説明

油中水型乳化化粧料

【課題】肌へのつきが良く、肌を明るく仕上げることができ、経時でも化粧よれが目立たない化粧料の提供。
【解決手段】(A)エチレンオキシドで架橋された架橋型ポリエーテル変性シリコーン(B)主鎖を構成するオルガノポリシロキサンセグメントの末端若しくは側鎖のケイ素原子の少なくとも1個に、ヘテロ原子を含むアルキレン基を介して、下記式(2)で表される繰り返し単位からなるポリ(N−アシルアルキレンイミン)が結合してなるオルガノポリシロキサン


(RはH、C1〜22のアルキル基等、xは2又は3)、(C)粉体を含有する油中水型乳化化粧料。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油中水型乳化化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、しわ、小じわ部分における化粧よれを防止するため、化粧料にゴム弾性を有するポリマーを配合して、化粧膜を皮膚の動きに追随させる試みがなされている。
例えば、特許文献1には、ゴム弾性を有するシリコーン系ポリマーと、高重合シリコーン油を含有する化粧下地が記載され、特許文献2には、多価アルコール変性シリコーン及びN−アシルアルキレンイミン変性オルガノポリシロキサンを含有する皮膚化粧料が記載されている。
しかしながら、これらの化粧料では、十分なよれ防止効果が得られず、使用感などの点でも満足できるものではなかった。
【0003】
また、特許文献3〜6には、種々の皮膜形成剤を含有する化粧料が記載され、部分架橋シリコーンエラストマーと、N−アシルアルキレンイミン変性オルガノポリシロキサンを含有する化粧料も記載されている。しかしながら、これらの化粧料は、肌の凹凸を防止することはできるが、化粧よれを防止する効果は十分でなかった。
【0004】
さらに、ファンデーション等の粉体を含有する化粧料では、粉体が均一に分散していないと、肌へのつきやのびが悪く、均一に塗布することが困難であるとともに、明るい仕上がりが得られないという問題もあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−40699号公報
【特許文献2】特開2008−143823号公報
【特許文献3】特開2004−18462号公報
【特許文献4】特開2002−179530号公報
【特許文献5】特開2001−2522号公報
【特許文献6】特開2001−2530号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、肌へのつきが良く、肌を明るく仕上げることができ、経時でも化粧よれが目立たない化粧料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、特定の架橋型ポリエーテル変性シリコーンと、ポリ(N−アシルアルキレンイミン)が結合してなるオルガノポリシロキサンを組みあわせて用いれば、前記課題を解決した油中水型乳化化粧料が得られることを見出した。
【0008】
本発明は、次の成分(A)、(B)及び(C):
(A)次の一般式(1)
【0009】
【化1】

【0010】
(式中、各Rは、メチル基又はフェニル基を示し、各R'は水素原子、炭素数1〜30のアルキル基又はアシル基を示し、各R"は炭素数1〜30のアルキル基若しくはアシル基、又はケイ素原子1〜30のシロキサン基を示す。dは1〜20の数を示し、e及びfは0〜200の数を示し、e及びfが同時に0となることはない。gは0〜30の数を示し、hは1〜100の数を示し、iは10〜2000の数を示し、jは1〜1000の数を示し、kは1〜1000の数を示す)
で表される架橋型ポリエーテル変性シリコーン、
(B)主鎖を構成するオルガノポリシロキサンセグメントの末端若しくは側鎖のケイ素原子の少なくとも1個に、ヘテロ原子を含むアルキレン基を介して下記式(2)で表される繰り返し単位からなるポリ(N−アシルアルキレンイミン)が結合してなるオルガノポリシロキサン
【0011】
【化2】

【0012】
(式中、R1は水素原子、炭素数1〜22のアルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基又はアリール基を示し、xは2又は3の数を示す)、
(C)粉体
を含有する油中水型乳化化粧料を提供するものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明の油中水型乳化化粧料は、肌へのつきが良く、使用感に優れるとともに、粉体が均一に分散するので、肌を明るく仕上げることができ、経時でも乾燥による粉立ちや化粧よれが目立たないものである。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】実施例において、化粧よれ防止効果の評価に用いたシワ形状を有する透明なポリウレタンシートの形状を示す図である。
【図2】実施例中、化粧よれ防止効果の評価において、シワ形状を有する透明なポリウレタンシートに、オレイン酸(人工皮脂)、実施例又は比較例の化粧下地及びファンデーションを塗布した後、シートを折り曲げた後の状態を示す図である。
【図3】実施例中、化粧よれ防止効果の評価において、化粧よれが生じる溝部分の画像を抽出した図である。
【図4】実施例中、化粧よれ防止効果の評価において、化粧よれが生じる溝部分の画像抽出後、(a)2値化及び(b)標準偏差による画像解析を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明で用いる成分(A)の架橋型ポリエーテル変性シリコーンは、前記一般式(1)で表されるものである。
式中、R"は、炭素数1〜15のアルキル基が好ましい。また、gは0〜15の数、hは1〜40の数を、iは10〜200の数、jは1〜50の数、kは1〜50の数が好ましい。
【0016】
成分(A)の架橋型ポリエーテル変性シリコーンは、例えば、特開平4-272932号公報に記載の方法により製造することができる。
【0017】
また、成分(A)としては、例えば、KSG−210、KSG−240(ジメチコン/(PEG−10/15))クロスポリマー);KSG−310、KSG−320、KSG−330((PEG−15/ラウリルジメチコン)クロスポリマー);KSG−340((PEG−10/ラウリルジメチコン)クロスポリマー及び(PEG−15/ラウリルジメチコン)クロスポリマー)(以上、信越化学工業株式会社)等の市販品を用いることができる。
【0018】
成分(A)は、1種又は2種以上を用いることができ、全組成中に0.01〜10質量%、更に0.3〜10質量%含有するのが、良好な使用感が得られ、優れた紛体の分散性と、化粧よれ防止効果の点から好ましい。
【0019】
本発明で用いる成分(B)のオルガノポリシロキサンは、主鎖を構成するオルガノポリシロキサンセグメントの末端又は側鎖のケイ素原子の少なくとも1個に、ヘテロ原子を含むアルキレン基を介して上記式(2)で表される繰り返し単位からなるポリ(N−アシルアルキレンイミン)が結合してなる共重合体であり、常温・常圧では粘性液体状又は固体状を呈する物質である。
【0020】
オルガノポリシロキサンセグメントの末端又は側鎖のケイ素原子の少なくとも1個に、2−置換オキサゾリン類または2−置換オキサジン類の開環重合によって得られる、ヘテロ原子を含むアルキレン基を介して上記式(2)で表される繰り返し単位からなるポリ(N−アシルアルキレンイミン)が結合してなる共重合体は、該ポリ(N−アシルアルキレンイミン)のセグメントと主鎖を構成するオルガノポリシロキサンのセグメントとの重量比が1/50〜20/1、更に1/40〜2/1で、分子量が5000〜500,000、更に1,000〜300,000のものが、本発明において高い効果を得る上で好ましい。
【0021】
式(2)中、R1で示されるシクロアルキル基としては炭素数3〜6のものが挙げられ;アラルキル基としては炭素数7〜15のアラルキル基が例示され、フェニルアルキル、ナフチルアルキル等が挙げられ;アリール基としては炭素数6〜14のアリール基が例示され、フェニル、ナフチル、アルキル置換フェニル等が挙げられる。
前記オルガノポリシロキサンのセグメントとポリ(N−アシルアルキレンイミン)のセグメントとの結合において介在するヘテロ原子を含むアルキレン基としては、窒素原子、酸素原子及び/又はイオウ原子を1〜3個含む炭素数2〜20のアルキレン基が挙げられ、その具体例としては、下記式で表される基が挙げられる。
【0022】
【化3】

【0023】
かかるオルガノポリシロキサンの好ましい例としては、ポリ(N−ホルミルエチレンイミン)変性シリコーン、ポリ(N−アセチルエチレンイミン)変性シリコーン、ポリ(N−プロピオニルエチレンイミン)変性シリコーン、ポリ(N−n−オクタノイルエチレンイミン)変性シリコーン、ポリ(N−n−ドデカノイルエチレンイミン)変性シリコーン、ポリ(N−ホルミルプロピレンイミン)変性シリコーン、ポリ(N−アセチルエチレンイミン)変性シリコーン、ポリ(N−アセチルプロピレンイミン)変性シリコーン、ポリ(N−プロピオニルプロピレンイミン)変性シリコーン、ポリ(N−n−オクタノイルプロピレンイミン)変性シリコーン、ポリ(N−n−ドデカノイルプロピレンイミン)変性シリコーン等が挙げられる。
【0024】
これらのオルガノポリシロキサンは、公知の方法(特開平2-276824号公報、特開平4-85334号公報、特開平4-85335号公報、特開平5-112423号公報、特開平7-133352号公報、特開平10-95705号公報等)により製造することができる。
【0025】
成分(B)は、溶解又は分散性を向上させるためにアルコールを組み合わせて用いるのが好ましい。成分(B)をアルコール分散液として配合すると、化粧料中での高分子化合物の溶存状態が良好となり、肌表面に均一に広がり、効果が十分に発揮できる。成分(B)と組み合わせて用いられるアルコールとしては、溶解性、分散性及び化粧料に配合する際のハンドリングの良さから、炭素数1〜4の低級アルコールが好ましく、その中でもエタノールが更に好ましい。
【0026】
成分(B)は、1種又は2種以上を用いることができ、全組成中に0.01〜5質量%、特に0.1〜5質量%、さらに0.5〜4質量%含有するのが、紛体の分散性が向上して肌を明るく仕上げることができ、また優れた化粧よれ防止効果を付与できるので好ましい。
【0027】
さらに、本発明において、成分(A)及び(B)の質量割合は、(A)/(B)=0.1〜12、更に0.4〜3であるのが、化粧料を安定に配合でき、かつ保存安定性が良好になるので好ましい。
【0028】
本発明で用いる成分(C)の粉体としては、通常の化粧料に用いられるものであれば制限されず、有機粉体、無機粉体、天然繊維の粉体、スターチの粉体、真珠光沢顔料、有機色素等などの何れでも用いることができる。
有機粉体としては、ポリアミド樹脂パウダー(ナイロン粉末)、多孔質ナイロンパウダー、ポリエステルパウダー、ポリエチレンパウダー、ポリ四弗化エチレンパウダー、ポリプロピレンパウダー、ポリスチレンパウダー、ポリメチルベンゾグアナミンパウダー、ポリメチルメタクリレートパウダー、ポリウレタンパウダー、ラウロイルリジン、シリコーンパウダー、シリコーンエラストマー球状粉体、網状型メチルポリシロキサン粉体、アクリル酸ブチル・酢酸ビニル共重合体、シクロデキストリン、スチレンとアクリル酸の共重合体樹脂パウダー等の、有機樹脂粉体などの架橋型あるいは非架橋型の高分子粉体が挙げられる。
【0029】
無機粉体としては、タルク、カオリン、雲母、絹雲母(セリサイト)、金雲母、ケイ酸アルミニウム・マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸バリウム、ケイ酸ストロンチウム、エポキシ処理アルミニウム、アルミニウム末、リン酸カルシウム、無水ケイ酸、無水ケイ酸アルミニウム、パイロフェライト質クレー、ベントナイト、スメクタイト、モンモリロナイト、バーミキュライト、ヘクトライト、ゼオライト、ハイジライト、シリカ、黄酸化鉄、黄土、黒酸化鉄、ベンガラ、黒酸化チタン、低次酸化チタン、チタン酸鉄、γ−酸化鉄、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化アルミニウムコバルト、酸化クロム、酸化ジルコニウム、二酸化チタン、酸化チタンゾル、酸化鉄・二酸化チタン焼結物、酸化セリウム、酸化マグネシウム、水酸化クロム、チタン・二酸化チタン焼結物、チタン酸コバルト、マンガンバイオレット、コバルトバイオレット、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、タングステン酸金属塩、硫酸バリウム、焼成硫酸カルシウム(焼セッコウ)、オキシ塩化ビスマス、カラミン、ロジン酸ナトリウム処理酸化マグネシウム、弗素アパタイト、ヒドロキシアパタイト、セラミックパウダー、金属石鹸(ミリスチン酸亜鉛、パルミチン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウムなど)、窒化ホウ素等が挙げられ、またこれらの2種以上の複合化粉体、アクリル樹脂被覆アルミニウム末、酸化チタン被覆ナイロン末等の有機−無機複合化粉体などが挙げられる。
【0030】
天然繊維の粉体としては、シルクパウダー、ウールパウダー、セルロースパウダー等が挙げられる。
スターチの粉体としては、米、コーン、馬鈴薯等が挙げられる。
真珠光沢顔料としては、雲母(マイカ)、雲母チタン、酸化鉄被覆雲母チタン、酸化チタン被覆マイカ、酸化チタン被覆オキシ塩化ビスマス、酸化チタン被覆タルク、酸化チタン被覆ガラスフレーク、魚鱗箔等が挙げられる。
この他、カーボンブラック、群青、紺青、グンジョウバイオレット、タール系色素、レーキ等が挙げられる。
【0031】
これら粉体は疎水化処理して用いることもできる。疎水化処理方法としては、通常化粧料用の粉体に施されている方法、例えば、シリコーン処理、脂肪酸処理、ラウロイルリジン処理、界面活性剤処理、金属石鹸処理、フッ素化合物処理、レシチン処理、ナイロン処理、高分子処理等が含まれ、なかでもシリコーン処理、フッ素化合物処理が好ましい。具体的には、シリコーン処理としては、例えば、メチルハイドロジェンポリシロキサン、メチルポリシロキサン、トリメチルシロキシケイ酸、シリコーン樹脂等による処理;フッ素化合物処理としては、例えば、パールフルオロアルキルリン酸エステル、パーフルオロアルキルシラン等による処理が挙げられる。疎水化処理剤の使用量は、処理前の粉体質量に対して通常0.5〜70質量%、更に1〜40質量%であるのが好ましい。
【0032】
成分(C)の粉体の形状や粒径は制限されないが、平均粒径が0.1〜150μmであるのが、使用感が良く、仕上がりが良好になるので好ましい。
【0033】
成分(C)の粉体は、1種以上を用いることができ、全組成中に0.1〜40質量%、更に1〜30質量%含有するのが、使用感が良く、仕上がりが良好になるので好ましい。
【0034】
本発明において、水は、全組成中に1〜80質量%、更に10〜70質量%含有するのが仕上がりの点から好ましい。
【0035】
また、本発明の油中水型乳化化粧料には、前記成分のほか、通常の化粧料に用いられる成分、例えば、界面活性剤、油性成分、香料、保湿剤、美容成分、薬効成分、紫外線吸収剤、増粘剤、殺菌剤、pH調整剤、酸化防止剤、防腐剤等を含有させることができる。
【0036】
本発明の油中水型乳化化粧料は、通常の方法により製造することができ、乳液、クリーム、ファンデーション、化粧下地、コンシーラー、リップクリーム、頬紅、アイシャドウ、マスカラ等の皮膚化粧料として好適である。
【実施例】
【0037】
合成例1(ポリ(N−プロピオニルエチレンイミン)変性シリコーンの製造)
硫酸ジエチル3.76g(0.024mol)及び2−エチル−2−オキサゾリン65.3g(0.66mol)を、脱水した酢酸エチル140gに溶解し、窒素雰囲気下、8時間加熱還流し、末端反応性ポリ(N−プロピオニルエチレンイミン)を合成した。ここに、側鎖1級アミノプロピル変性ポリジメチルシロキサン(分子量100000、アミン当量20500)500g(アミノ基にして0.024mol)の50%酢酸エチル溶液を一括して加え、12時間加熱還流した。反応混合物を減圧濃縮し、N−プロピオニルエチレンイミン・ジメチルシロキサン共重合体を淡黄色ゴム状固体(537g、収率95%)として得た。重量平均分子量は149000であった。(N−プロピオニルエチレンイミン含有率12質量%)
【0038】
合成例2(ポリ(N−プロピオニルエチレンイミン)変性シリコーンの製造)
硫酸ジエチル7.57g(0.049mol)及び2−エチル−2−オキサゾリン263.3g(2.66mol)を、脱水した酢酸エチル550gに溶解し、窒素雰囲気下、8時間加熱還流し、末端反応性ポリ(N−プロピオニルエチレンイミン)を合成した。ここに、側鎖1級アミノプロピル変性ポリジメチルシロキサン(分子量60000、アミン当量3870)250g(アミノ基にして0.065mol)の50%酢酸エチル溶液を一括して加え、12時間加熱還流した。反応混合物を減圧濃縮し、N−プロピオニルエチレンイミン・ジメチルシロキサン共重合体を淡黄色ゴム状固体(505g、収率97%)として得た。重量平均分子量は88400であった。(N−プロピオニルエチレンイミン含有率49質量%)
【0039】
実施例1〜9及び比較例1〜4
表1に示す組成のW/O化粧下地を製造し、使用感(ベたつきのなさ、のびの良さ)、粉の分散状態(分散性、明度)、表面粗さ及び化粧よれ防止効果を評価した。結果を表1に併せて示す。
【0040】
(製造方法)
粉体成分を粗混合した後、アドマイザー粉砕機(不二パウダル株式会社)を用いて混合粉砕した。油相成分を混合し、粉砕した粉体成分を添加して、ディスパーで分散した。さらに水相成分を混合し、油相と紛体の混合物に添加して乳化した。その後、ホモミキサーで粘度調整して、W/O化粧下地を得た。
【0041】
*1:KSG−240、シクロペンタシロキサン20%溶液(信越化学工業株式会社)
*2:KSG−310、流動パラフィン30%溶液(信越化学工業株式会社)
*3:KSG−340、スクワラン30%溶液(信越化学工業株式会社)
*4:KSG−830、トリオクタノイン20%溶液(信越化学工業株式会社)
*5:KT−16(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社)
*6:KF−96H−5万cs(信越化学工業株式会社)
*7:SH3775M(東レ・ダウコーニング株式会社)
*8:特開平7−277914号公報の製造例6 A−4に準じて製造したもの。
*9:合成例1の記載に従って合成したもの。
*10:合成例2の記載に従って合成したもの。
*11:ジメチコン(ポリジメチルシロキサン)で5質量%表面処理したもの。
*12:パーフルオロアルキルエチルリン酸ジエタノールアミンで5質量%表面処理したもの。
*13:NTS30K3TA(日本板硝子株式会社)をパーフルオロアルキルエチルリン酸ジエタノールアミンで3質量%表面処理したもの。
*14:TIMIRON SUPERSILK MP−1005(メルク社)をパーフルオロアルキルエチルリン酸ジエタノールアミンで3質量%表面処理したもの。
*15:トスパール 145(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社)をパーフルオロアルキルエチルリン酸ジエタノールアミンで5質量%表面処理したもの
*16:特開平5-112424号公報の製造例7
【0042】
【化4】

【0043】
*17:KF−6025(信越化学工業株式会社)
*18:フラメンコサテンバイオレット(BASF社)をパーフルオロアルキルエチルリン酸ジエタノールアミンで5質量%表面処理したもの。
*19:フラメンコサテングリーン(BASF社)をパーフルオロアルキルエチルリン酸ジエタノールアミンで5質量%表面処理したもの。
【0044】
(評価方法)
(1)使用感(べたつきのなさ、のびの良さ):
10名の専門パネラーが、実際に各化粧料を使用したときの「べたつきのなさ」と「のびの良さ」を官能評価した。良好であると評価したパネラーの数により、次の基準で示した。
◎;9名以上が良好と評価した。
○;7〜8名が良好と評価した。
△;4〜6名が良好と評価した。
×;3名以下が良好と評価した。
【0045】
(2−1)粉の分散状態評価(1)−分散性:
各化粧料を人工皮革にアプリケーターを用いて厚さ25μmに塗布し、ホットプレートを用いて37℃で3時間乾燥した。得られた化粧料塗膜における粉体の分散状態を、下記基準により目視で評価した。
A;粉体の凝集がなく、均一にむらなく塗布されている。
B;粉体の凝集が少なく、均一にむらなく塗布されている。
C;粉体の凝集があり、不均一に塗布されている。
D;明らかに粉体の凝集があり、不均一に塗布されている。
【0046】
(2−2)粉の分散状態評価(2)−明度:
上記(2−1)の化粧料塗膜をデジタルカメラにて撮影し、Adobe Photoshop Elements3.0を用いて、明度解析をすることにより塗膜の明るさを評価した。
【0047】
(3)表面粗さの評価(塗布直後、経時):
(a) ポリエチレンシートフィルムに、コーターを用いて化粧料を25μmに塗布し、37℃ホットプレート上で30分間乾燥した後、表面粗さ(RMS)aを測定した。
(b) (a)のシートに、パウダーファンデーション(PFD)を塗布し、塗布直後の表面粗さ(RMS)bを測定した。
表面粗さaとbの差を求め、|a−b|<3.0であれば、PFD塗布直後の粉っぽさがないと判断した。
(c) (b)のシートを、さらに37℃ホットプレート上で90分間乾燥した後、表面粗さ(RMS)cを測定した。
表面粗さbとcの差分(b−c)を求めた。|c−b|の値は、下記のように、経時での粉っぽさを示す。
|c−b|≦0.5 : 経時での粉っぽさがない。
0.5<|c−b|≦1.0 : 経時での粉っぽさが少ない。
1.0<|c−b| : 明らかに経時での粉っぽさがある。
【0048】
(4)化粧よれ防止効果:
シワ形状を有する透明なポリウレタンシート(図1)に、オレイン酸(人工皮脂)を0.005g塗布した。その上に、各化粧下地(表1)を0.025g塗布し、37℃ホットプレート上で30分間乾燥した。さらに、化粧下地の上に固形ファンデーション(特開2001-158717号公報、実施例1の本発明品1)を、スポンジを用いて0.01g塗布した。その後、30分間室温で乾燥してシート状の試験品を得た。
各試験品を塗布したポリウレタンシートを黒色板の上に載せて、DSA(ダイレクトスキンアナライザー)により、拡大画像の撮影(条件:40倍)を行う。次に、シートを、ポリウレタンシートの溝にそって30回折り曲げた後、同じ部位の拡大画像撮影を行う(図2、図3)。Adobe Photoshop Elements3.0の画像解析により、折り曲げ操作前後の撮影画像から2値化および標準偏差の各データの差分を得た(図4)。2値化の差分が大きいとファンデーションのとれが大きく、標準偏差が大きいと化粧よれが生じていることがわかる。
【0049】
また、折り曲げ後のポリウレタンシートについて、目視により、塗布状態を下記基準で評価した。
A;粉体の凝集および、とれがなく、均一な塗膜を維持している。
B;粉体の凝集および、とれが少ない。
C;明らかに粉体の凝集および、とれがあり、化粧よれが生じている。
【0050】
【表1】

【0051】
表1より、本発明の化粧下地は、使用感(ベたつきのなさ、のびの良さ)、粉の分散状態(分散性、明度)、表面粗さ及び化粧よれ防止効果について、いずれも良好であった。それに対し、架橋型ポリエーテル変性シリコーンに代えて、架橋型ポリグリセリン変性シリコーンを用いた比較例1は、べたつきや化粧よれが生じ、長鎖アルキル変性シリコーンを用いた比較例2は、べたつき、粉の分散状態、粉っぽさに劣るものであり、高重合ジメチコンを用いた比較例3は、粉の分散状態が悪かった。また、成分(B)のオルガノポリシロキサンを含まない比較例4は、化粧のび、化粧よれの効果が劣るものであった。
【0052】
実施例10(乳化型ファンデーション)
表2に示す組成のクリームファンデーションを、常法により製造した。
得られたファンデーションは、べたつきがなく使用感に優れていた。また、疎水性粉体の分散状態が良好なため、化粧の仕上がりが明るくきれいで、経時でもその美しい仕上がりは持続した。さらに、肌に密着し、経時での粉浮きおよび化粧よれが防止できていた。
【0053】
【表2】

【0054】
実施例11(コンシーラー)
表3に示す組成のコンシーラーを、常法により製造した。
得られたコンシーラーは、のびや肌へのなじみが良く、経時での乾燥感や粉浮きおよび化粧よれを防止していた。
【0055】
【表3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(A)、(B)及び(C):
(A)次の一般式(1)
【化1】

(式中、各Rは、メチル基又はフェニル基を示し、各R'は水素原子、炭素数1〜30のアルキル基又はアシル基を示し、各R"は炭素数1〜30のアルキル基若しくはアシル基、又はケイ素原子1〜30のシロキサン基を示す。dは1〜20の数を示し、e及びfは0〜200の数を示し、e及びfが同時に0となることはない。gは0〜30の数を示し、hは1〜100の数を示し、iは10〜2000の数を示し、jは1〜1000の数を示し、kは1〜1000の数を示す)
で表される架橋型ポリエーテル変性シリコーン、
(B)主鎖を構成するオルガノポリシロキサンセグメントの末端若しくは側鎖のケイ素原子の少なくとも1個に、ヘテロ原子を含むアルキレン基を介して下記式(2)で表される繰り返し単位からなるポリ(N−アシルアルキレンイミン)が結合してなるオルガノポリシロキサン
【化2】

(式中、R1は水素原子、炭素数1〜22のアルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基又はアリール基を示し、xは2又は3の数を示す)、
(C)粉体
を含有する油中水型乳化化粧料。
【請求項2】
成分(A)を0.01〜10質量%含有する請求項1記載の油中水型乳化化粧料。
【請求項3】
成分(B)を0.01〜5質量%含有する請求項1又は2記載の油中水型乳化化粧料。
【請求項4】
成分(A)及び(B)の質量割合が、(A)/(B)=0.1〜12である請求項1〜3のいずれか1項記載の油中水型乳化化粧料
【請求項5】
成分(C)を0.1〜40質量%含有する請求項1〜4のいずれか1項記載の油中水型乳化化粧料。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−43847(P2013−43847A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−181652(P2011−181652)
【出願日】平成23年8月23日(2011.8.23)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】