説明

決済端末

【課題】光学的読取手段と無線通信手段とを備えた決済端末において、端末使用者と対面する対面者に対して表示が可能な構成を提供する。
【解決手段】決済端末1は、操作者によって把持されつつ操作される装置本体2を備えており、当該装置本体2には、光学的読取手段と、無線通信手段とが設けられ、更に二つの表示装置(第1表示装置10a、第2表示装置10b)が設けられている。第2表示装置10bは、装置本体2に収まる第1位置と、表示領域の外面71を操作者側とは異なる対面者側に第2位置と、で変位する構成をなしており、第1表示装置10aは、少なくとも第2表示装置10bが第2位置にあるときに操作者に対する表示を行い、第2表示装置10bは、第2位置において対面者に対する表示を行うように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、決済端末に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、非接触式ICカード等の決済を行う決済端末が提供されている。この種の決済端末は、処理内容や決済内容などを表示する表示画面を備えたものが一般的であり、使われ方としては、例えば店舗などにおいて、機器使用者が、購入者と対面しつつ表示画面を見ながら使用することが多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5−197444
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記のような従来構成の場合、一般的には、機器使用者が表示画面を見ながら使用することを想定するものであるため、対面者(購入者等)が表示画面を把握すること、或いは対面者に表示画面を把握させることが難しく、対面者が処理内容や決済内容などを把握できないという問題があった。
【0005】
なお、ノートパソコンなどの分野では、特許文献1のように表示画面を対面者側にも向けて用いようとする技術が提供されているが、一般的に機器構成が小型化しやすい決済端末の分野ではこのような技術は提供されていなかった。
【0006】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、光学的読取手段と無線通信手段とを備えた決済端末において、端末使用者と対面する対面者に対して表示が可能な構成を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、請求項1の発明は、操作者によって把持されつつ操作される装置本体を備え、当該装置本体に、情報コードを光学的に読み取る光学的読取手段と、無線通信媒体を備えた決済用メディアを読取可能な無線通信手段と、が設けられた決済端末であって、前記装置本体に設けられる第1表示手段と、前記装置本体に対して変位可能に構成された第2表示手段と、前記第2表示手段を、前記装置本体に収まる第1位置と、当該第2表示手段の表示領域の外面を前記操作者側とは異なる対面者側に向かせる第2位置と、で変位させる変位手段と、を備え、前記第1表示手段は、少なくとも前記第2表示手段が前記第2位置にあるときに前記操作者に対する表示を行い、前記第2表示手段は、前記第2位置において前記対面者に対する表示を行うことを特徴とする。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1に記載の決済端末において、前記変位手段を駆動する駆動手段を備えたことを特徴とする。
【0009】
請求項3の発明は、請求項2に記載の決済端末において、前記駆動手段を制御する駆動制御手段を備え、前記駆動制御手段は、所定の制御信号が発生するときに前記第2表示手段を前記第1位置又は前記第2位置に移動させるように前記駆動手段を制御することを特徴とする。
【0010】
請求項4の発明は、請求項3に記載の決済端末において、前記所定の制御信号は、前記情報コードの読取時に生成される情報コード読取信号、前記決済用メディアの読取時に生成されるメディア読取信号、前記決済用メディアに対する決済処理の開始信号、前記決済用メディアに対する決済処理の終了信号、の少なくともいずれかであることを特徴とする。
【0011】
請求項5の発明は、請求項3に記載の決済端末において、前記所定の制御信号は、前記装置本体に設けられた操作ボタンの操作に応じて生成される操作信号であることを特徴とする。
【0012】
請求項6の発明は、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の決済端末において、前記第2表示手段の表示を制御する表示制御手段を備え、前記表示制御手段は、前記第2表示手段内での表示の向きを、前記第1位置に配置される場合と、前記第2位置に配置される場合とで変更する表示制御を行うことを特徴とする。
【0013】
請求項7の発明は、請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の決済端末において、前記第2表示手段は、前記第1位置に配置されたとき、前記第1表示手段を覆うと共に当該第2表示手段の表示領域の外面を外部に露出させる重畳構成をなし、前記第2表示手段が前記第1位置に配置されたときに、前記第1表示手段による表示が停止され、前記第2表示手段によって前記操作者に対する表示が行われることを特徴とする。
【0014】
請求項8の発明は、請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の決済端末において、前記第2表示手段は、前記装置本体の長手方向一方寄りの領域に変位可能に取り付けられており、前記変位手段は、前記第1位置において、前記第2表示手段を前記装置本体の外壁に沿って収め、かつ前記第2位置において、前記第2表示手段を、当該第2表示手段の表示領域の外面が前記長手方向一方側に向くように配置することを特徴とする。
なお、「第2表示手段の表示領域の外面が長手方向一方側に向く」とは、第2表示手段の表示領域の外面と直交する方向が長手方向と平行となるように配置される構成であってもよく、第2表示手段の表示領域の外面と直交する方向が長手方向に対してやや傾斜するように配置する構成であってもよい。
【0015】
請求項9の発明は、請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の決済端末において、前記無線通信手段のアンテナは、前記装置本体の長手方向一方側を前方側としたときの、当該装置本体の前端寄りに設けられており、前記変位手段は、前記第1位置において、前記第2表示手段を前記装置本体の外壁に沿って収め、前記第2位置において、前記第2表示手段を前記装置本体の前方位置であって且つ前記アンテナと対向する対向領域から外した位置に配置することを特徴とする。
【0016】
請求項10の発明は、請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の決済端末において、前記第2表示手段は、前記装置本体に設けられた複数の操作ボタンをカバーするボタンカバーに設けられており、前記変位手段は、前記第1位置において、前記第2表示手段を、複数の前記ボタンをカバーする位置に配置し、前記第2位置において、前記第2表示手段を複数の前記ボタンから離間させて前記対面者側に向かせることで、複数の前記ボタンを開放することを特徴とする。
【0017】
請求項11の発明は、請求項10に記載の決済端末において、前記第2表示手段は、前記ボタンカバーの裏面側に設けられ、前記第1位置において外部から隠された構成をなしており、前記変位手段は、前記第2位置において、前記第1位置に対して前記ボタンカバーを反転し、前記第2表示手段を露出させることを特徴とする。
【0018】
請求項12の発明は、請求項1から請求項12のいずれか一項に記載の決済端末において、前記変位手段は、前記第2位置において、前記第2表示手段を、前記第1表示手段の表示領域の外面が面する側を上方側としたときの前記アンテナよりも下方位置に配置することを特徴とする。
【0019】
請求項13の発明は、請求項1から請求項12のいずれか一項に記載の決済端末において、更に、前記無線通信手段のアンテナを、第1のアンテナ位置と、前記1のアンテナ位置とは異なる第2のアンテナ位置とで変位させるアンテナ変位手段が設けられており、前記アンテナ変位手段が、前記第1のアンテナ位置において、前記アンテナを、前記装置本体に近接させて収め、前記第2のアンテナ位置において、前記アンテナを、前記第1のアンテナ位置のときよりも前記装置本体から延出させることを特徴とする。
【0020】
請求項14の発明は、請求項13に記載の決済端末において、前記アンテナ変位手段が、前記第2のアンテナ位置において、前記アンテナを、前記装置本体の長手方向一方側に延出させることを特徴とする。
【0021】
請求項15の発明は、請求項13又は請求項14に記載の決済端末において、前記変位手段による前記第2表示手段の変位動作と、前記アンテナ変位手段による前記アンテナの変位動作とが連動することを特徴とする。
【0022】
請求項16の発明は、請求項13から請求項15のいずれか一項に記載の決済端末において、前記アンテナが、前記装置本体に設けられた複数の操作ボタンをカバーするボタンカバーに設けられており、前記アンテナ変位手段が、前記ボタンカバーを変位させるボタンカバー変位手段を有してなり、更に、前記ボタンカバー変位手段が、前記ボタンカバーを、複数の前記操作ボタンをカバーする形態で配置することで、前記アンテナを前記第1のアンテナ位置に配置し、前記ボタンカバーを、複数の前記操作ボタンから離間させて前記装置本体から延出させることで、前記アンテナを前記第2のアンテナ位置に配置することを特徴とする。
【0023】
請求項17の発明は、請求項16に記載の決済端末において、前記アンテナは、前記ボタンカバーの裏面側に設けられており、前記ボタンカバー変位手段は、前記アンテナが前記第1のアンテナ位置にあるときの前記ボタンカバーを反転することで、前記アンテナを前記第2のアンテナ位置に変位させ、前記ボタンカバーにおける前記アンテナが設けられた側の外面を外部に露出させることを特徴とする。
【0024】
請求項18の発明は、請求項16又は請求項17に記載の決済端末において、前記第2表示手段が、前記ボタンカバーに設けられており、前記変位手段及び前記アンテナ変位手段がいずれも、前記ボタンカバーを変位させる前記ボタンカバー変位手段によって兼用されており、前記ボタンカバー変位手段が、前記ボタンカバーを、複数の前記操作ボタンをカバーする位置に配置することで、前記第2表示手段を前記第1位置に配置すると共に、前記アンテナを前記第1のアンテナ位置に配置し、前記ボタンカバーを、複数の前記操作ボタンから離間させて前記装置本体から延出させることで、前記第2表示手段を前記第2位置に配置すると共に、前記アンテナを前記第2のアンテナ位置に配置する構成をなしており、更に、前記アンテナは、前記ボタンカバーにおいて、前記第2表示手段の周囲に設けられていることを特徴とする。
【0025】
請求項19の発明は、請求項13から請求項18のいずれか一項に記載の決済端末において、前記アンテナ変位手段が、前記アンテナが収容されるアンテナ保持部と、前記アンテナ保持部を保持する保持部材を有すると共に、前記アンテナ保持部を、前記保持部材に近接する保持部収納位置と、当該保持部収納位置のときよりも前記保持部材から延出する保持部延出位置とで変位させる第1の変位手段と、前記第1の変位手段を、前記装置本体に近接する変位手段収納位置と、当該変位手段収納位置のときよりも前記装置本体から延出する変位手段延出位置とで変位させる第2の変位手段と、を備え、前記第1の変位手段が前記装置本体から延出した前記変位手段延出位置において、更に前記アンテナ保持部が延出可能とされていることを特徴とする。
【0026】
請求項20の発明は、請求項13から請求項19のいずれか一項に記載の決済端末において、前記アンテナが板状のアンテナ保持部内に収容されており、前記アンテナ変位手段が、前記装置本体の長手方向に対する前記アンテナ保持部の傾斜を変更可能に構成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0027】
請求項1の発明では、操作者によって把持されつつ操作される装置本体において、情報コードを光学的に読み取る光学的読取手段と、決済用メディアを読取可能な無線通信手段と、が設けられているため、情報コード及び決済用メディアのいずれの読み取りをも、操作者が装置本体を把持しながら行うことができるようになる。また、第1表示手段と第2表示手段とが設けられ、第2表示手段が、装置本体に収まる第1位置と表示領域の外面を対面者側に向かせる第2位置とで変位するように構成され、第2位置において対面者に対する表示を行うように構成されているため、必要に応じ、第2表示手段を利用して対面者に対する表示を行うことができる。また、第2表示手段が第2位置にあるときには、第1表示手段が操作者に対する表示を行うように構成されているため、対面者に対する表示と、操作者に対する表示とを共に実現でき、操作者、対面者のいずれも表示内容を良好に把握できるようになる。
【0028】
請求項2の発明は、変位手段を駆動する駆動手段が設けられているため、駆動手段の駆動力を利用して第2表示手段を変位させることができ、第2表示手段を変位させるために必要な操作者の労力を極力抑えることができる。
【0029】
請求項3の発明によれば、第2表示手段を制御によって第1位置又は第2位置に移動させることができるようになる。
【0030】
請求項4の発明によれば、情報コードの読取時、決済用メディアの読取時、決済用メディアに対する決済処理の開始時、決済用メディアに対する決済処理の終了時、の少なくともいずれかの時において、第2表示手段を第1位置又は第2位置に移動させる制御を行うことができる。即ち、第2表示手段を適切なタイミングで移動させることができるようになる。
【0031】
請求項5の発明では、装置本体に設けられた操作ボタンの操作に応じて第2表示手段の駆動制御がなされるため、操作者が自由に第2表示手段を移動させることができるようになる。
【0032】
請求項6の発明では、第2表示手段内での表示の向きを、第1位置に配置される場合と、第2位置に配置される場合とで変更する表示制御を行うように構成されているため、第2表示手段が第1位置に配置される場合には第1位置に適した向きで表示を行うことができ、第2表示手段が第2位置に配置される場合には第2位置に適した向きで表示を行うことができるようになる。
【0033】
請求項7の発明では、第2表示手段が第1位置に配置されたとき、当該第2表示手段によって第1表示手段が覆われ、かつ第2表示手段の表示領域の外面が外部に露出する構成となっている。このようにすると、第2表示手段を第2位置に移動する必要が無いときに第2表示手段をコンパクトに収めることができる。また、第2表示手段が第1位置に収められたときには、重ねられた第1表示手段の表示が停止され、第2表示手段によって操作者に対する表示が行われるため、消費電力を効果的に抑えることができる。
【0034】
請求項8の発明では、第2表示手段が装置本体の長手方向一方寄りの領域に変位可能に取り付けられており、第1位置において第2表示手段が装置本体の外壁に沿って収められ、かつ第2位置において、当該第2表示手段の表示領域の外面が長手方向一方側に向くように構成されている。このようにすると、第2表示手段を必要に応じて長手方向一方側に向かせることができるため、装置本体の長手方向一方側を対面者側に向けて使用する場合に都合のよい構成となる。
【0035】
請求項9の発明では、装置本体の長手方向一方側を前方側としたときの、当該装置本体の前端寄りに無線通信手段のアンテナが設けられているため、装置本体の前方側に決済用メディアが配置された場合に通信を良好に行うことができる。また、第1位置において第2表示手段が装置本体の外壁に沿って収められ、第2位置において、当該第2表示手段が装置本体の前方位置であって且つアンテナと対向する対向領域から外れた位置に配置されるようになっている。このようにすると、第2表示手段を対面者側に向かせるときに、当該第2表示手段をアンテナと対向させないようにすることができるため、無線通信手段の読み取りが第2表示手段によって阻害されることを効果的に抑えることができる。従って、第2表示手段によって対面者に対する表示を行いつつ、決済メディアとアンテナとの通信を良好に行うことができるようになる。
【0036】
請求項10の発明では、装置本体に設けられた複数の操作ボタンをカバーするボタンカバーが設けられ、このボタンカバーに第2表示手段を配置している。このようにボタンカバーを第2表示手段を配置する部品として兼用すると、第1位置において第2表示手段をコンパクトに収め、必要に応じて当該第2表示手段を変位させうる構成を、特別な部品を多く用いずに簡易に実現できる。
【0037】
請求項11の発明は、第2表示手段がボタンカバーの裏面側に設けられ、第1位置において外部から隠された構成をなしている。このようにすると、対面者に対する表示を行わないときに第2表示手段の表示画面等を良好に保護できる。また、対面者に対する表示を行うときにはボタンカバーを反転させて当該第2表示手段を露出させることで、表示を良好に行うことができる。
【0038】
請求項12の発明は、第2位置において、第2表示手段をアンテナよりも下方位置に配置している。このようにすると、操作者が装置本体に対する操作を行う際に、操作者が操作しやすく且つ対面者が第2表示手段を見やすい配置をとりやすくなる。特に、操作者が第1表示手段を傾斜させながら操作を行うような場合であっても、対面者が第2表示手段を見やすくなり、操作者、対面者のいずれもが利用しやすい構成となる。
【0039】
請求項13の発明は、無線通信手段のアンテナを、第1のアンテナ位置と、第1のアンテナ位置とは異なる第2のアンテナ位置とで変位させるアンテナ変位手段が設けられており、第1のアンテナ位置において、アンテナを、装置本体に近接させて収め、第2のアンテナ位置において、アンテナを、第1のアンテナ位置のときよりも装置本体から延出させている。この構成では、アンテナを第1のアンテナ位置とすることにより、当該アンテナを装置本体に近接させて収めることができ、端末全体をよりコンパクトにすることができる。一方、必要に応じてアンテナを第2アンテナ位置とすることで、端末形態を、通信しやすい形態(即ち、対面者が決済用メディアをアンテナに翳しやすい形態)に変化させることができる。
【0040】
請求項14の発明では、第2のアンテナ位置において、アンテナを、装置本体の長手方向一方側に延出させている。このようにすると、装置本体の長手方向一方側に対面者が位置するように当該装置本体を配置して無線通信を行おうとしたときに、アンテナをより対面者に近づけることができ、これにより、対面者がより無線通信を行いやすくなる。
【0041】
請求項15の発明は、変位手段による第2表示手段の変位動作と、アンテナ変位手段によるアンテナの変位動作とが連動する構成をなしている。このようにすると、対面者との無線通信に際し、第2表示手段とアンテナとを同時に変位させることができる。従って、それぞれを別個に操作して個別に準備する手間、時間を省略でき、準備作業の簡易化、短時間化を図ることができる。
【0042】
請求項16の発明は、アンテナが、装置本体に設けられた複数の操作ボタンをカバーするボタンカバーに設けられている。そして、第1アンテナ位置のときには、ボタンカバーが、複数の操作ボタンをカバーする形態で配置され、第2アンテナ位置のときには、ボタンカバーが、複数の操作ボタンから離間して装置本体から延出するように構成されている。このようにすると、ボタンカバーを、アンテナを保持する部品として兼用することができ、部品点数削減、装置小型化等を図りやすくなる。また、ボタンカバーの開放操作がアンテナの延出操作に直結するため、ボタンカバーとアンテナ保持部品とを別個に操作して個別に準備する手間、時間を省略でき、準備作業の簡易化、短時間化を図ることができる。
【0043】
請求項17の発明は、アンテナが、ボタンカバーの裏面側に設けられている。このようにすると、第1のアンテナ位置において、アンテナをボタンカバーの大部分で覆うことができ、アンテナ付近の保護を強化できる。一方、ボタンカバーの反転により、アンテナを第2のアンテナ位置に変位させ、且つボタンカバーにおけるアンテナが設けられた側の外面(即ち裏面)を外部に露出させている。このようにすると、反転操作によって容易にアンテナ側の外面を露出させることができる。また、第2のアンテナ位置のときには、アンテナが装置本体から延出しつつアンテナ側の外面が露出した形態となるため、対面者がより通信しやすい環境となり、通信性を効果的に強化できる。
【0044】
請求項18の発明では、ボタンカバーを第2表示手段を配置する部品として兼用している。このようにすると、第1位置において第2表示手段をコンパクトに収め、必要に応じて当該第2表示手段を変位させうる構成を、特別な部品を多く用いずに簡易に実現できる。
また、このような兼用が図られたボタンカバーを、更に、アンテナ保持部品としても兼用しており、部品点数削減、装置小型化等を一層図りやすくなる。また、ボタンカバーの開放操作が、第2表示装置の変位操作及びアンテナの延出操作に直結するため、ボタンカバー、第2表示装置、及びアンテナ保持部品をそれぞれ別個に操作して個別に準備する手間、時間を大幅に省略でき、準備作業の簡易化、短時間化が一層期待できる。
更に、アンテナが、ボタンカバーにおいて第2表示手段の周囲に設けられている。このようにすると、第2表示手段の周囲のスペースを利用してアンテナを効率的に配置することができる。また、対面者が無線通信を行う際に、第2表示手段を目印にすることができるようになるため、決済メディアを翳す位置を迅速且つ的確に特定しやすくなり、ひいては無線通信の際の操作性を格段に高めることができる。
【0045】
請求項19の発明は、アンテナ保持部にアンテナが収容されると共に、アンテナ保持部を収納位置(保持部収納位置)と、延出位置(保持部延出位置)とで変位させる第1の変位手段が設けられている。更に、この第1の変位手段を、装置本体に近接する変位手段収納位置と、装置本体から延出する変位手段延出位置とで変位させる第2の変位手段が設けられている。このようにすると、アンテナを二段階に延出させることができ、より一層遠方に配置することができるようになる。
【0046】
請求項20の発明は、アンテナが板状のアンテナ保持部内に収容されており、更に、アンテナ保持部の傾斜を変更し得るように構成されている。このようにすると、ユーザが自己の使用に適した傾斜角度を選択できるようになるため、ユーザの利便性を一層高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】図1は、本発明の第1実施形態に係る決済端末を例示する斜視図である。
【図2】図2は、図1の決済端末の電気的構成を例示するブロック図である。
【図3】図3(a)は、図2の情報コード読取部を具体的に例示するブロック図であり、図3(b)は、図2の無線タグ処理部を具体的に例示するブロック図である。
【図4】図4は、図1の決済端末において第2表示装置が第2位置に変位した状態を斜め前方側から見た斜視図である。
【図5】図5は、図1の決済端末において第2表示装置が第2位置に変位した状態を斜め後方側から見た斜視図である。
【図6】図6は、図1の決済端末の表示装置付近を側方からみた状態を概略的に説明する説明図である。
【図7】図7は、図6の状態から第2表示装置が第2位置に変位した状態を説明する説明図である。
【図8】図8は、操作ボタンの操作に応じて行われる設定処理の一例を示すフローチャートである。
【図9】図9は、情報コードの読取処理を例示するフローチャートである。
【図10】図10は、決済メディアの読取処理を例示するフローチャートである。
【図11】図11は、第2実施形態に係る決済端末を例示する斜視図である。
【図12】図12は、図11の決済端末において第2表示装置が第2位置に移動した状態を示す斜視図である。
【図13】図13は、図11の決済端末において、第2表示装置が第1位置から第2位置に移動する途中の様子を示す斜視図である。
【図14】図14は、図1の決済端末を概略的に示す側面図である。
【図15】図15は、第2表示装置が第2位置に移動した状態を概略的に示す斜視図である。
【図16】図16は、第3実施形態に係る決済端末を例示する斜視図である。
【図17】図17(a)は、図16の決済端末においてアンテナが第2のアンテナ位置に変位した状態を斜め前方側から見た斜視図である。図17(b)は、図16の決済端末においてアンテナが第2のアンテナ位置に変位した状態を斜め後方側から見た斜視図である。
【図18】図18(a)は、図16の決済端末の一端部側を側方からみた状態を概略的に説明する説明図であり、図18(b)は、図18(a)の状態からアンテナが第2のアンテナ位置に変位した様子を説明する説明図である。
【図19】図19は、回動変位機構とアンテナ回動変位機構とを連動させるための構成を説明する説明図である。
【図20】図20は、第4実施形態に係る決済端末を例示する斜視図である。
【図21】図21は、図20の決済端末において第2表示装置が第2位置に移動した状態を示す斜視図である。
【図22】図22は、図20の決済端末を概略的に示す側面図である。
【図23】図23は、第2表示装置が第2位置に移動した状態を概略的に示す側面図である。
【図24】図24(a)は、第5実施形態に係る決済端末を例示する側面図であり、図24(b)は、図24(a)の決済端末において、ボタンカバーを開放した状態を示す側面図である。図24(c)は、図24(b)の状態から、保持部材を延出させた状態を示す側面図であり、図24(d)は、図24(c)の状態から、更にアンテナ保持部を延出させた状態を示す側面図である。
【図25】図25(a)は、図24(b)の状態(ボタンカバーを開放した状態)を示す斜視図であり、図25(b)は、図25(c)の状態(保持部材を延出させた状態)を示す斜視図であり、図25(c)は、図25(d)の状態(アンテナ保持部を延出させた状態)を示す斜視図である。
【図26】図26(a)は、保持部材及びアンテナ保持部が折り畳まれた状態を示す説明図であり、図26(b)は、保持部材及びアンテナ保持部が延出した状態を示す説明図である。
【図27】図27(a)は、第5実施形態の変形例を示す側面図であり、図27(b)は、図27(a)の決済端末において、ボタンカバーを開放した状態を示す側面図である。図27(c)は、図27(b)の状態から、保持部材を延出させた状態を示す側面図であり、図27(d)は、図27(c)の状態から、更にアンテナ保持部を延出させた状態を示す側面図である。
【図28】図28(a)は、図27(b)の状態(ボタンカバーを開放した状態)を示す斜視図であり、図28(b)は、図27(c)の状態(保持部材を延出させた状態)を示す斜視図であり、図28(c)は、図27(d)の状態(アンテナ保持部を延出させた状態)を示す斜視図である。
【図29】図29(a)は、保持部材及びアンテナ保持部が折り畳まれた状態を示す説明図であり、図29(b)は、保持部材及びアンテナ保持部が延出した状態を示す説明図である。
【図30】図30は、第6実施形態に係る決済端末を例示する斜視図であり、図30(a)は、アンテナ保持部が装置本体に沿って収まった状態を示す図であり、図30(b)は、アンテナ保持部を装置本体の前方に変位させた状態を示す図である。また、図30(c)は、図30(b)の状態から、アンテナ保持部の傾斜度合を変化させた状態を示す図である。
【図31】図31は、図30の決済端末の一端部側を側方からみた状態を概略的に説明する説明図である。
【図32】図32は、回動変位機構とアンテナ変位機構とを連動させるための構成を説明する説明図である。
【図33】図33(a)は、アンテナ保持部を装置本体の前方に変位させる様子を説明する説明図であり、図33(b)はアンテナ保持部の傾斜度合を変化させた様子を説明する説明図である。
【図34】図34は、アンテナを装置本体前方に延出させうる変形例を例示する斜視図であり、図34(a)は、アンテナ保持部が装置本体に沿って収まった状態を示す図であり、図34(b)は、アンテナ保持部を装置本体の前方に変位させた状態を示す図である。
【図35】図35は、図34の決済端末の一端部側を側方から概略的に説明する説明図であり、図35(a)は、アンテナ保持部が装置本体に沿って収まった状態を示す図であり、図35(b)は、アンテナ保持部を装置本体の前方に変位させた状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0048】
[第1実施形態]
以下、本発明の決済端末を具現化した第1実施形態について、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係る決済端末を例示する斜視図である。図2は、図1の決済端末の電気的構成を例示するブロック図である。図3(a)は、図2の情報コード読取部を具体的に例示するブロック図であり、図3(b)は、図2の無線タグ処理部を具体的に例示するブロック図である。図4は、図1の決済端末において第2表示装置が第2位置に変位した状態を斜め前方側から見た斜視図である。図5は、図1の決済端末において第2表示装置が第2位置に変位した状態を斜め後方側から見た斜視図である。図6は、図1の決済端末の表示装置付近を側方からみた状態を概略的に説明する説明図である。図7は、図6の状態から第2表示装置が第2位置に変位した状態を説明する説明図である。
【0049】
図1に例示される決済端末1は、ユーザによって携帯されて様々な場所で用いられる携帯情報端末として構成されており、バーコードや二次元コードなどの情報コードを読み取る情報コードリーダとしての機能と、無線タグを読み取る無線タグリーダとしての機能とを備え、読み取りを二方式で行いうる構成となっている。
【0050】
決済端末1は、長手状の外観をなす装置本体2に後述する第2表示装置10bが変位可能に取り付けられてなるものであり、全体として長手形状をなしている。装置本体2は、一端側のほぼ半分の領域(キー操作部11付近の領域)が把持領域とされており、ユーザによって把持されつつ使用される構成となっている。なお、本明細書では、決済端末全体のうち、第2表示装置と一体的に変位する部分を除いた部分を「装置本体」としている。
【0051】
図1に示すように、装置本体2は、長手状の外装ケース2aによって外郭が構成されている。この外装ケース2aは、各種部品(各種電気部品等)を収容するものであり、例えば樹脂材料などからなる複数のケース体(例えば、上ケース及び下ケースの2つのケース体)によって構成され、これらが結合した箱状形態をなしている。また、外装ケース2aは、一端側が折れ曲がる形態で所定方向に延出し、この延出部分が情報コードを読み取るための読取部3として構成されている。この読取部3は、具体的には長手状の本体部4(外装ケースにおける読取部以外の部分)に対して斜めに延出しており、端部に情報コードからの反射光を取り込む読取口3aが形成されている。読取口3aは、光を取り込みうる開口形態をなしており、その開口が透明部材(例えば透明の樹脂部材)によって閉塞された構成をなしている。
【0052】
また、図1に示すように、外装ケース2aから露出する形態で様々な部品が取り付けられている。例えば、本体部4の上面側にはLED表示部や複数個の操作ボタン11a(数字キーや機能キー等)を有するキー操作部11が設けられている。また、本体部4の側部には、読取指示用のトリガスイッチ7が設けられている。その他にも、電源スイッチ、報知用のLED、スピーカなどが設けられている。
【0053】
更に、本体部4の上面側には、第1表示装置10a(図5)と、第2表示装置10bとが設けられている。第2表示装置10bは、図1に示す第1位置(装置本体2に沿って収まる位置)と、図4に示す第2位置(表示領域の外面が対面者側に向く位置)とで変位する構成をなしており、第1表示装置10aは、第2表示装置10bが第1位置にあるときに第2表示装置10bによって覆われ、第2表示装置10bが第2位置に変位したときに露出する構成をなしている。なお、この点については後に詳述する。
【0054】
本実施形態では、第1表示装置10aの表示部外面と平行な方向であって装置本体2の長手方向(図1のX軸方向)と直交する方向(図1のY軸方向)を幅方向としている。さらに、第1表示装置10aの表示部外面(第1表示装置10aの表示領域における外面10c)と直交する方向を上下方向(図1のZ軸方向)とし、図4、図5、図7のように第2表示装置10bが第2位置に移動したときの第1表示装置10aによる表示側を上方側、それとは反対側を下方側としている。
【0055】
次に、電気的構成について説明する。
図2に示すように、決済端末1の外装ケース2a内には、決済端末1全体を制御する制御部8が設けられている。この制御部8は、マイコンを主体として構成されるものであり、CPU、システムバス、入出力インタフェース等を有しており、メモリ13とともに情報処理装置を構成し得るもので情報処理機能を有している。また、制御部8には、トリガスイッチ7、第1表示部10a、第2表示部10b、キー操作部11、アクチュエータ12、外部インターフェース17などが接続されている。
【0056】
トリガスイッチ7やキー操作部11は、制御部8に対して操作信号を与える構成をなしており、制御部8は、これらからの操作信号を受けて操作信号の内容に応じた動作を行うようになっている。また、第1表示部10a、第2表示部10bは、制御部8によって制御される構成をなしており、それぞれ、制御部8からの指令を受けて動作する構成をなしている。外部インターフェース17は、外部(例えばホスト装置)との間でのデータ通信を行うためのインターフェースとして構成されており、制御部8と協働して通信処理を行う構成をなしている。また、外装ケース2a内には、電源となるバッテリ15や電源部16が設けられており、これらによって制御部8や各種電気部品に電力が供給されるようになっている。
【0057】
また、制御部8には、無線タグ処理部20及び情報コード読取部30がそれぞれ接続されている。
情報コード読取部30は、図3(a)に示すように、CCDエリアセンサからなる受光センサ33、結像レンズ37、複数個のLEDやレンズ等から構成される照明部31などを備えた構成をなしており、制御部8と協働して読取対象Rに付された情報コードC(バーコードや二次元コード)を読み取るように機能する。この情報コード読取部30によって読み取りを行う場合、まず、制御部8によって指令を受けた照明部31から照明光Lfが出射され、この照明光Lfが読取口3a(図1参照)を通って読取対象Rに照射される。そして、照明光Lfが情報コードC(バーコードや二次元コード)にて反射した反射光Lrは読取口3aを通って装置内に取り込まれ、結像レンズ37を通って受光センサ33に受光される。読取口3aと受光センサ33との間に配される結像レンズ37は、情報コードCの像を受光センサ33上に結像させる構成をなしており、受光センサ33はこの情報コードCの像に応じた受光信号を出力する。受光センサ33から出力された受光信号は、画像データとしてメモリ13(図2)に記憶され、デコード処理に用いられる。なお、情報コード読取部30には、受光センサ33からの信号を増幅する増幅回路や、その増幅された信号をデジタル信号に変換するAD変換回路等が設けられているがこれらの回路については図示を省略している。
本実施形態では、情報コード読取部30及び制御部8が「光学的読取手段」の一例に相当する。
【0058】
無線タグ処理部20は、アンテナ51及び制御部8と協働して決済メディア(例えばキャッシュカードやクレジットカードとして構成されるICカード等)に設けられた無線タグとの間で電磁波による通信を行ない、無線タグに記憶されるデータの読取り、或いは無線タグに対するデータの書込みを行なうように機能するものである。
なお、本実施形態では、アンテナ51、無線タグ処理部20、及び制御部8が「無線通信手段」の一例に相当する。また、上記無線タグは、「無線通信媒体」の一例に相当する。
【0059】
無線タグ処理部20は、公知の電波方式で伝送を行う回路として構成されており、図3(b)にて概略的に示すように、発振器21、変調器22、復調器23などを備えてなるものである。なお、無線タグ処理部20には、これら以外の公知構成(例えば、増幅器、フィルタ回路、整合回路等)も設けられているが、図3(b)ではこれらについては図示を省略している。
【0060】
この無線タグ処理部20では、発振器21にて生成された搬送波を、無線タグに与えるべき送信データ(制御部8から出される読取命令や書込命令など)に基づいて変調し、その変調波を、コイルアンテナなどからなるアンテナ51から無線タグに対して発射する構成をなしている。なお、これを受ける無線タグでは、アンテナ51から発射された電波を受信し、復調して読み取りや書込みを行う。一方、無線タグから決済端末1へのデータ伝送は、アンテナ51から発射された電波を反射波に利用し、無線タグから送信すべきデータに基づいて変調することで行われる。無線タグから反射される電波は、アンテナ51にて受信され、復調器23にて復調された後、制御部8にてデータとして利用されることとなる。
【0061】
なお、読取対象となる無線タグとしては、決済端末1との間での通信を行うためのタグ側アンテナと、データの保持及び応答信号を発生するICチップと、を備えたものが挙げられる。また、当該無線タグに内蔵されるICチップとしては、例えば、通信等の制御を行うCPU、送受信信号の変調,復調を行う変復調回路、動作プログラム等を記憶するROM、データを記憶する読書き可能なEEPROM等をワンチップ化したものなどが挙げられる。
【0062】
次に、表示装置の構成等について説明する。
本実施形態に係る決済端末1は、上述したように第1表示装置10aと第2表示装置10bとを備えている。第1表示装置10a及び第2表示装置10bはいずれも、例えば液晶表示装置やELパネルなど、公知の表示装置によって構成されるものであり、いずれも制御部8によって表示タイミングや表示内容が制御されるようになっている。
【0063】
第1表示装置10aは、図5、図6に示すように、装置本体2に埋設されており、第2表示装置10bが第1位置にあるときには、この第2表示装置10bと上下に重なった状態で配置され(図6参照)、第2表示装置10bが第2位置に変位したときには、上方側が開放されて表示領域の外面10cが外部に露出する構成をなしている(図5、図7参照)。
【0064】
第2表示装置10bは、装置本体2に対して変位可能に構成されている。具体的には、第2表示装置10bを装置本体2に回動可能に取り付ける回動支持機構5が設けられており、第2表示装置10bはこの回動支持機構5に案内されることで第1位置(第1の回動位置)と第2位置(第2の回動位置)とで変位するようになっている。
【0065】
回動支持機構5は、第2表示装置10bを、装置本体2の幅方向(Y軸方向)に延びる中心軸(図1では、中心軸を一点鎖線70にて概略的に例示)を中心として回動させる機構であり、第2表示装置10bを保持する額状のフレーム73に設けられた幅方向に延びる軸72と、この軸72を回動可能に保持する軸受(図示略)によって構成されている。図1に示すように第2表示装置10bは、装置本体2の長手方向一方寄りの領域に配置されており、図6に示すように、軸72は、矩形状に構成される第2表示装置10bの端部に配置されると共に第1表示装置10aよりも前方側に配置された軸受(図示略)に回動可能に支持されている。
【0066】
回動支持機構5は、第1位置(図1、図6参照)において、第2表示装置10bを装置本体2の上面側の外壁に沿って収めるように配置する。また、第2位置(図4、図5、図7参照)において、第2表示装置10bの表示領域の外面71が装置本体2の長手方向一方側に向くように配置している。なお、図6、図7では、第1表示装置10a、第2表示装置10bをそれぞれ矩形状の破線にて概念的に示しており、各第1表示装置10a、第2表示装置10bの表示パネルの外面がそれぞれの表示領域の外面61、71となっている。
【0067】
なお、ここでいう「第2表示装置10bの表示領域の外面71が装置本体2の長手方向一方側に向く」とは、第2表示装置10bの表示領域の外面71と直交する方向が装置本体2の長手方向(X軸方向)と平行となるように配置される構成であってもよく、第2表示装置10bの表示領域の外面71と直交する方向が装置本体2の長手方向に対してやや傾斜するように配置される構成(即ち、表示領域の外面71が斜め前方を向くように配置される構成)であってもよい。また、この構成では、装置本体2の前方側又は斜め前方側が対面者側となり、装置本体2の後方側又は斜め後方側が操作側となる。
なお、本実施形態では、回動支持機構5が、「変位手段」の一例に相当している。
【0068】
また、第2表示装置10bは、第2位置に変位したときに、アンテナ51の上方側に配置され、第2表示装置10bと対向する位置にアンテナ51が配置されず、アンテナ51の前方の領域に第2表示措置10bが位置しない構成となっている。また、第2表示装置10bは、表示領域の外面71が前方側且つ斜め上方側に向いた構成となっている。このように構成されているため、アンテナ51の前方にICカードを対向させて通信を行おうとした場合に、当該ICカードによって表示が阻害されず、通信と表示がいずれも良好に行われることとなる。
【0069】
更に、第2表示装置10は、アクチュエータ12によって駆動されるようになっている。第2表示装置10を駆動する構成としては様々な構成を採用でき、その一例としては図6、図7のような構成が挙げられる。図6、図7の構成では、第2表示装置10の軸72に第1ギア81が固定され、装置本体2側には、この第1ギア81と連動する第2ギア82及び第3ギア83が設けられている。ここでは、第1ギア81、第2ギア82を平歯車によって構成し、第3ギア83をウォームによって構成し(即ち、第2ギア82、第3ギア83をウォームホイール構造として構成し)、第3ギア83をモータ(例えばステッピングモータ等)からなるアクチュエータ12によって回転駆動している。
なお、本実施形態では、アクチュエータ12が「駆動手段」の一例に相当する。また、制御部8が「駆動制御手段」の一例に相当し、アクチュエータ12を制御するように機能する。
【0070】
なお、図6、図7では、第2表示装置10を回動させる一例を示したが、第2表示装置10bを回動でき、且つその回動を制御できる構成であればこれに限定されないことは勿論である。
【0071】
このように、本実施形態に係る決済端末1は、第2位置において、第2表示装置10bが装置本体2の長手方向一方側(斜め前方側)に向き、このとき、第1表示装置10aはこの第2表示装置10bが向く側(斜め前方側)とは異なる側(即ち上方側)に向くようになっているため、装置本体2の長手方向一方側を対面者側に向け、長手方向他方側に操作者が位置したとき、第1表示装置10aによって操作者に対する表示が行われ、第2位置にある第2表示装置10bによって対面者に対する表示が行われることとなる。
【0072】
次に、上記決済端末1にて行われる各処理について説明する。
図8は、操作ボタンの操作に応じて行われる設定処理の一例を示すフローチャートである。図9は、情報コードの読取処理を例示するフローチャートである。図10は、決済メディアの読取処理を例示するフローチャートである。
【0073】
まず、図8の設定処理について説明する。この設定処理は、操作者が操作ボタン11aに対して所定操作を行ったときに開始される処理であり、操作ボタンの操作に応じた設定や制御を行おうとするものである。
【0074】
当該設定処理が開始されると、まず、自動モードの条件設定を行うか否かの判断がなされる(S1)。本実施形態の決済端末1は、第2表示装置10bの変位が自動的に行われる自動モードと、手動での変位操作を要する手動モードとに設定可能となっている。S1の処理では、図8の設定処理開始のための所定操作として、自動モードの条件設定を指示する指示操作が操作者によって行われたか否かを判断している。自動モードの条件設定を指示する指示操作が行われた場合にはS1にてYesに進み、自動モードの条件設定処理を行う(S2)。
【0075】
S2の処理は、第2表示装置10bを第2位置に移動させるタイミングを設定する処理であり、自動モードの条件設定の指示操作においてどのような指示がなされたかに応じて第2表示装置10bの移動タイミングを設定する。第2表示装置10bの移動タイミングは、例えば情報コードの読取時、決済メディアの読取時、決済メディアに対する決済処理の開始時などに設定できるようになっており、操作者がこれらの時期の中から希望する時期を選ぶ指示操作を行うことで、その選択された時期が第2表示装置10bの移動タイミングとして設定されるようになっている。例えば、操作者が「情報コードの読取時」を移動タイミングとする指示操作を行った場合、S2では、「情報コードの読取時」が移動タイミングとして設定され、その旨の情報がメモリ13に記憶される。
【0076】
一方、S1にてNoに進む場合には、手動モードの設定を行うか否かの判断がなされる(S3)。S3では、として、手動モードの設定を指示する指示操作が操作者によって行われたか否かを判断しており、手動モードの設定を指示する指示操作がなされた場合にはS3にてYesに進み、手動モードに設定する処理が行われる(S4)。この処理では、手動モードに設定された旨の情報がメモリ13に記憶される。なお、手動モードに設定されたときには、アクチュエータ12による第2表示装置10bの駆動が行われないようになり、第2表示装置10bを変位させるには、操作者が手動で第2表示装置10bを移動させる必要がある。なお、アクチュエータ12による駆動を停止させる制御方法は様々に考えられるが、例えば第2表示装置10bの移動タイミングとして設定されている条件を全てキャンセルしてもよく、強制的に、アクチュエータ12に駆動信号を出力させないようにしてもよい。
【0077】
一方、S3にてNoに進む場合、図8の設定処理開始のための所定操作が、第2表示装置10bの移動を指示するものであるか否かを判断する(S5)。S5では、操作者が操作ボタン11aに対して所定の移動指示操作を行ったか否かを判断しており、操作ボタン11aに対して所定の移動指示操作が行われ、その所定の移動指示操作に対応する操作信号が発生している場合には、S5にてYesに進み第2表示装置10bを第2位置に移動させる制御が行われるようになっている(S6)。
このように、本実施形態では、装置本体2に設けられた操作ボタン11aの操作に応じて生成される操作信号が所定の移動指示操作を示すものである場合に、制御部8により、第2表示装置10bを第2位置に移動させる制御が行われるようになっている。
【0078】
なお、図8では、S5にてNoに進む場合、即ち、図8の設定処理開始のための所定操作が自動モードの条件設定指示、手動モードの条件設定指示、表示装置の移動指示以外の指示操作である場合については処理を省略して示している。
【0079】
次に、読取処理について説明する。図9は、情報コード読取処理を例示するフローチャートである。図9の情報コード読取処理は、情報コード読取信号(例えばトリガスイッチの操作等)の発生に応じて開始されるものであり、当該処理が開始されると、まず、情報コード読取時の設定を確認する処理が行われる(S10)。このS10の処理では、上記設定処理(図8)において第2表示装置10bの移動タイミングとして「情報コード読取時」が設定されているか否かを確認する。「情報コード読取時」が第2表示装置10bの移動タイミングとして設定されている場合には、S11にてYesに進み、第2表示装置10bを第2位置に移動させる制御を行う(S12)。S12の処理では、制御部8からアクチュエータ12に対し駆動信号が出力され、当該駆動信号に応じてアクチュエータ12が駆動されることで第2表示装置10bが第2位置に移動する。
【0080】
一方、「情報コード読取時」が第2表示装置10bの移動タイミングとして設定されていないときにはS11にてNoに進む。この場合、第2表示装置10bは駆動されずに第1位置に維持される。
【0081】
その後、情報コードの読取処理が行われる(S13)。情報コード13の読取処理は、バーコードや二次元コードを読み取る公知の処理であり、制御部8に制御される情報コード読取部30によって情報コードが撮像されると共に、その撮像された情報コードの画像データに対して公知のデコード処理が行われる。
【0082】
S13の読取処理の後には、表示処理が行われる(S14)。この表示処理は、S13の処理結果を表示するものであり、例えばS13で読み取られた情報コードのデコード結果が表示される。また、S13でデコードが失敗した場合にはエラーメッセージなどを表示してもよい。
【0083】
S14の表示処理は、第2表示装置10bが第1位置にあるときは、上記処理結果を第2表示装置10bのみに表示する。本実施形態では、第2表示装置10bが第1位置に配置されるとき、図1、図6のように第2表示装置10bによって第1表示装置10aが覆われ、第2表示装置10bの表示領域の外面71が外部に露出する重畳構成となる。このとき、第1表示装置10aの表示領域は視認不能となるため、このように第2表示装置10bが第1位置に配置されたときには第1表示装置10aによる表示を停止し、第2表示装置10bのみによって操作者に対する表示を行っている。
【0084】
一方、第2表示装置10bが第2位置にあるときには、上記処理結果を第1表示装置10a及び第2表示装置10bにそれぞれ表示する。この場合、表示内容は、第1表示装置10aと第2表示装置10bとで同一としてもよく、若干異ならせてもよい。
【0085】
なお、第2表示装置10bが第1位置に配置されるときには、この第2表示装置10bによって操作者に対する表示が行われるため、表示領域の一方の境界74側が表示の上方側となるように表示がなされる。一方、第2表示装置10bが第2位置に配置され、当該第2表示装置10bによって対面者に対する表示が行われる場合、図4のように、第1位置で表示の上方側とされていた一方の境界74が下方側に位置し、他方の境界75が上方側に位置するようになるため、境界75側が表示の上方側となるように表示の向きを変更している。このように、本実施形態では、第2表示装置10b内での表示の向きを、第1位置に配置される場合と、第2位置に配置される場合とで変更する表示制御を行い、いずれの場合でも表示相手が表示内容を良好に把握できるようになっている。
なお、本実施形態では、制御部8が「表示制御手段」の一例に相当する。
【0086】
次に、決済端末1で行われる別の読取処理(決済メディアの読取処理)について説明する。図10に示す決済メディアの読取処理は、例えば、決済メディアからの信号受信、或いは操作ボタン11aに対する所定操作などをトリガとして開始される。
【0087】
当該処理が開始されると、決済メディア読取時の設定を確認する処理が行われる(S21)。このS21の処理では、上記設定処理(図8)において第2表示装置10bの移動タイミングとして「決済メディア読取時」が設定されているか否かを確認する。「決済メディア読取時」が第2表示装置10bの移動タイミングとして設定されている場合には、S22にてYesに進み、第2表示装置10bを第2位置に移動させる制御を行う(S23)。S23の処理では、制御部8からアクチュエータ12に対し駆動信号が出力され、当該駆動信号に応じてアクチュエータ12が駆動されることで第2表示装置10bが第2位置に移動する。
【0088】
一方、「決済メディア読取時」が第2表示装置10bの移動タイミングとして設定されていないときにはS22にてNoに進む。この場合、第2表示装置10bは駆動されずに第1位置に維持される。
【0089】
その後、決済メディアの読み取り及び決済処理が行われる(S24)。例えば決済メディアとしてICカードが用いられる場合、上記無線タグ処理部20及びアンテナ51によってICカードと無線通信を行い、ICカード内の無線タグに対して読み取り或いは書き込みを行う。決済処理は、読み取ったICカードによって商品代金の支払い等を行う公知の処理であり、必要に応じて暗証番号の入力なども行われる。
【0090】
S24の処理の後には、表示処理が行われる(S25)。この表示処理は、S24の処理結果を表示するものであり、例えばS25での決済処理の結果(購入された商品の内容やICカードによって支払われた金額等)が表示される。また、暗証番号が間違っている場合にエラーメッセージなどを表示してもよい。
【0091】
S25の表示処理は、第2表示装置10bが第1位置にあるときは、上記処理結果を第2表示装置10bに表示すると共に第1表示装置10aによる表示を停止し、第2表示装置10bのみによって操作者に対する表示を行う。
【0092】
一方、第2表示装置10bが第2位置にあるときには、上記処理結果を第1表示装置10a及び第2表示装置10bにそれぞれ表示する。この場合も、表示内容は、第1表示装置10aと第2表示装置10bとで同一としてもよく、若干異ならせてもよい。
【0093】
また、当該決済メディア読取処理でも、第2表示装置10bが第1位置に配置されるときには、表示領域の一方の境界74側が表示の上方側となるように表示がなされる。一方、第2表示装置10bが第2位置に配置され、当該第2表示装置10bによって対面者に対する表示が行われる場合、他方の境界75側が表示の上方側となるように表示の向きを変更する。
【0094】
S25の表示処理が終わると、第2表示装置10bを第1位置に格納する処理が行われる。なお、この格納処理は、S25の表示処理が行われた後、一定期間後に自動的に行われるようにしてもよく、S25の表示処理の後に格納を指示する所定操作が行われた場合に実行されるようにしてもよい。
【0095】
或いは、図8の設定処理において、第2表示装置10bの格納タイミングを設定できるように処理を追加してもよい。例えば、操作者が「決済処理の終了時」を第2表示装置10bの格納タイミングに設定する旨の指示操作を行った場合に、決済処理の終了時を格納タイミングに設定し、その旨をメモリ13に記憶しておくことができる。この場合、例えば、S25の処理の後、「決済処理の終了時」が格納タイミングとして設定されているか否かを判断する判断処理を行い、「決済処理の終了時」が格納タイミングとして設定されている場合に第2表示装置10bを第1位置に格納する制御を行うようにしてもよい。なお、この場合、S25の処理の終了を示す信号が「決済処理の終了信号」の一例に相当する。
【0096】
また、図10の例では、カード読取時に設定を確認する例を示したが、S24の処理開始時にも設定を確認する処理を行うことができる。例えば、S24の処理開始直後に、決済処理の開始時の設定を確認する処理を行い、上記設定処理(図8)において、第2表示装置10bの移動タイミングとして「決済処理の開始時」が設定されているか否かを確認する。そして、「決済処理の開始時」が第2表示装置10bの移動タイミングとして設定されている場合には、S24の処理開始後に第2表示装置10bを第2位置に移動させる制御を行うようにすることができる。なお、この場合、S24の処理の開始を示す信号が「決済用メディアに対する決済処理の開始信号」に相当する。
【0097】
本実施形態の構成によれば、例えば以下のような効果を奏する。
本実施形態に係る決済端末1では、操作者によって把持されつつ操作される装置本体2において、情報コードを光学的に読み取る光学的読取手段と、決済用メディアを読取可能な無線通信手段と、が設けられているため、情報コード及び決済用メディアのいずれの読み取りをも、操作者が装置本体2を把持しながら行うことができるようになる。また、第1表示装置10aと第2表示装置10bとが設けられ、第2表示装置10bが、装置本体2に収まる第1位置と表示領域の外面71を対面者側に向かせる第2位置とで変位するように構成され、第2位置において対面者に対する表示を行うように構成されているため、必要に応じ、第2表示装置10bを利用して対面者に対する表示を行うことができる。また、第2表示装置10bが第2位置にあるときには、第1表示装置10aが操作者に対する表示を行うように構成されているため、対面者に対する表示と、操作者に対する表示とを共に実現でき、操作者、対面者のいずれも表示内容を良好に把握できるようになる。
【0098】
また、回動支持機構5を構成する軸72を駆動するアクチュエータ12が設けられているため、アクチュエータ12の駆動力を利用して第2表示装置10bを変位させることができ、第2表示装置10bを変位させるために必要な操作者の労力を極力抑えることができる。
【0099】
また、第2表示装置10bを駆動するアクチュエータ12が制御部8によって制御されるようになっているため、第2表示装置10bを第1位置や第2位置に移動させる移動タイミング等を適切に制御できる。
【0100】
また、情報コードの読取時、決済用メディアの読取時、決済用メディアに対する決済処理の開始時、決済用メディアに対する決済処理の終了時、の少なくともいずれかの時において、第2表示装置10bを第1位置又は第2位置に移動させる制御を行うことができるようになっている。即ち、第2表示装置10bを、対面者側に向かせるべき適切なタイミングで移動させることができる。
【0101】
また、装置本体2に設けられた操作ボタン11aの操作に応じて第2表示装置10bの駆動制御がなされるため、操作者が自由に第2表示装置10bを移動させることができる。
【0102】
また、第2表示装置10b内での表示の向きを、第1位置に配置される場合と、第2位置に配置される場合とで変更する表示制御を行っているため、第2表示装置10bが第1位置に配置される場合には第1位置に適した向きで表示を行うことができ、第2位置に配置される場合には第2位置に適した向きで表示を行うことができる。
【0103】
また、第2表示装置10bが第1位置に配置されたとき、当該第2表示装置10bによって第1表示装置10aが覆われ、かつ第2表示装置10bの表示領域の外面71が外部に露出する構成となっている。このようにすると、第2表示装置10bを第2位置に移動する必要が無いときに第2表示装置10bをコンパクトに収めることができる。また、第2表示装置10bが第1位置に収められたときには、重ねられた第1表示装置10aの表示が停止され、第2表示装置10bによって操作者に対する表示が行われるため、消費電力を効果的に抑えることができる。
【0104】
また、第2表示装置10bが装置本体2の長手方向一方寄りの領域に変位可能に取り付けられており、第1位置において第2表示装置10bが装置本体2の外壁に沿って収められ、かつ第2位置において、当該第2表示装置10bの表示領域の外面71が長手方向一方側に向くように構成されている。このようにすると、第2表示装置10bを必要に応じて長手方向一方側に向かせることができるため、装置本体2の長手方向一方側を対面者側に向けて使用する場合に都合のよい構成となる。
【0105】
[第2実施形態]
次に第2実施形態について説明する。図11は、第2実施形態に係る決済端末を例示する斜視図である。図12は、図11の決済端末において第2表示装置が第2位置に移動した状態を示す斜視図である。図13は、図11の決済端末において、第2表示装置が第1位置から第2位置に移動する途中の様子を示す斜視図である。図14は、図11の決済端末を概略的に示す側面図である。図15は、第2表示装置が第2位置に移動した状態を概略的に示す斜視図である。
【0106】
第2実施形態に係る決済端末200は、電気的構成については第1実施形態と同様であるため、適宜図2、図3を参照して説明することとする。なお、決済端末200は、図2において、第1表示装置10aが第1表示装置210aとなり、第2表示装置10bが第2表示装置210bとなる以外は図2、図3と同一である。また、決済端末200で行われる各種処理は第1実施形態と同一であり、図8〜図10の処理についても第1実施形態と同様の処理が行われるようになっている。
【0107】
また、決済端末200は、第2表示装置210b及び回動支持機構205の構成が第1実施形態と大きく異なり、それ以外は基本的に第1実施形態と同様である。よって同様の構成については同一の符号を付し、詳細な説明は省略することとする。
【0108】
図11に示すように、本実施形態の決済端末200も、操作者によって把持されつつ操作される装置本体2が設けられ、この装置本体2に、第1実施形態と同様の光学的読取手段と無線通信手段とが設けられている。
【0109】
また、図11、図12に示すように、本実施形態の決済端末200も、第1表示装置210aと第2表示装置210bとが設けられており、図11のように、第1表示装置210aは、装置本体2において表示領域の外面261を露出させた形態で固定され、図12のように、第2表示装置210bは、装置本体2に対して変位可能に構成されている。具体的には、第2表示装置210bは、装置本体2の外壁面に隣接して収まる第1位置(図11、図14)と、表示領域の外面271を操作者側とは異なる対面者側に向かせる第2位置(図12、図15)と、で変位する構成をなしており、このような変位を実現するための回動支持機構205が設けられている。回動支持機構205は、「変位手段」の一例に相当している。
【0110】
図11、図13に示すように、本実施形態の決済端末200では、装置本体2に設けられた複数の操作ボタン11aをカバーするボタンカバー220が設けられており、第2表示装置210bは、このボタンカバー220の裏面側(即ち、図11のようにボタンカバー220が操作ボタン11aをカバーしたときに隠れる側)に設けられている。ボタンカバー220は、板状に構成され且つ外形が矩形状に構成されたカバーフレーム223を備えると共に、このカバーフレーム223の裏面側に第2表示装置210bが保持されている。また、ボタンカバー220には、幅方向両側に対をなして配置されるアーム部材205a、205bが設けられており、これらアーム部材205a、205bの一端側(カバーフレーム223とは反対側)が回動可能に支持されている。
【0111】
図14、図15に示すように、回動支持機構205は、アーム部材205a、205bと一体的に構成された幅方向に延びる軸272と、この軸272を回動可能に支持する軸受(図示略)とによって構成されており、アーム部材205a、205bを、幅方向の中心軸270を中心として回動させる構成をなしている。なお、軸272には、第1実施形態と同様の第1ギア81が設けられ、第1実施形態と同様の第2ギア82、第3ギア83(図6)を介してアクチュエータ12の駆動力が伝達されるようになっている。なお、図14、図15では、第2ギア82、第3ギア83、アクチュエータ12の図示を省略している。
【0112】
図11、図14のように、第2表示装置210bは、第1位置において、装置本体2の外壁に沿って収められ、このとき、表示領域の外面271が下方側に向くようになっている。一方、図12、図15のように、第2位置においては、表示領域の外面271が装置本体2の長手方向一方側(即ち前方側)に向くように構成されている。
【0113】
なお、本実施形態でも、装置本体2の長手方向を前後方向としてX軸で表し、第1表示装置210aの表示領域の外面261と直交する方向を上下方向としてZ軸で表している。また、これら前後方向及び上下方向と直交する方向を幅方向とし、Y軸で表している。
【0114】
「第2表示装置210bの表示領域の外面271が装置本体2の長手方向一方側に向く」とは、第2表示装置210bの表示領域の外面271と直交する方向が装置本体2の長手方向と平行となるように配置される構成であってもよく、図15のように、第2表示装置210bの表示領域の外面271と直交する方向F1が長手方向(即ちX軸方向)に対してやや傾斜するように配置される構成であってもよい。
【0115】
図11、図14のように、本実施形態では、ボタンカバー220のカバーフレーム223によって覆われる領域が装置本体2の後端寄りの領域となっており、回動支持機構205の回動中心軸270が装置本体2の前端寄りの領域となっており、中心軸270の位置から後端寄りに配置されるカバーフレーム223の位置までアーム部材205a、205bが架け渡されている。アーム部材205a、205bは、装置本体2のほぼ半分程度の長さで構成されており、図11から図13の状態に変化し、さらに図12の状態に至るようにアーム部材205a、205bが中心軸270を中心として回転したときには、これらアーム部材205a、205bが装置本体2の前側に延出し、カバーフレーム223の裏側に設けられた第2表示装置210bが装置本体2よりも前側に配置されるようになっている。
【0116】
図11、図14に示すように、回動支持機構205は、第1位置において、第2表示装置210bを複数の操作ボタン11aをカバーする位置に配置し、当該第2表示装置210bを装置本体2の上面側の外壁に沿って収める構成をなしている。このとき、第2表示装置210bは、ボタンカバー220の裏側に配置されて外部から隠されるようになっている。
【0117】
また、図12、図15に示すように、回動支持機構205は、第2表示装置210bを第1位置から第2位置に変位させるときにボタンカバー220を反転し、第1位置において隠されていた第2表示装置210を露出させるように回動を行う。この回動により、第2表示装置210bは複数の操作ボタン11aから離間して対面者側に向くように配置され、それに伴って複数の操作ボタン11aが開放される。
【0118】
また、図12、図15のように、第2表示装置210bは、第2位置において、装置本体2の前方位置であって且つアンテナ51と対向する対向領域から外れた位置に配置されるようになっている。更に、第2表示装置210bは第2位置においてアンテナ51よりも下方位置に配置されるようになっており、このとき、第2表示装置210bの表示領域の外面271が前方側且つ上方側に向くようになっている。また、このときには、第1表示装置210aの表示領域の外面261を含んだ平面と第2表示装置210bの表示領域の外面271を含んだ平面とが鈍角で交わるように配置されるため、第1表示装置210aの表示領域の外面261を水平方向に対してわずかに傾けて操作者側に向けたとしても、第2表示装置210bの表示領域の外面271が鉛直上方や操作者側に向くようなことはなく、依然として操作者とは反対側(対面者側)に向くこととなり、操作者、対面者双方にとって見易い状態を維持できる。
【0119】
本実施形態の構成でも第1実施形態と同様の効果が得られ、更に以下のような効果も得られる。
本実施形態の決済端末200は、装置本体2の長手方向一方側を前方側としたときの、当該装置本体2の前端寄りに無線通信手段のアンテナ51が設けられているため、装置本体2の前方側に決済用メディアが配置された場合に通信を良好に行うことができる。また、第1位置において第2表示装置210bが装置本体2の外壁に沿って収められ、第2位置において、当該第2表示装置210bが装置本体2の前方位置であって且つアンテナ51と対向する対向領域から外れた位置に配置されるようになっている。このようにすると、第2表示装置210bを対面者側に向かせるときに、当該第2表示装置210bをアンテナ51と対向させないようにすることができるため、無線通信手段の読み取りが第2表示装置51によって阻害されることを効果的に抑えることができる。従って、第2表示装置210bによって対面者に対する表示を行いつつ、決済メディアとアンテナ51との通信を良好に行うことができるようになる。
【0120】
また、装置本体2に設けられた複数の操作ボタン11aをカバーするボタンカバー220が設けられ、このボタンカバー220に第2表示装置210bを配置している。このようにボタンカバー220を第2表示装置210bを配置する部品として兼用すると、第1位置において第2表示装置210bをコンパクトに収め、必要に応じて当該第2表示装置210bを変位させうる構成を、特別な部品を多く用いずに簡易に実現できる。
【0121】
また、第2表示装置210bがボタンカバー220の裏面側に設けられ、第1位置において外部から隠された構成をなしている。このようにすると、対面者に対する表示を行わないときに第2表示装置210bの表示画面等を良好に保護できる。また、対面者に対する表示を行うときにはボタンカバー220を反転させて当該第2表示装置210bを露出させることで、表示を良好に行うことができる。
【0122】
また、第2位置において、第2表示装置210bをアンテナ51よりも下方位置に配置している。このようにすると、操作者が装置本体2に対する操作を行う際に、操作者が操作しやすく且つ対面者が第2表示装置210bを見やすい配置をとりやすくなる。特に、操作者が第1表示装置210aを傾斜させながら操作を行うような場合であっても、対面者が第2表示装置210bを見やすくなり、操作者、対面者のいずれもが利用しやすい構成となる。
【0123】
[第3実施形態]
次に第3実施形態について説明する。図16は、第3実施形態に係る決済端末を例示する斜視図である。図17(a)は、図16の決済端末においてアンテナが第2のアンテナ位置に変位した状態を斜め前方側から見た斜視図である。図17(b)は、図16の決済端末においてアンテナが第2のアンテナ位置に変位した状態を斜め後方側から見た斜視図である。図18(a)は、図16の決済端末の一端部側を側方からみた状態を概略的に説明する説明図であり、図18(b)は、図18(a)の状態からアンテナが第2のアンテナ位置に変位した様子を説明する説明図である。図19は、回動変位機構とアンテナ回動変位機構とを連動させるための構成を説明する説明図である。
【0124】
なお、本実施形態では、アンテナ351を変位可能に設けた点、及び、連動機構を設けた点が第1実施形態と異なり、それ以外は第1実施形態と同様である。よって第1実施形態と同様の部分については第1実施形態と同一の符号を付して詳細な説明は省略することとする。なお、電気的構成については第1実施形態の図2、図3と同様であるので、適宜これらの図を参照して説明する。
【0125】
本実施形態に係る決済端末300は、第1実施形態と同様に、操作者によって把持されつつ操作される装置本体2を備えており、当該装置本体2内に、情報コードを光学的に読み取る情報コード読取部30(図2、図3参照)と、無線通信媒体を備えた決済用メディアを読取可能な無線タグ読取部20(図2、図3参照)とが設けられている。なお、本実施形態でも、情報コード読取部30及び制御部8が「光学的読取手段」の一例に相当し、無線タグ読取部20及び制御部8が「無線通信手段」の一例に相当する。
【0126】
また、装置本体2には、第1実施形態と同一の第1表示装置10a(第1表示手段)及び第2表示装置10b(第2表示手段)が設けられている。第2表示装置10bは、第1実施形態と同一の回動支持機構5に回動可能に支持されており、この回動支持機構5に案内されることで、図16、図18(a)に示す第1位置(第1の回動位置)と、図17、図18(b)に示す第2位置(第2の回動位置)とで変位するようになっている。また、第1表示装置10aは、第1実施形態と同様に、装置本体2に埋設されており、第2表示装置10bが第1位置にあるときには、この第2表示装置10bと上下に重なった状態で配置され(図16、図18(a)参照)、第2表示装置10bが第2位置に変位したときには、上方側が開放されて表示領域の外面61が外部に露出する構成をなしている(図17、図18(b)参照)。
【0127】
本実施形態の決済端末300では、更に、無線通信を行うためのアンテナ351が、装置本体2に対して変位可能とされている。このアンテナ351は、樹脂材料などからなる板状のアンテナ保持部353内に収容されており、このアンテナ保持部353と一体的に変位する構成をなしている。
【0128】
図16〜図18に示すように、アンテナ保持部353は、後述するアンテナ回動支持機構305に回動可能に支持されており、その回動に応じて装置本体2の長手方向(X軸方向)に対する傾斜が変更されるようになっている。
【0129】
アンテナ回動支持機構305は、アンテナ351が保持された板状のアンテナ保持部353を、装置本体2の幅方向(Y軸方向)に延びる中心軸(図16では、中心軸を一点鎖線306にて概略的に例示)を中心として回動させる機構であり、アンテナ351の位置を、第1のアンテナ位置(図16、図18(a))と第2のアンテナ位置(図17、図18(b))とで切り替える機能を有している。なお、本実施形態では、アンテナ回動支持機構305が「アンテナ変位手段」の一例に相当している。
【0130】
このアンテナ回動支持機構305は、アンテナ保持部353に設けられた幅方向に延びる軸354と、この軸354を回動可能に保持する軸受(図示略)によって構成されている。図18に示すように、アンテナ保持部353は、装置本体2の長手方向一方寄りに配置されており、軸354は、このアンテナ保持部353の一端側において幅方向に延びる形態で設けられている。また、軸354を保持する軸受(図示略)は、装置本体2の前端部に設けられており、これにより、装置本体2の前端部の所定位置を中心軸306としてアンテナ保持部353が回動するようになっている。
【0131】
また、アンテナ回動支持機構305は、第1のアンテナ位置(図16、図18(a)参照)において、アンテナ351を、装置本体2に近接させて収めている。このアンテナ351は、板状に構成されるアンテナ保持部353の板面方向に沿って配置されており、アンテナ回動支持機構305は、アンテナ保持部353の一方の板面353aを装置本体2の前面部の外壁面2aと対向させるようにアンテナ保持部353を配置することで、アンテナ351を、装置本体2の前面部の外壁に沿って収めている。
【0132】
また、第2のアンテナ位置(図17、図18(b)参照)においては、アンテナ351を、第1のアンテナ位置のときよりも装置本体2から延出させている。具体的には、アンテナ保持部353を、装置本体2の長手方向一端部よりも更に前方側に突出させるように配置することで、アンテナ351を、装置本体2の長手方向一方側(前方側)に延出させている。
【0133】
また、本実施形態では、図18、図19に示すように、アンテナ351は、アクチュエータ12の駆動力を受けて駆動するようになっている。図19の例では、アクチュエータ12、第1ギア81、第2ギア82、第3ギア83は第1実施形態と同一の構成となっており、更に、第2ギア82と同軸で一体的に回転するギア380が設けられている。このギア380は、当該ギア380の回転軸と直交する回転軸を中心として回転するギア381に駆動力を伝達している。なお、図19の例では、ギア380及びギア381がかさ歯車によって構成されているが、90°の動力伝達を行いうる構成であれば他種の歯車伝達であってもよい。
【0134】
ギア380から駆動力を受けるギア381には、軸383を介してギア382が連結され、ギア381とギア382とが同一の回転軸を中心として回転するようになっている。このギア382はウォームとして構成され、ギア384と共にウォームホイール構造を構成しており、ギア382の回転に応じてギア384が幅方向(Y軸方向)の回転軸を中心として回転するようになっている。また、ギア384には、アンテナ保持部353の軸354に連結されたギア385が隣接しており、ギア384からギア385に動力が伝達され、このギア385の回転に応じて軸354が回転することで、アンテナ保持部353が中心軸306を中心として回動するようになっている。
【0135】
このように構成されているため、アクチュエータ12の駆動に応じて回動変位機構5とアンテナ回動変位機構305とがいずれも駆動し、回動変位機構5による第2表示装置10bの変位動作と、アンテナ回動変位機構305によるアンテナ351の変位動作とが連動するようになっている。
【0136】
本実施形態の構成によれば、第1実施形態と同様の効果を奏し、更に以下のような効果をも奏する。
本実施形態の決済端末300は、アンテナ351を第1のアンテナ位置と第2のアンテナ位置とで変位させるアンテナ回動変位機構305が設けられており、第1のアンテナ位置においてアンテナ351を装置本体2に近接させて収め、第2のアンテナ位置においてアンテナ351を装置本体2から延出させている。この構成では、アンテナ351を第1のアンテナ位置とすることにより、当該アンテナ351を装置本体2に近接させて収めることができ、端末全体をよりコンパクトにすることができる。一方、必要に応じてアンテナ351を第2アンテナ位置とすることで、端末形態を通信しやすい形態(即ち、対面者が決済用メディアをアンテナに翳しやすい形態)に変化させることができ、通信時の利便性を効果的に高めることができる。
【0137】
また、本実施形態では、第2のアンテナ位置において、アンテナ351を、装置本体2の長手方向一方側(前方側)に延出させている。このようにすると、装置本体2の長手方向一方側に対面者が位置するように当該装置本体2を配置して無線通信を行おうとしたときに、アンテナ351をより対面者に近づけることができ、これにより、対面者がより無線通信を行いやすくなる。
【0138】
また、本実施形態では、回動変位機構5による第2表示装置10bの変位動作と、アンテナ回動変位機構305によるアンテナ351の変位動作とが連動している。このようにすると、対面者との無線通信に際し、第2表示装置10bとアンテナ351とを同時に変位させることができる。従って、それぞれを別個に操作して個別に準備する手間、時間を省略でき、準備作業の簡易化、短時間化を図ることができる。
【0139】
また、本実施形態では、アンテナ351が板状のアンテナ保持部353の内部に収容され、このアンテナ保持部353の傾斜を変更し得るように構成されている。このようにすると、ユーザが自己の使用に適した傾斜角度を選択できるようになるため、ユーザの利便性を一層高めることができる。
【0140】
[第4実施形態]
次に第4実施形態について説明する。
図20は、第4実施形態に係る決済端末を例示する斜視図である。図21は、図20の決済端末において第2表示装置が第2位置に移動した状態を示す斜視図である。図22は、図20の決済端末を概略的に示す側面図である。図23は、第2表示装置が第2位置に移動した状態を概略的に示す側面図である。
【0141】
なお、本実施形態では、アンテナ51に代えてアンテナ451を設けた点が第2実施形態と異なりそれ以外は第2実施形態と同様である。よって同様の部分については第2実施形態と同一の符号を付し、詳細な説明は省略することとする。また、電気的構成については第1実施形態の図2、図3と同様であるので、適宜これらの図を参照して説明する。
【0142】
本実施形態に係る決済端末400も、操作者によって把持されつつ操作される装置本体2を備えており、当該装置本体2内に、情報コードを光学的に読み取る情報コード読取部30(図2、図3参照)と、無線通信媒体を備えた決済用メディアを読取可能な無線タグ読取部20(図2、図3参照)とが設けられている。なお、本実施形態でも、情報コード読取部30及び制御部8が「光学的読取手段」の一例に相当し、無線タグ読取部20及び制御部8が「無線通信手段」の一例に相当する。
【0143】
また、図20、図21に示すように、本実施形態の決済端末400も、第1表示装置210aと第2表示装置210bとが設けられており、図20のように、第1表示装置210aは、装置本体2において表示領域の外面261を露出させた形態で固定され、図21のように、第2表示装置210bは、装置本体2に対して変位可能に構成されている。第2表示装置210bは、装置本体2の外壁面に隣接して収まる第1位置(図20、図22)と、表示領域の外面271を操作者側とは異なる対面者側に向かせる第2位置(図21、図23)とに切り替わる構成をなしており、このような変位を実現するための回動支持機構205が設けられている。なお、回動支持機構205は、「変位手段」の一例に相当している。
【0144】
図20、図22に示すように、決済端末400には、装置本体2に設けられた複数の操作ボタン11a(図13)をカバーするボタンカバー220が設けられており、第2表示装置210bは、このボタンカバー220の裏面側(即ち、図20のようにボタンカバー220が操作ボタン11aをカバーしたときに隠れる側)に設けられている。ボタンカバー220は、板状に構成され且つ外形が矩形状に構成されたカバーフレーム223を備えると共に、このカバーフレーム223の裏面側に第2表示装置210bが保持されている。また、ボタンカバー220には、幅方向両側に対をなして配置されるアーム部材205a、205bが設けられており、これらアーム部材205a、205bの一端部(カバーフレーム223とは反対側の端部)が回動可能に支持されている。
【0145】
回動支持機構205は、第2実施形態と同様に構成され、アーム部材205a、205bと一体的に構成された幅方向に延びる軸272と、この軸272を回動可能に支持する軸受(図示略)とによって構成されており、アーム部材205a、205bを、幅方向の中心軸270を中心として回動させる構成をなしている。軸272には、第1実施形態と同様の第1ギア81が設けられ、第1実施形態と同様の第2ギア82、第3ギア83(図6)を介してアクチュエータ12の駆動力が伝達されるようになっている。なお、図22、図23では、第2ギア82、第3ギア83、アクチュエータ12の図示を省略している。
【0146】
更に、本実施形態の決済端末400は、アンテナ451が上記ボタンカバー220のカバーフレーム223に設けられており、ボタンカバー220を変位させるための回動支持機構205が、「ボタンカバー変位手段」としてだけでなく、「アンテナ変位手段」としても機能している。アンテナ451は、ボタンカバー220内において、第2表示装置210bの周囲に環状に埋設されており、ボタンカバー220の一方の外面223a側に寄った状態で配置されている。
【0147】
回動支持機構205は、図20、図22のような回動状態のときに、複数の操作ボタン11a(図13)をカバーするようにボタンカバー220を配置しており、このとき、カバーフレーム223に保持されたアンテナ451は、装置本体2に近接して収まる位置(第1のアンテナ位置)に維持される。アンテナ451が第1のアンテナ位置にあるときには、カバーフレーム223におけるアンテナ451を保持する側の外面223aは下方側に向くようになっている。
【0148】
また、回動支持機構205は、図21、図23のような回動状態のときに、ボタンカバー220を複数の操作ボタン11a(図13)から離間させ、装置本体2から延出させており、このとき、アンテナ451は、装置本体2から延出した位置(第2のアンテナ位置)に維持されるようになっている。第2のアンテナ位置のときには、アンテナ451は、装置本体2の長手方向一方側(前方側)に延出し、このとき、カバーフレーム223におけるアンテナ451を保持する側の外面223aは装置本体2の長手方向に対して傾斜して配置され、当該外面223aが長手方向一方側(即ち前方側)に向くようになっている。
【0149】
また、回動支持機構205は、第2表示装置210bを第1位置から第2位置に変位させるときにボタンカバー220を反転し、第1位置において隠されていた第2表示装置210を露出させるように回動を行う。この回動により、第2表示装置210bは複数の操作ボタン11aから離間して対面者側に向くように配置され、それに伴って複数の操作ボタン11aが開放される。第2表示装置210bが第1位置にあるとき(即ち、アンテナ451が第1のアンテナ位置にあるとき)に外部から隠されていた外面223aは、ボタンカバー220の反転により、装置本体2の長手方向一方側(前方側)に移動すると共に外部に露出するようになっている。
【0150】
本実施形態の決済端末400は、第3実施形態と同様の効果が得られ、更に、以下のような効果も得られる。
本実施形態の決済端末400は、アンテナ451がボタンカバー220に設けられており、第1アンテナ位置のときには、ボタンカバー220が、複数の操作ボタンをカバーする形態で配置され、第2アンテナ位置のときには、ボタンカバー220が、複数の操作ボタンから離間して装置本体2から延出するように構成されている。このようにすると、ボタンカバー220を、アンテナ451を保持する部品として兼用することができ、部品点数削減、装置小型化等を図りやすくなる。また、ボタンカバー220の開放操作がアンテナ451の延出操作に直結するため、ボタンカバー220とアンテナ保持部品とを別個に操作して個別に準備する手間、時間を省略でき、準備作業の簡易化、短時間化を図ることができる。
【0151】
また、本実施形態では、アンテナ451が、ボタンカバー220の裏面側に設けられている。このようにすると、第1のアンテナ位置において、アンテナ451をボタンカバー220の大部分で覆うことができ、アンテナ付近の保護を強化できる。一方、ボタンカバー220の反転により、アンテナ451を第2のアンテナ位置に変位させ、且つボタンカバー220におけるアンテナ451が設けられた側の外面223a(即ち裏面)を外部に露出させている。このようにすると、反転操作によって容易にアンテナ側の外面223aを露出させることができる。また、第2のアンテナ位置のときには、アンテナ451が装置本体2から延出しつつアンテナ側の外面223aが露出した形態となるため、対面者がより通信しやすい環境となり、通信性を効果的に強化できる。
【0152】
また、本実施形態では、ボタンカバー220を、第2表示装置210bを配置する部品として兼用している。このようにすると、第1位置において第2表示装置210bをコンパクトに収め、必要に応じて当該第2表示装置210bを変位させうる構成を、特別な部品を多く用いずに簡易に実現できる。
また、このような兼用が図られたボタンカバー220を、更に、アンテナ保持部品としても兼用しており、部品点数削減、装置小型化等を一層図りやすくなる。また、ボタンカバー220の開放操作が、第2表示装置210bの変位操作及びアンテナ451の延出操作に直結するため、ボタンカバー220、第2表示装置210b、及びアンテナ保持部品をそれぞれ別個に操作して個別に準備する手間、時間を大幅に省略でき、準備作業の簡易化、短時間化が一層期待できる。
更に、アンテナ451が、ボタンカバー220において第2表示装置210bの周囲に設けられている。このようにすると、第2表示装置210bの周囲のスペースを利用してアンテナ451を効率的に配置することができる。また、対面者が無線通信を行う際に、第2表示装置210bを目印にすることができるようになるため、決済メディアを翳す位置を迅速且つ的確に特定しやすくなり、ひいては無線通信の際の操作性を格段に高めることができる。
【0153】
[第5実施形態]
次に第5実施形態について説明する。
図24(a)は、第5実施形態に係る決済端末を例示する側面図であり、図24(b)は、図24(a)の決済端末において、ボタンカバーを開放した状態を示す側面図である。図24(c)は、図24(b)の状態から、保持部材を延出させた状態を示す側面図であり、図24(d)は、図24(c)の状態から、更にアンテナ保持部を延出させた状態を示す側面図である。図25(a)は、図24(b)の状態(ボタンカバーを開放した状態)を示す斜視図であり、図25(b)は、図25(c)の状態(保持部材を延出させた状態)を示す斜視図であり、図25(c)は、図25(d)の状態(アンテナ保持部を延出させた状態)を示す斜視図である。図26(a)は、保持部材及びアンテナ保持部が折り畳まれた状態を示す説明図であり、図26(b)は、保持部材及びアンテナ保持部が延出した状態を示す説明図である。
【0154】
本実施形態の決済端末500は、ボタンカバー部分のみが第4実施形態と異なり、それ以外は第4実施形態と同一である。よって、第4実施形態と同一の構成については第4実施形態の決済端末400と同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0155】
本実施形態でも、装置本体2に設けられた複数の操作ボタンをカバーするボタンカバー520が設けられており、このボタンカバー520は、第4実施形態と同様の回動支持機構205により回動可能に支持されている。アンテナ551は、このボタンカバー520に保持されており、図24のように、ボタンカバー520が複数の操作ボタン11a(図1参照、図24等では図示略)をカバーする形態で配置されることで、アンテナ551が、装置本体2に近接する位置(第1のアンテナ位置)に配置される。また、図24(b)〜(d)、図25(a)〜(c)のように、回動支持機構205による回動動作により、ボタンカバー520が変位され、当該ボタンカバー520が複数の操作ボタン11a(図1参照、図24等では図示略)から離間して装置本体2から延出した形態で配置されることで、アンテナ551が装置本体2から離れた位置(第2のアンテナ位置)に配置されるようになっている。第2のアンテナ位置では、アンテナ551は、装置本体2の長手方向一方側(前方側)に延出しており、より詳しくは、前方且つ斜め下方側に延出して配置されるようになっている。
【0156】
一方、本実施形態の決済端末500は、ボタンカバー520のカバーフレーム部分が第4実施形態のボタンカバー220と異なっている。図24の例では、ボタンカバー520において、アンテナ551が保持されるアンテナ保持部521と、このアンテナ保持部521を保持する保持部材522とが設けられ、更に、アンテナ保持部521を保持部材522に対して相対的に変位させる第1変位機構530が設けられている。
【0157】
第1変位機構530は、「第1の変位手段」の一例に相当するものであり、アンテナ保持部521を、保持部材522に近接する保持部収納位置(図24(c)、図25(b)参照))と、当該保持部収納位置のときよりも保持部材522から延出する保持部延出位置(図24(d)、図24(c)参照)とで変位させる構成をなしている。図24〜図26の例では、第1変位機構530が、アンテナ保持部521を保持部材522に対してスライドさせるスライド機構によって構成されており、図25、図26に示すように、アンテナ保持部521から延出する長手状の延出部531と、保持部材522に形成された溝部532とによって構成されている。なお、延出部531と溝部532とはある程度の摩擦力が生じる形態で嵌合しており、アンテナ保持部521が保持部材522から離間した位置(図25(c)、図26(b)参照)や、アンテナ保持部521が保持部材に近接した位置(図25(a)(b)、図26(a)参照)において前記摩擦力によって位置保持できるようになっている。なお、ここでは、アンテナ保持部521を変位させる「第1の変位手段」の一例としてスライド機構からなる第1変位機構530を示したが、保持部材522に対してアンテナ保持部521を接近及び離間させうる構成であれば他の機構を用いることもできる。
【0158】
更に、本実施形態に係る決済端末500は、上記アンテナ保持部521、保持部材522、及び第1変位機構530を含んだユニットを、装置本体2に近接する位置(変位手段収納位置(図24(a)参照))と、当該位置(変位手段収納位置)のときよりも装置本体2から延出する位置(変位手段延出位置)とで変位させ得る構成となっている。具体的には、第2表示装置210bを保持するボタンカバー本体520aが回動支持機構205によって回動可能とされ、さらに、このボタンカバー本体520aに対し、上記ユニット(アンテナ保持部521、保持部材522、第1変位機構530によって構成されるユニット)が第2回動支持機構540によって回動可能に取り付けられている。なお、図24〜図26では、第2回動支持機構540について簡略的に示しているが、当該第2回動支持機構540は、ボタンカバー本体520aに対して保持部材522を回動可能に取り付ける構成であればよく、例えば、ボタンカバー本体520及び保持部材522のいずれか一方に、決済端末500の幅方向を軸方向とする一対の軸部を設け、他方において当該一対の軸部をある程度の摩擦力を生じさせながら支持する一対の軸受部を設けるようにすればよい。
【0159】
この構成では、図24(a)のように第1変位機構530、アンテナ保持部521、保持部材522が装置本体2に近接して収まった状態から、図24(b)、図25(a)のようにボタンカバー本体520aを回動させ、更に、ボタンカバー本体520aに対して上記ユニット(アンテナ保持部521、保持部材522、第1変位機構530によって構成されるユニット)を回動させることで、図24(c)、図25(b)のように、アンテナ保持部521、保持部材522、第1変位機構530を、装置本体2からかなり前方に延出させることができるようになっている。
【0160】
図24(c)、図25(b)のように、上記ユニット(アンテナ保持部521、保持部材522、第1変位機構530によって構成されるユニット)が装置本体2から延出して配置されたとき、当該延出位置において、アンテナ保持部521を保持部材522に対して接近及び離間させることができ、離間させたときには、当該アンテナ保持部521を装置本体2に対してより一層前方に配置できるようになる(図24(d)、図25(c)、図26(b)参照)。
【0161】
また、図24〜図26の構成に代えて、図27〜図29の構成を用いてもよい。図27(a)は、第5実施形態の変形例を示す側面図であり、図27(b)は、図27(a)の決済端末において、ボタンカバーを開放した状態を示す側面図である。図27(c)は、図27(b)の状態から、保持部材を延出させた状態を示す側面図であり、図27(d)は、図27(c)の状態から、更にアンテナ保持部を延出させた状態を示す側面図である。図28(a)は、図27(b)の状態(ボタンカバーを開放した状態)を示す斜視図であり、図28(b)は、図27(c)の状態(保持部材を延出させた状態)を示す斜視図であり、図28(c)は、図27(d)の状態(アンテナ保持部を延出させた状態)を示す斜視図である。図29(a)は、保持部材及びアンテナ保持部が折り畳まれた状態を示す説明図であり、図29(b)は、保持部材及びアンテナ保持部が延出した状態を示す説明図である。
【0162】
図27〜図29の決済端末600は、ボタンカバー620の構成(具体的には、保持部材622及び当該保持部材622をボタンカバー本体620aに対して変位させる変位機構)のみが図24〜図26と異なり、それ以外は図24〜図26と同一である。よって同一の部分については、図24〜図26と同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0163】
図27〜図29の決済端末600でも、保持部材622がボタンカバー本体620aに保持されている。ボタンカバー本体620aは、保持部材622を保持するための構成以外は図24〜図26のボタンカバー本体520aと同様であり、図27〜図29の例は、ボタンカバー本体620aの長手方向に沿って保持部材622をスライドさせ得る点が図24〜図26の構成とは異なっている。
【0164】
図27〜図29の構成では、図27(b)(c)に示すように、保持部材622が、ボタンカバー本体620aの長手方向に沿ってスライド可能となるように保持されており、当該保持部材622が、ボタンカバー本体620aの長手方向中央付近に寄って収まる位置(保持部材収納位置:図27(b)、図28(a)参照)と、ボタンカバー本体620aの先端側から延出する位置(保持部材延出位置:図27(c)、図28(b)参照)との間でスライドするようになっている。なお、ボタンカバー本体620aに沿って保持部材622をスライドさせるための構成は、様々な構成を採用でき、例えば、ボタンカバー本体620における保持部材622との対向壁において、当該ボタンカバー本体620の長手方向に延びる溝を設けると共に、当該溝内に、保持部材622におけるボタンカバー本体620と対向する対向壁から突出する突起部を抜け止めしつつ嵌合させるようにすればよい。この場合、前記溝内を前記突起部がスライドするように構成することで、保持部材622をボタンカバー本体620aに対してスライド動作できるようになる。
【0165】
また、図27〜図29の例でも、図24〜図26の例と同様の第1変位機構530が設けられており、保持部材622に対してアンテナ保持部材521を接近及び離間させることができるようになっている(図27(c)(d)、図28(b)(c)参照)。この例では、図27(a)のように第1変位機構530、アンテナ保持部521、保持部材622が装置本体2に近接して収まった状態から、図27(b)、図28(a)のようにボタンカバー本体620aを回動させ、更に、ボタンカバー本体620aに対して上記ユニット(アンテナ保持部521、保持部材622、第1変位機構530によって構成されるユニット)をスライドさせることで、図27(c)、図28(b)のように、アンテナ保持部521、保持部材622、第1変位機構530を、装置本体2からかなり前方に延出させることができるようになっている。
【0166】
そして、図27(c)、図28(b)のように、上記ユニット(アンテナ保持部521、保持部材622、第1変位機構530によって構成されるユニット)が装置本体2から延出して配置されたとき、当該延出位置において、アンテナ保持部521を保持部材622に対して接近及び離間させることができ、離間させたときには、当該アンテナ保持部521を装置本体2に対してより一層前方に配置できるようになる(図27(d)、図28(c)、図29(b)参照)。
【0167】
以下、本実施形態の効果について述べる。
まず、本実施形態でも上記実施形態と同様の効果が得られる。即ち、アンテナ551を第1のアンテナ位置(図24(a)又は図27(a))とすることにより、当該アンテナ551を装置本体2に近接させて収めることができ、端末全体をよりコンパクトにすることができる。一方、必要に応じてアンテナ551を第2アンテナ位置(図24(b)〜(d)等、又は図27(b)〜(d)等))とすることで、端末形態を、通信しやすい形態(即ち、対面者が決済用メディアをアンテナに翳しやすい形態)に変化させることができる。このように、アンテナ形態を使用環境に適した変化させることができる。
【0168】
また、第2のアンテナ位置において、アンテナ551を、装置本体2の長手方向一方側に延出させている。このようにすると、装置本体2の長手方向一方側に対面者が位置するように当該装置本体2を配置して無線通信を行おうとしたときに、アンテナ551をより対面者に近づけることができ、これにより、対面者がより無線通信を行いやすくなる。
【0169】
更に本実施形態では、アンテナ551が、装置本体2に設けられた複数の操作ボタンをカバーするボタンカバー520、或いは620に設けられている。そして、第1アンテナ位置のときには、ボタンカバー520、620が、複数の操作ボタンをカバーする形態で配置され、第2アンテナ位置のときには、ボタンカバー520、620が、複数の操作ボタンから離間して装置本体2から延出するように構成されている。このようにすると、ボタンカバー520、620を、アンテナ551を保持する部品として兼用することができ、部品点数削減、装置小型化等を図りやすくなる。また、ボタンカバー520、620の開放操作がアンテナの延出操作に直結するため、ボタンカバー520、620とアンテナ保持部品とを別個に操作して個別に準備する手間、時間を省略でき、準備作業の簡易化、短時間化を図ることができる。
【0170】
また、本実施形態では、アンテナ保持部521にアンテナ551が収容されると共に、アンテナ保持部521を収納位置(保持部収納位置)と、延出位置(保持部延出位置)とで変位させる第1変位機構530(第1の変位手段)が設けられている。更に、この第1変位機構530を、装置本体2に近接する位置(変位手段収納位置)と、装置本体2から延出する位置(変位手段延出位置)とで変位させる第2の変位手段(第2回動支持機構540、或いはスライド機構)が設けられている。このようにすると、アンテナ551を二段階に延出させることができ、より一層遠方に配置することができるようになる。
【0171】
[第6実施形態]
次に第6実施形態について説明する。図30は、第6実施形態に係る決済端末を例示する斜視図であり、図30(a)は、アンテナ保持部が装置本体に沿って収まった状態を示す図であり、図30(b)は、アンテナ保持部を装置本体の前方に変位させた状態を示す図である。また、図30(c)は、図30(b)の状態から、アンテナ保持部の傾斜度合を変化させた状態を示す図である。また、図31は、図30の決済端末の一端部側を側方からみた状態を概略的に説明する説明図であり、図32は、回動変位機構とアンテナ変位機構とを連動させるための構成を説明する説明図である。また、図33(a)は、アンテナ保持部を装置本体の前方に変位させる様子を説明する説明図であり、図33(b)はアンテナ保持部の傾斜度合を変化させた様子を説明する説明図である。
【0172】
本実施形態は、アンテナを変位させるための構成、及び表示装置とアンテナとを連動させるための構成が第3実施形態と異なり、それ以外の構成は第3実施形態と同様である。よって第3実施形態と同様の構成については、第3実施形態と同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0173】
本実施形態の決済端末700でも、無線通信を行うためのアンテナ751が、装置本体2に対して変位可能とされている。このアンテナ751は、樹脂材料などからなる板状のアンテナ保持部753内に収容されており、このアンテナ保持部753と一体的に変位する構成をなしている。
【0174】
更に、決済端末700は、アンテナ751を変位させるためのアンテナ変位機構705を備えている。このアンテナ変位機構705は、アンテナ保持部753の両端部を支持するための一対のアーム706,707と、これら一対のアーム706、707に対してアンテナ保持部753を回動可能に取り付ける回動支持機構708と、アーム706、707と嵌合し、これらアーム706、707を案内するように設けられた溝部711、712とによって構成されている。なお、本実施形態では、アンテナ変位機構705が、「アンテナ変位手段」の一例に相当し、アンテナ751を、装置本体2に近接して収まる第1のアンテナ位置と、第1のアンテナ位置のときよりも装置本体2から延出する第2のアンテナ位置とで変位させるように機能する。
【0175】
アンテナ変位機構705は、第2のアンテナ位置において、アンテナ751を、装置本体2の長手方向一方側に延出させるように構成されるものであり、一対のアーム706、707が、装置本体2の長手方向に沿って設けられた溝部711、712に案内されて変位するように構成されている。そして、これらアーム706、707が溝部711、712に沿って変位することにより、アーム706、707、アンテナ保持部753、回動支持機構708によって構成されるユニット全体が、装置本体2の長手方向にスライド動作するようになっている。
【0176】
回動支持機構708は、アンテナ保持部753の両側部から突出する一対の軸部と、これら軸部を受けるように各アーム706、707に形成された軸受部とによって構成されており、図30(a)、図31のように、アンテナ保持部753が装置本体2に近接して収まるときには、板状のアンテナ保持部753が装置本体2の長手方向に対して傾斜した状態で配置され、アンテナ保持部753が装置本体2から離間したときには、図30(b)(c)、図33(b)のようにアンテナ保持部753がアーム706、707に対して回動し、アンテナ保持部753の板面がアーム706、707の方向(即ち装置本体2の長手方向)に沿って配置されるようになっている。
【0177】
また、本実施形態の決済端末700では、図31、図32に示すように、第1実施形態と同様のアクチュエータ12が設けられており、このアクチュエータ12からの駆動力を、第3ギア83、第2ギア82、第1ギア81に伝達し、第1ギア81が固定される軸72及び第2表示装置10bを回転駆動するように構成されている。更に、決済端末700では、アクチュエータ12によって駆動されることによる第2表示装置10bの変位動作と、アンテナ変位機構705(アンテナ変位手段)によるアンテナ751の変位動作とを連動させるための、歯車伝達機構715が設けられている。
【0178】
このアンテナ変位機構715は、図31、図32に示すように、第3実施形態と同様のギア380、ギア381、軸383、ギア382が設けられている。ギア380は、第2ギア82と同軸で一体的に回転するようになっており、更に、当該ギア380の回転軸と直交する回転軸を中心として回転するギア381に駆動力を伝達している。ギア380から駆動力を受けるギア381には、軸383を介してギア382が連結され、ギア381とギア382とが同一の回転軸を中心として回転するようになっている。このギア382はウォームとして構成され、ギア784と共にウォームホイール構造を構成しており、ギア382の回転に応じてギア784が幅方向(Y軸方向)の回転軸を中心として回転するようになっている。また、ギア784には、ギア785が一体的に固定されており、ギア784の回転に応じてギア785が同軸で回転し、このギア785に隣接するラック786が装置本体2の長手方向(X軸方向)に直線的に移動するようになっている。ラック786はアーム707と一体的に構成されているため、ラック786がスライド動作することで、アーム706、707及びアンテナ保持部753が一体的にスライド動作することになる。
【0179】
[他の実施形態]
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0180】
上記実施形態では、第2表示装置10bの移動タイミングとして、情報コードの読取時、決済用メディアの読取時、決済用メディアに対する決済処理の開始時、決済用メディアに対する決済処理の終了時、の少なくともいずれかの時を任意に設定できるようにしていたが、このような任意設定を行わない構成であってもよい。例えば、制御部8が、情報コードの読取時に生成される情報コード読取信号(例えばトリガスイッチ7の操作信号)、決済用メディアの読取時に生成されるメディア読取信号(例えば、操作信号やメディア検出信号)、決済用メディアに対する決済処理の開始信号(例えば、S24(図10)の処理開始信号、或いは決済処理の開始を指示する所定操作によって発生する操作信号等)を取得したときに、設定にかかわらず自動的に第2位置に変位させるようにしてもよい。また、上記実施形態では、決済処理の終了時に第2表示装置10bを第1位置に格納するか否かを任意に設定できるようにしていたが、制御部8が決済処理の終了信号(例えば、S25の表示処理の終了信号、或いは決済処理の終了を確定させる所定操作によって発生する操作信号等)を取得したときに、設定にかかわらず自動的に格納されるようにしてもよい。
【0181】
上記実施形態では、第2表示装置がアクチュエータによって駆動される構成を例示したが、このような駆動手段を設けずに、第2表示装置が手動のみによって変位する構成であってもよい。
【0182】
上記実施形態では、アンテナ保持部がアクチュエータによって駆動される構成を例示したが、このような駆動手段を設けずに、アンテナ保持部が手動のみによって変位する構成であってもよい。
【0183】
なお、第3、第6実施形態では、第2のアンテナ位置において、アンテナが装置本体2の長手方向一端部(前端部)の前方に配置される例を示したが、装置本体2の長手方向前方にアンテナを延出させる例はこれに限られず、例えば、図34、図35のような構成を用いてもよい。
図34、図35の決済端末800は、アンテナ851、アンテナ保持部853、及びアンテナ保持部853を変位させる機構以外は、第1実施形態と同様であり、この例では、アンテナ851が板状に構成されるアンテナ保持部853の内部に収容され、図34(a)(b)、図35(a)(b)のようにアンテナ保持部853が装置本体2に対して接近及び離間することで、アンテナ851が装置本体2に近接して収まる位置(第1のアンテナ位置:図34(a)、図35(a)参照))と、装置本体2の長手方向一方(前方)に離間した位置(第2のアンテナ位置:図34(b)、図35(b)参照)とで変位するようになっている。また、アンテナ保持部853には、一対のアーム806の一端側がそれぞれ回動可能に取り付けられており、更に各アーム806の他端側が装置本体2に回動可能に取り付けられている。この構成では、図35(a)(b)に示すように、各アーム806が、装置本体2に対し、幅方向(Y軸方向)の回転軸を中心として回動するようになっており、各アーム806が装置本体2に対して回動することで、各アーム806の先端部が、装置本体2に近接する位置(図35(a)参照))と、装置本体2から遠ざかる位置(図35(b)参照)とで変位するようになっている。また、各アーム806の先端部に取り付けられたアンテナ保持部853は、各アーム806に対し、幅方向(Y軸方向)の回転軸を中心として回動するようになっており、図35(b)のように装置本体2から遠ざかった位置で、装置本体2の長手方向に対するアンテナ保持部853の傾斜角度を変更できるようになっている。
【符号の説明】
【0184】
1,200,300,400,500,600,700,800…決済端末
2…装置本体
5,205…回動支持機構(変位手段,アンテナ変位手段、ボタンカバー変位手段)
8…制御部(光学的読取手段、無線通信手段、駆動制御手段)
11a…操作ボタン
12…アクチュエータ(駆動手段)
10a,210a…第1表示装置(第1表示手段)
10b,210b…第2表示装置(第2表示手段)
20…無線タグ読取部(無線通信手段)
30…情報コード読取部(光学的読取手段)
51,351,451,551,751,851…アンテナ
61…表示領域の外面(第1表示手段の表示領域の外面)
71…表示領域の外面(第2表示手段の表示領域の外面)
220,520,620…ボタンカバー
305…アンテナ回動支持機構(アンテナ変位手段)
353,521,753,853…アンテナ保持部
522,622…保持部材
530…第1変位機構(アンテナ変位手段、第1の変位手段)
540…第2回動支持機構(アンテナ変位手段、第2の変位手段)
721…アンテナ変位機構(アンテナ変位手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作者によって把持されつつ操作される装置本体を備え、当該装置本体に、情報コードを光学的に読み取る光学的読取手段と、無線通信媒体を備えた決済用メディアを読取可能な無線通信手段と、が設けられた決済端末であって、
前記装置本体に設けられる第1表示手段と、
前記装置本体に対して変位可能に構成された第2表示手段と、
前記第2表示手段を、前記装置本体に収まる第1位置と、当該第2表示手段の表示領域の外面を前記操作者側とは異なる対面者側に向かせる第2位置と、で変位させる変位手段と、
を備え、
前記第1表示手段は、少なくとも前記第2表示手段が前記第2位置にあるときに前記操作者に対する表示を行い、
前記第2表示手段は、前記第2位置において前記対面者に対する表示を行うことを特徴とする決済端末。
【請求項2】
前記変位手段を駆動する駆動手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載の決済端末。
【請求項3】
前記駆動手段を制御する駆動制御手段を備え、
前記駆動制御手段は、所定の制御信号が発生するときに前記第2表示手段を前記第1位置又は前記第2位置に移動させるように前記駆動手段を制御することを特徴とする請求項2に記載の決済端末。
【請求項4】
前記所定の制御信号は、前記情報コードの読取時に生成される情報コード読取信号、前記決済用メディアの読取時に生成されるメディア読取信号、前記決済用メディアに対する決済処理の開始信号、前記決済用メディアに対する決済処理の終了信号、の少なくともいずれかであることを特徴とする請求項3に記載の決済端末。
【請求項5】
前記所定の制御信号は、前記装置本体に設けられた操作ボタンの操作に応じて生成される操作信号であることを特徴とする請求項3に記載の決済端末。
【請求項6】
前記第2表示手段の表示を制御する表示制御手段を備え、
前記表示制御手段は、前記第2表示手段内での表示の向きを、前記第1位置に配置される場合と、前記第2位置に配置される場合とで変更する表示制御を行うことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の決済端末。
【請求項7】
前記第2表示手段は、前記第1位置に配置されたとき、前記第1表示手段を覆うと共に当該第2表示手段の表示領域の外面を外部に露出させる重畳構成をなし、
前記第2表示手段が前記第1位置に配置されたときに、前記第1表示手段による表示が停止され、前記第2表示手段によって前記操作者に対する表示が行われることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の決済端末。
【請求項8】
前記第2表示手段は、前記装置本体の長手方向一方寄りの領域に変位可能に取り付けられており、
前記変位手段は、前記第1位置において、前記第2表示手段を前記装置本体の外壁に沿って収め、かつ前記第2位置において、前記第2表示手段を、当該第2表示手段の表示領域の外面が前記長手方向一方側に向くように配置することを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の決済端末。
【請求項9】
前記無線通信手段のアンテナは、前記装置本体の長手方向一方側を前方側としたときの、当該装置本体の前端寄りに設けられており、
前記変位手段は、前記第1位置において、前記第2表示手段を前記装置本体の外壁に沿って収め、前記第2位置において、前記第2表示手段を前記装置本体の前方位置であって且つ前記アンテナと対向する対向領域から外した位置に配置することを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の決済端末。
【請求項10】
前記第2表示手段は、前記装置本体に設けられた複数の操作ボタンをカバーするボタンカバーに設けられており、
前記変位手段は、前記第1位置において、前記第2表示手段を、複数の前記ボタンをカバーする位置に配置し、前記第2位置において、前記第2表示手段を複数の前記ボタンから離間させて前記対面者側に向かせることで、複数の前記ボタンを開放することを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の決済端末。
【請求項11】
前記第2表示手段は、前記ボタンカバーの裏面側に設けられ、前記第1位置において外部から隠された構成をなしており、
前記変位手段は、前記第2位置において、前記第1位置に対して前記ボタンカバーを反転し、前記第2表示手段を露出させることを特徴とする請求項10に記載の決済端末。
【請求項12】
前記変位手段は、前記第2位置において、前記第2表示手段を、前記第1表示手段の表示領域の外面が面する側を上方側としたときの前記アンテナよりも下方位置に配置することを特徴とする請求項1から請求項11のいずれか一項に記載の決済端末。
【請求項13】
前記無線通信手段のアンテナを、第1のアンテナ位置と、前記1のアンテナ位置とは異なる第2のアンテナ位置とで変位させるアンテナ変位手段を備え、
前記アンテナ変位手段は、
前記第1のアンテナ位置において、前記アンテナを、前記装置本体に近接させて収め、
前記第2のアンテナ位置において、前記アンテナを、前記第1のアンテナ位置のときよりも前記装置本体から延出させることを特徴とする請求項1から請求項12のいずれか一項に記載の決済端末。
【請求項14】
前記アンテナ変位手段は、前記第2のアンテナ位置において、前記アンテナを、前記装置本体の長手方向一方側に延出させることを特徴とする請求項13に記載の決済端末。
【請求項15】
前記変位手段による前記第2表示手段の変位動作と、前記アンテナ変位手段による前記アンテナの変位動作とが連動することを特徴とする請求項13又は請求項14に記載の決済端末。
【請求項16】
前記アンテナは、前記装置本体に設けられた複数の操作ボタンをカバーするボタンカバーに設けられており、
前記アンテナ変位手段は、前記操作ボタンカバーを変位させるボタンカバー変位手段を有してなり、
前記ボタンカバー変位手段は、
前記ボタンカバーを、複数の前記操作ボタンをカバーする形態で配置することで、前記アンテナを前記第1のアンテナ位置に配置し、
前記ボタンカバーを、複数の前記ボタンから離間させて前記装置本体から延出させることで、前記アンテナを前記第2のアンテナ位置に配置することを特徴とする請求項13から請求項15のいずれか一項に記載の決済端末。
【請求項17】
前記アンテナは、前記ボタンカバーの裏面側に設けられており、
前記ボタンカバー変位手段は、前記アンテナが前記第1のアンテナ位置にあるときの前記ボタンカバーを反転することで、前記アンテナを前記第2のアンテナ位置に変位させ、前記ボタンカバーにおける前記アンテナが設けられた側の外面を外部に露出させることを特徴とする請求項16に記載の決済端末。
【請求項18】
前記第2表示手段は、前記ボタンカバーに設けられており、
前記変位手段及び前記アンテナ変位手段がいずれも、前記ボタンカバーを変位させる前記ボタンカバー変位手段によって兼用されており、
前記ボタンカバー変位手段は、
前記ボタンカバーを、複数の前記操作ボタンをカバーする位置に配置することで、前記第2表示手段を前記第1位置に配置すると共に、前記アンテナを前記第1のアンテナ位置に配置し、
前記ボタンカバーを、複数の前記操作ボタンから離間させて前記装置本体から延出させることで、前記第2表示手段を前記第2位置に配置すると共に、前記アンテナを前記第2のアンテナ位置に配置する構成をなしており、
更に、前記アンテナは、前記ボタンカバーにおいて、前記第2表示手段の周囲に設けられていることを特徴とする請求項16又は請求項17に記載の決済端末。
【請求項19】
前記アンテナ変位手段は、
前記アンテナが収容されるアンテナ保持部と、
前記アンテナ保持部を保持する保持部材を有すると共に、前記アンテナ保持部を、前記保持部材に近接する保持部収納位置と、当該保持部収納位置のときよりも前記保持部材から延出する保持部延出位置とで変位させる第1の変位手段と、
前記第1の変位手段を、前記装置本体に近接する変位手段収納位置と、当該変位手段収納位置のときよりも前記装置本体から延出する変位手段延出位置とで変位させる第2の変位手段と、
を備え、
前記第1の変位手段が前記装置本体から延出した前記変位手段延出位置において、更に前記アンテナ保持部が延出可能とされていることを特徴とする請求項13から請求項18のいずれか一項に記載の決済端末。
【請求項20】
前記アンテナは板状のアンテナ保持部内に収容されており、
前記アンテナ変位手段は、前記装置本体の長手方向に対する前記アンテナ保持部の傾斜を変更可能に構成されていることを特徴とする請求項13から請求項19のいずれか一項に記載の決済端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【公開番号】特開2010−61633(P2010−61633A)
【公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−9020(P2009−9020)
【出願日】平成21年1月19日(2009.1.19)
【出願人】(501428545)株式会社デンソーウェーブ (1,155)
【Fターム(参考)】