説明

油中水型乳化化粧料

【課題】経時での安定性に優れ、べたつきが無くのび広がりの良好な使用性を有する油中水型乳化化粧料を提供すること。
【解決手段】
次の成分(A)〜(C);
(A)次の成分(a1)〜(a3)
(a1)アルキルチタネートで表面処理された微粒子金属酸化物
(a2)ポリヒドロキシステアリン酸
(a3)非シリコーン系油剤
を含有することを特徴とする微粒子金属酸化物分散組成物
(B)HLB2〜7のポリオキシアルキレン・アルキル共変性シリコーン及び/またはHLB2〜7のポリグリセリン・アルキル共変性シリコーンから選ばれる一種または二種以上の界面活性剤
(C)水性成分
を配合することを特徴とする油中水型乳化化粧料。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非シリコーン系油剤に微粒子金属酸化物を分散させた微粒子金属酸化物分散組成物を含有した油中水型乳化化粧料に関し、さらに詳細には、経時での安定性に優れ、べたつきが無くのび広がりの良好な使用性を有する油中水型乳化化粧料に関するものである。
【背景技術】
【0002】
紫外線防御効果を有する化粧料には、有機紫外線吸収剤や無機紫外線散乱剤などが配合されている。無機紫外線散乱剤としては、酸化チタンや酸化亜鉛などの金属酸化物が用いられているが、屈折率が高く塗布後に肌が白くなってしまい化粧品としては好ましくない。塗布後の白さを改良するために、金属酸化物を紡錘状にして可視光線の透過性を向上させる技術が報告されている(例えば特許文献1参照)。更に微粒子金属酸化物の紫外線防御効果や可視光線の透過性を向上させるためには、微粒子金属酸化物を均一に分散させる必要があり、そのために、分散剤として特定のオルガノポリシロキサン共重合体を用いる技術や(例えば特許文献2参照)、ポリグリセリン変性シリコーンを用いる技術があり(例えば特許文献3参照)、また、分散媒として、分散性向上や使用性の向上のため、デカメチルシクロペンタシロキサンなどの揮発性シリコーン油などが用いられている。デカメチルシクロペンタシロキサンなどの揮発性シリコーン油以外の油を分散媒として用いる検討は、分散剤としてリシノール酸やヒドロキシステアリン酸を用い、分散媒としてパラフィン油やトリグリセリドエステルを用いた検討(例えば特許文献4参照)や、分散剤としてポリヒドロキシステアリン酸を用い、分散媒としてエステル油やトリグリセリドエステルを用いた検討がある(例えば特許文献5参照)。
金属酸化物を配合した油中水型乳化化粧料としては、特定のジメチルポリシロキサンポリオキシアルキレン共重合体を用いる技術(例えば特許文献6参照)がある。また、微粒子金属酸化物を配合した油中水型乳化化粧料としては、ポリグリセリン変性シリコーンを用いる技術(例えば特許文献7参照)、長鎖アルキル・ポリオキシアルキレン・オルガノポリシロキサン共変性シロキサン化合物を用いる技術がある(例えば特許文献8参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−175821号公報
【特許文献2】特開平11−263708号公報
【特許文献3】特開2004−169015号公報
【特許文献4】特開平6−39272号公報
【特許文献5】特表2009−508920号公報
【特許文献6】特開昭63−250311号公報
【特許文献7】特開2008−179628号公報
【特許文献8】特開2007−269690号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1のように、透明性を向上させるために金属酸化物を紡錘状にすると粉体の表面積が増大し、一次粒子に分散するのが困難となる。分散性向上のために配合される特許文献2、3記載のシリコーン系の分散剤は、乳化化粧料に配合した場合、油-水の界面に配向することにより微粒子金属酸化物の分散性が低下してしまうことがある。また、特許文献2、3に用いられているシリコーン系の分散剤は、分散安定化のために分子量を大きく設計しており、べたつきや、のび広がりの悪さなど、使用性に問題があった。また、特許文献6,7,8のように、シリコーン系界面活性剤とシリコーン油を組み合わせた場合には使用性や安定性は向上するものの、シリコーン油以外の油剤を用いると相溶性や安定性が悪く、良好な使用性を得ることはできなかった。非シリコーン系の分散剤として、特許文献4のようにリシノール酸やヒドロキシステアリン酸を用いた場合や、特許文献5のように分散剤としてポリヒドロキシステアリン酸を用いる場合には、分散剤を多量に配合する必要があり、べたついた使用性となってしまい、のび広がりも悪く、経時での安定性も充分とは言えなかった。以上のように、分散性や経時での安定性に優れ、べたつきが無くのび広がりの良好な使用性を有する油中水型乳化化粧料の検討は充分といえるものではなかった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
かかる実情において、本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、あらかじめ、非シリコーン系油剤中にアルキルチタネートで表面処理された微粒子金属酸化物をポリヒドロキシステアリン酸で分散させ微粒子金属酸化物分散組成物を調製することにより効率的に微粒子金属酸化物を分散することができ、そしてこの組成物とHLB2〜7のポリオキシアルキレン・アルキル共変性シリコーン及び/またはポリグリセリン・アルキル共変性シリコーンを配合した油性成分の中に水性成分を乳化させることにより、分散性や経時での安定性に優れ、べたつきが無くのび広がりの良好な使用性を有する油中水型乳化化粧料が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
すなわち本発明は、次の成分(A)〜(C);
(A)次の成分(a1)〜(a3)
(a1)アルキルチタネートで表面処理された微粒子金属酸化物
(a2)ポリヒドロキシステアリン酸
(a3)非シリコーン系油剤
を含有することを特徴とする微粒子金属酸化物分散組成物
(B)HLB2〜7のポリオキシアルキレン・アルキル共変性シリコーン及び/またはHLB2〜7のポリグリセリン・アルキル共変性シリコーンから選ばれる一種または二種以上の界面活性剤
(C)水性成分
を配合することを特徴とする油中水型乳化化粧料を提供するものである。
【0007】
成分(a1)のアルキルチタネートによる表面処理量が、質量割合で表面処理剤/微粒子金属酸化物=0.02〜0.25であることを特徴とする前記油中水型乳化化粧料を提供するものである。
【0008】
成分(a1)の微粒子金属酸化物が更に(ジメチコン/メチコン)コポリマーで表面処理されていることを特徴とする前記油中水型乳化化粧料を提供するものである。
【0009】
成分(a1)の含有量が微粒子金属酸化物分散組成物中、30〜70質量%であることを特徴とする前記油中水型乳化化粧料を提供するものである。
【0010】
成分(a1)と成分(a2)の微粒子金属酸化物分散組成物中の含有質量割合(a2)/(a1)が0.01〜0.5であることを特徴とする前記油中水型乳化化粧料を提供するものである。
【0011】
成分(a3)の非シリコーン系油剤が炭化水素油またはエステル油であることを特徴とする前記油中水型乳化化粧料を提供するものである。
【0012】
成分(a3)の非シリコーン系油剤が、40℃における粘度が16mm/s以下の炭化水素油または炭素数27以下のエステル油であることを特徴とする前記油中水型乳化化粧料を提供するものである。
【0013】
成分(B)のポリオキシアルキレン・アルキル共変性シリコーンが下記一般式(1)
【化1】

で表されるポリオキシアルキレン・アルキル共変性シリコーンであることを特徴とする前記油中水型乳化化粧料を提供するものである。
【0014】
成分(B)のポリグリセリン・アルキル共変性シリコーンが下記一般式(2)
SiO(4―c―d―e)/2 (2)
[(2)式中Rは炭素数1〜30のアルキル基、アリール基、アラルキル基、フッ素置換アルキル基、アミノ置換アルキル基、カルボキシル置換アルキル基あるいは下記一般式(3)で示される有機基から選択される同種または異種の有機基であり、
−C2f−O−(CO)(CO) (3)
は下記一般式(4)及び/又は(5)で示されるポリグリセリン誘導体であり、
【化2】

(式中Rは水素基あるいは炭素数1〜30のアルキル基、又はR−(CO)−で示される有機基、Rは炭素数1〜30の炭化水素基である。Qはエーテル結合又はエステル結合を含有しても良い炭素数3〜20の二価炭化水素基を示し、sは2〜20の整数、tは1〜20の整数である。)
は下記一般式(6)で示されるケイ素含有基である。
【化3】

(式中c、d、eはそれぞれ1.0≦c≦2.5、0.001≦d≦1.5、0≦e≦1.5であり、f、g、hはそれぞれ0≦f≦15、0≦g≦50、0≦h≦50の整数であり、jは1≦j≦5の整数であり、kは0≦k≦500の整数である。)]
であらわされるポリグリセリン・アルキル共変性シリコーンであることを特徴とする前記油中水型乳化化粧料を提供するものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明の油中水型乳化化粧料は、経時での安定性に優れ、べたつきが無くのび広がりの良好な使用性を有するものである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明について詳述する。
【0017】
本発明に用いられる成分(a1)を構成する微粒子金属酸化物は、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化セリウム、酸化ジルコニウム、酸化鉄等が挙げられ、これらを一種又は二種以上併用して用いることができる。これらの金属酸化物の粒径、形状等特に限定はされないが、好ましくは紫外線防御効果の高い平均粒径1〜100nmの金属酸化物を用いることにより、経時での安定性が優れた油中水型乳化化粧料を得ることができる。ここでの平均粒径とは、例えば画像解析装置(ルーゼックスIIIU,ニコレス社製)による測定により求めることができる。
【0018】
本発明に用いられる成分(a1)を構成するアルキルチタネートは、例えば、長鎖カルボン酸型、ピロリン酸型、亜リン酸型、アミノ酸型等のアルキルチタネート等が挙げられるが、分散安定化の観点より、炭素数8〜24のアルキル基を有するアルキルチタネートが好ましく、これらは下記一般式(7)で示される化合物が例示できる。
【0019】
【化4】

【0020】
(uは正の整数で、u=8〜24)
【0021】
前記アルキルチタネートは、具体的には、長鎖カルボン酸型のアルキルチタネートとして、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリオクタノイルチタネート、イソプロピルジメタクリルイソステアロイルチタネート、イソプロピルイソステアロイルジアクリルチタネート、ジイソステアロイルエチレンチタネート等が挙げられ、ピロリン酸型アルキルチタネートとして、テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、テトラ(2,2−ジアリルオキシメチル−1−ブチル)ビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート等が挙げられ、亜リン酸型アルキルチタネートとして、イソプロピルトリ(ジオクチルピロホスフェート)チタネート、ビス(ジオクチルピロホスフェート)オキシアセテートチタネート、ビス(ジオクチルピロホスフェート)エチレンチタネート等が挙げられ、アミノ酸型アルキルチタネートとして、イソプロピルトリ(N−アミドエチル・アミノエチル)チタネート等が挙げられ、これらより一種又は二種以上用いることができる。
【0022】
これら有機チタネートの中でも、上記一般式(7)においてu=17で示されるイソプロピルトリイソステアロイルチタネートを選択すると、のび広がりが良好であるため好ましい。
【0023】
本発明において微粒子金属酸化物の表面にアルキルチタネートの表面処理剤を被覆する方法は、特に限定されず、通常公知の処理方法が用いられる。具体的には、アルキルチタネートと微粒子金属酸化物とを直接混合する方法、直接微粒子金属酸化物と混合し加熱して被覆する乾式被覆方法、エタノール、イソプロピルアルコール、n−ヘキサン、塩化メチレン、ベンゼン、トルエン等の溶媒にアルキルチタネートを溶解又は分散し、この溶液又は分散液に微粒子金属酸化物を添加し、混合後、前記溶媒を乾燥等により除去、加熱、粉砕する湿式被覆方法、溶媒に溶解又は分散したアルキルチタネートを流動層中で粉体にスプレーコートする気相被覆方法、メカノケミカル方法等が挙げられる。
【0024】
本発明に用いられる成分(a2)のポリヒドロキシステアリン酸は、成分(a1)を分散させるために用いられ、ヒドロキシステアリン酸の水酸基は12位が好ましく、ヒドロキシステアリン酸の重合度は3〜12が好ましく、更に好ましくは重合度4〜8である。市販品としては、ARLACEL P−100(ユニケマ社製)を挙げることが出来る。
【0025】
本発明に用いられる成分(a3)の非シリコーン系油剤は、成分(a1)を分散させる媒体であり、ポリシロキサン骨格を持たない油剤であれば特に限定されず、動物油、植物油、合成油等の起源や、固形油、半固形油、液体油、揮発性油等の性状を問わないが、常温(15℃〜25℃)で液状である液体油が成分(a1)の分散性の観点から好ましい。例えば、炭化水素類、油脂類、硬化油類、エステル油類、フッ素系油剤類、ラノリン誘導体類等が配合可能であり、より具体的には流動パラフィン、軽質流動イソパラフィン、スクワラン、植物性スクワラン、ワセリン、ポリイソブチレン、ポリブテン等の炭化水素類、モクロウ、オリーブ油、ヒマシ油、ミンク油、マカデミアンナッツ油、カメリア油、ローズピップ油、アボカド油等の油脂類、ホホバ油、2−エチルヘキサン酸セチル、イソノナン酸イソノニル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、イソノナン酸イソトリデシル、トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル、ジカプリン酸プロピレングリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ジイソステアリン酸ポリグリセリル、トリイソステアリン酸ジグリセリル、トリベヘン酸グリセリル、ヘキサ(ヒドロキシステアリン酸/ステアリン酸/ロジン酸)ジペンタエリスリチル、リンゴ酸ジイソステアリル、ジオクタン酸ネオペンチルグリコール、イソステアリン酸コレステリル、ヒドロキシステアリン酸コレステリル、ステアリン酸コレステリル、ラノリン脂肪酸コレステリル、オレイン脂肪酸フィトステリル、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(コレステリル・ベヘニル・オクチルドデシル)、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(フィトステリル・2−オクチルドデシル)等のエステル類、p−アミノ安息香酸エチルヘキシルジメチル、サリチル酸エチルヘキシル、メトキシケイ皮酸エチルヘキシル、オクトクリレン、ジネオペンチル−4’−メトキシベンザルマロナート等の油溶性紫外線吸収剤類、パーフルオロデカン、パーフルオロオクタン、パーフルオロポリエーテル等のフッ素系油剤類、ラノリン、酢酸ラノリン、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラノリンアルコール等のラノリン誘導体等を例示することができ、これらのうち1種または2種以上を併用して用いることができる。これらのうち、炭化水素油及びエステル油が好ましく、更には40℃における粘度が16mm/s以下の炭化水素油またはC27以下のエステル油が特に好ましく、経時での安定性に優れ、べたつきが無くのび広がりの良好な使用性を有する油中水型乳化化粧料を得ることができる。
【0026】
成分(a1)の微粒子金属酸化物のアルキルチタネートによる表面処理量は、質量比で表面処理剤/微粒子金属酸化物=0.02〜0.25が好ましく、更に好ましくは、0.03〜0.18である。この範囲であれば、更に良好な使用性を与えことができ、分散性や経時での安定性も向上する。表面処理剤/微粒子金属酸化物=0.02未満では上記効果を充分に得ることが難しい場合があり、0.25を超えて成分(A)を調製した場合、均一な粉末状とはならず好ましくない場合がある。
微粒子金属酸化物の表面処理はアルキルチタネートだけでも良く、さらに(ジメチコン/メチコン)コポリマーや他の表面処理剤を組み合わせても良い。
【0027】
本発明に用いられる成分(a1)は更に(ジメチコン/メチコン)コポリマーで表面処理すると成分(a1)の吸油量が下がり、分散組成物中に成分(a1)をより多く配合することができ好ましい。(ジメチコン/メチコン)コポリマーはINTERNATIONAL NOMENCLATURE of COSMETIC INGREDIENTSに(ジメチコン/メチコン)コポリマーとして収載されている化合物であり、ジメチルシロキサンとメチルハイドロジェンシロキサンからなる共重合体である。通常、粉体の表面処理剤として用いられ、粉体に撥水性を付与し、しかも経時的に水素を発生し難い表面処理剤として汎用されている。具体的には、好ましい化合物として下記一般式(8)で示される化合物が例示できる。
【0028】
【化5】

【0029】
(v、wはそれぞれ正の整数で、v+w=7〜50、v:w=1:0.2〜1:4)
【0030】
成分(a1)の(ジメチコン/メチコン)コポリマーによる表面処理量は、質量比で(表面処理剤)/(アルキルチタネートで表面処理された微粒子金属酸化物)=0.01〜0.15が好ましく、更に好ましくは、0.03〜0.08である。この範囲であれば、更に良好な使用性を与えことができ、分散性や経時での安定性も向上する。0.01未満では上記効果を充分に得ることが難しい場合があり、また、0.15を超えて配合しても更なる効果の向上が得られにくく、分散性やのび広がりが悪くなり、かえって良好な使用性を得ることが困難となる場合がある。
【0031】
本発明において、成分(a1)の含有量が微粒子金属酸化物分散組成物中、30〜70質量%(以下%)であることが好ましく、更に好ましくは40〜60%である。この範囲であれば、更に良好な使用性を与えことができる。30%未満では、マスターバッチ(中間原料)として化粧料に配合する際に、紫外線防止効果を発揮できる十分な量を配合できない場合があり、70%よりも多いと、一次粒子に分散するのに多量の成分(a2)を必要とするため、かえって良好な使用性を得ることが困難となる場合がある。
【0032】
本発明において、成分(a1)と成分(a2)の含有質量比(a2)/(a1)は0.01〜0.5が好ましく、更に好ましくは、0.02〜0.3である。この範囲であれば、更に良好な使用性を与えことができ、分散性や経時での安定性も向上する。0.01未満では、一次粒子まで分散できない場合があり、0.5を超えて配合しても更なる効果の向上が得られにくく、かえって良好な使用性を得ることが困難となる場合がある。
【0033】
本発明の微粒子金属酸化物分散組成物の製造方法は、特に限定されるものではないが、例えば、成分(a2)と成分(a3)を混合し、これに成分(a1)を添加し、均一分散することにより得ることができる。この際に、均一分散する機器としては、ディスパーミキサー、ホモミキサー、ボールミル、ビーズミル等が挙げれるが、より好ましくは媒体を用いたボールミルやビーズミル等の湿式粉砕処理機器である。
【0034】
本発明の成分(A)には、上記成分に加え、目的に応じて本発明の効果を損なわない量的、質的範囲において、上述した以外の粉体や界面活性剤、ゲル化剤、酸化防止剤、防腐剤、着色剤、香料、化粧料用成分等を配合可能である。
【0035】
成分(A)の微粒子金属酸化物分散組成物の配合量は1〜75%が好ましく、5〜50%がより好ましい。この範囲であると、べたつきが無くのび広がりに優れる油中水型乳化化粧料を得ることができる。また成分(A)は一種または二種以上を用いることができる。
【0036】
成分(B)のHLB2〜7のポリオキシアルキレン・アルキル共変性シリコーンは、油中水型乳化化粧料の乳化剤として用いられ、特に限定されるものではないが、HLBが2〜7で直鎖または分岐シリコーンにポリオキシアルキレンおよびアルキルで変性されているものであればよい。具体的には、好ましい化合物として下記一般式(1)で示される化合物が例示できる。
【化1】

(式中xは10〜100の整数、yは3〜25の整数、zは8〜25の整数、pは0〜2の整数、aは5〜7の整数、bは5〜10の整数、iは8〜16の整数である)市販品としては、KF−6038(信越化学社製)を挙げることが出来る。
【0037】
本発明に用いられる成分(B)のHLB2〜7のポリグリセリン・アルキル共変性シリコーンは、油中水型乳化化粧料の乳化剤として用いられ、特に限定されるものではないが、HLBが2〜7で直鎖または分岐シリコーンにポリグリセリンおよびアルキルで変性されているものであればよい。具体的には、好ましい化合物として下記一般式(2)で示される化合物が例示できる。
SiO(4―c―d―e)/2 (2)
[(2)式中Rは炭素数1〜30のアルキル基、アリール基、アラルキル基、フッ素置換アルキル基、アミノ置換アルキル基、カルボキシル置換アルキル基あるいは下記一般式(3)で示される有機基から選択される同種または異種の有機基であり、
−C2f−O−(CO)(CO) (3)
は下記一般式(4)及び/又は(5)で示されるポリグリセリン誘導体であり、
【化2】

(式中Rは水素基あるいは炭素数1〜30のアルキル基、又はR−(CO)−で示される有機基、Rは炭素数1〜30の炭化水素基である。Qはエーテル結合又はエステル結合を含有しても良い炭素数3〜20の二価炭化水素基を示し、sは2〜20の整数、tは1〜20の整数である。)
R3は下記一般式(6)で示されるケイ素含有基である。
【化3】

(式中c、d、eはそれぞれ1.0≦c≦2.5、0.001≦d≦1.5、0≦e≦1.5であり、f、g、hはそれぞれ0≦f≦15、0≦g≦50、0≦h≦50の整数であり、jは1≦j≦5の整数であり、kは0≦k≦500の整数である。)]
市販品としては、KF−6105(信越化学社製)を挙げることが出来る。
【0038】
成分(B)の配合量は0.1〜10%が好ましく、1〜5%がより好ましい。この範囲であると、べたつきが無くのび広がりに優れる油中水型乳化化粧料を得ることができる。また成分(B)は一種または二種以上を用いることができる。
【0039】
本発明に用いられる成分(C)の水性成分は、油中水型乳化化粧料の内水相を構成する成分として、必須の成分である。本発明において用いられる成分(C)は化粧料に一般的に用いられる精製水の他に、エチアルコール等のアルコール類、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール等のグリコール類、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン等のグリセロール類、アロエベラ、ウイッチヘーゼル、ハマメリス、キュウリ、レモン、ラベンダー、ローズ等の植物抽出液等を挙げることができる。
【0040】
本発明に用いられる成分(C)の配合量は、特に限定されるものではないが、10〜70%が好ましい。
【0041】
本発明の油中水型乳化化粧料には、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて、成分(A)、(B)、(C)の他に、通常化粧料に配合される成分として、成分(A)、(B)、(C)以外の油性成分、無機顔料、有機顔料及び体質顔料等の粉体、界面活性剤や多価アルコール、低級アルコール、水溶性高分子、保湿剤等の水性成分、糖類、紫外線吸収剤、酸化防止剤、褪色防止剤、防腐剤、薬効成分、安定化剤、色素、香料等を各種の効果の付与のために適宜配合することができる。また、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて、成分(a1)、(a2)、(a3)を含有する微粒子金属分散組成物の他に、成分(a1)、(a2)、(a3)を微粒子金属酸化物分散組成物に調製せずに、各成分をそれぞれ別々に配合してもよい。
【0042】
本発明の油中水型乳化化粧料には、成分(a3)の他に配合される油性成分としては、低重合度ジメチルポリシロキサン、環状ジメチルポリシロキサン、高重合度ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、アルキル変性ポリシロキサン、アミノ変性ポリシロキサン、架橋型オルガノポリシロキサン、フッ素変性ポリシロキサン等のシリコーン類を挙げることができる
【0043】
本発明の油中水型乳化化粧料には、成分(a1)の他に粉体成分を配合することができ、化粧料に配合される粉体としては、球状、板状、針状等の形状、煙霧状、微粒子、顔料級等の粒子径、多孔質、無孔質等の粒子構造等により特に限定されず、無機粉体類、光輝性粉体類、有機粉体類、色素粉体類、金属粉体類、複合粉体類等が挙げられる。具体的に例示すれば、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウム、硫酸バリウム等の白色無機顔料、酸化鉄、カーボンブラック、チタン・酸化チタン焼結物、酸化クロム、水酸化クロム、紺青、群青等の有色無機顔料、タルク、白雲母、金雲母、紅雲母、黒雲母、合成雲母、絹雲母(セリサイト)、合成セリサイト、炭化珪素、二酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化アンチモン、珪ソウ土、ケイ酸アルミニウム、メタケイ酸アルミニウムマグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸バリウム、ケイ酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ヒドロキシアパタイト、窒化ホウ素等の白色体質粉体、カオリン、ベントナイト、スメクタイト、ヘクトライト、モンモリロナイト等の粘土鉱物、およびそれらの有機変性物、酸化チタン被覆雲母、酸化チタン被覆オキシ塩化ビスマス、酸化鉄雲母チタン、紺青処理雲母チタン、カルミン処理雲母チタン、オキシ塩化ビスマス、魚鱗箔、ポリエチレンテレフタレート・アルミニウム・エポキシ積層末、ポリエチレンテレフタレート・ポリオレフィン積層フィルム末、ポリエチレンテレフタレート・ポリメチルメタクリレート積層フィルム末、酸化チタン被覆ガラスフレーク等の光輝性粉体、ポリアミド系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリアクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、フッ素系樹脂、セルロース系樹脂、ポリスチレン系樹脂、スチレン−アクリル共重合樹脂等のコポリマー樹脂、ポリプロピレン系樹脂、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂等の有機高分子樹脂粉体、ステアリン酸亜鉛、N−アシルリジン等の有機低分子性粉体、シルク粉末、セルロース粉末等の天然有機粉体、赤色201号、赤色202号、赤色205号、赤色226号、赤色228号、橙色203号、橙色204号、青色404号、黄色401号等の有機顔料粉体、赤色3号、赤色104号、赤色106号、橙色205号、黄色4号、黄色5号、緑色3号、青色1号等のジルコニウム、バリウム又はアルミニウムレーキ等の有機顔料粉体あるいは更にアルミニウム粉、金粉、銀粉等の金属粉体、微粒子酸化チタン被覆雲母チタン、微粒子酸化亜鉛被覆雲母チタン、硫酸バリウム被覆雲母チタン、酸化チタン含有二酸化珪素、酸化亜鉛含有二酸化珪素等の複合粉体、等が挙げられる。これら粉体はその一種又は二種以上を用いることができ、更に複合化したものを用いても良い。なお、これら粉体は、フッ素系化合物、シリコーン系化合物、金属石鹸、レシチン、水素添加レシチン、コラーゲン、炭化水素、高級脂肪酸、高級アルコール、エステル、ワックス、ロウ、界面活性剤等の一種又は二種以上を用いて表面処理を施してあっても良い。
【0044】
本発明の油中水型乳化化粧料には、成分(B)の他に界面活性剤を配合することができ、化粧料に配合される界面活性剤としては、非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤等が挙げられる。例えば、非イオン性界面活性剤としては、リオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンソルビトールテトラ脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、アルキルポリグルコシド、N−アルキルジメチルアミンオキシドポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンコレステリルエーテル、ポリオキシエチレンフィトステリルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリエーテル変性シリコーン、ポリエーテル・シロキシエチル共変性シリコーン、ポリグリセリン変性シリコーン、ポリグリセリン・シロキシエチル共変性シリコーンなどを挙げられる。例えば、アニオン性界面活性剤としてはラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸などの脂肪酸のナトリウム塩またはトリエタノールアミン塩、ココイルメチルタウリンナトリウム、ラウロイルメチルタウリンナトリウム、ミリストイルメチルタウリンナトリウム、パルミトイルメチルタウリンナトリウム、ステアロイルメチルタウリンナトリウムなどのNアシルメチルタウリン塩、ポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸、ポリオキシエチレンセチルエーテルリン酸、ポリオキシエチレンオレイルエーテルリン酸、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルリン酸などのポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステルなどが挙げられる。例えば、カチオン性界面活性剤としては、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、臭化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム、臭化ベヘニルトリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、臭化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、臭化ジステアリルジメチルアンモニウム、塩化ジベヘニルジメチルアンモニウム、臭化ジベヘニルジメチルアンモニウム、塩化ジセチルジメチルアンモニウム、臭化ジセチルジメチルアンモニウム、塩化ステアリルジメチルベンジルアンモニウム、塩化ジラウリルジメチルアンモニウム、塩化ジポリオキシエチレン(15E.O.)ヤシ油アルキルメチルアンモニウム、塩化ジポリオキシエチレン(4E.O.)ラウリルエーテルジメチルアンモニウム、塩化ステアリン酸アミドプロピルトリメチルアンモニウム、ジココイルエチルヒドロキシエチルメチルアンモニウム・メチル硫酸塩等を挙がられる。例えば、両性界面活性剤としては、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジルイノシトール、スフィンゴリン脂質、大豆レシチン、卵黄レシチン、あるいはそれらの水素添加物等のリン脂質及びリン脂質・コレステロール複合体、リン脂質・フィトステロール複合体等のリン脂質複合体を挙られる。
【0045】
本発明の油中水型乳化化粧料には、成分(A)、(B)、(C)の他に水溶性高分子を配合することができ、化粧料に配合される水溶性高分子としては、グアーガム、コンドロイチン硫酸ナトリウム、ヒアルロン酸ナトリウム、アラビアガム、アルギン酸ナトリウム、カラギーナン等の天然系のもの、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等の半合成系のもの、カルボキシビニルポリマー、アルキル付加カルボキシビニルポリマー、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸ナトリウム等の合成系のもの、他にタンパク質、ムコ多糖、コラーゲン、エラスチン、ケラチン等が挙げられる。
【0046】
本発明の油中水型乳化化粧料には、成分(A)、(B)、(C)の他に添加剤を配合することができ、化粧料に配合される添加剤としては、例えばα−トコフェロール、アスコルビン酸等の酸化防止剤、ビタミン類、消炎剤、生薬等の美容成分、パラオキシ安息香酸エステル、フェノキシエタノール等の防腐剤が挙げられる。
【0047】
本発明の油中水型乳化化粧料の製造方法は、特に限定されるものではないが、例えば成分(A)と成分(B)と任意の油性成分を均一に混合したものに、成分(C)と任意の水性成分を均一に混合したものを添加し、乳化した後、これを容器または型に充填して得ることができる。
【0048】
本発明の油中水型乳化化粧料は、特に限定されないが、形状として液状、半固形状、固形状のものが挙げられる。また、また製品形態としては、洗顔フォーム・クリーム、クレンジング、マッサージクリーム、パック、化粧水、乳液、クリーム、美容液、化粧下地、日焼け止めなどの皮膚用化粧料、ファンデーション、白粉、アイシャドウ、アイライナー、マスカラ、アイブロウ、コンシーラー、口紅、リップクリーム等の仕上げ用化粧料、ヘアミスト、シャンプー、リンス、トリートメント、ヘアトニック、ヘアクリーム、ポマード、チック、液体整髪料、セットローション、ヘアスプレー、染毛料等の頭髪用化粧料などを例示することができる。この中でも、日焼け止め、ファンデーション、化粧下地等が本発明の効果が発揮されやすい油中水型乳化化粧料である。
【実施例】
【0049】
次に製造例及び実施例をもって本発明をより詳細に説明する。本発明はこれらにより、何ら限定されるものではない。
【0050】
製造例1〜7
表1に示す組成の表面処理微粒子金属酸化物を下記の製造方法により調製した。
【0051】
【表1】

【0052】
(製造方法)
イソプロピルアルコール100部と成分3〜5を混合し、ヘンシェルミキサー(三井鉱山社製)中で成分1、2と混合する。その後、減圧下、60℃でイソプロピルアルコールを回収し、表面処理微粒子金属酸化物を得た。
【0053】
製造例8〜17
表2に示す組成の微粒子金属酸化物分散組成物を下記の製造方法により調製した。
【0054】
【表2】

【0055】
(製造方法)
成分(1)〜(11)を均一に混合し、アシザワ(株)製のビーズミル(LMZ−0.6)にてジルコニアビーズ3mmを用い、ビーズ゛充填率60%、アジテーター回転数2000rpmにて5時間分散させ、微粒子金属酸化物分散組成物を得た。
【0056】
実施例1〜10および比較例1〜7;油中水型乳化化粧料
表3〜5に示す組成の油中水型乳化化粧料を下記の製造方法により調製し、各試料について、「経時での安定性」、「のびの良さ」について評価を行い、その結果も併せて表3〜5に示した。
【0057】
【表3】

【0058】
【表4】

【0059】
【表5】

【0060】
(注9) KF-6038 (信越化学社製)
(注10) KF-6105 (信越化学社製)
(注11) KF-6017 (信越化学社製)
(注12) KF-6014 (信越化学社製)
【0061】
(製造方法)
成分(1)〜(16)を均一に混合したものに、成分(17)〜(22)を均一に混合したものを加え乳化し、脱泡して油中水型乳化化粧料を得た。
【0062】
(評価方法)経時での安定性
油中水型乳化化粧料の安定性が良好であれば次に示す加速試験前後の化粧料の粘度変化は小さく、安定性が悪い場合は加速試験前後の粘度変化が大きくなる。ここでの加速試験とは50℃恒温槽に4週間保管することである。油中水型乳化化粧料を製造後、30℃恒温槽にて1日保管した後にB型粘度計で測定した粘度値と、50℃恒温槽に4週間保管した後30度の恒温槽に1日保管した後に測定した粘度値を比較し、下記の基準に従って判断した。
(評価):(判定)
粘度変化が0mPa・s以上、±10000mPa・s未満 ;◎
粘度変化が±10000mPa・s以上、±20000mPa・s未満 ;○
粘度変化が±20000mPa・s以上、±40000mPa・s未満 ;△
粘度変化が±40000mPa・s以上 ;×
【0063】
(評価方法)のびの良さ
油中水型乳化化粧料について化粧品評価専門パネル20名による使用テストを行った。パネル各人に各試料を使用してもらい、下記絶対評価基準にて6段階に評価し評点を付け、各試料のパネル全員の評点合計から、その平均値を算出し、下記4段階判定基準により判定した。
【0064】
絶対評価基準
(評点):(評価)
6点:非常に良好
5点:良好
4点:やや良好
3点:普通
2点:やや不良
1点:不良
4段階判定基準
(判定):(評点の平均点)
◎:5点を超える
○:3.5点を超える5点以下
△:2点を超える3.5点以下
×:2点以下
【0065】
表3〜5に示したように、本発明品1〜10は「経時での安定性」、「のびの良さ」の両項目において優れていた。ポリヒドロキシステアリン酸を配合していない比較品1は不均一な乳化状態であり、本発明品1に比べ「経時での安定性」、「のびの良さ」の両項目において劣っていた。ポリヒドロキシステアリン酸の替わりに(アクリレーツ/ジメチコン)コポリマーを配合した比較品2は、経時での安定性は良いが、のび広がりが悪い品質であった。イソプロピルトリイソステアロイルチタネートの替わりにジメチルポシリロキサンで表面処理した微粒子金属酸化物を配合した比較品3や、流動パラフィンの替わりにジメチルポシリロキサン(6cs)を配合した比較品4は、流動性がなく、「経時での安定性」、「のびの良さ」の両項目において劣っていた。ポリオキシアルキレン・アルキル共変性シリコーンの替わりにポリオキシアルキレン変性シリコーンを配合した比較品5やポリグリセリン・アルキル共変性シリコーンの替わりにポリグリセリン変性シリコーンを配合した比較品6、ポリオキシアルキレン・アルキル共変性シリコーンの替わりにセスキイソステアリン酸ソルビタンを配合した比較品7は均一な乳化状態とはならず、経時での安定性」、「のびの良さ」の両項目において劣っていた。
【0066】
実施例11:油中水型乳化日焼け止め料
(成分) (%)
1.2,4,6−トリス[4−(2−エチルヘキシルオキシカルボニル)
アニリノ]−1,3,5−トリアジン 1
2.メトキシケイヒ酸オクチル 7
3.イソノナン酸イソノニル 5
4.ステアリン酸イヌリン 1
5.製造例11の微粒子金属酸化物分散組成物 20
6.製造例13の微粒子金属酸化物分散組成物 15
7.軽質流動イソパラフィン 15
8.ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレン
・セチル共変性シリコーン(注13) 3
9.精製水 残部
10.グリセリン 10
11.塩化ナトリウム 1
12.メチルパラベン 0.2
13.香料 適量
(注13)ABIL EM90(EVONIC GOLDSCHMIDT GMBH社製)
【0067】
(製造方法)
A:成分1〜4を90℃に加温して溶解し混合する。
B:Aに成分5〜8、13を加え混合する。
C:成分9〜12を混合する。
D:BにCを加え乳化する。
E:脱泡して油中水型乳化日焼け止め料を得た。
【0068】
実施例11は、経時での安定性に優れ、のびの良い使用性の油中水型乳化日焼け止め料であった。
【0069】
実施例12:油中水型乳化ファンデーション
(成分) (%)
1.パルミチン酸デキストリン 2
2.酸化チタン 3
3.酸化鉄 2
4.タルク 5
5.レシチン 0.5
6.トリオクタン酸グリセリル 8
7.ジメチルジステアリルアンモニウムヘクトライト 1
8.デカメチルシクロペンタシロキサン 7
9.ポリオキシアルキレン・アルキル共変性シリコーン (注9) 3
10.製造例12の微粒子金属酸化物分散組成物 15
11.デカメチルシクロペンタシロキサン 3
12.オクトクリレン 10
13.ジエチルアミノヒドロキシベンゾイルヘキシルベンゾエイト 2
14.精製水 残部
15.エタノール 5
16.1,2−ペンタンジオール 1
【0070】
(製造方法)
A:成分1〜6を90℃に加温し、3本ロ−ラーで分散する。
B:Aに成分7〜13を加え90℃に加温し分散する。
C:Bを45℃まで冷却する。
D:成分14〜16を混合する
E:CにDを加え乳化する。
F:脱泡して油中水型乳化ファンデーションを得た。
【0071】
実施例12は、経時での安定性に優れ、のびの良い使用性の油中水型乳化ファンデーションであった。
【0072】
実施例13:油中水型乳化美容液
(成分) (%)
1.ジカプリン酸プロピレングリコール 20
2.ジメチルポリシロキサン(2cs) 5
3.製造例9の微粒子金属酸化物分散組成物 3
4.メチルトリメチコン 5
5.ポリグリセリン・アルキル共変性シリコーン (注10) 3
6.(ラウリルジメチコン/ポリグリセリン−3)クロスポリマー (注14) 2
7.(PEG15/ラウリルジメチコン)クロスポリマー (注15) 3
8.ブチレングリコール 10
9.キサンタンガム 0.2
10. 1,2−ペンタンジオール 0.5
11.精製水 残部
(注14)KSG−820(信越化学社製)
(注15)KSG−310(信越化学社製)
【0073】
(製造方法)
A:成分1〜7を混合する。
B:成分8〜11を75℃に加温し混合する。
C:BにAを加え乳化する。
D:Cを30℃まで冷却する。
E:Dを脱泡して油中水型乳化美容液を得た。
【0074】
実施例13は、経時での安定性に優れ、のびの良い使用性の油中水型乳化美容液であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(A)〜(C);
(A)次の成分(a1)〜(a3)
(a1)アルキルチタネートで表面処理された微粒子金属酸化物
(a2)ポリヒドロキシステアリン酸
(a3)非シリコーン系油剤
を含有することを特徴とする微粒子金属酸化物分散組成物
(B)HLB2〜7のポリオキシアルキレン・アルキル共変性シリコーン及び/またはHLB2〜7のポリグリセリン・アルキル共変性シリコーンから選ばれる一種または二種以上の界面活性剤
(C)水性成分
を配合することを特徴とする油中水型乳化化粧料。
【請求項2】
成分(a1)のアルキルチタネートによる表面処理量が、質量割合で表面処理剤/微粒子金属酸化物=0.02〜0.25であることを特徴とする請求項1記載の油中水型乳化化粧料。
【請求項3】
成分(a1)の微粒子金属酸化物が更に(ジメチコン/メチコン)コポリマーで表面処理されていることを特徴とする請求項1または2記載の油中水型乳化化粧料。
【請求項4】
成分(a1)の含有量が微粒子金属酸化物分散組成物中、30〜70質量%であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかの項に記載の油中水型乳化化粧料。
【請求項5】
成分(a1)と成分(a2)の微粒子金属酸化物分散組成物中の含有質量割合(a2)/(a1)が0.01〜0.5であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかの項に記載の油中水型乳化化粧料。
【請求項6】
成分(a3)の非シリコーン系油剤が炭化水素油またはエステル油であることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかの項に記載の油中水型乳化化粧料。
【請求項7】
成分(a3)の非シリコーン系油剤が、40℃における粘度が16mm/s以下の炭化水素油または炭素数27以下のエステル油であることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかの項に記載の油中水型乳化化粧料。
【請求項8】
成分(B)のポリオキシアルキレン・アルキル共変性シリコーンが下記一般式(1)
【化1】

(式中xは10〜100の整数、yは3〜25の整数、zは8〜25の整数、pは0〜2の整数、aは5〜7の整数、bは5〜10の整数、iは8〜16の整数である)
で表されるポリオキシアルキレン・アルキル共変性シリコーンであることを特徴とする請求項1ないし7のいずれかの項に記載の油中水型乳化化粧料。
【請求項9】
成分(B)のポリグリセリン・アルキル共変性シリコーンが下記一般式(2)
SiO(4―c―d―e)/2 (2)
[(2)式中Rは炭素数1〜30のアルキル基、アリール基、アラルキル基、フッ素置換アルキル基、アミノ置換アルキル基、カルボキシル置換アルキル基あるいは下記一般式(3)で示される有機基から選択される同種または異種の有機基であり、
−C2f−O−(CO)(CO) (3)
は下記一般式(4)及び/又は(5)で示されるポリグリセリン誘導体であり、
【化2】

(式中Rは水素基あるいは炭素数1〜30のアルキル基、又はR−(CO)−で示される有機基、Rは炭素数1〜30の炭化水素基である。Qはエーテル結合又はエステル結合を含有しても良い炭素数3〜20の二価炭化水素基を示し、sは2〜20の整数、tは1〜20の整数である。)
は下記一般式(6)で示されるケイ素含有基である。
【化3】

(式中c、d、eはそれぞれ1.0≦c≦2.5、0.001≦d≦1.5、0≦e≦1.5であり、f、g、hはそれぞれ0≦f≦15、0≦g≦50、0≦h≦50の整数であり、jは1≦j≦5の整数であり、kは0≦k≦500の整数である。)]
であらわされるポリグリセリン・アルキル共変性シリコーンであることを特徴とする請求項1ないし8のいずれかの項に記載の油中水型乳化化粧料。

【公開番号】特開2011−225518(P2011−225518A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−274205(P2010−274205)
【出願日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【出願人】(000145862)株式会社コーセー (734)
【Fターム(参考)】