説明

汚物流しユニット

【課題】オストメイトがパウチやストーマを洗浄する際に、より使い勝手が良く汚水の飛散を抑制することを可能とすると共に、より衛生面に配慮した汚物流しユニットを提供すること。
【解決手段】この汚物流しユニットWUは、スパウト30が、吐水口301が設けられた先端部分30aと、その先端部分30aと温調機構34との間の少なくとも一部を構成するホース部分30bとを有しており、キャビネット1aから先端部分30aを引き出した際に、その引き出した状態のまま垂下した先端部分30aがボウル部2の内面に当接しないように、ホース部分30bの撓みを抑制する干渉抑制手段としてのガイド機構5が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人工肛門や人工膀胱を装着した使用者がそれらを洗浄するための汚物流しユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、各種の公共施設や駅などを中心としていわゆるバリアフリー化が推進されている。こうした流れの中で、直腸や膀胱に機能的障害を有するために人工肛門や人工膀胱を装着した人(以下、オストメイト)が外出先で気兼ねすることなく排泄できるような施設(多目的トイレ)を設置することが要望されている。例えば、オストメイトが使用するために適した多目的トイレに重要な要素として、便などの排泄物が円滑に流せるようにすることと、ストーマ(腹部に造設された排泄口)や排泄物を溜めるパウチ、或いはストーマ付近の腹部を温水で洗浄できることの2点が挙げられている。
【0003】
こうした条件に適合するために、専用の汚物流し設備を大便器とは別に多目的トイレ室内に設置することが行われている。従来の一般的な汚物流し設備は、壁掛け又は床置き式のボウルと、このボウルに洗浄水を流すためのフラッシュバルブと、ボウル部の上部に設けられた水栓金具と、を備えるものである。オストメイトはパウチに溜まった排泄物をボウルに投入してフラッシュバルブを操作することでその排泄物を流し、その後、水栓金具から流れ出る水でパウチやストーマなどを洗浄する。
【0004】
上述したような汚物流し設備を備えた多目的トイレは広いスペースをとることもあって、未だ充分に普及しているとは言えなかった。そのため、汚物流し設備の設置自体に重点が置かれ、汚物流し設備の使い勝手や保守・管理の容易性などについては未だ改善の余地があった。
【0005】
このような課題を解決するため、下記特許文献1に記載されている汚物流しユニットは、利用者にとって使い勝手が良好でありしかも掃除などの維持管理が行い易いものとなっている。具体的には、少なくとも前面と上面とが遮蔽されたキャビネットと、このキャビネットの前面で且つ幅方向の略中央に設置されたボウルと、キャビネットの前面で且つボウルの上方に設けられた水栓金具と、キャビネットの内部にあって水栓金具の設置位置を挟んだ左右の一方に配置された、ボウルに洗浄水を供給するための洗浄水供給手段と、キャビネットの内部にあって水栓金具の設置位置を挟んだ左右の他方に配置された、水栓金具に温水を供給するための温水供給手段と、を備えることを特徴とする汚物流しユニットである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−283394号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記従来の汚物流しユニットは、利用者が水栓金具の開閉バルブを開く操作を行うと、温水供給手段で生成された温水が水栓金具から吐出する。これによって、ボウル内でストーマやパウチ等の装着具や利用者自身の身体を、温水を利用してきれいに洗浄することができる。
【0008】
更に、温水供給手段はキャビネットで囲まれているので見栄えが良好であり、この汚物流しユニットが設置された多目的トイレ等の室内の雰囲気を損なうことがない。また、温水供給手段が隠れているのでいたずらされにくく、故障や破損の防止に効果的であるとともに、例えば温水の温度が異常に高く設定されることによる事故の防止にも有効である。また、利用者が排泄物をボウル内へ捨てる際や装着具の洗浄の際に、排泄物の一部がボウルの外側に飛散しても、その多くはキャビネットの前面に付着するので掃除が容易である。
【0009】
更に、キャビネットの内部空間に洗浄水供給手段と温水供給手段とがバランス良く且つ空間を無駄にしないように配置されているので、設置スペースを小さくすることができる。それによって、設置の自由度が高くなり、この汚物流しユニットを設置した多目的トイレ室内の空間を有効に活用できる。また、車椅子使用者やその介助者が移動の際に接触することを回避することができる。
【0010】
このように、従来の汚物流しも、その目的とする範囲においては使い勝手の良いものである。しかしながら、オストメイトによるパウチやストーマの洗浄に着目すれば、必ずしも使い勝手が向上しているものではなかった。オストメイトがパウチに溜まった排泄物をボウルに投入するにあたっては、ボウルに近づく必要があり、オストメイトはその状態のままパウチを洗浄することになる。上述した従来の汚物流しでは、ボウルの直上に水栓金具が突出しているため、ボウルに近づいたままの状態ではパウチと水栓金具とが視線上に重なってしまい、洗浄する際の使い勝手として改善する余地があったものである。また、上記従来の汚物流しは、利用者が排泄物をボウル内へ捨てる際や装着具の洗浄の際に、排泄物の一部がボウルの外側に飛散することを想定しており、この点についても改善の余地がある。
本発明者らは、このような使い勝手の向上に資する汚物流しユニットを提供するため、吐水するためのスパウトの配置を工夫し、スパウトを引き出せるようにした汚物流しユニットについて検討を行った。そこで、スパウトを引き出せるように構成した汚物流しユニットでは、より衛生面で配慮すべき新たな課題があることを見出した。
【0011】
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、オストメイトがパウチやストーマを洗浄する際に、より使い勝手が良く汚水の飛散を抑制することを可能とすると共に、より衛生面に配慮した汚物流しユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために本発明に係る汚物流しユニットは、人工肛門や人工膀胱を装着した使用者がそれらを洗浄するための汚物流しユニットであって、キャビネットと、前記キャビネットの前面から突出するように設けられたボウル部と、前記キャビネットの前面であって、前記ボウル部よりも上方に設けられたスパウトと、このスパウトからの吐水を調整するためのハンドルと、このハンドルの操作に応じて吐水の温度調整を行う温調機構とを有する水栓部と、を備える。前記温調機構は前記キャビネットの内部に設けられている。前記ボウル部は、封水を形成する溜水面が下部に形成されている。前記スパウトは、前記キャビネットから引き出すことが可能なように構成されると共に、その先端は、上面視した時に前記溜水面よりも前記キャビネット側に位置するように設けられている。前記スパウトは、吐水口が設けられた先端部分と、その先端部分と前記温調機構との間の少なくとも一部を構成するホース部分とを有しており、前記キャビネットから前記先端部分を引き出した際に、その引き出した状態のまま垂下した前記先端部分が前記ボウル部の内面に当接しないように、前記ホース部分の撓みを抑制する干渉抑制手段が設けられている。
【0013】
本発明によれば、吐水するスパウトと温度調整や流量調整といった水の調整を行うハンドルとを別体にして、それぞれキャビネットの前面に配置するとともに、スパウトをキャビネットから引き出して使用できるように構成しているので、パウチの洗浄作業の際にスパウトに繋がるホースやスパウトそのものが邪魔になりにくい。また、電気温水器及び温調機構がキャビネット内部に配置されているので、キャビネット前面に配置される器具が最小限なものとすることができ、パウチの洗浄などの作業の際にそれらが邪魔になることがない。
【0014】
更に、パウチの洗浄作業は、洗浄の際に滴下する汚水がボウルの内面に直接当たって飛び散ることを最小限に抑制するため、洗浄作業を溜水面の直上近傍で行うことが多いものである。本発明では、上面視でスパウトが溜水面よりもキャビネット側に配置されるようにし、スパウトからの吐水を使用者側に斜めに吐水するようにしているので、溜水面の上側のエリアの視界がスパウトによって遮られることない。従って、使用者は洗浄動作を確実に視認しながら作業できるので、使い勝手をより高め、汚水や汚物のボウル外への飛散を確実に抑制することができる。
【0015】
更に、スパウトをキャビネットから引き出して使用できるように構成したことによって、スパウトの先端部分がボウル部の内面に接触する可能性が高まったことに対応するため、キャビネットから先端部分を引き出した際に、その引き出した状態のまま垂下した先端部分がボウル部の内面に当接しないように、ホース部分の撓みを抑制する干渉抑制手段を設けている。ホース部分の撓みを抑制するという簡便且つ確実な手段によって、ホース部分が過度に撓んで先端部分がボウル部に接触してしまうことを防止することができる。
【0016】
また本発明に係る汚物流しユニットでは、前記干渉抑制手段は、前記キャビネットの前面から前方に突出し、前記ホース部分をその突出方向に方向付けるガイド機構を有することも好ましい。
【0017】
この好ましい態様では、キャビネットの前面から前方に突出し、ホース部分をその突出方向に方向付けるガイド機構を設けているので、ガイド機構の長さを調整することで確実にボース部分の撓みを抑制することができ、その抑制量も調整することができる。従って、通常使用におけるホース部分の撓み量を確保しつつ、垂下した場合の撓み量を抑制することを簡便且つ確実に行うことができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、オストメイトがパウチやストーマを洗浄する際に、より使い勝手が良く汚水の飛散を抑制することを可能とすると共に、より衛生面に配慮した汚物流しユニットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本願発明の実施形態である汚物流しユニットを示す概略正面図である。
【図2】図1のI−I断面を示す概略断面図である。
【図3】図2においてスパウトを引き出した状態を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の符号を付して、重複する説明は省略する。
【0021】
本発明の実施形態である汚物流しユニットについて、図1を参照しながら説明する。図1は、本願発明の実施形態である汚物流しユニットWUを示す概略正面図である。図1に示すように汚物流しユニットWUは、人工肛門や人工膀胱を装着した使用者がそれらを洗浄するための汚物流しユニットであって、キャビネット1aと、キャビネット1aの前面から突出するように設けられたボウル部2と、水栓部3と、を備えている。
【0022】
水栓部3は、キャビネット1aの前面であって、ボウル部2よりも上方に設けられたスパウト30と、このスパウト30からの吐水を調整するためのハンドル32と、を有している。キャビネット1aの前面には、ボウル洗浄ボタン6が設けられている。ボウル洗浄ボタン6を押下することで、ボウル部2の内側に洗浄水が供給される。
【0023】
図1のI−I断面図を図2に示す。図2に示すように、水栓部3の温調機構34は、キャビネット1aの内部に設けられている。温調機構34は、ハンドル32の操作に応じて吐水の温度調整を行う部分である。この温調機構34には、水を供給する給水管と、温水を供給する給水管とが繋がれている。温調機構34には、電気温水器4から温水が供給される。電気温水器4は、キャビネット1aの内部に設けられている。
【0024】
ボウル部2は、下部2b側に、封水を形成する溜水面2aが形成されている。ボウル部2は、下部2bからキャビネット1a側に立設されているキャビネット側内面2cと、下部2bから手前側(使用者側)に立設されている使用者側内面2eとを有している。
【0025】
ボウル部2の上端部2dは、キャビネット1aに当接するように取り付けられている。上端部2dがキャビネット1aに当接する部分の直上から、スパウト30が突出している。キャビネット側内面2cは、上端部2dから溜水面2aに繋がる下部2bにかけて前方に膨らむように形成されている。従って、スパウト30の先端部分30aに設けられている吐水口301から垂線を下ろすと、前方に膨らんだキャビネット側内面2cに当たるように配置されている。
【0026】
ボウル部2のキャビネット側内面2cは、下部2b側で傾きが急であり、上端部2dに向うにつれて傾きが緩やかになるように形成されている。吐水口301から垂線を下ろした場合、上端部2d側の緩やかな傾斜の領域に当たるように構成されている。換言すれば、吐水の勢いが弱い場合には、上端部2d側の緩やかな傾斜の領域に吐水が当たるように形成される一方で、吐水の勢いが比較的強くなると下部2b側の急峻な傾斜の領域に吐水が当たるように形成されている。
【0027】
スパウト30は、その先端部分30aを持ってキャビネット1aから引き出すことが可能なように構成されている。先端部分30aは、上面視した時に溜水面2aよりもキャビネット1a側に位置するように設けられている。スパウト30の先端部分30aに設けられている吐水口301から、その吐水方向に沿って真っ直ぐに延長線を引くと、そのスパウト30から吐水される水の吐水方向の延長線は、ボウル部2の使用者側内面2eと交差するように構成されている。
【0028】
スパウト30の先端部分30aを引き出した状態を図3に示す。図3に示すように、スパウト30は、吐水口301が設けられた先端部分30aと、その先端部分30aと温調機構34との間の少なくとも一部を構成するホース部分30bとを有している。ホース部分30bは可撓性を有する材料によって構成され、引き出した先端部分30aを自由に取り回すことができるように構成されている。
【0029】
本実施形態では、キャビネット1aから先端部分30aを引き出した際に、その引き出した状態のまま垂下した先端部分30aがボウル部2のキャビネット側内面2cに当接しないように、ホース部分30bの撓みを抑制する干渉抑制手段としてのガイド機構5が設けられている。ガイド機構5は、キャビネット1aの前面に取り付けられている。ガイド機構5は、キャビネット1aに当接するベース部分5aと、ベース部分5aから前方に突出するガイド部分5bとを有している。
【0030】
ベース部分5aは、キャビネット1aの前面に沿った面と、キャビネット1aの前面から上方に仰角を有するように傾斜した面とを有している。ガイド部分5bは、この傾斜した面に設けられており、この傾斜した面に直交するように立設されている。従って、ガイド部分5bは、キャビネット1aの前面から上方に仰角を有するように突出している。
【0031】
ガイド部分5bは、ホース部分30bよりもやや大径の内周を有する円筒形状をなすように形成されている。ガイド部分5bは、この円筒形状の長さを短く設定したり、長く設定したりすることで、ホース部分30bの柔らかさに応じた方向付けを行うことができるものである。具体的には、ホース部分30bが比較的柔らかく可撓性が大きいものであれば、ガイド部分5bを長くすることで、先端部分30aがキャビネット側内面2cに当接しないように構成することができる。一方、ホース部分30bが比較的硬く可撓性が小さいものであれば、ガイド部分5bを短くすることが可能となる。
【0032】
上述したように本実施形態の汚物流しユニットWUは、人工肛門や人工膀胱を装着した使用者(オストメイト)がそれらを洗浄するための汚物流しユニットであって、キャビネット1aと、キャビネット1aの前面から突出するように設けられたボウル部2と、水栓部3と、電気温水器4と、を備えている。水栓部3は、キャビネット1aの前面であって、ボウル部2よりも上方に設けられたスパウト30と、このスパウト30からの吐水を調整するためのハンドル32と、このハンドル32の操作に応じて吐水の温度調整を行う温調機構34とを有している。温調機構34及び電気温水器4はキャビネット1aの内部に設けられている。
【0033】
ボウル部2は、封水を形成する溜水面2aが下部2bに形成されると共に、キャビネット側内面2cが、上端部2dから溜水面2aに繋がる下部2bにかけて前方に膨らむように形成されている。スパウト30は、キャビネット1aから引き出すことが可能なように構成されると共に、その先端部分30aは、上面視した時に溜水面2aよりもキャビネット1a側に位置するように設けられている。スパウト30の先端部分30aに形成された吐水口301から吐水される水の吐水方向の延長線は、ボウル部2の使用者側内面2eと交差するように構成されている。
【0034】
このように、吐水するスパウト30と温度調整や流量調整といった水の調整を行うハンドル32とを別体にして、それぞれキャビネット1aの前面に配置するとともに、スパウト30の先端部分30aをキャビネット1aから引き出して使用できるように構成しているので、パウチの洗浄作業の際にスパウト30の先端部分30aに繋がるホース部分30bやスパウト30そのものが邪魔になりにくい。また、電気温水器4及び温調機構34がキャビネット1aの内部に配置されているので、キャビネット1aの前面に配置される器具を最小限なものとすることができ、パウチの洗浄などの作業の際にそれらが邪魔になることがない。
【0035】
更に、パウチの洗浄作業は、洗浄の際に滴下する汚水がボウル部2の内面に直接当たって飛び散ることを最小限に抑制するため、洗浄作業を溜水面2aの直上近傍で行うことが多いものである。本実施形態では、上面視でスパウト30の先端部分30aが溜水面2aよりもキャビネット1a側に配置されるようにし、スパウト30の先端部分30aに形成された吐水口301からの吐水を使用者側に斜めに吐水するようにしているので、溜水面2aの上側のエリアの視界がスパウト30によって遮られることない。従って、使用者は洗浄動作を確実に視認しながら作業できるので、使い勝手をより高め、汚水や汚物のボウル部2の外への飛散を確実に抑制することができる。
【0036】
このように本実施形態では、スパウト30をキャビネット1aから引き出さずに、キャビネット1aに設置した際の吐水が斜め前方に向かって吐水されるので、吐水流量が少ない時には吐水がキャビネット側内面2cに衝突する場合がある。このとき、吐水とそれが衝突するキャビネット側内面2cとの衝突角度が垂直に近いほど、衝突した水が跳ねてボウル部2の外に出てしまう恐れがある。そこで、キャビネット側内面2cを上端部2dから溜水面2aに繋がる下部2bにかけて前方に膨らむように形成することで、上に凸のなだらかな形状とし、吐水の内面に対する衝突角度を小さくすることで、吐水流量が少ない時の水跳ねを抑制することができるものとしている。
【0037】
また本実施形態では、ボウル部2のキャビネット側内面2cが、下部2b側で傾きが急であり、上端部2dに向うにつれて傾きが緩やかになるように形成されている。溜水面2aに近い側では、重力の影響で吐水された水の速度は増しており、衝突の際の衝撃力が吐水後すぐに衝突する場合よりも大きくなっている。そこで、溜水面2aに近い側ではボウル部2のキャビネット側内面2cの傾斜を急にすることで、吐水が進行する方向にキャビネット側内面2cを沿わせることで衝突力を低減している。更に、ボウル部2の縁に近い上端部2d側ではキャビネット側内面2cを緩やかに傾斜させることで、広い洗浄エリアを確保しつつ、水跳ねの影響も確実に小さくできるように構成している。
【0038】
更に本実施形態では、スパウト30の先端部分30aをキャビネット1aから引き出して使用できるように構成したことによって、スパウト30の先端部分30aがボウル部2の内面に接触する可能性が高まったことに対応するため、キャビネット1aから先端部分30aを引き出した際に、その引き出した状態のまま垂下した先端部分30aがボウル部2のキャビネット側内面2cに当接しないように、ホース部分30bの撓みを抑制する干渉抑制手段としてのガイド機構5を設けている。ガイド機構5は、キャビネット1aの前面から前方に突出し、ホース部分30bをその突出方向に方向付けるものである。上述したように、ガイド機構5の長さを調整することで確実にホース部分30bの撓みを抑制することができ、その抑制量も調整することができる。従って、通常使用におけるホース部分30bの撓み量を確保しつつ、垂下した場合の撓み量を抑制することを簡便且つ確実に行うことができる。このように、ホース部分30bの撓みを抑制するという簡便且つ確実な手段によって、ホース部分30bが過度に撓んで先端部分30aがボウル部2に接触してしまうことを防止することができる。
【0039】
以上、具体例を参照しつつ本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。すなわち、これら具体例に、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、前述した各具体例が備える各要素およびその配置、材料、条件、形状、サイズなどは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。また、前述した各実施の形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
【符号の説明】
【0040】
WU:汚物流しユニット
1a:キャビネット
2:ボウル部
30:スパウト
32:ハンドル
34:温調機構
3:水栓部
4:電気温水器
2a:溜水面
2b:下部
2c:キャビネット側内面
2d:上端部
2e:使用者側内面
30a:先端部分
30b:ホース部分
301:吐水口
5:ガイド機構
5a:ベース部分
5b:ガイド部分
6:ボウル洗浄ボタン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
人工肛門や人工膀胱を装着した使用者がそれらを洗浄するための汚物流しユニットであって、
キャビネットと、
前記キャビネットの前面から突出するように設けられたボウル部と、
前記キャビネットの前面であって、前記ボウル部よりも上方に設けられたスパウトと、このスパウトからの吐水を調整するためのハンドルと、このハンドルの操作に応じて吐水の温度調整を行う温調機構とを有する水栓部と、を備え、
前記温調機構は前記キャビネットの内部に設けられ、
前記ボウル部は、封水を形成する溜水面が下部に形成され、
前記スパウトは、前記キャビネットから引き出すことが可能なように構成されると共に、その先端は、上面視した時に前記溜水面よりも前記キャビネット側に位置するように設けられ、
前記スパウトは、吐水口が設けられた先端部分と、その先端部分と前記温調機構との間の少なくとも一部を構成するホース部分とを有しており、
前記キャビネットから前記先端部分を引き出した際に、その引き出した状態のまま垂下した前記先端部分が前記ボウル部の内面に当接しないように、前記ホース部分の撓みを抑制する干渉抑制手段が設けられていることを特徴とする汚物流しユニット。
【請求項2】
前記干渉抑制手段は、前記キャビネットの前面から前方に突出し、前記ホース部分をその突出方向に方向付けるガイド機構を有することを特徴とする請求項1に記載の汚物流しユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−100942(P2012−100942A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−253119(P2010−253119)
【出願日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【出願人】(000010087)TOTO株式会社 (3,889)
【Fターム(参考)】