沸騰水型原子炉のジェットポンプ
【課題】
スロートとディフューザとの接合部に発生する変動流体力を抑制し、より信頼性の高い沸騰水型原子炉のジェットポンプを提供すること。
【解決手段】
本発明は、上記課題を解決するために、冷却材である駆動流体を噴出するノズルと、前記駆動流体と吸引された被駆動流体が流入するベルマウス、前記駆動流体と前記被駆動流体を混合する直管部、広がり管から成るスロートと、該スロートの下端でスリップジョイントにより接合されるディフューザと、前記スロートを固定するリストレーナブラケットとを備え、炉心を内蔵する原子炉圧力容器内に配置され、前記炉心に冷却材を循環する沸騰水型原子炉のジェットポンプにおいて、前記スロートとディフューザとの接合部に、少なくとも1つのバイパス流路を備えていることを特徴とする。
スロートとディフューザとの接合部に発生する変動流体力を抑制し、より信頼性の高い沸騰水型原子炉のジェットポンプを提供すること。
【解決手段】
本発明は、上記課題を解決するために、冷却材である駆動流体を噴出するノズルと、前記駆動流体と吸引された被駆動流体が流入するベルマウス、前記駆動流体と前記被駆動流体を混合する直管部、広がり管から成るスロートと、該スロートの下端でスリップジョイントにより接合されるディフューザと、前記スロートを固定するリストレーナブラケットとを備え、炉心を内蔵する原子炉圧力容器内に配置され、前記炉心に冷却材を循環する沸騰水型原子炉のジェットポンプにおいて、前記スロートとディフューザとの接合部に、少なくとも1つのバイパス流路を備えていることを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は沸騰水型原子炉のジェットポンプに係り、特に、原子炉圧力容器と炉心シュラウドとの間に設置され、冷却水循環用として適用するに好適な沸騰水型原子炉のジェットポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の沸騰水型原子炉(以下、BWRという)は、原子炉圧力容器と炉心シュラウドとの間にジェットポンプが設置されている。このジェットポンプは、ノズル、ベルマウス、スロート及びディフューザを備え、ノズルから噴き出した後述する駆動水により、ベルマウス周辺の冷却水を、ベルマウス内に吸い込むようになっている。吸い込まれた大量の冷却水及び駆動水は、スロート、ディフューザを経由して、下部プレナムから炉心内に流入する。
【0003】
ジェットポンプは、ノズルからの噴出流により、大量の冷却水を吸い込み、大量の冷却水を吹き出させることから、流路であるスロートに変動流体力が生じる。現状のBWRにおけるジェットポンプのスロートは、リストレーナブラケット位置において、3点で支持されている。
【0004】
これらは、スロートの伸びを考慮し、楔による線接触一箇所とボルト先端による点接触二箇所で支持され、スロート振動を抑制している。変動流体力を減少させれば、更にスロート振動の抑制効果が大きくなる。
【0005】
このスロート振動を抑制するものとして、特許文献1乃至3に記載されたものが提案されている。
【0006】
即ち、特許文献1には、スロートとディフューザとの接合部のスリップジョイント部内に弾性体(例えば、板ばね)を設け、接合部からのリーク水量を減少させると共にスロート振動を抑制する構造が記載されている。
【0007】
また、特許文献2には、スロートとディフューザとの接合上部にシールリングを設け、接合部からのリーク水量を減少させると共にスロート振動を抑制する構造が記載されている。
【0008】
更に、特許文献3には、スロートとディフューザとの接合部のスリップジョイント部内にラビリンスシール機構を設け、接合部からのリーク水量を減少させると共にスロート振動を抑制する構造が記載されている。
【0009】
特許文献1乃至3に記載されているのは、いずれも接合部からのリーク水量を減少させると共に、スロート振動を抑制するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2008-170272号公報
【特許文献2】特開2002-221589号公報
【特許文献3】特公昭59-48360号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ジェットポンプの性能は、以下に示すようなM比、N比及び効率によって表される。M比は、駆動水(再循環水)の流量Qa(後述する図2参照)に対する被駆動水(冷却水)の流量Qb(後述する図2参照)の比であり、(1)式で表される。
【0012】
M比 = Qb/Qa ……(1)
N比は、駆動水に対する被駆動水の全水頭比であり、(2)式で表される。
【0013】
N比 = (Hc−Hb)/(Ha−Hc) ……(2)
ここで、後述する図2に記載されているように、Haはノズルの駆動水入口における全水頭、Hbはジェットポンプの被駆動水入口における全水頭、Hcはジェットポンプ出口における全水頭である。効率は、駆動水に対する被駆動水のエネルギーの比であり、M比とN比の積で表される。
【0014】
効率 = M比 × N比 ……(3)
ジェットポンプとしては、効率がより高いことが望ましい。小さい容量の再循環ポンプを用いて、ジェットポンプから噴出される冷却水流量を効率良く増加させることができれば、再循環系をコンパクト化することができ、再循環系の設置スペースを低減できる。
【0015】
また、既設の原子炉(例えば、BWR)で出力向上を行う場合には、炉心流量を増加することにより、原子炉出力の向上幅を拡大することができる。更に、炉心流量の制御幅の拡大によって、炉心内のボイド率の変化幅が増大し、燃料経済性を高めることができる。
【0016】
このように炉心流量を増加させるためには、再循環ポンプ、給水ポンプ及びジェットポンプを改良すると良い。出力向上を目的とした既設の原子炉の改造においては、再循環ポンプ及び給水ポンプなどの大型機器の改造、交換に比べて、小規模な改造で済むジェットポンプを改良し、効率向上を図ることが有効である。ジェットポンプの性能が向上し、吐出流量が増大すると、ジェットポンプで生じる変動流体力が増加する。
【0017】
この変動流体力の発生原因の一つは、スリップジョイントを形成するスロートとディフューザとの接合部からのリーク水である。リーク水は、スロートとディフューザとの接合部出口において、スロートとディフューザ間から流出する際に渦を発生する。この渦がスロートの壁面などにぶつかることで、スロートに変動流体力が生じる。
【0018】
特許文献1乃至3には、スロートとディフューザとの接合部からのリーク水の水量を減少させることで、スロート振動の発生を抑制することの記載がある。しかし、接合部からのリーク水の水量を減少させれば、発生する渦が小さくなりスロート振動の発生が抑制されるが、発生する渦がスロートの壁面などにぶつかる変動流体力自体を抑制することはできない。
【0019】
本発明は上述の点に鑑みなされたもので、その目的とするところは、スロートとディフューザとの接合部に発生する変動流体力を抑制し、より信頼性の高い沸騰水型原子炉のジェットポンプを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明の沸騰水型原子炉のジェットポンプは、上記目的を達成するために、冷却材である駆動流体を噴出するノズルと、前記駆動流体と吸引された被駆動流体が流入するベルマウス、前記駆動流体と前記被駆動流体を混合する直管部、広がり管から成るスロートと、該スロートの下端でスリップジョイントにより接合されるディフューザと、前記スロートを固定するリストレーナブラケットとを備え、炉心を内蔵する原子炉圧力容器内に配置され、前記炉心に冷却材を循環する沸騰水型原子炉のジェットポンプにおいて、前記スロートとディフューザとの接合部に、少なくとも1つのバイパス流路を備えているか、
若しくは、前記スロートとディフューザとの接合部で、前記ディフューザの端部と重なり合う前記スロートとの出口部における該スロートの外側表面に、リーク水の流れを変流させる手段、例えば、突起状の構造物を設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、スロートとディフューザとの接合部に発生する変動流体力を抑制し、より信頼性の高い沸騰水型原子炉のジェットポンプを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明のジェットポンプが適用される沸騰水型原子炉の概略構成を示す図である。
【図2】図1における従来のジェットポンプを一部破断して示す部分斜視図である。
【図3】図における従来のジェットポンプを示す詳細図と従来のスロート振動振幅を示す模式図である。
【図4】図3のB-B矢視図である。
【図5】図3におけるジェットポンプ6のスロートとディフューザとの接合部を拡大して示す断面図である。
【図6】本発明の沸騰水型原子炉のジェットポンプの実施例1おけるジェットポンプのスロートとディフューザとの接合部を拡大して示す断面図である。
【図7】図6のジェットポンプのスロートとディフューザとの接合部を周方向から見た一例を示す図である。
【図8】図6のジェットポンプのスロートとディフューザとの接合部を周方向から見た他の例を示す図である。
【図9】本発明の沸騰水型原子炉のジェットポンプの実施例2おけるジェットポンプのスロートとディフューザとの接合部を拡大して示す断面図である。
【図10】本発明の沸騰水型原子炉のジェットポンプの実施例3おけるジェットポンプのスロートとディフューザとの接合部を拡大して示す断面図である。
【図11】本発明の沸騰水型原子炉のジェットポンプの実施例3の変形例であるスロートとディフューザとの接合部を拡大して示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図示した実施例に基づき本発明の沸騰水型原子炉のジェットポンプについて説明する。
【0024】
ここでは、先ず、図1乃至5を用いて、ジェットポンプを備えたBWRの概略の構造と従来技術での課題を説明し、その後に、図6乃至11を用いて、本発明の実施例について説明する。
【0025】
図1に、BWRの概略構成を示す。該図に示す如く、BWRは、原子炉圧力容器1を有し、この原子炉圧力容器1内には、炉心シュラウド2が配置されている。炉心シュラウド2内には、複数の燃料集合体が装荷された炉心3が配置されている。原子炉圧力容器1内の炉心3の上方には、気水分離器4及び蒸気乾燥器5が配置されている。原子炉圧力容器1と炉心シュラウド2の間に形成される環状のダウンカマ7内には、ジェットポンプ6が配置されている。原子炉圧力容器1には、再循環系が設けられており、この再循環系は、再循環系配管8及び再循環ポンプ9を有する。再循環系配管8の一端は、原子炉圧力容器1内のダウンカマ7に接続され、再循環系配管8の他端は、ダウンカマ7内に配置されたライザ管10を介してジェットポンプ6のノズル11に接続されている。更に、主蒸気配管12及び給水配管13が、原子炉圧力容器1に接続されている。
【0026】
原子炉圧力容器1内の上部に存在する冷却水(被駆動流体、冷却材)14は、給水配管13から原子炉圧力容器1に供給された給水15と混合されてダウンカマ7内を下降する。冷却水14は、再循環ポンプ9の駆動によって再循環系配管8内に流入し、再循環ポンプ9によって昇圧される。この昇圧された冷却水を、便宜的に、駆動水16(駆動流体)という。
【0027】
この駆動水16は、再循環系配管8、ライザ管10を介してジェットポンプ6のノズル11から噴出される。ノズル11の周囲に存在する冷却水14は、ノズル11から駆動水16が吹き出されることによって、ベルマウス17からスロート18内に吸い込まれる。吸い込まれた冷却水14は、駆動水16と共にスロート18内を下降し、ディフューザ19から吐出される。このディフューザ19から吐出される冷却水(吸い込まれた冷却水14及び駆動水16)を、炉心冷却水20という。
【0028】
炉心冷却水20は、下部プレナム21を通って炉心3に供給される。炉心冷却水20は、炉心3を通過する際に加熱されて水及び蒸気を含む二相流となる。この水及び蒸気を含む二相流は、気水分離器4で蒸気と水に分離され、気水分離器4で分離された蒸気は、更に蒸気乾燥器5で湿分が除去されて、主蒸気配管12に排出される。主蒸気配管12に排出された蒸気は、蒸気タービン(図示せず)に導かれ、蒸気タービンを回転させる。蒸気タービンから排出された蒸気は、復水器(図示せず)で凝縮されて水となり、この水が、給水15として給水配管13を介して再び原子炉圧力容器1内に供給される。気水分離器4及び蒸気乾燥器5で分離された水は、落下して冷却水14となる。
【0029】
ジェットポンプ6は、再循環ポンプ9によって与えられたエネルギを、冷却水14に効果的に伝えることができ、ジェットポンプ6から吐出される炉心冷却水20の流量は、駆動水16の流量(Qa)よりも増大する。
【0030】
再循環ポンプ9によって与えられた駆動水16の運動エネルギが、冷却水14に有効に作用すれば、ベルマウス17内に吸い込まれる冷却水14の流量(Qb)が増加し、炉心冷却水20の流量が更に増加する。
【0031】
そのため、駆動水16の運動エネルギが増加するように、ノズル11の出口における駆動水16の流速を増加させると共に、スロート18の入口部で流路面積をベルマウス17の断面積よりも小さくすることにより、冷却水14の速度を増加して静圧を下げることができれば、より多くの冷却水14をスロート18で吸い込むことができ、少ない動力で必要な炉心流量を確保することができる。
【0032】
図2に、原子炉でのジェットポンプ6の取り付け状況の詳細を示す。尚、図2には、ジェットポンプ6の性能を評価する上で必要となる前記(1)、(2)式の記号を表す部位も合わせ記してある。
【0033】
図2に示すように、ジェットポンプ6は、ノズル11、ベルマウス17、スロート直管部25とスロート広がり管部25から成るスロート18及びディフューザ19で概略構成されている。また、図2のように、実機においては、ジェットポンプ6が2台で1組となっている。
【0034】
そして、駆動水16は、ライザ管10の上部で分岐管22により二手に別れ、それぞれがノズル11に供給される。ノズル11は、ベルマウス17の上部開口部と向かい合う形で配置され、ノズル11とベルマウス17との間には、ノズル11の周囲に存在する冷却水14をベルマウス17内に吸い込む冷却水吸引流路が形成される。
【0035】
ノズル11から噴出する駆動水16により吸引される被駆動水は、この冷却水吸引流路を通り、スロート直管部24に流入する。冷却水吸引流路には固定板23があり、ノズル11をベルマウス17に固定している。
【0036】
ノズル11から噴出した駆動水16は、ベルマウス17から下方のスロート直管部24を経由して、ラッパ状に広がったスロート広がり管部25に向かい流入する。スロート直管部24とディフューザ19との接続は、スロート広がり管部25の下端が、スリップジョイント26で接続される。ディフューザ19は、上端部で流路断面積が狭く、下方に向かうに従って流路断面積が徐々に増大し、下部プレナム上部壁27に接続されている。
【0037】
このようなジェットポンプ6は、分岐管22からディフューザ19の下端までが約6mと長く、熱膨張を吸収する機構を備えることが必要となる。この熱膨張を吸収する機構としてスリップジョイント26がある。また、スリップジョイント26は、ノズル11側のメンテナンスをし易くする利点を有する。更に、スロート18は、その振動を抑えるために、ライザ管10に固定されているリストレーナブラケット29の位置で固定されている。
【0038】
次に、上述した従来技術における課題を図3乃至図5を用いて説明する。
【0039】
まず、図3及び4には、現状のBWRにおけるジェットポンプ6の上部構造のインレットミキサー30部と、スロート振動抑制構造の詳細及び内部の冷却材の流動状態を示す。
【0040】
現状のBWRのジェットポンプのスロート振動抑制構造は、メンテナンス性を考慮し、交換し易い単純な構造である。即ち、リストレーナブラケット29をベースに、傾斜面を有する楔31によるものと、2箇所の押しボルト32により振れ止めするものである。尚、この押え部であるスロート外表面33の構造は、固定し易くするため垂直面を有し、耐磨耗の観点からステライト肉盛を施したものである。
【0041】
また、楔31は、スロート外表面33と楔31と同じ傾斜となるリストレーナブラケット29の突起部34の間にはめ込まれ、上下のボルト35により固定される。この上下のボルト35は、スロート広がり管部25に溶接された冶具36のネジにより固定されている。
【0042】
このように、現状のBWRにおえるスロートの固定方法は、楔31の線接触、押しボルト32の点接触の支持構造で固定され、これにより、スロート18の振動を抑制している。
【0043】
図3の右側に、インレットミキサー部30の振動モードを示す。
【0044】
図2に示す如く、ライザ管10の上部に固定される分岐管22は、固定冶具によりライザ管10の上部と一体構造となっている。従って、スロート18は、片持ち支持構造の振動が生じ、分岐管22が支持点となり、図3右側の破線のように振動する。
【0045】
このような振動モードにおいて、図3に示すリストレーナブラケット29の楔31、押しボルト32により、スロート18を完全に締め付け続けることができれば、スロート18が大きく振動することは無い。そこで、摩耗や緩みの原因となり、また共振を発生させる可能性のある変動流体力は、できるだけ低減するのが望ましいことが分かる。
【0046】
次に、スロート振動要因について説明する。スロートの振動要因は、図3中に示す(イ):ノズル11からの噴出流による流動変動、(ロ):噴出流がスロート18内で混合する時に発生する流動変動(逆流も含む)、(ハ):主流のスロート18の出口で発生する流動変動、(ニ):リーク水28による流動変動がある。これら(イ)乃至(ニ)の要因が作用して、スロート18を振動させることになる。
【0047】
本発明は、特に、上記(ニ)のリーク水28による変動流体力を低減することができ、スロート振動の低減並びに振動抑制部の磨耗や緩みを防止するものである。
【0048】
リーク水28によって生じる変動流体力について図5に示す。図5は、ジェットポンプ6のスリップジョイント26を形成するスロート18とディフューザ19との接合部を拡大して示すものである。
【0049】
該図に示す如く、ジェットポンプ6のディフューザ19内の圧力は、ディフューザ19の外部の圧力に比べて高いため、ノズル11とディフューザ19の間から漏れるリーク水28が発生する。ノズル11とディフーザ19の間から漏れるリーク水28は、流出部位において、外側の冷却水との速度差によって断続的に渦37を発生させ、ノズル11の表面に沿って放出される。このノズル11の表面に沿って放出された渦37が、ノズル11の表面に沿って流れることで、渦37によって生じる負圧が、ノズル11の表面に変動流体力を発生させる。ノズル11の表面に変動流体力を発生させることで、図3の右側に示すような振動モードの振動を増加させる方向に働く。
【0050】
従って、ノズル11とディフューザ19の間から流出する流量を減少させ、スロート18の軸方向に発生する渦37を弱めるか、若しくは渦37が発生する場所を変えることで、変動流体力がスロート18に与える影響を小さくすることができる。
【実施例1】
【0051】
本発明による実施例1について、図6乃至8を用いて説明する。ここで、図6乃至8は、本発明の実施例1を用いたジェットポンプ6のスリップジョイント26を形成するスロート18とディフューザ19との接合部を拡大して示し、図6は断面図であり、図7及び8は周方向から見た図である。
【0052】
以下に、本発明による実施例1の特徴を説明する。
【0053】
図6に示す本実施例では、スリップジョイント26を形成するスロート18とディフューザ19との接合部において、スロート18の端部と重なり合うディフューザ19の端部に、スロート18とディフューザ19間に形成される流路に対してバイパスされる複数のバイパス流路38が、ディフューザ19の端部を貫通して設けられている(本実施例では、ディフューザ19の端部に上下2段設けている)。
【0054】
このディフューザ19の端部を貫通して設けられている複数のバイパス流路38は、図7に示すような円形状の貫通孔であっても良いし、図8に示すような矩形状の貫通孔であっても良い。
【0055】
このような本実施例の構成とすることにより、バイパス流路38に流体が流れることで、スロート18とディフューザ19間を通ってスロート18の軸方向に流出していたリーク水28の流量が減少し、スロート18の表面に沿って流れる渦37が小さくなり、渦37によって起きる変動流体力も小さくなる。
【0056】
また、バイパス流路38を通って流れるようになったリーク水28は、バイパス流路38の出口において、外部水との速度差で渦37が発生するが、発生場所がディフューザ19の表面近傍であり、ディフューザ19は、炉心シュラウド2と強固に溶接されてあるため変動流体力は問題にならない。
【0057】
更に、バイパス流路38を通ってできる渦37は、スロート18及びディフューザ19から遠ざかっていく流れの中にできる渦37なので、渦37によってスロート18及びディフューザ19の表面に作る圧力変動はごく小さいものとなる。
【0058】
このように、本実施例では、スロート18の表面に沿って流出していたリーク水28に対してバイパス流路38を作り、スロート18の表面から離れる方向に流出させることで、リーク水28に生じる渦37による影響を低減し、スロート18に生じる変動流体力を低減する。そして、変動流体力を低減することで、ジェットポンプ6の信頼性をより向上できる。
【0059】
尚、本実施例では、バイパス流路38を複数個設けた例について説明したが、このバイパス流路38は、1個設けても本発明の効果は達成される。
【実施例2】
【0060】
本発明による実施例2について、図9を用いて説明する。ここで、図9は、本発明の実施例2を用いたジェットポンプ6のスリップジョイント26を形成するスロート18とディフューザ19との接合部を拡大して示す断面図である。
【0061】
以下に、本発明による実施例2の特徴を説明する。
【0062】
図9に示す本実施例では、スリップジョイント26を形成するスロート18とディフューザ19との接合部において、ディフューザ19の端部と重なり合うスロート18のリーク水28の出口部におけるスロート18の外側表面に、リーク水28の流れを変流させる突起状の構造物39を設け、スロート18とディフューザ19間に形成される流路から流出してきたリーク水28を、スロート18の表面から遠ざかる方向に流れるようにしている。
【0063】
このような本実施例の構成とすることにより、スロート18とディフューザ19間に形成される流路出口に突起状の構造物39があることで流動抵抗が増加し、リーク水28の流量が減ることで発生する渦37が小さくなり、変動流体力が減少する。
【0064】
また、突起状の構造物39によって曲げられた流れによってできる渦37は、スロート18及びディフューザ19から遠ざかっていく流れの中にできる渦37なので、渦37によってスロート18及びディフューザ19の表面に作る圧力変動はごく小さいものとなる。
【0065】
このように本実施例では、スロート18の表面に沿って流出していたリーク水28に対して、スロート18とディフューザ19との接合部のリーク水28の出口部において、スロート18の外側表面に突起状の構造物39を設けているので、スロート18の表面から離れる方向にリーク水28を流出させることができ、リーク水28に生じる渦37による影響が低減され、スロート18に生じる変動流体力が低減する。そして、変動流体力を低減することで、ジェットポンプ6の信頼性をより向上できる。
【実施例3】
【0066】
本発明による実施例3について、図10を用いて説明する。ここで、図10は、本発明の実施例3を用いたジェットポンプ6のスリップジョイント26を形成するスロート18とディフューザ19との接合部を拡大して示す断面図である。
【0067】
以下に、本発明による実施例3の特徴を説明する。
【0068】
図10に示す実施例3は、上述した実施例1と実施例2を組み合わせたものである。
【0069】
即ち、本実施例では、実施例1のように、スロート18の端部と重なり合うディフューザ19の端部に、スロート18とディフューザ19間に形成される流路に対してバイパスされる複数のバイパス流路38が、ディフューザ19の端部を貫通して設けられ、かつ、実施例2のように、ディフューザ19の端部と重なり合うスロート18のリーク水28の出口部におけるスロート18の外側表面に、リーク水28の流れを変流させる突起状の構造物39を設けて、スロート18とディフューザ19間に形成される流路から流出してきたリーク水28を、スロート18の表面から遠ざかる方向に流れるようにしている。
【0070】
このような本実施例の構成とすることにより、上述した実施例1及び2と同様な効果が得られることは勿論、実施例1と実施例2の両方の効果により、変動流体力がより減少する。
【0071】
図11に、実施例3の変形例を示す。該図に示す実施例3の変形例は、基本的な構成は図10と同様であるが、図11の実施例3の変形例は、スリップジョイント26におけるスロート18の差し込み部分の長さ、即ち、スロート18との重なり部分を従来に比べて長くすることで、スロート18とディフューザ18間に形成される流路の流動抵抗を増大させたものである。
【0072】
流動抵抗が増大した結果、スロート18とディフューザ19間に流れるリーク水28の流量が減少し、発生する渦37が小さくなり、変動流体力が減少する。
【0073】
このような図11に示した実施例3の変形例では、スロート18の表面に沿って流出していたリーク水28に対してバイパス流路38及び突起状の構造物39を作り、スロート18の表面から離れる方向に流出させること、及びスロート18とディフューザ19間に形成される流路の流動抵抗を増加させることで、リーク水28に生じる渦37による影響を低減し、スロート18に生じる変動流体力を低減する。そして変動流体力を低減することでジェットポンプ6の信頼性をより向上できる。
【符号の説明】
【0074】
1…原子炉圧力容器、2…炉心シュラウド、3…炉心、4…気水分離器、5…蒸気乾燥器、6…ジェットポンプ、7…ダウンカマ、8…再循環系配管、9…再循環ポンプ、10…ライザ管、11…ノズル、12…主蒸気配管、13…給水配管、14…冷却水、15…給水、16…駆動水、17…ベルマウス、18…スロート、19…ディフューザ、20…炉心冷却水、21…下部プレナム、22…分岐管、23…固定板、24…スロート直管部、25…スロート広がり管部、26…スリップジョイント、27…下部プレナム上部壁、28…リーク水、29…リストレーナブラケット、30…インレットミキサー部、31…楔、32…押しボルト、33…スロート外表面、34…リストレーナブラケットの突起部、35…ボルト、36…治具、37…渦、38…バイパス流路、39…突起状の構造物、Qa…駆動水流量、Qb…被駆動水流量、Ha…ノズルの駆動水入口における全水頭、Hb…ジェットポンプの被駆動水入口における全水頭、Hc…ジェットポンプ出口における全水頭。
【技術分野】
【0001】
本発明は沸騰水型原子炉のジェットポンプに係り、特に、原子炉圧力容器と炉心シュラウドとの間に設置され、冷却水循環用として適用するに好適な沸騰水型原子炉のジェットポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の沸騰水型原子炉(以下、BWRという)は、原子炉圧力容器と炉心シュラウドとの間にジェットポンプが設置されている。このジェットポンプは、ノズル、ベルマウス、スロート及びディフューザを備え、ノズルから噴き出した後述する駆動水により、ベルマウス周辺の冷却水を、ベルマウス内に吸い込むようになっている。吸い込まれた大量の冷却水及び駆動水は、スロート、ディフューザを経由して、下部プレナムから炉心内に流入する。
【0003】
ジェットポンプは、ノズルからの噴出流により、大量の冷却水を吸い込み、大量の冷却水を吹き出させることから、流路であるスロートに変動流体力が生じる。現状のBWRにおけるジェットポンプのスロートは、リストレーナブラケット位置において、3点で支持されている。
【0004】
これらは、スロートの伸びを考慮し、楔による線接触一箇所とボルト先端による点接触二箇所で支持され、スロート振動を抑制している。変動流体力を減少させれば、更にスロート振動の抑制効果が大きくなる。
【0005】
このスロート振動を抑制するものとして、特許文献1乃至3に記載されたものが提案されている。
【0006】
即ち、特許文献1には、スロートとディフューザとの接合部のスリップジョイント部内に弾性体(例えば、板ばね)を設け、接合部からのリーク水量を減少させると共にスロート振動を抑制する構造が記載されている。
【0007】
また、特許文献2には、スロートとディフューザとの接合上部にシールリングを設け、接合部からのリーク水量を減少させると共にスロート振動を抑制する構造が記載されている。
【0008】
更に、特許文献3には、スロートとディフューザとの接合部のスリップジョイント部内にラビリンスシール機構を設け、接合部からのリーク水量を減少させると共にスロート振動を抑制する構造が記載されている。
【0009】
特許文献1乃至3に記載されているのは、いずれも接合部からのリーク水量を減少させると共に、スロート振動を抑制するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2008-170272号公報
【特許文献2】特開2002-221589号公報
【特許文献3】特公昭59-48360号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ジェットポンプの性能は、以下に示すようなM比、N比及び効率によって表される。M比は、駆動水(再循環水)の流量Qa(後述する図2参照)に対する被駆動水(冷却水)の流量Qb(後述する図2参照)の比であり、(1)式で表される。
【0012】
M比 = Qb/Qa ……(1)
N比は、駆動水に対する被駆動水の全水頭比であり、(2)式で表される。
【0013】
N比 = (Hc−Hb)/(Ha−Hc) ……(2)
ここで、後述する図2に記載されているように、Haはノズルの駆動水入口における全水頭、Hbはジェットポンプの被駆動水入口における全水頭、Hcはジェットポンプ出口における全水頭である。効率は、駆動水に対する被駆動水のエネルギーの比であり、M比とN比の積で表される。
【0014】
効率 = M比 × N比 ……(3)
ジェットポンプとしては、効率がより高いことが望ましい。小さい容量の再循環ポンプを用いて、ジェットポンプから噴出される冷却水流量を効率良く増加させることができれば、再循環系をコンパクト化することができ、再循環系の設置スペースを低減できる。
【0015】
また、既設の原子炉(例えば、BWR)で出力向上を行う場合には、炉心流量を増加することにより、原子炉出力の向上幅を拡大することができる。更に、炉心流量の制御幅の拡大によって、炉心内のボイド率の変化幅が増大し、燃料経済性を高めることができる。
【0016】
このように炉心流量を増加させるためには、再循環ポンプ、給水ポンプ及びジェットポンプを改良すると良い。出力向上を目的とした既設の原子炉の改造においては、再循環ポンプ及び給水ポンプなどの大型機器の改造、交換に比べて、小規模な改造で済むジェットポンプを改良し、効率向上を図ることが有効である。ジェットポンプの性能が向上し、吐出流量が増大すると、ジェットポンプで生じる変動流体力が増加する。
【0017】
この変動流体力の発生原因の一つは、スリップジョイントを形成するスロートとディフューザとの接合部からのリーク水である。リーク水は、スロートとディフューザとの接合部出口において、スロートとディフューザ間から流出する際に渦を発生する。この渦がスロートの壁面などにぶつかることで、スロートに変動流体力が生じる。
【0018】
特許文献1乃至3には、スロートとディフューザとの接合部からのリーク水の水量を減少させることで、スロート振動の発生を抑制することの記載がある。しかし、接合部からのリーク水の水量を減少させれば、発生する渦が小さくなりスロート振動の発生が抑制されるが、発生する渦がスロートの壁面などにぶつかる変動流体力自体を抑制することはできない。
【0019】
本発明は上述の点に鑑みなされたもので、その目的とするところは、スロートとディフューザとの接合部に発生する変動流体力を抑制し、より信頼性の高い沸騰水型原子炉のジェットポンプを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明の沸騰水型原子炉のジェットポンプは、上記目的を達成するために、冷却材である駆動流体を噴出するノズルと、前記駆動流体と吸引された被駆動流体が流入するベルマウス、前記駆動流体と前記被駆動流体を混合する直管部、広がり管から成るスロートと、該スロートの下端でスリップジョイントにより接合されるディフューザと、前記スロートを固定するリストレーナブラケットとを備え、炉心を内蔵する原子炉圧力容器内に配置され、前記炉心に冷却材を循環する沸騰水型原子炉のジェットポンプにおいて、前記スロートとディフューザとの接合部に、少なくとも1つのバイパス流路を備えているか、
若しくは、前記スロートとディフューザとの接合部で、前記ディフューザの端部と重なり合う前記スロートとの出口部における該スロートの外側表面に、リーク水の流れを変流させる手段、例えば、突起状の構造物を設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、スロートとディフューザとの接合部に発生する変動流体力を抑制し、より信頼性の高い沸騰水型原子炉のジェットポンプを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明のジェットポンプが適用される沸騰水型原子炉の概略構成を示す図である。
【図2】図1における従来のジェットポンプを一部破断して示す部分斜視図である。
【図3】図における従来のジェットポンプを示す詳細図と従来のスロート振動振幅を示す模式図である。
【図4】図3のB-B矢視図である。
【図5】図3におけるジェットポンプ6のスロートとディフューザとの接合部を拡大して示す断面図である。
【図6】本発明の沸騰水型原子炉のジェットポンプの実施例1おけるジェットポンプのスロートとディフューザとの接合部を拡大して示す断面図である。
【図7】図6のジェットポンプのスロートとディフューザとの接合部を周方向から見た一例を示す図である。
【図8】図6のジェットポンプのスロートとディフューザとの接合部を周方向から見た他の例を示す図である。
【図9】本発明の沸騰水型原子炉のジェットポンプの実施例2おけるジェットポンプのスロートとディフューザとの接合部を拡大して示す断面図である。
【図10】本発明の沸騰水型原子炉のジェットポンプの実施例3おけるジェットポンプのスロートとディフューザとの接合部を拡大して示す断面図である。
【図11】本発明の沸騰水型原子炉のジェットポンプの実施例3の変形例であるスロートとディフューザとの接合部を拡大して示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図示した実施例に基づき本発明の沸騰水型原子炉のジェットポンプについて説明する。
【0024】
ここでは、先ず、図1乃至5を用いて、ジェットポンプを備えたBWRの概略の構造と従来技術での課題を説明し、その後に、図6乃至11を用いて、本発明の実施例について説明する。
【0025】
図1に、BWRの概略構成を示す。該図に示す如く、BWRは、原子炉圧力容器1を有し、この原子炉圧力容器1内には、炉心シュラウド2が配置されている。炉心シュラウド2内には、複数の燃料集合体が装荷された炉心3が配置されている。原子炉圧力容器1内の炉心3の上方には、気水分離器4及び蒸気乾燥器5が配置されている。原子炉圧力容器1と炉心シュラウド2の間に形成される環状のダウンカマ7内には、ジェットポンプ6が配置されている。原子炉圧力容器1には、再循環系が設けられており、この再循環系は、再循環系配管8及び再循環ポンプ9を有する。再循環系配管8の一端は、原子炉圧力容器1内のダウンカマ7に接続され、再循環系配管8の他端は、ダウンカマ7内に配置されたライザ管10を介してジェットポンプ6のノズル11に接続されている。更に、主蒸気配管12及び給水配管13が、原子炉圧力容器1に接続されている。
【0026】
原子炉圧力容器1内の上部に存在する冷却水(被駆動流体、冷却材)14は、給水配管13から原子炉圧力容器1に供給された給水15と混合されてダウンカマ7内を下降する。冷却水14は、再循環ポンプ9の駆動によって再循環系配管8内に流入し、再循環ポンプ9によって昇圧される。この昇圧された冷却水を、便宜的に、駆動水16(駆動流体)という。
【0027】
この駆動水16は、再循環系配管8、ライザ管10を介してジェットポンプ6のノズル11から噴出される。ノズル11の周囲に存在する冷却水14は、ノズル11から駆動水16が吹き出されることによって、ベルマウス17からスロート18内に吸い込まれる。吸い込まれた冷却水14は、駆動水16と共にスロート18内を下降し、ディフューザ19から吐出される。このディフューザ19から吐出される冷却水(吸い込まれた冷却水14及び駆動水16)を、炉心冷却水20という。
【0028】
炉心冷却水20は、下部プレナム21を通って炉心3に供給される。炉心冷却水20は、炉心3を通過する際に加熱されて水及び蒸気を含む二相流となる。この水及び蒸気を含む二相流は、気水分離器4で蒸気と水に分離され、気水分離器4で分離された蒸気は、更に蒸気乾燥器5で湿分が除去されて、主蒸気配管12に排出される。主蒸気配管12に排出された蒸気は、蒸気タービン(図示せず)に導かれ、蒸気タービンを回転させる。蒸気タービンから排出された蒸気は、復水器(図示せず)で凝縮されて水となり、この水が、給水15として給水配管13を介して再び原子炉圧力容器1内に供給される。気水分離器4及び蒸気乾燥器5で分離された水は、落下して冷却水14となる。
【0029】
ジェットポンプ6は、再循環ポンプ9によって与えられたエネルギを、冷却水14に効果的に伝えることができ、ジェットポンプ6から吐出される炉心冷却水20の流量は、駆動水16の流量(Qa)よりも増大する。
【0030】
再循環ポンプ9によって与えられた駆動水16の運動エネルギが、冷却水14に有効に作用すれば、ベルマウス17内に吸い込まれる冷却水14の流量(Qb)が増加し、炉心冷却水20の流量が更に増加する。
【0031】
そのため、駆動水16の運動エネルギが増加するように、ノズル11の出口における駆動水16の流速を増加させると共に、スロート18の入口部で流路面積をベルマウス17の断面積よりも小さくすることにより、冷却水14の速度を増加して静圧を下げることができれば、より多くの冷却水14をスロート18で吸い込むことができ、少ない動力で必要な炉心流量を確保することができる。
【0032】
図2に、原子炉でのジェットポンプ6の取り付け状況の詳細を示す。尚、図2には、ジェットポンプ6の性能を評価する上で必要となる前記(1)、(2)式の記号を表す部位も合わせ記してある。
【0033】
図2に示すように、ジェットポンプ6は、ノズル11、ベルマウス17、スロート直管部25とスロート広がり管部25から成るスロート18及びディフューザ19で概略構成されている。また、図2のように、実機においては、ジェットポンプ6が2台で1組となっている。
【0034】
そして、駆動水16は、ライザ管10の上部で分岐管22により二手に別れ、それぞれがノズル11に供給される。ノズル11は、ベルマウス17の上部開口部と向かい合う形で配置され、ノズル11とベルマウス17との間には、ノズル11の周囲に存在する冷却水14をベルマウス17内に吸い込む冷却水吸引流路が形成される。
【0035】
ノズル11から噴出する駆動水16により吸引される被駆動水は、この冷却水吸引流路を通り、スロート直管部24に流入する。冷却水吸引流路には固定板23があり、ノズル11をベルマウス17に固定している。
【0036】
ノズル11から噴出した駆動水16は、ベルマウス17から下方のスロート直管部24を経由して、ラッパ状に広がったスロート広がり管部25に向かい流入する。スロート直管部24とディフューザ19との接続は、スロート広がり管部25の下端が、スリップジョイント26で接続される。ディフューザ19は、上端部で流路断面積が狭く、下方に向かうに従って流路断面積が徐々に増大し、下部プレナム上部壁27に接続されている。
【0037】
このようなジェットポンプ6は、分岐管22からディフューザ19の下端までが約6mと長く、熱膨張を吸収する機構を備えることが必要となる。この熱膨張を吸収する機構としてスリップジョイント26がある。また、スリップジョイント26は、ノズル11側のメンテナンスをし易くする利点を有する。更に、スロート18は、その振動を抑えるために、ライザ管10に固定されているリストレーナブラケット29の位置で固定されている。
【0038】
次に、上述した従来技術における課題を図3乃至図5を用いて説明する。
【0039】
まず、図3及び4には、現状のBWRにおけるジェットポンプ6の上部構造のインレットミキサー30部と、スロート振動抑制構造の詳細及び内部の冷却材の流動状態を示す。
【0040】
現状のBWRのジェットポンプのスロート振動抑制構造は、メンテナンス性を考慮し、交換し易い単純な構造である。即ち、リストレーナブラケット29をベースに、傾斜面を有する楔31によるものと、2箇所の押しボルト32により振れ止めするものである。尚、この押え部であるスロート外表面33の構造は、固定し易くするため垂直面を有し、耐磨耗の観点からステライト肉盛を施したものである。
【0041】
また、楔31は、スロート外表面33と楔31と同じ傾斜となるリストレーナブラケット29の突起部34の間にはめ込まれ、上下のボルト35により固定される。この上下のボルト35は、スロート広がり管部25に溶接された冶具36のネジにより固定されている。
【0042】
このように、現状のBWRにおえるスロートの固定方法は、楔31の線接触、押しボルト32の点接触の支持構造で固定され、これにより、スロート18の振動を抑制している。
【0043】
図3の右側に、インレットミキサー部30の振動モードを示す。
【0044】
図2に示す如く、ライザ管10の上部に固定される分岐管22は、固定冶具によりライザ管10の上部と一体構造となっている。従って、スロート18は、片持ち支持構造の振動が生じ、分岐管22が支持点となり、図3右側の破線のように振動する。
【0045】
このような振動モードにおいて、図3に示すリストレーナブラケット29の楔31、押しボルト32により、スロート18を完全に締め付け続けることができれば、スロート18が大きく振動することは無い。そこで、摩耗や緩みの原因となり、また共振を発生させる可能性のある変動流体力は、できるだけ低減するのが望ましいことが分かる。
【0046】
次に、スロート振動要因について説明する。スロートの振動要因は、図3中に示す(イ):ノズル11からの噴出流による流動変動、(ロ):噴出流がスロート18内で混合する時に発生する流動変動(逆流も含む)、(ハ):主流のスロート18の出口で発生する流動変動、(ニ):リーク水28による流動変動がある。これら(イ)乃至(ニ)の要因が作用して、スロート18を振動させることになる。
【0047】
本発明は、特に、上記(ニ)のリーク水28による変動流体力を低減することができ、スロート振動の低減並びに振動抑制部の磨耗や緩みを防止するものである。
【0048】
リーク水28によって生じる変動流体力について図5に示す。図5は、ジェットポンプ6のスリップジョイント26を形成するスロート18とディフューザ19との接合部を拡大して示すものである。
【0049】
該図に示す如く、ジェットポンプ6のディフューザ19内の圧力は、ディフューザ19の外部の圧力に比べて高いため、ノズル11とディフューザ19の間から漏れるリーク水28が発生する。ノズル11とディフーザ19の間から漏れるリーク水28は、流出部位において、外側の冷却水との速度差によって断続的に渦37を発生させ、ノズル11の表面に沿って放出される。このノズル11の表面に沿って放出された渦37が、ノズル11の表面に沿って流れることで、渦37によって生じる負圧が、ノズル11の表面に変動流体力を発生させる。ノズル11の表面に変動流体力を発生させることで、図3の右側に示すような振動モードの振動を増加させる方向に働く。
【0050】
従って、ノズル11とディフューザ19の間から流出する流量を減少させ、スロート18の軸方向に発生する渦37を弱めるか、若しくは渦37が発生する場所を変えることで、変動流体力がスロート18に与える影響を小さくすることができる。
【実施例1】
【0051】
本発明による実施例1について、図6乃至8を用いて説明する。ここで、図6乃至8は、本発明の実施例1を用いたジェットポンプ6のスリップジョイント26を形成するスロート18とディフューザ19との接合部を拡大して示し、図6は断面図であり、図7及び8は周方向から見た図である。
【0052】
以下に、本発明による実施例1の特徴を説明する。
【0053】
図6に示す本実施例では、スリップジョイント26を形成するスロート18とディフューザ19との接合部において、スロート18の端部と重なり合うディフューザ19の端部に、スロート18とディフューザ19間に形成される流路に対してバイパスされる複数のバイパス流路38が、ディフューザ19の端部を貫通して設けられている(本実施例では、ディフューザ19の端部に上下2段設けている)。
【0054】
このディフューザ19の端部を貫通して設けられている複数のバイパス流路38は、図7に示すような円形状の貫通孔であっても良いし、図8に示すような矩形状の貫通孔であっても良い。
【0055】
このような本実施例の構成とすることにより、バイパス流路38に流体が流れることで、スロート18とディフューザ19間を通ってスロート18の軸方向に流出していたリーク水28の流量が減少し、スロート18の表面に沿って流れる渦37が小さくなり、渦37によって起きる変動流体力も小さくなる。
【0056】
また、バイパス流路38を通って流れるようになったリーク水28は、バイパス流路38の出口において、外部水との速度差で渦37が発生するが、発生場所がディフューザ19の表面近傍であり、ディフューザ19は、炉心シュラウド2と強固に溶接されてあるため変動流体力は問題にならない。
【0057】
更に、バイパス流路38を通ってできる渦37は、スロート18及びディフューザ19から遠ざかっていく流れの中にできる渦37なので、渦37によってスロート18及びディフューザ19の表面に作る圧力変動はごく小さいものとなる。
【0058】
このように、本実施例では、スロート18の表面に沿って流出していたリーク水28に対してバイパス流路38を作り、スロート18の表面から離れる方向に流出させることで、リーク水28に生じる渦37による影響を低減し、スロート18に生じる変動流体力を低減する。そして、変動流体力を低減することで、ジェットポンプ6の信頼性をより向上できる。
【0059】
尚、本実施例では、バイパス流路38を複数個設けた例について説明したが、このバイパス流路38は、1個設けても本発明の効果は達成される。
【実施例2】
【0060】
本発明による実施例2について、図9を用いて説明する。ここで、図9は、本発明の実施例2を用いたジェットポンプ6のスリップジョイント26を形成するスロート18とディフューザ19との接合部を拡大して示す断面図である。
【0061】
以下に、本発明による実施例2の特徴を説明する。
【0062】
図9に示す本実施例では、スリップジョイント26を形成するスロート18とディフューザ19との接合部において、ディフューザ19の端部と重なり合うスロート18のリーク水28の出口部におけるスロート18の外側表面に、リーク水28の流れを変流させる突起状の構造物39を設け、スロート18とディフューザ19間に形成される流路から流出してきたリーク水28を、スロート18の表面から遠ざかる方向に流れるようにしている。
【0063】
このような本実施例の構成とすることにより、スロート18とディフューザ19間に形成される流路出口に突起状の構造物39があることで流動抵抗が増加し、リーク水28の流量が減ることで発生する渦37が小さくなり、変動流体力が減少する。
【0064】
また、突起状の構造物39によって曲げられた流れによってできる渦37は、スロート18及びディフューザ19から遠ざかっていく流れの中にできる渦37なので、渦37によってスロート18及びディフューザ19の表面に作る圧力変動はごく小さいものとなる。
【0065】
このように本実施例では、スロート18の表面に沿って流出していたリーク水28に対して、スロート18とディフューザ19との接合部のリーク水28の出口部において、スロート18の外側表面に突起状の構造物39を設けているので、スロート18の表面から離れる方向にリーク水28を流出させることができ、リーク水28に生じる渦37による影響が低減され、スロート18に生じる変動流体力が低減する。そして、変動流体力を低減することで、ジェットポンプ6の信頼性をより向上できる。
【実施例3】
【0066】
本発明による実施例3について、図10を用いて説明する。ここで、図10は、本発明の実施例3を用いたジェットポンプ6のスリップジョイント26を形成するスロート18とディフューザ19との接合部を拡大して示す断面図である。
【0067】
以下に、本発明による実施例3の特徴を説明する。
【0068】
図10に示す実施例3は、上述した実施例1と実施例2を組み合わせたものである。
【0069】
即ち、本実施例では、実施例1のように、スロート18の端部と重なり合うディフューザ19の端部に、スロート18とディフューザ19間に形成される流路に対してバイパスされる複数のバイパス流路38が、ディフューザ19の端部を貫通して設けられ、かつ、実施例2のように、ディフューザ19の端部と重なり合うスロート18のリーク水28の出口部におけるスロート18の外側表面に、リーク水28の流れを変流させる突起状の構造物39を設けて、スロート18とディフューザ19間に形成される流路から流出してきたリーク水28を、スロート18の表面から遠ざかる方向に流れるようにしている。
【0070】
このような本実施例の構成とすることにより、上述した実施例1及び2と同様な効果が得られることは勿論、実施例1と実施例2の両方の効果により、変動流体力がより減少する。
【0071】
図11に、実施例3の変形例を示す。該図に示す実施例3の変形例は、基本的な構成は図10と同様であるが、図11の実施例3の変形例は、スリップジョイント26におけるスロート18の差し込み部分の長さ、即ち、スロート18との重なり部分を従来に比べて長くすることで、スロート18とディフューザ18間に形成される流路の流動抵抗を増大させたものである。
【0072】
流動抵抗が増大した結果、スロート18とディフューザ19間に流れるリーク水28の流量が減少し、発生する渦37が小さくなり、変動流体力が減少する。
【0073】
このような図11に示した実施例3の変形例では、スロート18の表面に沿って流出していたリーク水28に対してバイパス流路38及び突起状の構造物39を作り、スロート18の表面から離れる方向に流出させること、及びスロート18とディフューザ19間に形成される流路の流動抵抗を増加させることで、リーク水28に生じる渦37による影響を低減し、スロート18に生じる変動流体力を低減する。そして変動流体力を低減することでジェットポンプ6の信頼性をより向上できる。
【符号の説明】
【0074】
1…原子炉圧力容器、2…炉心シュラウド、3…炉心、4…気水分離器、5…蒸気乾燥器、6…ジェットポンプ、7…ダウンカマ、8…再循環系配管、9…再循環ポンプ、10…ライザ管、11…ノズル、12…主蒸気配管、13…給水配管、14…冷却水、15…給水、16…駆動水、17…ベルマウス、18…スロート、19…ディフューザ、20…炉心冷却水、21…下部プレナム、22…分岐管、23…固定板、24…スロート直管部、25…スロート広がり管部、26…スリップジョイント、27…下部プレナム上部壁、28…リーク水、29…リストレーナブラケット、30…インレットミキサー部、31…楔、32…押しボルト、33…スロート外表面、34…リストレーナブラケットの突起部、35…ボルト、36…治具、37…渦、38…バイパス流路、39…突起状の構造物、Qa…駆動水流量、Qb…被駆動水流量、Ha…ノズルの駆動水入口における全水頭、Hb…ジェットポンプの被駆動水入口における全水頭、Hc…ジェットポンプ出口における全水頭。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷却材である駆動流体を噴出するノズルと、前記駆動流体と吸引された被駆動流体が流入するベルマウス、前記駆動流体と前記被駆動流体を混合する直管部、広がり管から成るスロートと、該スロートの下端でスリップジョイントにより接合されるディフューザと、前記スロートを固定するリストレーナブラケットとを備え、炉心を内蔵する原子炉圧力容器内に配置され、前記炉心に冷却材を循環する沸騰水型原子炉のジェットポンプにおいて、
前記スロートとディフューザとの接合部に、少なくとも1つのバイパス流路を備えていることを特徴とする沸騰水型原子炉のジェットポンプ。
【請求項2】
請求項1に記載の沸騰水型原子炉のジェットポンプにおいて、
前記バイパス流路は、前記スロートとディフューザとの接合部で、前記スロートの端部と重なり合う前記ディフューザの端部に設けられ、前記スロートとディフューザ間に形成される流路に対してバイパスされる貫通した流路であることを特徴とする沸騰水型原子炉のジェットポンプ。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の沸騰水型原子炉のジェットポンプにおいて、
前記スロートとディフューザとの接合部で、前記ディフューザの端部と重なり合う前記スロートとの出口部における該スロートの外側表面に、リーク水の流れを変流させる手段を備えていることを特徴とする沸騰水型原子炉のジェットポンプ。
【請求項4】
請求項3に記載の沸騰水型原子炉のジェットポンプにおいて、
前記リーク水の流れを変流させる手段は、突起状の構造物であることを特徴とする沸騰水型原子炉のジェットポンプ。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかに記載の沸騰水型原子炉のジェットポンプにおいて、
前記バイパス流路は、円形状の貫通孔であることを特徴とする沸騰水型原子炉のジェットポンプ。
【請求項6】
請求項1乃至4のいずれかに記載の沸騰水型原子炉のジェットポンプにおいて、
前記バイパス流路は、矩形状の貫通孔であることを特徴とする沸騰水型原子炉のジェットポンプ。
【請求項7】
冷却材である駆動流体を噴出するノズルと、前記駆動流体と吸引された被駆動流体が流入するベルマウス、前記駆動流体と前記被駆動流体を混合する直管部、広がり管から成るスロートと、該スロートの下端でスリップジョイントにより接合されるディフューザと、前記スロートを固定するリストレーナブラケットとを備え、炉心を内蔵する原子炉圧力容器内に配置され、前記炉心に冷却材を循環する沸騰水型原子炉のジェットポンプにおいて、
前記スロートとディフューザとの接合部で、前記ディフューザの端部と重なり合う前記スロートとの出口部における該スロートの外側表面に、リーク水の流れを変流させる手段を備えていることを特徴とする沸騰水型原子炉のジェットポンプ。
【請求項8】
請求項7に記載の沸騰水型原子炉のジェットポンプにおいて、
前記リーク水の流れを変流させる手段は、突起状の構造物であることを特徴とする沸騰水型原子炉のジェットポンプ。
【請求項1】
冷却材である駆動流体を噴出するノズルと、前記駆動流体と吸引された被駆動流体が流入するベルマウス、前記駆動流体と前記被駆動流体を混合する直管部、広がり管から成るスロートと、該スロートの下端でスリップジョイントにより接合されるディフューザと、前記スロートを固定するリストレーナブラケットとを備え、炉心を内蔵する原子炉圧力容器内に配置され、前記炉心に冷却材を循環する沸騰水型原子炉のジェットポンプにおいて、
前記スロートとディフューザとの接合部に、少なくとも1つのバイパス流路を備えていることを特徴とする沸騰水型原子炉のジェットポンプ。
【請求項2】
請求項1に記載の沸騰水型原子炉のジェットポンプにおいて、
前記バイパス流路は、前記スロートとディフューザとの接合部で、前記スロートの端部と重なり合う前記ディフューザの端部に設けられ、前記スロートとディフューザ間に形成される流路に対してバイパスされる貫通した流路であることを特徴とする沸騰水型原子炉のジェットポンプ。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の沸騰水型原子炉のジェットポンプにおいて、
前記スロートとディフューザとの接合部で、前記ディフューザの端部と重なり合う前記スロートとの出口部における該スロートの外側表面に、リーク水の流れを変流させる手段を備えていることを特徴とする沸騰水型原子炉のジェットポンプ。
【請求項4】
請求項3に記載の沸騰水型原子炉のジェットポンプにおいて、
前記リーク水の流れを変流させる手段は、突起状の構造物であることを特徴とする沸騰水型原子炉のジェットポンプ。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかに記載の沸騰水型原子炉のジェットポンプにおいて、
前記バイパス流路は、円形状の貫通孔であることを特徴とする沸騰水型原子炉のジェットポンプ。
【請求項6】
請求項1乃至4のいずれかに記載の沸騰水型原子炉のジェットポンプにおいて、
前記バイパス流路は、矩形状の貫通孔であることを特徴とする沸騰水型原子炉のジェットポンプ。
【請求項7】
冷却材である駆動流体を噴出するノズルと、前記駆動流体と吸引された被駆動流体が流入するベルマウス、前記駆動流体と前記被駆動流体を混合する直管部、広がり管から成るスロートと、該スロートの下端でスリップジョイントにより接合されるディフューザと、前記スロートを固定するリストレーナブラケットとを備え、炉心を内蔵する原子炉圧力容器内に配置され、前記炉心に冷却材を循環する沸騰水型原子炉のジェットポンプにおいて、
前記スロートとディフューザとの接合部で、前記ディフューザの端部と重なり合う前記スロートとの出口部における該スロートの外側表面に、リーク水の流れを変流させる手段を備えていることを特徴とする沸騰水型原子炉のジェットポンプ。
【請求項8】
請求項7に記載の沸騰水型原子炉のジェットポンプにおいて、
前記リーク水の流れを変流させる手段は、突起状の構造物であることを特徴とする沸騰水型原子炉のジェットポンプ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−40877(P2013−40877A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−178977(P2011−178977)
【出願日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【出願人】(507250427)日立GEニュークリア・エナジー株式会社 (858)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【出願人】(507250427)日立GEニュークリア・エナジー株式会社 (858)
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