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汚泥脱水剤および汚泥脱水処理方法
説明

汚泥脱水剤および汚泥脱水処理方法

【課題】
下水処理場における下水混合生汚泥や下水余剰汚泥、下水消化汚泥、各種余剰汚泥に対して良好な凝集とケーキ含水率低下能の高い汚泥脱水剤を開発することである。種々の脱水機に対応でき、脱水ケーキ含水率低下の要求を満足し、同時に架橋あるいは分岐した水性高分子の難点とされる薬剤添加量の増加にも対応でき汚泥脱水剤を、ポリアミジン系水溶性高分子を用いず、市販品として汎用されている(メタ)アクリル系単量体を使用して開発することである。
【解決手段】
汚泥脱水の際に、特定の構造単位を有する高カチオン性であり、高架橋性水性高分子からなる油中水型高分子エマルジョンを添加、攪拌して凝集させた後、脱水機にて脱水することにより達成できる。前記水性高分子は、油中水型エマルジョン重合時に架橋性単量体を20〜300ppm共存させ重合したものであり、またカチオン性単量体共重合率は80〜100モル%である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カチオン性あるいは両性水性高分子を用いた汚泥脱水剤と汚泥脱水処理方法に関するものであり、詳しくは高カチオン密度であり高架橋構造を有する油中水型高分子エマルジョンからなるカチオン性または両性水性高分子を用いた汚泥脱水剤と汚泥脱水処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、下水、し尿等、並びに食品等の工場で生じる有機性汚泥の脱水に対しては、カチオン性高分子凝集剤が広く使用され、その後両性高分子凝集剤が提案されている。近年では架橋あるいは分岐した水溶性高分子が有効とされているが(特許文献1)、薬剤添加量が増加し、処理コストが嵩む問題も生じている。これら問題を解決するため架橋あるいは分岐した高分子に、アミジン系高分子、あるいは直鎖、両性高分子等をブレンドする処方が提案されているが、これらブレンド品を使用することによって、薬剤添加量の増加を抑える事も可能となっている。
【0003】
架橋あるいは分岐した水性高分子のカチオン化度に関して注目してみると、特許文献2および特許文献3は、共に(メタ)アクリル系カチオン性単量体、アクリルアミドおよび架橋性単量体の重合物を汚泥脱水剤として使用することが開示されている。これら特許文献の実施例を見ると形態として油中水型エマルジョンを用い、(メタ)アクリル系カチオン性単量体の共重合率は50〜60モル%であり、(メタ)アクリル系カチオン性単量体の共重合率80〜100モル%など高カチオン性重合物に関しては、記載されていない。特許文献4に関しては、油中水型エマルジョンの乾燥品が開示されているが、その実施例は(メタ)アクリル系カチオン性単量体の共重合率20〜80モル%が記載されている。従ってここで挙げた架橋あるいは分岐した高分子のカチオンのモル数は、中〜低域であり、これまで高カチオン性の架橋あるいは分岐した高分子に関する知見は得られていない。有機性の汚泥には高カチオン性高分子が有利な場合が多いが、繊維分の少ない所謂難脱水汚泥に対しては、従来の高カチオン性の分岐及び架橋性高分子では、添加量や凝集性で問題があった。
【0004】
一方、汚泥脱水剤として特徴的な構造と性能を有するアミジン系水溶性高分子がある(特許文献5)。このポリアミジン系水溶性高分子は、N―ビニルホルムアミドと(メタ)アクリロニトリルの共重合物を酸性雰囲気中で加水分解と加熱処理することにより製造することができる。共重合物の一方の原料であるN―ビニルホルムアミドは、製造に工程が多く結果として単量体のコストは高く、
またポリアミジン系水溶性高分子自体も重合後、酸性雰囲気中で加水分解と加熱処理することなど製造工程が長く、その結果コスト高になるという問題点が存在する。
【特許文献1】特開平09−225499号公報
【特許文献2】特開平02−219887号公報
【特許文献3】特開昭61−293510号公報
【特許文献4】特開2009−280649号公報
【特許文献5】特開平05−192513号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、下水処理場における下水混合生汚泥や下水余剰汚泥、下水消化汚泥、各種余剰汚泥に対して良好な凝集とケーキ含水率低下能の高い汚泥脱水剤を開発することである。種々の脱水機に対応でき、脱水ケーキ含水率低下の要求を満足し、同時に架橋あるいは分岐した水性高分子の難点とされる薬剤添加量の増加にも対応でき汚泥脱水剤を、ポリアミジン系水溶性高分子を用いず、市販品として汎用されている(メタ)アクリル系単量体を使用して開発することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため本発明者は、鋭意検討した結果、以下に述べる発明に達した。すなわち請求項1の発明は、下記一般式(1)で表される単量体あるいは下記一般式(2)で表される単量体を80〜100モル%、非イオン性単量体を0〜20モル%からなる該単量体あるいは該単量体混合物を、該単量体あるいは該単量体混合物に対して質量で20〜300ppmの架橋性単量体を添加して重合した高カチオン性・高架橋性カチオン性あるいは両性水性高分子からなる汚泥脱水剤を有機性汚泥に添加、混合、攪拌、脱水することによって達成でこることが分かった。これにより、難脱水性汚泥に対して多大なコストをかけずに処理することが可能となる。
【化1】


一般式(1)



は水素又はメチル基、R、Rは炭素数1〜3のアルキルあるいはアルコキシル基、Rは水素、炭素数1〜3のアルキル基、炭素数7〜20のアルキル基あるいはアリール基であり、同種でも異種でも良い、Aは酸素またはNH、Bは炭素数2〜4のアルキレン基またはアルコキシレン基を表わす、Xは陰イオンをそれぞれ表わす。
【化2】


一般式(2)
は水素又はメチル基、R、Rは炭素数1〜3のアルキル基、アルコキシ基あるいはベンジル基、Xは陰イオンをそれぞれ表わす。
【発明の効果】
【0007】
本発明においては、ポリマー構造を制御することで高カチオン性であり、しかも高架橋である高分子の凝集及び脱水効果の改善を実現可能にした。すなわち汚泥に添加、攪拌することでフロックを巨大化させ、強固にするため、汚泥処理量の増加、及び脱水ケーキ含水率の低減効果を発揮する。本発明で言うカチオン性あるいは両性水性高分子とは、重合時共存させる架橋性単量体の添加量、あるいは共重合させる単量体組成によって、水溶性になる場合も水膨潤性になり場合もある。これらをまとめて水性高分子と呼んでいる。
【0008】
ポリアミジン系水溶性高分子は、下水の混合生汚泥、同余剰汚泥、あるいは食品加工・水産加工排水の余剰汚泥など微生物処理の過程で発生した低分子化された有機物を不溶化・凝集する性能に特徴があると考えられるが、従来この作用を(メタ)アクリル系カチオン性あるいは両性高分子によって処理することは、なかなか困難であった。この理由の一つに(メタ)アクリル系カチオン性あるいは両性高分子は、分子量が非常に高く、架橋吸着作用による大きく強度の高いフロックを生成するには適していたが、微生物処理の過程で発生する親水性の高い汚泥を、表面電荷の中和や、また必ずしも表面電荷の中和を伴わない非イオン的な不溶化機能は低かった。
【0009】
本発明における脱水性の向上は、油中水型高分子エマルジョンが従来とは異なる架橋型構造を持たせることが可能なため、難凝集性の汚泥に対しても良好な凝集力を発揮することができることに因るものと考えられる。これには分子量、カチオン当量、親水性・疎水性のバランスなど影響していると考えられるが、本発明においては、これらの因子を分子量の調節、高カチオン性、架橋剤を加え重合し架橋性高分子にすることにより疎水化し調節することができたと考えられる。
【0010】
本発明のカチオン性または両性水性高分子は、幅広い汚泥種に対して良好な凝集、脱水効果を発揮できる。また脱水機種類に関しても、ベルトプレス、遠心脱水機、スクリュープレス、多重円板脱水機、ロータリープレス等の脱水機に対応できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明で使用するカチオン性または両性水性高分子の油中水型エマルジョンからなる水性高分子は、カチオン度は80〜100モル%であり、好ましくは85〜100モル%のものが適している。また重量平均分子量は、400万〜1500万が好ましいが、更に好ましくは500万〜1000万である。なお本発明における重量平均分子量を求める際は光散乱分析法を用いて測定を行った。
【0012】
本発明で用いるカチオン性あるいは両性水性高分子の油中水型エマルジョンは製造時、カチオン性単量体としてジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート等、ジアリルアルキルアミン等の3級塩、塩化メチル等のハロゲン化アルキル等、あるいは塩化ベンジルなどのハロゲン化アリール化合物による4級化物等があげられ、これらのカチオン性ビニル系単量体は1種を単独で用いることができ、2種以上を組み合わせて用いることもできる。具体的な例として一般式(1)は、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチルやジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドを塩化ベンジルあるいは炭素数7〜20のアルキル基あるいはアリール基を有するハロゲン化物による四級化物である。その例として一般式(1)であらわされる単量体は、(メタ)アクリロイルオキシエチルベンジルジメチルアンモニウム塩化物、(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピルベンジルジメチルアンモニウム塩化物、(メタ)アクリロイルアミノプロピルベンジルジメチルアンモニウム塩化物などである。あるいは(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチルやジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、メチルジアリルアミン等の塩化メチルや塩化エチルなど低級アルキル基のハロゲン化物による四級化物である。例えば(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム塩化物、(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウム塩化物、(メタ)アクリロイルアミノプロピルトリメチルアンモニウム塩化物がある。また一般式(2)であらわされる単量体は、ジアリルメチルアンモニウム塩化物、ジアリルジメチルアンモニウム塩化物などがある。
【0013】
また必用に応じて共重合されるノニオン性単量体としては、(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド等があげられる。
【0014】
本発明においては両性水性高分子を使用しても良好な脱水効果を達成できる場合があるが、カチオン性単量体としてはジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート、たとえばジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートあるいはジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等の塩化メチル等のハロゲン化アルキルあるいは塩化ベンジル等のハロゲン化アリール化合物等による4級化物等カチオン性水性高分子と同様である。アニオン性単量体としては、(メタ)アクリル酸あるいはそのナトリウム塩等のアルカリ金属塩またはアンモニウム塩、マレイン酸あるいはそのアルカリ金属塩、アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸等のアクリルアミドアルカンスルホン酸あるいはそのアルカリ金属塩またはアンモニウム塩等があげられる。
【0015】
また両性水性高分子は必要に応じてノニオン性単量体を共重合したものであっても良い。ノニオン性単量体としては、(メタ)アクリルアミド、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、ジメチルアクリルアミド等が挙げられる。また本発明で使用する両性水性高分子の本発明における機能を阻害しない範囲でアクリロニトリル、酢酸ビニル、(メタ)アクリル酸アルキル等の油溶性単量体も使用できる。
【0016】
本発明におけるカチオン性あるいは両性水性高分子の塩水溶液粘度(4%食塩水中に高分子濃度が0.5%になるように完全溶解したときの粘度を25℃において回転粘度計にて測定)は5mPa・S以上、60mPa・S以下、好ましくは10mPa・S以上、30mPa・S以下であればその効果を発揮することが出来る。これを重量平均分子量で表わせば200万〜1500万であり、好ましくは300万〜1000万であり、更に好ましくは300万〜700万である。一般に塩水溶液粘度が低いカチオン性水性高分子または両性水性高分子は弱攪拌条件の攪拌槽に適合し、塩水溶液粘度が高いカチオン性水性高分子または両性水性高分子は強攪拌条件の攪拌槽に適合する。
【0017】
本発明のカチオン性または両性水性高分子は、繊維分が少ない、いわゆる難脱水性汚泥の場合にも対応可能にするため、油中水型エマルジョン重合時に架橋性単量体を共存させ重合し架橋型水溶性高分子を使用する。この架橋性単量体は、単量体総量に対し質量で20〜300ppm、また好ましくは50〜300ppm存在させる。架橋性単量体は、高分子の分子構造を改質する目的で添加するため構造改質剤とも呼ばれているが、以下のようなものが使用される。N,N−メチレンビス(メタ)アクリルアミド、トリアリルアミン、ジメタクリル酸エチレングリコール、ジメタクリル酸ジエチレングリコール、ジメタクリル酸トリエチレングリコール、ジメタクリル酸テトラエチレングリコール、ジメタクリル酸−1,3−ブチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコール、N−ビニル(メタ)アクリルアミド、N−メチルアリルアクリルアミド、アクリル酸グリシジル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、アクロレイン、グリオキザール、ビニルトリメトキシシランなどがあるが、この場合の架橋剤としては、水溶性ポリビニル化合物がより好ましく、最も好ましいのはN,N−メチレンビス(メタ)アクリルアミドである。またギ酸ナトリウム、イソプロピルアルコール等の連鎖移動剤を併用して使用することも架橋性を調節する手法として効果的である。これら架橋性単量体は、重合する単量体総量に対し質量で0.001〜1.0%、また好ましくは0.0100〜0.1%存在させる。
【0018】
本発明において用いる油中水型高分子エマルジョンを汚泥に添加する際は、任意に希釈した水溶液にすることが適しており、添加時の溶液量や粘性を考慮すると0.2〜0.5質量%溶液の形で添加する方法が好ましい。
【0019】
架橋性高分子の架橋の度合いを表示する方法は、現在のところまだ一般的な表示はない。特許文献3では「イオン性回復率」によって定義され、また特開2005−144346号公報では、「電荷内包率」を定義しているが、いずれも架橋によって高分子のイオン性基が分子の外側に現れにくくなることを応用してそれらの電荷を測定している。ここでは初めに粘性の測定によって架橋度を表すことを説明する。本発明の水性高分子は、その0.2質量%水溶液粘度をAQV、前記カチオン性または両性水性高分子の0.5質量%1N食塩水溶液中粘度をSLVとすると、両方の比が
30≦AQV/SLV≦300(25℃において)
であることが好ましい。この数値は架橋の度合いを表すのに使用することができる。架橋性のイオン性水性高分子は、分子内で架橋しているために、水中においても分子が広がりにくい性質を有し、直鎖状高分子に較べれば水中での広がりは小さいはずであるが、架橋度が増加するに従い、B型粘度計(回転粘度計の一種)に測定した場合の粘度は大きくなる。この原因はB型粘度計のローター(測定時の回転子)と溶液との摩擦かあるいは絡み合いによるものと推定されるが正確には不明である。一方、架橋性のイオン性水性高分子の塩水中の粘度は、架橋度が増加するに従い低下していく。架橋によって分子が収縮しているので、塩水の多量のイオンによってその影響をより大きく受けるものと考えられる。従ってこれらの理由によって二つの粘度測定値の比、AQV/SLVは、架橋度が高くなるに従い大きくなる(架橋がさらに進み水不溶性になった場合は、この関係は成り立たない)。本発明の高架橋性のカチオン性あるいは両性水性高分子では、この値は約30〜300程度になる。直鎖状の水性高分子、あるいは弱く架橋した水性高分子では、この値が10から30未満程度であることを考慮すると、本発明の架橋性カチオン性あるいは両性水性高分子は、高度に架橋した水性高分子であることが分かる。
【0020】
また前述の電荷内包率に関しても説明する。電荷内包率は、以下のように定義される。すなわち
定義1)水溶性カチオン性高分子および両性でかつカチオン性単量体とアニオン性単量体共重合率の差が正である水溶性高分子の場合
電荷内包率[%]=(1−α/β)×100
αは酢酸にてpH4.0に調整した水溶性カチオン性高分子あるいは両性水溶性高分子水溶液をポリビニルスルホン酸カリウム水溶液にて滴定した滴定量。βは酢酸にてpH4.0に調整した水溶性カチオン性高分子あるいは両性水溶性高分子水溶液にポリビニルスルホン酸カリウム水溶液を前記水溶性カチオン性高分子あるいは両性水溶性高分子の電荷の中和を行うに十分な量加え、その後ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド水溶液にて滴定した滴定量をブランク値から差し引いた滴定量。ここでブランク値とは、水溶性カチオン性高分子あるいは両性水溶性高分子水溶液無添加時にポリビニルスルホン酸カリウム水溶液をポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド水溶液にて滴定した滴定量である。
定義2)両性でかつカチオン性単量体とアニオン性単量体の共重合率の差が負である水溶性高分子の場合
電荷内包率[%]=(1−α/β)×100
αはアンモニアにてpH10.0に調整した水溶性両性高分子水溶液をポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド水溶液にて滴定した滴定量。βはアンモニアにてpH10.0に調整した水溶性両性高分子水溶液にポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド水溶液を前記水溶性両性高分子の電荷の中和を行うに十分な量加え、その後ポリビニルスルホン酸カリウム水溶液にて滴定した滴定量をブランク値から差し引いた滴定量。ここでブランク値とは、水溶性両性高分子水溶液無添加時にジアリルジメチルアンモニウムクロライド水溶液をポリビニルスルホン酸カリウム水溶液にて滴定した滴定量である。
【0021】
すなわち電荷内包率の高い水溶性高分子は、架橋度が高まった水溶性高分子であり、電荷内包率の低い水溶性高分子は、架橋度が低い水溶性高分子であると言える。この理由は、以下の通りに説明される。直鎖状水溶性高分子は、希薄溶液中では、分子はほぼ「伸びきった」形状をしている。一方、架橋性水溶性高分子は、溶液中において粒子状の丸まった形状をしていて、粒子状の内部に存在するイオン性基は、外側には現われにくく、反対電荷との反応も緩慢に起こると考えられる。
【0022】
ここで架橋性水溶性カチオン性高分子および、両性でかつカチオン性単量体とアニオン性単量体の共重合率の差が正である架橋性水溶性両性高分子に関しては、電荷内包率は以下のようになる。
電荷内包率[%]=(1−α/β)×100
滴定量αは、試料である架橋性カチオン性(両性)水溶性高分子に反対電荷を有するポリビニルスルホン酸カリウム水溶液を滴下して行き、水溶性カチオン性(両性)高分子の「表面」(粒子状の表面部)に存在するイオン性基にイオン的静電反応を行わせる操作を意味する。
【0023】
次に架橋性カチオン性(両性)水溶性高分子の理論的な電荷量を中和するに十分な量以上の反対電荷を有するポリビニルスルホン酸カリウムを添加し、反応時間を十分取ったその後、余剰のポリビニルスルホン酸カリウムをジアリルジメチルアンモニウムクロライド水溶液により滴定する。また別に架橋性カチオン性(両性)水溶性高分子を添加しないでポリビニルスルホン酸カリウム溶液をジアリルジメチルアンモニウムクロライド水溶液により滴定し、ブランク値を出しておき、ブランク値より架橋性カチオン性(両性)水溶性高分子を添加した場合の滴定量を差し引き、この値がβとなる。β値は、架橋性カチオン性(両性)水溶性高分子の化学組成から計算される理論的な電荷量に相当すると考えられる。すなわち架橋性カチオン性(両性)水溶性高分子に対し、反対電荷が多量に存在するので、表面のカチオン性電荷だけでなく、内部の電荷まで静電的な中和反応が行われると考えられる。架橋度が高ければ、αはβに対し小さくなり、(1−α/β)値は、1に比べ大きくなり電荷内包率は大きい(すなわち架橋の度合いは高くなる)。
【0024】
両性でかつカチオン性単量体とアニオン性単量体の共重合率の差が負である架橋性水溶性両性高分子の電荷内包率に関しても、上記とほぼ同じ内容で説明することができるが、アニオン性基を解離させるためアンモニアでpHをアルカリ性にするという違いだけがある。本発明のカチオン性または両性水性高分子は、この電荷内包率が35〜80%、好ましくは35〜70%の架橋性高分子であるため高架橋性の水性高分子であると言える。
【0025】
ここで段落0036の表1に記載する試作−1〜試作−10の試料に関して溶液粘度/塩水中粘度の比、あるいは電荷内包率によって本発明のカチオン性または両性水性高分子の架橋度を考察してみると、比較−1〜比較−2の試料は、溶液粘度/塩水中粘度の比がそれぞれ11と7、電荷内包率はそれぞれ20%と13%、比較−3の試料は、架橋剤を添加し重合したものであるが、溶液粘度/塩水中粘度の比が30、電荷内包率が28%である。これに対し本発明の試作−1〜試作−10の溶液粘度/塩水中粘度の比、あるいは電荷内包率は、それぞれ32〜259、32%〜75%であり架橋度としては比較的高いものであることが分かる。このことによって本発明のカチオン性または両性水性高分子は、高カチオン性であるだけでなく、高架橋性であり、従来にない特異的な物性を有することが分かる。
【0026】
本発明におけるカチオン性あるいは両性水性高分子の製品形態としては、粉末、油中水型エマルジョンあるいは塩水溶液中分散液など、どのような形態でも実施可能であるが架橋性の水性高分子を重合するため、最も好ましい形態は油中水型エマルジョンである。
【0027】
本発明のカチオン性あるいは両性水性高分子からなる汚泥脱水剤は、下水、し尿、産業排水の処理で生じる有機性汚泥(いわゆる生汚泥、余剰汚泥、混合生汚泥、消化汚泥、凝沈・浮上汚泥およびこれらの混合物)に通常0.1〜0.2質量%水溶液として添加される。汚泥に対する添加量は、汚泥種、脱水機種によっても異なるが、通常汚泥固形分に対し0.1〜2.0質量%、好ましくは0.3〜1.0質量%である。対象とする汚泥に特に限定されないが、繊維分の少ない汚泥、有機分含有量(VSS/SS)の高い汚泥、腐敗度の高い汚泥に対し特に有効であり好ましい。
【0028】
また本発明のカチオン性あるいは両性水性高分子からなる汚泥脱水剤は、単独で汚泥脱水に使用しても良いが、無機凝集剤と併用すると、脱水効果がより向上する場合がある。該無機凝集剤としては、塩鉄、硫鉄、ポリ鉄、PAC、硫酸バンドなどが挙げられる。
【0029】
使用する脱水機の種類は、ベルトプレス、遠心脱水機、スクリュープレス、多重円板脱水機、ロータリープレスなどに対応できる。
【0030】
以下に実施例をあげて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれら実施例により限定されるものではない。
【実施例1】
【0031】
攪拌機および温度制御装置を備えた反応槽に沸点190°Cないし230°Cのイソパラフィン126.0gにポリオキシエチレントリデシルエ−テル12.5g(対エマルジョン2.5質量%)を仕込み溶解させた。別に脱イオン水103.1gとアクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム塩化物(以下DMQと略記)80%水溶液250.0g、及びメチレンビスアクリルアミド1質量%水溶液3.0g(質量で対単量体150ppm)を各々採取し、各々を混合し完全に溶解させた。その後pHを3.95に調節し、油相と水溶液を混合し、ホモジナイザーにて1000rpmで15分間攪拌乳化した。
【0032】
得られたエマルジョンにイソプロピルアルコール10質量%水溶液1.0g(対単量体0.05質量%)を加え、単量体溶液の温度を30〜33℃に保ち、窒素置換を30分行った後、2、2’−アゾビス〔2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン〕二塩化水素化物の1質量%水溶液2.0g(対単量体0.01質量%)を加え、重合反応を開始させた。反応温度を32±2℃で12時間重合させ反応を完結させた。この試料名を製造例−1とする。試験に供する試料を、水溶性高分子濃度0.1質量%とした場合の粘度(AQV)、0.1質量%で1N食塩水中の粘度(SLV)を25℃においてB型粘度計(回転粘度計の一種)により測定し、ミューテック社製PCD滴定装置により電荷内包率を測定した。さらに光散乱法による重量平均分子量を測定した。これを試作−1とする。
【実施例2】
【0033】
攪拌機および温度制御装置を備えた反応槽に沸点190°Cないし230°Cのイソパラフィン126.0gにポリオキシエチレントリデシルエ−テル12.5g(対エマルジョン2.5質量%)を仕込み溶解させた。別に脱イオン水101.0gとアクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム塩化物(以下DMQと略記)80%水溶液246.1g、アクリルアミド6.0g(以下AAMと略記)及びメチレンビスアクリルアミド1質量%水溶液3.0g(質量で対単量体150ppm)を各々採取し、各々を混合し完全に溶解させた。その後pHを3.95に調節し、油相と水溶液を混合し、ホモジナイザーにて1000rpmで15分間攪拌乳化した。
【0034】
得られたエマルジョンにイソプロピルアルコール10質量%水溶液1.0g(対単量体0.05質量%)を加え、単量体溶液の温度を30〜33℃に保ち、窒素置換を30分行った後、2、2’−アゾビス〔2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン〕二塩化水素化物の1質量%水溶液2.0g(対単量体0.01質量%)を加え、重合反応を開始させた。反応温度を32±2℃で12時間重合させ反応を完結させた。この試料名を製造例−2とする。試験に供する試料を、水溶性高分子濃度0.1質量%とした場合の粘度(AQV)、0.1質量%で1N食塩水中の粘度(SLV)を25℃においてB型粘度計(回転粘度計の一種)により測定し、ミューテック社製PCD滴定装置により電荷内包率を測定した。さらに光散乱法による重量平均分子量を測定した。これを試作−2とする。
【0035】
同様な操作により表1のような組成の水性高分子、試作−3〜試作−10を、油中水型エマルジョン重合により合成し汚泥脱水剤とした。また比較として本発明の範囲外の製品、比較−1、比較−2および比較−3をそれぞれ合成した。
【0036】
(表1)


モル比;全モノマーに対するモル比。
AAM;アクリルアミド
DMC;メタクロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロリド
DMQ;アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロリド
DMBZ;アクリロイルオキシエチルジメチルベンジルアンモニウムクロリド
MBA;メチレンビスアクリルアミド
EM:エマルジョンタイプ、溶液粘度;0.2%水溶液、0.5%塩粘度:0.5%高分子水溶液中に1Nになるよう塩化ナトリウムを添加、完全溶解後にB型粘度計により25℃の条件において測定された粘度。
【実施例3】
【0037】
下水処理場より発生する混合生汚泥(汚泥性状が、pH 5.3、SS:25750mg/L、TS:28000mg/L、VSS:82.5 %/SS)について、スクリュープレスを対象とした凝集濾過試験及び圧搾試験を実施した。3300mLポリビーカーに汚泥を200mL入れた後、表1の溶解液を添加し、ビーカー移し替え20回の攪拌により汚泥を凝集させ、フロックの大きさを観察、その後40メッシュの濾布つきビーカーにより濾過速度を調べた。
【0038】
その結果、大きく良好なフロックが得られるとともに、非常に速い濾過速度が得られた。また、濾過後の凝集物を1.5Kgf/cmの圧搾圧力で60秒間プレス脱水後に、脱水ケーキの含水率を求めた。これらの結果を表2に示す。
【0039】
比較試験として、比較−1〜比較‐3に関して実施した。これらの結果を表3に示す。
【0040】
(表2)実施例3


濾液外観:○:SSの取りこぼしなし。○-:わずかなSSの取りこぼしあり。
【0041】
(表3)

濾液外観:○:SSの取りこぼしなし。○-:わずかなSSの取りこぼしあり。
【実施例4】
【0042】
下水処理場より発生する消化汚泥(汚泥性状が、pH 7.17:17500 mg/L、TS:19750mg/L、VSS:54.3%/SS)について、スクリュープレスを対象とした凝集濾過試験及び圧搾試験を実施した。300mLポリビーカーに汚泥を200mL入れた後、表1の溶解液を添加し、ビーカー移し替え20回の攪拌により汚泥を凝集させ、フロックの大きさを観察、その後40メッシュの濾布つきビーカーにより濾過速度を調べた。これらの結果を表4に示す。
【0043】
その結果、大きく良好なフロックが得られるとともに、非常に速い濾過速度が得られた。また、濾過後の凝集物を1.5Kgf/cmの圧搾圧力で60秒間プレス脱水後に、脱水ケーキの含水率を求めたところ製造例1の試料に関しては、1.2%/TSの添加率の条件にて75.2質量%の含水率が得られた。
【0044】
比較試験として、比較−1および比較−2に関して実施した。これらの結果を表5に示す。










【0045】
(表4)実施例4

濾液外観:○:SSの取りこぼしなし。○-:わずかなSSの取りこぼしあり。
△:SSの取りこぼしあり。
【0046】
(表5)

濾液外観:○:SSの取りこぼしなし。○-:わずかなSSの取りこぼしあり。
△:SSの取りこぼしあり。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明の汚泥脱水方法は下水処理場、し尿処理場、各種処理場、及び工場等より発生する脱水用有機性汚泥を汚泥脱水装置にて脱水する際に凝集性が良好なため、汚泥処理量を向上させることができると共に、脱水ケーキ含水率を低減可能であり、総合的なコストダウンが可能である。またエマルジョンタイプであり粉塵がなく、取り扱いが簡単である。さらに汚泥脱水操作及び排水処理操作、また作業環境を大幅に改善することが可能であり、産業上の利用価値は非常に高い。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)で表される単量体あるいは下記一般式(2)で表される単量体を80〜100モル%、下記一般式(3)で表される単量体を0〜20モル%、非イオン性単量体を0〜20モル%、及び該単量体あるいは該単量体混合物に対して質量で20〜300ppmの架橋性単量体からなる単量体混合物水溶液を分散相、水と非混和性の炭化水素を連続相となるように界面活性剤によって乳化し重合したカチオン性または両性水性高分子の油中水型エマルジョンからなることを特徴とする汚泥脱水剤。
【化1】


一般式(1)
は水素又はメチル基、R、Rは炭素数1〜3のアルキルあるいはアルコキシル基、Rは水素、炭素数1〜3のアルキル基、炭素数7〜20のアルキル基あるいはアリール基であり、同種でも異種でも良い、Aは酸素またはNH、Bは炭素数2〜4のアルキレン基またはアルコキシレン基を表わす、Xは陰イオンをそれぞれ表わす。
【化2】


一般式(2)
は水素又はメチル基、R、Rは炭素数1〜3のアルキル基、アルコキシ基あるいはベンジル基、Xは陰イオンをそれぞれ表わす。






【化3】

一般式(3)
は水素、メチル基またはカルボキシメチル基、QはSO、CSO、CONHC(CHCHSO、CCOOあるいはCOO
は水素またはCOOは水素イオンまたは陽イオンをそれぞれ表す。
【請求項2】
下記一般式(1)で表される単量体あるいは下記一般式(2)で表される単量体を80〜100モル%、下記一般式(3)で表される単量体を0〜20モル%、非イオン性単量体を0〜20モル%、及び該単量体あるいは該単量体混合物に対して質量で20〜300ppmの架橋性単量体からなる単量体混合物水溶液を分散相、水と非混和性の炭化水素を連続相となるように界面活性剤によって乳化し重合したカチオン性または両性水性高分子の油中水型エマルジョン、あるいはその希釈液を汚泥に添加し、混合した後脱水機により脱水することを特徴とする汚泥脱水方法。
【化1】

一般式(1)
は水素又はメチル基、R、Rは炭素数1〜3のアルキルあるいはアルコキシル基、Rは水素、炭素数1〜3のアルキル基、炭素数7〜20のアルキル基あるいはアリール基であり、同種でも異種でも良い、Aは酸素またはNH、Bは炭素数2〜4のアルキレン基またはアルコキシレン基を表わす、Xは陰イオンをそれぞれ表わす。
【化2】

一般式(2)
は水素又はメチル基、R、Rは炭素数1〜3のアルキル基、アルコキシ基あるいはベンジル基、Xは陰イオンをそれぞれ表わす。
【化3】

一般式(3)
は水素、メチル基またはカルボキシメチル基、QはSO、CSO、CONHC(CHCHSO、CCOOあるいはCOO
は水素またはCOOは水素イオンまたは陽イオンをそれぞれ表す。



























【公開番号】特開2012−170943(P2012−170943A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−38343(P2011−38343)
【出願日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【出願人】(000142148)ハイモ株式会社 (151)
【Fターム(参考)】