説明

油中水型乳化化粧料

【課題】 特定の水溶性ポリマーとエステル油剤を組み合わせ、HLB2〜9の界面活性剤を用いて乳化することと化粧持ちが良く、べたつきがなく、柔らかい使用感が得られ、化粧膜の均一性、保湿効果に優れる油中水型乳化化粧料に関する。
【解決手段】 次の成分(A)〜(D);(A)特定の溶性ポリマーと、(B)エステル油剤と、(C)HLB2〜9の界面活性剤と、(D)精製水とを含有することを特徴とする油中水型乳化化粧料を提供するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定の水溶性ポリマーとエステル油剤を組み合わせ、HLB2〜9の界面活性剤を用いて乳化することと化粧持ちが良く、べたつきがなく、柔らかい使用感が得られ、化粧膜の均一性、保湿効果に優れる油中水型乳化化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
油中水型乳化化粧料は、外相の油剤中に水相を分散させた化粧料である。このような化粧料は、連続相が油相となるため、肌上に油性の化粧膜を形成することができることから、保湿感に優れるファンデーションや口紅等のメーキャップ化粧料に応用されている。しかし、これら油中水型化粧料は、油剤の含有量が多くなるため、油っぽいべたつき感があり、肌への塗布後の化粧効果の持続性が悪くなるということが欠点であった。
【0003】
このため、油中水型乳化化粧料では、油っぽいべたつき感を低減させるため、油剤としてシリコーン油を用いることが一般的である。しかし、油剤としてシリコーン油を主体として用いた油中水型乳化化粧料は、油っぽいべたつき感は低減されるが、肌に化粧料を塗布して伸び広げる際に、ずるずるといつまでも伸び広がってしまい、塗布動作の終点が分かり難い、いわゆる収まりの悪さがあり、また、肌や毛髪、睫等への付着性の低下や化粧膜の不均一性等を引き起こしていた。
そこで、化粧効果の持続性を向上させるために、種々の検討がなされている。例えば、シリコーンレジンを配合することで化粧効果の持続性や保存安定性を向上させる技術が検討されてきた(例えば特許文献1参照)。また、耐皮脂性及び耐油性のあるパーフルオロ有機化合物にフッ素系高分子を用い、パーフルオロ有機化合物の安定性や使用感を向上させる技術がある(例えば特許文献2参照)。
一方、保湿効果をあげる水溶性ポリマーの開発もなされてきた(例えば、特許文献3、4参照)。
【0004】
しかしながら特許文献1のものは、化粧効果の持続性は向上するものの、化粧膜が硬くなるという問題があった。また、特許文献2のものは、べたつきのない使用感が得られるが、化粧膜が不均一に仕上がってしまう等の問題があった。また特許文献3、4においては、エステル油との組み合わせで化粧持ちや化粧膜の均一性を向上させることについては記載がなかった。
【0005】
【特許文献1】特開平7−309714号公報
【特許文献2】特開平8−59448号公報
【特許文献3】特開2010−254974号公報
【特許文献4】特開2010−196048号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、化粧持ちが良く、べたつきがなく、柔らかい使用感が得られ、化粧膜の均一性、保湿効果に優れる油中水型乳化化粧料の開発が求められていた。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる実情に鑑み、本発明者は鋭意検討した結果、特定の水溶性ポリマーとエステル油剤をHLB2〜9の界面活性剤を用いて乳化することで、化粧持ちが良く、べたつきがなく、柔らかい使用感が得られ、化粧膜の均一性、保湿効果に優れる油中水型乳化化粧料が得られることを見出し、本発明を完成した。
【0008】
すなわち本発明は、次の成分(A)〜(D);
(A)次の〔1〕〜〔3〕から選ばれる1種又は2種以上の水溶性ポリマー;
〔1〕式(1)
【0009】
【化1】

【0010】
[式中、R1は水素原子又はメチル基を示し、R2は水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基を示し、R3は炭素数1〜3のアルキル基又は炭素数1〜3のヒドロキシアルキル基を示す]
で表される繰返し単位の1種又は2種以上からなり、重量平均分子量(Mw)が5,000〜150,000であり、温度30℃、相対湿度60%における当該ポリマーの50質量%水溶液の6時間放置後の質量減少率が25質量%以下である水溶性(メタ)アクリルアミドポリマー
〔2〕式(1)
【0011】
【化2】

【0012】
[式中、R1は水素原子又はメチル基を示し、R2は水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基を示し、R3は炭素数1〜3のアルキル基又は炭素数1〜3のヒドロキシアルキル基を示す]
で表される1種又は2種以上の繰返し単位(Z1)と、水溶性のホモポリマーを与える重合性単量体に由来する1種又は2種以上の繰返し単位(Z2)とを含有し、Z1:Z2のモル比が99.98:0.02〜10:90であり、温度30℃、相対湿度60%における当該ポリマーの50質量%水溶液の6時間放置後の質量減少率が25質量%未満である水溶性(メタ)アクリルアミド系コポリマー
〔3〕式(2)
【0013】
【化3】

【0014】
[式中、Xは、−NHR4またはOMを示す(但し、両Xが同時にOMの場合は除く。R4は炭素数1〜3のアルキル基、Mは水素原子またはアルカリ金属原子または有機塩基基を示す。)。Rは、一方が水素原子、他方が水素原子、炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜3のアルコキシ基、フェニル基、アセトキシ基、カルボキシ基、塩型カルボキシ基、アミド基、Nモノアルキル置換アミド基から選ばれる1種を示す。]
で表される1種又は2種以上の単位構造を有する水溶性ポリマー
(B)エステル油剤
(C)HLB2〜9の界面活性剤
(D)精製水
を含有することを特徴とする油中水型乳化化粧料に関するものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明の油中水型は化粧持ちが良く、べたつきがなく柔らかい使用感が得られ、化粧膜の均一性、保湿効果に優れる油中水型乳化化粧料である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明に用いられる成分(A)は、下記〔1〕〜〔3〕から選ばれる1種又は2種以上の水溶性ポリマー(以下、単に「特定の水溶性ポリマー」と略すことがある。)で、湿度によらず水分を長時間保持するという特徴的な保湿性を示す水溶性ポリマーであり、エステル油剤と組み合わせることで本発明の効果を導くことができるものである。
成分(A)の〔1〕は、式(1)
【0017】
【化4】

【0018】
[式中、R1は水素原子又はメチル基を示し、R2は水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基を示し、R3は炭素数1〜3のアルキル基又は炭素数1〜3のヒドロキシアルキル基を示す]
で表される繰返し単位の1種又は2種以上からなるホモポリマー又はコポリマーであり、架橋構造を有しない。
重量平均分子量としては、溶離液としてテトラヒドロフランを用い、直鎖ポリスチレン標準品で作成した校正曲線及び屈折率検出器を使用する液体ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)法により測定したポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)が5,000〜150,000であり、10,000〜100,000の範囲であることがより好ましい。
また、温度30℃、相対湿度60%における当該ポリマーの50質量%水溶液の6時間放置後の質量減少率は25質量%以下である。質量減少率は、当該ポリマーの50質量%水溶液からなるサンプルを調製し、質量測定後これを温度30℃、湿度60%の恒温恒湿槽に入れて6時間放置した後、再び質量を測定し、質量の減少量を算出することにより求められる。
このようなポリマーの重合方法は、特に限定されず、塊状重合、溶液重合、乳化重合、放射線重合などの種々の方法を選択できるが、具体的には、例えば、特開2010−196048号公報に開示される方法で製造可能である。
【0019】
成分(A)の〔2〕は、式(1)
【0020】
【化5】

【0021】
[式中、R1は水素原子又はメチル基を示し、R2は水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基を示し、R3は炭素数1〜3のアルキル基又は炭素数1〜3のヒドロキシアルキル基を示す]
で表される繰返し単位の1種又は2種以上からなる皮膚外用剤用水溶性(メタ)アクリルアミドポリマー(Z1)と、水溶性のホモポリマーを与える重合性単量体に由来する1種又は2種以上の繰返し単位(Z2)とを含有し、Z1:Z2のモル比が99.98:0.02〜10:90のコポリマーであり、架橋構造を有しない。
重量平均分子量としては、前記GPC法により測定したポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)が2,000〜5,000,000の範囲であることが好ましく、5,000〜800,000の範囲であることがより好ましい。
【0022】
上記Zに対応する重合性単量体としては、それのみを単独重合することにより、水に可溶なホモポリマーとなりうる重合性単量体であれば、特に制限されないが、例えば、下記の式(3)
【0023】
【化6】

【0024】
[式中、Rは水素原子又はメチル基であり、Yは下記一般式(4)〜(7)のうち一種
【0025】
【化7】

【0026】
(式中、Rは、水素原子、アルカリ金属元素、アンモニウム基、有機塩基から誘導された1価の基、−((CH2)pO)qH基(但し、pは2又は3であり、pが2の場合、qは1〜10のいずれかの整数を表し、pが3の場合、qは1〜3のいずれかの整数を表す)、又は−(CH2CH(OH)CH2O)rH基(但し、rは1〜10のいずれかの整数を表す)を表す)
【0027】
【化8】

【0028】
【化9】

【0029】
【化10】

【0030】
を表す。但し、Yが式(5)又は式(6)で表される場合、Rは、水素原子である。]で表される繰返し単位に対応する重合性単量体を挙げることができる。好ましくは上記式(3)及び式(4)、又は、上記式(3)及び式(5)で表される繰返し単位に対応する重合性単量体、上記式(3)及び式(6)で表される繰返し単位に対応する重合性単量体、上記式(3)及び式(7)で表される繰返し単位に対応する重合性単量体を、単独で又は2種以上を組み合わせて本発明に使用した場合に本発明の効果が更に奏される。
【0031】
また、温度30℃、相対湿度60%における当該ポリマーの50質量%水溶液の6時間放置後の質量減少率は25質量%未満であり、前記1)と同様な方法で算出できる。
このようなポリマーの重合方法は、特に限定されず、塊状重合、溶液重合、乳化重合、放射線重合などの種々の方法を選択できるが、具体的には、例えば、特開2010−254974号公報に開示される方法で製造可能である。
【0032】
成分(A)の〔3〕は、式(2)
【0033】
【化11】

【0034】
[式中、Xは、−NHRまたはOMを示す(但し、両Xが同時にOMの場合は除く。R’は炭素数1〜3のアルキル基、Mは水素原子またはアルカリ金属原子または有機塩基基を示す。)。Rは、一方が水素原子、他方が水素原子、炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜3のアルコキシ基、フェニル基、アセトキシ基、カルボキシ基、塩型カルボキシ基、アミド基、Nモノアルキル置換アミド基から選ばれる1種を示す。]
で表される1種又は2種以上の単位構造を有する水溶性のホモポリマー又はコポリマーである。
重量平均分子量としては、式(2)におけるR、Xの違いによる差異はあるが、前記GPC法により測定したポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)が概ね50,000〜5,000,000の範囲である。
【0035】
このようなポリマーは、例えば、マレイン酸系共重合体または無水マレイン酸系共重合体を化学的に修飾することによって得ることができる。具体的に例示すれば、エチレン−マレイン酸共重合体が有するマレイン酸由来のカルボキシ基にアンモニアやアルキル置換アミンを反応させアミド化することにより、式(1)におけるRの両方が水素原子であり、Xを−NH2、−NHRC(ここでRCは、反応に供するアルキル置換アミンのアルキル基を示す。)と変化させた単位構造を有する親水性高分子を得ることができる。同様に、アクリル酸−マレイン酸共重合体が有するアクリル酸およびマレイン酸由来のカルボキシ基にアンモニアやアルキル置換アミンを反応させアミド化することにより、式(1)におけるRの一方が水素原子、他方が−CONH、−CONHRC(ここでRCは、前記と同様。)であり、Xを−NH、−NHRC(ここでRCは、前記と同様。)と変化させた単位構造を有する親水性高分子を得ることができる。また、メチルビニルエーテル−無水マレイン酸共重合体が有する閉環酸無水物基にアンモニアやアルキル置換アミンを反応させ開環アミド化することにより、式(1)におけるRの一方が水素原子、他方がメトキシ基であり、Xを−NH、−NHRC(ここでRCは、前記と同様。)と変化させた単位構造を有する親水性高分子を得ることができる。アミド化は、カルボキシル基とアミノ基の直接的な脱水縮合反応、カルボニルジイミダゾールやジアルキルカルボジイミドのような縮合剤を用いた縮合反応、または尿素、アルキル化尿素を用いたアミド化反応を行うことができるが、上記以外の方法で本発明の水溶性ポリマーを得ても構わない。
【0036】
本発明の油中水型乳化化粧料における上記成分(A)の含有量は、特に限定されるものではないが、0.05〜10質量%(以下、単に「%」で示す)が好ましく、更に好ましくは0.1〜5%である。この範囲であると、化粧膜が均一で、化粧もちが良く、べたつきがなく柔らかい使用感が得られ、保湿効果に優れる点で好ましい。
【0037】
本発明の油中水型乳化化粧料において成分(B)として使用されるエステル油剤は、分子量が100〜1000であることがべたつきがなく柔らかい使用感の点で好ましく、例えばミリスチン酸イソプロピル、オクタン酸セチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸ミリスチル、オレイン酸デシル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、酢酸ラノリン、ステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソセチル、12−ヒドロキシステアリン酸コレステリル、ジ−2−エチルヘキサン酸エチレングリコール、モノイソステアリン酸N−アルキルグリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、リンゴ酸ジイソステアリル、ジ−2−へプチルウンデカン酸グリセリン、トリ−2−エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ−2−エチルヘキサン酸ペンタエリスリトール、トリ−2−エチルヘキサン酸グリセリン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、セチル2−エチルヘキサノエート、2−エチルヘキシルパルミテート、トリミリスチン酸グリセリン、トリ−2−ヘプチルウンデカン酸グリセライド、イソノナン酸イソトリデシル、ヒマシ油脂肪酸メチルエステル、オレイン酸オレイル、セトステアリルアルコール、アセトグリセライド、パルミチン酸2−へプチルウンデシル、アジピン酸ジイソブチル、N−ラウロイル−L−グルタミン酸−2−オクチルドデシル、アジピン酸ジ−2−ヘプチルウンデシル、エチルラウレート、セバチン酸ジ−2−エチルヘキシル、ミリスチン酸2−ヘキシルデシル、パルミチン酸2−ヘキシルデシル、アジピン酸2−ヘキシルデシル、セバチン酸ジイソプロピル、コハク酸2−エチルヘキシル、クエン酸トリエチル、アミノ安息香酸エチル、メトキシケイ皮酸−2−エチルヘキシル等が挙げられる。これらは、1種または2種以上を利用することができ、特に分子量150〜800のエステル油剤を含有することがより好ましい。
【0038】
本発明の油中水型乳化化粧料において成分(B)の含有量は、一律に決定できないが、0.1%〜80%が好ましく、更に好ましくは0.5%〜60%である。この範囲であれば、この範囲であると、化粧膜が均一で、化粧もちが良く、べたつきがなく柔らかい使用感が得られ、保湿効果に優れる点で好ましい。
【0039】
本発明で使用される成分(C)のHLBが2〜9の界面活性剤は、成分(A)と成分(B)を安定に配合し、油中水型化粧料の乳化剤として含有されるものである。更に、使用時のべたつきの無さなどの使用感向上にも寄与する。
このHLB2〜9の界面活性剤は、モノステアリン酸ジグリセリル、モノオレイン酸ジグリセリル、ジオレイン酸ジグリセリル、モノイソステアリン酸ジグリセリル、モノステアリン酸テトラグリセリル、モノオレイン酸テトラグリセリル、トリステアリン酸ヘキサグリセリル、トリオレイン酸デカグリセリル、ペンタステアリン酸デカグリセリル、ペンタオレイン酸デカグリセリル、ペンタイソステアリン酸デカグリセリル、モノパルミチン酸ソルビタン、モノステアリン酸ソルビタン、セスキステアリン酸ソルビタン、トリステアリン酸ソルビタン、モノオレイン酸ソルビタン、セスキオレイン酸ソルビタン、トリオレイン酸ソルビタン、モノイソステアリン酸ソルビタン、セスキイソステアリン酸ソルビタン、ポリオキシエチレン(3)ヒマシ油、ポリオキシエチレン(10)ヒマシ油、ポリオキシエチレン(5)硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン(10)硬化ヒマシ油、モノステアリン酸ポリエチレングリコール(1E.O.)、モノステアリン酸ポリエチレングリコール(2E.O.)、モノステアリン酸ポリエチレングリコール(4E.O.)、モノオレイン酸ポリエチレングリコール(2E.O.)、モノステアリン酸エチレングリコール、ステアリン酸ジエチレングリコール、ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体、メチルポリシロキサン・セチルメチルポリシロキサン・ポリ(オキシエチレン・オキシプロピレン)メチルポリシロキサン共重合体、ポリ(オキシエチレン・オキシプロピレン)メチルポリシロキサン共重合体、PEG−9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン、ポリオキシエチレンメチルシロキサン・ポリオキシプロピレンオレイルメチルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体などが挙げられ、これらの中でも乳化安定性の観点から、HLB2〜6の親油性界面活性剤がより好ましく、これらの1種または2種以上を用いることができる。
【0040】
これらの中でも、経時安定性及びべたつきがなく柔らかい使用感の観点から、シリコーン系界面活性剤が好ましく、具体的には、ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体、メチルポリシロキサン・セチルメチルポリシロキサン・ポリ(オキシエチレン・オキシプロピレン)メチルポリシロキサン共重合体、ポリ(オキシエチレン・オキシプロピレン)メチルポリシロキサン共重合体、PEG−9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン、ポリオキシエチレンメチルシロキサン・ポリオキシプロピレンオレイルメチルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体などが例示できる。またこれらの市販品としては、ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体は、KF−6015、KF−6016、KF−6017(信越化学工業社製)、メチルポリシロキサン・セチルメチルポリシロキサン・ポリ(オキシエチレン・オキシプロピレン)メチルポリシロキサン共重合体は、ABIL−EM90(ゴールドシュミット社製)、ポリ(オキシエチレン・オキシプロピレン)メチルポリシロキサン共重合体は、ABIL−EM97(ゴールドシュミット社製)、PEG−9ポリジメチルシロキシエチルジメチコンは、KF−6028(信越化学工業社製)、ラウリルPEG−9ポリジメチルシロキシエチルジメチコンはKF−6038(信越化学工業社製)、ポリオキシエチレンメチルシロキサン・ポリオキシプロピレンオレイルメチルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体は、KF−6026(信越化学工業社製)などがそれぞれ例示できる。これらの中でも、経時安定性及び使用感向上効果の観点から、ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体、PEG−9ポリジメチルシロキシエチルジメチコンがより好ましい。
【0041】
本発明の油中水型乳化化粧料中の成分(C)の含有量は、特に限定されるものではないが、0.1〜10%が好ましく、更に好ましくは0.5〜5%である。この範囲であると、べたつきがなく柔らかい使用感や経時安定性の点で好ましい。
【0042】
本発明の油中水型乳化化粧料には、上記成分(A)〜(D)の必須成分の他に、成分(E)として粉体を含有することができ、着色剤としての効果や、べたつきのなさの点が格段に向上する。
【0043】
粉体としては通常、化粧料に用いられる粉体であれば、球状、板状、針状等の形状、煙霧状、微粒子、顔料級等の粒子径、多孔質、無孔質等の粒子構造等により特に限定されず、無機粉体類、光輝性粉体類、有機粉体類、色素粉体類、複合粉体類等が挙げられる。具体的には、酸化チタン、黒色酸化チタン、コンジョウ、群青、ベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、無水ケイ酸、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、酸化クロム、水酸化クロム、カーボンブラック、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、マイカ、合成マイカ、セリサイト、タルク、カオリン、炭化珪素、硫酸バリウム、ベントナイト、スメクタイト、窒化硼素等の無機粉体類、オキシ塩化ビスマス、酸化チタン被覆マイカ、酸化鉄被覆マイカ、酸化鉄被覆マイカチタン、有機顔料被覆マイカチタン、酸化チタン被覆ガラス末、酸化鉄酸化チタン被覆ガラス末、アルミニウムパウダー等の光輝性粉体類、ナイロンパウダー、ポリメチルメタクリレートパウダー、アクリロニトリル−メタクリル酸共重合体パウダー、塩化ビニリデン−メタクリル酸共重合体パウダー、ポリエチレンパウダー、ポリスチレンパウダー、オルガノポリシロキサンエラストマーパウダー、ポリメチルシルセスキオキサンパウダー、ポリウレタンパウダー、ウールパウダー、シルクパウダー、結晶セルロースパウダー、N−アシルリジンパウダー等の有機粉体類、有機タール系顔料、有機色素のレーキ顔料等の色素粉体類、微粒子酸化チタン被覆マイカチタン、微粒子酸化亜鉛被覆マイカチタン、硫酸バリウム被覆マイカチタン、酸化チタン含有無水ケイ酸、酸化亜鉛含有無水ケイ酸等の複合粉体等が挙げられ、これらをその使用目的に応じて一種又は二種以上を用いることができる。
また、これらの粉体の表面処理をした粉体を用いてもよい。処理剤としては、例えば、ジメチルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、高粘度シリコーン、架橋型シリコーン、フッ素変性シリコーン、アクリルーシリコーングラフト共重合体、シリコーン樹脂等のシリコーン化合物、パーフルオロアルキルシラン、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、非イオン界面活性剤等の界面活性剤、ラウリン酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛等の金属石鹸、ポリイソブチレン、ワックス、高級脂肪酸、高級アルコール等の油剤、N−アシルアミノ酸、パーフルオロアルキルリン酸及びこの塩、パーフルオロポリエーテル、フルオロアルコキシシラン、パーフルオロポリエーテルアルキルリン酸及びこの塩等のフッ素化合物、ポリビニルピロリドン−ヘキサデセンのコポリマー等のポリビニルピロリドン変性ポリマー等が挙げられる。
これらの粉体の中でも、化粧効果向上の観点から、酸化チタン、酸化亜鉛がより好ましい。
【0044】
本発明の油中水型乳化化粧料における成分(E)の含有量は、特に限定されないが、0.01〜30%が好ましく、更に好ましくは0.5%〜25%である。この範囲であると、べたつきがなく柔らかい使用感や着色効果の点で好ましい。
【0045】
本発明の油中水型乳化化粧料には、上記成分(A)〜(D)の必須成分の他に、成分(F)として揮発性油剤を含有することができ、べたつきがなく柔らかい使用感の点が格段に向上する。
揮発性油剤としては、1気圧、25℃において揮発性であり、通常化粧料に用いられるものであれば特に制限されず、具体的には、軽質流動イソパラフィン、デカメチルシクロペンタシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、メチルトリメチコン、カプリリルトリメチコン、ジメチルポリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、エチルトリシロキサン等が挙げられ、一種又は二種以上を配合することができる。
市販品として、軽質流動イソパラフィンとしてはアイソパーH(エッソ化学社製)、イソドデカン(バイエル社製)、イソヘキサデカン(ユニケマ社製)、IPソルベント1620MU、IPソルベント2028MU、IPソルベント2835(以上、出光興産社製)、デカメチルシクロペンタシロキサンとしてはTFS405(東芝シリコーン社製)、SH245、DC345(東レ・ダウコーニング社製)、KF−995(信越化学工業社製)、メチルトリメチコンとしては、シリコーン
TMF−1.5(信越化学工業社製)、メチルポリシロキサンとしてはKF−96L−2CS(信越化学工業社製)、デカメチルテトラシロキサンとしてはKF−96L−1.5CS(信越化学工業社製)、エチルトリシロキサンとしてはSILSOFT ETS(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製)などが挙げられる。
【0046】
本発明に用いられる成分(F)の含有量は特に限定されないが、5〜35%が好ましく、更に好ましくは10〜30%である。この範囲であると、べたつきがなく柔らかい使用感の点で好ましい。
【0047】
本発明の油中水型乳化化粧料は、上記成分(B)、(C)および必要により成分(E)および成分(F)に、成分(A)と成分(D)とを加え、常法により処理し、乳化物とすることにより製造される。より具体的に例を挙げれば、成分(B)、成分(C)(および必要により成分(F))に所定量の水(成分(D)の一部)を加え乳化した乳化物に、成分(A)を溶解した水(成分(D)の残部)を加え、均一に混合(および必要により成分(E)を分散)することにより目的の油中水型乳化化粧料が得られる。
【0048】
本発明の油中水型乳化化粧料には、本発明の効果を損なわない範囲で、上記成分の他に、通常、化粧料に使用される成分、成分(A)以外の水溶性高分子、成分(B)以外の界面活性剤、成分(C)、(F)以外の油剤、油ゲル化剤、紫外線吸収剤、アルコール等の水性成分、トリメチルシロキシケイ酸等の油溶性被膜形成剤、パラオキシ安息香酸誘導体、フェノキシエタノール等の防腐剤、ビタミン類、美容成分、香料等を本発明の効果を損なわない範囲で適宜配合することができる。
【0049】
成分(A)以外の、水溶性高分子としては、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等のセルロース誘導体類、アルギン酸ソーダ、カラギーナン、クインスシードガム、寒天、ゼラチン、キサンタンガム、ローカストビーンガム、ペクチン、ジェランガム等の天然高分子類、ポリビニルアルコール、カルボシキビニルポリマー、アルキル付加カルボシキビニルポリマー、ポリアクリル酸ソーダ、ポリメタクリル酸ソーダ、ポリアクリル酸グリセリンエステル,ポリビニルピロリドン等の合成高分子類等が挙げられ、これらの一種又は二種以上を用いることができる。
【0050】
成分(C)、(F)以外の油剤としては、例えば、パラフィンワックス、セレシンワックス、オゾケライト、マイクロクリスタリンワックス、モンタンワックス、フィッシャトロプスワックス、ポリエチレンワックス、流動パラフィン、スクワラン、ワセリン、ポリイソブチレン、ポリブテン等の炭化水素系類、カルナウバロウ、ミツロウ、ラノリンワックス、キャンデリラ等の天然ロウ類、ロジン酸ペンタエリトリットエステル、イソオクタン酸セチル、ミリスチン酸イソプロピル、トリイソステアリン酸ジグリセリル、ジペンタエリトリット脂肪酸エステル等のトリグリセライド以外のエステル類、ステアリン酸、ベヘニン酸、12−ヒドロキシステアリン酸等の脂肪酸類、セタノール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール等の高級アルコール類、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラノリンアルコール等のラノリン誘導体類、N−ラウロイルーL−グルタミン酸ジ(コレステリル・ベヘニル・オクチルドデシル)等のアミノ酸誘導体類、パーフルオロポリエーテル、パーフルオロデカン、パーフルオロオクタン等のフッ素系油剤類等が挙げられ、これらを一種又は二種以上を用いることができる。
【0051】
油ゲル化剤としては、通常、化粧料に用いられるものであれば何れでもよく、例えば、デキストリン脂肪酸エステル、蔗糖脂肪酸エステル、デンプン脂肪酸エステル、ヒドロキシステアリン酸、ステアリン酸カルシウム等が挙げられ、これらを一種又は二種以上を用いることができる。
【0052】
HLB2〜9以外の界面活性剤としては、陰イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、両性界面活性剤等が挙げられ、これらを一種又は二種以上用いることができる。
【0053】
具体的な、陰イオン性界面活性剤の例としては、ステアリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ベヘン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、12−ヒドロキシステアリン酸等の脂肪酸とナトリウム、カリウム、トリエタノールアミン等のアルカリ物質により形成される脂肪酸石鹸類、アシルグルタミン酸塩類、アルキルリン酸塩、ポリオキシアルキレン付加アルキルリン酸塩等が挙げられる。また、陽イオン性界面活性剤としては、アルキルアミン塩、アルキル四級アンモニウム塩等が、両性界面活性剤としては、N,N−ジメチル−N−アルキル−N−カルボキシルメチルアンモニウムベタイン、N,N−ジアルキルアミノアルキレンカルボン酸、N,N,N−トリアルキル−N−スルフォアルキレンアンモニウムベタイン、N,N−ジアルキル−N,N−ビス(ポリオキシエチレン硫酸)アンモニウムベタイン、2−アルキル−1−ヒドロキシエチル−1−カルボキシメチルイミダゾリニウムベタイン、レシチン、リン脂質等が挙げられる。
【0054】
水性成分としては、水に可溶な成分であれば何れでもよく、例えば、エチルアルコール、プロピルアルコール等の低級アルコール類、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール等のグリコール類、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン等のグリセロール類、アロエベラ、ウイッチヘーゼル、ハマメリス、キュウリ、レモン、ラベンダー、ローズ等の植物抽出液等が挙げられ、これらの一種又は二種以上を用いることができる。
【0055】
本発明の油中水型乳化化粧料は、油剤が連続相として乳化物の外相を形成しているものであり、必要に応じて他の成分を併用して常法により調製することができる。液状、乳液状、クリーム状、固形状、ゲル状、ペースト状等、種々の形態にて実施することができる。また、本発明の油中水型乳化化粧料は、乳液及びクリーム、日焼け止め、化粧下地、ファンデーション、コンシーラー、頬紅、アイシャドウ、口紅等の製品にて実施することができ、ファンデーション、日焼け止めが好ましい。
【0056】
以上のようにして得られる本発明の油中水型乳化化粧料は、後記実施例に示すように、使用感に優れ、化粧効果の持続性、化粧膜の均一性、保湿性に優れるものである。
【実施例】
【0057】
次に実施例によって、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に何ら制約されるものではない。
[特定の水溶性ポリマーの製造]
(製造例1)N−エチルアクリルアミドホモポリマーの合成
還流冷却器、温度計、窒素導入管及び攪拌装置を取り付けた四つ口のセパラブルフラスコにN−エチルアクリルアミド10g及びトルエン30gを添加し、窒素ガスを導入して充分に窒素雰囲気にした後、70℃まで加温し、α,α’−アゾビスイソブチロニトリル0.5gを添加して1時間還流し重合させた。反応後、析出した固形分を分取し、メタノールに溶解後、酢酸エチルを注入して沈殿析出させ、沈殿物を濾別後、真空乾燥してN−エチルアクリルアミドホモポリマー8.12g(収率81.2%)を得た。GPCによるポリスチレン換算重量平均分子量は61,900であった。このN−エチルアクリルアミドホモポリマーは水に透明に溶解し、粘稠な溶液となった。
【0058】
(製造例2)N−エチルアクリルアミドとアクリル酸の共重合体の合成
製造例1と同様の反応容器イソプロピルアルコール30gを入れ、雰囲気を窒素置換した。これにN−エチルアクリルアミド5.79gとアクリル酸4.21gを溶解し、更に、N,N−アゾビスイソブチロニトリル0.1gを添加した。反応容器を70℃に昇温し、3時間反応を行った。冷却後、反応溶液をn−ヘキサンに投入し、析出する白色固形物を分取し、イソプロピルアルコール10gに溶解させた。これを再度n−ヘキサンに投入し、析出する白色固形物を分取し、乾燥してN−エチルアクリルアミドとアクリル酸からなる共重合体9.74g(収率97.4%)を得た。得られた共重合体のGPCによるポリスチレン換算重量平均分子量は25,600であった。このN−エチルアクリルアミドとアクリル酸からなる共重合体は、水に透明に溶解した。
【0059】
(製造例3)式(8)で表される単位構造を有するポリマーの合成
メチルビニルエーテル−無水マレイン酸共重合体(ISP社製「Gantrez AN−169」平均分子量約2,500,000)2.50gに蒸留水50mLを加え、10時間還流させて加水分解を行った。その後、蒸留水を減圧留去して得られる無色の固形物を105℃で2時間乾燥させ、式(9)で表される単位構造を持つ化合物2.78gを得た。このものの1.74gを蒸留乾燥し、N−メチルピロリドン50mLに溶解させ、カルボニルジイミダゾール3.3gを添加し、室温で5時間攪拌した。次いで、エチルアミンのテトラヒドロフラン溶液(20質量%)5gを1時間かけて滴下し、滴下後更に3時間室温で攪拌した。反応終了後、N−メチルピロリドン、テトラヒドロフムクロマトグラフィーでイミダゾールを除去する精製を行い、式(8)で表される単位構造を有する無色固形状の親水性高分子1.58g(収率69%)を得た。この親水性高分子は、水に可溶であった。また、この親水性高分子のポリスチレン換算による重量平均分子量は、約3,600,000であった。
【0060】
【化12】

【0061】
[式中Rは、いずれか一方が水素原子、他方がメトキシ基(−OCH)を表す。Meはメチル基を表す。]
【0062】
【化13】

【0063】
[式中Rは、いずれか一方が水素原子、他方がメトキシ基(−OCH3)を表す。]
【0064】
実施例1〜11 油中水型リキッドファンデーション
表1に示す組成及び下記製造方法により、油中水型リキッドファンデーションを得た。得られた油中水型リキッドファンデーションについて、化粧効果の持続、使用した際の化粧膜の均一性、保湿感、べたつきのなさ、柔らかい使用感を下記方法により官能的に調べ、この結果を合わせて表1に示す。
【0065】
【表1】

【0066】
*1:KF−995(信越化学工業社製)
*2:SH200C FLUID 6CS(東レ・ダウコーニング社製)
*3:パールリーム18(日油社製)
【0067】
(製造方法)
A:成分1〜8を25℃にて混合溶解する。
B:成分9〜11、成分16〜18を25℃にて混合溶解する。
C:上記Aに上記Bを加え、パドルミキサーで乳化する。
D:上記Cに、成分12〜15を加え、パドルミキサーで分散する。
【0068】
(評価方法および評価基準)
化粧料評価専門パネル20名に、表1に記載の実施例の油中水型乳化ファンデーションを使用してもらい、「化粧効果の持続」、「化粧膜の均一性」、「保湿感」、「べたつきのなさ」、「柔らかい使用感」の其々の項目について、各自が以下の評価基準に従って5段階評価しファンデーション毎に評価点を付し、更に全パネルの評価点の平均点を以下の判定基準に従って判定した。
(1)化粧効果の持続
製造された各油中水型リキッドファンデーションを、化粧料評価専門パネルに使用してもらい、5時間後の化粧効果について下記の基準で評価した。
評価基準:
[評価結果] :[評点]
非常に良好 :5点
良好 :4点
普通 :3点
やや不良 :2点
不良 :1点
(2)化粧膜の均一性
製造された各油中水型リキッドファンデーションを、化粧料評価専門パネルに使用してもらい、化粧直後の化粧膜の状態を下記の基準で評価した。
(評価点):(評価基準)
評価基準:
[評価結果] :[評点]
非常に良好 :5点
良好 :4点
普通 :3点
やや不良 :2点
不良 :1点
(3)保湿感
製造された各油中水型リキッドファンデーションを、化粧料評価専門パネルに使用してもらい、保湿感が得られた度合いを下記の基準で評価した。
評価基準:
[評価結果] :[評点]
非常に良好 :5点
良好 :4点
普通 :3点
やや不良 :2点
不良 :1点
(4)べたつきのなさ
製造された各油中水型リキッドファンデーションを、化粧料評価専門パネルに使用してもらい、化粧直後の化粧膜のべたつきについて下記の基準で評価した。
評価基準:
[評価結果] :[評点]
非常に良好 :5点
良好 :4点
普通 :3点
やや不良 :2点
不良 :1点
(5)柔らかい使用感
製造された各油中水型リキッドファンデーションを、化粧料評価専門パネルに使用してもらい、使用後の肌の状態の柔軟性について下記の基準で評価した。
評価基準:
[評価結果] :[評点]
非常に良好 :5点
良好 :4点
普通 :3点
やや不良 :2点
不良 :1点
【0069】
判定基準
(評価点の平均点) :[判定]
4.5以上 :◎
3.5以上〜4.5未満:○
2以上〜3.5未満 :△
1.5未満 :×
【0070】
(結果)
表1の結果から明らかなように、実施例1〜11の油中水型リキッドファンデーションは、何れも化粧持ちが良く、べたつきがなく、柔らかい使用感があり、化粧膜の均一性、保湿効果に優れるものであった。
【0071】
比較例1〜9 油中水型リキッドファンデーション
実施例1〜11に準じて、表2の組成および下記製法により、油中水型リキッドファンデーションを調製した。また得られた油中水型リキッドファンデーションについても、実施例1〜11と同様にして評価した。
【0072】
【表2】

【0073】
*4 セピゲル501(SEPPIC社製)
*5 SIMULGEL EG(SEPPIC社製)
*6 シリコン KP−545(信越化学社製)
【0074】
(製造方法)
A:成分1〜8および成分15〜17を25℃にて混合溶解する。
B:成分9〜14、成分22〜24を25℃にて混合溶解する。
C:上記Aに上記Bを加え、パドルミキサーで乳化する。
D:上記Cに、成分18〜21を加え、パドルミキサーで分散する。
【0075】
表2に示されるように、比較例1〜9でも油中水型リキッドファンデーションが得られたが、いずれも化粧効果の持続や、化粧膜の均一性、保湿感、べたつきのなさ、柔らかい使用感の点で劣るものであった。
特に成分(A)の特定の水溶性ポリマーの替わりにポリアクリルアミドを用いた比較例1では経時でファンデーションの色が落ちてしまい、化粧効果の持続の点で劣っていた。
成分(A)の特定の水溶性ポリマーの替わりにキサンタンガムを用いた比較例2は経時でファンデーションの色が落ちてしまい、化粧効果の持続の点で劣っており、またべたつきを感じ、塗布後の肌表面の化粧膜が硬く、柔らかい使用感の点で劣るものであった。
成分(A)の特定の水溶性ポリマーの替わりに(アクリル酸Na/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマーを用いた比較例3では経時でファンデーションの色が落ちてしまい、化粧効果の持続の点で劣っていた。
成分(A)の特定の水溶性ポリマー替わりにトリメチルシロキシケイ酸を用いた比較例4、水添ロジン酸ペンタエリスリチルを用いた比較例5では、塗布後の肌表面の化粧膜が硬く、同時に乾燥感を感じてしまい、保湿感、柔らかい使用感の点で劣っていた。
成分(A)の特定の水溶性ポリマーの替わりに(アクリレーツ/ジメチコン)コポリマーを用いた比較例6では、塗布後、乾燥感を感じてしまい保湿感の点や塗布後の肌表面の化粧膜が硬く、柔らかい使用感の点で劣っていた。
成分(A)の特定の水溶性ポリマーを配合しない比較例7では経時でファンデーションの色が落ちてしまい、また、ファンデーションがムラ付きしてしまい、さらに、塗布後、乾燥感を感じてしまい、化粧効果の持続、化粧膜の均一性、保湿感の点で劣っていた。
成分(B)のエステル油剤を配合しない比較例8では塗布後、乾燥感を感じてしまい、塗布後の肌表面の化粧膜が硬く、保湿感、べたつきのなさ、柔らかい使用感の点で劣っていた。
成分(C)のHLB2〜9の界面活性剤の替わりにHLB10.0の界面活性剤を用いた比較例9では乳化状態が悪く、ファンデーションとしての化粧効果が得られず、化粧効果の持続、化粧膜の均一性の点で劣っていた。
【0076】
実施例12 クリーム
(成分) (%)
1.デカメチルシクロペンタシロキサン 15.0
2.メチルポリシロキサン *7 3.0
3.2−エチルヘキサン酸セチル 5.0
4.PEG−9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン
(HLB4.0) 2.0
5.部分架橋型オルガノポリシロキサン混合物 *8 2.0
6.メチル・トリフロロプロピルシクロポリシロキサン 3.0
7.製造例2の特定の水溶性ポリマー 0.5
8.パラオキシ安息香酸メチル 0.2
9.香料 0.1
10.精製水 残量
11.グリセリン 1.0
12.塩化ナトリウム 1.0
13.1,3−ブチレングリコール 10.0
14.海洋コラーゲン抽出物 0.5
*7:KF−96A・6cs(信越化学工業社製)
*8:KSG−16(信越化学工業社製)
【0077】
(製造方法)
A:成分1〜6をホモミキサーにて均一に分散混合する。
B:成分7〜14を均一に混合する。
C:AとBを乳化し、容器に充填してクリームを得た。
以上のようにして得られた実施例12のクリームは、化粧持ちが良く、べたつきがなく柔らかい使用感があり、化粧膜の均一性、保湿効果に優れる油中水型乳化化粧料であった。
【0078】
実施例13 アイカラー
(成分) (%)
1.(アクリレーツ/ジメチコン)コポリマー *6 14.0
2.ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体
(HLB4.5) 3.5
3.デカメチルシクロペンタシロキサン 14.0
4.ジカプリン酸プロピレングリコール 2.0
5.ジメチルポリシロキサン(6mm/s) 3.0
6.シリコーン処理酸化チタン *9 1.5
7.赤色226号 0.3
8.ベンガラ 0.2
9.青色404号 0.1
10.黒色酸化鉄 0.1
11.シリコーン処理タルク *10 2.0
12.シリコーン処理雲母チタン *11 3.0
13.球状ナイロン粉末(平均粒子径15μm) 3.0
14.精製水 残量
15.エチルアルコール 7.0
16.グリセリン 3.0
17.製造例1の特定の水溶性ポリマー 0.1
18.防腐剤(フェノキシエタノール) 0.1
20.香料 0.1
*9:SA−チタンCR50(80%)(三好化成社製)
*10:SA−タルクK−5μ(三好化成社製)
*11:SA−チミロンスプレンディッドゴールド(三好化成社製)
【0079】
(製造方法)
A:成分1〜13をホモミキサーにて均一に混合する。
B:成分14〜20を均一に溶解混合後、Aに加え乳化し、脱泡後、アプリケーター付き樹脂容器に充填しアイカラーを得た。
【0080】
以上のようにして得られた実施例13のアイカラーは、化粧持ちが良く、べたつきがなく柔らかい使用感があり、化粧膜の均一性、保湿効果に優れる油中水型乳化化粧料であった。
【0081】
実施例14 口紅(液状)
(成分) (%)
1.パルミチン酸デキストリン *12 5.0
2.トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル 5.0
3.ジカプリン酸プロピレングリコール 5.0
4.デカメチルシクロペンタシロキサン 20.0
5.液状ラノリン 10.0
6.(アクリレーツ/ジメチコン)コポリマー *6 5.0
7.PEG−9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン
(HLB4.0) 3.0
8.赤色226号 2.0
9.黄色酸化鉄 0.5
10.黒色酸化鉄 0.1
11.シリコーン処理酸化鉄被覆雲母チタン *13 5.0
12.球状シリカ粉末(平均粒子径10μm) 2.0
13.酸化防止剤(酢酸トコフェロール) 0.5
14.防腐剤(フェノキシエタノール) 0.3
15.精製水 残量
16.エチルアルコール 3.0
17.ジグリセリン 0.5
18.ローカストビーンガム 0.1
19.製造例1の特定の水溶性ポリマー 0.3
*12:レオパール KL(千葉製粉社製)
*13:SA−チミロンスーパークルゴールド(三好化成社製)
【0082】
(製造方法)
A:成分1〜3を90℃で加熱溶解後、そこに成分4〜14を加え、ホモミキサーにて均一分散する。
B:成分15〜19を均一に溶解後、Aに加え、乳化する。
C:Bを脱泡後、容器に充填し、口紅とした。
【0083】
以上のようにして得られた実施例14の口紅は、化粧持ちが良く、べたつきがなく柔らかい使用感があり、化粧膜の均一性、保湿効果に優れる油中水型乳化化粧料であった。
【0084】
実施例15 日焼け止め化粧料(乳液状)
(成分) (%)
1.パラメトキシ桂皮酸2−エチルヘキシル 5.0
2.(アクリレーツ/ジメチコン)コポリマー *6 20.0
3.デカメチルシクロペンタシロキサン 20.0
4.PEG−9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン
(HLB4.0) 2.0
5.シリコーン処理微粒子酸化チタン *14 5.0
6.シリコーン処理微粒子酸化亜鉛 *15 5.0
7.有機変性粘土鉱物 *16 0.5
8.有機変性粘土鉱物 *17 0.5
9.シリコーン処理シリカ *18 2.0
10.精製水 残量
11.エチルアルコール 5.0
12.グリセリン 1.0
13.製造例2の特定の水溶性ポリマー 0.5
14.香料 適量
*14:SMT−500SAS(テイカ社製)
*15:FINEX−50S−LP2(堺化学社製)
*16:ベントン27(エレメンティス社製)
*17:ベントン38(エレメンティス社製)
*18:SA−SB−300(三好化成社製)
【0085】
(製造方法)
A:成分1〜9ホモミキサーにて均一に分散混合する。
B:成分10〜14を均一に混合する。
C:AとBを乳化し、容器に充填して日焼け止め化粧料を得た。
【0086】
以上のようにして得られた実施例15の日焼け止め化粧料は、化粧持ちが良く、べたつきがなく柔らかな使用感があり、化粧膜の均一性、保湿効果に優れる油中水型乳化化粧料であった。
【0087】
実施例16:アイブロウ(スティック状)
(成分) (%)
1.セレシンワックス 10.0
2.ポリエチレンワックス 3.0
3.部分架橋型オルガノポリシロキサン *19 1.0
4.メチルフェニルポリシロキサン 3.0
5.ジメチルポリシロキサン(10mm/s) 2.0
6.デカメチルシクロペンタシロキサン 20.0
7.(アクリレーツ/ジメチコン)コポリマー *6 10.0
8.パラメトキシ桂皮酸2−エチルヘキシル 5.0
9.PEG−9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン
(HLB4.0) 2.0
10.球状ポリメタクリルサンメチル粉末(平均径10μm) 5.0
11.シリコーン処理マイカ *20 5.0
12.シリコーン処理酸化チタン *9 1.0
13.シリコーン処理ベンガラ *21 0.3
14.シリコーン処理黄色酸化鉄 *22 1.0
15.シリコーン処理黒色酸化鉄 *23 0.5
16.煙霧状疎水化シリカ *24 1.0
17.酸化防止剤(ローズマリー抽出液) 0.3
18.ビタミンA油 0.5
19.精製水 残量
20.1,3−ブチレングチコール 5.0
21.製造例3の特定の水溶性ポリマー 1.5
22.トリエタノールアミン 0.1
23.香料 適量
*19:シリコンKSG−15(信越化学工業社製)
*20:SAエクセルマイカJP−1(三好化成社製)
*21:ベンガラ七宝(三好化成社製)
*22:SA−イエローレモン(80%)(三好化成社製)
*23:SA−ブラックBL−100(100%)(三好化成社製)
*24:CAB−O−SIL TS−530(キャボット社製)
【0088】
(製造方法)
A:成分1〜9を100℃にて均一溶解する。
B:Aに成分10〜18を加えデスパミキサーにて均一分散する。
C:成分19〜23を均一に混合し、80℃にする。
D:BにCを加え、デスパミキサーにて乳化し、脱泡する。それをスティック成形用型に充填温度80℃で流し込み、冷却固化しアイブロウを得た。
【0089】
実施例16のスティック状アイブロウは、化粧持ちが良く、べたつきのない使用感があり、化粧膜の均一性、保湿効果に優れる油中水型乳化化粧料であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(A)〜(D);
(A)次の〔1〕〜〔3〕から選ばれる1種又は2種以上の水溶性ポリマー;
〔1〕式(1)
【化1】

[式中、R1は水素原子又はメチル基を示し、R2は水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基を示し、R3は炭素数1〜3のアルキル基又は炭素数1〜3のヒドロキシアルキル基を示す]で表される繰返し単位の1種又は2種以上からなり、重量平均分子量(Mw)が5,000〜150,000であり、温度30℃、相対湿度60%における当該ポリマーの50質量%水溶液の6時間放置後の質量減少率が25質量%以下である水溶性(メタ)アクリルアミドポリマー
〔2〕式(1)
【化2】

[式中、R1は水素原子又はメチル基を示し、R2は水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基を示し、R3は炭素数1〜3のアルキル基又は炭素数1〜3のヒドロキシアルキル基を示す]で表される1種又は2種以上の繰返し単位(Z1)と、水溶性のホモポリマーを与える重合性単量体に由来する1種又は2種以上の繰返し単位(Z2)とを含有し、Z1:Z2のモル比が99.98:0.02〜10:90であり、温度30℃、相対湿度60%における当該ポリマーの50質量%水溶液の6時間放置後の質量減少率が25質量%未満である水溶性(メタ)アクリルアミド系コポリマー
〔3〕式(2)
【化3】

[式中、Xは、−NHR4またはOMを示す(但し、両Xが同時にOMの場合は除く。R4は炭素数1〜3のアルキル基、Mは水素原子またはアルカリ金属原子または有機塩基基を示す。)。Rは、一方が水素原子、他方が水素原子、炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜3のアルコキシ基、フェニル基、アセトキシ基、カルボキシ基、塩型カルボキシ基、アミド基、Nモノアルキル置換アミド基から選ばれる1種を示す。]で表される1種又は2種以上の単位構造を有する水溶性ポリマー
(B)エステル油剤
(C)HLB2〜9の界面活性剤
(D)精製水
を含有することを特徴とする油中水型乳化化粧料。
【請求項2】
さらに成分(E)として粉体を含有することを特徴とする油中水型乳化化粧料。
【請求項3】
成分(B)のエステル油の分子量が100〜1000であることを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の油中水型乳化化粧料。
【請求項4】
成分(F)として揮発性油剤を含有することを特徴とする請求項1〜3の何れかの項記載の油中水型乳化化粧料。
【請求項5】
成分(C)の界面活性剤がシリコーン系界面活性剤であることを特徴とする請求項1〜4の何れかの項記載の油中水型乳化化粧料。
【請求項6】
成分(E)の粉体として酸化チタン及び/または酸化亜鉛を含有することを特徴とする請求項1〜5の何れかの項記載の油中水型乳化化粧料。

【公開番号】特開2012−214467(P2012−214467A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−78639(P2012−78639)
【出願日】平成24年3月30日(2012.3.30)
【出願人】(000145862)株式会社コーセー (734)
【Fターム(参考)】