説明

河川用止水マットの敷設方法

【課題】軽量で施工性、作業性に優れ、アンカーピンの打設による穴からの漏水を防止できる河川用止水マットの敷設方法を提供する。
【解決手段】河川堤防護岸に敷設する河川用止水マット11の敷設方法であって、護岸である地面27に対向する一方の面が凹凸面19で構成され遮水性を備える合成樹脂製の止水シート13と、止水シート13の他方の面21側に展設されるクッション性を備えた不織布よりなる保護マット15と、を一体化して構成された河川用止水マット11を、所望の箇所に異形鉄筋よりなるアンカーピン25を打設して地面27に固定するにあたり、アンカーピン25の打設位置となる保護マット15の所望の箇所にシーリング材17を注入し、シーリング材17注入箇所にアンカーピン25を打設する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、河川堤防護岸に敷設して、河川の水や雨水が堤体内に浸透するのを防ぐ遮水工法に使用する河川用止水マットの構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、堤防護岸の遮水工法においては、止水シートと不織布を組み合わせた遮水マットが使用されてきた。
【0003】
この遮水工法では、河川護岸において遮水マットを敷設し、その上にブロックマット等のシート状材料を設置し、それをアンカーピンにより固定する場合がある。この場合、アンカーピンにより止水シートに貫通した孔があけられるため、その後にコーキングや止水シートの増貼りができない場合もその部分からの漏水が問題になる。
【0004】
その対策として、吸水性を持ち、防水性を持つ粉状ベントナイトを不織布や織布で挟み込んだベントナイトシートを使用することが知られているが、重量物であるため作業性が悪いという欠点があった。そこで、特許文献1に示すように、ピン孔による漏水防止のために、高吸水性ポリマー繊維を含む不織布等の漏水防止シートを挟み込んだ遮水マットが使用されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−16529
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、この遮水マットは、アンカーピンによる孔から漏水を防止することが目的であることから、アンカーピン打設箇所のみの漏水を防止すればよく、上記のような遮水マットは、漏水防止シートが全面に配されるので、アンカーピンをどの箇所に打設しても漏水は発生しない利点があるものの、アンカーピンを打設しないほとんどの部分における漏水防止は余分であり、その余分な漏水防止シートについてコスト高になると共に、重量が増して作業性が悪いという欠点がある。
【0007】
また、アンカーピンの打設により、不織布の繊維がアンカーピンに絡みながら止水シートを穿孔状態となることから、止水シートの貫通時に、不織布の繊維が巻き込まれた状態となり、その繊維を通じて漏水が起こる欠点も有している。
【0008】
本発明は、上記の実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、コストが安く、軽量で施工性、作業性に優れ、アンカーピンの打設による穴からの漏水を防止できる河川用止水マットの敷設方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
次に、上記の課題を解決するための手段を、実施の形態に対応する図面を参照して説明する。
この発明の請求項1記載の河川用止水マットの敷設方法は、河川堤防護岸に敷設する河川用止水マット11の敷設方法であって、
前記護岸である地面27に対向する一方の面が凹凸面19で構成され遮水性を備える合成樹脂製の止水シート13と、
該止水シート13の他方の面21側に展設されるクッション性を備えた不織布よりなる保護マット15と、
を一体化して構成された河川用止水マット11を、所望の箇所に異形鉄筋よりなるアンカーピン25を打設して前記地面27に固定するにあたり、
前記アンカーピン25の打設位置となる保護マット15の所望の箇所にシーリング材17を注入し、
該シーリング材17注入箇所に前記アンカーピン25を打設することを特徴とする。
【0010】
この河川用止水マットの敷設方法では、止水シート13の凹凸面19によって、敷設箇所である地面27、例えば護岸の斜面など法面に対しての滑落が防止され、この斜面27が覆われた状態を維持できる。さらにアンカーピン25を打設することで、止水マット11は、その敷設位置からのズレが防止されることとなる。アンカーピン25の打設箇所には、その打設前にシーリング材17が注入される。止水マット11に打設されるアンカーピン25は、保護マット15を構成する不織布の繊維が絡み貫通する穴に巻き込むが、その打設箇所にはシーリング材17が注入され、含浸状態であることで、アンカーピン25にシーリング材17を含む不織布がシーリング材17とともに密着状態となり、また、止水シート13に穿設されることとなる貫通穴は拡がることがなく、シーリング材17が介在状態となる貫通穴とアンカーピン25外周面との間の部分からの漏水が、極微小、若しくは漏水することがないものとなる。
【0011】
請求項2記載の河川用止水マットの敷設方法は、河川堤防護岸に敷設する河川用止水マット11の敷設方法であって、
前記護岸である地面27に対向する一方の面が凹凸面19で構成され遮水性を備える合成樹脂製の止水シート13と、
該止水シート13の他方の面21側に展設されるクッション性を備えた不織布よりなる保護マット15と、
を一体化して構成された河川用止水マット11を、所望の箇所に異形鉄筋よりなるアンカーピン25を打設して前記地面27に固定するにあたり、
前記アンカーピン25の表面にシーリング材18を塗布し、
該アンカーピン25を打設することを特徴とする。
【0012】
この河川用止水マットの敷設方法では、止水シート13の凹凸面19によって、敷設箇所である地面27、例えば護岸の斜面など法面に対しての滑落が防止され、この斜面27が覆われた状態を維持できる。さらにアンカーピン25を打設することで、止水マット11は、その敷設位置からのズレが防止されることとなる。アンカーピン25には、その打設以前にシーリング材17が表面に塗布される。止水マット11に打設されるアンカーピン25は、保護マット15を構成する不織布の繊維が絡み貫通する穴に巻き込むが、アンカーピン25の表面にシーリング材17が塗布されていることで、アンカーピン25に不織布がシーリング材17を介して密着状態となり、また、止水シート13に穿設されることとなる貫通穴は拡がることがなく、シーリング材17が介在状態となる貫通穴とアンカーピン25外周面との間の部分からの漏水が、極微小、若しくは漏水することがないものとなる。
【0013】
請求項3記載の河川用止水マットの敷設方法は、請求項1記載の河川用止水マットの敷設方法において、
前記アンカーピン25は、表面にシーリング材17が塗布され、前記打設が行われることを特徴する。
【0014】
この河川用止水マットの敷設方法では、アンカーピン25の表面に塗布されるシーリング材17により、打設時に穿設されてしまう止水シート13の貫通穴とアンカーピン25との間に、保護マット15に含まれるシーリング材17とアンカーピン25表面のシーリング材17とが介在することになり、漏水をより効果的に防ぐこととなる。
【0015】
請求項4記載の河川用止水マットの敷設方法は、請求項1,2,3のいずれか1つに記載の河川用止水マットの敷設方法において、
前記シーリング材17は、一成分形のシーリング材よりなることを特徴とする。
【0016】
この河川用止水マットの敷設方法では、シーリング材17を一成分形のシーリング材としたことで、取り扱いが容易となり、施工性・作業性が向上する。
【0017】
請求項5記載の河川用止水マットの敷設方法では、請求項4記載の河川用止水マットの敷設方法において、
前記一成分形のシーリング材は、湿気硬化型水膨張性ポリウレタン樹脂系シーリング材であることを特徴とする。
【0018】
この河川用止水マットの敷設方法では、シーリング材が水膨張性樹脂系としたことで、マット敷設後のアンカーピンの打設による穿孔部分が、通水によって水膨張を起こしアンカーピンを通じての漏水が防止可能となる。
【発明の効果】
【0019】
本発明による請求項1記載の河川用止水マットの敷設方法では、止水シートの凹凸面によって、敷設箇所である護岸の斜面など法面に対しての滑落が防止され、この斜面が覆われた状態を維持することが可能となる。さらにアンカーピンを打設することで、止水マットは、その敷設位置からのズレが防止されることとなる。アンカーピンの打設箇所には、その打設前にシーリング材が注入され、止水マットに打設されるアンカーピンは、保護マットを構成する不織布の繊維が絡み貫通する穴に巻き込むが、その打設箇所にはシーリング材が注入され、含浸状態であることで、アンカーピンにシーリング材を含む不織布がシーリング材とともに密着状態となり、また、止水シートに穿設されることとなる貫通穴は拡がることがなく、シーリング材が介在状態となる貫通穴とアンカーピン外周面との間の部分からの漏水が、極微小、若しくは漏水することがないものとなる。さらに、この河川用止水マットは、保護マットと防止シートとが不織布で構成されることで、軽量に構成させることができ、これにより施工性が向上することとなる。
【0020】
請求項2記載の河川用止水マットの敷設方法では、止水シートの凹凸面によって、敷設箇所である護岸の斜面など法面に対しての滑落が防止され、この斜面が覆われた状態を維持することが可能となる。さらにアンカーピンを打設することで、止水マットは、その敷設位置からのズレが防止されることとなる。アンカーピンには、その打設以前にシーリング材が表面に塗布され、止水マットに打設される際に、保護マットを構成する不織布の繊維が絡み貫通する穴に巻き込むが、アンカーピンの表面にシーリング材が塗布されていることで、アンカーピンに不織布がシーリング材を介して密着状態となり、また、止水シートに穿設されることとなる貫通穴は拡がることがなく、シーリング材が介在状態となる貫通穴とアンカーピン外周面との間の部分からの漏水が、極微小、若しくは漏水することがないものとなる。
【0021】
請求項3記載の河川用止水マットの敷設方法では、アンカーピンの表面に塗布されるシーリング材により、打設時に穿設されてしまう止水シートの貫通穴とアンカーピンとの間に、保護マットに含浸されるシーリング材とアンカーピン表面のシーリング材とが介在することになり、漏水をより効果的に防ぐこととなる。
【0022】
請求項4記載の河川用止水マットの敷設方法では、シーリング材を一成分形のシーリング材としたことで、取り扱いが容易となり、施工性・作業性が向上する。
【0023】
請求項5記載の河川用止水マットの敷設方法では、シーリング材が水膨張性樹脂系とされたことで、マット敷設後のアンカーピンの打設による穿孔部分が、通水によって水膨張しアンカーピンを通じての漏水が防止可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明による河川用止水マットの一実施形態を示す敷設状態の概略断面図である。
【図2】同河川用止水マットを示す断面図である。
【図3】アンカーピンを側面図を(a)に、他の実施形態におけるアンカーピンの側面図を(b)に示した図である。
【図4】本発明による河川用止水マットの敷設方法の手順を示す概略斜視図である。
【図5】同敷設方法の手順を示すシーリング材注入時の断面図である。
【図6】同敷設方法の手順を示すシーリング材注入状態の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1は本発明による河川用止水マットの構造の一実施形態を示す敷設状態の概略断面図である。
本実施形態の河川用止水マット11の構造は、止水シート13と、保護マット15とを略積層状に構成している。
止水シート13は、厚さ約1.0mmとされ、地面に対向する一方の面が凹凸面19で構成される遮水性を備えるシート材で、例えば比重が0.15g/cm3 以上とされ、素材としては、エチレン−酢酸ビニル共重合体や、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアミド、エチレン−(メタ)アクリル酸メチル共重合体などが挙げられる。これらは1種のみを単独で使用しても良く、2種以上を併用することもできる。なお、凹凸面19の形状としては、平滑な面に対して突起状の凸部が所定間隔ごと或いはランダムに縦横に配列した構造や、畦状の凸部を所定間隔で枡目状,格子状に形成する構造など摩擦抵抗となる形状が好ましい。
【0026】
保護マット15は、厚さ約10mmのクッション性を備える合成繊維製マットとされ、素材としては、不織布が好ましく、例えば密度0.13g/cm2 程度とした不織布が好適とされ、その他に、織布、編み物、グリッドなどが使用でき、これらを構成する繊維としては、非生分解性、若しくは難生分解性の繊維であれば特に限定はなく、例えばポリエステル繊維、アクリル樹脂繊維、ポリオレフィン繊維、ポリアミド繊維などが挙げられる。
【0027】
止水シート13と保護マット15とは、接着剤による接着や、熱溶着などで互いが接着され、止水シート13の他方の面である平滑面21に保護マット15が重畳され積層状に接着されて止水マット11とされる。この止水マット11としては、例えば長さ約20m、幅約200cmの略帯状に形成される。
【0028】
止水マット11の止水シート13は、図2に示すように、保護マット15の幅長よりも幅方向の一側縁が延出しており、例えば保護マット15の幅長を200cmとした場合に約15cm延出するよう構成される。この止水シート13の延出した部分は、隣り合う他の止水マット11とともに敷設された場合の重ね代23となる。
【0029】
アンカーピン25は、図3に示すように、表面に凹凸の突起が形成された異形鉄筋よりなり、約40〜50cmの真直な挿入部25aと、この挿入部25aの一端に屈曲形成された保持部25bとを具備している。挿入部25aの先端26は、切削や研削などの加工を施して尖鋭な形状としている。
【0030】
このように構成された河川用止水マット11は、図4に示すように河川堤防護岸における地面としての斜面(法面)27に下流側から順に敷設される。止水マット11は、止水シート13を下面とし、この止水シート13の凹凸面19を斜面27に対向させて敷設される。
【0031】
敷設時には、重ね代23が上流側に向くように斜面27の上方から下方に向けて、巻回状態の止水マット11を展張し、止水シート13の一側縁に延設された重ね代23に、隣接する他の止水マット11の止水シート13が重なるように敷設する。重ねられる止水シート13同士は、互いを接着或いは溶着することなく重ねるのみである。なお、互いの接合状態を保つよう構成する場合には、重ね代23の所定の位置で熱溶着や接着剤による接着、粘着テープによる接着などを行うこととしてもよく、この場合、接着箇所を点状に断続的に設けてもよく、或いは重ね代23の長手方向に沿って線状に連続して設けてもよい。
【0032】
止水マット11の表面側となる保護マット15には、所望の箇所にシーリング材17が注入される。図5に示すように、コーキングガン29などの器具を用い、保護マット15の表面からシーリング材17を注入し、保護マット15にシーリング材17を含浸状態とする(図6参照)。 このシーリング材17の注入は、止水マット11の敷設直後でもよく、或いは、アンカーピン25の打設直前としてもよい。
【0033】
また、シーリング材は、図3(b)に示すように、アンカーピン25の表面に塗布される構成としてもよい。このシーリング材18は、上記した保護マット15に注入されるシーリング材17と同様の素材であり、アンカーピン25の挿入部25aの表面に塗布され、シーリング材18よりなる塗膜が形成される。なお、このアンカーピン25の表面のシーリング材18は、アンカーピン挿入部25aにおける保持部25b近傍や、この保持部25a側の略半部、或いは挿入部25a全体に塗布され表面を覆うよう構成することとしてもよい。
【0034】
保護マット15に注入されるシーリング材17及びアンカーピン25に塗布されるシーリング材18としては、一成分形のシーリング材が好ましく、例えば湿気硬化型のシリコン系、変性シリコン系、ポリサルファイド系、ポリウレタン系などとされ、また、乾燥硬化型のエマルジョンタイプ・アクリル系や、溶剤タイプ・ブチルゴム系などとされる。また、このシーリング材17,18は、水膨張性を有するものでも良く、好ましくは湿気硬化型の一液弾性である水膨張性ポリウレタン系樹脂よりなるシーリング材とされる。
【0035】
なお、上述した敷設施工後に、さらに止水マット11を重ね、2層構造、3層構造として斜面27を覆う構成としてもよく、その場合には、保護マット15へ適宜シーリング材17が注入されることとしてもよい。
【0036】
河川堤防護岸の斜面27を覆う止水マット11には、シーリング材17が注入された箇所にアンカーピン25が打設される。シーリング材17の注入された箇所は保護マット15自体がシーリング材17により変色し、その箇所が判別可能である。
【0037】
アンカーピン25は、止水マット11の保護マット15側から打設されて貫通し、斜面27に挿着され、アンカーピン25の頭部となる保持部25bにて止水マット11が抑えられる(図1参照)。
【0038】
このように構成される止水マット11によれば、止水シート13の凹凸面19によって、斜面27に対しての滑落が防止され、この斜面27が覆われた状態を維持できる。さらにアンカーピン25を打設することで、止水マット11は、その敷設位置からのズレが防止されることとなる。
【0039】
止水マット11を貫通するアンカーピン25は、その表面の凹凸により保護マット15の不織布の繊維が絡み、貫通する穴の裏面側へと巻き込まれるが、その打設箇所に含浸されたシーリング材17によってアンカーピン25の貫通径を維持するように密着状態となり、貫通穴は拡がることがなく、シーリング材17が介在状態となって、貫通穴とアンカーピン25外周面との間の部分からの漏水が極微小、若しくは漏水することがない。
【0040】
また、アンカーピン25の挿入部25aにシーリング材18が塗布された構成とし、このアンカーピン25を用いて打設することとした場合には、打設されるアンカーピン25の表面が貫通穴部分に位置することとなり、上記同様に止水マット11の貫通穴部分において、シーリング材18が介在することとなり、この部分における漏水等を防ぐこととなる。
【実施例】
【0041】
次に、本発明の河川用止水マット用い、実施例と比較例とで比較をする。
まず、比較例として、上述と同様の保護マット15と止水シート13とからなる止水マット11を用い、シーリング材17を使用しない場合、すなわちシーリング材17の注入や、塗布等を行わずに、アンカーピン25を貫通させた状態で、保護マット15側から水を0.1MPの圧力を加える。
この比較例の結果は、止水シート13側から貫通穴を伝わり漏水が起こり、その漏水量は0.55リットル/分となった。
【0042】
次に、実施例として、以下の2例の結果を示す。
・実施例1:
シーリング材として三洋工業株式会社製の一成分形の湿気硬化型ポリウレタン樹脂を使用。
保護マット15に、このシーリング材を注入し含浸状態とする。
この止水マットでは、上記と同じ0.1MPの水圧では、漏水量が0.03リットル/分となった。
・実施例2:
シーリング材としてシーアイ化成株式会社製の一成分形の湿気硬化型水膨張製ポリウレタン樹脂を使用。
保護マット15に、このシーリング材を注入し含浸状態とする。
この止水マットでは、上記と同じ0.1MPの水圧では、漏水量が0.01リットル/分となった。
なお、この実施例2の場合、水圧を加え始めてから4〜5分経過後に、漏水量が0リットル/分となった。
【0043】
このように、シーリング材を用いない構成に比べ、保護マットにシーリング材を注入し含浸させることでアンカーピンの位置における止水性能が向上し漏水が極微小なものとなることがわかり、特に水膨張性素材のシーリング材では、アンカーピンにて貫通した状態でも漏水を抑止することが可能となった。
【符号の説明】
【0044】
11…河川用止水マット
13…止水シート
15…保護マット
17,18…シーリング材
19…凹凸面
21…他方の面(平滑面)
25…アンカーピン
27…地面(斜面)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
河川堤防護岸に敷設する河川用止水マットの敷設方法であって、
前記護岸である地面に対向する一方の面が凹凸面で構成され遮水性を備える合成樹脂製の止水シートと、
該止水シートの他方の面側に展設されるクッション性を備えた不織布よりなる保護マットと、
を一体化して構成された河川用止水マットを、所望の箇所に異形鉄筋よりなるアンカーピンを打設して前記地面に固定するにあたり、
前記アンカーピンの打設位置となる保護マットの所望の箇所にシーリング材を注入し、
該シーリング材注入箇所に前記アンカーピンを打設することを特徴とする河川用止水マットの敷設方法。
【請求項2】
河川堤防護岸に敷設する河川用止水マットの敷設方法であって、
前記護岸である地面に対向する一方の面が凹凸面で構成され遮水性を備える合成樹脂製の止水シートと、
該止水シートの他方の面側に展設されるクッション性を備えた不織布よりなる保護マットと、
を一体化して構成された河川用止水マットを、所望の箇所に異形鉄筋よりなるアンカーピンを打設して前記地面に固定するにあたり、
前記アンカーピンの表面にシーリング材を塗布し、
該アンカーピンを打設することを特徴とする河川用止水マットの敷設方法。
【請求項3】
前記アンカーピンは、表面にシーリング材が塗布され、前記打設が行われることを特徴する請求項1記載の河川用止水マットの敷設方法。
【請求項4】
前記シーリング材は、一成分形のシーリング材よりなることを特徴とする請求項1,2,3のいずれか1つに記載の河川用止水マットの敷設方法。
【請求項5】
前記一成分形のシーリング材は、湿気硬化型水膨張性ポリウレタン樹脂系シーリング材であることを特徴とする請求項4記載の河川用止水マットの敷設方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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