説明

油中水型乳化組成物

【課題】乳化安定性に優れ、生地に練り込みやすく、良好なソフト感を有しながら風味にも優れたベーカリー製品等を焼き上げるのに好適な油中水型の乳化組成物を提供する。
【解決手段】不飽和モノアシルグリセロール1.3〜5質量%と、ジアシルグリセロール5〜60質量%と、トリアシルグリセロール35〜90質量%とを含有し、上昇融点が20〜50℃である油相成分を有するベーカリー用油中水型乳化組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベーカリー用として好適な油中水型乳化組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
パン類に代表されるベーカリー製品は、一般に、風味・ソフト感を付与するために油中水型乳化組成物を生地に練りこみ、これを焼き上げることで製造される。このようなベーカリー用の油中水型乳化組成物では、その性能を向上させるために乳化安定性を向上させることが重要となる。
油中水型乳化組成物の乳化安定性を向上させるために、ショ糖脂肪酸エステルやポリグリセリン脂肪酸エステルなどの乳化剤を用いる方法が開示されているが(例えば特許文献1参照)、十分な乳化安定性が得られるには至っていない。また、油相にジアシルグリセロールを多量に配合することで高い乳化安定性が得られることも開示されているが(例えば特許文献2、3参照)、保存時に物性が悪化し、ボソツキなどが発生することがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭58−170432号公報
【特許文献2】国際公開WO95/22257号パンフレット
【特許文献3】国際公開WO96/32022号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、乳化安定性に優れ、生地に練り込みやすく、良好なソフト感を有しながら風味にも優れたベーカリー製品等を焼き上げるのに好適な油中水型の乳化組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者等は上記課題に鑑み、鋭意検討を行った結果、不飽和モノアシルグリセロールと、ジアシルグリセロールと、トリアシルグリセロールとを所定濃度含有し、所定の上昇融点を示す油脂組成物を油相として有する油中水型の乳化組成物が優れた乳化安定性を示すことを見い出した。さらに、この乳化組成物は生地に練り込みやすく、良好なソフト感と風味の双方を有するベーカリー製品等を仕上げるのに好適であることを見い出した。
【0006】
本発明は、不飽和モノアシルグリセロール1.3〜5質量%と、ジアシルグリセロール5〜60質量%と、トリアシルグリセロール35〜90質量%とを含有し、上昇融点が20〜50℃である油相成分を有するベーカリー用油中水型乳化組成物に関する。
また、本発明は、前記ベーカリー用油中水型乳化組成物を含有する生地から製造されるベーカリー製品に関する。
【発明の効果】
【0007】
本発明のベーカリー用油中水型乳化組成物は、生地に練り込みやすく、ソフト感に優れ、しかも風味にも優れたベーカリー製品等を製造するのに好適である。また、本発明のベーカリー用油中水型乳化組成物は、乳化安定性に優れるため、品質の経時変化が少なく、高品質なベーカリー製品等の安定供給に寄与する。
本発明のベーカリー用油中水型乳化組成物を用いて製造されたベーカリー製品は、良好なソフト感を有し、しかも風味にも優れる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明のベーカリー用油中水型乳化組成物について以下に詳細に説明する。
【0009】
本発明のベーカリー用油中水型乳化組成物(以下、本発明の乳化組成物という。)は、油相成分と水相成分から構成される。
【0010】
本発明の乳化組成物は、不飽和モノアシルグリセロールと、ジアシルグリセロールと、トリアシルグリセロールとを所定量含有し、上昇融点が20〜50℃である油相成分を有する油中水型の乳化組成物であって、パン類や菓子類といったベーカリー製品の製造に好適に用いられる。
【0011】
本発明に用いられる不飽和モノアシルグリセロールは、グリセリンが有するヒドロキシル基のいずれか1つと不飽和脂肪酸とがエステル結合した構造を有する。本発明に用いる不飽和モノアシルグリセロールは、グリセリンの1位のヒドロキシル基に不飽和脂肪酸がエステル結合した構造をもつ1−不飽和モノアシルグリセロールであっても、グリセリンの2位のヒドロキシル基に不飽和脂肪酸がエステル結合した構造をもつ2−不飽和モノアシルグリセロールであってもよく、これらの混合物であってもよいが、1−不飽和モノアシルグリセロールを含むことが好ましい。前記不飽和モノアシルグリセロールを構成する不飽和脂肪酸は、炭素数12〜24であることが好ましく、炭素数16〜18であることがより好ましい。前記不飽和モノアシルグリセロールを構成する不飽和脂肪酸は、二重結合を1つ有する不飽和脂肪酸であるモノエン脂肪酸及び/又は二重結合を2つ有する不飽和脂肪酸であるジエン脂肪酸を含むことが好ましく、その中でも炭素数18で二重結合を1つ有する不飽和脂肪酸(C18:1とも略す。)及び/又は炭素数18で二重結合を2つ有する不飽和脂肪酸(C18:2とも略す。)を含むことが好ましい。前記不飽和脂肪酸中、モノエン脂肪酸及びジエン脂肪酸の総含有量は、80質量%以上であることが好ましく、85〜99質量%であることがより好ましい。前記不飽和脂肪酸中、二重結合を3つ以上有する不飽和脂肪酸であるポリエン脂肪酸の含有量は、20質量%以下であることが好ましく、1〜15質量%であることがより好ましい。前記不飽和脂肪酸中、C18:1及びC18:2の総含有量は、75〜98質量%であることが好ましく、85〜98質量%であることがより好ましい。前記不飽和脂肪酸中、C18:1の含有量は、55〜90質量%であることが好ましく、60〜80質量%であることがより好ましい。前記不飽和脂肪酸中、C18:2の含有量は、10〜30質量%であることが好ましく、15〜25質量%であることがより好ましい。
【0012】
本発明の乳化組成物の油相成分中において、不飽和モノアシルグリセロールの含有量、すなわち、油相中濃度は1.3〜5質量%であり、好ましくは1.3〜3.5質量%である。また、当該不飽和モノアシルグリセロールの含有量は、1.5〜5質量%であることも好ましく、より好ましくは1.5〜3.5質量%であり、さらに好ましくは1.5〜3質量%であり、さらに好ましくは1.7〜2.1質量%である。不飽和モノアシルグリセロールの含有量が多すぎるとベーカリー製品ではえぐみを感じるようになり好ましくない。
【0013】
本発明の乳化組成物の油相成分は、飽和モノアシルグリセロールを含有していてもよい。該飽和モノアシルグリセロールは、1−飽和モノアシルグリセロールであっても2−飽和モノアシルグリセロールであってもよく、これらの混合物であってもよいが、1−飽和モノアシルグリセロールを含むことが好ましい。飽和モノアシルグリセロールの構成脂肪酸における飽和脂肪酸の炭素数は12〜24であることが好ましく、16〜18であることがより好ましい。該飽和脂肪酸としては、パルミチン酸(C16:0とも略す。)やステアリン酸(C18:0とも略す。)等が挙げられる。
【0014】
本発明の乳化組成物の油相成分中において、飽和モノアシルグリセロールの含有量は0〜5質量%であることが好ましく、より好ましくは0〜3質量%、さらに好ましくは0.1〜2質量%であり、さらに好ましくは0.5〜1.5質量%であり、さらに好ましくは0.6〜1.2質量%である。
【0015】
本発明に用いられるジアシルグリセロールに特に制限はないが、その構成脂肪酸中、不飽和脂肪酸の割合は70質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましく、通常には98質量%以下である。ジアシルグリセロールを構成する不飽和脂肪酸の好ましい炭素数は12〜24、より好ましくは16〜18である。ジアシルグリセロールを構成する不飽和脂肪酸は、モノエン脂肪酸及び/又はジエン脂肪酸を含むことが好ましく、その中でもC18:1及び/又はC18:2を含むことが好ましい。ジアシルグリセロールの構成脂肪酸中、モノエン脂肪酸及びジエン脂肪酸の総含有量は、70〜98質量%以上であることが好ましく、75〜90質量%であることがより好ましい。ジアシルグリセロールの構成脂肪酸中、ポリエン脂肪酸の含有量は、20質量%以下であることが好ましく、1〜15質量%であることがより好ましい。ジアシルグリセロールの構成脂肪酸中、C18:1及びC18:2の総含有量は、75〜95質量%であることが好ましく、78〜90質量%であることがより好ましい。ジアシルグリセロールの構成脂肪酸中、C18:1の含有量は、25〜75質量%であることが好ましく、30〜70質量%であることがより好ましい。ジアシルグリセロールの構成脂肪酸中、C18:2の含有量は、10〜60質量%であることが好ましく、15〜55質量%であることがより好ましい。
【0016】
本発明に用いられるジアシルグリセロールの構成脂肪酸中、飽和脂肪酸の割合は0〜30質量%であることが好ましく、0〜20質量%であることがより好ましく、2〜15質量%であることがさらに好ましい。該飽和脂肪酸の炭素数は12〜24であることが好ましく、16〜18であることがより好ましい。該飽和脂肪酸としては、パルミチン酸やステアリン酸等が挙げられる。
【0017】
本発明に用いられるジアシルグリセロールには、良好な風味等を得る観点から、グリセリンの1位と3位のヒドロキシル基に脂肪酸がエステル結合した構造をもつ1,3−ジアシルグリセロールが含まれることが好ましい。本発明に用いられるジアシルグリセロールに占める1,3−ジアシルグリセロールの割合は50〜100質量%であることが好ましい。
【0018】
本発明の乳化組成物の油相成分中において、ジアシルグリセロールの含有量は5〜60質量%であるが、5〜40質量%であることが好ましい。また、当該ジアシルグリセロールの含有量は10〜58質量%であることも好ましく、10〜40質量%であることがより好ましく、12〜35質量%であることがさらに好ましく、15〜35質量%であることがさらに好ましい。
【0019】
本発明に用いられるトリアシルグリセロールに特に制限はないが、その構成脂肪酸中、炭素数14以下の脂肪酸の割合が12質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることがより好ましい。また、前記構成脂肪酸中、炭素数14以下の脂肪酸の割合は0.1質量%以上であることが好ましく、0.5質量%以上であることがより好ましく、0.8質量%以上であることがさらに好ましい。
【0020】
本発明に用いられるトリアシルグリセロールは、その構成脂肪酸中のラウリン酸(C12:0とも略す。)の割合が0.3〜6質量%であることが好ましく、0.5〜6質量%であることがより好ましく、2〜5質量%であることがさらに好ましい。ラウリン酸の割合が6質量%を超えると、ラウリン系油脂特有の低温劣化や加水分解による石鹸臭が生じやすくなる。
【0021】
本発明に用いられるトリアシルグリセロールは、その構成脂肪酸中のパルミチン酸(C16:0とも略す。)の割合が10〜43質量%であることが好ましく、15〜40質量%であることがより好ましく、20〜40質量%であることがさらに好ましく、25〜36質量%であることが特に好ましい。
【0022】
本発明に用いられるトリアシルグリセロールの構成脂肪酸中、オレイン酸(C18:1シスとも略す。)の割合は25〜55質量%であることが好ましく、30〜55質量%であることがより好ましく、35〜50質量%であることがさらに好ましい。
【0023】
本発明の乳化組成物の油相成分中において、トリアシルグリセロールの含有量は35〜90質量%であり、60〜90質量%であることが好ましく、63〜88質量%であることがより好ましい。
【0024】
本発明の乳化組成物の油相成分中のモノアシルグリセロール、ジアシルグリセロール及びトリアシルグリセロールの合計である全アシルグリセロールは、その構成脂肪酸にトランス脂肪酸を含んでもよいが、全アシルグリセロールを構成する全構成脂肪酸に占めるトランス脂肪酸の割合は5質量%以下であることが好ましく、0.1〜5質量%であることがより好ましく、1〜3質量%であることがさらに好ましく、1〜2質量%であることがさらに好ましく、1.5〜2質量%であることがさらに好ましい。
【0025】
本発明の乳化組成物における油相成分の上昇融点は20〜50℃であり、25〜40℃であることが好ましく、33〜40℃であることがより好ましく、35〜38℃であることがさらに好ましい。上昇融点が低すぎるとマーガリン等の油中水型乳化物の製造が困難となる。また、上昇融点が高すぎると製造したマーガリン等の油中水型乳化物が硬くなりすぎて使用性に劣る結果となる。
【0026】
本発明の乳化組成物は油相中にリン脂質を含有してもよい。本発明の乳化組成物には、当該リン脂質として、フォスファチジルコリン、フォスファチジルエタノールアミン、フォスファチジルイノシトール、フォスファチジン酸等又はこれらの酵素処理物から選ばれる少なくとも1種を含有させることができる。また、上記リン脂質として、大豆レシチンや卵黄レシチン等の天然レシチン又はその酵素分解物を用いることもできる。
本発明の乳化組成物のリン脂質含有量に特に制限はないが、油相中における含有量が0.1〜10質量%であることが好ましく、0.1〜5質量%であることがより好ましく、0.3〜1質量%であることがさらに好ましい。なお、レシチンにはリン脂質以外の成分を含むものが多いが、このようなレシチンを用いる場合には、リン脂質としての含有量が上記濃度範囲内となるように前記油相中に含有させる。
【0027】
本発明の乳化組成物は、油相中に、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル(PGPRとも略す。)を含有してもよいし、また、ポリグリセリン脂肪酸エステルを含有してもよい。
上記ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルは、グリセリン重合体と縮合リシノレイン酸とがエステル結合した構造の化合物である。本発明に用いるポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルを構成するグリセリン重合体のグリセリン単位の数に特に制限はないが、乳化安定性の観点から、グリセリン重合度を2〜10とすることが好ましく、3〜8とすることがより好ましく、4〜6とすることがさらに好ましい。
【0028】
また、上記ポリグリセリン脂肪酸エステルは、グリセリン重合体と脂肪酸とがエステル結合した化合物である。当該ポリグリセリン脂肪酸エステルはHLB値が6以下であるが、乳化安定性の観点から、HLB値は2〜5であることが好ましく、3〜4であることがより好ましい。本発明において、HLB値は下記の数式で表されるGriffin法(W.C.Griffin,J.Soc.Cosmetic.Chemists.,1,311(1949))により計算した値である。

HLB=20×(親水基部分の分子量)/(界面活性剤の分子量)

上記ポリグリセリン脂肪酸エステルを構成するグリセリン重合体のグリセリン単位の数に特に制限はないが、所望のHLB値とするために、グリセリンの重合度を6〜14とすることが好ましく、8〜12とすることがより好ましく、9〜11とすることがさらに好ましい。
また、本発明の乳化組成物に含有されるポリグリセリン脂肪酸エステルを構成する脂肪酸は、好ましくは炭素数18〜24、より好ましくは20〜22の不飽和脂肪酸が主体であることが好ましく、該構成脂肪酸の70〜100質量%、より好ましくは80〜100質量%が上記不飽和脂肪酸であることが好ましい。当該不飽和脂肪酸は、エルカ酸を含むことが好ましい。
【0029】
本発明の乳化組成物のポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル又はポリグリセリン脂肪酸エステルの含有量に特に制限はないが、油相中における含有量が、0.05〜3質量%であることが好ましく、0.06〜2.2質量%であることがより好ましく、0.06〜2質量%であることがさらに好ましく、0.14〜2質量%であることがさらに好ましく、0.14〜1質量%であることがさらに好ましく、0.16〜0.6質量%であることがさらに好ましい。本発明の乳化組成物は、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル及びポリグリセリン脂肪酸エステルの双方を含有してもよく、その場合には、油相中のポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル及びポリグリセリン脂肪酸エステルの総含有量を上記濃度範囲内とすることが好ましい。
【0030】
本発明のベーカリー用乳化組成物における油相成分中のモノアシルグリセロールとジアシルグリセロールとトリアシルグリセロールは、以下の油脂を配合することにより調製されうる。当該「油脂」とは、モノアシルグリセロール、ジアシルグリセロール及びトリアシルグリセロールのいずれかを少なくとも含有するものである。当該油脂は、植物油、動物油等の原料油脂とグリセリンとのエステル交換反応、又は原料油脂由来の脂肪酸組成物とグリセリンとのエステル化反応等任意の方法により得られうる。エステル交換反応やエステル化反応は、アルカリ又は酸性触媒等を用いた化学反応法やリパーゼ等の油脂加水分解酵素を用いた生化学反応法等により行うことができる。上記エステル交換反応は、例えば原料油脂とグリセリンとをナトリウムメトキシド等の塩基性触媒の存在下で反応させることで行うことができる。また、上記エステル化反応は、例えば上記原料油脂由来の脂肪酸組成物とグリセリンとを酵素の存在下で反応させることで行うことができる。
上記原料油脂は、構成脂肪酸として炭素数16〜22の脂肪酸を有していることが好ましく、炭素数18の不飽和脂肪酸を有することがより好ましい。原料油脂の具体例として、ナタネ油、コーン油、大豆油、パーム油、サフラワー油、オリーブ油、綿実油、米油、ひまわり油、ごま油、ラード、牛脂、魚油、もしくはこれらの分別油、エステル交換油、硬化油、又はこれらの混合油脂が挙げられる。上記のように調製した油脂組成物のアシルグリセロール組成は後述する方法で測定することができる。
【0031】
本発明の乳化組成物における油相成分は、上記の反応により得られた油脂と、前記原料油脂とを含んでもよい。また、本発明のベーカリー用乳化組成物における油相成分は、精製したモノアシルグリセロールをさらに含んでもよいし、リン脂質含有製剤中の油脂をさらに含んでもよい。精製モノアシルグリセロールは、原料油脂を部分分解した後分離精製することで得られうる。
【0032】
本発明の乳化組成物は、油相成分に乳製品、乳化剤、風味成分等を含有してもよい。
【0033】
本発明の乳化組成物は、水相成分に、風味成分、乳タンパク、デンプン、増粘多糖類、ゼラチン等の熱可塑性タンパク質、食塩等が含まれてもよい。
また、乳化組成物の劣化を抑えるために、本発明の乳化組成物には、抗酸化剤が含まれてもよい。抗酸化剤としては、パルミチン酸エステルやステアリン酸エステル等のアスコルビン酸エステル、トコフェロール、茶、ローズマリー等のハーブ、桃の茶や根塊から抽出した天然抗酸化成分等が挙げられる。
【0034】
本発明の油中水型の乳化組成物は常法により調製することができる。例えば、上述してきた本発明の乳化組成物の油相と同じ成分組成の油脂組成物を50〜80℃程度の温度で加熱攪拌し、これに50〜80℃程度に加熱した水又は水を基質とする水溶液を除々に添加しながらホモミキサーで攪拌乳化後冷却することで本発明の油中水型乳化組成物を得ることができる。本発明の油中水型乳化組成物において、上記油脂組成物に由来する油相と上記の水又は水を基質とする水溶液に由来する水相の質量比は、油相:水相=20:80〜85:15であることが好ましく、40:60〜85:15であることがより好ましく、45:55〜80:20であることがさらに好ましく、45:55〜70:30であることがさらに好ましく、50:50〜65:35であることが殊更好ましい。
【0035】
本発明の乳化組成物は、ベーカリー製品等の製造に好適に用いられる。本発明の乳化組成物を生地に練りこんでおくことで、良好なソフト感を有し、しかも風味に優れたベーカリー製品等に焼き上げることができる。本発明の乳化組成物のベーカリー用とする場合の添加量は、通常のものの添加と特に異ならないが、生地中、好ましくは2〜10質量%、より好ましくは3〜8質量%である。
上記ベーカリー製品の種類に特に制限はなく、食パン、菓子パン、特殊パン、調理パン等が挙げられる。食パンとしては、白パン、黒パン、フランスパン、バラエティーブレッド、ロール類(テーブルロール、バンズ、バターロール等)が挙げられ、特殊パンとしてはマフィン等が挙げられる。調理パンとしては、ホットドック、ハンバーガー等が挙げられ、菓子パンとしてはジャムパン、あんパン、クリームパン、レーズンパン、メロンパン、スイートロール、リッチグッズ(クロワッサン、ブリオッシュ、デニッシュ、ペストリー等)が挙げられる。
また、本発明の乳化組成物は乳化安定性に優れるため、これを用いて製造したベーカリー製品等の品質にムラが生じにくく、製品のロット間差が抑えられて歩留まりが向上しうる。
【0036】
本発明の乳化組成物をパン類等のベーカリー製品の製造に使用する場合には、小麦粉100質量部に対して、乳化組成物を2〜20質量部配合し練りこむことで生地を製造することが好ましいが、更に3〜18質量部、さらに4〜15質量部、殊更5〜10質量部配合することが、作業性の点から好ましい。前記生地を焼成することで良好なソフト感を有しながら風味にも優れたベーカリー製品が得られる。
【実施例】
【0037】
以下、本発明を実施例に基づきさらに詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
なお、下記実施例において、TAGはトリアシルグリセロールを、DAGはジアシルグリセロールを、MAGはモノアシルグリセロールを意味する。
【0038】
[分析方法]
アシルグリセロール組成:
ガラス製サンプル瓶に、油脂サンプル約10mgとトリメチルシリル化剤(「シリル化剤TH」、関東化学製)0.5mLを加え、密栓し、70℃で15分間加熱した。これに水1.0mLとヘキサン1.5mLを加え、振とうした。静置後、上層をガスクロマトグラフィー(GLC)に供して分析した。
【0039】
構成脂肪酸組成:
日本油化学会編「基準油脂分析試験法」中の「脂肪酸メチルエステルの01調製法(2.4.1.−1996)」に従って脂肪酸メチルエステルを調製し、得られたサンプルを、American Oil Chemists. Society Official Method Ce 1f−96(GLC法)により測定した。
【0040】
結晶量評価方法:
油脂結晶量は、日本油化学協会制定の規準油脂分析試験法の2.2.9固体脂含量(NMR法)に記載の方法に従い測定した。
【0041】
上昇融点測定方法:
上昇融点は、日本油化学協会制定の基準油脂分析試験法の2.2.4.2融点(上昇融点)に記載の方法に従い測定した。
【0042】
[ジアシルグリセロール含有油脂の調製]
ウインタリングにより飽和脂肪酸を低減させた大豆油脂肪酸455質量部と、菜種油脂肪酸195質量部と、グリセリン107質量部とを、リポザイムIM(ノボザイムス社)を使用して40℃、0.07hPaで5時間エステル化反応を行った。次いで酵素を濾別し、脱臭処理することでDAG含有油脂を得た。なお、大豆油脂肪酸及び菜種油脂肪酸は、大豆白絞油(昭和産業社製)及び菜種白絞油(昭和産業社製)をそれぞれ酵素(商品名:リパーゼAYアマノ、天野エンザイム社製)で加水分解することで調製した。
【0043】
[トランス脂肪酸含有油脂の調製]
パーム硬化油(IV(ヨウ素価)=40、花王社製)45質量部と、菜種硬化油(IV=80、花王社製)40質量部と、パーム油15質量部とを混合し、常法に従い水洗/脱色/脱臭を行いトランス脂肪酸含有油脂を得た。
【0044】
[低トランス脂肪酸油脂の調製]
パーム油(KECK SENG社製)60質量部と、パーム分別油(IV=60、日清オイリオ社製)30質量部と、ヤシ油10質量部とを用いて、ナトリウムメチラートを触媒としてランダムエステル交換を行った後、常法に従い水洗/脱色/脱臭を行い低トランス脂肪酸油脂Aを得た。
【0045】
パーム油(KECK SENG社製)65質量部と、パーム分別油(IV=60、日清オイリオ社製)25質量部と、菜種白絞油10質量部とを用いて、ナトリウムメチラートを触媒としてランダムエステル交換を行った後、常法に従い水洗/脱色/脱臭を行い低トランス脂肪酸油脂Bを得た。
【0046】
大豆油にニッケル触媒を用いてIV=1になるまで水素添加を行い、低トランス脂肪酸油脂Cを得た。
【0047】
[調製例1 油中水型乳化組成物の調製−1]
菜種白絞油(日清オイリオ社製)、上記のDAG含有油脂、上記のトランス脂肪酸含有油脂、上記の低トランス脂肪酸油脂A、B及びC、不飽和モノアシルグリセロール製剤(商品名:エキセルO−95R、花王社製)並びにレシチン(商品名:レシチンデラックス、日清オイリオ社製)を下記表1及び2の(a)欄に示す割合(単位:質量部)で混合し、60℃に加熱して攪拌溶解することで油相成分を調製した。
【0048】
上記油相成分に、下記表1及び2の(a)欄に示す割合(単位:質量部)で、60℃に加熱した水道水を徐々に添加しながらホモミキサー(特殊機化工業社製)で攪拌乳化を行い(7000rpm、10分間)、油中水型乳化組成物(本発明品1〜11、比較品1〜7)を得た。その後、チラー(乳化混練機、多摩精器工業社製)を用いて15℃まで冷却し、30℃で1日間保存した後、冷蔵庫(5℃)にて1日保存し、後述する試験例に用いた。
【0049】
【表1】

【0050】
【表2】

【0051】
[調製例2 油中水型乳化組成物の調製−2]
菜種白絞油(日清オイリオ社製)、上記のDAG含有油脂、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル(商品名:サンソフトNo.818SK、太陽化学社製)上記の低トランス脂肪酸油脂A、不飽和モノアシルグリセロール製剤(商品名:エキセルO−95R、花王社製)並びにレシチン(商品名:レシチンデラックス、日清オイリオ社製)を下記表3の(a)欄に示す割合(単位:質量部)で混合し、60℃に加熱して攪拌溶解することで油相成分を調製した。
【0052】
上記油相成分に、下記表3の(a)欄に示す割合(単位:質量部)で、60℃に加熱した水道水を徐々に添加しながらホモミキサー(特殊機化工業社製)で攪拌乳化を行い(7000rpm、10分間)、油中水型乳化組成物(本発明品12〜16、比較品8及び9)を得た。その後、チラー(乳化混練機、多摩精器工業社製)を用いて15℃まで冷却し、30℃で1日間保存した後、冷蔵庫(5℃)にて1日保存し、後述する試験例に用いた。
【0053】
【表3】

【0054】
なお、参考のため、上記の菜種白絞油、DAG高含有油、トランス脂肪酸含有油脂、低トランス脂肪酸油脂A、B及びC、エキセルO−95Rについて、アシルグリセロール組成及び全アシルグリセロールを構成する脂肪酸の組成を表4に示す(単位:質量%)。
【0055】
【表4】

【0056】
本発明品1〜16、比較品1〜9の油相中における不飽和モノアシルグリセロールの含有量、ジアシルグリセロールの含有量、トリアシルグリセロールの含有量を前記表1〜3の(b)欄に示す(油相中濃度、単位:質量%)。また、油相中の全アシルグリセロールを構成する全脂肪酸に占めるトランス脂肪酸の割合を併せて前記表1〜3の(b)欄に示す(単位:質量%)。さらに表3の(b)欄では、油相中におけるポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルの含有量も示した(油相中濃度、単位:質量%)。
【0057】
また、本発明品1〜16、比較品1〜9における油相の上昇融点(単位:℃)、及び20℃における油相中の結晶量(油相中濃度、単位:質量%)を前記表1〜3の(c)上欄に示す。
【0058】
比較品1、2及び8は、不飽和モノアシルグリセロールの油相中濃度が本発明で規定するよりも低い例であり、比較品3及び9は、不飽和モノアシルグリセロールの油相中濃度が本発明で規定するよりも高い例である。比較品4は、ジアシルグリセロールの油相中濃度が本発明で規定するよりも低く、トリアシルグリセロールの油相中濃度が本発明で規定するよりも高い例であり、比較品5は、ジアシルグリセロールの油相中濃度が本発明で規定するよりも高く、トリアシルグリセロールの油相中濃度が本発明で規定するよりも低いのに加えて、油相の上昇融点も本発明よりも高くなっている例である。また、比較品6及び7のアシルグリセロール組成は本発明で規定する範囲内であるが、比較品6では油相の上昇融点が本発明で規定するより高く、比較品7では油相の上昇融点が本発明で規定するより低くなっている。
【0059】
また、本発明品1〜16、比較品1〜9の油相中トリアシルグリセロールの構成脂肪酸組成を前記表1〜3の(c)下欄に示す。ここに示される数値は、トリアシルグリセロールの全構成脂肪酸の総質量に対する各脂肪酸の割合(質量%)である。
【0060】
また、本発明品1〜16、比較品1〜9に含まれるモノアシルグリセロールについて、その構成脂肪酸に占める飽和脂肪酸並びにモノエン脂肪酸、ジエン脂肪酸及びポリエン脂肪酸の各脂肪酸の割合を前記表1〜3の(d)欄に示す。ここに示される数値は、モノアシルグリセロールの構成脂肪酸の総質量に対する各脂肪酸の割合(質量%)である。
【0061】
また、本発明品1〜16、比較品1〜9に含まれるジアシルグリセロールについて、その構成脂肪酸に占める飽和脂肪酸並びにモノエン脂肪酸、ジエン脂肪酸及びポリエン脂肪酸の各脂肪酸の割合を前記表1〜3の(e)欄に示す。ここに示される数値は、ジアシルグリセロールの構成脂肪酸の総質量に対する各脂肪酸の割合(質量%)である。
【0062】
試験例1 油中水型乳化組成物の安定性
調製例1及び2で調製した油中水型乳化組成物について乳化安定性を試験した。具体的には、本発明品1〜16及び比較品1〜9について、その100mLを乳化試験管に採取し、45℃で4時間経過した後の離水量を指標にして乳化安定性を評価した。乳化安定性の評価基準を下記に示す。
【0063】
<乳化安定性評価基準>
5点:乳化安定性が非常に良好であり、離水しない。
4点:底面に離水が認められるが、良好な乳化状態である。
3点:油水が若干分離するが、良好な乳化状態である。
2点:油水が分離し、乳化状態が不良である。
1点:油水の分離が激しく、乳化状態が著しく不良である。
【0064】
結果を前記表1〜3の(f)上欄に示す。
【0065】
この結果から、不飽和モノアシルグリセロールの油相中濃度が最も低い比較品2及び8では、油水が分離して乳化状態が不良であり、それ以外の調製品では乳化状態が良好であることがわかる。また、油相がポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルを含むと、乳化安定性がより向上する傾向が認められた。
【0066】
試験例2 油中水型乳化組成物の作業性
調製例1及び2で調製した油中水型乳化組成物について製パン時における作業性を評価した。具体的には、本発明品1〜16及び比較品1〜9を5℃で30日間保存後、20℃において製パンの生地に練り込む際の乳化組成物の組織の状態、組織の伸びやすさ及び油水の分離状態を指標にして作業性を評価した。作業性の評価基準を下記に示す。
【0067】
<作業性評価基準>
5点:組織が非常に滑らかで伸びやすく、離水しない。
4点:組織が比較的滑らかで伸びやすく、離水しない。
3点:組織がやや伸びにくいが、離水はしない。
2点:水が分離してにじみ、組織が伸びにくい。
1点:完全に離水し、組織がボソボソで均一に伸びない。
結果を前記表1〜3の(f)下欄に示す。
【0068】
この結果から、上昇融点が本発明よりも低い比較品7において、作業性が著しく悪化することがわかった。また、不飽和モノアシルグリセロールの油相中濃度が最も低い比較品2及び8でもまた、離水が認められ組織が伸びにくく作業性に劣る結果となった。それ以外の調製品では概ね良好な作業性を示した。
【0069】
調製例3 パンの調製
上記各乳化組成物を用いて下記方法によりパンを製造した。
【0070】
強力小麦粉(日清製粉社製)70.0質量部、イースト(オリエンタル酵母社製)2.0質量部、イーストフード(オリエンタル酵母社製)0.1質量部、乳化剤製剤エマルジーMM100(リケン社製)0.3質量部、水40.0質量部をボール(10コート)に入れ、竪型ミキサー(10コートミキサー、攪拌にフック使用、関東混合機工社製)を用い、25.0±0.5℃の温度下、低速で3分間、続いて高速で2分間混捏した。混捏した生地を28.0℃(湿度80%)で4時間30分発酵(中種発酵)させた(発酵終了温度29.0±0.5℃)。
続いて上記中種発酵生地に、強力小麦粉(日清製粉社製)30.0質量部、上白糖5.0質量部、食塩2.0質量部、脱脂粉乳2.0質量部、水25.0質量部を加えて、上記竪型ミキサーを用いて低速で3分間、続いて高速3分間混捏後、調製例1及び2で調製した油中水型乳化組成物6.0質量部を添加し、さらに低速で3分間続いて中速で2分間、さらに高速で3分間混捏して本捏生地を得た(捏上生地温度28.0±0.5℃)。
本捏生地を28.0℃(湿度80%)で30分間静置してフロアータイムをとり、混捏時の生地のダメージを回復させてから、約225gの生地に分割した。分割生地を28.0℃(湿度80%)で20分間静置してベンチタイムをとり、分割による生地ダメージを回復させてからモルダーで成形した。成形した生地6個を焼き型に充填し、38.0℃(湿度80%)で60分間発酵(ホイロ)させた後、205℃のオーブンで40分間焼成した。焼成後、室温(約20.0℃)で45分間静置して冷却し、ビニール袋に入れて密閉した上で20.0℃にて24時間保存し、試験用の食パンとした。
【0071】
試験例3 パン品質の官能評価
上記調製例3で製造したパンについて、専門パネル10名にて、ソフト感と風味の2つの独立した観点から品質を評価した。ソフト感と風味の各評価基準を下記表5に示す。
【0072】
【表5】

【0073】
結果を前記表1〜3の(g)欄に示す。
【0074】
この結果から、不飽和モノアシルグリセロールの油相中濃度が高すぎる乳化組成物を用いると食パンの風味が著しく悪化した(比較品3及び9)。また、不飽和モノアシルグリセロールが本発明で規定する範囲内であっても、ジアシルグリセロールとトリアシルグリセロール本発明で規定する範囲から外れたものや、上昇融点が本発明で規定する範囲から外れたものを用いると、パンのソフト感と風味のいずれにおいても低い評価となった(比較品4〜7)。なお、不飽和モノアシルグリセロールの含有量が本発明で規定するよりも低い場合には、パンのソフト感や風味については顕著に悪化することはなかった(比較品1、2及び8)。
一方、本発明品1〜16の乳化組成物を用いた場合にはソフト感と風味の双方において良好なパンが製造できた。
【0075】
続いて、上記試験例1〜3の評価結果を総合的に検討することで、油中水型乳化組成物の実用性を評価した。総合評価は下記の基準に則った。
【0076】
<総合評価基準>
4:評価点数の合計点が18以上である。
3:評価点数の合計点が15以上18未満であり、かつ、ソフト感及び風味のいずれかの評価で2以下の点数を含まない。
2:評価点数の合計点が13以上15未満であり、かつ、ソフト感及び風味のいずれかの評価で2以下の点数を含まない。
1:評価点数の合計点が13未満であるか、又はソフト感及び風味のいずれかの評価で2以下の点数を含む。
【0077】
結果を前記表1〜3の(h)欄に示す。
【0078】
この結果から、比較品2、4〜8では評価点数の合計点が13未満と低い値となった。一方、比較品3及び9では、評価点数の合計点が16となり、比較的高い点数となったものの、パンの風味が顕著に劣るため実用に耐える品質ではなかった。また、比較品の中で総合評価が最も高かったのは比較品1であるが、それでも総合評価は2に留まるものであった。このように、比較品1〜9の油中水型乳化組成物は実用性に劣るものであった。
これに対し本発明品1〜16ではいずれも総合評価が3又は4となり、実用に耐えうる優れた油中水型の乳化組成物であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
不飽和モノアシルグリセロール1.3〜5質量%と、ジアシルグリセロール5〜60質量%と、トリアシルグリセロール35〜90質量%とを含有し、上昇融点が20〜50℃である油相成分を有するベーカリー用油中水型乳化組成物。
【請求項2】
油相中の全アシルグリセロールを構成する全脂肪酸中、トランス脂肪酸の割合が5質量%以下である、請求項1に記載のベーカリー用油中水型乳化組成物。
【請求項3】
油相中にリン脂質を含有する、請求項1又は2に記載のベーカリー用油中水型乳化組成物。
【請求項4】
前記油相成分と水相成分との質量比(油相/水相)が20/80〜85/15である請求項1〜3のいずれか1項に記載のベーカリー用油中水型乳化組成物。
【請求項5】
油相中のトリアシルグリセロールを構成する脂肪酸中、炭素数14以下の脂肪酸の割合が12質量%以下であり、ラウリン酸の割合が0.3〜6質量%であり、パルミチン酸の割合が10〜43質量%であり、オレイン酸の割合が25〜55質量%である、請求項1〜4のいずれか1項に記載のベーカリー用油中水型乳化組成物。
【請求項6】
油相中に、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル及び/又はHLB値が6以下のポリグリセリン脂肪酸エステルを総量で0.05〜3質量%含有する、請求項1〜5のいずれか1項に記載のベーカリー用油中水型乳化組成物。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載のベーカリー用油中水型乳化組成物を含有する生地から製造されるベーカリー製品。

【公開番号】特開2012−34687(P2012−34687A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−137183(P2011−137183)
【出願日】平成23年6月21日(2011.6.21)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】