設備に確保されている脱水補助剤の在庫情報に基づいて、前記脱水設備に供給すべき前記脱水補助剤の情報を算出する請求項1記載の汚泥管理システム。
【請求項3】
古紙由来の脱水補助剤を製造する脱水補助剤製造装置が単一または複数の古紙発生場所に設置され、
前記補助剤製造情報入力部は前記脱水補助剤製造装置から通信媒体を介して脱水補助剤の製造情報が入力される請求項1また2記載の汚泥管理システム。
【請求項4】
前記脱水補助剤製造装置は、前記物流情報出力部から出力された物流情報を、通信媒体を介して取得し、取得した物流情報に基づいて、古紙の処理すべき量を出力する出力部を備えている請求項3の汚泥管理システム。
【請求項5】
前記脱水補助剤製造装置は、投入された古紙を溶解して繊維化し、さらに脱水して塊状化する装置である請求項3または4の何れかに記載の汚泥管理システム。
【請求項6】
前記物流情報演算部は、前記脱水補助剤製造装置で製造された脱水補助剤ではない脱水補助剤であって、前記脱水設備に確保されている他の脱水補助剤の在庫情報と、それ以外の前記情報に基づいて、前記脱水補助剤製造装置で製造された脱水補助剤が前記他の脱水補助剤よりも優先して使用されるように、前記物流情報を算出する請求項3から5記載の汚泥管理システム。
【請求項7】
前記脱水設備は、汚泥を脱水する脱水機と、前記脱水設備に供給された汚泥を貯留する汚泥貯留槽と、汚泥貯留槽に貯留された汚泥を前記脱水機に供給するための混和槽と、前記混和槽に凝集剤を供給する凝集剤供給装置と、前記汚泥貯留槽または前記混和槽に脱水補助剤を供給する脱水補助剤供給装置と、を備え、前記補助剤情報演算部で算出される補助剤情報は、前記脱水補助剤供給装置によって供給される脱水補助剤の情報である請求項1から6の何れかに記載の汚泥管理システム。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−206018(P2012−206018A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−73729(P2011−73729)
【出願日】平成23年3月29日(2011.3.29)
【出願人】(595011238)クボタ環境サ−ビス株式会社 (19)
【Fターム(参考)】