説明

決済端末装置

【課題】課金失敗エラーが発生した場合に運用管理者が課金失敗エラーの内容を確実に把握することを可能にすること。
【解決手段】CPU14が、表示部10がエラー情報を表示しているときに電源操作部13によって電源がオフ操作された場合、次に電源操作部13によって電源がオン操作されたときに入力部11からエラーメッセージを確認したことを示す確認操作が入力されたか否かを判別し、確認操作が入力されていない場合、エラーメッセージを表示部10に再表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ICカードに記憶されている電子化した金銭情報を読み書きすることによってサービスや商品に関する決済を行う決済端末装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ICカードに記憶されている電子化した金銭情報(以下、電子マネーと表記)を利用して、提供を受けるサービスや商品に関する決済を行う決済方法が普及している。この決済方法の中には、サービスや商品の提供後に電子マネーを減算することによって提供したサービスや商品に対し課金する後減算方式の決済方法がある。この決済方法では、電子マネーを減算できない課金失敗エラーが発生した場合、ICカードに記憶されている電子マネーを読み書きする決済端末装置の表示部に課金失敗エラーの内容(例えば決済時刻、決済金額、ICカードの識別情報等)が表示される。これにより、サービスや商品の提供者(以下、運用管理者)は、表示部に表示された課金失敗エラーの内容に基づいて、ユーザから現金で課金金額を徴収できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−279364号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の決済端末装置では、表示部に課金失敗エラーの内容が表示されているときに電源がオフ操作された場合、次に電源がオン操作されたときに表示部に課金失敗エラーの内容は表示されない。このため、従来の決済端末装置によれば、運用管理者が表示部に表示された課金失敗エラーの内容を確認する前に電源がオフ操作された場合には、運用管理者は、課金失敗エラーの内容がわからなくなり、ユーザから現金で課金金額を徴収できなくなることがあった。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、その目的は、課金失敗エラーが発生した場合に運用管理者が課金失敗エラーの内容を確実に把握可能な決済端末装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る決済端末装置は、ICカードに記憶されている電子化した金銭情報を読み書きすることによってサービスや商品に関する決済を行う決済端末装置であって、前記金銭情報を減算できない課金失敗エラーが発生した場合、該課金失敗エラーの内容を示すエラー情報を表示する表示部と、前記表示部に表示されたエラー情報を確認したことを示す確認操作を入力するための入力手段と、電源のオン/オフを操作する電源操作部と、前記表示部が前記エラー情報を表示しているときに前記電源操作部によって前記電源がオフ操作された場合、次に該電源操作部によって該電源がオン操作されたときに前記入力手段から前記確認操作が入力されたか否かを判別し、該確認操作が入力されていない場合、該エラー情報を前記表示部に再表示する制御部と、を備える。
【0007】
また、本発明に係る決済端末装置は、上記発明において、前記確認操作は、前記表示部に表示されているエラー情報を切り替える操作であり、前記制御部は、複数のエラー情報の全てが前記表示部に表示されていない場合、次に前記電源操作部によって前記電源がオン操作されたときに、表示されていないエラー情報を前記表示部に表示する。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る決済端末装置によれば、エラー情報を確認したことを示す確認操作が入力されていない場合、電源がオフ操作されても次回のオン操作時にエラー情報を再表示するので、課金失敗エラーが発生した場合に運用管理者が課金失敗エラーの内容を確実に把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、本発明の一実施形態である決済端末装置の概観構成を示す斜視図である。
【図2】図2は、図1に示す決済端末装置の構成を示すブロック図である。
【図3】図3は、本発明の一実施形態である課金失敗エラー処理の流れを示すフローチャートである。
【図4】図4は、上スクロール操作ボタン及び下スクロール操作ボタンの操作に伴う表示されるエラーメッセージの変化を説明するための図である。
【図5】図5は、本発明の一実施形態である起動処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態である決済端末装置の構成について説明する。
【0011】
〔決済端末装置の構成〕
始めに、図1及び図2を参照して、本発明の一実施形態である決済端末装置の構成について説明する。図1は、本発明の一実施形態である決済端末装置の概観構成を示す斜視図である。図2は、図1に示す決済端末装置の構成を示すブロック図である。図1に示すように、本発明の一実施形態である決済端末装置1は、カード挿入部2に挿入されたICカード3に記憶されている電子マネーを読み書きすることによってサービスや商品に関する決済を行うものである。図2に示すように、決済端末装置1は、表示部10、入力部11、リーダ/ライタ12、電源操作部13、及びCPU(Central Processing Unit)14を備える。
【0012】
表示部10は、液晶表示装置等の表示出力装置によって構成され、各種情報を表示出力する。図1に示すように、本実施形態では、表示部10は、決済端末装置1の操作面近傍に設けられ、表示画面10aに各種情報を表示出力する。入力部11は、操作ボタン等の操作子によって構成され、各種操作入力情報をCPU14に出力する。図1に示すように、本実施形態では、入力部11は、決済端末装置1の操作面に設けられたカード取り出しボタン11a、決定操作ボタン11b、上スクロール操作ボタン11c、及び下スクロール操作ボタン11dを含む。
【0013】
カード取り出しボタン11aは、カード挿入部2に挿入されたICカード3の取り出しを指示するための操作子である。決定操作ボタン11bは、各種処理の実行をCPU14に指示するための操作子である。上スクロール操作ボタン11cは、表示画面10aに表示された情報を上方向にスクロール操作するための操作子である。下スクロール操作ボタン11dは、表示画面10aに表示された情報を下方向にスクロール操作するための操作子である。
【0014】
リーダ/ライタ12は、図1に示すカード挿入部2に挿入されたICカード3内に記憶されている電子マネーに関する情報を読み書きするためのものである。電源操作部13は、決済端末装置1の電源のオン/オフを切り替えるための操作子である。CPU14は、図示しないROM(Read Only Memory)内に記憶された制御プログラムを図示しないRAM(Random Access Memory)内に読み出し、図示しないRAMに読み出された制御プログラムを実行することによって、決済端末装置1全体の動作を制御する。
【0015】
このような構成を有する決済端末装置1は、以下に示す課金失敗エラー処理及び起動処理を実行することによって、課金失敗エラーが発生した場合に運用管理者が課金失敗エラーの内容を確実に把握可能にする。以下、図3乃至図5を参照して、課金失敗エラー処理及び起動処理を実行する際の決済端末装置1の動作の流れについて説明する。
【0016】
〔課金失敗エラー処理〕
始めに、図3に示すフローチャートを参照して、課金失敗エラー処理を実行する際の決済端末装置1の動作について説明する。
【0017】
図3は、本発明の一実施形態である課金失敗エラー処理の流れを示すフローチャートである。図3に示すフローチャートは、後述する起動処理が終了したタイミングで開始となり、課金失敗エラー処理はステップS1の処理に進む。
【0018】
ステップS1の処理では、CPU14が、課金失敗エラーが発生したか否かを判別する。課金失敗エラーが発生したと判定する条件としては、ICカード3への課金金額の書き込み(電子マネーの減算処理)が失敗した場合、ICカード3への課金金額の書き込み結果(電子マネーの減算結果)が不明である場合、課金金額の書き込みが終了する前に決済端末装置1の電源がオフ状態になった場合であって次に決済端末装置1の電源がオン状態になった際にカード挿入部2にICカード3が挿入されていない場合等を例示することができる。そして、課金失敗エラーが発生したと判別すると、CPU14は、課金失敗エラー処理をステップS2の処理に進める。
【0019】
ステップS2の処理では、CPU14が、表示部10の表示画面10aに課金失敗エラーの内容を示すエラーメッセージを表示する。本実施形態では、CPU14は、課金失敗エラーが発生した旨を示す情報、課金に失敗した電子マネー度数を示す情報、課金に失敗したICカードの識別情報、課金に失敗したICカードの取引前の電子マネー度数を示す情報、及び課金に失敗した日時を示す情報を順にエラーメッセージとして表示部10の表示画面10aに表示する。これにより、ステップS2の処理は完了し、課金失敗エラー処理はステップS3の処理に進む。
【0020】
ステップS3の処理では、CPU14が、表示部10の表示画面10aに表示したエラーメッセージに関連づけされているフラグをONにする。本実施形態では、フラグがOFF状態にあることは、エラーメッセージがまだ表示部10の表示画面10aに表示されていない状態にあることを示し、フラグがON状態にあることは、エラーメッセージが既に表示部10の表示画面10aに表示された状態にあることを示す。これにより、ステップS3の処理は完了し、課金失敗エラー処理はステップS4の処理に進む。
【0021】
ステップS4の処理では、CPU14が、上スクロール操作ボタン11c又は下スクロール操作ボタン11dが操作されたか否かを判別する。判別の結果、上スクロール操作ボタン11c又は下スクロール操作ボタン11dが操作された場合、CPU14は、スクロール操作方向に対応するエラーメッセージを次に表示するエラーメッセージとしてステップS2の処理に戻る。この処理によれば、図4に示すように、(a)課金失敗エラーが発生した旨を示す情報、(b)課金に失敗した電子マネー度数を示す情報、(c)課金に失敗したICカードの識別情報、(d)課金に失敗したICカードの取引前の電子マネー度数を示す情報、及び(e)課金に失敗した日時を示す情報がスクロール方向に応じて表示部10の表示画面10aに巡回表示されることになる。具体的には、図4(a)に示すエラーメッセージが表示されている状態において上スクロール操作ボタン11cが操作された場合、図4(e)に示すエラーメッセージが表示され、図4(a)に示すエラーメッセージが表示されている状態において下スクロール操作ボタン11dが操作された場合には、図4(b)に示すエラーメッセージが表示される。一方、所定時間内に上スクロール操作ボタン11c又は下スクロール操作ボタン11dが操作されない場合には、CPU14は、課金失敗エラー処理をステップS5の処理に進める。
【0022】
ステップS5の処理では、CPU14が、電源操作部13が操作されることによって決済端末装置1の電源がオフ操作されたか否かを判別する。判別の結果、電源がオフ操作されていない場合、CPU14は課金失敗エラー処理をステップS4の処理に戻す。一方、電源がオフ操作された場合には、CPU14は一連の課金失敗エラー処理を終了する。
【0023】
〔起動処理〕
次に、図5に示すフローチャートを参照して、起動処理を実行する際の決済端末装置1の動作について説明する。
【0024】
図5は、本発明の一実施形態である起動処理の流れを示すフローチャートである。図5に示すフローチャートは、電源操作部13が操作されることによって決済端末装置1の電源がオン操作されたタイミングで開始となり、起動処理はステップS11の処理に進む。
【0025】
ステップS11の処理では、CPU14が、カード挿入部2にICカード3が挿入されているか否かを判別する。判別の結果、カード挿入部2にICカード3が挿入されていない場合、CPU14は起動処理をステップS12の処理に進める。一方、カード挿入部2にICカード3が挿入されている場合には、CPU14は起動処理をステップS17の処理に進める。
【0026】
ステップS12の処理では、CPU14が、エラーメッセージに関連づけされているフラグが全てON状態、すなわち、全てのエラーメッセージを表示済みであるか否かを判別する。判別の結果、エラーメッセージに関連づけされているフラグが全てON状態である場合、CPU14は、全てのエラーメッセージを表示済みであると判断し、起動処理をステップS15の処理に進める。一方、エラーメッセージに関連づけされているフラグが全てON状態でない場合には、CPU14は、全てのエラーメッセージを表示済みでないと判断し、起動処理をステップS13の処理に進める。
【0027】
ステップS13の処理では、CPU14が、OFF状態のフラグに関連づけされているエラーメッセージを表示部10の表示画面10aに表示する。これにより、ステップS13の処理は完了し、起動処理はステップS14の処理に進む。
【0028】
ステップS14の処理では、CPU14が、ステップS13の処理において表示したエラーメッセージに関連づけされているフラグをON状態にする。これにより、ステップS14の処理は完了し、起動処理はステップS12の処理に戻る。
【0029】
ステップS15の処理では、CPU14が、エラーメッセージに関連づけされているフラグを全てOFF状態にする。これにより、ステップS15の処理は完了し、起動処理はステップS16の処理に進む。
【0030】
ステップS16の処理では、CPU14が、全てのエラーメッセージを表示したことによって運用管理者が課金失敗エラーの内容を把握していると判断し、通常の動作モードへ決済端末装置1の動作モードを切り替える。これにより、ステップS16の処理は完了し、一連の起動処理は終了する。
【0031】
ステップS17の処理では、CPU14が、カード挿入部2に挿入されているICカード3を取り出すことを促すエラー処理を実行する。これにより、ステップS17の処理は完了し、一連の起動処理は終了する。
【0032】
以上の説明から明らかなように、本発明の一実施形態である決済端末装置1では、CPU14が、表示部10がエラー情報を表示しているときに電源操作部13によって電源がオフ操作された場合、次に電源操作部13によって電源がオン操作されたときに入力部11からエラーメッセージを確認したことを示す確認操作が入力されたか否かを判別し、確認操作が入力されていない場合、エラーメッセージを表示部10に再表示する。このような構成によれば、エラーメッセージを確認したことを示す確認操作が入力されていない場合、電源がオフ操作されても次回のオン操作時にエラーメッセージが再表示されるので、課金失敗エラーが発生した場合に運用管理者が課金失敗エラーの内容を確実に把握することができる。
【0033】
以上、本発明者によってなされた発明を適用した実施の形態について説明したが、本実施形態による本発明の開示の一部をなす記述及び図面により本発明は限定されることはない。例えば、本実施形態では、上スクロール操作ボタン11c及び下スクロース操作ボタン11dの操作によって複数のエラーメッセージが全て表示された場合に決済端末装置1の動作モードを通常の動作モードに移行させるようにしたが、エラーメッセージを1つのみ表示し、エラーメッセージを確認したことを示す決定操作ボタン11bからの操作入力が入力された場合に決済端末装置1の動作モードを通常の動作モードに移行させるようにしてもよい。また、カード挿入部2に運用管理者であることを示すICカードが挿入されている場合に決済端末装置1の動作モードを通常の動作モードに移行させるようにしてもよい。このように、本実施形態に基づいて当業者等によりなされる他の実施の形態、実施例及び運用技術等は全て本発明の範疇に含まれる。
【符号の説明】
【0034】
1 決済端末装置
2 カード挿入部
3 ICカード
10 表示部
10a 表示画面
11 入力部
11a カード取り出しボタン
11b 決定操作ボタン
11c 上スクロール操作ボタン
11d 下スクロール操作ボタン
12 リーダ/ライタ
13 電源操作部
14 CPU(Central Processing Unit)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ICカードに記憶されている電子化した金銭情報を読み書きすることによってサービスや商品に関する決済を行う決済端末装置であって、
前記金銭情報を減算できない課金失敗エラーが発生した場合、該課金失敗エラーの内容を示すエラー情報を表示する表示部と、
前記表示部に表示されたエラー情報を確認したことを示す確認操作を入力するための入力手段と、
電源のオン/オフを操作する電源操作部と、
前記表示部が前記エラー情報を表示しているときに前記電源操作部によって前記電源がオフ操作された場合、次に該電源操作部によって該電源がオン操作されたときに前記入力手段から前記確認操作が入力されたか否かを判別し、該確認操作が入力されていない場合、該エラー情報を前記表示部に再表示する制御部と、
を備えることを特徴とする決済端末装置。
【請求項2】
前記確認操作は、前記表示部に表示されているエラー情報を切り替える操作であり、前記制御部は、複数のエラー情報の全てが前記表示部に表示されていない場合、次に前記電源操作部によって前記電源がオン操作されたときに、表示されていないエラー情報を前記表示部に表示することを特徴とする請求項1に記載の決済端末装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2011−258060(P2011−258060A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−133070(P2010−133070)
【出願日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【出願人】(000237710)富士電機リテイルシステムズ株式会社 (1,851)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】