説明

沈砂し渣分離処理装置

【課題】 バキュームダンパーからの投入状況に拘らず沈砂とし渣の分離が非常に効率的に行われるようにした沈砂し渣分離処理装置を提供すること。
【解決手段】 上部を開放状とし下部に分離砂掻揚装置を備えた本体槽と、上下開放状をなし内部に主スクリーンを備えるとともに振動受部で支持されて振動発生機にて加振されるようにされた分離ケーシングとを備えてなる沈砂し渣分離処理装置において、前記主スクリーンの前段階には、分配用スクリーンが設けられて投入されるし渣混じりの沈砂を受け止めながら分離ケーシング内の横断平面方向に分配するように構成されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、沈砂し渣分離処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
バキュームダンパーにより搬送されたし渣を伴う沈砂が投入され、その沈砂をし渣と分離して回収する沈砂し渣分離処理装置がある。この装置は、上部を開放し下部に沈砂掻揚のためのスクリュー式コンベアを連通して備える本体槽を備え、この本体槽の上部内に、上下開放状でその底部が振動受部(バネ)で支持された状態の分離槽を装備したもので、この分離槽内には、水平横断状のスクリーンを装備して付属の振動発生機によりこのスクリーンを振動させることで投入されるし渣混じりの沈砂から沈砂分のみを通過分離させる一方し渣分をスクリーン上に残して分離するように構成してある。こうした振動式スクリーンを分離手段の1つとして用いた関連技術として特許文献1がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】 特開平9−192698
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記沈砂し渣分離処理装置は、スクリーンを1段階のみ備えたものであったので、沈砂とし渣の分離が今一つ効率的になされず、特に、バキュームダンパーからの投入物がスクリーン上の特定個所に集中的に堆積する傾向となるため、1段階のみのスクリーンではその堆積状態を崩すまでに時間がかかり、振動を付与しても分離の効率化を図るのに一定の限界があった。
【0005】
本発明は、こうした従来の問題を解決するためになされたもので、バキュームダンパーからの投入状況に拘らず沈砂とし渣の分離が非常に効率的に行われるようにした沈砂し渣分離処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、上部を開放状とし下部に分離砂掻揚装置を備えた本体槽と、上下開放状をなし内部に主スクリーンを備えるとともに振動受部で支持されて振動発生機にて加振されるようにされた分離ケーシングとを備えてなる沈砂し渣分離処理装置において、前記主スクリーンの前段階には、分配用スクリーンが設けられて投入されるし渣混じりの沈砂を受け止めながら分離ケーシング内の横断平面方向に分配するように構成されていることを特徴とする。
請求項2に記載された発明は、請求項1に記載のものにおいて、主スクリーンおよび分配用スクリーンの双方は、分離ケーシングが本体槽から持ち上げられた状態でし渣を落下処理可能に回転自在とされている。
【発明の効果】
【0007】
上述したように本発明は、上部を開放状とし下部に分離砂掻揚装置を備えた本体槽と、上下開放状をなし内部に主スクリーンを備えるとともに振動受部で支持されて振動発生機にて加振されるようにされた分離ケーシングとを備えてなる沈砂し渣分離処理装置において、前記主スクリーンの前段階には、分配用スクリーンが設けられて投入されるし渣混じりの沈砂を受け止めながら分離ケーシング内の横断平面方向に分配するように構成されていることを特徴とする構成されているので、バキュームダンパーからの投入状況に拘らず沈砂とし渣の分離が非常に効率的に行われるようにした沈砂し渣分離処理装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】 本発明の一実施形態を図2との関係において示す平面図。
【図2】 図1の縦断面図。
【図3】 図2のIII−III線断面図。
【図4】 図2の装置のし渣排除状態を示す断面図。
【図5】 他の実施形態を示す縦断面図。
【図6】 他の実施形態を示す縦断面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明装置の一実施形態を図1ないし図4に基づいて説明する。
これらの図において、1は段差型設置躯体で、その高いところには図2のようにバキュームダンパー2がまた低いところには本発明装置である沈砂し渣分離処理装置Aが固定設置されている。バキュームダンパー2は、車輪3付き車台4上にバキュームタンク5を備えて支点6を介して後方へダンピング可能なもので、ダンピング後にその尾端の蓋体7をシリンダで開放することで搬送してきた内部のし渣・水分混じりの沈砂を図2の矢印Bのように排出可能になっている。8はホース接続口部で、前記ダンピング以外に、この接続口部8に接続される導出ホース9を通じても沈砂を排出可能になっている。
【0010】
沈砂し渣分離処理装置Aは、架台11で支持された本体槽12を備える。本体槽12は、上部が矩形体に形成されその上端が開放状とされている。本体槽12の上部内には槽内架台13が設けられてその上に振動受部14が複数配備されている。本体槽12の下部は斜角筒状をなす案内筒部15として形成されており、その下部には分離砂掻揚装置16が連通状をなして設けられている。この掻揚装置16は、分離した砂分を掻き揚げて次の分離砂洗浄装置17へ導入することにより、砂の洗浄を行うものであり、この洗浄方式には、例えば、本出願人が先に提案した特許第3396684号、3811887号、特願2009−188144、特願2009−23098等に開示された技術が適用される。
【0011】
20は分離ケーシングで、矩形(正方形など)筒状で上下を開放状としたもので、本体槽12の上部内に前記振動受部14にて支持されて設けられている。振動受部14は、この分離ケーシング20側あるいは槽内架台13側に取付けられている。
【0012】
分離ケーシング20内の下部には主スクリーン21が水平横断状に設けられ、この主スクリーン21は、図3にも示すように前後一対に分かれたものでなり、その中間が回転支持手段22でそれぞれ回転自在に支持されているとともに下ロック23の抜き差しにより図2の水平な状態と図4の下向きに開かれた状態とが得られるようになっている。主スクリーン21が、下向きに開かれるのは、主スクリーン21上に残るし渣分をコンテナ24に回収するためである。また、この主スクリーン21の開放および戻しは、分離ケーシング20上に突設したアイボルトである引っ掛け部25に掛けられた吊り下げチェーン26をホイスト(図示省略)にて吊り上げた状態でなされる。尚、主スクリーン21は、外枠に多数枚の桟板を配列してなるもので、図3にも示すように、ダンパー2が前後進しそれを前後方向C⇔Dと仮定すると各桟板は左右に一定の間隔をおいて並ぶように配列されている。勿論、それに直交する方向に向けられてもよい。分離ケーシング20の外部には、振動発生機(加振機)28が設置されている。
【0013】
こうした沈砂し渣分離処理装置Aにおいて、分離ケーシング20内の主スクリーン21より上部である前段階には、分配用のスクリーン30が設けられている。
この分配用スクリーン30は、分離ケーシング20の前後の側辺に設けられた回転支持手段31を介して前後・左右に4分割式に支持され、特に、前側のものは、後方(D方向)に下がり傾斜状に、また後側のものは、前方(C方向)に下がり傾斜状をなして全体としてはV字谷状に設けられ、それら前後間には抜き差し自在な上ロック32により受け止め固定されている。
【0014】
図4のように分離ケーシング20を吊り下げた状態で上ロック32を抜けば支持が解けて仮想線のように垂直にぶら下がり、その結果、上に残されるし渣がコンテナ24内に落下回収される。分配用スクリーン30は、持ち上げられて上ロック32で受け止めることで次の分離可能状態とされる。主スクリーン21も同様に持ち上げられて下ロック23で受け止めることにより分離可能状態になる。これら両スクリーン21,30が分離可能状態とされた分離ケーシング20はホイストで図2のように元の本体槽12内にマウントされて振動分離態勢とされる。
【0015】
図3の状態でバキュームダンパー2が到着すると、振動発生機28が駆動されて加振状態とされ、その状態で矢印Bのようにし渣・水混じりの沈砂が投入されると、まず分配用スクリーン30がそれを受け止めることによって矢印Bの直下に落ちるのでなくXのように沈砂を篩落としながら谷部→後方の分配用スクリーン30へと分配してゆく。それにより、沈砂は分配を受けながら主スクリーン21上に落としこまれるようになり、その結果、主スクリーン21上では、短時間の振動篩を受けるだけでし渣と沈砂とが分離することになる。尚、図2に示すように分配用スクリーン30上には放水手段33を設けて投入されたし渣混じりの沈砂をさらに分配するようにしてもよい。
【0016】
図5は他の実施形態を示し、この実施形態は、主スクリーン21および分配用スクリーン30のそれぞれが軽く回転されるよう回転支持手段22,31をスクリーンの略中間個所に設定してある。
【0017】
図6の実施形態は、分配用スクリーン30を前後に長く広いものにして矢印Yのように投入物を傾斜方向に流す間に篩にかけるようにするとともに回転操作しやすいように前後間の回転支持手段31で支持してある。尚、主スクリーン21は、回転時の分配用スクリーン30と干渉しないように外開き式にしてある。
分配用スクリーン30の桟は前後方向(C⇔D)に対し直交する方向にその長手方向を向けてあるが、前後方向に平行な方向にその長手方向を向けてもよい。
【0018】
図7の実施形態は、分配用スクリーン30をその中間位置で回転支持手段31で支持してその軸回りに回転自在でロックも可能なようにするとともに、その傾斜下方端を分離ケーシング20に対し落下連通路35を空けて設置し、さらに、主スクリーン21については、分配用スクリーン30の回転を阻害しないように落下連通路35側において回転支持手段22で支持して傾斜配置し、下ロック23で開閉自在にしたものである。矢印Bの投入物は、分配用スクリーン30の傾斜に添って篩にかけられながら滑り落下し、そのあと矢印Zのように下の主スクリーン21上に落下してそこでも篩にかけられ分離作用をする。
尚、分配用スクリーン30は、図6のような方向に桟を設けてもよい。また、主スクリーン21についても図6の分配用スクリーン30のような方向に桟を設けてもよい。また、分配用スクリーン30の傾斜方向端部には枠部のない自由端にしてし渣が下方に落下しやすいようになっているが、枠部を設けてもよい。
主スクリーン21・分配用スクリーン30は少なくとも一方をパンチングメタル状のものにしてもよい。
【符号の説明】
【0019】
2…バキュームダンパー 12…本体槽 14…振動受部 16…分離砂掻揚装置 20…分離ケーシング 21…主スクリーン 22,31…回転支持手段 23,32…ロック 30…分配用スクリーン。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部を開放状とし下部に分離砂掻揚装置を備えた本体槽と、上下開放状をなし内部に主スクリーンを備えるとともに振動受部で支持されて振動発生機にて加振されるようにされた分離ケーシングとを備えてなる沈砂し渣分離処理装置において、前記主スクリーンの前段階には、分配用スクリーンが設けられて投入されるし渣混じりの沈砂を受け止めながら分離ケーシング内の横断平面方向に分配するように構成されていることを特徴とする沈砂し渣分離処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載のものにおいて、主スクリーンおよび分配用スクリーンの双方は、分離ケーシングが本体槽から持ち上げられた状態でし渣を落下処理可能に回転自在とされている沈砂し渣分離処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−235275(P2011−235275A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−120977(P2010−120977)
【出願日】平成22年5月10日(2010.5.10)
【出願人】(501098061)株式会社サンエイ (13)
【Fターム(参考)】