没食子酸またはその誘導体に被覆された銀ナノ粒子
【課題】ケトン、芳香族炭化水素、および非極性炭化水素のうちの多くの有機媒体に対して良好な親和性を示す、汎用性の高い新規な銀ナノ粒子を提供する。
【解決手段】没食子酸のカルボキシル基を(CH2)n-1CH3、ただしn=1〜12、で表されるアルキル基に置換した構造の有機化合物(没食子酸アルキルと呼ぶ)が、金属銀表面を被覆しているX線結晶粒子径Dx:1〜40nmの銀ナノ粒子。没食子酸アルキルとしては、例えば、没食子酸プロピル、没食子酸ヘキシル、没食子酸オクチル、没食子酸ドデシルなどが挙げられる。
【解決手段】没食子酸のカルボキシル基を(CH2)n-1CH3、ただしn=1〜12、で表されるアルキル基に置換した構造の有機化合物(没食子酸アルキルと呼ぶ)が、金属銀表面を被覆しているX線結晶粒子径Dx:1〜40nmの銀ナノ粒子。没食子酸アルキルとしては、例えば、没食子酸プロピル、没食子酸ヘキシル、没食子酸オクチル、没食子酸ドデシルなどが挙げられる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、没食子酸またはその誘導体に被覆された銀ナノ粒子に関する。なお、本明細書においては、粒子径が40nm以下の粒子を「ナノ粒子」と呼び、ナノ粒子で構成される粉体を「微粉」と呼んでいる。
【背景技術】
【0002】
銀ナノ粒子は活性が高く、低温でも焼結が進むため、耐熱性の低い素材に対するパターニング材料として着目されて久しい。特に昨今ではナノテクノロジーの進歩により、シングルナノクラスの粒子の製造も比較的簡便に実施できるようになってきた。
【0003】
特許文献1には酸化銀を出発材料として、アミン化合物を用いて銀ナノ粒子を大量に合成する方法が開示されている。また、特許文献2にはアミンと銀化合物原料を混合し、溶融させることにより銀ナノ粒子を合成する方法が開示されている。非特許文献1には銀ナノ粒子を用いたペーストを作成することが記載されている。特許文献4には液中での分散性が極めて良好な銀ナノ粒子を製造する技術が開示されている。一方、特許文献3には有機保護材Aで保護した金属ナノ粒子が存在する非極性溶媒に、金属粒子との親和性の良いメルカプト基等の官能基を持つ有機保護材Bが溶解した極性溶媒を加えて、撹拌混合することにより、金属ナノ粒子の保護材をAからBに交換する手法が開示されている。
【0004】
【特許文献1】特開2006−219693号公報
【特許文献2】国際公開第04/012884号パンフレット
【特許文献3】特開2006−89786号公報
【特許文献4】特開2007−39718号公報
【非特許文献1】中許昌美ほか、「銀ナノ粒子の導電ペーストへの応用」、化学工業、化学工業社、2005年10月号、p.749−754
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
銀ナノ粒子の表面は有機保護材により被覆されているのが通常である。この保護材は銀粒子合成反応時に粒子同士を隔離する役割を有する。したがって、ある程度分子量の大きいものを選択することが有利である。分子量が小さいと粒子間距離が狭くなり、湿式の合成反応では反応中に焼結が進んでしまう場合がある。そうなると粒子が粗大化し銀微粉の製造が困難になる。
【0006】
一方、銀粒子をインクやペーストとして利用する場合には、用途に応じて適切な有機媒体を選択することが望ましい。有機溶媒には種々のものがあり、例えばケトンや芳香族炭化水素などの化合物が多くの用途で使用されている他、非極性の炭化水素が必要とされる場合もある。
【0007】
しかしながら、銀ナノ粒子は、粒子表面を覆う保護材(界面活性剤)の種類によって適用可能な分散媒体の種類が大きく制限される。したがって、多くの溶媒に対して親和性の高い汎用性に優れた銀ナノ粒子を得ることは極めて難しい。
今後研究が進み、分散媒体の種類ごとに親和性の高い銀ナノ粒子を開発していく場合でも、分散媒体ごとに構造や性質が大きく異なる保護材を適用することは、塗膜の性質等に及ぼすインク添加剤、塗布方法、焼成方法等の影響を逐次把握することが必要となり、そのためのコスト・労力は多大なものとなる。
【0008】
本発明はこのような現状に鑑み、ケトン、脂肪族炭化水素、環状の炭化水素(脂環式炭化水素、芳香族炭化水素)、および非極性炭化水素のうちの多くの有機媒体に対して良好な親和性を示す、汎用性の高い銀ナノ粒子を提供しようというものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的は、没食子酸のカルボキシル基(−COOH)のHを(CH2)n-1CH3、ただしn=1〜12、で表されるアルキル基に置換した構造の有機化合物が、金属銀表面を被覆しているX線結晶粒子径Dx:1〜40nmの銀ナノ粒子によって達成される。
【0010】
以下、本明細書においては「没食子酸のカルボキシル基のHを(CH2)n-1CH3、ただしn=1〜12、で表されるアルキル基に置換した構造の有機化合物」を、「没食子酸アルキル」と呼ぶ。図1に没食子酸の構造式を、図2に没食子酸アルキルの構造式を示す。没食子酸アルキルとしては、例えば、没食子酸プロピル、没食子酸ヘキシル、没食子酸オクチル、没食子酸ドデシルなどが例示できる(図3〜図6参照)。
【0011】
本発明で対象としている銀ナノ粒子の保護材は、没食子酸のカルボキシル基(−COOH)のHを除いた部分を共通の構造として持ち、銀ナノ粒子の取扱いに関しては共通性が高いと考えられる。
本明細書では、後述するインク化効率評価および分散維持性評価で良好と判定される銀ナノ粒子を、その有機媒体に対し良好な親和性を示すものであるとしている。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ケトン、脂肪族炭化水素、環状の炭化水素(脂環式炭化水素、芳香族炭化水素)、および非極性炭化水素のうちの多くの有機媒体に対して良好な親和性を示す、汎用性の高い銀ナノ粒子が提供された。このような銀ナノ粒子はこれまで存在しなかったことから研究対象になっていなかったが、今後、その有用性が明らかにされていくものと考えられ、種々の用途への適用が期待される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
従来、銀ナノ粒子の製造においては、製造上の制約から、保護材(界面活性剤)の種類を自由に選択することはできなかった。ところが、後述する方法に従えば、保護材の種類に対する選択の自由度をかなり拡大させることが可能になり、これまで存在しなかった種々の銀ナノ粒子を得ることができた。そして発明者らは詳細な検討の結果、没食子酸アルキルを表面に吸着させてなるX線結晶粒子径Dx:1〜40nm好ましくは1〜15nm(TEM観察により測定される平均粒子径DTEMで見ると、DTEM:3〜40nm好ましくは4〜15nm)の銀粒子が、ケトン、芳香族炭化水素、および非極性炭化水素のうちの多くの有機媒体に対して良好な親和性を示すことを見出すに至った。
【0014】
このような銀ナノ粒子は、例えば「銀粒子合成工程」および「保護材置換工程」を経て得ることができる。以下、その代表的な方法を例示する。
【0015】
《銀粒子合成工程》
特許文献4に開示されるような湿式工程により、粒径の揃った銀ナノ粒子を合成することができる。この合成法は、アルコール中またはポリオール中で、アルコールまたはポリオールを還元剤として、銀化合物を還元処理することにより銀粒子を析出させるものである。ところが、発明者らのその後の研究によれば、より大量生産に適した合成法が見出され、本出願人は特願2007−264598に開示した。これは、銀化合物を1級アミンと2−オクタノールの混合液中に溶解させ、これを120〜180℃に保持することにより2−オクタノールの還元力を利用して銀粒子を析出させるものである。ここでは、この新たな合成法を簡単に例示する。
【0016】
銀イオン供給源として銀化合物(例えば硝酸銀)、析出した銀粒子の保護材として1級アミンA(不飽和結合を持つ分子量200〜400のもの、例えばオレイルアミン)、および溶媒成分であるともに還元剤でもある2−オクタノールを用意する。
【0017】
所定量の1級アミンA、2−オクタノールおよび銀化合物を混合して、アミンAと2−オクタノールとの混合溶媒中に銀化合物が溶解している溶液を作成する。還元反応開始時の液組成は、通常、下記(i)〜(iii)を満たす範囲で好適な条件を見出すことができる。
(i)アミンA/銀のモル比:1〜10、
(ii)2−オクタノール/銀のモル比:0.5〜15、
(iii)2−オクタノール/アミンAのモル比:0.3〜2
【0018】
液の昇温を開始して120〜180℃の温度範囲で保持する。120℃を下回る温度では還元反応の進行が進みにくいので高い還元率を安定して得ることが難しくなる。ただし、沸点を大きく超えないようにすることが肝要である。2−オクタノールの沸点は約178℃であり、180℃程度までは許容できる。125〜178℃の範囲とすることがより好ましい。大気圧下で実施することができ、反応容器の気相部を窒素ガス等の不活性ガスでパージしながら還流状態とすることが好ましい。撹拌は、あまり強く行わなくても銀ナノ粒子を析出させることができるが、反応容器のサイズが大きくなると、ある程度の撹拌は必要となる。2−オクタノールの場合、他のアルコール(例えばイソブタノール)を使用する場合に比べ、粒径の揃った銀粒子を合成する上で、撹拌強度の自由度が拡がる。なお、2−オクタノールは初めから必要な全量を混合しておいてもよいし、昇温途中または昇温後に混合してもよい。還元反応開始後に2−オクタノールを適宜添加(追加投入)しても構わない。上記温度範囲での保持時間を0.5時間以上確保することが望ましいが、上記(i)〜(iii)を満たす液組成の場合だと1時間程度で反応はほとんど終了に近づくものと考えられ、それ以上保持時間を長くしても還元率に大きな変化は見られない。通常、3時間以下の保持時間を設定すれば十分である。還元反応が進行して銀粒子が析出すると、アミンAで被覆された銀ナノ粒子が存在するスラリーが得られる。
【0019】
次いで、上記のスラリーから、デカンテーションや遠心分離によって固形分を回収する。回収された固形分は、1級アミンAを成分とする保護材に被覆された銀ナノ粒子を主体とするものである。
【0020】
上記の固形分には不純物が付着しているので、メタノールやイソプロパノールを用いた洗浄に供することが好ましい。
【0021】
以上のようにして、1級アミンAに被覆されたX線結晶粒子径Dx:1〜40nm好ましくは1〜15nmの銀粒子を構成することができる。透過型電子顕微鏡(TEM)を用いた粒子の観察により求まる平均粒子径DTEMは3〜40nm好ましくは4〜15nm程度の範囲である。
【0022】
《保護材置換工程》
次に銀粒子に付着している保護材をアミンAから目的物質である有機化合物B(ここでは、没食子酸アルキル)に付け替える操作を行う。本発明の銀ナノ粒子の製造方法はこの工程を採用するところに特徴がある。
有機化合物Bとして銀に吸着しやすい性質を有するものを適用する。上記のアミンAは不飽和結合を有する分子量200〜400のアミンであり、銀に対する吸着力は、没食子酸アルキルに比べ弱いと考えられる。したがって、アミンAに被覆された銀粒子の表面近傍に十分な量の有機化合物Bの分子が存在していると、銀表面からアミンAが脱着するとともに有機化合物Bが吸着しやすい状況となり、比較的容易に置換が進行する。
【0023】
ただし、この置換は溶媒中で進行する。この置換工程で使用する溶媒を、ここでは溶媒Cと呼ぶ。溶媒Cとしては有機化合物Bが完全に溶解するものを採用する必要がある。具体的にはイソプロパノール、メタノール、エタノール、デカリン等の溶媒のうち、溶解性のよいものを選択すればよい。イソプロパノールに良く溶解する有機化合物Bの場合は、安全性やコスト面でイソプロパノールを選択することが有利となる場合が多い。有機化合物Bが溶解している上記のような溶媒Cの中に、アミンAに被覆された銀ナノ粒子を存在させ、30℃以上かつ溶媒Cの沸点以下の温度域で撹拌する。30℃より低温では置換が進行しにくい。溶媒Cにイソプロパノールを使用する場合だと、35〜80℃の範囲で行うことが好ましい。アミンAに被覆された粒子は一般に溶媒Cに対する分散性が悪く、液中で沈降しやすいので撹拌しなければならないが、あまり強く撹拌する必要はなく、粒子が液中に浮遊した状態を維持できる程度でよい。
【0024】
アミンAと有機化合物Bの置き換え反応は、数分程度の比較的短時間で起きていると考えられるが、工業的に安定した品質のものを供給するという観点から、1時間以上の置き換え反応時間を確保することが望ましい。ただし、24時間を超えても更なる置き換え反応はあまり進行しないので、24時間以内で置き換え反応を終了させるのが実用的である。置換に要する反応時間は1〜7時間の範囲で設定することが好ましい。
【0025】
具体的には、予め有機化合物Bを溶媒Cに完全に溶解させた液を作成し、この液と、固形分として回収されたアミンAが付着している銀ナノ粒子とを1つの容器に収容し、撹拌混合すればよい。有機化合物Bが常温で液体である場合、本明細書でいう「有機化合物Bが溶解している溶媒C」とは、有機化合物Bが溶媒Cの中で分離することなく両者が均一に混ざり合っている状態を意味する。粒子中の金属Agに対する有機化合物Bの当量B/Agは、0.1〜10当量とすることが好ましい。ここで、銀=1モルに対し、有機化合物B=1モルが1当量に相当する。溶媒Cの液量は銀ナノ粒子が液中を浮遊するに足る量が確保される範囲で設定すればよい。
【0026】
このようにして有機化合物Bを表面に吸着させてなる銀粒子を形成させたのち、固液分離を行い、例えば「分離回収された固形分に洗浄液(例えばメタノールやイソプロパノール)を添加して超音波分散を加えた後、液を遠心分離して固形分を回収する」という操作を数回繰り返すことにより、付着している不純物を洗浄除去することが好ましい。洗浄後の粒子は、X線結晶粒子径Dxが1〜40nm好ましくは1〜15nm、TEM観察により測定される平均粒子径DTEMは3〜40nm好ましくは4〜15nmといった銀ナノ粒子であり、表面には有機化合物Bを吸着させてなる界面活性剤を有している。洗浄後の固形分を、ケトン、芳香族炭化水素、非極性炭化水素等の中から選択される目的とする溶媒中に分散させることにより銀ナノ粒子分散液を得ることができる。この銀ナノ粒子分散液は必要に応じて濃縮または希釈され、銀インクや銀ペースト等の材料として使用される。
【実施例1】
【0027】
界面活性剤(金属Ag粒子表面の保護材)として、置換前の1級アミンAにはオレイルアミン、置換後の有機化合物Bには没食子酸プロピル使用し、下記工程により没食子酸プロピルを吸着させてなる銀ナノ粒子を作成した。この銀ナノ粒子を表1に示す種々の溶媒に分散させ、分散性の良好な粒子のみを分散させた銀ナノ粒子分散液を作成した。そして、そのような銀ナノ粒子分散液を製造する場合の銀の歩留りを評価した。
【0028】
〔銀粒子合成工程〕
オレイルアミン(和光純薬工業株式会社製試薬)6009.2g、2−オクタノール(東京化成工業株式会社製試薬)2270.3g、硝酸銀結晶(関東化学株式会社製特級試薬)1495.6gを用意した。
2−オクタノールと、オレイルアミンと、硝酸銀結晶を混合して、硝酸銀が完全に溶解した液を作成した。配合は以下のとおりである。
・オレイルアミン/銀のモル比=2.5
・アルコール/銀のモル比=2.0
・アルコール/オレイルアミンのモル比=2.0/2.5=0.8
【0029】
上記配合の液10Lを準備し、還流器の付いた容器に移してオイルバスに載せ、プロペラにより100rpmで撹拌しながら120℃まで昇温速度1.0℃/min、次いで140℃まで昇温速度0.5℃/minで昇温した。その後、上記撹拌状態を維持しながら、140℃に1時間保持した。その際、容器の気相部に窒素ガスを500mL/minの流量で供給してパージしている。その後、加熱を止め、冷却した。
【0030】
反応後のスラリーを3日間静置した後、上澄みを除去した。その際、還元された銀が全スラリーに対して20質量%となるように上澄みの除去量を調整した。上澄み除去後のスラリー500gにイソプロパノール1700gを混合しプロペラにより400rpmで1時間撹拌し、その後、遠心分離により銀粒子を含む固形分を回収した。このようにして洗浄された固形分中にはアミンA(オレイルアミン)に被覆された銀粒子が存在している。
なお、洗浄前の上記スラリー500g中には金属Ag:約1モルが存在することが別途測定により判っている。
【0031】
別途、これと同一の条件で作成した洗浄後の固形分について、少量の固形分サンプルを採取して、下記の要領でX線結晶粒子径Dxを求めた。その結果、置換前の銀微粉のDxは約7nmであることが確認された。また、下記の要領で平均粒子径DTEMを求めた。その結果、置換前の銀微粉のDTEMは約8nmであることが確認された。
また、上記と同一の条件で作成した洗浄後の固形分から、オレイルアミンに被覆された置換前の銀微粉を回収し、昇温速度は10℃/minでTG−DTA測定を行った。そのDTA曲線の測定例を図7に示す。図7において、200〜300℃の間にある大きな山および300〜330℃の間にあるピークはアミンAであるオレイルアミンに起因するものであると考えられる。
【0032】
<X線結晶粒子径Dxの測定>
銀粒子の固形分サンプルをガラス製セルに塗り、X線回折装置にセットし、Ag(111)面の回折ピークを用いて、下記(1)式に示すScherrerの式によりX線結晶粒径DXを求めた。X線にはCu−Kαを用いた。
Dx=K・λ/(β・cosθ) ……(1)
ただし、KはScherrer定数で、0.94を採用した。λはCu−Kα線のX線波長、βは上記回折ピークの半価幅、θは回折線のブラッグ角である。
【0033】
<平均粒子径DTEMの測定>
銀粒子分散液を透過型電子顕微鏡(TEM)により観察し、重なっていない独立した300個の銀粒子の粒子径を計測して、平均粒子径を算出した。
【0034】
〔保護材置換工程〕
有機化合物Bとして没食子酸プロピル(東京化成工業株式会社製1級試薬)、溶媒Cとしてイソプロパノール(和光純薬株式会社製特級試薬、分子量60.1)を用意した。
没食子酸プロピル98.33gを、イソプロパノール400gと混合して、液温を40℃に保ち、イソプロパノール中に没食子酸プロピルを完全に溶解させた。この液中へ、アミンA(オレイルアミン)に被覆された銀粒子が存在している前記洗浄後の固形分(Agを約1モル(約100g)含有)を添加し、プロペラにて400rpmで撹拌した。この撹拌状態を維持しながら40℃で5時間保持した。この場合、Agに対する有機化合物Bの量は0.5当量となるように有機化合物Bの仕込量を調整してある。
【0035】
得られたスラリーを3000rpm×5minの遠心分離により固液分離した。その後、「固形分にメタノールを889.7g(銀に対して約30当量)添加して400rpmにて30分間洗浄し、遠心分離にて固形分を回収する」という操作を2回行い、保護材を没食子酸オクチルに置換した銀微粉サンプルを得た。
このサンプルについて、前記の方法にてTG−DTA測定を行った。そのDTA曲線を図8に示す。図7(置換前)と図8(置換後)の対比から、保護材は、アミンA(オレイルアミン)のほぼ全量が脱着し、有機化合物B(没食子酸プロピル)に置き換わったものと考えられる。
【0036】
このサンプルについて上記の方法でX線結晶粒子径Dxおよび平均粒子径DTEMを測定したところ、各チャージともDxは3〜8nm、DTEMは6〜12nmの範囲であった。
【0037】
〔銀ナノ粒子分散液作成工程〕
上記のようにして得られた銀微粉サンプル(メタノール洗浄後、未乾燥のもの)には、金属銀、保護材、および洗浄に使用したメタノールが含まれている。この銀微粉中の正味の銀含有量を以下の方法で求めた。
【0038】
<銀微粉中の銀含有量>
[1]銀微粉サンプルから分取した試料の質量W0(g)を測定する。
[2]メタノールを除去するために、試料を真空乾燥機を用いて室温で30分処理する。
[3]その後、試料をマッフル炉(ヤマト科学株式会社製;FO100型)により10℃/分の昇温速度で700℃まで加熱することにより保護材を揮発させ、揮発後の試料の質量W1(g)を測定する。
[4]銀微粉サンプル中の銀含有量(質量%)=W1/W0×100により算出される。
【0039】
上記の銀微粉サンプル中の金属銀含有量(質量%)に基づいて、金属銀の質量が2.0gとなる量の銀微粉サンプルを秤量し、これを表1に示した各溶媒と混合して、金属銀+保護材+残存メタノール+溶媒の合計量に占める金属銀の含有量が5.0質量%となる銀粒子+溶媒の混合物を作成した。この混合物を超音波洗浄機(シャープ株式会社製;UT606)を用いて40℃以下で60分間処理し、銀ナノ粒子を溶媒中に分散させた。
【0040】
この分散液中には沈降しやすい銀粒子も存在している。そこで、上記分散液を遠心分離機(日立工機株式会社製;himacCF7D2型)により25℃の条件下で3000rpmにて30分間の遠心分離に供し、その上澄みを回収することにより、分散性に優れた粒子のみが分散した銀ナノ粒子分散液(インク)を得た。また、沈殿した固形分も回収した。
図12に、この銀インクから採取した没食子酸プロピルを吸着させてなる銀粒子のTEM写真の一例を示す。これは溶媒としてジエチルベンゼンを用いた場合の例である。
得られた銀ナノ粒子分散液(インク)を得るまでの銀の歩留りがどの程度になるかを評価する指標として、下記のようにして「インク化効率」求めた。
【0041】
<インク化効率>
まず、以下の手順にて上記遠心分離により回収された固形分(以下「沈殿物」という)中に含まれる金属銀の質量を求める。
[1]遠心分離により沈殿物の質量W2(g)を測定する。
[2]その沈殿物をマッフル炉(ヤマト科学株式会社製;FO100型)により10℃/分の昇温速度で20℃から700℃まで加熱することにより保護材および溶媒を揮発させ、揮発後の試料の質量W3(g)を測定する。
[3]沈殿銀量はW3である。
インク化効率は以下の式により求まる。
インク化効率(%)=(仕込銀量−沈殿銀量)/仕込銀量×100(%)
=(2.0−W3)/2.0×100(%)
【0042】
〔静置試験〕
次に、得られた銀ナノ粒子分散液(インク)の分散維持性を確認するため、その分散液を入れたガラス容器を軽く撹拌した後、前記の超音波洗浄機にて10分間の超音波分散処理を施して均一に分散させた状態とし、常温で168時間静置させた後に、液の濁りや沈降凝集の発生の有無を目視確認した。その結果、液面近くに透明な上澄み部分が形成されず、液全体が銀粒子の存在により濁っている場合に、分散状態が維持されていると判定し、これを○(分散維持性良好)と評価し、それ以外の場合を×(分散維持性不良)と評価した。○評価を合格とした。結果を表1中に示す。
【0043】
インク化効率が高いほど、分散性の高いインクを得る上で銀の歩留りが良いことになる。工業化するためにはインク化効率が50%以上であることが望まれる。そこで、インク化効率が50%以上のものを○(インク化効率良好)、50%未満のものを×(インク化効率不良)と評価し、○評価を合格とした。結果を表1中に示す。
【0044】
【表1】
【実施例2】
【0045】
置換後の有機化合物Bを没食子酸オクチル(東京化成工業株式会社製1級試薬)に変更し、分散液の溶媒を表2に示すものとしたことを除き、実施例1と同様の実験を行った。なお、保護材置換工程において、Agに対する有機化合物B(没食子酸オクチル)の量は0.5当量となるように有機化合物Bの仕込量を調整した。
【0046】
置換後の銀粒子サンプルについて、前記の方法にてTG−DTA測定を行った。そのDTA曲線の測定例を図9に示す。図7(置換前)と図9(置換後)の対比から、保護材は、アミンA(オレイルアミン)のほぼ全量が脱着し、有機化合物B(没食子酸オクチル)に置き換わったものと考えられる。
保護材置換後の銀粒子サンプルについて上記の方法でX線結晶粒子径Dxおよび平均粒子径DTEMを測定したところ、各チャージともDxは3〜8nm、DTEMは6〜12nmの範囲であった。
図13に、この銀インクから採取した没食子酸オクチルを吸着させてなる銀粒子のTEM写真の一例を示す。これは溶媒としてデカリンを用いた場合の例である。
実験結果を表2に示す。
【0047】
【表2】
【実施例3】
【0048】
置換後の有機化合物Bを没食子酸ドデシル(東京化成工業株式会社製1級試薬)に変更し、分散液の溶媒を表2に示すものとしたことを除き、実施例1と同様の実験を行った。なお、保護材置換工程において、Agに対する有機化合物B(没食子酸ドデシル)の量は0.5当量となるように有機化合物Bの仕込量を調整した。
【0049】
置換後の銀粒子サンプルについて、前記の方法にてTG−DTA測定を行った。そのDTA曲線の測定例を図10に示す。図7(置換前)と図10(置換後)の対比から、保護材は、アミンA(オレイルアミン)のほぼ全量が脱着し、有機化合物B(没食子酸ドデシル)に置き換わったものと考えられる。
保護材置換後の銀粒子サンプルについて上記の方法でX線結晶粒子径Dxおよび平均粒子径DTEMを測定したところ、各チャージともDxは3〜8nm、DTEMは6〜12nmの範囲であった。
図14に、この銀インクから採取した没食子酸ドデシルを吸着させてなる銀粒子のTEM写真の一例を示す。これは溶媒としてデカリンを用いた場合の例である。
実験結果を表3に示す。
【0050】
【表3】
【実施例4】
【0051】
置換後の有機化合物Bを没食子酸(東京化成工業株式会社製試薬)に変更し、分散液の溶媒を表2に示すものとしたことを除き、実施例1と同様の実験を行った。なお、保護材置換工程において、Agに対する有機化合物B(没食子酸)の量は0.5当量となるように有機化合物Bの仕込量を調整した。
【0052】
置換後の銀粒子サンプルについて、前記の方法にてTG−DTA測定を行った。そのDTA曲線の測定例を図11に示す。図7(置換前)と図11(置換後)の対比から、保護材は、アミンA(オレイルアミン)のほぼ全量が脱着し、有機化合物B(没食子酸)に置き換わったものと考えられる。
保護材置換後の銀粒子サンプルについて上記の方法でX線結晶粒子径Dxおよび平均粒子径DTEMを測定したところ、各チャージともDxは3〜8nm、DTEMは6〜12nmの範囲であった。
図15に、この銀インクから採取した没食子酸を吸着させてなる銀粒子のTEM写真の一例を示す。
実験結果を表4に示す。
【0053】
【表4】
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】没食子酸の構造式を表した図。
【図2】没食子酸アルキルの一般的な構造式を表した図。
【図3】没食子酸プロピルの構造式を表した図。
【図4】没食子酸ヘキシルの構造式を表した図。
【図5】没食子酸オクチルの構造式を表した図。
【図6】没食子酸ドデシルの構造式を表した図。
【図7】オレイルアミンに被覆された保護材置換前の銀粒子についてのDTA曲線。
【図8】没食子酸プロピルを吸着させてなる銀粒子についてのDTA曲線。
【図9】没食子酸オクチルを吸着させてなる銀粒子についてのDTA曲線。
【図10】没食子酸ドデシルを吸着させてなる銀粒子についてのDTA曲線。
【図11】没食子酸を吸着させてなる銀粒子についてのDTA曲線。
【図12】没食子酸プロピルを吸着させてなる銀粒子のTEM写真。
【図13】没食子酸オクチルを吸着させてなる銀粒子のTEM写真。
【図14】没食子酸ドデシルを吸着させてなる銀粒子のTEM写真。
【図15】没食子酸を吸着させてなる銀粒子のTEM写真。
【技術分野】
【0001】
本発明は、没食子酸またはその誘導体に被覆された銀ナノ粒子に関する。なお、本明細書においては、粒子径が40nm以下の粒子を「ナノ粒子」と呼び、ナノ粒子で構成される粉体を「微粉」と呼んでいる。
【背景技術】
【0002】
銀ナノ粒子は活性が高く、低温でも焼結が進むため、耐熱性の低い素材に対するパターニング材料として着目されて久しい。特に昨今ではナノテクノロジーの進歩により、シングルナノクラスの粒子の製造も比較的簡便に実施できるようになってきた。
【0003】
特許文献1には酸化銀を出発材料として、アミン化合物を用いて銀ナノ粒子を大量に合成する方法が開示されている。また、特許文献2にはアミンと銀化合物原料を混合し、溶融させることにより銀ナノ粒子を合成する方法が開示されている。非特許文献1には銀ナノ粒子を用いたペーストを作成することが記載されている。特許文献4には液中での分散性が極めて良好な銀ナノ粒子を製造する技術が開示されている。一方、特許文献3には有機保護材Aで保護した金属ナノ粒子が存在する非極性溶媒に、金属粒子との親和性の良いメルカプト基等の官能基を持つ有機保護材Bが溶解した極性溶媒を加えて、撹拌混合することにより、金属ナノ粒子の保護材をAからBに交換する手法が開示されている。
【0004】
【特許文献1】特開2006−219693号公報
【特許文献2】国際公開第04/012884号パンフレット
【特許文献3】特開2006−89786号公報
【特許文献4】特開2007−39718号公報
【非特許文献1】中許昌美ほか、「銀ナノ粒子の導電ペーストへの応用」、化学工業、化学工業社、2005年10月号、p.749−754
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
銀ナノ粒子の表面は有機保護材により被覆されているのが通常である。この保護材は銀粒子合成反応時に粒子同士を隔離する役割を有する。したがって、ある程度分子量の大きいものを選択することが有利である。分子量が小さいと粒子間距離が狭くなり、湿式の合成反応では反応中に焼結が進んでしまう場合がある。そうなると粒子が粗大化し銀微粉の製造が困難になる。
【0006】
一方、銀粒子をインクやペーストとして利用する場合には、用途に応じて適切な有機媒体を選択することが望ましい。有機溶媒には種々のものがあり、例えばケトンや芳香族炭化水素などの化合物が多くの用途で使用されている他、非極性の炭化水素が必要とされる場合もある。
【0007】
しかしながら、銀ナノ粒子は、粒子表面を覆う保護材(界面活性剤)の種類によって適用可能な分散媒体の種類が大きく制限される。したがって、多くの溶媒に対して親和性の高い汎用性に優れた銀ナノ粒子を得ることは極めて難しい。
今後研究が進み、分散媒体の種類ごとに親和性の高い銀ナノ粒子を開発していく場合でも、分散媒体ごとに構造や性質が大きく異なる保護材を適用することは、塗膜の性質等に及ぼすインク添加剤、塗布方法、焼成方法等の影響を逐次把握することが必要となり、そのためのコスト・労力は多大なものとなる。
【0008】
本発明はこのような現状に鑑み、ケトン、脂肪族炭化水素、環状の炭化水素(脂環式炭化水素、芳香族炭化水素)、および非極性炭化水素のうちの多くの有機媒体に対して良好な親和性を示す、汎用性の高い銀ナノ粒子を提供しようというものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的は、没食子酸のカルボキシル基(−COOH)のHを(CH2)n-1CH3、ただしn=1〜12、で表されるアルキル基に置換した構造の有機化合物が、金属銀表面を被覆しているX線結晶粒子径Dx:1〜40nmの銀ナノ粒子によって達成される。
【0010】
以下、本明細書においては「没食子酸のカルボキシル基のHを(CH2)n-1CH3、ただしn=1〜12、で表されるアルキル基に置換した構造の有機化合物」を、「没食子酸アルキル」と呼ぶ。図1に没食子酸の構造式を、図2に没食子酸アルキルの構造式を示す。没食子酸アルキルとしては、例えば、没食子酸プロピル、没食子酸ヘキシル、没食子酸オクチル、没食子酸ドデシルなどが例示できる(図3〜図6参照)。
【0011】
本発明で対象としている銀ナノ粒子の保護材は、没食子酸のカルボキシル基(−COOH)のHを除いた部分を共通の構造として持ち、銀ナノ粒子の取扱いに関しては共通性が高いと考えられる。
本明細書では、後述するインク化効率評価および分散維持性評価で良好と判定される銀ナノ粒子を、その有機媒体に対し良好な親和性を示すものであるとしている。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ケトン、脂肪族炭化水素、環状の炭化水素(脂環式炭化水素、芳香族炭化水素)、および非極性炭化水素のうちの多くの有機媒体に対して良好な親和性を示す、汎用性の高い銀ナノ粒子が提供された。このような銀ナノ粒子はこれまで存在しなかったことから研究対象になっていなかったが、今後、その有用性が明らかにされていくものと考えられ、種々の用途への適用が期待される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
従来、銀ナノ粒子の製造においては、製造上の制約から、保護材(界面活性剤)の種類を自由に選択することはできなかった。ところが、後述する方法に従えば、保護材の種類に対する選択の自由度をかなり拡大させることが可能になり、これまで存在しなかった種々の銀ナノ粒子を得ることができた。そして発明者らは詳細な検討の結果、没食子酸アルキルを表面に吸着させてなるX線結晶粒子径Dx:1〜40nm好ましくは1〜15nm(TEM観察により測定される平均粒子径DTEMで見ると、DTEM:3〜40nm好ましくは4〜15nm)の銀粒子が、ケトン、芳香族炭化水素、および非極性炭化水素のうちの多くの有機媒体に対して良好な親和性を示すことを見出すに至った。
【0014】
このような銀ナノ粒子は、例えば「銀粒子合成工程」および「保護材置換工程」を経て得ることができる。以下、その代表的な方法を例示する。
【0015】
《銀粒子合成工程》
特許文献4に開示されるような湿式工程により、粒径の揃った銀ナノ粒子を合成することができる。この合成法は、アルコール中またはポリオール中で、アルコールまたはポリオールを還元剤として、銀化合物を還元処理することにより銀粒子を析出させるものである。ところが、発明者らのその後の研究によれば、より大量生産に適した合成法が見出され、本出願人は特願2007−264598に開示した。これは、銀化合物を1級アミンと2−オクタノールの混合液中に溶解させ、これを120〜180℃に保持することにより2−オクタノールの還元力を利用して銀粒子を析出させるものである。ここでは、この新たな合成法を簡単に例示する。
【0016】
銀イオン供給源として銀化合物(例えば硝酸銀)、析出した銀粒子の保護材として1級アミンA(不飽和結合を持つ分子量200〜400のもの、例えばオレイルアミン)、および溶媒成分であるともに還元剤でもある2−オクタノールを用意する。
【0017】
所定量の1級アミンA、2−オクタノールおよび銀化合物を混合して、アミンAと2−オクタノールとの混合溶媒中に銀化合物が溶解している溶液を作成する。還元反応開始時の液組成は、通常、下記(i)〜(iii)を満たす範囲で好適な条件を見出すことができる。
(i)アミンA/銀のモル比:1〜10、
(ii)2−オクタノール/銀のモル比:0.5〜15、
(iii)2−オクタノール/アミンAのモル比:0.3〜2
【0018】
液の昇温を開始して120〜180℃の温度範囲で保持する。120℃を下回る温度では還元反応の進行が進みにくいので高い還元率を安定して得ることが難しくなる。ただし、沸点を大きく超えないようにすることが肝要である。2−オクタノールの沸点は約178℃であり、180℃程度までは許容できる。125〜178℃の範囲とすることがより好ましい。大気圧下で実施することができ、反応容器の気相部を窒素ガス等の不活性ガスでパージしながら還流状態とすることが好ましい。撹拌は、あまり強く行わなくても銀ナノ粒子を析出させることができるが、反応容器のサイズが大きくなると、ある程度の撹拌は必要となる。2−オクタノールの場合、他のアルコール(例えばイソブタノール)を使用する場合に比べ、粒径の揃った銀粒子を合成する上で、撹拌強度の自由度が拡がる。なお、2−オクタノールは初めから必要な全量を混合しておいてもよいし、昇温途中または昇温後に混合してもよい。還元反応開始後に2−オクタノールを適宜添加(追加投入)しても構わない。上記温度範囲での保持時間を0.5時間以上確保することが望ましいが、上記(i)〜(iii)を満たす液組成の場合だと1時間程度で反応はほとんど終了に近づくものと考えられ、それ以上保持時間を長くしても還元率に大きな変化は見られない。通常、3時間以下の保持時間を設定すれば十分である。還元反応が進行して銀粒子が析出すると、アミンAで被覆された銀ナノ粒子が存在するスラリーが得られる。
【0019】
次いで、上記のスラリーから、デカンテーションや遠心分離によって固形分を回収する。回収された固形分は、1級アミンAを成分とする保護材に被覆された銀ナノ粒子を主体とするものである。
【0020】
上記の固形分には不純物が付着しているので、メタノールやイソプロパノールを用いた洗浄に供することが好ましい。
【0021】
以上のようにして、1級アミンAに被覆されたX線結晶粒子径Dx:1〜40nm好ましくは1〜15nmの銀粒子を構成することができる。透過型電子顕微鏡(TEM)を用いた粒子の観察により求まる平均粒子径DTEMは3〜40nm好ましくは4〜15nm程度の範囲である。
【0022】
《保護材置換工程》
次に銀粒子に付着している保護材をアミンAから目的物質である有機化合物B(ここでは、没食子酸アルキル)に付け替える操作を行う。本発明の銀ナノ粒子の製造方法はこの工程を採用するところに特徴がある。
有機化合物Bとして銀に吸着しやすい性質を有するものを適用する。上記のアミンAは不飽和結合を有する分子量200〜400のアミンであり、銀に対する吸着力は、没食子酸アルキルに比べ弱いと考えられる。したがって、アミンAに被覆された銀粒子の表面近傍に十分な量の有機化合物Bの分子が存在していると、銀表面からアミンAが脱着するとともに有機化合物Bが吸着しやすい状況となり、比較的容易に置換が進行する。
【0023】
ただし、この置換は溶媒中で進行する。この置換工程で使用する溶媒を、ここでは溶媒Cと呼ぶ。溶媒Cとしては有機化合物Bが完全に溶解するものを採用する必要がある。具体的にはイソプロパノール、メタノール、エタノール、デカリン等の溶媒のうち、溶解性のよいものを選択すればよい。イソプロパノールに良く溶解する有機化合物Bの場合は、安全性やコスト面でイソプロパノールを選択することが有利となる場合が多い。有機化合物Bが溶解している上記のような溶媒Cの中に、アミンAに被覆された銀ナノ粒子を存在させ、30℃以上かつ溶媒Cの沸点以下の温度域で撹拌する。30℃より低温では置換が進行しにくい。溶媒Cにイソプロパノールを使用する場合だと、35〜80℃の範囲で行うことが好ましい。アミンAに被覆された粒子は一般に溶媒Cに対する分散性が悪く、液中で沈降しやすいので撹拌しなければならないが、あまり強く撹拌する必要はなく、粒子が液中に浮遊した状態を維持できる程度でよい。
【0024】
アミンAと有機化合物Bの置き換え反応は、数分程度の比較的短時間で起きていると考えられるが、工業的に安定した品質のものを供給するという観点から、1時間以上の置き換え反応時間を確保することが望ましい。ただし、24時間を超えても更なる置き換え反応はあまり進行しないので、24時間以内で置き換え反応を終了させるのが実用的である。置換に要する反応時間は1〜7時間の範囲で設定することが好ましい。
【0025】
具体的には、予め有機化合物Bを溶媒Cに完全に溶解させた液を作成し、この液と、固形分として回収されたアミンAが付着している銀ナノ粒子とを1つの容器に収容し、撹拌混合すればよい。有機化合物Bが常温で液体である場合、本明細書でいう「有機化合物Bが溶解している溶媒C」とは、有機化合物Bが溶媒Cの中で分離することなく両者が均一に混ざり合っている状態を意味する。粒子中の金属Agに対する有機化合物Bの当量B/Agは、0.1〜10当量とすることが好ましい。ここで、銀=1モルに対し、有機化合物B=1モルが1当量に相当する。溶媒Cの液量は銀ナノ粒子が液中を浮遊するに足る量が確保される範囲で設定すればよい。
【0026】
このようにして有機化合物Bを表面に吸着させてなる銀粒子を形成させたのち、固液分離を行い、例えば「分離回収された固形分に洗浄液(例えばメタノールやイソプロパノール)を添加して超音波分散を加えた後、液を遠心分離して固形分を回収する」という操作を数回繰り返すことにより、付着している不純物を洗浄除去することが好ましい。洗浄後の粒子は、X線結晶粒子径Dxが1〜40nm好ましくは1〜15nm、TEM観察により測定される平均粒子径DTEMは3〜40nm好ましくは4〜15nmといった銀ナノ粒子であり、表面には有機化合物Bを吸着させてなる界面活性剤を有している。洗浄後の固形分を、ケトン、芳香族炭化水素、非極性炭化水素等の中から選択される目的とする溶媒中に分散させることにより銀ナノ粒子分散液を得ることができる。この銀ナノ粒子分散液は必要に応じて濃縮または希釈され、銀インクや銀ペースト等の材料として使用される。
【実施例1】
【0027】
界面活性剤(金属Ag粒子表面の保護材)として、置換前の1級アミンAにはオレイルアミン、置換後の有機化合物Bには没食子酸プロピル使用し、下記工程により没食子酸プロピルを吸着させてなる銀ナノ粒子を作成した。この銀ナノ粒子を表1に示す種々の溶媒に分散させ、分散性の良好な粒子のみを分散させた銀ナノ粒子分散液を作成した。そして、そのような銀ナノ粒子分散液を製造する場合の銀の歩留りを評価した。
【0028】
〔銀粒子合成工程〕
オレイルアミン(和光純薬工業株式会社製試薬)6009.2g、2−オクタノール(東京化成工業株式会社製試薬)2270.3g、硝酸銀結晶(関東化学株式会社製特級試薬)1495.6gを用意した。
2−オクタノールと、オレイルアミンと、硝酸銀結晶を混合して、硝酸銀が完全に溶解した液を作成した。配合は以下のとおりである。
・オレイルアミン/銀のモル比=2.5
・アルコール/銀のモル比=2.0
・アルコール/オレイルアミンのモル比=2.0/2.5=0.8
【0029】
上記配合の液10Lを準備し、還流器の付いた容器に移してオイルバスに載せ、プロペラにより100rpmで撹拌しながら120℃まで昇温速度1.0℃/min、次いで140℃まで昇温速度0.5℃/minで昇温した。その後、上記撹拌状態を維持しながら、140℃に1時間保持した。その際、容器の気相部に窒素ガスを500mL/minの流量で供給してパージしている。その後、加熱を止め、冷却した。
【0030】
反応後のスラリーを3日間静置した後、上澄みを除去した。その際、還元された銀が全スラリーに対して20質量%となるように上澄みの除去量を調整した。上澄み除去後のスラリー500gにイソプロパノール1700gを混合しプロペラにより400rpmで1時間撹拌し、その後、遠心分離により銀粒子を含む固形分を回収した。このようにして洗浄された固形分中にはアミンA(オレイルアミン)に被覆された銀粒子が存在している。
なお、洗浄前の上記スラリー500g中には金属Ag:約1モルが存在することが別途測定により判っている。
【0031】
別途、これと同一の条件で作成した洗浄後の固形分について、少量の固形分サンプルを採取して、下記の要領でX線結晶粒子径Dxを求めた。その結果、置換前の銀微粉のDxは約7nmであることが確認された。また、下記の要領で平均粒子径DTEMを求めた。その結果、置換前の銀微粉のDTEMは約8nmであることが確認された。
また、上記と同一の条件で作成した洗浄後の固形分から、オレイルアミンに被覆された置換前の銀微粉を回収し、昇温速度は10℃/minでTG−DTA測定を行った。そのDTA曲線の測定例を図7に示す。図7において、200〜300℃の間にある大きな山および300〜330℃の間にあるピークはアミンAであるオレイルアミンに起因するものであると考えられる。
【0032】
<X線結晶粒子径Dxの測定>
銀粒子の固形分サンプルをガラス製セルに塗り、X線回折装置にセットし、Ag(111)面の回折ピークを用いて、下記(1)式に示すScherrerの式によりX線結晶粒径DXを求めた。X線にはCu−Kαを用いた。
Dx=K・λ/(β・cosθ) ……(1)
ただし、KはScherrer定数で、0.94を採用した。λはCu−Kα線のX線波長、βは上記回折ピークの半価幅、θは回折線のブラッグ角である。
【0033】
<平均粒子径DTEMの測定>
銀粒子分散液を透過型電子顕微鏡(TEM)により観察し、重なっていない独立した300個の銀粒子の粒子径を計測して、平均粒子径を算出した。
【0034】
〔保護材置換工程〕
有機化合物Bとして没食子酸プロピル(東京化成工業株式会社製1級試薬)、溶媒Cとしてイソプロパノール(和光純薬株式会社製特級試薬、分子量60.1)を用意した。
没食子酸プロピル98.33gを、イソプロパノール400gと混合して、液温を40℃に保ち、イソプロパノール中に没食子酸プロピルを完全に溶解させた。この液中へ、アミンA(オレイルアミン)に被覆された銀粒子が存在している前記洗浄後の固形分(Agを約1モル(約100g)含有)を添加し、プロペラにて400rpmで撹拌した。この撹拌状態を維持しながら40℃で5時間保持した。この場合、Agに対する有機化合物Bの量は0.5当量となるように有機化合物Bの仕込量を調整してある。
【0035】
得られたスラリーを3000rpm×5minの遠心分離により固液分離した。その後、「固形分にメタノールを889.7g(銀に対して約30当量)添加して400rpmにて30分間洗浄し、遠心分離にて固形分を回収する」という操作を2回行い、保護材を没食子酸オクチルに置換した銀微粉サンプルを得た。
このサンプルについて、前記の方法にてTG−DTA測定を行った。そのDTA曲線を図8に示す。図7(置換前)と図8(置換後)の対比から、保護材は、アミンA(オレイルアミン)のほぼ全量が脱着し、有機化合物B(没食子酸プロピル)に置き換わったものと考えられる。
【0036】
このサンプルについて上記の方法でX線結晶粒子径Dxおよび平均粒子径DTEMを測定したところ、各チャージともDxは3〜8nm、DTEMは6〜12nmの範囲であった。
【0037】
〔銀ナノ粒子分散液作成工程〕
上記のようにして得られた銀微粉サンプル(メタノール洗浄後、未乾燥のもの)には、金属銀、保護材、および洗浄に使用したメタノールが含まれている。この銀微粉中の正味の銀含有量を以下の方法で求めた。
【0038】
<銀微粉中の銀含有量>
[1]銀微粉サンプルから分取した試料の質量W0(g)を測定する。
[2]メタノールを除去するために、試料を真空乾燥機を用いて室温で30分処理する。
[3]その後、試料をマッフル炉(ヤマト科学株式会社製;FO100型)により10℃/分の昇温速度で700℃まで加熱することにより保護材を揮発させ、揮発後の試料の質量W1(g)を測定する。
[4]銀微粉サンプル中の銀含有量(質量%)=W1/W0×100により算出される。
【0039】
上記の銀微粉サンプル中の金属銀含有量(質量%)に基づいて、金属銀の質量が2.0gとなる量の銀微粉サンプルを秤量し、これを表1に示した各溶媒と混合して、金属銀+保護材+残存メタノール+溶媒の合計量に占める金属銀の含有量が5.0質量%となる銀粒子+溶媒の混合物を作成した。この混合物を超音波洗浄機(シャープ株式会社製;UT606)を用いて40℃以下で60分間処理し、銀ナノ粒子を溶媒中に分散させた。
【0040】
この分散液中には沈降しやすい銀粒子も存在している。そこで、上記分散液を遠心分離機(日立工機株式会社製;himacCF7D2型)により25℃の条件下で3000rpmにて30分間の遠心分離に供し、その上澄みを回収することにより、分散性に優れた粒子のみが分散した銀ナノ粒子分散液(インク)を得た。また、沈殿した固形分も回収した。
図12に、この銀インクから採取した没食子酸プロピルを吸着させてなる銀粒子のTEM写真の一例を示す。これは溶媒としてジエチルベンゼンを用いた場合の例である。
得られた銀ナノ粒子分散液(インク)を得るまでの銀の歩留りがどの程度になるかを評価する指標として、下記のようにして「インク化効率」求めた。
【0041】
<インク化効率>
まず、以下の手順にて上記遠心分離により回収された固形分(以下「沈殿物」という)中に含まれる金属銀の質量を求める。
[1]遠心分離により沈殿物の質量W2(g)を測定する。
[2]その沈殿物をマッフル炉(ヤマト科学株式会社製;FO100型)により10℃/分の昇温速度で20℃から700℃まで加熱することにより保護材および溶媒を揮発させ、揮発後の試料の質量W3(g)を測定する。
[3]沈殿銀量はW3である。
インク化効率は以下の式により求まる。
インク化効率(%)=(仕込銀量−沈殿銀量)/仕込銀量×100(%)
=(2.0−W3)/2.0×100(%)
【0042】
〔静置試験〕
次に、得られた銀ナノ粒子分散液(インク)の分散維持性を確認するため、その分散液を入れたガラス容器を軽く撹拌した後、前記の超音波洗浄機にて10分間の超音波分散処理を施して均一に分散させた状態とし、常温で168時間静置させた後に、液の濁りや沈降凝集の発生の有無を目視確認した。その結果、液面近くに透明な上澄み部分が形成されず、液全体が銀粒子の存在により濁っている場合に、分散状態が維持されていると判定し、これを○(分散維持性良好)と評価し、それ以外の場合を×(分散維持性不良)と評価した。○評価を合格とした。結果を表1中に示す。
【0043】
インク化効率が高いほど、分散性の高いインクを得る上で銀の歩留りが良いことになる。工業化するためにはインク化効率が50%以上であることが望まれる。そこで、インク化効率が50%以上のものを○(インク化効率良好)、50%未満のものを×(インク化効率不良)と評価し、○評価を合格とした。結果を表1中に示す。
【0044】
【表1】
【実施例2】
【0045】
置換後の有機化合物Bを没食子酸オクチル(東京化成工業株式会社製1級試薬)に変更し、分散液の溶媒を表2に示すものとしたことを除き、実施例1と同様の実験を行った。なお、保護材置換工程において、Agに対する有機化合物B(没食子酸オクチル)の量は0.5当量となるように有機化合物Bの仕込量を調整した。
【0046】
置換後の銀粒子サンプルについて、前記の方法にてTG−DTA測定を行った。そのDTA曲線の測定例を図9に示す。図7(置換前)と図9(置換後)の対比から、保護材は、アミンA(オレイルアミン)のほぼ全量が脱着し、有機化合物B(没食子酸オクチル)に置き換わったものと考えられる。
保護材置換後の銀粒子サンプルについて上記の方法でX線結晶粒子径Dxおよび平均粒子径DTEMを測定したところ、各チャージともDxは3〜8nm、DTEMは6〜12nmの範囲であった。
図13に、この銀インクから採取した没食子酸オクチルを吸着させてなる銀粒子のTEM写真の一例を示す。これは溶媒としてデカリンを用いた場合の例である。
実験結果を表2に示す。
【0047】
【表2】
【実施例3】
【0048】
置換後の有機化合物Bを没食子酸ドデシル(東京化成工業株式会社製1級試薬)に変更し、分散液の溶媒を表2に示すものとしたことを除き、実施例1と同様の実験を行った。なお、保護材置換工程において、Agに対する有機化合物B(没食子酸ドデシル)の量は0.5当量となるように有機化合物Bの仕込量を調整した。
【0049】
置換後の銀粒子サンプルについて、前記の方法にてTG−DTA測定を行った。そのDTA曲線の測定例を図10に示す。図7(置換前)と図10(置換後)の対比から、保護材は、アミンA(オレイルアミン)のほぼ全量が脱着し、有機化合物B(没食子酸ドデシル)に置き換わったものと考えられる。
保護材置換後の銀粒子サンプルについて上記の方法でX線結晶粒子径Dxおよび平均粒子径DTEMを測定したところ、各チャージともDxは3〜8nm、DTEMは6〜12nmの範囲であった。
図14に、この銀インクから採取した没食子酸ドデシルを吸着させてなる銀粒子のTEM写真の一例を示す。これは溶媒としてデカリンを用いた場合の例である。
実験結果を表3に示す。
【0050】
【表3】
【実施例4】
【0051】
置換後の有機化合物Bを没食子酸(東京化成工業株式会社製試薬)に変更し、分散液の溶媒を表2に示すものとしたことを除き、実施例1と同様の実験を行った。なお、保護材置換工程において、Agに対する有機化合物B(没食子酸)の量は0.5当量となるように有機化合物Bの仕込量を調整した。
【0052】
置換後の銀粒子サンプルについて、前記の方法にてTG−DTA測定を行った。そのDTA曲線の測定例を図11に示す。図7(置換前)と図11(置換後)の対比から、保護材は、アミンA(オレイルアミン)のほぼ全量が脱着し、有機化合物B(没食子酸)に置き換わったものと考えられる。
保護材置換後の銀粒子サンプルについて上記の方法でX線結晶粒子径Dxおよび平均粒子径DTEMを測定したところ、各チャージともDxは3〜8nm、DTEMは6〜12nmの範囲であった。
図15に、この銀インクから採取した没食子酸を吸着させてなる銀粒子のTEM写真の一例を示す。
実験結果を表4に示す。
【0053】
【表4】
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】没食子酸の構造式を表した図。
【図2】没食子酸アルキルの一般的な構造式を表した図。
【図3】没食子酸プロピルの構造式を表した図。
【図4】没食子酸ヘキシルの構造式を表した図。
【図5】没食子酸オクチルの構造式を表した図。
【図6】没食子酸ドデシルの構造式を表した図。
【図7】オレイルアミンに被覆された保護材置換前の銀粒子についてのDTA曲線。
【図8】没食子酸プロピルを吸着させてなる銀粒子についてのDTA曲線。
【図9】没食子酸オクチルを吸着させてなる銀粒子についてのDTA曲線。
【図10】没食子酸ドデシルを吸着させてなる銀粒子についてのDTA曲線。
【図11】没食子酸を吸着させてなる銀粒子についてのDTA曲線。
【図12】没食子酸プロピルを吸着させてなる銀粒子のTEM写真。
【図13】没食子酸オクチルを吸着させてなる銀粒子のTEM写真。
【図14】没食子酸ドデシルを吸着させてなる銀粒子のTEM写真。
【図15】没食子酸を吸着させてなる銀粒子のTEM写真。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
没食子酸のカルボキシル基のHを(CH2)n-1CH3、ただしn=1〜12、で表されるアルキル基に置換した構造の有機化合物が、金属銀表面を被覆しているX線結晶粒子径Dx:1〜40nmの銀ナノ粒子。
【請求項2】
没食子酸が、金属銀表面を被覆しているX線結晶粒子径Dx:1〜40nmの銀ナノ粒子。
【請求項1】
没食子酸のカルボキシル基のHを(CH2)n-1CH3、ただしn=1〜12、で表されるアルキル基に置換した構造の有機化合物が、金属銀表面を被覆しているX線結晶粒子径Dx:1〜40nmの銀ナノ粒子。
【請求項2】
没食子酸が、金属銀表面を被覆しているX線結晶粒子径Dx:1〜40nmの銀ナノ粒子。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2009−221505(P2009−221505A)
【公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−65253(P2008−65253)
【出願日】平成20年3月14日(2008.3.14)
【出願人】(506334182)DOWAエレクトロニクス株式会社 (336)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年3月14日(2008.3.14)
【出願人】(506334182)DOWAエレクトロニクス株式会社 (336)
【Fターム(参考)】
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