説明

沈降炭酸カルシウム充填材の処理方法

組成物の重量に基づいて、5〜95重量パーセントのケイ素原子含有疎水性型処理剤および5〜95重量パーセントのケイ素原子含有官能性型処理剤からなる充填材粒子への塗布用処理組成物。有用な官能性型処理剤には、ビス(アルコキシシリルアルキル)ポリスルフィドおよびメルカプト有機ケイ素化合物が含まれる。有用な疎水性型処理剤には、ポリ有機水素シロキサンおよびシラノール末端シリコーンオリゴマーが含まれる。最も好ましい充填材は、沈降(すなわち合成)炭酸カルシウムである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、(i)ケイ素原子含有疎水性型処理剤およびケイ素原子含有官能性型処理剤の処理組成物、(ii)該組成物で処理された充填材粒子、(iii)処理された充填材を含有する有機タイヤゴム、および(iv)処理剤のニート組成物による充填材粒子の処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
2001年4月25日に公開された英国特許公開第2355453A号明細書には、ゴムで使用するための疎水性炭酸カルシウム充填材を製造するためのニート(neat)処理方法を記載しているが、該英国公開公報中で用いられる有機ケイ素処理剤は、本明細書中で用いられる有機ケイ素処理剤と同じではない。該英国公開公報は、充填材粒子に疎水性を付与するための処理組成物の成分としてポリメチル水素シロキサンを示しているが、該英国公開公報は、処理組成物の他の成分として硫黄を含有する官能性型有機ケイ素化合物を示していない。
【0003】
同様に、米国特許第6,342,560号明細書(2002年1月29日)は本明細書中で用いられる有機ケイ素処理剤と類似するいくつかの有機ケイ素処理剤を記載しているが、’560特許での疎水性炭酸カルシウム充填材の製造方法はニート処理によるものではない。それどころか、’560特許での疎水性炭酸カルシウム充填材の製造方法は水性の懸濁溶液中で行われ、’560特許は充填材粒子に疎水性を付与するための成分としてポリメチル水素シロキサンを示していない。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、充填材粒子に塗布するのに好適な処理組成物に関する。該組成物は、組成物重量の5〜95重量パーセントのケイ素原子含有疎水性型処理剤および5〜95重量パーセントのケイ素原子含有官能性型処理剤を含有する。特に、前記官能性型処理剤はビス(アルコキシシリルアルキル)ポリスルフィドまたはメルカプト有機ケイ素化合物であり、前記疎水性型処理剤はポリ有機水素シロキサンまたはシラノール末端シリコーンオリゴマーである。最も好ましい充填材は、沈降(すなわち合成)炭酸カルシウムである。
【0005】
本発明は、この処理組成物で処理された粒子の充填材、その処理された充填材を含有する有機タイヤゴム、および処理剤のニート組成物による充填材粒子の処理方法にも関する。
【0006】
本発明のこれらまたはその他の特徴は、詳細な説明を考慮すれば明らかであろう。
【0007】
[詳細な説明]
本発明は、疎水性型ケイ素原子含有処理剤および官能性型ケイ素原子含有処理剤からなる処理剤を含有する処理組成物による、沈降炭酸カルシウム充填材の表面の処理に関する。これらの処理剤をニートプロセスにより充填材の表面に塗布する。
【0008】
処理に起因して、処理された充填材を含有するゴムの性質が大きく改善されることが予想外に発見された。これに関し、疎水性型シランおよびシロキサンを用いて、有機ゴムと適合させるための疎水性を強化充填材粒子に付与する一方、官能性型シランおよびシロキサンによって、その硬化作用の間に結合またはカップリングがゴム網(network)に付与される。
【0009】
本発明で用いられる「ニート」との用語は、有機ケイ素化合物または有機ケイ素化合物の混合物からなる処理組成物を希釈しない形態で塗布することにより、充填材に疎水性が付与され、充填材が官能化される意味を意図している。したがって、有機ケイ素化合物は、溶液、分散液、または乳濁液としての水、溶媒、または担体などの別の物質または成分には溶解せず、分散せず、化合せず、または混合しない。この程度まで、処理組成物を実質的に純粋な状態で塗布する。
【0010】
「官能性」との用語は、該用語を有機ケイ素化合物に適用する場合、化合物が充填材およびゴムの表面と反応することができる基を含有する意味を意図している。
【0011】
したがって、本発明の特定の一実施態様において、疎水性型処理剤としてのメチル水素ポリシロキサンからなる処理剤を含有する処理組成物を塗布することにより、疎水性化および官能化された充填材を調製した。該処理組成物中に存在する官能性型処理剤は、化合物3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン(MPTES)、すなわち、(CO)SiCHCHCHSH、または化合物ビス[3−(トリエトキシシリル)−プロピル]テトラスルフィド(TESPT)、すなわち、(CO)SiCHCHCH−S−S−S−S−CHCHCHSi(OCとした。
【0012】
処理された充填材の性質の特徴は、フーリエ変換赤外分光(Fourier Transform Infrated Spectroscopy)(FTIR)およびブルナウアー・エメット・テラー(Brunauer-Emmett-Teller)窒素吸着(BET)により決定した。これらの分析技術によって、疎水性およびSH官能性処理が沈降炭酸カルシウム充填材の表面に存在していることが示された。有機タイヤゴム配合物で評価したとき、処理された沈降炭酸カルシウム充填材を含有するゴム試料では弾性率が高くなり、かつ、300/100弾性率比が増したことが示され、タイヤの機械性能が改善されたことを示している。
【0013】
充填材基質(沈降炭酸カルシウム)
いずれのタイプの沈降炭酸カルシウムを用いることができるが、大きな表面積を有する沈降炭酸カルシウムであることが好ましい。特に好ましい材料は、20m/gの比表面積を有する菱面体方解石である。そのような材料は、ソルベー・インテロックス社(Solvay Interox)(テキサス州ヒューストン)からソルベー社の商標であるSOCAL31(登録商標)の名の下で商業ベースで一般に入手可能である。
【0014】
官能性型処理剤(ポリスルフィド)
処理組成物のこの成分は、ビス(アルコキシシリル)ポリスルフィドを含有する。用いることができるビス(アルコキシシリルアルキル)ポリスルフィドのいくつかの一般例には、トリアルコキシ基がトリメトキシ、トリエトキシ、トリ(メチルエトキシ)、トリプロポキシ、トリブトキシ、またはトリオクチルオキシからなり、かつ、ポリスルフィドがジスルフィド、トリスルフィド、テトラスルフィド、ペンタスルフィド、またはヘキサスルフィドであるビス(2−トリアルコキシシリルエチル)ポリスルフィドが含まれる。対応するビス(3−トリアルコキシシリルプロピル)−、ビス(3−トリアルコキシシリルイソブチル)−、ビス(4−トリアルコキシシリルブチル)−、またはビス(6−トリアルコキシシリルヘキシル)ポリスルフィドも用いることができる。ビス(3−トリメトキシ−、−トリエトキシ−、および−トリプロポキシシリルプロピル)ポリスルフィド;すなわち、ジスルフィド、トリスルフィド、またはテトラスルフィドを含む有機シランが最も好ましい。
【0015】
ビス(アルコキシシリルアルキル)ポリスルフィドの具体例には、3,3’−ビス(トリメトキシシリルプロピル)ジスルフィド、3,3’−ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、3,3’−ビス(トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、2,2’−ビス(トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、3,3’−ビス(トリメトキシシリルプロピル)トリスルフィド、3,3’−ビス(トリエトキシシリルプロピル)トリスルフィド、3,3’−ビス(トリブトキシシリルプロピル)ジスルフィド、3,3’−ビス(トリメトキシシリルプロピル)ヘキサスルフィド、3,3’−ビス(トリオクトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、およびそれらの混合物などの組成物が含まれる。
【0016】
最も好ましい1つの化合物は、3,3’−ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド(TESPT)である。TESPTは、ダウ・コーニング社(Dow Corning Corporation)(ミシガン州ミッドランド)から市販されている市販品である。これは、3,3’−ビス(トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、3,3’−ビス(トリエトキシシリルプロピル)トリスルフィド、3,3’−ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、および3.5の平均スルフィド含量を有する高級スルフィド同族体の混合物である。
【0017】
官能性型処理剤(メルカプト有機ケイ素)
本発明の別の実施態様では、処理組成物の官能性型成分は、ビス(アルコキシシリルアルキル)ポリスルフィドに代えてメルカプト有機ケイ素化合物を含有する。
【0018】
本明細書中で用いることができる有用なメルカプト有機ケイ素化合物いくつかの代表例は、メルカプトメチルトリメトキシシラン、メルカプトエチルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、メルカプトメチルトリエトキシシラン、メルカプトエチルトリプロポキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、(メルカプトメチル)ジメチルエトキシシラン、(メルカプトメチル)メチルジエトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、およびその混合物である。上記化合物の中で最も好ましいものは、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン(MPTES)である。
【0019】
有用なブロック化されたメルカプトシランのいくつかの例は、チオ酢酸2−トリエトキシシリル−1−エチル、チオオクタン酸3−トリメトキシシリル−1−プロピル、ジチオホスホン酸ビス(3−トリエトキシシリル−1−プロピル)−メチル、チオホスフィン酸3−トリエトキシシリル−1−プロピルジメチル、チオ硫酸3−トリエトキシシリル−1−プロピルメチル、チオスルホン酸3−トリエトキシシリル−1−プロピルトルエン、およびそれらの混合物である。「ブロック化」とは、メルカプト水素原子が別の基によって置換されることを意味する。
【0020】
疎水性型処理剤(ポリ有機水素シロキサン)
処理組成物の疎水性型成分は、次式:
【0021】
【化1】

【0022】
のポリ有機水素シロキサンからなり、式中、R1およびR2は、メチル、エチル、イソプロピル、およびオクチルなどの1〜8個の炭素原子を含有するアルキル基; フェニル、キセニル、ナフチル、およびアントラシルなどのアリール基;トリルおよびキシリルなどのアルカリル(アルキルアリール)基; ベンジル(フェニルメチル)、フェニルエチル(フェネチル)、および2−フェニルプロピルなどのアラルキル(アリールアルキル)基;ならびにシクロブチルおよびシクロペンチルなどの3〜8炭素原子を含有する脂環式基を表す。R1は、水素であることもできる。典型的には、nは、10〜100、好ましくは40〜70の値を有する。そのようなシロキサンは、一般に、約10〜約1,000mm/s(センチストーク)の粘性を有する。
【0023】
以下の例で用いるポリ有機水素シロキサンは、1.4〜1.75重量パーセントのケイ素結合水素の含量を有し、かつ、20〜40mm/s(センチストーク)の粘性を有するトリメチルシロキシ末端ポリメチル水素シロキサンとした。その組成物は、ダウ・コーニング社(ミシガン州ミッドランド)から市販されている。
【0024】
疎水性型処理剤(シラノール末端シリコーンオリゴマー)
本発明の代替の実施態様では、処理組成物の疎水性型成分は、上記のポリ有機水素シロキサンに代えてシラノール末端シリコーンオリゴマーを含有することができる。シラノール末端シリコーンオリゴマーは次式:
【0025】
【化2】

【0026】
を有し、式中、R3は、メチル、エチル、イソプロピル、およびオクチルなどの1〜8炭素原子を含有するアルキル基;フェニル、キセニル、ナフチル、およびアントラシルなどのアリール基;トリルおよびキシリルなどのアルカリール(アルキルアリール)基;ベンジル(フェニルメチル)、フェニルエチル(フェネチル)、および2−フェニルプロピルなどのアラルキル(アリールアルキル)基;またはシクロブチルおよびシクロペンチルなどの3〜8炭素原子を含有する脂環式基である。典型的には、mは、1〜10の範囲の値を有する。そのようなオリゴマーのシロキサンは、一般に、約20〜約800mm/s(センチストーク)の粘性を有する。
【0027】
例で用いるシラノール末端シリコーンオリゴマーは、38〜45mm/s(センチストーク)の間の粘性を有するヒドロキシル末端をブロック化したポリジメチルシロキサン流動体(式中、mは約6であり、−OH含有量は3.9〜4.3重量パーセントの間である)とした。
【0028】
本発明のこの特定の実施態様は、必要な疎水性特性を付与することができる分子中のジメチル単位および必要な官能性特性を付与することができる−OH含有単位をシラノール末端シリコーンオリゴマーが含有する度合、すなわち、充填材粒子の表面と、充填材が用いられるゴムの表面との間、および/または処理組成物中に存在する他のカップリング剤との反応(カップリング)に固有のものである。
【0029】
充填材粒子は、(i)疎水性型処理剤および官能性型処理剤を充填材粒子に同時に塗布することにより、(ii)疎水性型処理剤および官能性型処理剤を充填材粒子に順次塗布することにより、(iii)あるいは疎水性型処理剤および官能性型処理剤を予め混合し、次いでその混合物を充填材粒子に塗布することにより、処理組成物で処理することができる。
【0030】
処理組成物の充填材粒子への塗布は、−20℃〜200℃、好ましくは室温(20℃〜25℃)の範囲の温度で行うことができる。次いで、処理された充填材粒子を100℃〜150℃の温度に1分〜24時間加熱して、充填材粒子の表面を処理組成物と反応させる。
【0031】
処理組成物を、処理される充填材粒子の重量の1〜15パーセントの量で充填材粒子に塗布する。処理組成物は、処理組成物の全重量の5〜95重量パーセントの疎水性型処理剤および5〜95重量パーセントの官能性型処理剤を含有する。
【実施例】
【0032】
本発明をより詳細に例証するために、以下の例を示す。別に注記しない限り、ASTM D 412-98a, 鉄tandard Test Methods for Vulcanized Rubber & Thermoplastic Elastomers"; ASTM D 2084-01,鉄tandard Test Method for Rubber Property - Vulcanization Using Oscillating Disk Cure Meter"; ASTM D 3182-89, 鉄tandard Practice for Rubber - Materials, Equipment, and Procedures for Mixing Standard Compounds and Preparing Standard Vulcanized Sheets" ; ASTM D 3185-99, 鉄tandard Test Methods for Rubber - Evaluation of SBR (Styrene-Butadiene Rubber) Including Mixtures With Oil"; および ASTM D 4678-94, 鉄tandard Practice for Rubber - Preparation, Testing, Acceptance, Documentation, and Use of Reference Materials"を含む米国材料試験協会(ASTM)標準により規定されたプロトコルに一般的に従って、試験、加硫、シートの調製、および評価を行った。
【0033】
特定量の一方の処理剤を、激しく攪拌しながら、乾燥沈降炭酸カルシウムに滴下して加えた。混合物を10〜15分間混ぜ合わせた後、他方の処理剤を滴下して加え、混合をさらに60分間継続した。混合後、該混合物を150℃で一晩オーブンに入れ、確実に完全に反応させた。次いで、充填材を有機ゴム配合物において評価した。
【0034】
以下の表1は、配合手順の最初の段階を行った際に用いた組成物を示している。
【0035】
【表1】

【0036】
バンバリー(Banbury)ブレードを備えるハーケ(Haake)ミキサーを用いて配合を行い、完了した。80℃の設定値を用いて115rpmで装置を操作した。表1に示した組成物を以下に示す量で用いた。
装填物A
組成物 重量(グラム)
ソルフェックス(Solfex)1216 17.5
BR1207 7.5
装填物B
処理CaCO 9.75
サンデックス(Sundex)8125 7.5
酸化亜鉛 0.63
ウイングステイ(Wingstay)100 0.5
ステアリン酸 0.25
装填物C
処理CaCO 9.75
【0037】
ミキサーに装填物Aの組成物を充填し、約1分間または温度が80℃に戻るまで混合した。ミキサーを停止し、装填物Bの組成物を加えた。回転数を注意して下げ、約2分間の混合を開始した。ブレードが動いている間に装填物Cを加え、さらに4.5分間混合した。炭酸カルシウムが通気管へ吸い込まれないように注意して、炭酸カルシウム(装填物C)を装填した。そのようなことが起きた場合には、わずかな損失でも補うため、さらなる量の炭酸カルシウムを加えた。ミキサーの回転数を155rpmに増加させて高剪断にすると、温度が140〜150℃の間まで上がった。これによって、いかなる水も系から追い出した。このマスターバッチを1時間放置した後、50℃の設定値を用いて50rpmで装置を運転する次の段階を行った。手順のこの段階で用いた組成物を以下に示す。
組成物 重量(グラム)
マスターバッチ 50
サントフレックス(Santoflex)6(PPD) 0.5
スノライト(Sunolite)240 0.38
RM硫黄 0.35
TBBS 0.43
DPG 0.50
【0038】
温度の設定値を50℃とし、いかなる冷却もしなかった。硫黄が硬化することによる焼けを避けるため、温度は120℃を超えないようにした。最終温度は、約73〜80℃の範囲であった。用いた組成物はすべて、予め重量測定し、30秒間の混合期間にわたってできるだけ早く加え、4分間経過した後に終了させた。
【0039】
混合したマスターバッチをハーケミキサーから取り除き、2つの練りロール機を用いて0.075ミル厚に押し延ばした。配合組成物を5回ロール機に通して気泡を追い出し、所望のフィルム厚を達成した。圧延速度を3rpmに設定して、剪断からの熱増大を防いだ。
【0040】
ADO93ダイおよびARCを備えるMPCシステムを1°振動で用い、150℃において、型式R100Sモンサント(Monsanto)硬化レオメーター上で加硫反応速度(vulcanization kinetics)を記録した。硬化レオメーターにより、T−90硬化値、すなわち、90%硬化(分)が示された。次いで、試験用のタイヤゴムスラブを作るのに十分な硬化時間を与えるため、T−90を10分間に増した。硬化プロフィールから、スコーチ時間(分)も検出することができた。硬化のために、4’’×4’’チェースシステム(chase system)を用いた。圧延されたタイヤ配合物をチェース系の中心に置き、12メートルトンの圧力で5分間冷圧した。150℃で電気加熱された中の空気が除去されたプレス中で、加硫を行った。次いで、計算されたT−90硬化時間に加えて10分間の間、20メートルトンで組成物を硬化した。
【0041】
型式CV−71200コンベローダー(Conveloader)A型ショア・インスツルメント社(Shore Instrument)デュロメーターを備えるショアAスケールで、エラストマー試料の硬さを測定した。3層の高さの積み重なったゴム片を用いて測定を行った。3つの異なる点での3回の測定値の平均を硬さの値として用いた。
【0042】
5000Nロードセル、伸び計、およびメルリン(Merlin)ソフトウェアプログラムを備え、かつ、254mmの原寸大および20mmのゲージ長ならびに19.69インチ/分の速度を有するインストロン(Instron)5500R型式1122装置で得られた応力ひずみ曲線を用いて、張力、伸び率、および弾性率を決定した。幅0.157インチの犬の骨の形をした試料を19.69インチ/分の速度で引っ張って壊した。引張り強度、伸び率、および弾性率のデータは表2に示してあり、値は5つの試験の平均を表す。
【0043】
表2において、表2の最後の列におけるより高い値である300/100弾性率比は、最良のタイヤ性能を示していることに留意すべきである。
【0044】
【表2】

【0045】
表2には、本発明による処理組成物である組成物B’、D、E、G、およびG’では、最良の全タイヤ性能を示す3を上回る300/100弾性率比が達成されたことが示されている。
【0046】
有機タイヤゴムでの処理された充填材粒子の使用に関して本発明を例示したが、これらの処理された充填材粒子は、ワイヤおよびケーブル外被、ホース、ガスケットおよびシール、産業用および自動車用駆動ベルト、エンジンマウント、V−ベルト、コンベヤーベルト、ローラー塗材(roller coating)、靴底材料、パッキングリング、および制振要素(damping element)を含む他の用途にも用いることができると理解されるべきである。
【0047】
本明細書に記載された化合物、組成物、および方法における他の変型も、本発明の本質的な特徴から逸脱することなく行うことができる。本明細書中に具体的に例示された本発明の実施態様は例示のためだけであり、付随の特許請求の範囲で定義されるものを除いてそれらの範囲に限定することを意図していない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
組成物重量の5〜95重量パーセントのケイ素原子含有疎水性型処理剤および5〜95重量パーセントのケイ素原子含有官能性型処理剤を含む、充填材粒子に塗布するための処理組成物。
【請求項2】
前記官能性型処理剤はビス(アルコキシシリルアルキル)ポリスルフィドまたはメルカプト有機ケイ素化合物であり、前記疎水性型処理剤はポリ有機水素シロキサンまたはシラノール末端シリコーンオリゴマーである、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記官能性型処理剤はビス[3−(トリエトキシシリル)−プロピル]テトラスルフィドまたは3−メルカプトプロピルトリエトキシシランである、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
前記充填材は沈降炭酸カルシウム粒子を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
請求項1に記載の処理組成物で処理された粒子を含む充填材。
【請求項6】
請求項5に記載の充填材を含有するゴムを含む有機タイヤゴム。
【請求項7】
充填材粒子の処理方法であって、請求項1に定義された処理組成物の充填材粒子の重量に基づいて、1〜15重量パーセントの充填材粒子に塗布することを含む、前記方法。
【請求項8】
前記充填材粒子に塗布した前記処理組成物は前記処理剤を含有するニート組成物である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記充填材が沈降炭酸カルシウム粒子を含有する、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記官能性型処理剤はビス[3−(トリエトキシシリル)−プロピル]テトラスルフィドまたは3−メルカプトプロピルトリエトキシシランである、請求項9に記載の方法。

【公表番号】特表2006−501350(P2006−501350A)
【公表日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−541512(P2004−541512)
【出願日】平成15年9月5日(2003.9.5)
【国際出願番号】PCT/US2003/027997
【国際公開番号】WO2004/031302
【国際公開日】平成16年4月15日(2004.4.15)
【出願人】(596012272)ダウ・コーニング・コーポレイション (347)
【Fターム(参考)】