沸騰水型原子炉用制御棒
【課題】地震発生時における炉心への挿入の際に制御棒の挿入側端部で生じる応力を低減できる沸騰水型原子炉用制御棒を提供する。
【解決手段】制御棒1は、第1横断面を含む第1領域(一体化された連結部5A〜5Cの部分、及び下部支持部材4)、第2横断面を含む第2領域(制御棒の軸方向における架橋部相互間の領域)及び第3横断面を含む第3領域(架橋部6A1〜6A3,6B1〜6B3が位置するそれぞれの領域)を有する。制御棒1の上部領域に存在する、一対のブレード(例えば、ブレード2A,2C)を結合する複数の架橋部(例えば、複数の架橋部6A)と架橋部(例えば、架橋部6A)と直交しているブレード(例えば、ブレード2B,2D)の間に形成される間隙の幅が、この結合された一対のブレード(例えば、ブレード2A,2C)において、ハンドル3に近づくほど狭くなっている。
【解決手段】制御棒1は、第1横断面を含む第1領域(一体化された連結部5A〜5Cの部分、及び下部支持部材4)、第2横断面を含む第2領域(制御棒の軸方向における架橋部相互間の領域)及び第3横断面を含む第3領域(架橋部6A1〜6A3,6B1〜6B3が位置するそれぞれの領域)を有する。制御棒1の上部領域に存在する、一対のブレード(例えば、ブレード2A,2C)を結合する複数の架橋部(例えば、複数の架橋部6A)と架橋部(例えば、架橋部6A)と直交しているブレード(例えば、ブレード2B,2D)の間に形成される間隙の幅が、この結合された一対のブレード(例えば、ブレード2A,2C)において、ハンドル3に近づくほど狭くなっている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、沸騰水型原子炉用制御棒に関する。
【背景技術】
【0002】
沸騰水型原子炉において使用される制御棒は、十字形の横断面を有し、軸心に配置されたタイロッドから四方に伸びて内部に中性子吸収部材を配置した4枚のブレードを有する。沸騰水型原子炉では、その制御棒の炉心内への挿入及び炉心からの引抜きの各操作が行われ、原子炉の起動及び停止、及び原子炉運転中の原子炉出力の制御を行う。制御棒は、炉心に装荷された燃料集合体の相互間、具体的には、隣接して配置された燃料集合体のチャンネルボックスの相互間に挿入される。沸騰水型原子炉の主な制御棒として、三種類の制御棒が存在する。
【0003】
第1の制御棒は、横断面がU字状をして両側端部がタイロッドに接合されるシース及びシース内に配置された中性子吸収部材を有する4枚のブレードを有している。第1の制御棒の一例に、シース内に配置された中性子吸収部材として、中性子吸収材であるボロンカーバイト(B4C)を充填した複数の中性子吸収棒を用いた制御棒がある。また、第1の制御棒の他の例として、シース内に配置された中性子吸収部材に、扁平なハフニウム筒状体を用いた制御棒がある(特開平9−61576号公報参照)。
【0004】
第2の制御棒は、軸心に配置されたタイロッドから四方に伸びる各ブレードを、横断面が正方形をした複数の環状部材を水平方向に並べて結合し、各環状部材内で環状部材の軸方向に伸びる孔部内に中性子吸収材を充填して構成された制御棒である(特開平1−254895号公報参照)。
【0005】
第3の制御棒は、板状の金属部材、及びブレードの軸方向またはこの軸方向に直交する方向で金属部材に開けた孔部内に充填した中性子吸収材を含む軸心から四方に伸びるブレードを有する制御棒である(特表2002−533736号公報の図2a及び図2d参照)。
【0006】
これらの制御棒は、いずれも、沸騰水型原子炉の原子炉圧力容器内に設けられている炉心に装荷された複数の燃料集合体の相互間に挿入される。制御棒の炉心内への挿入操作、及び制御棒の炉心からの引抜き操作により、原子炉の起動、停止及び原子炉運転中の出力調整が行われる。
【0007】
近年、照射誘起型応力腐食割れ(以下、IASCCという)(IASCC:Irradiation Assisted Stress Corrosion Cracking)が原因と考えられる制御棒の構造部材であるシースの劣化現象が確認されている。IASCCは、中性子照射量、引張応力及び環境条件の3つの要因が重畳すると発生することがある。制御棒の中性子照射量は、一般的に、制御棒の軸方向において、ハンドルに向かうに伴って高くなる傾向にある。また、引張応力の発生要因の一つとして、制御棒製造時における構造部材の溶接施工に伴って構造部材であるシースに生じる引張残留応力の影響が考えられる。さらに環境条件として、制御棒内の冷却水が流れる隙間環境がIASCCに関与する可能性があると考えられる。IASCC発生のポテンシャル抑制のために、制御棒内で、冷却水が流れる隙間の形成を避けるという観点では、第2の制御棒及び第3の制御棒が有効である。
【0008】
また、地震発生時においては、炉心から全引き抜きされている制御棒も含めて全ての制御棒を炉心内に急速挿入して原子炉を緊急停止する必要がある。地震の規模が大きくなるほど、炉心に装荷されている各燃料集合体の水平方向における変位が大きくなるが、地震によってこのような変位が各燃料集合体に生じた場合であっても、制御棒が、炉心、すなわち水平方向に変位している燃料集合体間に急速挿入されることが求められる。
【0009】
IASCCの発生が抑制される観点では良好な第3の制御棒において、地震発生時における燃料集合体間への急速挿入性をさらに向上させた制御棒が提案されている(特開2011−80985号公報参照)。
【0010】
第3の制御棒の一例である特開2011−80985号公報に記載された沸騰水型原子炉用制御棒は、十字形の横断面を有している。この沸騰水型原子炉用制御棒では、軸心から四方に伸びる4枚のブレードが、板状の金属部材、及びブレードの軸方向で金属部材に開けられた孔部内に充填した中性子吸収材を含んでいる。特開2011−80985号公報に記載された制御棒は、軸方向において、4枚のブレードが互いに結合されている第1横断面を含む第1領域、4枚のブレードが互いに分離されている第2横断面を含む第2領域、及び1つの方向に並んで配置された2枚のブレードが架橋部により互いに結合され、これらのブレードと直交している他の2枚のブレードが互いに分離されている第3横断面を含む第3領域を有している。第3領域では、架橋部と直交する方向に存在する他の2枚のブレードが、この架橋部で結合されていなく互いに分離されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開平9−61576号公報
【特許文献2】特開平1−254895号公報
【特許文献3】特表2002−533736号公報
【特許文献4】特開2011−80985号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
特開2011−80985号公報に記載された沸騰水型原子炉用制御棒は、ブレードの内部に冷却水が流れる隙間が形成されていないために構造部材におけるIASCCの発生が抑制され、地震発生時における炉心への挿入性も向上するため、有効な制御棒である。
【0013】
発明者らは、このような有効な、特開2011−80985号公報に記載された制御棒を詳細に検討したところ、ブレードの中性子吸収材充填部の上端部に存在する第1領域における4枚のブレードが結合されている部分に発生する応力が高くなる恐れがあるという新たな課題を見出した。
【0014】
本発明の目的は、地震発生時における炉心への挿入の際に制御棒の挿入側端部で生じる応力を低減することができる沸騰水型原子炉用制御棒を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記した目的を達成する本発明の特徴は、制御棒の軸方向に形成された複数の領域が、4つの前記ブレードを互いに結合している第1横断面を含む第1の領域と、前記4つのブレードが互いに分離されている第2横断面を含んで制御棒の軸方向に配置された複数の第2領域と、及び4つのブレードのうち一対のブレードが架橋部により結合され、この架橋部に直交している他の一対のブレードが互いに分離されている第3横断面を含んでその軸方向において第2領域の間に配置されるとを有し、
第1領域が全ての第2領域及び全ての第3領域よりも制御棒の挿入端部側に配置され、
複数の第3領域にそれぞれ含まれる架橋部とこの架橋部に直交しているブレードの間に形成されるそれぞれの間隙の幅は、それぞれの一対のブレードにおいて、一対のブレードを結合する複数の架橋部のうち挿入端部に最も近い位置に存在する架橋部によって形成される間隙で最も狭くなっていることにある。
【0016】
炉心から全引き抜きされている制御棒が地震時に炉心に急速挿入されるとき、制御棒のブレードは、地震時において燃料集合体を支持する燃料支持金具から付与される強制変位により、燃料支持金具が地震により振動する方向に変位する。しかしながら、複数の第3領域にそれぞれ含まれる架橋部とこの架橋部に直交しているブレードの間に形成されるそれぞれの間隙の幅が、それぞれの一対のブレードにおいて、一対のブレードを結合する複数の架橋部のうち挿入端部に最も近い位置に存在する架橋部によって形成される間隙で最も狭くなっているので、地震時に炉心から全引き抜きされている制御棒1が炉心に急速挿入されるときに、架橋部で結合された一対のブレードが、地震時に燃料支持金具から付与される強制変位により変位した場合でも、挿入端部に最も近い位置に存在する架橋部のその変位による水平方向への移動が、その架橋部と直交しているブレードによって他の架橋部よりも早く拘束される。このため、挿入端部に最も近い位置に存在する架橋部の水平方向への移動量が少なくなり、挿入端部に最も近い位置に存在する架橋部により結合されている一対のブレードがつながっている挿入端部側の第1領域に生じる固定端モーメントを低減することができる。この結果、この一対のブレードが第1領域に連結される部分において発生する応力を低減することができる。
【0017】
上記の目的は、制御棒の軸方向に形成された複数の領域が、4つのブレードを互いに結合している第1横断面を含む第1の領域と、4つのブレードが互いに分離されている第2横断面を含んで制御棒の軸方向に配置された複数の第2領域と、及び4つのブレードのうち第1の一対のブレードが架橋部により結合され、この架橋部に直交している第2の一対のブレードが互いに分離されている第3横断面を含んで軸方向に配置された複数の第3領域とを有し、
第1領域が複数の第2領域及び複数の第3領域よりも制御棒の挿入端部側に配置され、挿入端部とは反対側の、制御棒の他端部を形成して4つのブレードに取り付けられた下部支持部材を有し、
第1の一対のブレードのそれぞれのブレードを結合する複数の第1の架橋部の相互間で第1の一対のブレードの間に、挿入端部に最も近い位置に存在する第1架橋部よりも挿入端部側で第1の一対のブレードの間に、及び下部支持部材に最も近い位置に存在する第1架橋部よりも下部支持部材側で第1の一対のブレードの間に、それぞれ、第1開口部が形成され、
第1の一対のブレードのそれぞれのブレードを結合する複数の第1の架橋部が第2開口部をそれぞれ形成し、
第2の一対のブレードのそれぞれのブレードを結合する複数の第2の架橋部の相互間で第2の一対のブレードの間に、挿入端部に最も近い位置に存在する第2架橋部よりも挿入端部側で第2の一対のブレードの間に、及び下部支持部材に最も近い位置に存在する第2架橋部よりも下部支持部材側で第2の一対のブレードの間に、それぞれ、第3開口部が形成され、
第2の一対のブレードのそれぞれのブレードを結合する複数の第2の架橋部が、第2架橋部の挿入端部側の第3開口部に連通する第4開口部をそれぞれ形成し、
それぞれの第2架橋部が各第2開口部を別々に貫通して配置され、それぞれの第1架橋部が各第4開口部を別々に貫通して配置され、
複数の第1架橋部に形成されたそれぞれの第2開口部の、第1の一対のブレードの幅方向で対向している側面と各第2開口部を別々に貫通している各第2架橋部の間に形成されるそれぞれの間隙の幅は、第1の一対のブレードを結合する複数の第1架橋部のうち挿入端部に最も近い位置に存在する第1架橋部及び第2架橋部によって形成される間隙で最も狭くなっており、
複数の第2架橋部に形成されたそれぞれの第4開口部の、第2の一対のブレードの幅方向で対向している側面と各第4開口部を別々に貫通している各第2架橋部の間に形成されるそれぞれの間隙の幅は、第2の一対のブレードを結合する複数の第2架橋部のうち挿入端部に最も近い位置に存在する第2架橋部及び第2架橋部によって形成される間隙で最も狭くなっていることによっても達成できる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、地震発生時における炉心への挿入の際に制御棒の挿入側端部で生じる応力を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の好適な一実施例である実施例1の沸騰水型原子炉用制御棒の斜視図である。
【図2】図1に示す沸騰水型原子炉用制御棒を構成する1つの板部材の斜視図である。
【図3】図2に示す板部材と直交する方向に配置される2つの板部材の斜視図である。
【図4】図1に示す沸騰水型原子炉用制御棒のハンドルの上端部における、4枚のブレードを結合する連結部の横断面図である。
【図5】図1に示す沸騰水型原子炉用制御棒の、4枚のブレードが互いに分離されている領域での横断面図である。
【図6】図1に示す沸騰水型原子炉用制御棒の、軸心に直交する1つの方向に並んで配置された2枚のブレードが結合されてこれらのブレードと直交する方向に存在する他の2枚のブレードが互いに分離された状態にある領域での横断面図である。
【図7】図1に示す沸騰水型原子炉用制御棒の、図6に示す1つの方向に並んで配置された2枚のブレードが互いに分離された状態にあってこれらのブレードと直交する方向に存在する他の2枚のブレードが結合されている領域での横断面図である。
【図8】図4のT−T断面図である。
【図9】図8のS1−S1断面図である。
【図10】図8のS2−S2断面図である。
【図11】図8のS3−S3断面図である。
【図12】図8のS4−S4断面図である。
【図13】図8のS5−S5断面図である。
【図14】図8のS6−S6断面図である。
【図15】炉心から全引抜きされている図1に示す沸騰水型原子炉用制御棒の、地震時において燃料支持金具から強制変位を付与された際における変形を示す説明図である。
【図16】炉心から全引抜きされている従来の沸騰水型原子炉用制御棒の、地震時において燃料支持金具から強制変位を付与される状態を示す説明図である。
【図17】炉心から全引抜きされている従来の沸騰水型原子炉用制御棒の、地震時において燃料支持金具から強制変位を付与され際における変形を示す説明図である。
【図18】図17に示す従来の沸騰水型原子炉用制御棒から4枚のブレードが結合されている部分を取り除いた新たに想定した制御棒の、地震時において燃料支持金具から強制変位を付与され際における変形を示す説明図である。
【図19】本発明の他の実施例である実施例2の沸騰水型原子炉用制御棒の横断面図である。
【図20】本発明の他の実施例である実施例3の沸騰水型原子炉用制御棒の構成図である。
【図21】本発明の他の実施例である実施例4の沸騰水型原子炉用制御棒の構成図であり図22のV1−V1断面図である。
【図22】図21のV2−V2断面図である。
【図23】本発明の実施例1、3及び4の各沸騰水型原子炉用制御棒の特徴を示す説明図である。
【図24】本発明の他の実施例である実施例5の沸騰水型原子炉用制御棒の構成図であり図25のX1−X1断面図である。
【図25】図24のX2−X2断面図である。
【図26】本発明の他の実施例である実施例6の沸騰水型原子炉用制御棒の構成図であり図27のY1−Y1断面図である。
【図27】図26のY2−Y2断面図である。
【図28】本発明の他の実施例である実施例7の沸騰水型原子炉用制御棒の構成図であり図29のZ1−Z1断面図である。
【図29】図28のZ2−Z2断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
前述したように、発明者らは、特開2011−80985号公報に記載された制御棒を詳細に検討したところ、ブレードの中性子吸収材充填部の上端部に存在する第1領域における4枚のブレードが結合されている部分に発生する応力が高くなる恐れがあるという新たな課題を見出した。この検討結果を以下に説明する。
【0021】
特開2011−80985号公報に記載された制御棒は、十字形の横断面を有しており、軸方向において、4枚のブレードが互いに結合されている第1横断面を含む第1領域、4枚のブレードが互いに分離されている第2横断面を含む第2領域、及び制御棒の軸心と直交する1つの方向に並んで配置された2枚のブレードが架橋部により互いに結合され、これらのブレードと直交している他の2枚のブレードが互いに分離されている第3横断面を含む第3領域を有している。このような構成を有する制御棒は、制御棒の構造強度部材に適切な曲げ剛性を与え、地震時における制御棒の炉心への挿入性の向上を図っている。
【0022】
しかしながら、地震時における制御棒の炉心への急速挿入時において、制御棒の炉心への挿入量に応じて、制御棒が通過する燃料支持金具及び制御棒をガイドする制御棒案内管から制御棒が受ける拘束が変化する。図16に示すように、炉心から全引き抜きされている制御棒32は制御棒案内管39内に存在する。4枚のブレード31を有する制御棒32のハンドル3Aは、燃料集合体37を支持する燃料支持金具38内を貫通して燃料支持金具38の上方に達している。この状態で地震が発生したとき、制御棒32は、地震慣性力により変位した燃料集合体37、燃料支持金具38及び制御棒案内管39から強制変位30を付与される。なお、制御棒32は、下端部に速度リミッタ36を設けており、特開2011−80985号公報に記載されているように、制御棒32の軸心と直交する1つの方向に並んで配置された2枚のブレード31が軸方向の複数個所において架橋部34Aにより互いに結合されている。隣り合う架橋部34Aの間には、開口部35が形成されている。
【0023】
強制変位30を付与された制御棒32の変形を、図17を用いて説明する。制御棒32は4枚のブレード31、すなわち、ブレード2A’,2B’,2C’及び2D’を有する。図17において、ブレード2B’は図示されていない。ブレード2A’,2B’,2C’及び2D’は、上端部に位置する連結部33により互いに結合されている。制御棒32の軸心と直交する1つの方向で直線状に並んで配置されたブレード2A’とブレード2C’は、軸方向の複数個所において、架橋部34Aにより結合される。ブレード2A’及び2C’と直交する方向で直線状に配置されたブレード2B’とブレード2D’は、軸方向の複数個所において、架橋部34Bにより結合される。架橋部34Bは、ブレード2A’とブレード2C’の間に形成される開口部35内に配置される。架橋部34Aも、ブレード2B’とブレード2D’の間に形成される開口部(図示せず)内に配置される。8A1はハンドル3Aに形成された開口部である。
【0024】
図16に示すように炉心から全引き抜きされている制御棒32は、地震時において燃料支持金具38から付与される強制変位30により変形する(図17参照)。燃料支持金具38から付与される強制変位30により、この強制変位30が付与される方向(燃料支持金具38が地震により振動する方向)と直交しているブレード2B’及び2D’に変位が生じ、連結部33付近でブレード2B’及び2D’に高い曲げ応力が生じる恐れがあることを、発明者らが見出した。この高い曲げ応力は、強制変位30の付与により、ブレード2B’及び2D’が、強制変位30が付与される方向に移動するために発生すると、発明者らは考えた。制御棒32の軸方向においてブレード2A’とブレード2C’の間に形成された複数の開口部35内にそれぞれ配置された、ブレード2A’とブレード2C’を結合する各架橋部34Bのうち、ハンドル3Aに最も近い架橋部34Bが、図17に示すように、ブレード2C’の開口部35側の側面に衝突するまで移動する。架橋部34Bのこのような移動により、地震発生前では点線で示すようにハンドル3Aに対して垂直の状態になっていたブレード2D’及びブレード2B’が、実線で示されるように曲げられる。この結果、連結部33付近でブレード2B’及び2D’に高い曲げ応力が生じるのである。
【0025】
そこで、発明者らは、図17に示された制御棒32において連結部33を削除して開口部8A1とハンドル3Aに最も近い開口部35を連絡した新たな制御棒32Aを考えた(図18参照)。この制御棒32Aでは、ブレード2A’,2B’,2C’及び2D’が、連結部45で互いに結合されている。図16に示すように炉心から全引き抜きされている制御棒32Aは、制御棒32と同様に、地震時において燃料支持金具38から付与される強制変位30により変形する。強制変位30の付与により、ブレード2B’とブレード2D’を結合する架橋部材34Bのうちハンドル3Aに最も近い架橋部34Bが、制御棒32の場合と同様に、図18に示すように、ブレード2C’の開口部35側の側面に衝突するまで移動する。この結果、地震発生前では点線で示すようにハンドル3Aの連結部45に対して垂直の状態になっていたブレード2D’及びブレード2B’が、架橋部34Bのその移動により、実線で示されるように曲げられる。
【0026】
しかしながら、制御棒32Aでは、ブレード2B’とブレード2D’をつなぐ架橋部34Bのうち最もハンドル3Aに近い架橋部34Bと連結部45の間の距離が、図17に示される制御棒32において最もハンドル3Aに近い架橋部34Bと連結部33の間の距離よりも長いため、制御棒32Aのブレード2B’及び2D’の曲がる度合いが、制御棒32のブレード2B’及び2D’の曲がる度合いよりも若干小さくなる。このため、制御棒32Aにおいてブレード2B’及び2D’の連結部45付近で生じる曲げ応力が、制御棒32においてブレード2B’及び2D’の連結部33付近で生じる曲げ応力よりも若干小さくなる。曲げ応力が低下するとはいえ、この低下量は僅かであり、制御棒32Aにおいても、ブレード2B’及び2D’の連結部45付近で生じる曲げ応力は高い状態にある。
【0027】
発明者らは、制御棒32Aにおいて4枚のブレード2A’〜2D’が結合される連結部付近でブレードの生じる曲げ応力をさらに低減する対策を種々検討した。これらの検討の結果、発明者らは、地震時において強制変位30が付与されたとき、強制変位30が付与される方向に移動する架橋部の移動量を減少させれば良いとの新たな対策を発想するに至った。このため、4枚のブレードのうち制御棒の軸心と直交する1つの方向で直線状に並んで配置された一対のブレード(例えば、ブレード2A’及び2C’)において、この一対のブレードを結合する架橋部(例えば、架橋部34A)のうちハンドル3Aに最も近い位置に存在する架橋部(例えば、架橋部34A)と、この架橋部に直交している2枚のブレード(例えば、ブレード2B’とブレード2D’)の間に形成される間隙の幅を、この架橋部よりも下方に配置された他の架橋部(他の架橋部34A)とこの架橋部と直交するブレード(例えば、ブレード2B’とブレード2D’)との間に形成される間隙の幅よりも狭くし、4枚のブレードのうち前述の一対のブレード(例えば、ブレード2A’及び2C’)と直交する方向に配置された他の一対のブレード(例えば、ブレード2B’及び2D’)において、この他の一対のブレードを結合する架橋部(例えば、架橋部34B)のうちハンドル3Aに最も近い位置に存在する架橋部(例えば、架橋部34B)と、この架橋部に直交している2枚のブレード(例えば、ブレード2A’とブレード2C’)の間に形成される間隙の幅を、この架橋部よりも下方に配置された他の架橋部(他の架橋部34B)とこの架橋部と直交するブレード(例えば、ブレード2A’とブレード2C’)との間に形成される間隙の幅よりも狭くした新たな制御棒の構造を、発明者らは考え出した。
【0028】
上記した検討により得られた新たな構造を反映した、本発明の実施例を、以下に説明する。
【実施例1】
【0029】
本発明の好適な一実施例である実施例1の沸騰水型原子炉用制御棒を、図1から図8を用いて説明する。
【0030】
本実施例の沸騰水型原子炉用制御棒(以下に説明する実施例においては、単に、制御棒という)1は、4枚のブレード2A,2B,2C及び2D、ハンドル3及び下部支持部材4を備えている。ブレード2A及び2C及びハンドル3の一部であるハンドル要素3Eが、1枚の板部材4Aによって構成される。ブレード2B及びハンドル3の一部であるハンドル要素3Fが、1枚の板部材4Bによって構成される。ブレード2D及びハンドル3の一部であるハンドル要素3Gが、1枚の板部材4Cによって構成される。
【0031】
板部材4Aによって構成されるブレード2A及び2C及びハンドル3の一部であるハンドル要素3Eを、図2を用いて説明する。板部材4Aには、一端部にハンドル3の一部になる連結部5Aが形成され、さらに、開口部8A1,8A2,8A3及び8A4及び複数の開口部8A5が形成されている。開口部8A1,8A2,8A3及び8A4及び複数の開口部8A5は、制御棒1の軸方向、すなわち、板部材4Aの長手方向において、連結部5Aから板部材4Aの他端部に向かってこの順番に配置され、板部材4Aの幅方向の中央部に配置される。板部材4Aの幅方向は、板部材4Aの長手方向と直交している方向であり、ブレード2A,2Cの幅方向でもある。
【0032】
Wo3の幅を有して、対向する側面15を形成している各開口部8A5は長方形をしており、この長方形の長辺が板部材4Aの長手方向を向いている。開口部8A1は長方形であり、この長方形の長辺が板部材4Aの幅方向を向いている。開口部8A1の幅はWhである。開口部8A1の形成により、連結部5Aを含むハンドル要素3Eが板部材4Aの一端部に形成される。幅Wo1を有して対向する側面9を形成し、板部材4Aの長手方向に細長くなっている開口部8A2が、開口部8A1と連通している。開口部8A3は、対向する側面10を形成している幅Wo2の開口及び対向する側面11を形成している幅Wo1の開口を含んでいる。開口部8A3において、対向する側面11を形成している幅Wo1の開口が、対向する側面10を形成している幅Wo2の開口よりも連結部5A側に位置している。開口部8A4は、対向する側面13を形成している幅Wo3の開口及び対向する側面14を形成している幅Wo2の開口を含んでいる。開口部8A4において、対向する側面14を形成している幅Wo2の開口が、対向する側面13を形成している幅Wo3の開口よりも連結部5A側に位置している。幅Wo1,Wo2及びWo3は、Wo1<Wo2<Wo3の関係を満足している。
【0033】
開口部8A3は、幅Wo1の開口及び幅Wo2の開口を有し、側面に側面11と側面10による段差部を形成している。架橋部6A1を板部材4Aの連結部5Aとは反対側の端部に移動させて架橋部6A1の、連結部5Aとは反対側の端面を側面10の上端の位置に位置させてもよい。開口部8A4においても、側面に側面14と側面13による段差部が形成されている。架橋部6A1を板部材4Aの連結部5Aとは反対側の端部に移動させて架橋部6A2の、連結部5Aとは反対側の端面を側面13の上端の位置に位置させてもよい。このような構成にすることにより、開口部8A3及び8A4は、矩形となり、製作が容易になる。
【0034】
図2に示す板部材4Aでは、ブレード2Aが開口部8A1,8A2,8A3,8A4及び8A5の右側に形成され、ブレード2Cがこれらの開口部の左側に形成される。
【0035】
開口部8A1,8A2,8A3及び8A4及び複数の開口部8A5の形成により、ブレード2Aとブレード2Cを結合する複数の架橋部(架橋部材)が板部材4Aに形成される。すなわち、架橋部6A1が開口部8A2と開口部8A3の間に形成され、架橋部6A2が開口部8A3と開口部8A4の間に形成される。さらに、3つの架橋部6A3のうちハンドル要素3Eに最も近い架橋部6A3が開口部8A4と開口部8A5の間に形成される。3つの開口部8A5のそれぞれ間にも架橋部6A3が形成される。架橋部6A1〜6A3が、ブレード2Aとブレード2Cを結合している。
【0036】
架橋部6A1の、ブレード2A,2Cの幅方向における長さは、開口部8A2の幅Wo1と同じである。架橋部6A2の、ブレード2A,2Cの幅方向における長さは、開口部8A3の対向する側面10を形成している部分の幅Wo2と同じである。架橋部6A3の、ブレード2A,2Cの幅方向における長さは、開口部8A4の対向する側面13を形成している部分の幅Wo3と同じである。このため、架橋部6A1,6A2及びA3の、ブレード2A,2Cの幅方向におけるそれぞれの長さは、架橋部6A3,架橋部6A2及び架橋部6A1の順に短くなっており、架橋部6A1,6A2及びA3では、連結部5A、すなわち、ハンドル3に近い架橋部ほど長さが短くなる。
【0037】
ブレード2A,2Cのそれぞれの幅は、図2に示す領域h3で最も狭く、領域h2及びh1とハンドル3に近くなるほど広くなっている。領域h1及びh2の、板部材4Aの長手方向におけるそれぞれの長さは等しくなっている。領域h1はブレード2A,2Cの上端16と開口部8A3の側面11の下端の間の領域である。領域h2は側面11の下端、すなわち、側面10の上端と開口部8A4の側面14の下端の間の領域である。領域h3は側面14の下端、すなわち、側面13の上端とブレード2A,2Cの下端の間の領域である。領域h3におけるブレード2A,2Cのそれぞれの幅Wb3、領域h2におけるブレード2A,2Cのそれぞれの幅Wb2及び領域h1におけるブレード2A,2Cのそれぞれの幅Wb1は、Wb3<Wb2<Wb1の関係を満足している。
【0038】
板部材4Aの幅はWである。領域h1においては(Wo1+2×Wb1)が幅Wであり、領域h2においては(Wo2+2×Wb2)が幅Wである。さらに、領域h3においては(Wo3+2×Wb3)が幅Wである。板部材4Aは、板部材4Aの幅方向の真ん中を通る板部材4Aの中心軸に対して、左右対称になっている。
【0039】
次に、板部材4Bによって構成されるブレード2B及びハンドル3の一部であるハンドル要素3Fを、図3を用いて説明する。板部材4Bの一端部には、ハンドル3の一部になる連結部5Bが形成されている。連結部5Bを含むL字状のハンドル要素3Fが、ブレード2Bの上端16につながっている。
【0040】
板部材4Bの幅方向における板部材4Bの一端部、すなわち、制御棒1の軸心側の端部に、連結部5B以外に、連結部17A1及び17A2及び複数の連結部17A3が、連結部5Bから板部材4Bの他端に向かってこの順番に形成される。連結部17A1及び17A2及び複数の連結部17A3が、板部材4Bに形成されるブレード2Bの、制御棒1の軸心側の側面から板部材4Bの幅方向に伸びている。板部材4Bの幅方向は、ブレード2Bの幅方向である。
【0041】
ブレード2Bの側面23Aが、隣り合う連結部17A3の相互間、及びブレード2Bの下端に最も近い位置に存在する連結部17A3とブレード2Bの下端の間にそれぞれ存在する。ブレード2Bの側面21Aとブレード2Bの側面22Aで形成される1つの段差部が、連結部17A2と複数の連結部17A3のうち連結部5Bに最も近い位置に存在する連結部17A3の間に形成される。ブレード2Bの側面19Aとブレード2Bの側面20Aで形成される1つの段差部が、連結部17A1と連結部17A2の間に形成される。ブレード2Bの側面18Aが連結部17A1よりもブレード2Bの上端16側に存在する。
【0042】
側面18A及び19Aから連結部17A1の先端までの長さがL1である。側面20A及び21Aから連結部17A2の先端までの長さがL2である。側面23A及び22Aから連結部17A3のうち連結部5Bに最も近い連結部17A3の先端までの長さがL3である。側面23Aから残りの各連結部17A3の先端までの長さもL3である。長さL1,L2及びL3は、L1<L2<L3の関係を満足している。
【0043】
板部材4Bにおいて、領域h1はブレード2Bの上端16と側面19Aの下端の間の領域である。領域h2は側面19Aの下端、すなわち、側面20Aの上端と側面21Aの下端の間の領域である。領域h3は側面21Aの下端、すなわち、側面22Aの上端とブレード2Bの下端の間の領域である。側面22A及び複数の側面23Aを含む領域h3におけるブレード2Bの幅はWb3であり、側面20A及び21Aを含む領域h2におけるブレード2Bの幅はWb2であり、さらに、側面18A及び19Aを含む領域h1におけるブレード2Bの幅はWb1である。これらの幅Wb3,Wb2及びWb3は、Wb3<Wb2<Wb1の関係を満足している。
【0044】
板部材4Bの幅は、板部材4Aの幅Wの1/2であり、W/2である。板部材4Bでは、領域h1において(Wb1+L1)が幅W/2あり、領域h2において(Wb2+L2)が幅W/2である。さらに、領域h3において(Wb3+L3)が幅W/2である。
【0045】
制御棒1において、制御棒1の軸心に直交する方向に板部材4Bと並んでいる板部材4Cは、板部材4Bと同じ形状を有している。
【0046】
板部材4Cによって構成されるブレード2D及びハンドル3の一部であるハンドル要素3Gを、図3を用いて説明する。板部材4Cの一端部には、ハンドル3の一部になる連結部5Cが形成されている。連結部5Cを含むL字状のハンドル要素3Gが、ブレード2Dの上端16につながっている。
【0047】
板部材4Cの幅方向における板部材4Cの一端部、すなわち、制御棒1の軸心側の端部に、連結部5C以外に、連結部17B1及び17B2及び複数の連結部17B3が、連結部5Cから板部材4Cの他端に向かってこの順番に形成される。連結部17B1及び17B2及び複数の連結部17B3が、板部材4Cに形成されるブレード2Dの、制御棒1の軸心側の側面から板部材4Cの幅方向に伸びている。板部材4Cの幅方向は、ブレード2Dの幅方向である。
【0048】
ブレード2Dの側面23Bが隣り合う連結部17B3の相互間、及びブレード2Dの下端に最も近い位置に存在する連結部17A3とブレード2Dの下端の間にそれぞれ存在する。ブレード2Dの側面21Bとブレード2Dの側面22Bで形成される1つの段差部が、連結部17B2と複数の連結部17B3のうち連結部5Cに最も近い連結部17B3の間に形成される。ブレード2Dの側面19Bとブレード2Dの側面20Bで形成される1つの段差部が、連結部17B1と連結部17B2の間に形成される。ブレード2Dの側面18Bが連結部17B1よりもブレード2Dの上端16側に存在する。
【0049】
側面18B及び19Bから連結部17B1の先端までの長さがL1である。側面20B及び21Bから連結部17B2の先端までの長さがL2である。側面23B及び22Bから連結部17B3のうち連結部5Cに最も近い連結部17B3の先端までの長さがL3である。側面23Bから残りの各連結部17B3の先端までの長さもL3である。板部材4Cにおいても、長さL1,L2及びL3は、L1<L2<L3の関係を満足している。
【0050】
板部材4Cにおいて、領域h1はブレード2Dの上端16と側面19Bの下端の間の領域である。領域h2は側面19Bの下端、すなわち、側面20Bの上端と側面21Bの下端の間の領域である。領域h3は側面21Bの下端、すなわち、側面22Bの上端とブレード2Dの下端の間の領域である。側面22B及び複数の側面23Bを含む領域h3におけるブレード2Dの幅はWb3であり、側面20B及び21Bを含む領域h2におけるブレード2Dの幅はWb2であり、さらに、側面18B及び19Bを含む領域h1におけるブレード2Dの幅はWb1である。これらの幅Wb3,Wb2及びWb3も、Wb3<Wb2<Wb1の関係を満足している。
【0051】
板部材4Cの幅は、板部材4Aの幅Wの1/2であり、W/2である。板部材4Cでは、領域h1においては(Wb1+L1)が幅W/2あり、領域h2においては(Wb2+L2)が幅W/2である。さらに、領域h3においては(Wb3+L3)が幅W/2である。
【0052】
板部材4Aにおいてブレード2Aに中性子吸収材充填部7Aを、ブレード2Cに中性子吸収材充填部7Cをそれぞれ形成し、板部材4Bにおいてブレード2Bに中性子吸収材充填部7Bを形成し、板部材4Cにおいてブレード2Dに中性子吸収材充填部7Dを形成する必要がある。このため、複数の中性子吸収材充填孔28が、ブレード2Aの中性子吸収材充填部7A、ブレード2Bの中性子吸収材充填部7B、ブレード2Cの中性子吸収材充填部7C及びブレード2Dの中性子吸収材充填部7Dに、それぞれ、ブレードの幅方向に並んで形成され(図5、図6及び図7参照)、各板部材の長手方向に伸びている。各中性子吸収材充填孔28は、例えば、それぞれのブレードの下端から架橋部6B1の位置(またはブレードの上端16近くの位置)まで伸びている。各中性子吸収材充填孔28は、板部材4A,4B及び4Cのそれぞれに対し、各板部材の下端からのガンドリル及び放電加工等の機械的な孔加工により、または横断面が正方形で中心軸に横断面が円である孔部を形成した複数の管をブレードの幅方向に並べ、これらの管を熱間等方圧加圧接合法(以下,HIP:Hot Isostatic Pressing)により互いに接合することにより製作される。
【0053】
中性子吸収材29がそれぞれの中性子吸収材充填孔28内に充填されている(図5、図6及び図7参照)。中性子吸収材29として、B4C及びハフニウムの少なくとも1つが用いられる。B4Cは、B4C粉末として中性子吸収材充填孔28内に、直接、充填してもよいし、密閉されたステンレス管内にB4C粉末を充填した中性子吸収棒として中性子吸収材充填孔28内に挿入してもよい。ハフニウムは、金属Hfの中実丸棒として中性子吸収材充填孔28内に挿入する。B4Cは中性子を吸収してヘリウムガスを放出するため、ヘリウムガスを溜めるプレナムを各ブレード内に形成する。また、ハフニウムは中性子吸収により照射伸びを生じるため、各ブレードが変形しないように、プレナムの設計には注意することが好ましい。各中性子吸収材充填孔28内に中性子吸収材29を充填した後、これらの中性子吸収材充填孔28に栓が挿入されて栓を該当する板部材に溶接で接合し、中性子吸収材29を充填した各中性子吸収材充填孔28を密封する。
【0054】
板部材4A,4B及び4C自体を、中性子吸収能力を有するハフニウム基合金、ガドリニウム基合金又またはカドミウム基合金で構成してもよい。この場合には、各板部材には中性子吸収材充填孔28が形成されない。
【0055】
板部材4Bは、連結部5Bが板部材4Aの連結部5Aに垂直になるように、板部材4Aの幅方向の中央に配置される。連結部5Bが溶接部26によって連結部5Aに結合される。板部材4Cも、連結部5Cが板部材4Aの連結部5Aに垂直になるように、板部材4Aの幅方向の中央に配置される。連結部5Cが溶接部26によって連結部5Aに結合される。十字形の横断面を有する下部支持部材4の上端が、板部材4A,4B及び4Cのそれぞれの下端に溶接にて接合される。以上の溶接により板部材4A,4B及び4Cが一体化され、制御棒1の軸心から四方に伸びるブレード2A,2B,2C及び2Dが形成される。4個のローラ25が下部支持部材4に設けられ、制御棒駆動機構に連結される連結部12が下部支持部材4に設けられる。
【0056】
連結部5Aと連結部5B及び5Cのそれぞれの溶接部、板部材4Bに形成された連結部17A1〜17A3と板部材4Cに形成された連結部17B1〜17B3のそれぞれの溶接部、及び板部材4A,4B及び4Cと下部支持部材4の溶接部には引張残留応力が存在するため、ウォータジェットピーニング及びショットピーニング等のピーニング技術の、それらの溶接部への適用により、それらの溶接部に圧縮残留応力を付与し、それらの溶接部の応力を改善することが好ましい。ピーニング技術の適用の替りに応力緩和研磨をそれらの溶接部に施し、それらの溶接部の応力を改善しても良い。
【0057】
連結部5Aと連結部5B及び5Cの結合、板部材4Bに形成された連結部17A1〜17A3と板部材4Cに形成された連結部17B1〜17B3のそれぞれの結合、及び板部材4A,4B及び4Cと下部支持部材4の結合は、溶接の替りに摩擦拡散接合によって行っても良い。
【0058】
板部材4B及び4Cにおいて、連結部17A1及び17B1が溶接部27で結合されて架橋部6B1が形成され、連結部17A2及び17B2が溶接部27で結合されて架橋部6B2が形成され、連結部17A3及び17B3が溶接部27で結合されて架橋部6B3が形成される。各連結部の結合によって一体化された板部材4B及び4Cには、各連結部の結合によって形成された複数の架橋部により、板部材4Aと同様に、複数の開口部が形成される。すなわち、開口部8B2が架橋部6B1よりも連結部5B及び5C側に形成され、開口部8B3が架橋部6B1と架橋部6B2の間に形成され、開口部8B4が架橋部6B2と3つの架橋部6B3のうち連結部5B及び5Cに最も近い架橋部6B3の間に形成される。2つの開口部8B5が3つの架橋部6B3のうちで隣り合う架橋部6B3の相互間にそれぞれ形成される。1つの開口部8B5が下部支持部材4に最も近い位置に存在する架橋部6B3と下部支持部材4の間に形成される。
【0059】
板部材4A,4B及び4Cに形成されたそれぞれの中性子吸収材充填孔28への中性子吸収材29の充填は、板部材4A,4B及び4Cを溶接にて一体化する前に行ってもよいし、連結部5Aに連結部5B及び5Cを溶接にて結合し、連結部17A1〜17A3を連結部17b1〜17B3にそれぞれ溶接にて結合することにより板部材4A,4B及び4Cを一体化した後に行ってもよい。
【0060】
以上に述べた板部材4A,4B及び4Cの溶接による一体化、及び下部支持部材4の板部材4A,4B及び4Cの下端への溶接によって、制御棒1が完成する。連結部5A,5B及び5Cの結合、すなわち、ハンドル要素3E,3F及び3Gの結合によりハンドル3が形成される。
【0061】
制御棒1において、板部材4B及び4Cの結合により形成される架橋部6B1〜6B3及び開口部8B2〜8B4について説明する。架橋部6B1の、ブレード2B及び2Dの幅方向における長さはWo1(=2×L1)である。架橋部6B2の、ブレード2B及び2Dの幅方向における長さはWo2(=2×L2)である。各架橋部6B3の、ブレード2B及び2Dの幅方向における長さはWo3(=2×L3)である。
【0062】
開口部8B2はハンドル要素3F及び3Gによって形成される開口部8B1に連通している。開口部8B2の、ブレード2B及び2Dの幅方向における幅(対向している側面18Aと側面18Bの間の寸法)はWo1である。開口部8B3は、対向する側面19A及び19Bを形成している幅Wo1の開口及び対向する側面20A及び20Bを形成している幅Wo2の開口を含んでいる。開口部8B3において、幅Wo1の開口が幅Wo2の開口よりも架橋部6B1側に位置している。開口部8B4は、対向する側面21A及び21Bを形成している幅Wo2の開口及び対向する側面22A及び22Bを形成している幅Wo3の開口を含んでいる。開口部8B4において、幅Wo2の開口が幅Wo3の開口よりも架橋部6B1側に位置している。開口部8B5の、ブレード2B及び2Dの幅方向における幅(対向している側面23Aと側面23Bの間の寸法)はWo3である。幅Wo1,Wo2及びWo3は、Wo1<Wo2<Wo3の関係を満足している。
【0063】
制御棒1において、架橋部6A1が開口部8B3内で側面19Aと側面19Bの間に配置され、架橋部6A2が開口部8B4内で側面21Aと側面21Bの間に配置され、それぞれの架橋部6A3が各開口部8B5内に別々に配置されている。また、架橋部6B1が開口部8A2内に配置され、架橋部6B2が開口部8A3内で対向する側面10の間に配置され、架橋部6B3のうちハンドル3に最も近い位置に配置された架橋部6B3が開口部8A4内で対向する側面13の間に配置され、残りの各架橋部6B3が各開口部8A5内に別々に配置されている。
【0064】
制御棒1は、軸方向において、形状が異なる3つの横断面を有する。第1横断面は、炉心に最初に挿入されるハンドル3の上端部(挿入端部)、及び下部支持部材4の位置に存在する。第1横断面の1つは、4枚のブレード2A,2B,2C及び2Dを結合する、連結部5A,5B及び5Cが互いにつながっている領域での横断面である(図4参照)。第1横断面の他の1つは、十字形をした下部支持部材4の横断面である。第2横断面を形成する領域は、ブレードの上端16と架橋部6B1の間、架橋部6B1と架橋部6A1の間、架橋部6A1と架橋部6B2の間、架橋部6B2と架橋部6A2の間、架橋部6A2と複数の架橋部6B3のうちハンドル3に最も近い位置に存在する架橋部6B3の間、この架橋部6B3と複数の架橋部6A3のうちハンドル3に最も近い位置に存在する架橋部6A3の間、残りの各架橋部6B3と残りの架橋部6A3のそれぞれの間、及び下部支持部材4に最も近い位置に存在する架橋部6A3と下部支持部材4の間に、それぞれ、存在する。第2横断面は、図5に示すように、4枚のブレード2A,2B,2C及び2Dが互いに分離されている領域での横断面である。第3横断面を形成する領域は、制御棒1の各架橋部の位置に存在する。第3横断面を形成する1つの領域は、図6に示すように、ブレード2Aとブレード2Cが架橋部(例えば、架橋部6A2)でつながり、そしてこれらのブレードと直交して配置されたブレード2Bとブレード2Dが互いに分離されている領域での横断面である。第3横断面を形成する他の1つの領域は、図7に示すように、ブレード2Bとブレード2Dが架橋部(例えば、架橋部6B3)でつながり、そしてこれらのブレードと直交して配置されたブレード2Aとブレード2Cが互いに分離されている領域での横断面である。
【0065】
上記した第1横断面、第2横断面及び第3横断面が形成される制御棒1は、第1横断面を含む複数の第1領域、第2横断面を含む複数の第2領域、及び第3横断面を含む複数の第3領域を有している。
【0066】
本実施例では、例えば、制御棒1の、ブレードの上端16とブレードの上端からブレードの軸方向長さの1/2の位置の間の領域において、架橋部と、この架橋部に対向しているブレードの側面、すなわち、架橋部が配置される開口部の側面の間に形成される間隙の幅が、図8に示すように、ハンドル3に近づくほど狭くなっている。図9〜図14を用いて、架橋部とこの架橋部に直交しているブレードの間に形成される間隙について説明する。
【0067】
架橋部6A1の位置では、制御棒1は図9に示す横断面形状を有している。ブレード2Aとブレード2Cを結合している架橋部6A1は、この架橋部6A1と直交しているブレード2Bとブレード2Dの間に配置されている。制御棒1の軸心が真っ直ぐになっている制御棒1の正常状態においては、架橋部6A1とブレード2B及び2Dのそれぞれの間に形成される間隙の幅は、ともにWg1である。この位置でのブレード2A,2B,2C及び2Dのそれぞれの幅はWb1である。その間隙の幅Wg1の2倍にブレード2A及び2Cの厚みtを加えると、架橋部6A1が配置されている位置での開口部8B3の幅Wo1に等しくなる(2×Wg1+t=Wo1)。
【0068】
架橋部6A2の位置では、制御棒1は図10に示す横断面形状を有している。ブレード2Aとブレード2Cを結合している架橋部6A2は、この架橋部6A2と直交しているブレード2Bとブレード2Dの間に配置されている。制御棒1の正常状態においては、架橋部6A2とブレード2B及び2Dのそれぞれの間に形成される間隙の幅は、ともにWg2である。この位置でのブレード2A,2B,2C及び2Dのそれぞれの幅はWb2である。その間隙の幅Wg2の2倍にブレード2A及び2Cの厚みtを加えると、架橋部6A2が配置されている位置での開口部8B4の幅Wo2に等しくなる(2×Wg2+t=Wo2)。
【0069】
架橋部6A3の位置では、制御棒1は図11に示す横断面形状を有している。ブレード2Aとブレード2Cを結合している架橋部6A3は、この架橋部6A3と直交しているブレード2Bとブレード2Dの間に配置されている。制御棒1の正常状態においては、架橋部6A3とブレード2B及び2Dのそれぞれの間に形成される間隙の幅は、ともにWg3である。この位置でのブレード2A,2B,2C及び2Dのそれぞれの幅はWb3である。その間隙の幅Wg3の2倍にブレード2A及び2Cの厚みtを加えると、架橋部6A3が配置されている開口部8B5の幅Wo3に等しくなる(2×Wg3+t=Wo3)。
【0070】
架橋部6B1の位置では、制御棒1は図12に示す横断面形状を有している。ブレード2Bとブレード2Dを結合している架橋部6B1は、この架橋部6B1と直交しているブレード2Aとブレード2Cの間に配置されている。制御棒1の正常状態においては、架橋部6B1とブレード2A及び2Cのそれぞれの間に形成される間隙の幅は、ともにWg1である。この位置でのブレード2A,2B,2C及び2Dのそれぞれの幅はWb1である。その間隙の幅Wg1の2倍にブレード2B及び2Dの厚みtを加えると、架橋部6B1が配置されている位置での開口部8A2の幅Wo1に等しくなる(2×Wg1+t=Wo1)。
【0071】
架橋部6B2の位置では、制御棒1は図13に示す横断面形状を有している。ブレード2Bとブレード2Dを結合している架橋部6B2は、この架橋部6B2と直交しているブレード2Aとブレード2Cの間に配置されている。制御棒1の正常状態においては、架橋部6B2とブレード2A及び2Cのそれぞれの間に形成される間隙の幅は、ともにWg2である。この位置でのブレード2A,2B,2C及び2Dのそれぞれの幅はWb2である。その間隙の幅Wg2の2倍にブレード2B及び2Dの厚みtを加えると、架橋部6B2が配置されている位置での開口部8A3の幅Wo2に等しくなる(2×Wg2+t=Wo2)。
【0072】
架橋部6B3の位置では、制御棒1は図14に示す横断面形状を有している。ブレード2Bとブレード2Dを結合している架橋部6B3は、この架橋部6B3と直交しているブレード2Aとブレード2Cの間に配置されている。制御棒1の正常状態においては、架橋部6B3とブレード2A及び2Cのそれぞれの間に形成される間隙の幅は、ともにWg3である。この位置でのブレード2A,2B,2C及び2Dのそれぞれの幅はWb3である。その間隙の幅Wg3の2倍にブレード2B及び2Dの厚みtを加えると、架橋部6B3が配置されている位置での開口部8A4の幅Wo3に等しくなる(2×Wg3+t=Wo3)。
【0073】
間隙の幅Wg1,Wg2及びWg3は、Wg1<Wg2<Wg3の関係を満足している。
【0074】
沸騰水型原子炉の運転時においては、原子炉出力を制御するために用いられている複数の制御棒1以外の全ての制御棒1は、原子炉圧力容器内に配置されて複数の燃料集合体が装荷されている炉心から全引き抜きされた状態になっている。沸騰水型原子炉の運転時に地震が発生した場合には、全ての制御棒1が炉心内に急速挿入されて沸騰水型原子炉が緊急停止される。特に、沸騰水型原子炉の運転時に炉心から全引き抜きされている各制御棒1は、燃料集合体の下端部を支持する燃料支持金具に形成された十字形の横断面を有する制御棒挿入孔を通して、燃料集合体間に全挿入される。各燃料集合体は、地震時において図16に示すように水平方向に湾曲するように、変位する。これらの燃料集合体の水平方向の変位の影響を受けて、燃料集合体の相互間に挿入された制御棒1の、変位する燃料集合体に向かい合っているブレードも、水平方向に変位する。
【0075】
制御棒1では、ブレード2A,2B,2C及び2Dは制御棒1の上端部(挿入端部)及び下端部(下部支持部材4)で互いに連結される構造となっており、軸方向の大部分において、2枚のブレード2A,2Cと、これらのブレードを結合している架橋部と直交する他の2枚のブレード2B,2Dは互いに分離されている。このため、地震時に燃料集合体間に挿入される制御棒1は、燃料集合体の地震時における水平方向の変位に応じてブレードを水平方向に変位させることができるので、地震時における制御棒1の燃料集合体間への挿入が円滑に行われ、制御棒1の急速挿入に要する時間が短くなる。
【0076】
本実施例では、特開2011−80985号公報に記載された制御棒と同様に、架橋部(例えば、架橋部6A3)が、この架橋部に直交している一対のブレード(例えば、ブレード2B,2D)との間に間隙(例えば、幅Wg3)を形成しているので、燃料集合体の水平方向の変位の影響を受けたとき、架橋部材(例えば、架橋部6A3)によって結合されている2枚のブレード(例えば、ブレード2A,2C)が、地震時において水平方向に変位しやすい。制御棒1のこのような構成は、地震時における燃料集合体間への挿入を円滑に行うことができる。
【0077】
また、架橋部(例えば、架橋部6A3)が、この架橋部に直交している一対のブレード(例えば、ブレード2B,2D)とのそれぞれの間に間隙(例えば、幅Wg3)を形成してこの一対のブレードと対向しているため、地震時においてその架橋部(例えば、架橋部6A3)によって結合されている2枚のブレード(例えば、ブレード2A,2C)が地震時において水平方向に変位しても、この変位による2枚のブレード(例えば、ブレード2A,2C)の水平方向における移動量は、その架橋部(例えば、架橋部6A3)がこれと直交しているブレード(例えば、ブレード2B)に当ることによって制限される(特開2011−80985号公報の図12参照)。このため、制御棒1は、特開2011−80985号公報に記載された制御棒と同様に、過大地震時における炉心への急速挿入時におけるブレードの座屈変形を抑制することができる。
【0078】
本実施例の制御棒1は、過大地震時においても、良好な炉心への挿入性を得ることができる。
【0079】
全引き抜きされている制御棒1が地震時に炉心に急速挿入されるとき、制御棒1のブレードは、前述したように、地震時において燃料支持金具38から付与される強制変位30により、燃料支持金具38が地震により振動する方向に変位する。しかしながら、本実施例では、一対のブレードを結合する複数の架橋部の一部であり制御棒1の上部領域に存在する、一対のブレード(例えば、ブレード2A,2C)を結合する複数の架橋部(例えば、複数の架橋部6A)と、これらの架橋部(例えば、架橋部6A)と直交しているブレード(例えば、ブレード2B,2D)の間に形成されるそれぞれの間隙の幅は、その一対のブレード(例えば、ブレード2A,2C)を結合する上記した一部の架橋部(例えば、架橋部6A)によって形成された複数の間隙において形成された位置が制御棒1の挿入端部(ハンドル3)により近い間隙ほど狭くなっている(Wg1<Wg2<Wg3)。このため、燃料支持金具38から付与される強制変位30により、制御棒1の一対のブレード(例えば、ブレード2B,2D)が、図15に示すように、変位した場合でも、ハンドル3に近い位置に存在する架橋部ほど、水平方向への移動が架橋部と直交しているブレード(例えば、ブレード2A,2C)によってより早く拘束され、水平方向における移動量が少なくなる。この結果、架橋部にて結合されている一対のブレード(例えば、ブレード2B,2D)の水平方向における変位により、ブレード2A,2B,2C及び2Dを結合している、ハンドル3の上端部に形成される第1横断面を含む第1領域(連結部5Aの部分)に生じる固定端モーメントを低減することができ、架橋部にて結合されている一対のブレード(例えば、ブレード2B,2D)が第1領域に連結される部分(例えば、ハンドル要素3F,3G)において発生する応力を低減することができる。地震時における燃料支持金具38から付与される強制変位30の影響を受けて架橋部で結合されている一対のブレード2A,2Cが水平方向に変位した場合でも、により、同様に、架橋部にて結合されている一対のブレード(例えば、ブレード2A,2C)が第1領域に連結される部分(例えば、ハンドル要素3E)において発生する応力を低減することができる。
【実施例2】
【0080】
本発明の他の実施例である実施例2の沸騰水型原子炉用制御棒を、図19を用いて説明する。本実施例の制御棒1Aは、実施例1の制御棒1において架橋部及びブレードの幅が増大した領域にも中性子吸収材充填孔を形成し、これらの中性子吸収材充填孔に中性子吸収材を充填した構成を有する。制御棒1Aの他の構成は制御棒1と同じである。
【0081】
架橋部6B2が存在する位置での横断面である図19を用いて詳細に説明する。複数の中性子吸収材充填孔28Aが、ブレード2Bとブレード2Dを結合している架橋部6B2に形成されている。中性子吸収材充填孔28Aは架橋部6B2を貫通していない。中性子吸収材が各中性子吸収材充填孔28Aの開放端から各中性子吸収材充填孔28A内に充填され、各中性子吸収材充填孔28Aの開放端は端栓を架橋部6B2に溶接することによって封鎖される。
【0082】
架橋部6B2の位置におけるブレード2A,2B,2C及び2Dのそれぞれの幅(領域h2における各ブレードの幅)は、領域h2よりも下方の領域h3における各ブレードの幅よりも(Wb2−Wb3)だけ広くなっている。また、領域h1におけるブレード2A,2B,2C及び2Dのそれぞれの幅は、領域h3における各ブレードの幅よりも(Wb1−Wb3)だけ広くなっている。ブレード2A,2B,2C及び2Dのそれぞれにおいて、領域h2では(Wb2−Wb3)だけ幅が増加した領域、及び領域h1では(Wb1−Wb3)だけ幅が増加した領域に、複数の中性子吸収材充填孔28Bをそれぞれ形成し、これらの中性子吸収材充填孔28B内にも中性子吸収材29を充填する。中性子吸収材29の充填後に各中性子吸収材充填孔28Bを封鎖する。これらの架橋部に設けられた中性子吸収材充填孔28は、機械加工またはHIPによりブレード2A,2B,2Cおよび2Dを形成する際に、架橋部にも孔を設けることによって、形成することができる。
【0083】
他の架橋部においても、中性子吸収材29が充填されて密封された複数の中性子吸収材充填孔28Aが形成される。
【0084】
本実施例は、実施例1で生じる各効果を得ることができる。さらに、本実施例は架橋部及びブレードの幅が増加する領域にも中性子吸収材29を充填するので、制御棒1Aの制御棒価値を制御棒1よりも増加することができる。
【実施例3】
【0085】
本発明の他の実施例である実施例3の沸騰水型原子炉用制御棒を、図20を用いて説明する。本実施例の制御棒1Bは、実施例1の制御棒1において軸方向に配置される一部の開口部(ハンドル3側に位置する開口部)の形状をハンドル3から下部支持部材4に向かって広がるように形成した構成を有する。制御棒1Bの他の構成は制御棒1と同じである。
【0086】
ブレード2A,2Cを形成している板部材4Aに形成された開口部40A1,40A2,40A3は、下部支持部材4側の端部での幅をハンドル側の端部での幅よりも大きくしている。このため、開口部40A1,40A2,40A3のそれぞれにおいて、対向する側面が傾斜面になっている。さらに、開口部40A1,40A2及び40A3において、開口部40A1の、下部支持部材4側の端部での幅、開口部40A2の、下部支持部材4側の端部での幅、及び開口部40A3の、下部支持部材4側の端部での幅は、開口部40A1,40A2及び40A3の順に広くなっている。開口部40A2の、ハンドル3側の端部での幅は、開口部40A1の、下部支持部材4側の端部での幅よりも若干広くなっている。開口部40A3の、ハンドル3側の端部での幅は、開口部40A2の、下部支持部材4側の端部での幅よりも若干広くなっている。板部材4Aに形成される残りの開口部40A4の形状は制御棒1Bの軸方向に伸びる長方形になっている。
【0087】
一体化されて、ブレード2Bを形成している板部材4B及びブレード2Dを形成している板部材4Cに形成された開口部40B1,40B2,40B3も、下部支持部材4側の端部での幅をハンドル側の端部での幅よりも大きくしている(図27参照)。このため、開口部40B1,40B2,40B3のそれぞれにおいて、対向する側面が傾斜面になっている。さらに、開口部40B1,40B2及び40B3において、開口部40B1の、下部支持部材4側の端部での幅、開口部40B2の、下部支持部材4側の端部での幅、及び開口部40B3の、下部支持部材4側の端部での幅は、開口部40B1,40B2及び40B3の順に広くなっている。開口部40B2の、ハンドル3側の端部での幅は、開口部40B1の、下部支持部材4側の端部での幅よりも若干広くなっている。開口部40B3の、ハンドル3側の端部での幅は、開口部40B2の、下部支持部材4側の端部での幅よりも若干広くなっている。一体化された板部材4B,4Cに形成される残りの開口部40B4の形状は制御棒1Bの軸方向に伸びる長方形になっている。
【0088】
ブレード2Bとブレード2Dを結合している架橋部6B1,6B2,6B3は、開口部40A1,40A2,40A3内に別々に配置される。ブレード2Aとブレード2Cを結合している架橋部6A1,6A2,6A3は、開口部40B1,40B2,40B3内に別々に配置される。
【0089】
制御棒1Bも、制御棒1と同様に、第1横断面を含む第1領域(一体化された連結部5A〜5Cの部分、及び下部支持部材4)、第2横断面を含む第2領域(制御棒の軸方向における架橋部相互間の領域)及び第3横断面を含む第3領域(各架橋部が位置するそれぞれの領域)を有している。
【0090】
さらに、一対のブレードを結合する複数の架橋部の一部であり制御棒1Bでは、制御棒1Bの上部領域に存在する、一対のブレード(例えば、ブレード2B,2D)を結合する複数の架橋部(例えば、複数の架橋部6A)とこれらの架橋部(例えば、架橋部6B)と直交しているブレード(例えば、ブレード2A,2C)の間に形成される複数の間隙の幅は、制御棒1と同様に、その一対のブレード(例えば、ブレード2A,2C)を結合する上記した一部の架橋部(例えば、架橋部6A)によって形成された複数の間隙において形成された位置が制御棒1の挿入端部(ハンドル3)により近い間隙ほど狭くなっている。
【0091】
本実施例は、実施例1で生じる各効果を得ることができる。
【実施例4】
【0092】
本発明の他の実施例である実施例4の沸騰水型原子炉用制御棒を、図21及び図22を用いて説明する。本実施例の制御棒1Cは、実施例1の制御棒1において一対のブレードを結合する架橋部に開口部を形成し、ハンドル3に向かって架橋部に形成された開口部の幅をハンドル3に近い架橋部ほど狭くする構成を有する。制御棒1Aの他の構成は制御棒1と同じである。
【0093】
結合されて一体化された板部材4B及び4Cに、ブレード2Bとブレード2Dを結合する5つの架橋部が、制御棒1Cの軸方向において、形成されている。図21には、これらの架橋部のうち、ハンドル3側に位置する2つの架橋部43A及び43Bが示されている。架橋部43Aは架橋部43Bよりもハンドル3側に位置している。
【0094】
さらに、開口部41B1が、架橋部43Aよりもハンドル3側でブレード2Bとブレード2Dの間に形成される。この開口部41B1は、連結部5Bと連結部5Cを結合することによって、結合された板部材4B及び4Cに形成される開口部8B1に連通している。開口部41B3が架橋部43Aと架橋部43Bの間に形成され、開口部41B5が架橋部43Bとこの架橋部43Bに下部支持部材4側で隣接している他の架橋部(図示せず)の間に形成される。架橋部43Bよりも下部支持部材4側に形成された3つの架橋部(図示せず)の相互間にも開口部(図示せず)が形成されている。開口部41B3及び41B5はブレード2Bとブレード2Dの間に配置される。
【0095】
開口部41B2が架橋部43Aに形成され、開口部41B4が架橋部43Bに形成される。開口部41B2の、ブレード2B,2Dの幅方向における幅は、例えば、Wo1であり、開口部41B4の、ブレード2B,2Dの幅方向における幅は、例えば、Wo2である。残りの3つの架橋部にも開口部がそれぞれ形成されている。この3つの架橋部に形成された開口部の、ブレード2B,2Dの幅方向における幅は、ブレード2Bとブレード2Bの間の間隙の幅と同じ、例えば、Wo3である。開口部41B2及び開口部41B4の、ブレード2B,2Dの幅方向における幅は、開口部41B1,41B3及び41B5のその幅方向における幅よりも狭くなっている。さらに、開口部41B4よりもハンドル3の近くに配置される開口部41B2の、ブレード2B,2Dの幅方向における幅は、開口部41B4のその幅よりも狭くなっている。
【0096】
連結部5B,5Cから下部支持部材4に向かって、開口部41B1,41B2,41B3,41B4,及び41B5が、この順番に形成される。これらの開口部は、制御棒1Cの軸心上に配置される。図21において、ブレード2Bが開口部41B1,41B2,41B3,41B4,及び41B5の右に存在し、ブレード2Dが開口部41B1,41B2,41B3,41B4,及び41B5の左に存在する。
【0097】
架橋部43Aは、開口部41B2の形成によって、ブレード2B,2Dの幅方向の中央部において、2つの架橋44A1及び44A2を形成している。架橋部43Aは架橋44A1及び44A2を含んでいる。架橋44A1及び44A2のそれぞれの高さは、架橋部43Aの高さから開口部41B2の高さを引いて得られる高さの1/2である。架橋部43Bは、開口部41B4の形成によって、ブレード2B,2Dの幅方向の中央部において、2つの架橋44A3及び44A4を形成している。架橋部43Bは架橋44A3及び44A4を含んでいる。架橋44A3及び44A4のそれぞれの高さは、架橋部43Bの高さから開口部41B4の高さを引いて得られる高さの1/2である。
【0098】
架橋部43Bよりも下部支持部材4側に位置している3つの架橋部に形成された各開口部の、ブレード2B,2Dの幅方向における幅は、前述したように、開口部41B1等のその幅方向における幅と同じである。このため、この3つの架橋部は、実質的に、架橋部43Bにおける2つの架橋44A3及び44A4と同じ高さを有する2つの架橋でそれぞれ構成される。
【0099】
架橋44A3及び44A4よりもハンドル3の近くに存在する架橋44A1及び44A2のブレードの幅方向における長さは、架橋44A3及び44A4のブレードの幅方向における長さよりも短くなっている。
【0100】
板部材4Aに、ブレード2Aとブレード2Cを結合する5つの架橋部が、制御棒1Cの軸方向において、形成されている。図22には、これらの架橋部のうち、ハンドル3側に位置する2つの架橋部6A1及び6A2が示されている。架橋部6A1は架橋部6A2よりもハンドル3側に位置している。
【0101】
さらに、開口部41A1が、架橋部6A1よりもハンドル3側でブレード2Aとブレード2Cの間に形成される。この開口部41A1は、連結部5Aを形成することによって板部材Aに形成された開口部8A1に連通している。開口部41A4が架橋部6A1と架橋部6A2の間に形成され、開口部41A7が架橋部6A2とこの架橋部6A2に下部支持部材4側で隣接している他の架橋部(図示せず)の間に形成される。架橋部6A2よりも下部支持部材4側に形成された3つの架橋部(図示せず)の相互間にも開口部(図示せず)が形成されている。
【0102】
開口部41A2及び41A3が架橋部6A1に形成され、開口部41A5及び41A3が架橋部6A2に形成される。開口部41A2が開口部41A1と連通し、開口部41A3が開口部41A4と連通している。開口部41A5が開口部41A4に連通され、開口部41A6が開口部41A7に連通される。開口部41A2の、ブレード2A,2Cの幅方向における幅は、例えば、Wo1であり、開口部41A5の、ブレード2A,2Cの幅方向における幅は、例えば、Wo2である。開口部41A2,41A3,41A5及び41A6のそれぞれのブレードの幅方向における幅は開口部41A1,41A4及び41A7のブレードの幅方向における幅よりも狭くなっている。さらに、開口部41A2,41A3及び41A5のそれぞれのブレードの幅方向における幅は、開口部41A5,41A3及び41A2の順に狭くなっている。開口部41A2,41A3,41A5及び41A6のそれぞれのブレードの幅方向における幅は、これらの開口部のうちでハンドル3に近い位置に存在する開口部ほど狭くなっている。
【0103】
架橋部6A2よりも下部支持部材4側に形成された3つの架橋部は、架橋部6A1及び6A2のように開口部を形成していなく、実施例1における架橋部6A3と同じ形状を有している。換言すれば、その3つの架橋部においては、開口部41B5の幅と同じ幅を有する2つの開口部が、架橋部6A1及び6A2と同様に形成されているとも言え、3つの架橋部のそれぞれのハンドル3側及び下部支持部材4側に存在する開口部の一部になっている。
【0104】
連結部5Aから下部支持部材4に向かって、開口部41A1,41A2,41A3,41A4,41A5,41A6及び41A7が、この順番に形成されている。これらの開口部は、制御棒1Cの軸心上に配置される。図22において、ブレード2Aが開口部41A1,41A2,41A3,41A4,41A5,41A6及び41A7の右に存在し、ブレード2Cが開口部41A1,41A2,41A3,41A4,41A5,41A6及び41A7の左に存在する。
【0105】
架橋部6A1は、開口部41A2及び41A3の形成によって、ブレード2A,2Cの幅方向の中央部で開口部41A2と開口部41A3の間に、1つの架橋42A1を形成している。架橋部6A1は架橋42A1を含んでいる。架橋42A1の高さは、架橋部6A1の高さから開口部41A2及び41A3のそれぞれの高さを引いて得られる高さであり、架橋部43Aに形成された開口部41B2の高さよりも低くなっている。架橋部6A2は、開口部41A5及び41A6の形成によって、ブレード2A,2Cの幅方向の中央部で開口部41A5と開口部41A6の間に、1つの架橋42A2を形成している。架橋部6A2は架橋42A2を含んでいる。架橋42A2の高さは、架橋部6A2の高さから開口部41A5及び41A6のそれぞれの高さを引いて得られる高さであり、架橋部43Bに形成された開口部41B4の高さよりも低くなっている。
【0106】
架橋42A2よりもハンドル3の近くに存在する架橋42A1のブレードの幅方向における長さは、架橋42A2のブレードの幅方向における長さよりも短くなっている。
【0107】
ブレード2A,2Cを結合する架橋部6A1の架橋42A1は開口部41B2内に配置される。ブレード2A,2Cを結合する架橋部6A2の架橋42A2は開口部41B4内に配置される。ブレード2B,2Dを結合する架橋部43Aの架橋44A1は開口部41A2内に配置され、架橋部43Aの架橋44A2は開口部41A3内に配置される。ブレード2B,2Dを結合する架橋部43Bの架橋44A3は開口部41A5内に配置され、架橋部43Bの架橋44A4は開口部41A6内に配置される。
【0108】
架橋部6A1、具体的には架橋42A1と開口部41B2の対向する各側面の間に形成されるそれぞれの間隙の幅は、架橋部6A2、具体的には架橋42A2と開口部41B4の対向する各側面の間に形成されるそれぞれの間隙の幅よりも狭くなっている。架橋部43B、具体的には架橋44A4と開口部41A6の対向する各側面の間に形成されるそれぞれの間隙の幅、架橋部43B、具体的には架橋44A3と開口部41A5の対向する各側面の間に形成されるそれぞれの間隙の幅、架橋部43A、具体的には架橋44A2と開口部41A3の対向する各側面の間に形成されるそれぞれの間隙の幅、及び架橋部43A、具体的には架橋44A1と開口部41A2の対向する各側面の間に形成されるそれぞれの間隙の幅は、この順番でハンドル3に向かうほど狭くなっている。
【0109】
制御棒1Cも、制御棒1と同様に、第1横断面を含む第1領域(一体化された連結部5A〜5Cの部分、及び下部支持部材4)、第2横断面を含む第2領域(制御棒の軸方向における架橋部相互間の領域)及び第3横断面を含む第3領域(各架橋部が位置するそれぞれの領域)を有している。
【0110】
実施例1と同様に、地震時に、炉心から全引き抜きされている制御棒1Cを炉心内の燃料集合体間に挿入するとき、燃料集合体の水平方向への変位の影響を受けて水平方向に変位する一対のブレードを結合する架橋部(具体的には、架橋)が、この架橋部(具体的には、架橋)に直交しているブレード、すなわち、その架橋部(具体的には、架橋)が配置されている開口部の対向する側面によって水平方向における移動が拘束されるので、過大地震時における炉心への急速挿入時におけるブレードの座屈変形を抑制することができる。本実施例の制御棒1は、過大地震時においても、良好な炉心への挿入性を得ることができる。
【0111】
本実施例においても、制御棒1Cの上部領域に存在する、一対のブレード(例えば、ブレード2A,2C)を結合する複数の架橋部(例えば、複数の架橋部6A)とこれらの架橋部(例えば、架橋部6A)と直交している他の架橋部(例えば、架橋部43A,43B等であり、ブレード2B,2Dを結合)の間に形成される間隙の幅が、この結合された一対のブレード(例えば、ブレード2A,2C)を結合する複数の架橋部(例えば、複数の架橋部6A)のうち、前述したように、ハンドル3により近い位置に存在する架橋部によって形成される間隙ほど狭くなっている。このため、地震時において燃料支持金具38から付与される強制変位30により、制御棒1Cの一対のブレードが、燃料支持金具38が地震により振動する方向に変位したとしても、ハンドル3に近い位置に存在する架橋部ほど、水平方向への移動がこの架橋部と直交している他の架橋部によってより早く拘束され、水平方向における移動量が少なくなる。したがって、制御棒1と同様に、ブレード2A,2B,2C及び2Dを結合している、ハンドル3の上端部に形成される第1横断面を含む第1領域(連結部5Aの部分)に生じる固定端モーメントを低減することができ、架橋部にて結合されている一対のブレード(例えば、ブレード2B,2D)が第1領域に連結される部分(例えば、ハンドル要素3F,3G)において発生する応力を低減することができる。本実施例は、地震発生時に、ハンドル3により近い位置に存在する或る架橋部が、この架橋部と直交する他の架橋部によって水平方向の移動をより早く拘束されるが、これは、実施例1において、ハンドル3により近い位置に存在する或る架橋部が、この架橋部と直交するブレードによって水平方向の移動をより早く拘束されることと同じである。
【0112】
本実施例は、実施例1で生じる各効果を得ることができる。
【0113】
ここで、実施例1の制御棒1、実施例3の制御棒1B及び実施例4の制御棒1Cの特徴について説明する。これらの実施例のそれぞれの特徴が図23にまとめられている。地震発生時における炉心への挿入性、及び制御棒の挿入端部(ハンドルの上端部)に存在する第1領域に生じる局所的な固定端モーメントの低減効果は、各実施例の制御棒において差はない(図23の機能を参照)。制御棒に設けられた架橋部6、架橋部44と突出部43から成る開口部41の製造性及び架橋部6と開口部41の間に形成される隙間を考えた場合、実施例1及び3の各制御棒が、隙間形成を減らすことができるため、実施例4の制御棒よりも優れている。また、地震発生時において燃料支持金具から付与される強制変位の付与方向に対する制御棒の変位に対しては、実施例4の制御棒1Cは、強制変位の作用方向によらず同等の変位が生じる。
【実施例5】
【0114】
本発明の他の実施例である実施例5の沸騰水型原子炉用制御棒を、図24及び図25を用いて説明する。本実施例の制御棒1Dは、実施例1の制御棒1においてハンドル3をハンドル3Aに替えた構成を有する。制御棒1Dの他の構成は制御棒1と同じである。
【0115】
ハンドル3Aは、ハンドル3Aの上端部に連結部5A,5B及び5Cを一体に結合した第1領域を形成するだけでなく、ハンドル3Aの下端部にも連結部33,33A及び33Bを一体に結合した第1領域を形成している。ブレード2A,2B,2C及び2Dのそれぞれの上端が、ハンドル3Aの一体に結合された連結部33,33A及び33Bに溶接にて接合されている。
【0116】
制御棒1Dも、制御棒1と同様に、第1横断面を含む第1領域(一体化された連結部5A〜5Cの部分、一体化された連結部33〜33Bの部分及び下部支持部材4)、第2横断面を含む第2領域(制御棒の軸方向における架橋部相互間の領域)及び第3横断面を含む第3領域(各架橋部が位置するそれぞれの領域)を有している。
【0117】
本実施例も実施例1で生じる各効果を得ることができる。ただし、本実施例における固定端モーメントの低減は一体化された連結部33〜33Bの部分である第1領域に対して主に行われ、この第1領域に結合される、地震時における燃料支持金具38から付与される強制変位30の影響を受けて変位する一対のブレードで生じる応力を低減できる。
【実施例6】
【0118】
本発明の他の実施例である実施例6の沸騰水型原子炉用制御棒を、図26及び図27を用いて説明する。本実施例の制御棒1Eは、実施例3の制御棒1Bにおいてハンドル3をハンドル3Aに替えた構成を有する。制御棒1Eの他の構成は制御棒1Bと同じである。
【0119】
ハンドル3Aは、ハンドル3Aの上端部に連結部5A,5B及び5Cを一体に結合した第1領域を形成するだけでなく、ハンドル3Aの下端部にも連結部33,33A及び33Bを一体に結合した第1領域を形成している。ブレード2A,2B,2C及び2Dのそれぞれの上端が、ハンドル3Aの一体に結合された連結部33,33A及び33Bに溶接にて接合されている。
【0120】
制御棒1Eも、制御棒1Bと同様に、第1横断面を含む第1領域(一体化された連結部5A〜5Cの部分、一体化された連結部33〜33Bの部分及び下部支持部材4)、第2横断面を含む第2領域(制御棒の軸方向における架橋部相互間の領域)及び第3横断面を含む第3領域(各架橋部が位置するそれぞれの領域)を有している。
【0121】
本実施例も実施例1で生じる各効果を得ることができる。ただし、本実施例における固定端モーメントの低減は一体化された連結部33〜33Bの部分である第1領域に対して主に行われ、この第1領域に結合される、地震時における燃料支持金具38から付与される強制変位30の影響を受けて変位する一対のブレードで生じる応力を低減できる。
【実施例7】
【0122】
本発明の他の実施例である実施例6の沸騰水型原子炉用制御棒を、図28及び図29を用いて説明する。本実施例の制御棒1Fは、実施例4の制御棒1Cにおいてハンドル3をハンドル3Aに替えた構成を有する。制御棒1Eの他の構成は制御棒1Bと同じである。
【0123】
ハンドル3Aは、ハンドル3Aの上端部に連結部5A,5B及び5Cを一体に結合した第1領域を形成するだけでなく、ハンドル3Aの下端部にも連結部33,33A及び33Bを一体に結合した第1領域を形成している。ブレード2A,2B,2C及び2Dのそれぞれの上端が、ハンドル3Aの一体に結合された連結部33,33A及び33Bに溶接にて接合されている。
【0124】
制御棒1Fも、制御棒1Cと同様に、第1横断面を含む第1領域(一体化された連結部5A〜5Cの部分、一体化された連結部33〜33Bの部分及び下部支持部材4)、第2横断面を含む第2領域(制御棒の軸方向における架橋部相互間の領域)及び第3横断面を含む第3領域(各架橋部が位置するそれぞれの領域)を有している。
【0125】
本実施例も実施例1で生じる各効果を得ることができる。ただし、本実施例における固定端モーメントの低減は一体化された連結部33〜33Bの部分である第1領域に対して主に行われ、この第1領域に結合される、地震時における燃料支持金具38から付与される強制変位30の影響を受けて変位する一対のブレードで生じる応力を低減できる。
【符号の説明】
【0126】
1〜1F…制御棒、2A,2B,2C,2D…ブレード、3,3A…ハンドル、4…下部支持部、4A,4B,4C…板部材、5A〜5C,17A1〜17A3,17B1〜17B3,33,33A,33B…連結部、6A1〜6A3,6B1〜6B3,44A1〜44A4…架橋部、7A,7B,7C,7D…中性子吸収材充填部、8A1〜8A5,8B1〜8b5,41A1〜41A6,41B1〜41B5…開口部、28,28A,28B…中性子吸収材充填孔、29…中性子吸収材、37…燃料集合体、38…燃料支持金具。
【技術分野】
【0001】
本発明は、沸騰水型原子炉用制御棒に関する。
【背景技術】
【0002】
沸騰水型原子炉において使用される制御棒は、十字形の横断面を有し、軸心に配置されたタイロッドから四方に伸びて内部に中性子吸収部材を配置した4枚のブレードを有する。沸騰水型原子炉では、その制御棒の炉心内への挿入及び炉心からの引抜きの各操作が行われ、原子炉の起動及び停止、及び原子炉運転中の原子炉出力の制御を行う。制御棒は、炉心に装荷された燃料集合体の相互間、具体的には、隣接して配置された燃料集合体のチャンネルボックスの相互間に挿入される。沸騰水型原子炉の主な制御棒として、三種類の制御棒が存在する。
【0003】
第1の制御棒は、横断面がU字状をして両側端部がタイロッドに接合されるシース及びシース内に配置された中性子吸収部材を有する4枚のブレードを有している。第1の制御棒の一例に、シース内に配置された中性子吸収部材として、中性子吸収材であるボロンカーバイト(B4C)を充填した複数の中性子吸収棒を用いた制御棒がある。また、第1の制御棒の他の例として、シース内に配置された中性子吸収部材に、扁平なハフニウム筒状体を用いた制御棒がある(特開平9−61576号公報参照)。
【0004】
第2の制御棒は、軸心に配置されたタイロッドから四方に伸びる各ブレードを、横断面が正方形をした複数の環状部材を水平方向に並べて結合し、各環状部材内で環状部材の軸方向に伸びる孔部内に中性子吸収材を充填して構成された制御棒である(特開平1−254895号公報参照)。
【0005】
第3の制御棒は、板状の金属部材、及びブレードの軸方向またはこの軸方向に直交する方向で金属部材に開けた孔部内に充填した中性子吸収材を含む軸心から四方に伸びるブレードを有する制御棒である(特表2002−533736号公報の図2a及び図2d参照)。
【0006】
これらの制御棒は、いずれも、沸騰水型原子炉の原子炉圧力容器内に設けられている炉心に装荷された複数の燃料集合体の相互間に挿入される。制御棒の炉心内への挿入操作、及び制御棒の炉心からの引抜き操作により、原子炉の起動、停止及び原子炉運転中の出力調整が行われる。
【0007】
近年、照射誘起型応力腐食割れ(以下、IASCCという)(IASCC:Irradiation Assisted Stress Corrosion Cracking)が原因と考えられる制御棒の構造部材であるシースの劣化現象が確認されている。IASCCは、中性子照射量、引張応力及び環境条件の3つの要因が重畳すると発生することがある。制御棒の中性子照射量は、一般的に、制御棒の軸方向において、ハンドルに向かうに伴って高くなる傾向にある。また、引張応力の発生要因の一つとして、制御棒製造時における構造部材の溶接施工に伴って構造部材であるシースに生じる引張残留応力の影響が考えられる。さらに環境条件として、制御棒内の冷却水が流れる隙間環境がIASCCに関与する可能性があると考えられる。IASCC発生のポテンシャル抑制のために、制御棒内で、冷却水が流れる隙間の形成を避けるという観点では、第2の制御棒及び第3の制御棒が有効である。
【0008】
また、地震発生時においては、炉心から全引き抜きされている制御棒も含めて全ての制御棒を炉心内に急速挿入して原子炉を緊急停止する必要がある。地震の規模が大きくなるほど、炉心に装荷されている各燃料集合体の水平方向における変位が大きくなるが、地震によってこのような変位が各燃料集合体に生じた場合であっても、制御棒が、炉心、すなわち水平方向に変位している燃料集合体間に急速挿入されることが求められる。
【0009】
IASCCの発生が抑制される観点では良好な第3の制御棒において、地震発生時における燃料集合体間への急速挿入性をさらに向上させた制御棒が提案されている(特開2011−80985号公報参照)。
【0010】
第3の制御棒の一例である特開2011−80985号公報に記載された沸騰水型原子炉用制御棒は、十字形の横断面を有している。この沸騰水型原子炉用制御棒では、軸心から四方に伸びる4枚のブレードが、板状の金属部材、及びブレードの軸方向で金属部材に開けられた孔部内に充填した中性子吸収材を含んでいる。特開2011−80985号公報に記載された制御棒は、軸方向において、4枚のブレードが互いに結合されている第1横断面を含む第1領域、4枚のブレードが互いに分離されている第2横断面を含む第2領域、及び1つの方向に並んで配置された2枚のブレードが架橋部により互いに結合され、これらのブレードと直交している他の2枚のブレードが互いに分離されている第3横断面を含む第3領域を有している。第3領域では、架橋部と直交する方向に存在する他の2枚のブレードが、この架橋部で結合されていなく互いに分離されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開平9−61576号公報
【特許文献2】特開平1−254895号公報
【特許文献3】特表2002−533736号公報
【特許文献4】特開2011−80985号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
特開2011−80985号公報に記載された沸騰水型原子炉用制御棒は、ブレードの内部に冷却水が流れる隙間が形成されていないために構造部材におけるIASCCの発生が抑制され、地震発生時における炉心への挿入性も向上するため、有効な制御棒である。
【0013】
発明者らは、このような有効な、特開2011−80985号公報に記載された制御棒を詳細に検討したところ、ブレードの中性子吸収材充填部の上端部に存在する第1領域における4枚のブレードが結合されている部分に発生する応力が高くなる恐れがあるという新たな課題を見出した。
【0014】
本発明の目的は、地震発生時における炉心への挿入の際に制御棒の挿入側端部で生じる応力を低減することができる沸騰水型原子炉用制御棒を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記した目的を達成する本発明の特徴は、制御棒の軸方向に形成された複数の領域が、4つの前記ブレードを互いに結合している第1横断面を含む第1の領域と、前記4つのブレードが互いに分離されている第2横断面を含んで制御棒の軸方向に配置された複数の第2領域と、及び4つのブレードのうち一対のブレードが架橋部により結合され、この架橋部に直交している他の一対のブレードが互いに分離されている第3横断面を含んでその軸方向において第2領域の間に配置されるとを有し、
第1領域が全ての第2領域及び全ての第3領域よりも制御棒の挿入端部側に配置され、
複数の第3領域にそれぞれ含まれる架橋部とこの架橋部に直交しているブレードの間に形成されるそれぞれの間隙の幅は、それぞれの一対のブレードにおいて、一対のブレードを結合する複数の架橋部のうち挿入端部に最も近い位置に存在する架橋部によって形成される間隙で最も狭くなっていることにある。
【0016】
炉心から全引き抜きされている制御棒が地震時に炉心に急速挿入されるとき、制御棒のブレードは、地震時において燃料集合体を支持する燃料支持金具から付与される強制変位により、燃料支持金具が地震により振動する方向に変位する。しかしながら、複数の第3領域にそれぞれ含まれる架橋部とこの架橋部に直交しているブレードの間に形成されるそれぞれの間隙の幅が、それぞれの一対のブレードにおいて、一対のブレードを結合する複数の架橋部のうち挿入端部に最も近い位置に存在する架橋部によって形成される間隙で最も狭くなっているので、地震時に炉心から全引き抜きされている制御棒1が炉心に急速挿入されるときに、架橋部で結合された一対のブレードが、地震時に燃料支持金具から付与される強制変位により変位した場合でも、挿入端部に最も近い位置に存在する架橋部のその変位による水平方向への移動が、その架橋部と直交しているブレードによって他の架橋部よりも早く拘束される。このため、挿入端部に最も近い位置に存在する架橋部の水平方向への移動量が少なくなり、挿入端部に最も近い位置に存在する架橋部により結合されている一対のブレードがつながっている挿入端部側の第1領域に生じる固定端モーメントを低減することができる。この結果、この一対のブレードが第1領域に連結される部分において発生する応力を低減することができる。
【0017】
上記の目的は、制御棒の軸方向に形成された複数の領域が、4つのブレードを互いに結合している第1横断面を含む第1の領域と、4つのブレードが互いに分離されている第2横断面を含んで制御棒の軸方向に配置された複数の第2領域と、及び4つのブレードのうち第1の一対のブレードが架橋部により結合され、この架橋部に直交している第2の一対のブレードが互いに分離されている第3横断面を含んで軸方向に配置された複数の第3領域とを有し、
第1領域が複数の第2領域及び複数の第3領域よりも制御棒の挿入端部側に配置され、挿入端部とは反対側の、制御棒の他端部を形成して4つのブレードに取り付けられた下部支持部材を有し、
第1の一対のブレードのそれぞれのブレードを結合する複数の第1の架橋部の相互間で第1の一対のブレードの間に、挿入端部に最も近い位置に存在する第1架橋部よりも挿入端部側で第1の一対のブレードの間に、及び下部支持部材に最も近い位置に存在する第1架橋部よりも下部支持部材側で第1の一対のブレードの間に、それぞれ、第1開口部が形成され、
第1の一対のブレードのそれぞれのブレードを結合する複数の第1の架橋部が第2開口部をそれぞれ形成し、
第2の一対のブレードのそれぞれのブレードを結合する複数の第2の架橋部の相互間で第2の一対のブレードの間に、挿入端部に最も近い位置に存在する第2架橋部よりも挿入端部側で第2の一対のブレードの間に、及び下部支持部材に最も近い位置に存在する第2架橋部よりも下部支持部材側で第2の一対のブレードの間に、それぞれ、第3開口部が形成され、
第2の一対のブレードのそれぞれのブレードを結合する複数の第2の架橋部が、第2架橋部の挿入端部側の第3開口部に連通する第4開口部をそれぞれ形成し、
それぞれの第2架橋部が各第2開口部を別々に貫通して配置され、それぞれの第1架橋部が各第4開口部を別々に貫通して配置され、
複数の第1架橋部に形成されたそれぞれの第2開口部の、第1の一対のブレードの幅方向で対向している側面と各第2開口部を別々に貫通している各第2架橋部の間に形成されるそれぞれの間隙の幅は、第1の一対のブレードを結合する複数の第1架橋部のうち挿入端部に最も近い位置に存在する第1架橋部及び第2架橋部によって形成される間隙で最も狭くなっており、
複数の第2架橋部に形成されたそれぞれの第4開口部の、第2の一対のブレードの幅方向で対向している側面と各第4開口部を別々に貫通している各第2架橋部の間に形成されるそれぞれの間隙の幅は、第2の一対のブレードを結合する複数の第2架橋部のうち挿入端部に最も近い位置に存在する第2架橋部及び第2架橋部によって形成される間隙で最も狭くなっていることによっても達成できる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、地震発生時における炉心への挿入の際に制御棒の挿入側端部で生じる応力を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の好適な一実施例である実施例1の沸騰水型原子炉用制御棒の斜視図である。
【図2】図1に示す沸騰水型原子炉用制御棒を構成する1つの板部材の斜視図である。
【図3】図2に示す板部材と直交する方向に配置される2つの板部材の斜視図である。
【図4】図1に示す沸騰水型原子炉用制御棒のハンドルの上端部における、4枚のブレードを結合する連結部の横断面図である。
【図5】図1に示す沸騰水型原子炉用制御棒の、4枚のブレードが互いに分離されている領域での横断面図である。
【図6】図1に示す沸騰水型原子炉用制御棒の、軸心に直交する1つの方向に並んで配置された2枚のブレードが結合されてこれらのブレードと直交する方向に存在する他の2枚のブレードが互いに分離された状態にある領域での横断面図である。
【図7】図1に示す沸騰水型原子炉用制御棒の、図6に示す1つの方向に並んで配置された2枚のブレードが互いに分離された状態にあってこれらのブレードと直交する方向に存在する他の2枚のブレードが結合されている領域での横断面図である。
【図8】図4のT−T断面図である。
【図9】図8のS1−S1断面図である。
【図10】図8のS2−S2断面図である。
【図11】図8のS3−S3断面図である。
【図12】図8のS4−S4断面図である。
【図13】図8のS5−S5断面図である。
【図14】図8のS6−S6断面図である。
【図15】炉心から全引抜きされている図1に示す沸騰水型原子炉用制御棒の、地震時において燃料支持金具から強制変位を付与された際における変形を示す説明図である。
【図16】炉心から全引抜きされている従来の沸騰水型原子炉用制御棒の、地震時において燃料支持金具から強制変位を付与される状態を示す説明図である。
【図17】炉心から全引抜きされている従来の沸騰水型原子炉用制御棒の、地震時において燃料支持金具から強制変位を付与され際における変形を示す説明図である。
【図18】図17に示す従来の沸騰水型原子炉用制御棒から4枚のブレードが結合されている部分を取り除いた新たに想定した制御棒の、地震時において燃料支持金具から強制変位を付与され際における変形を示す説明図である。
【図19】本発明の他の実施例である実施例2の沸騰水型原子炉用制御棒の横断面図である。
【図20】本発明の他の実施例である実施例3の沸騰水型原子炉用制御棒の構成図である。
【図21】本発明の他の実施例である実施例4の沸騰水型原子炉用制御棒の構成図であり図22のV1−V1断面図である。
【図22】図21のV2−V2断面図である。
【図23】本発明の実施例1、3及び4の各沸騰水型原子炉用制御棒の特徴を示す説明図である。
【図24】本発明の他の実施例である実施例5の沸騰水型原子炉用制御棒の構成図であり図25のX1−X1断面図である。
【図25】図24のX2−X2断面図である。
【図26】本発明の他の実施例である実施例6の沸騰水型原子炉用制御棒の構成図であり図27のY1−Y1断面図である。
【図27】図26のY2−Y2断面図である。
【図28】本発明の他の実施例である実施例7の沸騰水型原子炉用制御棒の構成図であり図29のZ1−Z1断面図である。
【図29】図28のZ2−Z2断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
前述したように、発明者らは、特開2011−80985号公報に記載された制御棒を詳細に検討したところ、ブレードの中性子吸収材充填部の上端部に存在する第1領域における4枚のブレードが結合されている部分に発生する応力が高くなる恐れがあるという新たな課題を見出した。この検討結果を以下に説明する。
【0021】
特開2011−80985号公報に記載された制御棒は、十字形の横断面を有しており、軸方向において、4枚のブレードが互いに結合されている第1横断面を含む第1領域、4枚のブレードが互いに分離されている第2横断面を含む第2領域、及び制御棒の軸心と直交する1つの方向に並んで配置された2枚のブレードが架橋部により互いに結合され、これらのブレードと直交している他の2枚のブレードが互いに分離されている第3横断面を含む第3領域を有している。このような構成を有する制御棒は、制御棒の構造強度部材に適切な曲げ剛性を与え、地震時における制御棒の炉心への挿入性の向上を図っている。
【0022】
しかしながら、地震時における制御棒の炉心への急速挿入時において、制御棒の炉心への挿入量に応じて、制御棒が通過する燃料支持金具及び制御棒をガイドする制御棒案内管から制御棒が受ける拘束が変化する。図16に示すように、炉心から全引き抜きされている制御棒32は制御棒案内管39内に存在する。4枚のブレード31を有する制御棒32のハンドル3Aは、燃料集合体37を支持する燃料支持金具38内を貫通して燃料支持金具38の上方に達している。この状態で地震が発生したとき、制御棒32は、地震慣性力により変位した燃料集合体37、燃料支持金具38及び制御棒案内管39から強制変位30を付与される。なお、制御棒32は、下端部に速度リミッタ36を設けており、特開2011−80985号公報に記載されているように、制御棒32の軸心と直交する1つの方向に並んで配置された2枚のブレード31が軸方向の複数個所において架橋部34Aにより互いに結合されている。隣り合う架橋部34Aの間には、開口部35が形成されている。
【0023】
強制変位30を付与された制御棒32の変形を、図17を用いて説明する。制御棒32は4枚のブレード31、すなわち、ブレード2A’,2B’,2C’及び2D’を有する。図17において、ブレード2B’は図示されていない。ブレード2A’,2B’,2C’及び2D’は、上端部に位置する連結部33により互いに結合されている。制御棒32の軸心と直交する1つの方向で直線状に並んで配置されたブレード2A’とブレード2C’は、軸方向の複数個所において、架橋部34Aにより結合される。ブレード2A’及び2C’と直交する方向で直線状に配置されたブレード2B’とブレード2D’は、軸方向の複数個所において、架橋部34Bにより結合される。架橋部34Bは、ブレード2A’とブレード2C’の間に形成される開口部35内に配置される。架橋部34Aも、ブレード2B’とブレード2D’の間に形成される開口部(図示せず)内に配置される。8A1はハンドル3Aに形成された開口部である。
【0024】
図16に示すように炉心から全引き抜きされている制御棒32は、地震時において燃料支持金具38から付与される強制変位30により変形する(図17参照)。燃料支持金具38から付与される強制変位30により、この強制変位30が付与される方向(燃料支持金具38が地震により振動する方向)と直交しているブレード2B’及び2D’に変位が生じ、連結部33付近でブレード2B’及び2D’に高い曲げ応力が生じる恐れがあることを、発明者らが見出した。この高い曲げ応力は、強制変位30の付与により、ブレード2B’及び2D’が、強制変位30が付与される方向に移動するために発生すると、発明者らは考えた。制御棒32の軸方向においてブレード2A’とブレード2C’の間に形成された複数の開口部35内にそれぞれ配置された、ブレード2A’とブレード2C’を結合する各架橋部34Bのうち、ハンドル3Aに最も近い架橋部34Bが、図17に示すように、ブレード2C’の開口部35側の側面に衝突するまで移動する。架橋部34Bのこのような移動により、地震発生前では点線で示すようにハンドル3Aに対して垂直の状態になっていたブレード2D’及びブレード2B’が、実線で示されるように曲げられる。この結果、連結部33付近でブレード2B’及び2D’に高い曲げ応力が生じるのである。
【0025】
そこで、発明者らは、図17に示された制御棒32において連結部33を削除して開口部8A1とハンドル3Aに最も近い開口部35を連絡した新たな制御棒32Aを考えた(図18参照)。この制御棒32Aでは、ブレード2A’,2B’,2C’及び2D’が、連結部45で互いに結合されている。図16に示すように炉心から全引き抜きされている制御棒32Aは、制御棒32と同様に、地震時において燃料支持金具38から付与される強制変位30により変形する。強制変位30の付与により、ブレード2B’とブレード2D’を結合する架橋部材34Bのうちハンドル3Aに最も近い架橋部34Bが、制御棒32の場合と同様に、図18に示すように、ブレード2C’の開口部35側の側面に衝突するまで移動する。この結果、地震発生前では点線で示すようにハンドル3Aの連結部45に対して垂直の状態になっていたブレード2D’及びブレード2B’が、架橋部34Bのその移動により、実線で示されるように曲げられる。
【0026】
しかしながら、制御棒32Aでは、ブレード2B’とブレード2D’をつなぐ架橋部34Bのうち最もハンドル3Aに近い架橋部34Bと連結部45の間の距離が、図17に示される制御棒32において最もハンドル3Aに近い架橋部34Bと連結部33の間の距離よりも長いため、制御棒32Aのブレード2B’及び2D’の曲がる度合いが、制御棒32のブレード2B’及び2D’の曲がる度合いよりも若干小さくなる。このため、制御棒32Aにおいてブレード2B’及び2D’の連結部45付近で生じる曲げ応力が、制御棒32においてブレード2B’及び2D’の連結部33付近で生じる曲げ応力よりも若干小さくなる。曲げ応力が低下するとはいえ、この低下量は僅かであり、制御棒32Aにおいても、ブレード2B’及び2D’の連結部45付近で生じる曲げ応力は高い状態にある。
【0027】
発明者らは、制御棒32Aにおいて4枚のブレード2A’〜2D’が結合される連結部付近でブレードの生じる曲げ応力をさらに低減する対策を種々検討した。これらの検討の結果、発明者らは、地震時において強制変位30が付与されたとき、強制変位30が付与される方向に移動する架橋部の移動量を減少させれば良いとの新たな対策を発想するに至った。このため、4枚のブレードのうち制御棒の軸心と直交する1つの方向で直線状に並んで配置された一対のブレード(例えば、ブレード2A’及び2C’)において、この一対のブレードを結合する架橋部(例えば、架橋部34A)のうちハンドル3Aに最も近い位置に存在する架橋部(例えば、架橋部34A)と、この架橋部に直交している2枚のブレード(例えば、ブレード2B’とブレード2D’)の間に形成される間隙の幅を、この架橋部よりも下方に配置された他の架橋部(他の架橋部34A)とこの架橋部と直交するブレード(例えば、ブレード2B’とブレード2D’)との間に形成される間隙の幅よりも狭くし、4枚のブレードのうち前述の一対のブレード(例えば、ブレード2A’及び2C’)と直交する方向に配置された他の一対のブレード(例えば、ブレード2B’及び2D’)において、この他の一対のブレードを結合する架橋部(例えば、架橋部34B)のうちハンドル3Aに最も近い位置に存在する架橋部(例えば、架橋部34B)と、この架橋部に直交している2枚のブレード(例えば、ブレード2A’とブレード2C’)の間に形成される間隙の幅を、この架橋部よりも下方に配置された他の架橋部(他の架橋部34B)とこの架橋部と直交するブレード(例えば、ブレード2A’とブレード2C’)との間に形成される間隙の幅よりも狭くした新たな制御棒の構造を、発明者らは考え出した。
【0028】
上記した検討により得られた新たな構造を反映した、本発明の実施例を、以下に説明する。
【実施例1】
【0029】
本発明の好適な一実施例である実施例1の沸騰水型原子炉用制御棒を、図1から図8を用いて説明する。
【0030】
本実施例の沸騰水型原子炉用制御棒(以下に説明する実施例においては、単に、制御棒という)1は、4枚のブレード2A,2B,2C及び2D、ハンドル3及び下部支持部材4を備えている。ブレード2A及び2C及びハンドル3の一部であるハンドル要素3Eが、1枚の板部材4Aによって構成される。ブレード2B及びハンドル3の一部であるハンドル要素3Fが、1枚の板部材4Bによって構成される。ブレード2D及びハンドル3の一部であるハンドル要素3Gが、1枚の板部材4Cによって構成される。
【0031】
板部材4Aによって構成されるブレード2A及び2C及びハンドル3の一部であるハンドル要素3Eを、図2を用いて説明する。板部材4Aには、一端部にハンドル3の一部になる連結部5Aが形成され、さらに、開口部8A1,8A2,8A3及び8A4及び複数の開口部8A5が形成されている。開口部8A1,8A2,8A3及び8A4及び複数の開口部8A5は、制御棒1の軸方向、すなわち、板部材4Aの長手方向において、連結部5Aから板部材4Aの他端部に向かってこの順番に配置され、板部材4Aの幅方向の中央部に配置される。板部材4Aの幅方向は、板部材4Aの長手方向と直交している方向であり、ブレード2A,2Cの幅方向でもある。
【0032】
Wo3の幅を有して、対向する側面15を形成している各開口部8A5は長方形をしており、この長方形の長辺が板部材4Aの長手方向を向いている。開口部8A1は長方形であり、この長方形の長辺が板部材4Aの幅方向を向いている。開口部8A1の幅はWhである。開口部8A1の形成により、連結部5Aを含むハンドル要素3Eが板部材4Aの一端部に形成される。幅Wo1を有して対向する側面9を形成し、板部材4Aの長手方向に細長くなっている開口部8A2が、開口部8A1と連通している。開口部8A3は、対向する側面10を形成している幅Wo2の開口及び対向する側面11を形成している幅Wo1の開口を含んでいる。開口部8A3において、対向する側面11を形成している幅Wo1の開口が、対向する側面10を形成している幅Wo2の開口よりも連結部5A側に位置している。開口部8A4は、対向する側面13を形成している幅Wo3の開口及び対向する側面14を形成している幅Wo2の開口を含んでいる。開口部8A4において、対向する側面14を形成している幅Wo2の開口が、対向する側面13を形成している幅Wo3の開口よりも連結部5A側に位置している。幅Wo1,Wo2及びWo3は、Wo1<Wo2<Wo3の関係を満足している。
【0033】
開口部8A3は、幅Wo1の開口及び幅Wo2の開口を有し、側面に側面11と側面10による段差部を形成している。架橋部6A1を板部材4Aの連結部5Aとは反対側の端部に移動させて架橋部6A1の、連結部5Aとは反対側の端面を側面10の上端の位置に位置させてもよい。開口部8A4においても、側面に側面14と側面13による段差部が形成されている。架橋部6A1を板部材4Aの連結部5Aとは反対側の端部に移動させて架橋部6A2の、連結部5Aとは反対側の端面を側面13の上端の位置に位置させてもよい。このような構成にすることにより、開口部8A3及び8A4は、矩形となり、製作が容易になる。
【0034】
図2に示す板部材4Aでは、ブレード2Aが開口部8A1,8A2,8A3,8A4及び8A5の右側に形成され、ブレード2Cがこれらの開口部の左側に形成される。
【0035】
開口部8A1,8A2,8A3及び8A4及び複数の開口部8A5の形成により、ブレード2Aとブレード2Cを結合する複数の架橋部(架橋部材)が板部材4Aに形成される。すなわち、架橋部6A1が開口部8A2と開口部8A3の間に形成され、架橋部6A2が開口部8A3と開口部8A4の間に形成される。さらに、3つの架橋部6A3のうちハンドル要素3Eに最も近い架橋部6A3が開口部8A4と開口部8A5の間に形成される。3つの開口部8A5のそれぞれ間にも架橋部6A3が形成される。架橋部6A1〜6A3が、ブレード2Aとブレード2Cを結合している。
【0036】
架橋部6A1の、ブレード2A,2Cの幅方向における長さは、開口部8A2の幅Wo1と同じである。架橋部6A2の、ブレード2A,2Cの幅方向における長さは、開口部8A3の対向する側面10を形成している部分の幅Wo2と同じである。架橋部6A3の、ブレード2A,2Cの幅方向における長さは、開口部8A4の対向する側面13を形成している部分の幅Wo3と同じである。このため、架橋部6A1,6A2及びA3の、ブレード2A,2Cの幅方向におけるそれぞれの長さは、架橋部6A3,架橋部6A2及び架橋部6A1の順に短くなっており、架橋部6A1,6A2及びA3では、連結部5A、すなわち、ハンドル3に近い架橋部ほど長さが短くなる。
【0037】
ブレード2A,2Cのそれぞれの幅は、図2に示す領域h3で最も狭く、領域h2及びh1とハンドル3に近くなるほど広くなっている。領域h1及びh2の、板部材4Aの長手方向におけるそれぞれの長さは等しくなっている。領域h1はブレード2A,2Cの上端16と開口部8A3の側面11の下端の間の領域である。領域h2は側面11の下端、すなわち、側面10の上端と開口部8A4の側面14の下端の間の領域である。領域h3は側面14の下端、すなわち、側面13の上端とブレード2A,2Cの下端の間の領域である。領域h3におけるブレード2A,2Cのそれぞれの幅Wb3、領域h2におけるブレード2A,2Cのそれぞれの幅Wb2及び領域h1におけるブレード2A,2Cのそれぞれの幅Wb1は、Wb3<Wb2<Wb1の関係を満足している。
【0038】
板部材4Aの幅はWである。領域h1においては(Wo1+2×Wb1)が幅Wであり、領域h2においては(Wo2+2×Wb2)が幅Wである。さらに、領域h3においては(Wo3+2×Wb3)が幅Wである。板部材4Aは、板部材4Aの幅方向の真ん中を通る板部材4Aの中心軸に対して、左右対称になっている。
【0039】
次に、板部材4Bによって構成されるブレード2B及びハンドル3の一部であるハンドル要素3Fを、図3を用いて説明する。板部材4Bの一端部には、ハンドル3の一部になる連結部5Bが形成されている。連結部5Bを含むL字状のハンドル要素3Fが、ブレード2Bの上端16につながっている。
【0040】
板部材4Bの幅方向における板部材4Bの一端部、すなわち、制御棒1の軸心側の端部に、連結部5B以外に、連結部17A1及び17A2及び複数の連結部17A3が、連結部5Bから板部材4Bの他端に向かってこの順番に形成される。連結部17A1及び17A2及び複数の連結部17A3が、板部材4Bに形成されるブレード2Bの、制御棒1の軸心側の側面から板部材4Bの幅方向に伸びている。板部材4Bの幅方向は、ブレード2Bの幅方向である。
【0041】
ブレード2Bの側面23Aが、隣り合う連結部17A3の相互間、及びブレード2Bの下端に最も近い位置に存在する連結部17A3とブレード2Bの下端の間にそれぞれ存在する。ブレード2Bの側面21Aとブレード2Bの側面22Aで形成される1つの段差部が、連結部17A2と複数の連結部17A3のうち連結部5Bに最も近い位置に存在する連結部17A3の間に形成される。ブレード2Bの側面19Aとブレード2Bの側面20Aで形成される1つの段差部が、連結部17A1と連結部17A2の間に形成される。ブレード2Bの側面18Aが連結部17A1よりもブレード2Bの上端16側に存在する。
【0042】
側面18A及び19Aから連結部17A1の先端までの長さがL1である。側面20A及び21Aから連結部17A2の先端までの長さがL2である。側面23A及び22Aから連結部17A3のうち連結部5Bに最も近い連結部17A3の先端までの長さがL3である。側面23Aから残りの各連結部17A3の先端までの長さもL3である。長さL1,L2及びL3は、L1<L2<L3の関係を満足している。
【0043】
板部材4Bにおいて、領域h1はブレード2Bの上端16と側面19Aの下端の間の領域である。領域h2は側面19Aの下端、すなわち、側面20Aの上端と側面21Aの下端の間の領域である。領域h3は側面21Aの下端、すなわち、側面22Aの上端とブレード2Bの下端の間の領域である。側面22A及び複数の側面23Aを含む領域h3におけるブレード2Bの幅はWb3であり、側面20A及び21Aを含む領域h2におけるブレード2Bの幅はWb2であり、さらに、側面18A及び19Aを含む領域h1におけるブレード2Bの幅はWb1である。これらの幅Wb3,Wb2及びWb3は、Wb3<Wb2<Wb1の関係を満足している。
【0044】
板部材4Bの幅は、板部材4Aの幅Wの1/2であり、W/2である。板部材4Bでは、領域h1において(Wb1+L1)が幅W/2あり、領域h2において(Wb2+L2)が幅W/2である。さらに、領域h3において(Wb3+L3)が幅W/2である。
【0045】
制御棒1において、制御棒1の軸心に直交する方向に板部材4Bと並んでいる板部材4Cは、板部材4Bと同じ形状を有している。
【0046】
板部材4Cによって構成されるブレード2D及びハンドル3の一部であるハンドル要素3Gを、図3を用いて説明する。板部材4Cの一端部には、ハンドル3の一部になる連結部5Cが形成されている。連結部5Cを含むL字状のハンドル要素3Gが、ブレード2Dの上端16につながっている。
【0047】
板部材4Cの幅方向における板部材4Cの一端部、すなわち、制御棒1の軸心側の端部に、連結部5C以外に、連結部17B1及び17B2及び複数の連結部17B3が、連結部5Cから板部材4Cの他端に向かってこの順番に形成される。連結部17B1及び17B2及び複数の連結部17B3が、板部材4Cに形成されるブレード2Dの、制御棒1の軸心側の側面から板部材4Cの幅方向に伸びている。板部材4Cの幅方向は、ブレード2Dの幅方向である。
【0048】
ブレード2Dの側面23Bが隣り合う連結部17B3の相互間、及びブレード2Dの下端に最も近い位置に存在する連結部17A3とブレード2Dの下端の間にそれぞれ存在する。ブレード2Dの側面21Bとブレード2Dの側面22Bで形成される1つの段差部が、連結部17B2と複数の連結部17B3のうち連結部5Cに最も近い連結部17B3の間に形成される。ブレード2Dの側面19Bとブレード2Dの側面20Bで形成される1つの段差部が、連結部17B1と連結部17B2の間に形成される。ブレード2Dの側面18Bが連結部17B1よりもブレード2Dの上端16側に存在する。
【0049】
側面18B及び19Bから連結部17B1の先端までの長さがL1である。側面20B及び21Bから連結部17B2の先端までの長さがL2である。側面23B及び22Bから連結部17B3のうち連結部5Cに最も近い連結部17B3の先端までの長さがL3である。側面23Bから残りの各連結部17B3の先端までの長さもL3である。板部材4Cにおいても、長さL1,L2及びL3は、L1<L2<L3の関係を満足している。
【0050】
板部材4Cにおいて、領域h1はブレード2Dの上端16と側面19Bの下端の間の領域である。領域h2は側面19Bの下端、すなわち、側面20Bの上端と側面21Bの下端の間の領域である。領域h3は側面21Bの下端、すなわち、側面22Bの上端とブレード2Dの下端の間の領域である。側面22B及び複数の側面23Bを含む領域h3におけるブレード2Dの幅はWb3であり、側面20B及び21Bを含む領域h2におけるブレード2Dの幅はWb2であり、さらに、側面18B及び19Bを含む領域h1におけるブレード2Dの幅はWb1である。これらの幅Wb3,Wb2及びWb3も、Wb3<Wb2<Wb1の関係を満足している。
【0051】
板部材4Cの幅は、板部材4Aの幅Wの1/2であり、W/2である。板部材4Cでは、領域h1においては(Wb1+L1)が幅W/2あり、領域h2においては(Wb2+L2)が幅W/2である。さらに、領域h3においては(Wb3+L3)が幅W/2である。
【0052】
板部材4Aにおいてブレード2Aに中性子吸収材充填部7Aを、ブレード2Cに中性子吸収材充填部7Cをそれぞれ形成し、板部材4Bにおいてブレード2Bに中性子吸収材充填部7Bを形成し、板部材4Cにおいてブレード2Dに中性子吸収材充填部7Dを形成する必要がある。このため、複数の中性子吸収材充填孔28が、ブレード2Aの中性子吸収材充填部7A、ブレード2Bの中性子吸収材充填部7B、ブレード2Cの中性子吸収材充填部7C及びブレード2Dの中性子吸収材充填部7Dに、それぞれ、ブレードの幅方向に並んで形成され(図5、図6及び図7参照)、各板部材の長手方向に伸びている。各中性子吸収材充填孔28は、例えば、それぞれのブレードの下端から架橋部6B1の位置(またはブレードの上端16近くの位置)まで伸びている。各中性子吸収材充填孔28は、板部材4A,4B及び4Cのそれぞれに対し、各板部材の下端からのガンドリル及び放電加工等の機械的な孔加工により、または横断面が正方形で中心軸に横断面が円である孔部を形成した複数の管をブレードの幅方向に並べ、これらの管を熱間等方圧加圧接合法(以下,HIP:Hot Isostatic Pressing)により互いに接合することにより製作される。
【0053】
中性子吸収材29がそれぞれの中性子吸収材充填孔28内に充填されている(図5、図6及び図7参照)。中性子吸収材29として、B4C及びハフニウムの少なくとも1つが用いられる。B4Cは、B4C粉末として中性子吸収材充填孔28内に、直接、充填してもよいし、密閉されたステンレス管内にB4C粉末を充填した中性子吸収棒として中性子吸収材充填孔28内に挿入してもよい。ハフニウムは、金属Hfの中実丸棒として中性子吸収材充填孔28内に挿入する。B4Cは中性子を吸収してヘリウムガスを放出するため、ヘリウムガスを溜めるプレナムを各ブレード内に形成する。また、ハフニウムは中性子吸収により照射伸びを生じるため、各ブレードが変形しないように、プレナムの設計には注意することが好ましい。各中性子吸収材充填孔28内に中性子吸収材29を充填した後、これらの中性子吸収材充填孔28に栓が挿入されて栓を該当する板部材に溶接で接合し、中性子吸収材29を充填した各中性子吸収材充填孔28を密封する。
【0054】
板部材4A,4B及び4C自体を、中性子吸収能力を有するハフニウム基合金、ガドリニウム基合金又またはカドミウム基合金で構成してもよい。この場合には、各板部材には中性子吸収材充填孔28が形成されない。
【0055】
板部材4Bは、連結部5Bが板部材4Aの連結部5Aに垂直になるように、板部材4Aの幅方向の中央に配置される。連結部5Bが溶接部26によって連結部5Aに結合される。板部材4Cも、連結部5Cが板部材4Aの連結部5Aに垂直になるように、板部材4Aの幅方向の中央に配置される。連結部5Cが溶接部26によって連結部5Aに結合される。十字形の横断面を有する下部支持部材4の上端が、板部材4A,4B及び4Cのそれぞれの下端に溶接にて接合される。以上の溶接により板部材4A,4B及び4Cが一体化され、制御棒1の軸心から四方に伸びるブレード2A,2B,2C及び2Dが形成される。4個のローラ25が下部支持部材4に設けられ、制御棒駆動機構に連結される連結部12が下部支持部材4に設けられる。
【0056】
連結部5Aと連結部5B及び5Cのそれぞれの溶接部、板部材4Bに形成された連結部17A1〜17A3と板部材4Cに形成された連結部17B1〜17B3のそれぞれの溶接部、及び板部材4A,4B及び4Cと下部支持部材4の溶接部には引張残留応力が存在するため、ウォータジェットピーニング及びショットピーニング等のピーニング技術の、それらの溶接部への適用により、それらの溶接部に圧縮残留応力を付与し、それらの溶接部の応力を改善することが好ましい。ピーニング技術の適用の替りに応力緩和研磨をそれらの溶接部に施し、それらの溶接部の応力を改善しても良い。
【0057】
連結部5Aと連結部5B及び5Cの結合、板部材4Bに形成された連結部17A1〜17A3と板部材4Cに形成された連結部17B1〜17B3のそれぞれの結合、及び板部材4A,4B及び4Cと下部支持部材4の結合は、溶接の替りに摩擦拡散接合によって行っても良い。
【0058】
板部材4B及び4Cにおいて、連結部17A1及び17B1が溶接部27で結合されて架橋部6B1が形成され、連結部17A2及び17B2が溶接部27で結合されて架橋部6B2が形成され、連結部17A3及び17B3が溶接部27で結合されて架橋部6B3が形成される。各連結部の結合によって一体化された板部材4B及び4Cには、各連結部の結合によって形成された複数の架橋部により、板部材4Aと同様に、複数の開口部が形成される。すなわち、開口部8B2が架橋部6B1よりも連結部5B及び5C側に形成され、開口部8B3が架橋部6B1と架橋部6B2の間に形成され、開口部8B4が架橋部6B2と3つの架橋部6B3のうち連結部5B及び5Cに最も近い架橋部6B3の間に形成される。2つの開口部8B5が3つの架橋部6B3のうちで隣り合う架橋部6B3の相互間にそれぞれ形成される。1つの開口部8B5が下部支持部材4に最も近い位置に存在する架橋部6B3と下部支持部材4の間に形成される。
【0059】
板部材4A,4B及び4Cに形成されたそれぞれの中性子吸収材充填孔28への中性子吸収材29の充填は、板部材4A,4B及び4Cを溶接にて一体化する前に行ってもよいし、連結部5Aに連結部5B及び5Cを溶接にて結合し、連結部17A1〜17A3を連結部17b1〜17B3にそれぞれ溶接にて結合することにより板部材4A,4B及び4Cを一体化した後に行ってもよい。
【0060】
以上に述べた板部材4A,4B及び4Cの溶接による一体化、及び下部支持部材4の板部材4A,4B及び4Cの下端への溶接によって、制御棒1が完成する。連結部5A,5B及び5Cの結合、すなわち、ハンドル要素3E,3F及び3Gの結合によりハンドル3が形成される。
【0061】
制御棒1において、板部材4B及び4Cの結合により形成される架橋部6B1〜6B3及び開口部8B2〜8B4について説明する。架橋部6B1の、ブレード2B及び2Dの幅方向における長さはWo1(=2×L1)である。架橋部6B2の、ブレード2B及び2Dの幅方向における長さはWo2(=2×L2)である。各架橋部6B3の、ブレード2B及び2Dの幅方向における長さはWo3(=2×L3)である。
【0062】
開口部8B2はハンドル要素3F及び3Gによって形成される開口部8B1に連通している。開口部8B2の、ブレード2B及び2Dの幅方向における幅(対向している側面18Aと側面18Bの間の寸法)はWo1である。開口部8B3は、対向する側面19A及び19Bを形成している幅Wo1の開口及び対向する側面20A及び20Bを形成している幅Wo2の開口を含んでいる。開口部8B3において、幅Wo1の開口が幅Wo2の開口よりも架橋部6B1側に位置している。開口部8B4は、対向する側面21A及び21Bを形成している幅Wo2の開口及び対向する側面22A及び22Bを形成している幅Wo3の開口を含んでいる。開口部8B4において、幅Wo2の開口が幅Wo3の開口よりも架橋部6B1側に位置している。開口部8B5の、ブレード2B及び2Dの幅方向における幅(対向している側面23Aと側面23Bの間の寸法)はWo3である。幅Wo1,Wo2及びWo3は、Wo1<Wo2<Wo3の関係を満足している。
【0063】
制御棒1において、架橋部6A1が開口部8B3内で側面19Aと側面19Bの間に配置され、架橋部6A2が開口部8B4内で側面21Aと側面21Bの間に配置され、それぞれの架橋部6A3が各開口部8B5内に別々に配置されている。また、架橋部6B1が開口部8A2内に配置され、架橋部6B2が開口部8A3内で対向する側面10の間に配置され、架橋部6B3のうちハンドル3に最も近い位置に配置された架橋部6B3が開口部8A4内で対向する側面13の間に配置され、残りの各架橋部6B3が各開口部8A5内に別々に配置されている。
【0064】
制御棒1は、軸方向において、形状が異なる3つの横断面を有する。第1横断面は、炉心に最初に挿入されるハンドル3の上端部(挿入端部)、及び下部支持部材4の位置に存在する。第1横断面の1つは、4枚のブレード2A,2B,2C及び2Dを結合する、連結部5A,5B及び5Cが互いにつながっている領域での横断面である(図4参照)。第1横断面の他の1つは、十字形をした下部支持部材4の横断面である。第2横断面を形成する領域は、ブレードの上端16と架橋部6B1の間、架橋部6B1と架橋部6A1の間、架橋部6A1と架橋部6B2の間、架橋部6B2と架橋部6A2の間、架橋部6A2と複数の架橋部6B3のうちハンドル3に最も近い位置に存在する架橋部6B3の間、この架橋部6B3と複数の架橋部6A3のうちハンドル3に最も近い位置に存在する架橋部6A3の間、残りの各架橋部6B3と残りの架橋部6A3のそれぞれの間、及び下部支持部材4に最も近い位置に存在する架橋部6A3と下部支持部材4の間に、それぞれ、存在する。第2横断面は、図5に示すように、4枚のブレード2A,2B,2C及び2Dが互いに分離されている領域での横断面である。第3横断面を形成する領域は、制御棒1の各架橋部の位置に存在する。第3横断面を形成する1つの領域は、図6に示すように、ブレード2Aとブレード2Cが架橋部(例えば、架橋部6A2)でつながり、そしてこれらのブレードと直交して配置されたブレード2Bとブレード2Dが互いに分離されている領域での横断面である。第3横断面を形成する他の1つの領域は、図7に示すように、ブレード2Bとブレード2Dが架橋部(例えば、架橋部6B3)でつながり、そしてこれらのブレードと直交して配置されたブレード2Aとブレード2Cが互いに分離されている領域での横断面である。
【0065】
上記した第1横断面、第2横断面及び第3横断面が形成される制御棒1は、第1横断面を含む複数の第1領域、第2横断面を含む複数の第2領域、及び第3横断面を含む複数の第3領域を有している。
【0066】
本実施例では、例えば、制御棒1の、ブレードの上端16とブレードの上端からブレードの軸方向長さの1/2の位置の間の領域において、架橋部と、この架橋部に対向しているブレードの側面、すなわち、架橋部が配置される開口部の側面の間に形成される間隙の幅が、図8に示すように、ハンドル3に近づくほど狭くなっている。図9〜図14を用いて、架橋部とこの架橋部に直交しているブレードの間に形成される間隙について説明する。
【0067】
架橋部6A1の位置では、制御棒1は図9に示す横断面形状を有している。ブレード2Aとブレード2Cを結合している架橋部6A1は、この架橋部6A1と直交しているブレード2Bとブレード2Dの間に配置されている。制御棒1の軸心が真っ直ぐになっている制御棒1の正常状態においては、架橋部6A1とブレード2B及び2Dのそれぞれの間に形成される間隙の幅は、ともにWg1である。この位置でのブレード2A,2B,2C及び2Dのそれぞれの幅はWb1である。その間隙の幅Wg1の2倍にブレード2A及び2Cの厚みtを加えると、架橋部6A1が配置されている位置での開口部8B3の幅Wo1に等しくなる(2×Wg1+t=Wo1)。
【0068】
架橋部6A2の位置では、制御棒1は図10に示す横断面形状を有している。ブレード2Aとブレード2Cを結合している架橋部6A2は、この架橋部6A2と直交しているブレード2Bとブレード2Dの間に配置されている。制御棒1の正常状態においては、架橋部6A2とブレード2B及び2Dのそれぞれの間に形成される間隙の幅は、ともにWg2である。この位置でのブレード2A,2B,2C及び2Dのそれぞれの幅はWb2である。その間隙の幅Wg2の2倍にブレード2A及び2Cの厚みtを加えると、架橋部6A2が配置されている位置での開口部8B4の幅Wo2に等しくなる(2×Wg2+t=Wo2)。
【0069】
架橋部6A3の位置では、制御棒1は図11に示す横断面形状を有している。ブレード2Aとブレード2Cを結合している架橋部6A3は、この架橋部6A3と直交しているブレード2Bとブレード2Dの間に配置されている。制御棒1の正常状態においては、架橋部6A3とブレード2B及び2Dのそれぞれの間に形成される間隙の幅は、ともにWg3である。この位置でのブレード2A,2B,2C及び2Dのそれぞれの幅はWb3である。その間隙の幅Wg3の2倍にブレード2A及び2Cの厚みtを加えると、架橋部6A3が配置されている開口部8B5の幅Wo3に等しくなる(2×Wg3+t=Wo3)。
【0070】
架橋部6B1の位置では、制御棒1は図12に示す横断面形状を有している。ブレード2Bとブレード2Dを結合している架橋部6B1は、この架橋部6B1と直交しているブレード2Aとブレード2Cの間に配置されている。制御棒1の正常状態においては、架橋部6B1とブレード2A及び2Cのそれぞれの間に形成される間隙の幅は、ともにWg1である。この位置でのブレード2A,2B,2C及び2Dのそれぞれの幅はWb1である。その間隙の幅Wg1の2倍にブレード2B及び2Dの厚みtを加えると、架橋部6B1が配置されている位置での開口部8A2の幅Wo1に等しくなる(2×Wg1+t=Wo1)。
【0071】
架橋部6B2の位置では、制御棒1は図13に示す横断面形状を有している。ブレード2Bとブレード2Dを結合している架橋部6B2は、この架橋部6B2と直交しているブレード2Aとブレード2Cの間に配置されている。制御棒1の正常状態においては、架橋部6B2とブレード2A及び2Cのそれぞれの間に形成される間隙の幅は、ともにWg2である。この位置でのブレード2A,2B,2C及び2Dのそれぞれの幅はWb2である。その間隙の幅Wg2の2倍にブレード2B及び2Dの厚みtを加えると、架橋部6B2が配置されている位置での開口部8A3の幅Wo2に等しくなる(2×Wg2+t=Wo2)。
【0072】
架橋部6B3の位置では、制御棒1は図14に示す横断面形状を有している。ブレード2Bとブレード2Dを結合している架橋部6B3は、この架橋部6B3と直交しているブレード2Aとブレード2Cの間に配置されている。制御棒1の正常状態においては、架橋部6B3とブレード2A及び2Cのそれぞれの間に形成される間隙の幅は、ともにWg3である。この位置でのブレード2A,2B,2C及び2Dのそれぞれの幅はWb3である。その間隙の幅Wg3の2倍にブレード2B及び2Dの厚みtを加えると、架橋部6B3が配置されている位置での開口部8A4の幅Wo3に等しくなる(2×Wg3+t=Wo3)。
【0073】
間隙の幅Wg1,Wg2及びWg3は、Wg1<Wg2<Wg3の関係を満足している。
【0074】
沸騰水型原子炉の運転時においては、原子炉出力を制御するために用いられている複数の制御棒1以外の全ての制御棒1は、原子炉圧力容器内に配置されて複数の燃料集合体が装荷されている炉心から全引き抜きされた状態になっている。沸騰水型原子炉の運転時に地震が発生した場合には、全ての制御棒1が炉心内に急速挿入されて沸騰水型原子炉が緊急停止される。特に、沸騰水型原子炉の運転時に炉心から全引き抜きされている各制御棒1は、燃料集合体の下端部を支持する燃料支持金具に形成された十字形の横断面を有する制御棒挿入孔を通して、燃料集合体間に全挿入される。各燃料集合体は、地震時において図16に示すように水平方向に湾曲するように、変位する。これらの燃料集合体の水平方向の変位の影響を受けて、燃料集合体の相互間に挿入された制御棒1の、変位する燃料集合体に向かい合っているブレードも、水平方向に変位する。
【0075】
制御棒1では、ブレード2A,2B,2C及び2Dは制御棒1の上端部(挿入端部)及び下端部(下部支持部材4)で互いに連結される構造となっており、軸方向の大部分において、2枚のブレード2A,2Cと、これらのブレードを結合している架橋部と直交する他の2枚のブレード2B,2Dは互いに分離されている。このため、地震時に燃料集合体間に挿入される制御棒1は、燃料集合体の地震時における水平方向の変位に応じてブレードを水平方向に変位させることができるので、地震時における制御棒1の燃料集合体間への挿入が円滑に行われ、制御棒1の急速挿入に要する時間が短くなる。
【0076】
本実施例では、特開2011−80985号公報に記載された制御棒と同様に、架橋部(例えば、架橋部6A3)が、この架橋部に直交している一対のブレード(例えば、ブレード2B,2D)との間に間隙(例えば、幅Wg3)を形成しているので、燃料集合体の水平方向の変位の影響を受けたとき、架橋部材(例えば、架橋部6A3)によって結合されている2枚のブレード(例えば、ブレード2A,2C)が、地震時において水平方向に変位しやすい。制御棒1のこのような構成は、地震時における燃料集合体間への挿入を円滑に行うことができる。
【0077】
また、架橋部(例えば、架橋部6A3)が、この架橋部に直交している一対のブレード(例えば、ブレード2B,2D)とのそれぞれの間に間隙(例えば、幅Wg3)を形成してこの一対のブレードと対向しているため、地震時においてその架橋部(例えば、架橋部6A3)によって結合されている2枚のブレード(例えば、ブレード2A,2C)が地震時において水平方向に変位しても、この変位による2枚のブレード(例えば、ブレード2A,2C)の水平方向における移動量は、その架橋部(例えば、架橋部6A3)がこれと直交しているブレード(例えば、ブレード2B)に当ることによって制限される(特開2011−80985号公報の図12参照)。このため、制御棒1は、特開2011−80985号公報に記載された制御棒と同様に、過大地震時における炉心への急速挿入時におけるブレードの座屈変形を抑制することができる。
【0078】
本実施例の制御棒1は、過大地震時においても、良好な炉心への挿入性を得ることができる。
【0079】
全引き抜きされている制御棒1が地震時に炉心に急速挿入されるとき、制御棒1のブレードは、前述したように、地震時において燃料支持金具38から付与される強制変位30により、燃料支持金具38が地震により振動する方向に変位する。しかしながら、本実施例では、一対のブレードを結合する複数の架橋部の一部であり制御棒1の上部領域に存在する、一対のブレード(例えば、ブレード2A,2C)を結合する複数の架橋部(例えば、複数の架橋部6A)と、これらの架橋部(例えば、架橋部6A)と直交しているブレード(例えば、ブレード2B,2D)の間に形成されるそれぞれの間隙の幅は、その一対のブレード(例えば、ブレード2A,2C)を結合する上記した一部の架橋部(例えば、架橋部6A)によって形成された複数の間隙において形成された位置が制御棒1の挿入端部(ハンドル3)により近い間隙ほど狭くなっている(Wg1<Wg2<Wg3)。このため、燃料支持金具38から付与される強制変位30により、制御棒1の一対のブレード(例えば、ブレード2B,2D)が、図15に示すように、変位した場合でも、ハンドル3に近い位置に存在する架橋部ほど、水平方向への移動が架橋部と直交しているブレード(例えば、ブレード2A,2C)によってより早く拘束され、水平方向における移動量が少なくなる。この結果、架橋部にて結合されている一対のブレード(例えば、ブレード2B,2D)の水平方向における変位により、ブレード2A,2B,2C及び2Dを結合している、ハンドル3の上端部に形成される第1横断面を含む第1領域(連結部5Aの部分)に生じる固定端モーメントを低減することができ、架橋部にて結合されている一対のブレード(例えば、ブレード2B,2D)が第1領域に連結される部分(例えば、ハンドル要素3F,3G)において発生する応力を低減することができる。地震時における燃料支持金具38から付与される強制変位30の影響を受けて架橋部で結合されている一対のブレード2A,2Cが水平方向に変位した場合でも、により、同様に、架橋部にて結合されている一対のブレード(例えば、ブレード2A,2C)が第1領域に連結される部分(例えば、ハンドル要素3E)において発生する応力を低減することができる。
【実施例2】
【0080】
本発明の他の実施例である実施例2の沸騰水型原子炉用制御棒を、図19を用いて説明する。本実施例の制御棒1Aは、実施例1の制御棒1において架橋部及びブレードの幅が増大した領域にも中性子吸収材充填孔を形成し、これらの中性子吸収材充填孔に中性子吸収材を充填した構成を有する。制御棒1Aの他の構成は制御棒1と同じである。
【0081】
架橋部6B2が存在する位置での横断面である図19を用いて詳細に説明する。複数の中性子吸収材充填孔28Aが、ブレード2Bとブレード2Dを結合している架橋部6B2に形成されている。中性子吸収材充填孔28Aは架橋部6B2を貫通していない。中性子吸収材が各中性子吸収材充填孔28Aの開放端から各中性子吸収材充填孔28A内に充填され、各中性子吸収材充填孔28Aの開放端は端栓を架橋部6B2に溶接することによって封鎖される。
【0082】
架橋部6B2の位置におけるブレード2A,2B,2C及び2Dのそれぞれの幅(領域h2における各ブレードの幅)は、領域h2よりも下方の領域h3における各ブレードの幅よりも(Wb2−Wb3)だけ広くなっている。また、領域h1におけるブレード2A,2B,2C及び2Dのそれぞれの幅は、領域h3における各ブレードの幅よりも(Wb1−Wb3)だけ広くなっている。ブレード2A,2B,2C及び2Dのそれぞれにおいて、領域h2では(Wb2−Wb3)だけ幅が増加した領域、及び領域h1では(Wb1−Wb3)だけ幅が増加した領域に、複数の中性子吸収材充填孔28Bをそれぞれ形成し、これらの中性子吸収材充填孔28B内にも中性子吸収材29を充填する。中性子吸収材29の充填後に各中性子吸収材充填孔28Bを封鎖する。これらの架橋部に設けられた中性子吸収材充填孔28は、機械加工またはHIPによりブレード2A,2B,2Cおよび2Dを形成する際に、架橋部にも孔を設けることによって、形成することができる。
【0083】
他の架橋部においても、中性子吸収材29が充填されて密封された複数の中性子吸収材充填孔28Aが形成される。
【0084】
本実施例は、実施例1で生じる各効果を得ることができる。さらに、本実施例は架橋部及びブレードの幅が増加する領域にも中性子吸収材29を充填するので、制御棒1Aの制御棒価値を制御棒1よりも増加することができる。
【実施例3】
【0085】
本発明の他の実施例である実施例3の沸騰水型原子炉用制御棒を、図20を用いて説明する。本実施例の制御棒1Bは、実施例1の制御棒1において軸方向に配置される一部の開口部(ハンドル3側に位置する開口部)の形状をハンドル3から下部支持部材4に向かって広がるように形成した構成を有する。制御棒1Bの他の構成は制御棒1と同じである。
【0086】
ブレード2A,2Cを形成している板部材4Aに形成された開口部40A1,40A2,40A3は、下部支持部材4側の端部での幅をハンドル側の端部での幅よりも大きくしている。このため、開口部40A1,40A2,40A3のそれぞれにおいて、対向する側面が傾斜面になっている。さらに、開口部40A1,40A2及び40A3において、開口部40A1の、下部支持部材4側の端部での幅、開口部40A2の、下部支持部材4側の端部での幅、及び開口部40A3の、下部支持部材4側の端部での幅は、開口部40A1,40A2及び40A3の順に広くなっている。開口部40A2の、ハンドル3側の端部での幅は、開口部40A1の、下部支持部材4側の端部での幅よりも若干広くなっている。開口部40A3の、ハンドル3側の端部での幅は、開口部40A2の、下部支持部材4側の端部での幅よりも若干広くなっている。板部材4Aに形成される残りの開口部40A4の形状は制御棒1Bの軸方向に伸びる長方形になっている。
【0087】
一体化されて、ブレード2Bを形成している板部材4B及びブレード2Dを形成している板部材4Cに形成された開口部40B1,40B2,40B3も、下部支持部材4側の端部での幅をハンドル側の端部での幅よりも大きくしている(図27参照)。このため、開口部40B1,40B2,40B3のそれぞれにおいて、対向する側面が傾斜面になっている。さらに、開口部40B1,40B2及び40B3において、開口部40B1の、下部支持部材4側の端部での幅、開口部40B2の、下部支持部材4側の端部での幅、及び開口部40B3の、下部支持部材4側の端部での幅は、開口部40B1,40B2及び40B3の順に広くなっている。開口部40B2の、ハンドル3側の端部での幅は、開口部40B1の、下部支持部材4側の端部での幅よりも若干広くなっている。開口部40B3の、ハンドル3側の端部での幅は、開口部40B2の、下部支持部材4側の端部での幅よりも若干広くなっている。一体化された板部材4B,4Cに形成される残りの開口部40B4の形状は制御棒1Bの軸方向に伸びる長方形になっている。
【0088】
ブレード2Bとブレード2Dを結合している架橋部6B1,6B2,6B3は、開口部40A1,40A2,40A3内に別々に配置される。ブレード2Aとブレード2Cを結合している架橋部6A1,6A2,6A3は、開口部40B1,40B2,40B3内に別々に配置される。
【0089】
制御棒1Bも、制御棒1と同様に、第1横断面を含む第1領域(一体化された連結部5A〜5Cの部分、及び下部支持部材4)、第2横断面を含む第2領域(制御棒の軸方向における架橋部相互間の領域)及び第3横断面を含む第3領域(各架橋部が位置するそれぞれの領域)を有している。
【0090】
さらに、一対のブレードを結合する複数の架橋部の一部であり制御棒1Bでは、制御棒1Bの上部領域に存在する、一対のブレード(例えば、ブレード2B,2D)を結合する複数の架橋部(例えば、複数の架橋部6A)とこれらの架橋部(例えば、架橋部6B)と直交しているブレード(例えば、ブレード2A,2C)の間に形成される複数の間隙の幅は、制御棒1と同様に、その一対のブレード(例えば、ブレード2A,2C)を結合する上記した一部の架橋部(例えば、架橋部6A)によって形成された複数の間隙において形成された位置が制御棒1の挿入端部(ハンドル3)により近い間隙ほど狭くなっている。
【0091】
本実施例は、実施例1で生じる各効果を得ることができる。
【実施例4】
【0092】
本発明の他の実施例である実施例4の沸騰水型原子炉用制御棒を、図21及び図22を用いて説明する。本実施例の制御棒1Cは、実施例1の制御棒1において一対のブレードを結合する架橋部に開口部を形成し、ハンドル3に向かって架橋部に形成された開口部の幅をハンドル3に近い架橋部ほど狭くする構成を有する。制御棒1Aの他の構成は制御棒1と同じである。
【0093】
結合されて一体化された板部材4B及び4Cに、ブレード2Bとブレード2Dを結合する5つの架橋部が、制御棒1Cの軸方向において、形成されている。図21には、これらの架橋部のうち、ハンドル3側に位置する2つの架橋部43A及び43Bが示されている。架橋部43Aは架橋部43Bよりもハンドル3側に位置している。
【0094】
さらに、開口部41B1が、架橋部43Aよりもハンドル3側でブレード2Bとブレード2Dの間に形成される。この開口部41B1は、連結部5Bと連結部5Cを結合することによって、結合された板部材4B及び4Cに形成される開口部8B1に連通している。開口部41B3が架橋部43Aと架橋部43Bの間に形成され、開口部41B5が架橋部43Bとこの架橋部43Bに下部支持部材4側で隣接している他の架橋部(図示せず)の間に形成される。架橋部43Bよりも下部支持部材4側に形成された3つの架橋部(図示せず)の相互間にも開口部(図示せず)が形成されている。開口部41B3及び41B5はブレード2Bとブレード2Dの間に配置される。
【0095】
開口部41B2が架橋部43Aに形成され、開口部41B4が架橋部43Bに形成される。開口部41B2の、ブレード2B,2Dの幅方向における幅は、例えば、Wo1であり、開口部41B4の、ブレード2B,2Dの幅方向における幅は、例えば、Wo2である。残りの3つの架橋部にも開口部がそれぞれ形成されている。この3つの架橋部に形成された開口部の、ブレード2B,2Dの幅方向における幅は、ブレード2Bとブレード2Bの間の間隙の幅と同じ、例えば、Wo3である。開口部41B2及び開口部41B4の、ブレード2B,2Dの幅方向における幅は、開口部41B1,41B3及び41B5のその幅方向における幅よりも狭くなっている。さらに、開口部41B4よりもハンドル3の近くに配置される開口部41B2の、ブレード2B,2Dの幅方向における幅は、開口部41B4のその幅よりも狭くなっている。
【0096】
連結部5B,5Cから下部支持部材4に向かって、開口部41B1,41B2,41B3,41B4,及び41B5が、この順番に形成される。これらの開口部は、制御棒1Cの軸心上に配置される。図21において、ブレード2Bが開口部41B1,41B2,41B3,41B4,及び41B5の右に存在し、ブレード2Dが開口部41B1,41B2,41B3,41B4,及び41B5の左に存在する。
【0097】
架橋部43Aは、開口部41B2の形成によって、ブレード2B,2Dの幅方向の中央部において、2つの架橋44A1及び44A2を形成している。架橋部43Aは架橋44A1及び44A2を含んでいる。架橋44A1及び44A2のそれぞれの高さは、架橋部43Aの高さから開口部41B2の高さを引いて得られる高さの1/2である。架橋部43Bは、開口部41B4の形成によって、ブレード2B,2Dの幅方向の中央部において、2つの架橋44A3及び44A4を形成している。架橋部43Bは架橋44A3及び44A4を含んでいる。架橋44A3及び44A4のそれぞれの高さは、架橋部43Bの高さから開口部41B4の高さを引いて得られる高さの1/2である。
【0098】
架橋部43Bよりも下部支持部材4側に位置している3つの架橋部に形成された各開口部の、ブレード2B,2Dの幅方向における幅は、前述したように、開口部41B1等のその幅方向における幅と同じである。このため、この3つの架橋部は、実質的に、架橋部43Bにおける2つの架橋44A3及び44A4と同じ高さを有する2つの架橋でそれぞれ構成される。
【0099】
架橋44A3及び44A4よりもハンドル3の近くに存在する架橋44A1及び44A2のブレードの幅方向における長さは、架橋44A3及び44A4のブレードの幅方向における長さよりも短くなっている。
【0100】
板部材4Aに、ブレード2Aとブレード2Cを結合する5つの架橋部が、制御棒1Cの軸方向において、形成されている。図22には、これらの架橋部のうち、ハンドル3側に位置する2つの架橋部6A1及び6A2が示されている。架橋部6A1は架橋部6A2よりもハンドル3側に位置している。
【0101】
さらに、開口部41A1が、架橋部6A1よりもハンドル3側でブレード2Aとブレード2Cの間に形成される。この開口部41A1は、連結部5Aを形成することによって板部材Aに形成された開口部8A1に連通している。開口部41A4が架橋部6A1と架橋部6A2の間に形成され、開口部41A7が架橋部6A2とこの架橋部6A2に下部支持部材4側で隣接している他の架橋部(図示せず)の間に形成される。架橋部6A2よりも下部支持部材4側に形成された3つの架橋部(図示せず)の相互間にも開口部(図示せず)が形成されている。
【0102】
開口部41A2及び41A3が架橋部6A1に形成され、開口部41A5及び41A3が架橋部6A2に形成される。開口部41A2が開口部41A1と連通し、開口部41A3が開口部41A4と連通している。開口部41A5が開口部41A4に連通され、開口部41A6が開口部41A7に連通される。開口部41A2の、ブレード2A,2Cの幅方向における幅は、例えば、Wo1であり、開口部41A5の、ブレード2A,2Cの幅方向における幅は、例えば、Wo2である。開口部41A2,41A3,41A5及び41A6のそれぞれのブレードの幅方向における幅は開口部41A1,41A4及び41A7のブレードの幅方向における幅よりも狭くなっている。さらに、開口部41A2,41A3及び41A5のそれぞれのブレードの幅方向における幅は、開口部41A5,41A3及び41A2の順に狭くなっている。開口部41A2,41A3,41A5及び41A6のそれぞれのブレードの幅方向における幅は、これらの開口部のうちでハンドル3に近い位置に存在する開口部ほど狭くなっている。
【0103】
架橋部6A2よりも下部支持部材4側に形成された3つの架橋部は、架橋部6A1及び6A2のように開口部を形成していなく、実施例1における架橋部6A3と同じ形状を有している。換言すれば、その3つの架橋部においては、開口部41B5の幅と同じ幅を有する2つの開口部が、架橋部6A1及び6A2と同様に形成されているとも言え、3つの架橋部のそれぞれのハンドル3側及び下部支持部材4側に存在する開口部の一部になっている。
【0104】
連結部5Aから下部支持部材4に向かって、開口部41A1,41A2,41A3,41A4,41A5,41A6及び41A7が、この順番に形成されている。これらの開口部は、制御棒1Cの軸心上に配置される。図22において、ブレード2Aが開口部41A1,41A2,41A3,41A4,41A5,41A6及び41A7の右に存在し、ブレード2Cが開口部41A1,41A2,41A3,41A4,41A5,41A6及び41A7の左に存在する。
【0105】
架橋部6A1は、開口部41A2及び41A3の形成によって、ブレード2A,2Cの幅方向の中央部で開口部41A2と開口部41A3の間に、1つの架橋42A1を形成している。架橋部6A1は架橋42A1を含んでいる。架橋42A1の高さは、架橋部6A1の高さから開口部41A2及び41A3のそれぞれの高さを引いて得られる高さであり、架橋部43Aに形成された開口部41B2の高さよりも低くなっている。架橋部6A2は、開口部41A5及び41A6の形成によって、ブレード2A,2Cの幅方向の中央部で開口部41A5と開口部41A6の間に、1つの架橋42A2を形成している。架橋部6A2は架橋42A2を含んでいる。架橋42A2の高さは、架橋部6A2の高さから開口部41A5及び41A6のそれぞれの高さを引いて得られる高さであり、架橋部43Bに形成された開口部41B4の高さよりも低くなっている。
【0106】
架橋42A2よりもハンドル3の近くに存在する架橋42A1のブレードの幅方向における長さは、架橋42A2のブレードの幅方向における長さよりも短くなっている。
【0107】
ブレード2A,2Cを結合する架橋部6A1の架橋42A1は開口部41B2内に配置される。ブレード2A,2Cを結合する架橋部6A2の架橋42A2は開口部41B4内に配置される。ブレード2B,2Dを結合する架橋部43Aの架橋44A1は開口部41A2内に配置され、架橋部43Aの架橋44A2は開口部41A3内に配置される。ブレード2B,2Dを結合する架橋部43Bの架橋44A3は開口部41A5内に配置され、架橋部43Bの架橋44A4は開口部41A6内に配置される。
【0108】
架橋部6A1、具体的には架橋42A1と開口部41B2の対向する各側面の間に形成されるそれぞれの間隙の幅は、架橋部6A2、具体的には架橋42A2と開口部41B4の対向する各側面の間に形成されるそれぞれの間隙の幅よりも狭くなっている。架橋部43B、具体的には架橋44A4と開口部41A6の対向する各側面の間に形成されるそれぞれの間隙の幅、架橋部43B、具体的には架橋44A3と開口部41A5の対向する各側面の間に形成されるそれぞれの間隙の幅、架橋部43A、具体的には架橋44A2と開口部41A3の対向する各側面の間に形成されるそれぞれの間隙の幅、及び架橋部43A、具体的には架橋44A1と開口部41A2の対向する各側面の間に形成されるそれぞれの間隙の幅は、この順番でハンドル3に向かうほど狭くなっている。
【0109】
制御棒1Cも、制御棒1と同様に、第1横断面を含む第1領域(一体化された連結部5A〜5Cの部分、及び下部支持部材4)、第2横断面を含む第2領域(制御棒の軸方向における架橋部相互間の領域)及び第3横断面を含む第3領域(各架橋部が位置するそれぞれの領域)を有している。
【0110】
実施例1と同様に、地震時に、炉心から全引き抜きされている制御棒1Cを炉心内の燃料集合体間に挿入するとき、燃料集合体の水平方向への変位の影響を受けて水平方向に変位する一対のブレードを結合する架橋部(具体的には、架橋)が、この架橋部(具体的には、架橋)に直交しているブレード、すなわち、その架橋部(具体的には、架橋)が配置されている開口部の対向する側面によって水平方向における移動が拘束されるので、過大地震時における炉心への急速挿入時におけるブレードの座屈変形を抑制することができる。本実施例の制御棒1は、過大地震時においても、良好な炉心への挿入性を得ることができる。
【0111】
本実施例においても、制御棒1Cの上部領域に存在する、一対のブレード(例えば、ブレード2A,2C)を結合する複数の架橋部(例えば、複数の架橋部6A)とこれらの架橋部(例えば、架橋部6A)と直交している他の架橋部(例えば、架橋部43A,43B等であり、ブレード2B,2Dを結合)の間に形成される間隙の幅が、この結合された一対のブレード(例えば、ブレード2A,2C)を結合する複数の架橋部(例えば、複数の架橋部6A)のうち、前述したように、ハンドル3により近い位置に存在する架橋部によって形成される間隙ほど狭くなっている。このため、地震時において燃料支持金具38から付与される強制変位30により、制御棒1Cの一対のブレードが、燃料支持金具38が地震により振動する方向に変位したとしても、ハンドル3に近い位置に存在する架橋部ほど、水平方向への移動がこの架橋部と直交している他の架橋部によってより早く拘束され、水平方向における移動量が少なくなる。したがって、制御棒1と同様に、ブレード2A,2B,2C及び2Dを結合している、ハンドル3の上端部に形成される第1横断面を含む第1領域(連結部5Aの部分)に生じる固定端モーメントを低減することができ、架橋部にて結合されている一対のブレード(例えば、ブレード2B,2D)が第1領域に連結される部分(例えば、ハンドル要素3F,3G)において発生する応力を低減することができる。本実施例は、地震発生時に、ハンドル3により近い位置に存在する或る架橋部が、この架橋部と直交する他の架橋部によって水平方向の移動をより早く拘束されるが、これは、実施例1において、ハンドル3により近い位置に存在する或る架橋部が、この架橋部と直交するブレードによって水平方向の移動をより早く拘束されることと同じである。
【0112】
本実施例は、実施例1で生じる各効果を得ることができる。
【0113】
ここで、実施例1の制御棒1、実施例3の制御棒1B及び実施例4の制御棒1Cの特徴について説明する。これらの実施例のそれぞれの特徴が図23にまとめられている。地震発生時における炉心への挿入性、及び制御棒の挿入端部(ハンドルの上端部)に存在する第1領域に生じる局所的な固定端モーメントの低減効果は、各実施例の制御棒において差はない(図23の機能を参照)。制御棒に設けられた架橋部6、架橋部44と突出部43から成る開口部41の製造性及び架橋部6と開口部41の間に形成される隙間を考えた場合、実施例1及び3の各制御棒が、隙間形成を減らすことができるため、実施例4の制御棒よりも優れている。また、地震発生時において燃料支持金具から付与される強制変位の付与方向に対する制御棒の変位に対しては、実施例4の制御棒1Cは、強制変位の作用方向によらず同等の変位が生じる。
【実施例5】
【0114】
本発明の他の実施例である実施例5の沸騰水型原子炉用制御棒を、図24及び図25を用いて説明する。本実施例の制御棒1Dは、実施例1の制御棒1においてハンドル3をハンドル3Aに替えた構成を有する。制御棒1Dの他の構成は制御棒1と同じである。
【0115】
ハンドル3Aは、ハンドル3Aの上端部に連結部5A,5B及び5Cを一体に結合した第1領域を形成するだけでなく、ハンドル3Aの下端部にも連結部33,33A及び33Bを一体に結合した第1領域を形成している。ブレード2A,2B,2C及び2Dのそれぞれの上端が、ハンドル3Aの一体に結合された連結部33,33A及び33Bに溶接にて接合されている。
【0116】
制御棒1Dも、制御棒1と同様に、第1横断面を含む第1領域(一体化された連結部5A〜5Cの部分、一体化された連結部33〜33Bの部分及び下部支持部材4)、第2横断面を含む第2領域(制御棒の軸方向における架橋部相互間の領域)及び第3横断面を含む第3領域(各架橋部が位置するそれぞれの領域)を有している。
【0117】
本実施例も実施例1で生じる各効果を得ることができる。ただし、本実施例における固定端モーメントの低減は一体化された連結部33〜33Bの部分である第1領域に対して主に行われ、この第1領域に結合される、地震時における燃料支持金具38から付与される強制変位30の影響を受けて変位する一対のブレードで生じる応力を低減できる。
【実施例6】
【0118】
本発明の他の実施例である実施例6の沸騰水型原子炉用制御棒を、図26及び図27を用いて説明する。本実施例の制御棒1Eは、実施例3の制御棒1Bにおいてハンドル3をハンドル3Aに替えた構成を有する。制御棒1Eの他の構成は制御棒1Bと同じである。
【0119】
ハンドル3Aは、ハンドル3Aの上端部に連結部5A,5B及び5Cを一体に結合した第1領域を形成するだけでなく、ハンドル3Aの下端部にも連結部33,33A及び33Bを一体に結合した第1領域を形成している。ブレード2A,2B,2C及び2Dのそれぞれの上端が、ハンドル3Aの一体に結合された連結部33,33A及び33Bに溶接にて接合されている。
【0120】
制御棒1Eも、制御棒1Bと同様に、第1横断面を含む第1領域(一体化された連結部5A〜5Cの部分、一体化された連結部33〜33Bの部分及び下部支持部材4)、第2横断面を含む第2領域(制御棒の軸方向における架橋部相互間の領域)及び第3横断面を含む第3領域(各架橋部が位置するそれぞれの領域)を有している。
【0121】
本実施例も実施例1で生じる各効果を得ることができる。ただし、本実施例における固定端モーメントの低減は一体化された連結部33〜33Bの部分である第1領域に対して主に行われ、この第1領域に結合される、地震時における燃料支持金具38から付与される強制変位30の影響を受けて変位する一対のブレードで生じる応力を低減できる。
【実施例7】
【0122】
本発明の他の実施例である実施例6の沸騰水型原子炉用制御棒を、図28及び図29を用いて説明する。本実施例の制御棒1Fは、実施例4の制御棒1Cにおいてハンドル3をハンドル3Aに替えた構成を有する。制御棒1Eの他の構成は制御棒1Bと同じである。
【0123】
ハンドル3Aは、ハンドル3Aの上端部に連結部5A,5B及び5Cを一体に結合した第1領域を形成するだけでなく、ハンドル3Aの下端部にも連結部33,33A及び33Bを一体に結合した第1領域を形成している。ブレード2A,2B,2C及び2Dのそれぞれの上端が、ハンドル3Aの一体に結合された連結部33,33A及び33Bに溶接にて接合されている。
【0124】
制御棒1Fも、制御棒1Cと同様に、第1横断面を含む第1領域(一体化された連結部5A〜5Cの部分、一体化された連結部33〜33Bの部分及び下部支持部材4)、第2横断面を含む第2領域(制御棒の軸方向における架橋部相互間の領域)及び第3横断面を含む第3領域(各架橋部が位置するそれぞれの領域)を有している。
【0125】
本実施例も実施例1で生じる各効果を得ることができる。ただし、本実施例における固定端モーメントの低減は一体化された連結部33〜33Bの部分である第1領域に対して主に行われ、この第1領域に結合される、地震時における燃料支持金具38から付与される強制変位30の影響を受けて変位する一対のブレードで生じる応力を低減できる。
【符号の説明】
【0126】
1〜1F…制御棒、2A,2B,2C,2D…ブレード、3,3A…ハンドル、4…下部支持部、4A,4B,4C…板部材、5A〜5C,17A1〜17A3,17B1〜17B3,33,33A,33B…連結部、6A1〜6A3,6B1〜6B3,44A1〜44A4…架橋部、7A,7B,7C,7D…中性子吸収材充填部、8A1〜8A5,8B1〜8b5,41A1〜41A6,41B1〜41B5…開口部、28,28A,28B…中性子吸収材充填孔、29…中性子吸収材、37…燃料集合体、38…燃料支持金具。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中性子吸収材が収容される中性子吸収材充填領域を有して互いに直交する4つのブレードを備えた沸騰水型原子炉用制御棒であって、
前記制御棒の軸方向に形成された複数の領域が、前記4つのブレードを互いに結合している第1横断面を含む第1の領域と、前記4つのブレードが互いに分離されている第2横断面を含んで前記制御棒の軸方向に配置された複数の第2領域と、及び前記4つのブレードのうち一対の前記ブレードが架橋部により結合され、この架橋部に直交している他の一対の前記ブレードが互いに分離されている第3横断面を含んで前記軸方向において前記第2領域の間に配置される複数の第3領域とを有し、
前記第1領域が前記複数の第2領域及び前記複数の第3領域よりも前記制御棒の挿入端部側に配置され、
前記複数の第3領域にそれぞれ含まれる前記架橋部とこの架橋部に直交している前記ブレードの間に形成されるそれぞれの間隙の幅は、それぞれの前記一対のブレードにおいて、前記一対のブレードを結合する複数の前記架橋部のうち前記挿入端部に最も近い位置に存在する前記架橋部によって形成される前記間隙で最も狭くなっていることを特徴とする沸騰水型原子炉用制御棒。
【請求項2】
前記挿入端部とは反対側の、前記制御棒の他端部を形成して前記4つのブレードに取り付けられた下部支持部材を有し、
それぞれの前記一対のブレードにおいて、前記一対のブレードを結合する複数の前記架橋部のうち前記挿入端部に最も近い位置に存在する前記架橋部に隣接して前記挿入端部側に配置されて前記一対のブレードの間に第1開口部が形成され、
前記最も近い位置に存在する架橋部に隣接して前記下部支持部材側に位置する側に配置されて前記一対のブレードの間に第2開口部が形成され、
前記第1及び第2開口部の、前記ブレードの幅方向において対向するそれぞれの側面は傾斜面になっており、
前記第1及び第2開口部の、前記ブレードの幅方向における幅が、前記挿入端部から前記下部支持部材に向かって広がっている請求項1に記載の沸騰水型原子炉用制御棒。
【請求項3】
前記4つのブレード、前記4つのブレードのうち一対の前記ブレードを結合する前記複数の架橋部、及びこの架橋部と直交している他の一対の前記ブレードが、互いに直交して配置されて互いに結合されている複数の板部材に形成され、それぞれのブレードが前記板部材に形成された複数の中性子吸収材充填孔内に充填された前記中性子吸収材を有している請求項1または2に記載の沸騰水型原子炉用制御棒。
【請求項4】
中性子吸収材が収容される中性子吸収材充填領域を有して互いに直交する4つのブレード、を備えた沸騰水型原子炉用制御棒であって、
前記制御棒の軸方向に形成された複数の領域が、前記4つのブレードを互いに結合している第1横断面を含む第1の領域と、前記4つのブレードが互いに分離されている第2横断面を含んで前記制御棒の軸方向に配置された複数の第2領域と、及び前記4つのブレードのうち第1の一対のブレードが架橋部により結合され、この架橋部に直交している第2の一対のブレードが互いに分離されている第3横断面を含んで前記軸方向に配置された複数の第3領域とを有し、
前記第1領域が前記複数の第2領域及び前記複数の第3領域よりも前記制御棒の挿入端部側に配置され、前記挿入端部とは反対側の、前記制御棒の他端部を形成して前記4つのブレードに取り付けられた下部支持部材を有し、
前記第1の一対のブレードのそれぞれのブレードを結合する複数の第1の前記架橋部の相互間で前記第1の一対のブレードの間に、前記挿入端部に最も近い位置に存在する前記第1架橋部よりも前記挿入端部側で前記第1の一対のブレードの間に、及び前記下部支持部材に最も近い位置に存在する前記第1架橋部よりも前記下部支持部材側で前記第1の一対のブレードの間に、それぞれ、第1開口部が形成され、
前記第1の一対のブレードのそれぞれのブレードを結合する前記複数の第1の架橋部が第2開口部をそれぞれ形成し、
前記第2の一対のブレードのそれぞれのブレードを結合する複数の第2の前記架橋部の相互間で前記第2の一対のブレードの間に、前記挿入端部に最も近い位置に存在する前記第2架橋部よりも前記挿入端部側で前記第2の一対のブレードの間に、及び前記下部支持部材に最も近い位置に存在する前記第2架橋部よりも前記下部支持部材側で前記第2の一対のブレードの間に、それぞれ、第3開口部が形成され、
前記第2の一対のブレードのそれぞれのブレードを結合する前記複数の第2の架橋部が、前記第2架橋部の前記挿入端部側の前記第3開口部に連通する第4開口部をそれぞれ形成し、
それぞれの前記第2架橋部が各前記第2開口部を別々に貫通して配置され、それぞれの前記第1架橋部のが各前記第4開口部を別々に貫通して配置され、
複数の第1架橋部に形成されたそれぞれの第2開口部の、前記第1の一対のブレードの幅方向で対向している側面と各前記第2開口部を別々に貫通している各前記第2架橋部の間に形成されるそれぞれの間隙の幅は、前記第1の一対のブレードを結合する前記複数の第1架橋部のうち前記挿入端部に最も近い位置に存在する前記第1架橋部及び前記第2架橋部によって形成される前記間隙で最も狭くなっており、
複数の第2架橋部に形成されたそれぞれの前記第4開口部の、前記第2の一対のブレードの幅方向で対向している側面と各前記第4開口部を別々に貫通している各前記第2架橋部の間に形成されるそれぞれの間隙の幅は、前記第2の一対のブレードを結合する前記複数の第2架橋部のうち前記挿入端部に最も近い位置に存在する前記第2架橋部及び前記第2架橋部によって形成される前記間隙で最も狭くなっていることを特徴とする沸騰水型原子炉用制御棒。
【請求項5】
前記4つのブレード、前記4つのブレードのうち一対の前記ブレードを結合する前記複数の架橋部、及びこの架橋部と直交している他の一対の前記ブレードが、互いに直交して配置されて互いに結合されている複数の板部材に形成され、それぞれのブレードが前記板部材に形成された複数の中性子吸収材充填孔内に充填された前記中性子吸収材を有している請求項4に記載の沸騰水型原子炉用制御棒。
【請求項6】
ハンドルが、前記4つのブレードを含んで結合された前記複数の板部材に形成されて前記挿入端部に配置され、前記各ブレードにつながっている請求項1ないし5のいずれか1項に記載の沸騰水型原子炉用制御棒。
【請求項7】
前記複数の板部材の結合部に圧縮残留応力が付与されている請求項1ないし6のいずれか1項に記載の沸騰水型原子炉用制御棒。
【請求項8】
ハンドルが、前記挿入端部に配置され、前記4つのブレードを形成している前記複数の板部材に結合されている請求項1ないし5のいずれか1項に記載の沸騰水型原子炉用制御棒。
【請求項9】
前記複数の板部材の結合部及び前記ハンドルと前記複数の板部材の結合部に圧縮残留応力が付与されている請求項8に記載の沸騰水型原子炉用制御棒。
【請求項10】
前記架橋部内に前記中性子吸収材を充填している請求項1ないし3のいずれか1項に記載の沸騰水型原子炉用制御棒。
【請求項1】
中性子吸収材が収容される中性子吸収材充填領域を有して互いに直交する4つのブレードを備えた沸騰水型原子炉用制御棒であって、
前記制御棒の軸方向に形成された複数の領域が、前記4つのブレードを互いに結合している第1横断面を含む第1の領域と、前記4つのブレードが互いに分離されている第2横断面を含んで前記制御棒の軸方向に配置された複数の第2領域と、及び前記4つのブレードのうち一対の前記ブレードが架橋部により結合され、この架橋部に直交している他の一対の前記ブレードが互いに分離されている第3横断面を含んで前記軸方向において前記第2領域の間に配置される複数の第3領域とを有し、
前記第1領域が前記複数の第2領域及び前記複数の第3領域よりも前記制御棒の挿入端部側に配置され、
前記複数の第3領域にそれぞれ含まれる前記架橋部とこの架橋部に直交している前記ブレードの間に形成されるそれぞれの間隙の幅は、それぞれの前記一対のブレードにおいて、前記一対のブレードを結合する複数の前記架橋部のうち前記挿入端部に最も近い位置に存在する前記架橋部によって形成される前記間隙で最も狭くなっていることを特徴とする沸騰水型原子炉用制御棒。
【請求項2】
前記挿入端部とは反対側の、前記制御棒の他端部を形成して前記4つのブレードに取り付けられた下部支持部材を有し、
それぞれの前記一対のブレードにおいて、前記一対のブレードを結合する複数の前記架橋部のうち前記挿入端部に最も近い位置に存在する前記架橋部に隣接して前記挿入端部側に配置されて前記一対のブレードの間に第1開口部が形成され、
前記最も近い位置に存在する架橋部に隣接して前記下部支持部材側に位置する側に配置されて前記一対のブレードの間に第2開口部が形成され、
前記第1及び第2開口部の、前記ブレードの幅方向において対向するそれぞれの側面は傾斜面になっており、
前記第1及び第2開口部の、前記ブレードの幅方向における幅が、前記挿入端部から前記下部支持部材に向かって広がっている請求項1に記載の沸騰水型原子炉用制御棒。
【請求項3】
前記4つのブレード、前記4つのブレードのうち一対の前記ブレードを結合する前記複数の架橋部、及びこの架橋部と直交している他の一対の前記ブレードが、互いに直交して配置されて互いに結合されている複数の板部材に形成され、それぞれのブレードが前記板部材に形成された複数の中性子吸収材充填孔内に充填された前記中性子吸収材を有している請求項1または2に記載の沸騰水型原子炉用制御棒。
【請求項4】
中性子吸収材が収容される中性子吸収材充填領域を有して互いに直交する4つのブレード、を備えた沸騰水型原子炉用制御棒であって、
前記制御棒の軸方向に形成された複数の領域が、前記4つのブレードを互いに結合している第1横断面を含む第1の領域と、前記4つのブレードが互いに分離されている第2横断面を含んで前記制御棒の軸方向に配置された複数の第2領域と、及び前記4つのブレードのうち第1の一対のブレードが架橋部により結合され、この架橋部に直交している第2の一対のブレードが互いに分離されている第3横断面を含んで前記軸方向に配置された複数の第3領域とを有し、
前記第1領域が前記複数の第2領域及び前記複数の第3領域よりも前記制御棒の挿入端部側に配置され、前記挿入端部とは反対側の、前記制御棒の他端部を形成して前記4つのブレードに取り付けられた下部支持部材を有し、
前記第1の一対のブレードのそれぞれのブレードを結合する複数の第1の前記架橋部の相互間で前記第1の一対のブレードの間に、前記挿入端部に最も近い位置に存在する前記第1架橋部よりも前記挿入端部側で前記第1の一対のブレードの間に、及び前記下部支持部材に最も近い位置に存在する前記第1架橋部よりも前記下部支持部材側で前記第1の一対のブレードの間に、それぞれ、第1開口部が形成され、
前記第1の一対のブレードのそれぞれのブレードを結合する前記複数の第1の架橋部が第2開口部をそれぞれ形成し、
前記第2の一対のブレードのそれぞれのブレードを結合する複数の第2の前記架橋部の相互間で前記第2の一対のブレードの間に、前記挿入端部に最も近い位置に存在する前記第2架橋部よりも前記挿入端部側で前記第2の一対のブレードの間に、及び前記下部支持部材に最も近い位置に存在する前記第2架橋部よりも前記下部支持部材側で前記第2の一対のブレードの間に、それぞれ、第3開口部が形成され、
前記第2の一対のブレードのそれぞれのブレードを結合する前記複数の第2の架橋部が、前記第2架橋部の前記挿入端部側の前記第3開口部に連通する第4開口部をそれぞれ形成し、
それぞれの前記第2架橋部が各前記第2開口部を別々に貫通して配置され、それぞれの前記第1架橋部のが各前記第4開口部を別々に貫通して配置され、
複数の第1架橋部に形成されたそれぞれの第2開口部の、前記第1の一対のブレードの幅方向で対向している側面と各前記第2開口部を別々に貫通している各前記第2架橋部の間に形成されるそれぞれの間隙の幅は、前記第1の一対のブレードを結合する前記複数の第1架橋部のうち前記挿入端部に最も近い位置に存在する前記第1架橋部及び前記第2架橋部によって形成される前記間隙で最も狭くなっており、
複数の第2架橋部に形成されたそれぞれの前記第4開口部の、前記第2の一対のブレードの幅方向で対向している側面と各前記第4開口部を別々に貫通している各前記第2架橋部の間に形成されるそれぞれの間隙の幅は、前記第2の一対のブレードを結合する前記複数の第2架橋部のうち前記挿入端部に最も近い位置に存在する前記第2架橋部及び前記第2架橋部によって形成される前記間隙で最も狭くなっていることを特徴とする沸騰水型原子炉用制御棒。
【請求項5】
前記4つのブレード、前記4つのブレードのうち一対の前記ブレードを結合する前記複数の架橋部、及びこの架橋部と直交している他の一対の前記ブレードが、互いに直交して配置されて互いに結合されている複数の板部材に形成され、それぞれのブレードが前記板部材に形成された複数の中性子吸収材充填孔内に充填された前記中性子吸収材を有している請求項4に記載の沸騰水型原子炉用制御棒。
【請求項6】
ハンドルが、前記4つのブレードを含んで結合された前記複数の板部材に形成されて前記挿入端部に配置され、前記各ブレードにつながっている請求項1ないし5のいずれか1項に記載の沸騰水型原子炉用制御棒。
【請求項7】
前記複数の板部材の結合部に圧縮残留応力が付与されている請求項1ないし6のいずれか1項に記載の沸騰水型原子炉用制御棒。
【請求項8】
ハンドルが、前記挿入端部に配置され、前記4つのブレードを形成している前記複数の板部材に結合されている請求項1ないし5のいずれか1項に記載の沸騰水型原子炉用制御棒。
【請求項9】
前記複数の板部材の結合部及び前記ハンドルと前記複数の板部材の結合部に圧縮残留応力が付与されている請求項8に記載の沸騰水型原子炉用制御棒。
【請求項10】
前記架橋部内に前記中性子吸収材を充填している請求項1ないし3のいずれか1項に記載の沸騰水型原子炉用制御棒。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図2】
【図3】
【図4】
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【図9】
【図10】
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【図13】
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【図16】
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【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【公開番号】特開2013−88157(P2013−88157A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−226522(P2011−226522)
【出願日】平成23年10月14日(2011.10.14)
【出願人】(507250427)日立GEニュークリア・エナジー株式会社 (858)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月14日(2011.10.14)
【出願人】(507250427)日立GEニュークリア・エナジー株式会社 (858)
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