説明

油中水型乳化化粧料

【課題】経時安定性が良好であり、保湿効果が高く、べたつきが無く、かつ使用感に優れた油中水型乳化化粧料の提供。
【解決手段】油中水型乳化化粧料の全質量を基準として、0.5〜15質量%のシリコーン系界面活性剤(A)、0.5〜20質量%の油剤(B)、0.01〜3質量%の油ゲル化剤(C)、0.05〜3質量%のカルボキシルエチルセルロース(D)、及び59〜98質量%の水(E)を含む油中水型乳化化粧料。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油中水型乳化化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
油中水型乳化化粧料は、水中油型乳化化粧料に比べ、肌への親和性が良く、肌表面を油膜で被覆して水分の蒸散を防ぎ、肌を乾燥から保護し、かつ肌にトリートメント効果を付与するなどの性質から基礎化粧料として、又は撥水性に優れ、かつ化粧くずれが少ないという性質からメークアップ化粧料などの化粧品又は医薬品の基剤として、広く用いられている。しかし、油中水型乳化化粧料は、連続相が油相であるため、べたつきが生じるか、又は重い感触になる場合がある。近年、さっぱりとしてべたつきが少ない油中水型乳化化粧料を得るため、油剤としてシリコーン油を用いるか、又は水分を多量に配合することが検討されている(特許文献1〜4)。
【0003】
しかしながら、油中水型乳化化粧料にシリコーン系油剤又は水を多量に配合することは、特に、経時的な安定性の点から困難であった。このため、経時安定性が良好であり、べたつきが無く、かつ使用感に優れた油中水型乳化化粧料が望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5−178733号公報
【特許文献2】特開平6−40847号公報
【特許文献3】特開2001−58917号公報
【特許文献4】特開2001−139424号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、経時安定性が良好であり、保湿効果が高く、べたつきが無く、かつ使用感に優れた油中水型乳化化粧料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、シリコーン系界面活性剤、油剤及び油ゲル化剤とカルボキシルエチルセルロースを特定の配合量で組み合わせることにより、経時安定性が良好であり、保湿効果が高く、べたつきが無く、かつ使用感に優れた油中水型乳化化粧料が得られることを見出し、本発明を完成した。本発明は下記の通りである。
【0007】
[1] 油中水型乳化化粧料の全質量を基準として、
0.5〜15質量%のシリコーン系界面活性剤(A)、
0.5〜20質量%の油剤(B)、
0.01〜3質量%の油ゲル化剤(C)、
0.05〜3質量%のカルボキシルエチルセルロース(D)、及び
59〜98質量%の水(E)
を含む油中水型乳化化粧料。
【0008】
[2] 前記カルボキシルエチルセルロース(D)において、カルボキシルエチル基の置換度が0.2〜2.8であり、カルバモイルエチル基の置換度が0.04以下であり、かつ重合度が2〜3000である、[1]に記載の油中水型乳化化粧料。
【0009】
[3] 油中水型乳化化粧料の全質量を基準として、0.05〜5質量%の非イオン界面活性剤(F)をさらに含む、[1]又は[2]に記載の油中水型乳化化粧料。
【発明の効果】
【0010】
本発明の油中水型乳化化粧料は、経時安定性が良好であり、保湿効果が高く、べたつきが無く、かつ使用感に優れるという効果を奏する。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<油中水型乳化化粧料>
本発明の油中水型乳化化粧料は、油中水型乳化化粧料の全質量を基準として、特定の含有量で、シリコーン系界面活性剤(A)、油剤(B)、油ゲル化剤(C)、カルボキシルエチルセルロース(D)、水(E)及び所望により、非イオン界面活性剤(F)を含む。特に、本発明の油中水型乳化化粧料は、シリコーン系界面活性剤(A)、油剤(B)及び油ゲル化剤(C)とカルボキシルエチルセルロース(D)の組み合わせを含むことを特徴とする。
【0012】
<シリコーン系界面活性剤(A)>
本発明で用いるシリコーン系界面活性剤(A)としては、例えば、下記一般式(1)〜(3):
【化1】

{式中、Rは、炭素数1〜5のアルキル基又はフェニル基を示し、Rは、式−(CH−O−(CO)−(CO)−R(式中、Rは、水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基であり、rは、1〜5の数であり、sは、1〜50の数であり、そしてtは、0〜30の数である。)で表わされる基を示し、R及びRは、R又はRと同一の基を示し、pは、5〜300の数であり、そしてqは、1〜50の数である。ただし、Rの全てがフェニル基となることはない。}
【化2】

{式中、R、R、p及びqは、一般式(1)で規定された通りであり、Rは、炭素数2〜20のアルキル基を示し、R及びRは、R、R又はRと同一の基を示し、そしてuは、1〜30の数である。ただし、Rの全てがフェニル基となることはない。}
【化3】

{式中、Rは、炭素数1〜4のアルキル基を示し、R10は、式−Q−O−(CO)−(CO)14(式中、Qは、炭素数1〜4の炭化水素基であり、R14は、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基又はアセチル基であり、xは、1以上の数であり、そしてyは0以上の数である。)で表わされる基を示し、R11は、式−Q−O−R15(式中、Qは、炭素数1〜4の炭化水素基であり、R15は、炭素数8〜30の炭化水素基である。)で表わされる基を示し、R12及びR13は、R、R10又はR11と同一の基を示し、αは、0以上の数であり、そしてβ及びγは、1以上の数である。}
で表わされるポリエーテル変性シリコーンが挙げられる。
【0013】
なお、一般式(1)〜(3)で表わされるポリエーテル変性シリコーン類は、その目的を逸脱しない範囲で、シリコーン鎖が分岐構造を有するか、又はポリエーテル以外の官能基で共変性されていてもよい。
【0014】
前記一般式(1)で表わされる化合物としては、例えばKF−6017(信越化学工業社製)、SH−3772C(東レ・ダウコーニング社製)等が挙げられる。一般式(2)で表わされる化合物は、アルキルポリエーテル変性シリコーンと称されるものであり、例えば、アビルWE−09(ゴールドシュミット社製)、KF6038(信越シリコーン社製)等が挙げられる。一般式(3)で表わされる化合物は、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル共変性オルガノポリシロキサンであり、例えば、メチルハイドロジェンポリシロキサンをポリオキシアルキレンアリルエーテルとアリルアルキルエーテルで共変性することにより容易に製造されることができる。
【0015】
また、シリコーン系界面活性剤(A)としては、部分架橋型ポリエーテル変性シリコーンを用いることができる。かかる部分架橋型ポリエーテル変性シリコーンは、オルガノハイドロジェンポリシロキサンと脂肪族不飽和基含有化合物とを付加重合させたものであり、特開平4−272932号公報、特開平5−140320号公報等に記載されているものが例示される。部分架橋型ポリエーテル変性オルガノポリシロキサン重合物(シリコーン)は、下記一般式(4)
1617SiO(4−a−b−c)/2 (4)
[式中、R16は、炭素数1〜18の置換基を有していてもよいアルキル基、アリール基、アラルキル基又はハロゲン化炭化水素基を示し、R17は、式−C2nO(CO)(CO)18{式中、R18は、水素原子、炭素数1〜10の飽和脂肪族炭化水素基又は−C(O)−R19(式中、R19は、炭素数1〜5の飽和脂肪族炭化水素基である。)で表わされる基を示し、dは、2〜200の数であり、eは、0〜200の数であり、d+eは、3〜200の数であり、nは、2〜6の数である。}で表わされるポリオキシアルキレン基を示し、aは、1≦a≦2.5であり、bは、0.001≦b≦1であり、そしてcは、0.001≦c≦1である。]
で表わされるオルガノハイドロジェンポリシロキサン及び/又は一般式(5)
16SiO(4−f−g)/2 (5)
{式中、R16は、上記一般式(4)で規定された通りであり、fは、1≦f≦3であり、gは、0.001≦g≦1.5である。}で表わされるオルガノハイドロジェンポリシロキサンと、一般式(a)
2m−1O(CO)(CO)2m−1 (a)
{式中、hは、2〜200の数であり、iは、0〜200の数であり、h+iは、3〜200の数であり、そしてmは、2〜6の数である。}
で表わされるポリオキシアルキレン及び/又は一般式(b)
1620SiO(4−j−k)/2 (b)
{式中、R16は、上記一般式(4)で規定された通りであり、R20は、末端に脂肪族不飽和基を有する炭素数2〜10の1価炭化水素基を示し、jは1≦j≦3であり、そしてkは、0.001≦k≦1.5である。}で表わされるオルガノポリシロキサンとの組合せにおいて、上記一般式(4)及び/又は一般式(a)で表わされる成分を必須成分とする重合物である。
【0016】
シリコーン系界面活性剤(A)としては、特にアルキルポリエーテル変性シリコーンが好ましく、部分架橋型アルキルポリエーテル変性シリコーンが、より優れた経時安定性及び塗布時の感触のために、より好ましい。
【0017】
シリコーン系界面活性剤(A)としては、上記で列挙したものの1種以上を用いることができる。シリコーン系界面活性剤(A)の含有量は、油中水型乳化化粧料の全質量を基準として、0.5〜15質量%であり、そして油中水型乳化化粧料のべたつき感を無くし、かつ経時安定性を向上させるために、1〜10質量%であることが好ましい。
【0018】
<油剤(B)>
本発明で用いる油剤(B)としては、通常の化粧料に用いられるものであれば特に制限されないが、例えば、流動パラフィン、スクワラン等の炭化水素油;セタノール、ステアリルアルコール等の高級アルコール類;パルミチン酸、ステアリン酸等の高級脂肪酸;オリーブ油、ホホバ油、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール等のエステル油;メチルポリシロキサン等のシリコーン油などが挙げられる。これらのうち、保湿効果の点で、流動パラフィン、スクワラン等の炭化水素油、オリーブ油、ホホバ油、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール等のエステル油が好ましく、さらに塗布時の油中水型乳化化粧料のべたつき感が無い点で、ジメチルポリシロキサン等のシリコーン油が好ましい。
【0019】
油剤(B)としては、上記で列挙したものの1種以上を用いることができる。油剤(B)の含有量は、油中水型乳化化粧料の全質量を基準として、0.5〜20質量%であり、そして油中水型乳化化粧料の保湿性及び経時安定性を向上させるために、
2〜15質量%であることが好ましい。
【0020】
<油ゲル化剤(C)>
油ゲル化剤(C)としては、脂肪酸デキストリン等のアシル化糖類、脂肪酸カルシウム塩等の金属石鹸類、ジアルキル燐酸アルミ等のリン酸金属塩類、1,2−ヒドロキシステアリン酸等のひまし油誘導体、ジベンジリデンソルビトール等のソルビトール誘導体、アシル化グルタミン酸等のアミノ酸誘導体、有機変性されたベントナイト等のモンモリロナイト鉱物などが挙げられる。特に、パルミチン酸デキストリン、ミリスチン酸デキストリン、ステアリン酸デキストリン等の脂肪酸デキストリン、及び有機変性モンモリロナイトが、良好な安定性及び使用感の点から好ましく、そしてパルミチン酸デキストリンが、より良好な安定性の点からより好ましい。
【0021】
油ゲル化剤(C)としては、上記で列挙したものの1種以上を用いることができる。油ゲル化剤(C)の含有量は、油中水型乳化化粧料の全質量を基準として、0.01〜3質量%であり、0.01〜1質量%であることが好ましく、0.1〜0.4質量%であることがより好ましい。
【0022】
<カルボキシルエチルセルロース(D)>
本発明で用いるカルボキシルエチルセルロース(D)は、主にカルボキシルエチル基を有し、かつ微量のカルバモイルエチル基を有するセルロースを意味する(以下、「カルボキシルエチルセルロース(D)」という)。カルボキシルエチルセルロース(D)が、油中水型乳化化粧料のべたつきを無くし、かつ油中水型乳化化粧料に良好な経時安定性を与えるため、カルボキシルエチルセルロース(D)の含有量は、油中水型乳化化粧料の全質量を基準として、0.05〜3質量%である。カルボキシルエチルセルロース(D)の含有量が、0.05質量%未満であると、油中水型乳化化粧料がべたつくか、又は油分と水分が分離してしまうために経時安定性が損なわれる。一方で、カルボキシルエチルセルロース(D)の含有量が、3質量%を超えると、粘度が上昇しすぎて、油中水型乳化化粧料として使用できなくなる。カルボキシルエチルセルロース(D)の含有量は、0.05〜5質量%であることが好ましく、0.1〜2質量%であることがより好ましく、そして0.1〜3質量%であることが特に好ましい。
【0023】
本発明で用いるカルボキシルエチルセルロース(D)においては、カルボキシルエチル基の置換度が0.2〜2.8であることが好ましい。本明細書でいう置換度とは、セルロース単分子内の3つの水酸基(−OH)が、他の官能基によって、どれだけ置換されたかを示す(例えば、置換度3は、3つの官能基全てが置換されていることを示す)。カルボキシルエチル基の置換度が0.2未満であると、カルボキシルエチルセルロース(D)は水溶性を示さない。一方、カルボキシルエチル基の置換度が2.8を超えると、べとつきが著しく発現してしまう。水溶性及び使用感の観点から、カルボキシルエチル基の置換度は、0.3〜2.7であることが好ましく、0.4〜2.5であることが特に好ましい。
【0024】
また、本発明で用いるカルボキシルエチルセルロース(D)は、カルバモイルエチル基の置換度が0.04以下であることが好ましい。カルバモイルエチル基の置換度が0.04を超えると、洗浄剤の状態で保存している間に黄変してしまう。好ましくは、カルバモイルエチル基の置換度は、0.03以下であり、より好ましくは、カルバモイルエチル基の置換度は、0.01以下である。
【0025】
本発明で用いるカルボキシルエチルセルロース(D)の重合度は、油中水型乳化化粧料(例えば、毛髪洗浄剤)としての粘度を発現させるために、2〜3000であることが好ましいく、200〜2500であることがより好ましく、そして300〜2000であることが特に好ましい。
【0026】
<水(E)>
本発明で用いる水(E)としては、精製水、脱イオン水、純水、水道水等が挙げられる。水(E)の含有量は、油中水型乳化化粧料の全質量を基準として、59〜98質量%であり、好ましくは78〜96質量%である。水の含有量を59〜98質量%の範囲に調整することにより、油中水型乳化化粧料の保湿効果を向上させるとともに、べたつきの無い油中水型乳化化粧料の使用感を得ることができる。
【0027】
<非イオン界面活性剤(F)>
本発明の油中水型乳化化粧料は、その安定性をより向上させるために、非イオン界面活性剤(F)をさらに含むことができる。かかる非イオン界面活性剤(F)としては、通常の化粧料に用いられるものであれば特に制限されず、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油類、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類、ソルビタン脂肪酸エステル類、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル類、ポリグリセリン脂肪酸エステル類、アルキルグリセリンエーテル類、グリセリン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンコレステリルエーテル類、アルキルポリグルコシド類、ショ糖脂肪酸エステル類、アミンオキシド類等が挙げられる。
【0028】
これらのうち、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ソルビタン脂肪酸エステル類、ポリグリセリン脂肪酸エステル類、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル類、グリセリン脂肪酸エステル類、ショ糖脂肪酸エステル類が、経時安定性に優れるので好ましい。非イオン界面活性剤(F)のアルキル基の構造にも特に制限はないが、比較的炭素数の大きい分岐タイプの構造が好ましい。かかるアルキル基の具体例としては、イソステアリル、オクチルドデシル基等が挙げられる。
【0029】
非イオン界面活性剤(F)としては、上記で列挙したものの1種以上を用いることができる。非イオン界面活性剤(F)の含有量は、油中水型乳化化粧料の全質量を基準として、0.05〜5質量%であることが好ましく、そして油中水型乳化化粧料の経時安定性を向上させるために、0.1〜1質量%であることがより好ましい。
【0030】
<その他の成分>
本発明の油中水型乳化化粧料は、上記成分(A)〜(F)以外に、通常の化粧料に用いられる成分、例えば、防腐剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、金属イオン封鎖剤、色素、無機顔料、高分子粉体、香料などを含有することができる。
【0031】
<油中水型乳化化粧料の製造方法及び性質>
本発明の油中水型乳化化粧料は、本技術分野で知られている通常の方法により製造することができる。
【0032】
本発明の油中水型乳化化粧料は、高含水率にもかかわらず安定であり、高い保湿効果を有し、かつ、さっぱりとしてべたつかない感触を有する。一方で、従来の油中水型乳化化粧料は、大量の油ゲル化剤を用いることによって安定性を付与する目的は達成し得るが、その使用感を大きく損ねる。本発明の油中水型乳化化粧料が、安定性と使用感を両立できる理由は明らかではないが、水相に適度な粘弾性を付与していることが一因と考えられる。この効果は、油中水型乳化化粧料にカルボキシルエチルセルロース(D)を含有させる場合に顕著である。
【実施例】
【0033】
[実施例1〜14及び比較例1〜7]
表1及び表2に示される組成の油中水型乳化化粧料を製造し、経時安定性、保湿効果及びべたつきのなさを評価した。結果を表1及び表2に併せて示す。
【0034】
(製造方法)
シリコーン系界面活性剤、油剤及び油ゲル化剤を加熱して攪拌混合して、油相を調製する。カルボキシルエチルセルロースを精製水に分散させて得られた水相を、油相に静かに添加しながら、十分攪拌する。均一に乳化させた後、冷却し、室温にて他の含有成分を添加して、油中水型乳化化粧料を得た。比較例1〜7については、シリコーン系界面活性剤、油剤、油ゲル化剤又はカルボキシルエチルセルロースを含有させることなく、油中水型乳化化粧料を調製した。
【0035】
(評価方法)
(1)経時安定性:
各油中水型乳化化粧料を50℃で30日保存した後、その外観を目視により以下の基準で評価した。
3:変化は認められず、均一で安定である。
2:一部変化が認められる。
1:分離等の変化が認められる。
【0036】
(2)保湿効果:
油中水型乳化化粧料0.2gを専門パネルの前腕内側の直径3cmの円内に均一に塗布し、塗布1時間後に水洗・乾燥させる。コルネオメーターCM825PC(COLOGNE製)により、水洗・乾燥後の皮膚コンダクタンスを測定した。処理前の皮膚コンダクタンスからの変化量(Δ皮膚コンダクタンス)から、以下の基準で保湿効果を評価した。この数字が大きいものほど、スキンケア効果が高い。
4:皮膚コンダクタンス値が極めて上昇(Δ皮膚コンダクタンス≧15)。
3:皮膚コンダクンタス値が上昇(15>Δ皮膚コンダクタンス≧5)。
2:皮膚コンダクンタス値がわずかに上昇(5>Δ皮膚コンダクタンス≧2)。
1:皮膚コンダクタンス値が変化しない(2>Δ皮膚コンダクタンス)。
【0037】
(3)べたつきのなさ:
3名の専門パネルにより、各油中水型乳化化粧料を前腕内側に塗布したとき、べたつきのなさを評価し、以下の4段階で判定した。結果を平均値で示した。
4:べたつかない。
3:ほとんどべたつかない。
2:ややべたつく。
1:べたつく。
【0038】
【表1】

【0039】
【表2】

【0040】
[実施例15]
以下に示す組成(質量%)及び製造方法に従って油中水型乳化化粧料を製造した。得られた油中水型乳化化粧料について、実施例1〜14と同様にして、経時安定性、保湿効果及びべたつきのなさを評価した。その結果、経時安定性:3、保湿効果:4、べたつきのなさ:3.7であった。
(実施例15の組成(質量%))
(1)架橋アルキルポリエーテル変性シリコーン
(KSG310、信越シリコーン社製) 2.0
(2)架橋型メチルポリシロキサン
(KSG15、信越シリコーン社製) 5.0
(3)シリコーン(10cs)(KF96A、信越シリコーン社製)) 5.0
(4)オリーブ油(クロピュアOL、クローダ社製) 5.0
(5)ジイソステアリン酸ポリグリセリル
(コスモール42V、日清オイリオ社製) 0.5
(6)パルミチン酸デキストリン(レオパールKL、千葉製粉社製) 0.1
(7)カチオン性架橋重合体(ソフケアKG301P、花王社製) 0.3
(8)メチルパラベン 0.2
(9)精製水 残量
(10)香料 適量
(実施例15の製造方法)
成分(1)〜(6)及び(8)を室温にて分散させ、さらに加熱して撹拌混合した油相に、成分(7)を成分(9)に分散させた水相を加え、十分撹拌する。均一に乳化させた後、冷却し、室温にて成分(10)を添加、混合して、油中水型乳化化粧料を得た。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明の油中水型乳化化粧料は、経時安定性が良好であり、保湿効果が高く、べたつきが無く、かつ使用感に優れたものであり、そして化粧品及びトイレタリー分野に非常に有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
油中水型乳化化粧料の全質量を基準として、
0.5〜15質量%のシリコーン系界面活性剤(A)、
0.5〜20質量%の油剤(B)、
0.01〜3質量%の油ゲル化剤(C)、
0.05〜3質量%のカルボキシルエチルセルロース(D)、及び
59〜98質量%の水(E)
を含む油中水型乳化化粧料。
【請求項2】
前記カルボキシルエチルセルロース(D)において、カルボキシルエチル基の置換度が0.2〜2.8であり、カルバモイルエチル基の置換度が0.04以下であり、かつ重合度が2〜3000である、請求項1に記載の油中水型乳化化粧料。
【請求項3】
油中水型乳化化粧料の全質量を基準として、0.05〜5質量%の非イオン界面活性剤(F)をさらに含む、請求項1又は2に記載の油中水型乳化化粧料。

【公開番号】特開2012−116815(P2012−116815A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−270222(P2010−270222)
【出願日】平成22年12月3日(2010.12.3)
【出願人】(303046303)旭化成せんい株式会社 (548)
【Fターム(参考)】