説明

油中水型乳化化粧料

【課題】十分なカバー力を有するとともに、塗布直後及び長時間経過後でも、粉っぽくなく、艶がある仕上がりが得られる油中水型乳化化粧料を提供する。
【解決手段】次の成分(A)、(B)及び(C):
(A)カルボシロキサンデンドリマー構造を側鎖に有するビニル系重合体
0.3〜10質量%、
(B)金属酸化物微粒子を内包する着色フレーク状ガラス 0.1〜6質量%、
(C)着色顔料 0.5〜15質量%
を含有する油中水型乳化化粧料。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油中水型乳化化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
カルボシロキサンデンドリマー構造を側鎖に有するビニル系重合体は、メイクアップ化粧料に、表面保護性を付与し、毛髪や皮膚への付着性に優れることが知られている(特許文献1)。しかしながら、このようなポリマーは非常に硬い皮膜を形成するため、特に摩擦などの物理的作用に対しては優れるものの、しっとり感やカバー力、仕上がりの点で十分満足できるものではなかった。
【0003】
そこで、本発明者は、カルボシロキサンデンドリマー構造を側鎖に有するビニル系重合体と薄片状酸化亜鉛を併用することで、カバー力に優れ、透明感に優れる化粧料が得られることを見出した(特許文献2)。
また、カルボシロキサンデンドリマー構造を側鎖に有するビニル系重合体とオレフィンコポリマーとを液体脂肪相中に含む化粧料は、良好な色の堅牢性およびマット感の持続性を示し、また色移り防止性を有することが知られている(特許文献3)。しかし、特許文献3の化粧料は、マット感は持続するものの、艶がない仕上がりになる傾向がある。
すなわち、これらの化粧料では、塗布直後及び長時間経過後において、粉っぽく、艶がない仕上がりになってしまう。また、塗布直後において艶のある仕上がりを提供すると、経時において皮脂の影響によりぎらつきが際立ち、かえってテカリが目立ってしまい、直後の艶感と経時のてかり難さを両立することは困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−63225号公報
【特許文献2】特開2011−16734号公報
【特許文献3】特開2007−320960号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、十分なカバー力を有するとともに、塗布直後及び長時間経過後でも、粉っぽくなく、艶がある仕上がりが得られ、さらに長時間経過後もテカリが目立ち難い化粧料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、カルボシロキサンデンドリマー構造を側鎖に有するビニル系重合体、金属酸化物微粒子を内包する着色フレーク状ガラス、及び着色顔料を、特定の割合で組み合わせて用いることにより、上記課題を解決した油中水型乳化化粧料が得られることを見出した。
【0007】
本発明は、次の成分(A)、(B)及び(C):
(A)カルボシロキサンデンドリマー構造を側鎖に有するビニル系重合体
0.3〜10質量%、
(B)金属酸化物微粒子を内包する着色フレーク状ガラス 0.1〜6質量%、
(C)着色顔料 0.5〜15質量%
を含有する油中水型乳化化粧料を提供するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の油中水型乳化化粧料は、毛穴などの肌の凹凸や、シミ・ソバカスを十分にカバーすることができ、塗布直後及び長時間経過後でも、粉っぽくなく、艶がある仕上がりが得られるものである。また、化粧持続性に優れ、長時間経過後もテカリが目立ち難いものである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明で用いる成分(A)のカルボシロキサンデンドリマー構造を側鎖に有するビニル系重合体において、カルボシロキサンデンドリマー構造としては、次式(1)で表される基が好ましい。
【0010】
【化1】

【0011】
式中、Zは2価の有機基であり、pは0又は1であり、R1は炭素原子数1〜10のアルキル基又はアリール基である。X1はi=1とした場合の次式で示されるシリルアルキル基である。
【0012】
【化2】

【0013】
式中、R1は前記と同じであり、R2は炭素原子数2〜10のアルキレン基であり、R3は炭素原子数1〜10のアルキル基であり、Xi+1は水素原子、炭素原子数1〜10のアルキル基、アリール基及び上記シリルアルキル基からなる群から選択される基である。iは該シリルアルキル基の階層を示している1〜10の整数であり、aiは0〜3の整数である。
【0014】
式(1)中、Zは2価の有機基であり、アルキレン基、アリーレン基、アラルキレン基、エステル含有2価有機基、エーテル含有2価有機基、ケトン含有2価有機基、アミド基含有2価有機基が例示される。これらの中でも、次式で示される有機基が好ましい。
【0015】
【化3】

【0016】
式中、R9は炭素原子数1〜10のアルキレン基であり、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基が例示される。これらの中でもエチレン基、プロピレン基が好ましい。R10は炭素原子数1〜10のアルキル基であり、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基が例示される。これらの中でもメチル基が好ましい。R11は炭素原子数1〜10のアルキレン基であり、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基等のアルキレン基が例示される。これらの中でもエチレン基が好ましい。dは0〜4の整数であり、eは0又は1である。
【0017】
また、式(1)中、R1は炭素原子数1〜10のアルキル基又はアリール基であり、アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、イソプロピル基、イソブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基が例示され、アリール基としては、フェニル基、ナフチル基が例示される。これらの中でもメチル基、フェニル基が好ましく、メチル基が更に好ましい。
1はi=1とした場合の次式で示されるシリルアルキル基である。
【0018】
【化4】

【0019】
式中、R1は前記と同じである。R2は炭素原子数2〜10のアルキレン基であり、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ヘキシレン基などの直鎖状アルキレン基;メチルメチレン基、メチルエチレン基、1−メチルペンチレン基、1,4−ジメチルブチレン基等の分岐状アルキレン基が例示される。これらの中でも、エチレン基、メチルエチレン基、ヘキシレン基、1−メチルヘプチレン基、1,4−ジメチルブチレン基が好ましい。R3は炭素原子数1〜10のアルキル基であり、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソプロピル基が例示される。Xi+1は水素原子、炭素原子数1〜10のアルキル基、アリール基および上記シリルアルキル基からなる群から選択される基である。aiは0〜3の整数である。iは1〜10の整数であり、これは該シリルアルキル基の階層数、即ち、該シリルアルキル基の繰り返し数を示している。
【0020】
成分(A)のビニル系重合体としては、(A1)(A2)以外のビニル系単量体 0〜99.9質量部と、(A2)一般式(2):
【0021】
【化5】

【0022】
(式中、Yはラジカル重合可能な有機基であり、R1及びX1は前記と同じである。)
で表されるラジカル重合可能な有機基を有するカルボシロキサンデンドリマー 100〜0.1質量部とを(共)重合させてなるカルボシロキサンデンドリマー構造を含有するビニル系重合体が好ましい。
【0023】
上記式中、Yはラジカル重合可能な有機基であり、R1は炭素原子数1〜10のアルキル基もしくはアリール基である。アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、イソプロピル基、イソブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基が例示される。アリール基としては、フェニル基、ナフチル基が例示される。これらの中でもメチル基、フェニル基が好ましく、メチル基が更に好ましい。
【0024】
このビニル系重合体において、(A1)成分のビニル系単量体は、ラジカル重合性のビニル基を有するものであれば良く、その種類等については限定されない。かかるビニル系単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸tert−ブチル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル等の低級アルキル(メタ)アクリレート;(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリル等の高級アルキル(メタ)アクリレート;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、カプロン酸ビニル、2−エチルヘキサン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル等の脂肪酸ビニルエステル;スチレン、ビニルトルエン、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等の芳香族含有単量体;(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、イソブトキシメトキシ(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、ビニルピロリドン、N−ビニルアセトアミド等のアミド基含有ビニル型単量体;(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、グリセリル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチルアクリルアミド等の水酸基含有ビニル型単量体;(メタ)アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、フマル酸、マレイン酸等のカルボン酸含有ビニル型単量体及びそれらの塩;テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチルビニルエーテル、セチルビニルエーテル、2ーエチルヘキシルビニルエーテル等のエーテル結合含有ビニル型単量体;(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アリルグリシジルエーテル、メタクリロイルオキシエチルイソシアネート、(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン等の反応性基含有モノマー;片末端に(メタ)アクリル基を含有したポリジメチルシロキサン、片末端にスチリル基を含有するポリジメチルシロキサンなどのマクロモノマー類;ブタジエン;塩化ビニル;塩化ビニリデン;(メタ)アクリロニトリル;フマル酸ジブチル;無水マレイン酸;スチレンスルホン酸、アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸のようなスルホン酸基を有するラジカル重合性不飽和単量体、およびそれらのアルカリ金属塩、アンモニウム塩、有機アミン塩;2−ヒドロキシ−3−メタクリルオキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライドのような(メタ)アクリル酸から誘導される4級アンモニウム塩;メタクリル酸ジエチルアミノエチルのような3級アミノ基を有するアルコールのメタクリル酸エステル、ビニルピリジンおよびそれらの4級アンモニウム塩などが例示される。
【0025】
また、多官能ビニル系単量体も使用可能であり、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリオキシエチル(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、スチリル基封鎖ポリジメチルシロキサンなどの不飽和基含有シリコ−ン化合物等が例示される。
【0026】
成分(A2)のカルボシロキサンデンドリマーは、一般式(2)で表されるラジカル重合可能な有機基を有するものであれば良く、その種類等については限定されない。一般式(2)中、Yはラジカル重合可能な有機基であり、ラジカル反応可能な有機基であればよいが、具体的には、下記一般式で表される(メタ)アクリロキシ基含有有機基、(メタ)アクリルアミド基含有有機基、スチリル基含有有機基、炭素原子数2〜10のアルケニル基等が挙げられる。
【0027】
【化6】

【0028】
(式中、R4及びR6は水素原子又はメチル基であり、R5及びR8は炭素原子数1〜10のアルキレン基であり、R7は炭素原子数1〜10のアルキル基である。bは0〜4の整数であり、cは0または1である。)
【0029】
このようなラジカル重合可能な有機基としては、例えば、2−アクリロイルオキシエチル基、3−アクリロイルオキシプロピル基、2−メタクリロイルオキシエチル基、3−メタクリロイルオキシプロピル基、4−ビニルフェニル基、3−ビニルフェニル基、4−(2−プロペニル)フェニル基、3−(2−プロペニル)フェニル基、2−(4−ビニルフェニル)エチル基、2−(3−ビニルフェニル)エチル基、ビニル基、アリル基、メタリル基、5−ヘキセニル基が挙げられる。
【0030】
一般式(2)において、i=1、すなわちシリルアルキル基の階層数が1である場合、(A2)成分のカルボシロキサンデンドリマーは、一般式:
【0031】
【化7】

【0032】
(式中、Y,R1,R2およびR3は前記と同じであり、R12は水素原子または前記R1と同じである。a1は前記aiと同じであるが、1分子中のa1の平均合計数は0〜7である。)で表される。
このようなラジカル重合可能な有機基を含有するカルボキシデンドリマー(A2)としては、下記平均組成式で示されるカルボシロキサンデンドリマーが例示される。
【0033】
【化8】

【0034】
【化9】

【0035】
このようなカルボシロキサンデンドリマーは、例えば、特開平11―1530号公報、特開2000−63225号公報等に記載された製造方法に従って製造することができる。
【0036】
本発明で用いられるデンドリマー構造を含有するビニル系重合体において、上記(A1)成分と(A2)成分の質量割合は、(A1):(A2)=0:100〜99.9:0.1が好ましく、5:95〜90:10がより好ましく、更に10:90〜80:20となる範囲であるのが好ましい。
【0037】
本発明で用いられる成分(A)のカルボシロキサンデンドリマー構造を有するビニル系重合体の数平均分子量は、化粧品原料としての配合のしやすさから、好ましくは、3,000〜2,000,000であり、さらに好ましくは、5,000〜800,000である。また、その性状は、常温で液状、ガム状、ペースト状、固体状などのいずれでも良いが、得られる化粧皮膜の持続性の観点から、固体状のものが好ましい。また、配合性の観点からは、溶媒によって希釈された溶液や分散液であることが好ましい。
【0038】
カルボシロキサンデンドリマー構造を側鎖に有するビニル系重合体としては、シリコーンデンドリマー・アクリル共重合体が好ましく、FA4001CM(デカメチルシクロペンタシロキサン溶液)、FA4002ID(イソドデカン溶液)(以上、東レ・ダウコーニング社製)等の市販品を用いることができる。
【0039】
成分(A)は、1種以上を用いることができ、全組成中に0.3〜10質量%、好ましくは0.5〜7質量%、さらに好ましくは0.7〜5質量%含有される。この範囲内とすることで、粉っぽくなく、良好な使用感を付与することができる。
【0040】
本発明で用いる成分(B)の金属酸化物を内包する着色フレーク状ガラス(以下、フレーク状ガラスとする)としては、化粧品に一般的に用いられるガラスフレークに、金属酸化物微粒子を内包したものを用いることができる。金属酸化物微粒子を内包するとは、金属酸化物微粒子が粒子材料の内部に包含されることを意味する。すなわち、成分(B)のフレーク状ガラスは、表面を金属酸化物微粒子層で単層又は複数層被覆された粒子は含まない。金属酸化物微粒子は、粒子材料の内部に、良好かつ均一に分散しているのが好ましい。また、着色は、白以外の色を有するものである。
【0041】
成分(B)の着色フレーク状ガラスは、(i)650nmにおける直進透過率T(650)が0.7〜1.5であり、550nmにおける直進透過率T(550)が0.6〜1.4であり、450nmにおける直進透過率T(450)が0.5〜1.1であって、かつ、T(450)<T(550)≦T(650)の関係にあることが好ましい。また、短中波長側は光が吸収され、長波長の光を肌内で散乱させる点から、T(650)が0.75〜1.20であり、T(550)が0.75〜1.20であり、T(450)が0.60〜0.90であることがより好ましい。ここで、各直進透過率T(650)、T(550)、T(450)は、1μm厚のフレーク状ガラスを用いて、10×15cmの微粘着フィルム(エクシールコーポレーション社製)上にスポンジにて15mgを塗布して試料を調製し、変角分光反射率測定器GCMS−4(村上色彩研究所社製)を用い、透過計測モードで、オパール板を標準校正板として調整し、入射角0度、透過角15度の測定条件で測定した値である。
【0042】
さらに、フレーク状ガラスの光沢度が、(ii)入射角を45度、受光角を0度としたときの光沢度をG(45-0)とし、入射角を45度、受光角を45度としたときの光沢度をG(45-45)としたとき、2.0≦G(45-45)/G(45-0)≦5.0で表されることが好ましい。また、G(45-45)/G(45-0)の下限は、角度依存性との兼ね合いにより、3.5以上であるとより好ましく、上限は、4.8以下であるとより好ましい。なお、光沢度は、変角分光測定システム(村上色彩技術研究所製、GCMS−4)を用いて測定されたものをいう。
【0043】
フレーク状ガラスの表面は、平滑であるのが好ましい。「平滑」の程度は、表面粗さRaで表すことができ、好ましくは100nm以下、より好ましくは1〜20nmである。この範囲にあると、凹凸による光散乱が抑制されるため、光沢を損なわない。表面粗さRaは、フィールドエミッション電子線三次元粗さ解析装置ERA−8900FE(エリオニクス社製)を用いて測定することができる。
【0044】
フレーク状ガラスの形状は、板状であることが好ましい。フレーク状ガラスの厚みは、0.4〜2μmであることが好ましく、0.7〜1.5μmであると、肌にツヤを付与し、色むらや毛穴の隠蔽性(カバー力)、自然な仕上がりとカバー力が得られ、より好ましい。フレーク状ガラスの厚みが2μm以下であると塗布時のざらつき等が損なわれることなく使用感が良い。また、0.4μm以上であると表面の平滑性が損なわれることなく、ツヤやカバー力が向上する。さらに、平均粒径は1〜500μmであることが好ましい。平均アスペクト比は10〜100であることが好ましく、5〜25であると、自然な仕上がりとカバー力が得られ、より好ましい。
なお、本明細書において、「平均粒径」とは、レーザー散乱法によって測定された粒度分布の体積累積50%の粒径を意味する。
フレーク状ガラスの場合、粒径は、フレーク状ガラスを平面視したときの面積Sの平方根で表される値である。平均厚さは、n=50のサンプルを走査電子顕微鏡で測定した平均であり、平均アスペクト比は(平均粒径/平均厚さ)で表される値である。
【0045】
さらに、フレーク状ガラスは、全透過率(Tt)が60%以上、ヘイズ値(H)が60%以上であるのが好ましい。ヘイズ値(H)は、70%以上であるとより好ましく、80%以上であると更に好ましい。このようなフレーク状ガラスを含む化粧料では、毛穴や肌の色むらに対して、より高いぼかし効果を得ることができる。従って、ぎらつかない適度なふんわりしたやわらかい光沢を示すことができる。上記ヘイズ値の上限はないが、例えば、95%以下とすることができる。
なお、全透過率(Tt)は、フレーク状ガラスとアミノ変性シリコーン(SF8417、東レ・ダウコーニング社製)とをフーバーマーラーにて混合することで、フレーク状ガラスを20質量%含有する粉体分散媒を調製し、この粉体分散媒をガラス板上にコーターで15μmになるように成膜して、得られた粉体分散膜をISO13468−1に準拠して測定したものである。また、ヘイズ値は、上記の粉体分散膜をISO14782に準拠して測定したものである。
【0046】
フレーク状ガラスの色相角は、50度以上75度以下とすることができ、55度以上70度以下とするとより好ましい。これにより、肌を自然な肌色に着色することができる。
なお、本発明において、色相角は、専用セル(ミノルタ社製、粉体セル CR−A50)に入れ、色差計(ミノルタ社製CR−300)でa*値およびb*値を測定し、得られたa*値およびb*値を用い、下記式(1)に基づいて算出したものをいう。
色相角(h*)=tan-1(b*/a*) (1)
【0047】
フレーク状ガラスに含まれる金属酸化物微粒子は、化粧料に用いられる着色顔料であって、Ti、Sn、Si,Fe、Zr、Al、Zn及びCeからなる群から選択される1又は複数の金属を酸化させた金属酸化物であることが好ましい。
成分(B)は、金属酸化物微粒子として、(B1)酸化チタン(TiO2)、(B2)酸化鉄(Fe23)、及び、(B3)チタン・鉄複合酸化物が内包されているものが好ましい。(B3)のチタン・鉄複合酸化物は、(B1)と(B2)とが焼成してなるシュードブルッカイト(Fe2TiO5)、ウルボスピネル(Fe2TiO4)、イルメナイト(FeTiO3)などの複合酸化物からなることが好ましく、更にシュードブルッカイトからなることがより好ましい。これにより、成分(B1)の白色と、成分(B2)の赤色と、成分(B3)の黄色とを組み合わせることで、入射光の短中波長成分を吸収しながら、肌色を呈する透過性を向上させることができる。したがって、自然な肌色に着色しながら、ぼかし効果によるカバー力を肌に付与することができる。このような成分(B1)、(B2)及び(B3)を内包するチタン・鉄複合酸化物内包フレーク状ガラスは、本明細書中、「複合酸化物内包ガラスフレーク」と称する。複合酸化物内包ガラスフレークとしては、例えば特開平7−330542号公報に記載のものが挙げられる。また、以下の複合酸化物内包ガラスフレークを使用することが好ましい。
【0048】
金属酸化物微粒子の形状は、限定されず、例えば、球状、中空状、多孔質状、棒状、繊維状、板状、不定形状等が挙げられるが、中でも球状が好ましい。平均粒径は、10〜300nmであることが好ましい。これらの存在は、X線回折法により知ることができる。
【0049】
本発明で使用するフレーク状ガラスは、以下のように製造することができる。まず、フレーク状ガラス中のチタン(Ti)含有量が酸化チタンに換算して7質量%以上38質量%以下、フレーク状ガラス中の鉄(Fe)の含有量が酸化鉄に換算して、2質量%以上13質量%以下となるように、母材となる(b4)シリカ原料に粒子状の(b1)チタン原料と(b2)鉄原料とを配合する。フレーク状ガラス中におけるチタン含有量と鉄含有量との比率は、酸化チタンと酸化鉄との質量比に換算して、2.5:1〜10:1とすることが好ましい。(b1)チタン原料は、アルコキシド等のチタン化合物や酸化チタン微粒子、チタニアゾルを用いることができる。また、(b2)鉄原料は、硝酸塩等の鉄イオン、アルコキシド等の鉄化合物、鉄含有コロイド、酸化鉄コロイド、又は酸化鉄微粒子を用いることができる。(b1)チタン原料の平均粒径は、1〜100nm、更に10〜100nmであることが好ましい。また、(b2)鉄原料の平均粒径は、100〜300nmであることが好ましい。
【0050】
成分(b4)のシリカ原料には、シリカゾルを用いると好ましい。例えば、成分(b4)としてシリカゾルを用い、成分(b1)としてチタンニアゾルと、成分(b2)として酸化鉄微粒子とを配合してゾル液を調製することができる。
【0051】
該ゾル液には、水、有機溶媒及び触媒のいずれかを含むことができる。有機溶媒としては、水溶性の有機溶媒が好ましく、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール、ケトン、およびエステルが挙げられる。また、触媒としては、酸触媒や塩基触媒が用いられる。酸触媒としては、プロトン酸が好ましく、具体的には、硝酸、塩酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、トリクロロ酢酸、クエン酸、硫酸、リン酸およびトルエンスルホン酸が挙げられる。酸の添加量は限定されないが、成分(b4)のシリカ原料に対してモル比で0.001〜2が好ましい。塩基触媒としては、水酸化カリウム、水酸化ナトリウムを用いることができる。
その他、上記ゾル液の特性を変化させるために、有機増粘剤等を添加しても良い。
【0052】
次いで、公知の技術(例えば、特開平07−315859号公報、特開平09−110452号公報など)を用いて、基材、好ましくは表面が平滑な基板の表面に、上記調製したゾル液を塗布する。このとき、基板上に0.06〜50μmのゾル液の薄膜を形成するように塗布すればよい。基板の材質は金属、ガラスあるいはプラスチック等とすることができる。このように形成したシリカゾルの薄膜は、乾燥すると収縮するが、基板は収縮しない。したがって、膜に亀裂が発生して、未焼成のフレーク状ガラスを得ることができる。
【0053】
その後、未焼成の複合酸化物を内包したガラスフレークを熱処理する。熱処理の温度及び時間は、成分(b1)のチタン原料の表面に成分(b2)の鉄原料が反応して成分(b3)のチタン・鉄複合酸化物、更にシュードブルッカイトが生成し、かつ、成分(b4)のシリカ原料を含むマトリックスがガラスへ転移する条件であればよい。具体的には、700〜1200℃で10分間〜24時間加熱することができ、900〜1100℃で5〜10時間加熱するとより好ましい。
【0054】
このように焼成することで、成分(b4)のシリカ原料が焼成した(b4)シリカガラスとなり、成分(b1)のチタン原料の表面に成分(b2)の鉄原料が反応して成分(B3)のチタン・鉄複合酸化物が形成され、成分(b2)とは反応しなかった成分(b1)のチタン原料が、成分(B1)の酸化チタンとなり、成分(b1)とは反応しなかった成分(b2)の鉄原料が、成分(B2)の酸化鉄となる。そして、成分(B1)の酸化チタンと、成分(B2)の酸化鉄と、成分(B3)のチタン・鉄複合酸化物とが、成分(B4)のシリカガラスによって内包された、表面が平滑なフレーク状ガラス(複合酸化物内包ガラスフレーク)が得られる。この複合酸化物内包ガラスフレーク全体に対する金属酸化物の内包率(成分(B1)の内包率と成分(B2)の内包率と成分(B3)の内包率との合計)は、自然さとカバー力の点から、10質量%以上が好ましく、更に20質量%以上とすることが好ましい。また、製造容易性の観点から、55質量%以下とすると好ましく、50質量%がより好ましい。フレーク状ガラス中の(B4)シリカガラスの含有量は、例えば、50〜90質量%とすることができる。なお、酸化チタン及び酸化鉄の平均粒径は、焼成前後でほぼ同じであることが確認されている。
【0055】
成分(B)のフレーク状ガラスは、そのままの状態で用いることができるが、更にその表面に、通常用いられている疎水化処理剤で疎水化処理を施して用いることもできる。疎水化処理の方法としては、メチルハイドロジェンポリシロキサン、高粘度シリコーンオイル、シリコーン樹脂等のシリコーン化合物による処理;アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤等の界面活性剤による処理;ナイロン、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレン、テフロン(登録商標)、ポリアミノ酸等の高分子化合物による処理;パーフルオロアルキルリン酸エステル、パーフルオロアルキルシラン等のフッ素化合物による処理;レシチン、コラーゲン、金属石鹸、親油性ワックス、多価アルコール部分エステル又は完全エステル等による処理などが挙げられる。一般に、粉末の疎水化処理に適用できる方法であれば良く、これらの方法に限定されるものではない。
【0056】
本発明において、成分(B)のフレーク状ガラスは、1種以上を用いることができ、全組成中に0.1〜6質量%含有され、好ましくは0.3〜3質量%含有される。この範囲内であれば、塗布直後に粉っぽくなく、艶のある仕上がりが得られるだけでなく、長時間経過後にも持続する。
【0057】
本発明において、成分(A)及び(B)の質量割合は、(B)/(A)=0.05〜5、更に0.15〜3であるのが、粉っぽくなく、艶のある仕上がりが得られ、経時でのテカリが目立ち難いので好ましい。
【0058】
本発明で用いる成分(C)の着色顔料としては、通常の化粧料に用いられるものであれば制限されないが、例えば、酸化チタン、酸化セリウム、酸化アルミニウム、黄酸化鉄、黒酸化鉄、ベンガラ、紺青、群青等の無機顔料、黄色4号、黄色5号、黄色401号、赤色226号、赤色201号、赤色202号、青色1号、青色404号等の有機顔料等が挙げられる。これらは、成分(B)と同様、通常用いられている疎水化処理剤で疎水化処理を施して用いることもできる。
【0059】
成分(C)の着色顔料は、1種以上を用いることができ、全組成中に0.5〜15質量%含有され、好ましくは0.8〜13質量%、さらに好ましくは2〜12質量%含有される。この範囲内であれば、シミ・ソバカス等の色むらをカバーでき、かつ自然な仕上がりであり、使用感が好ましい。さらに、成分(B)及び(C)を含む全粉体量は、本発明の化粧料の全組成中に1〜40質量%、更に2〜24質量%であることが好ましい。
【0060】
また、本発明において、成分(B)と成分(C)の質量割合は、(B)/(C)=0.01〜6、更に0.08〜2であるのが、粉っぽくなく、艶のある仕上がりが得られ、さらにぎらつきもないため、十分にカバーしつつマットな感じを与えずに自然さを損なわないので好ましい。
【0061】
本発明の油中水型乳化化粧料は、更に、非イオン界面活性剤を含有するのが好ましい。
非イオン界面活性剤としては、通常の化粧料に用いられるものであれば制限されないが、HLBが1〜7、更に2〜6の親油性界面活性剤が好ましい。
ここで、HLBとは、親水親油バランス(Hydrophile−Lipophile−Balance)のことであり、Griffinの定義に倣い、親水基の重量分率に20を乗じた数値である。
【0062】
より具体的には、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビット・ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、エチレングリコール脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、アルキルグリセリルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル脂肪酸エステル、シリコーン系界面活性剤等が挙げられる。
【0063】
これらのうち、ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体が好ましい。これらは、市販品を用いることができ、例えば、シリコーンKF−6015、KF−6017(信越化学工業社製)、SH3775M、(東レ・ダウコーニング・シリコーン社製)等が挙げられる。
【0064】
非イオン界面活性剤は、1種以上を用いることができ、全組成中に0.1〜5質量%、更に0.3〜3.5質量%含有されるのが、乳化物の安定性及び化粧持続性が良好であるので好ましい。
【0065】
また、本発明の油中水型乳化化粧料において、水は、全組成中に0.1〜90質量%、更に10〜60質量%含有するのが好ましい。
【0066】
さらに、油性成分としては、一般に化粧料に使用される揮発性及び不揮発性の液状、半固体及び固体状の、合成及び天然由来の油性成分、例えば、炭化水素油、エステル油、動植物油、脂肪酸、高級アルコール、エーテル油、シリコーン油、フッ素油等が含まれる。
具体的には、流動パラフィン、流動イソパラフィン、スクワラン、ワセリン等の炭化水素油;オクタン酸イソステアリル、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ジグリセライド等の脂肪酸エステル油;オリーブ油、大豆油、ヒマシ油、ひまわり油、パーム油、ホホバ油、ツバキ油等の植物油;ステアリン酸、オレイン酸等の脂肪酸;セタノール、ステアリルアルコール等の高級アルコール;フッ素エーテル、パーフルオロアルキルエーテルシリコーン等のフッ素変性シリコーン;ジメチルポリシロキサン、メチルシクロポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、高重合メチルポリシロキサン、アルキル変性シリコーン、アミノ変性シリコーン、アクリルシリコーンなどが挙げられる。
油性成分は、全組成中に0.1〜70質量%、更に10〜60質量%含有するのが好ましい。
【0067】
特に、伸びが良い使用感、ムラが無く滑らかな仕上がりの観点で、少なくともジメチルポリシロキサン、メチルシクロポリシロキサン等の揮発性シリコーンを用いることが好ましい。SH200C Fluid 1CS(東レ・ダウコーニング社製)、SH200 Fluid 1.5CS(東レ・ダウコーニング社製)、SH200C Fluid 2CS(東レ・ダウコーニング社製)、KF−96A−1cs(信越化学工業社製)、KF−96L−1.5cs(信越化学工業社製)、KF−96L−2cs(信越化学工業社製)等が挙げられる。揮発性シリコーンは、全組成中に1〜50質量%、更に5〜30質量%含有するのが好ましい。
【0068】
本発明の油中水型乳化化粧料は、前記成分以外に、通常の化粧料に用いられる成分、例えば、成分(A)以外の皮膜形成剤、成分(B)及び(C)以外の粉体、前記以外の界面活性剤、水溶性高分子、酸化防止剤、香料、色素、防腐剤、紫外線吸収剤、増粘剤、pH調整剤、血行促進剤、冷感剤、制汗剤、殺菌剤、皮膚賦活剤、保湿剤、清涼剤等を、本発明の目的、効果を損なわない質的、量的範囲内で含有することができる。
【0069】
本発明の油中水型乳化化粧料は、前記各成分を用い、常法に従って製造することができる。
【0070】
本発明の油中水型乳化化粧料は、25℃における粘度が500〜20万mPa・sであるのが好ましく、1000〜10万mPa・s、更に2000〜5万mPa・sであるのが、カバー力に優れるので好ましい。ここで、粘度はB型粘度計で測定したものである。
【0071】
本発明の油中水型乳化化粧料は、液状ファンデーション、乳化液状ファンデーション化粧下地、口紅、アイシャドウ、頬紅等のメイクアップ化粧料;サンスクリーン乳液等の薬用化粧料などにすることができ、更に、液状ファンデーション、乳化液状ファンデーションとして好適である。
【実施例】
【0072】
製造例1(金属酸化物微粒子内包着色フレーク状ガラスの製造)
下記、製造例に従いフレーク状ガラスを作製した。チタニアゾル、酸化鉄の粒径は、マイクロトラック(日機装社製)により測定した平均粒径である。
シリカゾル(SiO2、日本化学工業社製)233g(70.0質量%)、チタニアゾル(TiO2、粒径30nm)75g(22.5質量%)、酸化鉄(Fe23、粒径200nm)7.5g(7.5質量%)を混合し、50℃で18時間養生して塗布液とした。幅10cmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムにバーコーターを用いて塗布した。次に、PETフィルムを雰囲気温度120℃の乾燥炉に1分間入れ、PETフィルム上に形成された薄膜を乾燥させた。次に、PETフィルムに室温の水を噴霧しながら、薄膜をフェルトまたはスクレーパーで軽く擦り、PETフィルムから剥離させた。剥離した薄膜を80℃で24時間乾燥させて、1000℃で7時間焼結した。
得られた金属酸化物微粒子内包着色フレーク状ガラスの性状を、以下のように測定し、結果を表1に示した。
【0073】
1.平均厚み、平均粒径:
簡易型電子顕微鏡(キーエンス社製)により測定した。
2.色相角:
専用セル(ミノルタ社製、粉体セル CR−A50)に入れ、色差計(ミノルタ社製CR−300)でa*値およびb*値を測定し、得られたa*値およびb*値を用い、式(1)に基づいて色相角を算出した。
色相角(h*)=tan-1(b*/a*) (1)
【0074】
3.直進透過率:
1μm厚のフレーク状ガラスを用いて、10×15cmの微粘着フィルム(エクシールコーポレーション社製)上にスポンジにて15mgを塗布して試料を調製し、変角分光反射率測定器GCMS−4(村上色彩研究所社製)を用い、透過計測モードで、オパール板を標準校正板として調整して入射角0度、透過角15度の測定条件で測定した。波長650nmにおける直進透過率をT(650)とし、波長550nmにおける直進透過率をT(550)とし、波長450nmにおける直進透過率をT(450)とした。
【0075】
4.ヘイズ値(H%)、全透過率(Tt%):
フレーク状ガラスとアミノ変性シリコーン(SF8417、東レ・ダウコーニング社製)とをフーバーマーラーにて、フレーク状ガラスの含有量が20質量%になるように混合した粉体分散媒を、ガラス板上にコーターで15μmになるように製膜した。この粉体分散膜をヘイズメータHM−150(村上色彩研究所社製)にて、ISO14782に準拠してヘイズ値(H)を計測し、ISO13468−1に準拠して全透過率(Tt)を計測した。
【0076】
5.光沢度:
光沢度は、変角分光測定システム(村上色彩技術研究所製、GCMS−4)を用いて、入射角を45度、受光角を0度としたときの光沢度G(45-0)、入射角を45度、受光角を45度としたときの光沢度をG(45-45)をそれぞれ測定した。得られた各光沢度からG(45-45)/G(45-0)を求めた。
6.表面粗さ(Ra):
フィールドエミッション電子線三次元粗さ解析装置ERA−8900FE(エリオニクス社製)により測定した。
【0077】
【表1】

【0078】
実施例1〜8及び比較例1〜6
表2及び表3に示す組成で、油中水型乳化化粧料と油性化粧料(比較例6)を製造した。得られた化粧料について、塗布直後において、シミ・ソバカスがカバーされた仕上がり、粉っぽくない仕上がり及び艶がある仕上がり、並びに、塗布7時間後において、粉っぽくない仕上がり、艶がある仕上がり及びテカリの目立ち難さの各項目を評価した。結果を表2及び表3に併せて示す。
【0079】
(製法)
粉体成分を均一混合した後、別途均一混合した油相成分Iに添加してディスパーで分散させる。これに、水相成分、油相成分IIの順で添加し、混合物を攪拌しながら乳化し、目的の油中水型乳化化粧料を得た。
【0080】
(評価方法)
(1)塗布直後において、シミ・ソバカスがカバーされた仕上がり:
専門評価者10人により、各油中水型乳化化粧料を使用し、塗布直後において、シミ・ソバカスがカバーされた仕上がりを官能評価し、以下の基準で判定した。
A+;8人以上が、シミ・ソバカスがカバーされた仕上がりであると評価した。
A ;6〜7人が、シミ・ソバカスがカバーされた仕上がりであると評価した。
B ;5人が、シミ・ソバカスがカバーされた仕上がりであると評価した。
C ;3〜4人が、シミ・ソバカスがカバーされた仕上がりであると評価した。
D ;0〜2人が、シミ・ソバカスがカバーされた仕上がりであると評価した。
【0081】
(2)塗布直後において、粉っぽくない仕上がり:
専門評価者10人により、各油中水型乳化化粧料を使用し、塗布直後において、粉っぽくない仕上がりを官能評価し、以下の基準で判定した。
A+;8人以上が、粉っぽくない仕上がりであると評価した。
A ;6〜7人が、粉っぽくない仕上がりであると評価した。
B ;5人が、粉っぽくない仕上がりであると評価した。
C ;3〜4人が、粉っぽくない仕上がりであると評価した。
D ;0〜2人が、粉っぽくない仕上がりであると評価した。
【0082】
(3)塗布直後において、艶がある仕上がり:
専門評価者10人により、各油中水型乳化化粧料を使用し、塗布直後において、艶がある仕上がりを官能評価し、以下の基準で判定した。
A+;8人以上が、艶がある仕上がりであると評価した。
A ;6〜7人が、艶がある仕上がりであると評価した。
B ;5人が、艶がある仕上がりであると評価した。
C ;3〜4人が、艶がある仕上がりであると評価した。
D ;0〜2人が、艶がある仕上がりであると評価した。
【0083】
(4)塗布7時間後の粉っぽくない仕上がり:
専門評価者10人により、各油中水型乳化化粧料を使用し、塗布7時間後において、粉っぽくない仕上がりを官能評価し、以下の基準で判定した。
A+;8人以上が、粉っぽくない仕上がりであると評価した。
A ;6〜7人が、粉っぽくない仕上がりであると評価した。
B ;5人が、粉っぽくない仕上がりであると評価した。
C ;3〜4人が、粉っぽくない仕上がりであると評価した。
D ;0〜2人が、粉っぽくない仕上がりであると評価した。
【0084】
(5)塗布7時間後の艶がある仕上がり:
専門評価者10人により、各油中水型乳化化粧料を使用し、塗布7時間後において、艶がある仕上がりを官能評価し、以下の基準で判定した。
A+;8人以上が、艶がある仕上がりであると評価した。
A ;6〜7人が、艶がある仕上がりであると評価した。
B ;5人が、艶がある仕上がりであると評価した。
C ;3〜4人が、艶がある仕上がりであると評価した。
D ;0〜2人が、艶がある仕上がりであると評価した。
【0085】
(6)塗布7時間後のテカリの目立ち難さ:
専門評価者10人により、各油中水型乳化化粧料を使用し、塗布7時間後において、テカリの目立ち難さを官能評価し、以下の基準で判定した。
A+;8人以上が、テカリが目立たないと評価した。
A ;6〜7人が、テカリが目立たないと評価した。
B ;5人が、テカリが目立たないと評価した。
C ;3〜4人が、テカリが目立たないと評価した。
D ;0〜2人が、テカリが目立たないと評価した。
【0086】
【表2】

【0087】
【表3】

【0088】
本発明の化粧料は、いずれも塗布直後において、シミ・ソバカスがカバーされた仕上がり、粉っぽくない仕上がり及び艶がある仕上がり、並びに、塗布7時間後において、粉っぽくない仕上がり、艶がある仕上がり及びテカリの目立ち難さの良好であった。成分(A)を含まない比較例1、成分(B)の代わりに酸化チタン内包フレーク状ガラスを用いた比較例2、成分(C)を含まない比較例3、着色顔料が少ない比較例4、着色顔料が多い比較例5、油性化粧料である比較例6は、いずれの効果も劣るものであった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(A)、(B)及び(C):
(A)カルボシロキサンデンドリマー構造を側鎖に有するビニル系重合体
0.3〜10質量%、
(B)金属酸化物微粒子を内包する着色フレーク状ガラス 0.1〜6質量%、
(C)着色顔料 0.5〜15質量%
を含有する油中水型乳化化粧料。
【請求項2】
成分(B)が下記(i)及び(ii)を満たすを有するものである請求項1記載の油中水型乳化化粧料。
(i)650nmにおける直進透過率T(650)が0.7〜1.5であり、550nmにおける直進透過率T(550)が0.6〜1.4であり、450nmにおける直進透過率T(450)が0.5〜1.1であって、T(450)<T(550)≦T(650)の関係にある、
(ii)入射角を45度、受光角を0度としたときの光沢度をG(45-0)とし、入射角を45度、受光角を45度としたときの光沢度をG(45-45)としたとき、2.0≦G(45-45)/G(45-0)≦5.0で表される。
【請求項3】
成分(A)と成分(B)の質量割合が、(B)/(A)=0.01〜20である請求項1又は2記載の油中水型乳化化粧料。
【請求項4】
成分(B)と成分(C)の質量割合が、(B)/(C)=0.005〜12である請求項1〜3のいずれか1項記載の油中水型乳化化粧料。
【請求項5】
成分(B)において、金属酸化物微粒子が、(B1)酸化チタン、(B2)酸化鉄、(B3)チタン・鉄複合酸化物を内包する請求項1〜4のいずれか1項記載の油中水型乳化化粧料。

【公開番号】特開2013−1672(P2013−1672A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−133547(P2011−133547)
【出願日】平成23年6月15日(2011.6.15)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】