説明

油中水型乳化化粧料

【課題】使用時にベタつきがなく、潤い感が良好であり、且つ、潤い感の持続に優れた、経時安定性、皮膚安全性、使用感触が良好な油中水型乳化化粧料を提供する。
【解決手段】(A)有機変性粘土鉱物と、(B)HLB5〜8のエチレンオキサイド付加のエステル系ノニオン界面活性剤と、(C)HLB5未満の常温で固形のノニオン界面活性剤と、(D)HLB5未満の常温で液状のノニオン界面活性剤と、(E)ワックス類と、(F)保湿剤と、(G)前記(E)ワックス類とは異なる油分と、(H)水と、を含有する油中水型乳化化粧料。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は塗布後の潤いが長時間に亘って持続し、かつ、乳化の経時安定性、皮膚安全性、使用感触に優れたクリーム状の油中水型乳化化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、気候変動や都市部での環境悪化、食生活の変化や精神的なストレスなどの影響により、乾燥肌の人が多くなってきている。また、女性の就業率も高くなり長時間外で働くことも多くなってきている。こうした背景から、化粧料を塗布した後、潤いが長時間持続する化粧料を使用したいという要望が年々強まってきている。
【0003】
水中油型乳化剤型より油中水型乳化剤型の方が閉塞性、保水性とも優れているという結果が報告されており(例えば、非特許文献1参照)、また、潤いの持続感も油中水型乳化剤型の方が優れていることは経験から知られている。
【0004】
このように、優れた潤い感、持続感が期待されるにも関わらず、潤い感に優れた油分である炭化水素油、エステル油、及び植物油などを主たる油分として含む油中水型乳化製剤のクリーム状商品はほとんど上市されていないのが現状である。
その理由として、水中油型乳化製剤に比べ油中水型乳化製剤においては、油中水型乳化粒子の経時安定性を維持することの困難さが挙げられる。特に、シリコーン油や鉱物油などに比較して、化粧料として有用な潤い性に優れた炭化水素油、エステル油、及び植物油などを主たる油分として含む油中水型乳化製剤の経時安定性を保つのは一段と困難であるのが現状である。
【0005】
従来、油中水型乳化製剤の経時安定性を保つために、液状の油分に加え、ワックス類などの常温で固形の油分を配合して乳化系の安定化を向上させる方法が行われていたが、高温条件下、具体的にはワックス類の融点近傍以上の温度条件下で保存された場合などには油分の分離が生じる懸念があり、そのような状態となった場合、商品価値を著しく低下させてしまうという問題があった。
【0006】
このような従来技術に鑑み、様々な乳化技術の向上が試みられている。例えば、油中水型乳化組成物に対し、アミノ酸と特定の界面活性剤を添加してゲル状とすることで乳化粒子を安定化する技術が提案されている(例えば、非特許文献2参照)、しかしながら、製造工程が複雑であり、且つ、乳化に高剪断力が必要であり、高価な機械装置を特定条件で操作しなければならず、簡易に安定な乳化物を持続的に製造するのは困難であるという欠点がある。
また、有機変性粘土鉱物と特定のHLB値を持つ界面活性剤を添加することで、安定な油中水型乳化製剤を得ることが報告されているが(例えば、非特許文献3参照。)、得られた油中水型乳化製剤の粘度が低いために、乳化化粧料の主たる用途であるクリーム状の製品とするためには、内水相比を高めるか有機変性粘土鉱物の配合量を増やす必要があり、内水相比を高めれば高めるほど水分が失われやすく、潤い感の持続面で欠点があり、有機変性粘土鉱物を増やすほどべたつくなどの欠点がある。また、同様な技術を用いたシリコーン油主体の技術開発(例えば、特許文献1参照。)が行われている、シリコーン油が主体のため潤い感が乏しく、また、得られる油中水型乳化製剤の粘度が低く、さらに、ビーズミルを用いて有機変性粘土鉱物を薄片化しなければならず製造するのに手間がかかるという欠点がある。また、特定の界面活性剤と特定のアミノ酸誘導体およびその塩を使用し、内水相比を高めた技術開発(例えば、特許文献2参照。)が行なわれているが、内相比を高めれば高めるほど水分が失われやすく、潤い感の持続面で欠点がある。また、特定の界面活性剤と特定の油溶性高分子と粉末を高配合した技術開発(例えば、特許文献3参照。)が行なわれているが、高分子特有のべたつき感が生じ、また、粉末による乾燥感が生じるなど目的とする高い潤い感を有するクリーム状商品を得るのは難しいという欠点がある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】 日本化粧品技術者会会誌Vol.17,No.2(1983)P116−120
【非特許文献2】 日本化粧品技術者会会誌Vol.11,No.2(1977)P58−66
【非特許文献3】 日本化粧品技術者会会誌Vol.26,No.4(1993)P229−237
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】 特開2008−63331号公報
【特許文献2】 特開2011−98891号公報
【特許文献3】 特開2010−116354号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
以上のような状況に鑑みなされた本発明の目的は、使用時のベタつきがなく、潤い感が良好であり、且つ、潤い感の持続に優れた、経時安定性、皮膚安全性、使用感触が良好な油中水型乳化化粧料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記事情を鑑み、本発明者等が鋭意検討を行った結果、有機変性粘土鉱物と特定の界面活性剤とワックス類を組み合わせて使用することで、炭化水素油、エステル油、及び植物油などを主たる油分として用いた場合でも、潤い感の持続に優れ、経時安定性、皮膚安全性、使用感触が良好であり、消費者の安全性志向や肌への効果期待感を満足させ得るクリーム状化粧料に好適な油中水型乳化化粧料が得られることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明の構成は、以下に示すとおりである。
<1> (A)有機変性粘土鉱物と、(B)HLB5〜8のエチレンオキサイド付加のエステル系ノニオン界面活性剤と、(C)HLB5未満の常温で固形のノニオン界面活性剤と、(D)HLB5未満の常温で液状のノニオン界面活性剤と、(E)ワックス類と、(F)保湿剤と、(G)前記(E)ワックス類とは異なる油分と、(H)水と、を含有する油中水型乳化化粧料である。
<2> 前記(A)有機変性粘土鉱物が、アルキルアンモニウム変性粘土鉱物である<1>に記載の油中水型乳化化粧料である。
<3> 前記(B)HLB5〜8のエチレンオキサイド付加のエステル系ノニオン界面活性剤が、イソステアリン酸硬化ヒマシ油、トリイソステアリン酸硬化ヒマシ油、ラウリン酸硬化ヒマシ油、トリイソステアリン酸グリセリル、トリステアリン酸グリセリル、及びジイソステアリン酸グリセリルのPOE付加物からなる群より選ばれる1種以上である<1>又は<2>に記載の油中水型乳化化粧料である。
<4> 前記(C)HLB5未満の常温で固形のノニオン界面活性剤が、脂肪酸ソルビタン及び脂肪酸グリセリドからなる群より選ばれる1種以上である<1>〜<3>のいずれか1項に記載の油中水型乳化化粧料である。
<5> 油中水型乳化化粧料における内相の比率が、45質量%〜70質量%であり、且つ、外相の比率が55質量%〜30質量%である<1>〜<4>のいずれか1項に記載の油中水型乳化化粧料である。
本発明によれば、幅広い使用感触を有する消費者の化粧品使用に対する効果期待感を満足させる油中水型乳化化粧料を得ることができる。本発明の油中水型乳化化粧料はクリーム剤型の化粧料(例えば、医薬部外品)として好適に使用することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、使用時のベタつきがなく、潤い感が良好であり、且つ、潤い感の持続に優れた、経時安定性、皮膚安全性、使用感触が良好な油中水型乳化化粧料を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の油中水型乳化化粧料(以下、単に「乳化化粧料」又は「本発明の乳化化粧料」と称することがある)は、油中水型乳化粒子の水相の主成分としての(H)水、水溶性又は油溶性の(F)保湿剤、及び油相の主成分としての常温で液状の(G)油分を含有し、さらに(A)有機変性粘土鉱物、(B)HLB5〜8のエチレンオキサイド付加型エステル系ノニオン界面活性剤、(C)HLB5未満の常温で固形のノニオン界面活性剤、(D)HLB5未満の常温で液状のノニオン界面活性剤、及び(E)ワックス類を含むものである。
以下、それぞれの成分について説明する。
【0013】
なお、本明細書では、ポリオキシブチレンを「POB」、ポリオキシエチレンを「POE」、ポリオキシプロピレンを「POP」と、それぞれ略称することがある。
また、「アクリル」、「メタクリル」のいずれか或いは双方を指す場合「(メタ)アクリル」と記載することがあり、「アクリレート」、「メタクリレート」のいずれか或いは双方を指す場合「(メタ)アクリレート」と記載することがある。
【0014】
(A)有機変性粘土鉱物
本発明に用いられる有機変性粘土鉱物は、粘土鉱物(例えばモンモリロナイト、サポナイト、ヘクトライト、ベントナイト、スメクタイトなど)の結晶層間に介在する変換性カチオンを有機極性化合物や有機カチオンで置換したものなどが挙げられる。
即ち、本発明に用いうる有機変性粘土鉱物は、ヘクトライト、モンモリロナイト、サポナイト、ヘクトライト、ベントナイト、スメクタイトなどの公知の粘土鉱物を、有機カチオンで処理したものが挙げられる。処理方法としては、有機カチオンを適切な溶剤に溶解又は分散させ、ここに粘土鉱物を浸漬後、ろ過した後、ろ液を乾燥して有機変性された粘土鉱物を作製する方法が好ましい。乾燥方法としては、ニーダーを用いて乾燥する方法、スプレードライを用いて乾燥する方法、凍結乾燥する方法などが挙げられる。乾燥方法としてはコスト面からニーダーを用いて乾燥する方法が好ましい。
なお、粘土鉱物の変性に用いられる有機カチオンとしては、アルキルアンモニウムクロライドなどのアンモニウム化合物から選ばれる1種以上が挙げられ、なかでも、ジメチルジステアリルアンモニウムクロライドが好ましい。
【0015】
なお、本発明における(A)有機変性粘土鉱物は、乳化化粧料中において、有機変性粘土鉱物の状態で存在すればよく、既述の予め有機変性された粘土鉱物を乳化化粧料に添加する以外、例えば、合成スメクタイト(ケイ酸アルミニウムマグネシウム)などの未変性粘土鉱物と該粘土鉱物を有機変性させうる有機カチオンであるカチオン界面活性剤を別々に配合し、乳化組成物製造工程において、系中で粘土鉱物を有機変性させてもよい。この場合においても、得られた乳化化粧料中に、有機変性粘土鉱物が存在することになる。
【0016】
本発明に用いうる有機変性粘土鉱物の具体例としては、例えば、ジメチルジステアリルアンモニウムヘクトライト(=クオタニウム−18ヘクトライト)、ジメチルジステアリルアンモニウムベントナイト(=クオタニウム−18ベントナイト)、ベンジルジメチルステアリルアンモニウムヘクトライト、ジオクタデシルジメチルアンモニウム塩変性モンモリロナイト、オクタデシルジメチルベンジルアンモニウム塩変性モンモリロナイト、及びジヘキサデシルジメチルアンモニウム塩変性モンモリロナイト、ジメチルジステアリルアンモニウムスメクタイト等が挙げられる。
本発明に用いられる有機変性粘土鉱物は、例えば、「ベントン38V」(化学名:クオタニウム−18ヘクトライト)、「ベントン34」(化学名:クオタニウム−18ベントナイト)、「ベントン27」(化学名:ベンジルジメチルステアリルアンモニウムヘクトライト)(以上商品名:いずれもレオックス社製)、「クレイトーン40」、「クレイトーンSO」(以上商品名:いずれもサザン・クレイ社製)等として市販されており、商業的に入手可能である。
【0017】
本発明の乳化化粧料に用いられる上記有機変性粘度鉱物としては、ヘクトライトを有機変性したものが好適であり、より具体的には、経時での安定性向上の観点から、ベンジルジメチルステアリルアンモウニウムヘクトライト、ジメチルジステアリルアンモニウムヘクトライト等が好ましく、ジメチルジステアリルアンモニウムヘクトライトを用いることが特に好ましい。
【0018】
(A)有機変性粘土鉱物は、本発明の油中水型乳化化粧料全量に対して1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(A)有機変性粘土鉱物の配合率は、本発明の油中水型乳化化粧料全量に対して0.5〜5質量%程度が好ましく、特には1.0質量%〜3質量%の範囲である。なお、2種以上の有機変性粘土鉱物を併用する場合には、上記配合率は、総含有量の配合比率を意味する。
【0019】
(B)HLB5〜8のエチレンオキサイド付加型エステル系ノニオン界面活性剤
本発明で用いられるHLB5〜8のエチレンオキサイド付加のエステル系ノニオン界面活性剤(以下、適宜(B)界面活性剤と称する)は、上記HLB及び構造を満たすものであれば、適宜選択して使用することができる。
なお、本明細書においては、ノニオン界面活性剤のHLBは、ノニオン界面活性剤が市販品である場合には、メーカーカタログ記載のHLB値又はメーカーカタログ記載のIOB値×10の値を採用しており、また、市販品ではない場合には、当該ノニオン界面活性剤における、〔(文献に記載のIOB値)×10〕の値を採用している。
【0020】
以下、本発明で用いられるHLB5〜8のエチレンオキサイド付加型エステル系ノニオン界面活性剤を挙げるが本発明はこれに限定されない。なお、以下の化合物において「POE(20−30)」と記載した場合、当該界面活性剤のPOE(ポリエチレンオキサイド)付加モル数が20〜30の範囲であることを意味する。
本発明に用いうる(B)界面活性剤としては、脂肪酸エステルのPOE付加物が好ましく、脂肪酸硬化ひまし油のPOE付加物、脂肪酸グリセリルのPOE付加物であって、POE付加モル数が3〜30程度のものが好ましい。具体的には、例えば、トリイソステアリン酸POE(20−30)硬化ヒマシ油(HLB:5.7〜7.2)、イソステアリン酸POE(10−20)硬化ヒマシ油(HLB:5.4〜7.8)、トリイソステアリン酸POE(10−20)グリセリル(HLB:5.0〜7.8)、イソステアリン酸POE(3−5)グリセリル(HLB:6.0〜7.7)、ジイソステアリン酸POE(10)グリセリル(HLB:6.9)、トリオレイン酸POE(10−20)グリセリル(HLB:5.0〜7.8)、イソステアリン酸POE(3)(HLB:6.6)、POE(5−10)硬化ヒマシ油(HLB:5.1〜6.9)、ステアリン酸POE(8)ラウリルエーテル(HLB:6.6)、イソステアリンPOE(8)ラウリルエーテル(HLB:6.6)、ステアリン酸POE(7)セチルエーテル(HLB:5.5)、ステアリン酸POE(9−12)ステアリルエーテル(HLB:6.3〜7.5)、ジラウリン酸POE(5−6)(HLB:5.4〜6.9)、ジステアリン酸POE(6−12)(HLB:5.2〜7.9)、ジイソステアリン酸POE(6−12)(HLB:5.2〜7.9)、ジオレイン酸POE(6−12)(HLB:5.2〜7.9)、トリイソステアリン酸POE(20)トリメチロールプロパン(HLB:7.8)などが挙げられる。
【0021】
なかでも、POEが10〜30付加した脂肪酸硬化ヒマシ油、又はPOEが10〜30付加した脂肪酸グリセリルが好ましく、イソステアリン酸硬化ヒマシ油、トリイソステアリン酸硬化ヒマシ油、ラウリン酸硬化ヒマシ油、トリイソステアリン酸グリセリル、トリステアリン酸グリセリル、ジイソステアリン酸グリセリルなどにPOEが10〜30モル付加した化合物がさらに好ましい。
上記の中でも、トリイソステアリン酸POE(20)硬化ヒマシ油が特に好ましい。
【0022】
本発明で用いられるHLB5〜8のエチレンオキサイド付加のエステル系ノニオン界面活性剤の配合量は有機変性粘土鉱物の配合量に対し質量比で0.5〜7.0の範囲で用いるのが好ましく、特に好ましくは0.7〜5.0の範囲で用いるのが好ましい。HLB5〜8のエチレンオキサイド付加のエステル系ノニオン界面活性剤は1種または2種以上を用いることができる。
【0023】
(C)HLB5未満の常温で固形のノニオン界面活性剤
ここで、「常温で固形」とは、常温、即ち25℃の温度条件下で流動性を有しないことを示す。
本発明で用いられるHLB5未満の常温で固形のノニオン界面活性剤(以下、適宜、(C)界面活性剤と称する)としては、この物性を満たすものであれば特に制限なく用いられ、例えば、脂肪酸グリセリド、脂肪酸ソルビタン、蔗糖脂肪酸エステルなどの常温で固形の化合物が挙げられ、具体的には、例えば、オレイン酸モノグリセリド(HLB:2.5)、ステアリン酸モノグリセリド(HLB:3.0)、モノ・ジステアリン酸ソルビタン(HLB:4.2)、ペンタステアリン酸デカグリセリン(HLB:3.5)などが挙げられる。また、以下に示す常温で固形であってHLBが5未満のノニオン性界面活性剤も好ましく使用される。例えば、パーム油硬化モノグリセリド、ナタネ硬化油モノ・ジグリセリド、ステアリン酸モノ・ジグリセリド、モノ・ジパルミチン酸ソルビタン、ペンタステアリン酸デカグリセリン、デカステアリン酸デカグリセリン、ヘキサステアリン酸ペンタグリセリン、50%アセチル化ステアリン酸モノグリセリド、ステアリン酸・リンゴ酸モノグリセリド、蔗糖ステアリン酸エステルなどである。
なお、上記例示化合物中、ステアリン酸モノ・ジグリセリドは、ステアリン酸グリセリドとステアリン酸ジグリセリドとの混合物を指し、モノ・ジステアリン酸ソルビタンとは、ステアリン酸ソルビタンとジステアリン酸ソルビタンとの混合物を指し、ステアリン酸・リンゴ酸モノグリセリドとはステアリン酸モノグリセリドとリンゴ酸モノグリセリドとの混合物を指す。
【0024】
上記の中でも、モノステアリン酸ソルビタンとジステアリン酸ソルビタンとの混合物、及び、ステアリン酸モノグリセリドから選ばれる1種以上が特に好ましい。
【0025】
HLB5未満の常温で固形のノニオン界面活性剤の配合量は、本発明化粧料全量に対して0.2〜5質量%程度が好ましく、特には0.5〜3質量%程度が好ましい。HLB5未満の常温で固形のノニオン界面活性剤は1種または2種以上を用いることができる。
【0026】
(D)HLB5未満の常温で液状のノニオン界面活性剤
ここで、「常温で液状」とは、常温、即ち25℃の温度条件下で流動性を有することを示す。
本発明で用いられるHLB5未満の常温で液状のノニオン界面活性剤(以下、適宜、(D)界面活性剤と称する)としては、この物性を満たすものであれば特に制限なく用いられるが、例えば、モノイソステアリン酸グリセリド(HLB:4.0)、モノ・ジイソステアリン酸ソルビタン(HLB:4.5)、モノオレイン酸ソルビタン(HLB:4.3)などが挙げられる。また、以下に示す常温で液状であってHLBが5未満のノニオン性界面活性剤も好ましく使用される。例えば、ジイソステアリン酸グリセリド、ジオレイン酸グリセリド、モノイソステアリン酸ソルビタン、モノオレイン酸プロピレングリコール、ジイソステアリンジグリセリン、ペンタオレイン酸デカグリセリン、デカオレイン酸デカグリセリン、(ステアリン酸/リンゴ酸)グリセリド、イソステアリン酸POE(3)ソルビットなどが挙げられる。
【0027】
HLB5未満の常温で液状のノニオン界面活性剤の配合量は、本発明化粧料全量に対して0.2〜5質量%程度が好ましく、特には0.5〜3質量%程度が好ましい。HLB5未満の常温で液状のノニオン界面活性剤は1種または2種以上を用いることができる。
【0028】
(E)ワックス類
本発明の化粧料に用いられるワックス類としては、常温(25℃)で固形の油性成分であって、通常化粧料に用いられるものであれば制限なく使用することができる。
本発明で用いるワックス類として、モクロウ、硬化ヒマシ油、ミツロウ、キャンデリラロウ、綿ロウ、カルナウバロウ、ベイベリーロウ、イボタロウ、鯨ロウ、モンタンロウ、ヌカロウ、カポックロウ、サトウキビロウ、ジョジョバロウ、セラックロウ、マイクロクリスタリンワックス、セレシン、パラフィンなどのロウ・パラフィンワックス類、ベヘニルアルコール、ステアリルアルコール、セチルアルコール等の高級アルコール類、ベヘニン酸、ステアリン酸、ミリスチン酸等の高級脂肪酸類、カカオ脂、ヤシ油、馬脂、硬化ヤシ油、パーム油、牛脂、羊脂、硬化牛脂、パーム核油、豚脂、牛骨脂、モクロウ核油、硬化油、牛脚脂、ラウリン酸ヘキシル、デキストリンパルミチン酸エステル、ワセリン、ポリエチレン、バチルアルコールなどの固形油分、コレステロール、フィトステロール、12−ヒドロキシステアリン酸コレステリル、ラノリン脂肪酸コレステリル、イソステアリン酸コレステリル、リシノール酸コレステリル、マカデミアナッツ油脂肪酸コレステリル等のコレステロールエステル、12−ヒドロキシステアリン酸フィトステリル、ラノリン脂肪酸フィトステリル、イソステアリン酸フィトステリル、リシノール酸フィトステリル、マカデミアナッツ油脂肪酸フィトステリル等のフィトステロールエステル、ラノリン、ラノリンアルコール、水添ラノリンアルコール、ラノリン脂肪酸、ヘキサ(ヒドロキシステアリン酸/ステアリン酸/ロジン酸)ジペンタエリスリチル、(ヒドロキシステアリン酸/イソステアリン酸)ジペンタエリスリチル等のジペンタエリトリット、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(コレステリル又はフィトステリル/ベヘニル/オクチルドデシル)、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(コレステリル又はフィトステリル/オクチルドデシル)などが挙げられる。
ワックス類は、乳化化粧料を加熱調製される際には溶融状態で油相に含まれ、乳化化粧料の調整後には、外相中に、液状油との相溶状態で存在するか、或いは、固体分散状態で存在することになる。
【0029】
ワックス類は本発明の乳化化粧料に1種のみ含まれてもよく、2種以上を併用してもよい。
ワックス類の配合量は、本発明の化粧料全量に対して0.5質量%〜8質量%程度が好ましく、特には0.7〜5質量%程度が好ましい。
【0030】
本発明の油中水型乳化化粧料は、前記(A)成分〜(E)成分に加え、油中水型乳化粒子の水相の主成分としての(H)水、水溶性又は油溶性の(F)保湿剤、及び油相の主成分としての常温で液状であり、前記(E)ワックス類とは異なる(G)油分を含有することを要する。
(F)保湿剤
本発明の乳化化粧料に用いられる保湿剤としては、化粧料に用いられる公知の保湿剤であれば、特に制限はなく、例えば、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,2−ペンタンジオール、ヘキシレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパンなどの多価アルコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ジグリセリン、トリグリセリン、テトラグリセリン、ポリグリセリンなどの多価アルコール重合体、ジプロピレングリコールエチルエーテル、ポリオキシブチレン(以下、POB)ポリオキシエチレン(以下、POE)ポリオキシプロピレン(以下、POP)グリセリルエーテル、POPジグリセリルエーテル、POEジグリセリルエーテルなどの多価アルコール誘導体、エリトロース、エリトルロース、トレオース、デオキシリボース、リキソース、アラビノース、リボース、リブロース、キシルロース、グルコース、タロース、プシコース、ガラクトース、マンノース、タガトース、フコース、フクロース、ラムノース、セドヘブツロース、スクロース、マルトース、ツラノース、セロビオース、ラクトース、トレハロース、ラフィノース、メレジトース、マルトトリオース、アカルボース、スタキオース、フラクトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、マンナンオリゴ糖、デキストリンなどの糖類、エリトリトール、アラビニトール、キシリトール、ソルビトール、マルチトール、マンニトール、ダルシトールなどの糖アルコール、グルコシルトレハロース、アスコルビン酸グルコシド、POEメチルグルコシド、POPメチルグルコシド、ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリンなどの糖誘導体、ソルビトールリン酸エステル、キシリトールリン酸エステル、POEマルチトールなどの糖アルコール誘導体、グリシン、トレオニン、アラニン、チロシン、バリン、ロイシン、アルギニン、リジン、プロリン、アスパラギン酸、グルタミン酸、セリン、ヒドロキシプロリンなどのアミノ酸およびこれらの誘導体、ピロリドンカルボン酸ナトリウム等のピロリドンカルボン酸塩、コンドロイチン硫酸ナトリウム、ヒアルロン酸ナトリウム、ベタイン、尿素、POE・POPジメチルエーテルなどが挙げられる。単独で用いることも2種以上を配合することもできる。
これらの保湿剤は、油溶性の材料であれば、油中水型乳化化粧料の油相に含まれればよく、水溶性の材料であれば水相に含まれればよい。また、微細な固形分として系中に均一分散されて含まれてもよい。
保湿剤には、特に制限はなく、本発明の化粧料の目的や、併用される成分との親和性などを考慮して適宜選択して用いればよい。
保湿剤の含有率としては、化粧料に用いられる全成分に対し、2質量%〜30質量%の範囲であることが好ましい。
【0031】
(H)水
本発明の乳化化粧料には、水相成分の主成分として水を含有する。乳化化粧料に含まれる水は不純物を含まないことが好ましいため、イオン交換水や純粋を用いることが好ましい。水の含有量は、本発明の乳化化粧料の好ましい剤形に応じて適宜選択されるが、後述する、内相、即ち乳化粒子を構成する水相の好ましい含有量に依存して決定される。
【0032】
〔水相に含まれうるその他の成分〕
また、水相(内相)には、水に加えて、さらにその他の水相成分を併用してもよい。
水と併用可能な、水相に配合しうる成分としては水と相溶性を有するもの、水に溶解或いは均一に分散しうるものであれば特に制限はなく、水性の有機溶媒、各種水溶性、及び水分散性の有効成分などを併用してもよい。
所望により水相に添加される成分としては、例えば、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、イソブチルアルコール、t−ブチルアルコールなどの1価アルコール;
アミノカプロン酸、クエン酸、乳酸、グリコール酸、酒石酸などのα−ヒドロキシ酸およびこれらのナトリウム、カリウム等の塩;
アスコルビン酸、ピロ亜硫酸ナトリウムなどの酸化防止剤;
メチルパラベン、デヒドロ酢酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、フェノキシエタノールなどの防腐剤;
サリチル酸、エデト酸、メタリン酸などのキレート剤
胎盤抽出物、ニコチン酸アミド、パントテニールエチルエーテル、パントテン酸、グリチルリチン酸ジカリウム、ビオチン、ピリドキシン塩酸塩、アデノシン三リン酸、α−リポ酸、ローヤルゼリー、3−O−エチルアスコルビン酸、アスコルビン酸リン酸マグネシウム、アルブチン、グルコシルヘスペリジン、グルコシルルチンなどの薬剤;
などが挙げられる。
【0033】
また、乳化粒子の安定性を向上させるために水溶性増粘剤を用いてもよく、水溶性増粘剤として、例えば、アラビアガム、トラガントガム、ガラクタン、グアガム、キャロブガム、カラヤガム、ジェランガム、カラギーナン等の植物系高分子;
キサンタンガム、デキストラン、サクシノグルカン、プルラン、バイオヒアルロン酸ナトリウム等の微生物系高分子;
コラーゲン、カゼイン、アルブミン、ゼラチン等の動物系高分子;
カルボキシメチルデンプン、メチルヒドロキシプロピルデンプン等のデンプン系高分子;
メチルセルロース、エチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、セルロース硫酸ナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、結晶セルロース等のセルロース系高分子;
アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル等のアルギン酸系高分子;
ポリビニルアルコール、ポリビニルアセテート、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルピロリドン、ビニルピロリドンとビニルアセテート共重合物、カルボキシビニルポリマー等のビニル系高分子;
ポリアクリル酸ナトリウム、ポリエチルアクリレート、ポリアクリル酸アルカノールアミン、アルキルメタクリレートとジメチルアミノエチルメタクリレート共重合物、ポリ2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、ポリメタクリロイルオキシトリメチルアンモニウムなどのアクリル系高分子;
2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンをモノマーとして含む高分子;
などが挙げられる。
【0034】
(G)前記(E)ワックス類とは異なる油分
本発明において油相に含まれる(G)前記(E)ワックス類とは異なる油分とは、常温(25℃)において液体の油性成分を指す。本発明に用いうる(G)油分としては、常温で液状であり、化粧料に使用しうる油分であれば特に制限はなく、炭化水素油、エステル油、植物油、動物性油分、鉱物油、シリコーンオイルなどが挙げられ、肌への感触や潤い性を付与しうるという観点からは、炭化水素油、エステル油、及び植物油から選ばれる1種以上が好ましい。
植物油としては、例えば、アボガド油、ツバキ油、マカデミアナッツ油、トウモロコシ油、オリーブ油、ナタネ油、マ油、パーシック油、小麦胚芽油、サザンカ油、ヒマシ油、アマニ油、サフラワー油、綿実油、エノ油、大豆油、落花生油、茶実油、カヤ油、コメヌカ油、シナギリ油、日本キリ油、ホホバ油、及び胚芽油などが挙げられる。
動物性油分としては、例えば、スクワラン、タートル油、ミンク油、及び卵黄油などが挙げられる。
エステル油としては、例えば、トリイソオクタン酸グリセリル、トリイソパルミチン酸グリセリル、イソパルミチン酸オクチル、イソステアリン酸イソプロピル、イソステアリン酸イソステアリル、イソステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸ヘキシル、イソステアリン酸ミリスチル、オクタン酸イソセチル、イソオクタン酸セチル、オクタン酸イソステアリル、イソノナン酸イソデシル、ジメチルオクタン酸オクチルドデシル、ミリスチン酸オレイル、エルカ酸イソステアリル、ステアリン酸イソセチル、ステアリン酸オクチル、パルミチン酸イソステアリル、パルミチン酸イソセチル、パルミチン酸オクチル、ミリスチン酸イソステアリル、ミリスチン酸イソセチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、ミリスチン酸デシル、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、セバシン酸ジオクチル、12−ステアロイルオキシステアリン酸オクチルドデシル、ステアロイルグルタミン酸ジオクチルドデシル、アジピン酸ジオクチル、リンゴ酸ジイソステアリル、乳酸オクチルドデシル、乳酸イソステアリル、パラジメチルアミノ安息香酸オクチルなどが挙げられる。
また、炭化水素油としては、流動パラフィン、イソパラフィン、α−オレフィンオリゴマー、ポリブテン、2−オクチルドデカノール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール、ホホバアルコール、エライジルアルコール、リノレイルアルコール、リノレニルアルコール、イソステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、2−オクチルドデカン酸などが挙げられる。
シリコーンオイルとしては、例えば、デカメチルテトラシロキサン、ドデカメチルペンタシロキサン、テトラデカメチルヘキサシロキサン、ヘキサデカメチルヘプタシロキサンなどのジメチルポリシロキサン類;
オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、テトラデカメチルシクロヘプタシロキサンなどの環状ポリシロキサン類;
メチルフェニルポリシロキサンなどが挙げられる。これらは単独で用いることも2種以上を配合することもできる。
【0035】
〔油相に含まれうるその他の成分〕
油相は、液状の油分に溶解或いは分散しうる種々の化合物を含んでいてもよい。
油相には、例えば、潤い性や肌に対する種々の効果が期待される有効成分を含むことも好ましい。油相に添加しうる有効成分としては、例えば、セラミド1、セラミド2、セラミド3、セラミド4、セラミド5、セラミド6I、セラミド6IIなどのセラミド類;
スフィンゴシン、フィトスフィンゴシン、スフィンゴ糖脂質、スフィンゴリン脂質などの脂質類;
グリチルレチン酸、グリチルレチン酸アルキル、ベツリン酸、ベツリン酸アルキル、オレアノール酸、オレアノール酸アルキル、ウルソル酸、ウルソル酸アルキル、ウルソル酸ベンジルなどの環式トリテルペン化合物とその誘導体;
グラブリジンなどのイソフラバン類;
補酵素Qなどのベンゾキノン誘導体、チオクト酸などの酵素補助因子;
β−カロチン、リコピン、アスタキサンチンなどのカロテノイド類;
レチノール、酢酸レチノール、パルミチン酸レチノールなどのレチノール誘導体;
リボフラビン酪酸エステル、ジカプリル酸ピリドキシン、ジパルミチン酸ピリドキシン、ジラウリン酸ピリドキシンなどのビタミンB類縁化合物の誘導体;
ジパルミチン酸アスコルビル、テトラヘキシルデカン酸アスコルビルなどのアスコルビン酸誘導体;
エルゴカルシフェロール、コレカルシフェロールなどのビタミンD関連化合物;
酢酸トコフェロールなどのトコフェロール誘導体などの油溶性薬剤;
などが挙げられる。
【0036】
また、例えば、エチルパラベン、プロピルパラベンなどの防腐剤、油溶性の紫外線吸収剤などを配合してもよい。
油溶性紫外線吸収剤として、例えば、メトキシ桂皮酸オクチル、メトキシ桂皮酸ブチル、メトキシ桂皮酸イソプロピル、トリメトキシ桂皮酸メチルビス(トリメチルシロキシ)シリルイソペンチル、ジパラメトキシ桂皮酸モノ−2−エチルヘキサン酸グリセリル、4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン、2,4,6−トリス[4−(2−エチルヘキシルオキシカルボニル)アニリノ]1,3,5−トリアジン、ヒドロキシメトキシベンゾフェノンスルホン酸ナトリウム、サリチル酸オクチル、サリチル酸ホモメンチル、メチルベンジリデンカンファー、2−シアノ−3,3−ジフェニルプロパ−2−エン酸−2−エチルヘキシルエステル、2,4−ビス{[4−(2−エチルヘキシルオキシ)−2−ヒドロキシ]フェニル}−6−(4−メトキシフェニル)1,3,5−トリアジン、2,2’−メチレン−ビス{6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール}などが挙げられる。
【0037】
〔化粧料に含みうるその他の成分〕
その他の化粧料に配合する成分として、銀ゼオライト、クロルヒドロキシアルミニウム、メントールなどの薬剤、酸化チタン、酸化亜鉛、タルク、マイカ、カオリン、酸化鉄、チタンマイカ、シリカ、多孔質シリカ、ナイロン、ポリエチレン、ポリメタクリル酸メチル、セルロースなどの粉末、苛性カリ、苛性ソーダ、トリエタノールアミン、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオールなどの中和剤、植物抽出液、香料、色素などが挙げられる。
【0038】
本発明の油中水型乳化化粧料においては、内相の比率が、45質量%〜70質量%であり、且つ、外相の比率が55質量%〜30質量%であることが好ましく、内相の比率が、47質量%〜67質量%であり、且つ、外相の比率が53質量%〜33質量%であることがより好ましい。本発明における内相は、油中水型乳化組成物に含まれる水相からなる乳化粒子にふくれる成分を包含し、例えば、水、水溶性溶剤、水溶性保湿剤、及び水溶性の各種添加剤が内相に含まれる。また、外相には、液状油成分などの油相及び油相に分散されて存在する有機変性粘度鉱物、ワックス類などが含まれる。内相と外相との比率は、含有する成分の種類と量により適宜調整しうる。
【0039】
本発明の油中水型乳化化粧料は通常用いられている方法で製造することができる。
製造方法としては、水に水溶性の各種成分を添加した水相成分と、液状の油相にワックス類や油溶性の有効成分を添加した油相成分とを調整し、これらをホモミキサーなどの乳化機を使用して油中水型乳化化粧料を調製する方法が挙げられ、これが最も簡便な製造方法である。しかしながら、本発明の化粧料の製造方法は、一般的な乳化装置による調製法には限定されず、目的とする品質特性値等によって適宜決定すればよい。
【0040】
本発明の油中水型乳化化粧料は塗布直後の潤い感と長時間に亘るうるおい持続感に優れたクリーム剤型であり、また、使用感触に優れ、幅広い使用感触を有しているので、特に化粧料(医薬部外品)として好適に使用することができる。
【実施例】
【0041】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り、適宜、変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例に限定されるものではない。
【0042】
〔実施例1〜2、比較例1〜2〕
下記表1に記載の処方に従い、まず、No.1〜10を秤量して混合し水相を調製し、これを70℃に加熱したものを、別容器にて、No.11〜25を秤量して混合し、70℃に加熱溶解して油相を調製し、油相中に調製済みの前記水相を添加し、乳化装置(プライミックス社製、ホモミキサー)にて剪断力を加え、乳化組成物を得た。得られた乳化物を、さらに同じ乳化装置(プライミックス社製、ホモミキサー)にて温度を70℃に維持しつつ、10分間攪拌して均一微細に乳化処理した後、35℃まで攪拌冷却し美白保湿クリームを得た。
光学顕微鏡観察により観察したところ、油中水型乳化粒子(粒径:1μm〜5μm)が確認された。
【0043】
なお、下記表1における各成分の詳細は以下の通りである。
15)オレフィンオリゴマー、(2)水添ポリ(C6−12オレフィン)(日光ケミカルズ社製、商品名:シンセラン4S)
16)シュガーワックス(第一工業製薬社製、商品名:シュガーワックスA−10E)
19)マカデミアナッツ脂肪酸フィトステアリル(日本精化社製、商品名:YOFCO MAS)
22)トリイソステアリン酸POE(30)硬化ヒマシ油(商品名:EMALEX RWIS−330、日本エマルジョン社製) HLB7.2:本発明における(B)HLB5〜8のエチレンオキサイド付加のエステル系ノニオン界面活性剤。
24)トリイソステアリン酸POE(20)硬化ヒマシ油(商品名:EMALEX RWIS−320、日本エマルジョン社製) HLB5.7:本発明における(B)HLB5〜8のエチレンオキサイド付加のエステル系ノニオン界面活性剤。
21)トリイソステアリン酸POE(40)硬化ヒマシ油(商品名:EMALEX RWIS−340、日本エマルジョン社製) HLB8.4:エチレンオキサイド付加のエステル系ノニオン界面活性剤であって、HLBが本発明の範囲外の比較界面活性剤。
23)トリイソステアリン酸POE(20)硬化ヒマシ油(商品名:EMALEX RWIS−320、日本エマルジョン社製) HLB5.7:エチレンオキサイド付加のエステル系ノニオン界面活性剤であって、HLBが本発明の範囲外の比較界面活性剤。
25)モノ・ジステアリン酸ソルビタン(商品名:ニッコールSS−15V、日光ケミカルズ社製)HLB:4.2:本発明における(C)HLB5未満の常温で固形のノニオン界面活性剤。
26)ジイソステアリン酸ジグリセリン(商品名:コスモール42V、日清オイリオ社製)HLB:4.0:本発明における(D)HLB5未満の常温で液状のノニオン界面活性剤。
【0044】
次に、得られた乳化化粧料を、以下に記載の評価方法及び評価基準で評価した。結果を下記表1に併記する。
(1)長期安定性
0℃、室温、40℃及び50℃の各温度条件下に1ヶ月間保存後、目視により乳化化粧料の分離などの外観変化の有無を確認し、以下の基準にて評価した。なお、◎及び○と評価されたものは実用上充分な安定性を示すものである。
◎:各温度で外観変化、粘度変化、分離等の異常は全く認められない。
○:50℃で保存の場合、僅かに外観変化、粘度変化、分離等の異常が認められる。
△:40℃及び50℃で保存の場合、外観変化、粘度変化、分離等の異常が認められる。
×:いずれの温度下でも、外観変化、粘度変化、分離等の異常が認められる。
【0045】
(2)使用性
女性パネル12名に、調製直後の乳化化粧料を使用してもらい、直後の使用性及び3時間後の使用感について官能評価してもらい、次の基準に従って評価した。
〔潤い感と持続性〕
◎:塗布直後の潤い感が非常に優れ、3時間後の潤い感も非常にあると評価したパネルが10名以上
○:塗布直後の潤い感が非常に優れ、3時間後の潤い感も非常にあると評価したパネルが6〜9名
△:塗布直後の潤い感が非常に優れ、3時間後の潤い感も非常にあると評価したパネルが4〜5名
×:塗布直後の潤い感が非常に優れ、3時間後の潤い感も非常にあると評価したパネルが3名以下
〔べたつき感〕
◎:皮膚への塗布時にべたつきがなく、伸びが良好と評価したパネルが10名以上
○:皮膚への塗布時にべたつきがなく、伸びが良好と評価したパネルが6〜9名
△:皮膚への塗布時にべたつきがなく、伸びが良好と評価したパネルが4〜5名
×:皮膚への塗布時にべたつきがなく、伸びが良好と評価したパネルが3名以下
【0046】
【表1】

【0047】
表1の結果よりに示したように、本発明で得られる実施例1〜2の保湿クリームは安定性が良好で、潤い感、潤い持続感に優れた保湿クリームであることがわかる。
他方、本発明にかかる(B)界面活性剤に代えて、HLBが本発明の範囲外の比較界面活性剤を用いた比較例1〜2では、当初の潤い感はややあるものの、持続性が低いことがわかる。
【0048】
〔実施例3、比較例3〜5〕
下記表2に記載の処方に従い、まず、No.1〜10を秤量して混合し水相を調製し、これを70℃に加熱したものを、別容器にて、No.11〜25を秤量して混合し、70℃に加熱溶解して油相を調製し、油相中に調製済みの前記水相を添加し、実施例1と同様にして、乳化装置にて70℃で、均一微細に乳化処理した後、35℃まで攪拌冷却し美白保湿クリームを得た。
光学顕微鏡観察により油中水型乳化粒子(粒径1μm〜7μm)が確認された。
【0049】
なお、下記表2における成分の詳細は以下の通りである。
19)トリイソステアリン酸POE(20)硬化ヒマシ油(商品名:EMALEX RWIS−320、日本エマルジョン社製) HLB5.7:本発明における(B)HLB5〜8のエチレンオキサイド付加のエステル系ノニオン界面活性剤。
20)トリイソステアリン酸POE(20)グリセリル(商品名:EMALEX GWIS−32、日本エマルジョン社製) HLB7.9:本発明における(B)HLB5〜8のエチレンオキサイド付加のエステル系ノニオン界面活性剤。
21)ステアリン酸モノグリセリド(商品名:ニッコール MGS−BMV、日光ケミカルズ社製)HLB:3.0、mp:本発明における(D)HLB5未満の常温で液状のノニオン界面活性剤。
22)モノ・ジイソステアリン酸ソルビタン(商品名:ニッコール SI−15RV、日光ケミカルズ社製)、HLB:4.5:本発明における(C)HLB5未満の常温で固体のノニオン界面活性剤。
【0050】
【表2】

【0051】
表2に示したように、本発明に係る実施例3の美白保湿クリームは安定性が良好で、使用時の潤い感、潤い持続感に優れた美白保湿クリームであることがわかる。他方、(B)界面活性剤を含有しない比較例3は安定なクリーム状の油中水型乳化組成物が得られなかった。また、(D)界面活性剤を含有しない比較例4の化粧料は、安定性には優れるものの、化粧料としての使用感に劣り、(C)界面活性剤を含有しない比較例5の化粧料では乳化安定性、使用感のいずれも実施例よりも劣るものであった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)有機変性粘土鉱物と、
(B)HLB5〜8のエチレンオキサイド付加のエステル系ノニオン界面活性剤と、
(C)HLB5未満の常温で固形のノニオン界面活性剤と、
(D)HLB5未満の常温で液状のノニオン界面活性剤と、
(E)ワックス類と、
(F)保湿剤と、
(G)前記(E)ワックス類とは異なる油分と、
(H)水と、を
含有する油中水型乳化化粧料。
【請求項2】
前記(A)有機変性粘土鉱物が、アルキルアンモニウム変性粘土鉱物である請求項1に記載の油中水型乳化化粧料。
【請求項3】
前記(B)HLB5〜8のエチレンオキサイド付加のエステル系ノニオン界面活性剤が、イソステアリン酸硬化ヒマシ油、トリイソステアリン酸硬化ヒマシ油、ラウリン酸硬化ヒマシ油、トリイソステアリン酸グリセリル、トリステアリン酸グリセリル、及びジイソステアリン酸グリセリのPOE付加物からなる群より選ばれる1種以上である請求項1又は請求項2に記載の油中水型乳化化粧料。
【請求項4】
前記(C)HLB5未満の常温で固形のノニオン界面活性剤が、脂肪酸ソルビタン及び脂肪酸グリセリドからなる群より選ばれる1種以上である請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の油中水型乳化化粧料。
【請求項5】
油中水型乳化化粧料における内相の比率が、45質量%〜70質量%であり、且つ、外相の比率が55質量%〜30質量%である請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の油中水型乳化化粧料。

【公開番号】特開2013−107865(P2013−107865A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−270658(P2011−270658)
【出願日】平成23年11月22日(2011.11.22)
【出願人】(500470840)アサヌマ コーポレーション株式会社 (18)
【出願人】(510282354)
【Fターム(参考)】