説明

油中水型或いは油中水中油型乳化組成物

【課題】
本発明の目的は油中水型或いは油中水中油型乳化組成物において、経時的に油が分離してきたり、保存条件や使用条件による排油や分離(離水)等の製剤安定性の改良や使用性、特に低温時の使用性を向上させることにある。
【解決手段】
常温で液状の炭化水素油と、ポリエチレンと、多糖類脂肪酸エステルを配合すると、上記の問題が解決することがわかった。
さらに、外相油分が25%以上である場合にその効果が高い。
また、多糖類脂肪酸エステルが、パルミチン酸デキストリン、(パルミチン酸/エチルヘキサン酸)デキストリン、ミリスチン酸デキストリン、ステアリン酸デキストリンの場合が効果が高かった。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製剤の安定性と使用性の優れた油中水型或いは油中水中油型乳化組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
乳化組成物は、大きく分けて、水中油型と油中水型に分類され、このうち油中水型乳化組成物は、水中油型乳化組成物と比べ、肌への親和性がよく、肌表面を油膜で被覆して水分の蒸散を防ぎ、肌を乾燥から保護するなどの性質によりハンドクリームをはじめ基礎化粧料や、優れた撥水性を示すことから化粧崩れ防止や耐水性を訴求したメイクアップ化粧料や日焼け止め化粧料などに広く用いられている。
このように有用な製剤であるが、製剤の安定性が悪く、マイクロクリスタリンワックス、カルナバワックス等の固型ワックスを配合したり、最近では、デキストリン脂肪酸エステル等を配合して安定性の改善を図っている。(特許文献1,2参照)
しかしながら、製剤の安定性や温度依存性による粘度変化に伴う使用性の低下等、満足する結果が得られていない。
【特許文献1】特開2008−247846号公報
【特許文献2】国際公開WO2011/010652号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
油中水型或いは油中水中油型乳化組成物の製剤は、温度条件や使用条件によって生じる排油や分離(離水)等の安定性に関する課題が多かった。
また、ワセリン等を多く含有する製剤では、皮膚閉塞性があり、経皮水分透過を抑制する効果が高く、有効である。しかし、使用性では伸びが悪いため厚くつけすぎてしまい、べたついて使用感が悪いという課題があった。様々な条件下での使用に耐え、使用性の優れた製剤を得ることを本発明の目的とした。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者らは、鋭意検討した結果、常温液状の炭化水素油と、ポリエチレンと、多糖類脂肪酸エステルをくみあわせることによって安定な油中水型或いは油中水中油型乳化組成物を得ることができることがわかった。以下に詳細を説明する。
【0005】
常温で液状の炭化水素油として、直鎖状、分岐状、さらに揮発性の炭化水素油等が挙げられ、具体的には、オレフィンオリゴマー、軽質イソパラフィン、軽質流動イソパラフィン、スクワラン、合成スクワラン、植物性スクワラン、スクワレン、流動パラフィン、流動イソパラフィン、プリスタン、水添ポリブテン、水添ポリデセン等が挙げられるが、特にオレフィンオリゴマー、流動パラフィン、スクワラン、流動イソパラフィンが本発明の製剤に適している。これらの中の1種以上を選択する。
常温で液状の炭化水素油の配合量は、常温で液状の炭化水素油の種類、他の配合物の種類や量或いは製剤の用途等によって異なるが、5〜80%が好ましく、さらに10〜70%が好ましい。(なお、本特許においては%はすべて重量%を表す)
また、常温で液状の炭化水素油の配合量は油分の量によっても適当な配合量が変化するが、油分1に対して0.2〜0.95が好ましい。
【0006】
ポリエチレンは、エチレンが重合した構造を持つ物質である。
本発明に用いるポリエチレンは平均分子量が1000〜40000、好ましくは、2000〜30000がよく、分子量がこれより小さいと必要な製剤の硬さや温度変化に対応できず、また、これ以上大きいと、硬すぎて本発明の目的を達することができない。
配合量はポリエチレンの平均分子量、他の配合物、製剤の用途等によって異なるが、0.1〜10%が好ましく、さらに0.3〜7%が好ましい。
さらに、ポリエチレンの配合量は油相の量や種類によって適当な配合量が変化するが、油相全体の1〜20%を配合することが好ましい。
【0007】
多糖類脂肪酸エステルの多糖類部分は、平均重合度が5以上1000以下のグルコース又はフルクトースなどの糖単位で構成され、オリゴ糖、イヌリン、デンプン、およびデキストリンなどの六糖以上の多糖類を挙げることができる。このなかでも、デキストリン、イヌリン又はこれらの組み合わせであることが好ましい。
多糖類とエステルを形成する脂肪酸部分は、6以上30以下の炭素数の脂肪酸であることが好ましく、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、オレイン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、リノール酸、リノレン酸、エチルヘキサン酸、ベヘン酸、ベヘニン酸等を挙げることができる。
このような多糖類脂肪酸エステルとしては、デキストリン脂肪酸エステル、デンプン脂肪酸エステル、オリゴ糖脂肪酸エステル、イヌリン脂肪酸エステル等を挙げることができ、中でも、イヌリン脂肪酸エステル、デキストリン脂肪酸エステルが好ましい。パルミチン酸デキストリン、パルミチン酸/オクタン酸デキストリン、ミリスチン酸デキストリン、ミリスチン酸イヌリン、パルミチン酸イヌリン、ステアリン酸イヌリンなど、又はこれらの組み合わせを挙げることができる。
配合量は、他の配合物、多糖類脂肪酸エステルの種類や製剤の用途等によって異なるが、0.5〜10%が好ましく、さらに1.0〜5%が好ましい。
【0008】
これに加えて、種々の原料を配合する。油分として、常温液状の炭化水素油以外にも例えば、アボガド油、アーモンド油、オリーブ油、ゴマ油、牛脂脂肪酸、サフラワー油、シア脂、大豆油、ツバキ油、綿実油、落花生油、タートル油、ミンク油、パーム油、パーム核油、モクロウ、ヤシ油、牛脂、豚脂、ミツロウ、カルナバワックス、鯨ロウ、ラノリン、液状ラノリン、還元ラノリン、硬質ラノリン、カンデリラロウ、モンタンロウ、セラックロウ、ライスワックス、これらの水素添加物等の各種油脂類、ロウ類。ワセリン、パラフィン、セレシン、マイクロクリスタリンワックス等の鉱物油。ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、ドコサヘキサエン酸、エイコサペンタエン酸、12-ヒドロキシステアリン酸等の脂肪酸類。ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸ミリスチル、オレイン酸オレイル、オレイン酸デシル、ミリスチン酸オクチルドデシル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、酢酸ラノリン、モノステアリン酸エチレングリコール、モノステアリン酸プロピレングリコール、ジオレイン酸プロピレングリコール等のエステル類。ラウリルアルコール、セタノール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール、ラノリンアルコール、2-ヘキシルデカノール、イソステアリルアルコール、2-オクチルドデカノール、コレステロール、フィトステロール等の高級アルコール類やステロイド類が挙げられる。
ただし、ワセリン、パラフィン、セレシン、マイクロクリスタリンワックス、カルナバワックス、カンデリラロウ、モンタンロウ、セラックロウ等は本発明の主旨より油相の30%以下、好ましくは15%以下の配合とすることが好ましい。
【0009】
これに必要に応じて界面活性剤を配合する。
界面活性剤は非イオン界面活性剤(エーテル型非イオン界面活性剤、エーテルエステル型非イオン界面活性剤、エステル型非イオン界面活性剤、ブロックポリマー型非イオン界面活性剤、含窒素型非イオン界面活性剤)、その他の界面活性剤(天然界面活性剤、タンパク質加水分解物の誘導体、高分子界面活性剤、チタン・ケイ素を含む界面活性剤、フッ化炭素系界面活性剤)等が多くの場合に利用される。
界面活性剤は、他の配合物の影響や乳化方法の選択もあるが、油中水型或いは油中水中油型乳化組成物を形成するような組み合わせを選択する。
【0010】
上記以外にも以下の原料を必要に応じて配合する。
エタノール、イソプロピルアルコール等の低級アルコール。
酸化エチレン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ポリエチレングリコール、酸化プロピレン、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ペンチルグリコール、グリセリン、ペンタエリトリトール、トレイトール、アラビトール、キシリトール、リビトール、ガラクチトール、ソルビトール、マンニトール、ラクチトール、マルチトール等の多価アルコール類。
ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、パルミチン酸亜鉛、ミリスチン酸マグネシウム、ラウリン酸亜鉛、ウンデシレン酸亜鉛等の金属セッケン類。
【0011】
アラビアゴム、グアヤク脂、アイルランド苔、カラヤゴム、トラガントゴム、クインシードガム、寒天、カゼイン、乳糖、果糖、ショ糖又はそのエステル、トレハロース又はその誘導体、デキストリン、ゼラチン、ペクチン、デンプン、カラギーナン、カルボキシメチルキチン又はキトサン、エチレンオキサイド等のアルキレン(C2〜C4)オキサイドが付加されたヒドロキシアルキル(C2〜C4)キチン又はキトサン、低分子キチン又はキトサン、キトサン塩、硫酸化キチン又はキトサン、リン酸化キチン又はキトサン、アルギン酸又はその塩、ヒアルロン酸又はその塩、コンドロイチン硫酸又はその塩、ヘパリン、エチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、カルボキシエチルセルロースナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ニトロセルロース、結晶セルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルメタアクリレート、ポリアクリル酸塩、ポリエチレンオキサイドやポリプロピレンオキサイド等のポリアルキレンオキサイド又はその架橋重合物、カルボキシビニルポリマー、ポリエチレンイミン等のガム質、糖類又は水溶性高分子化合物。
【0012】
ジメチルベンジルドデシルアンモニウムモンモリロナイトクレー、ジメチルジオクタデシルアンモニウムモンモリナイト、オクタデシルジメチルベンジルアンモニウムモンモリナイト等の有機変性粘土鉱物。
塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、塩化アルミニウム、硫酸マグネシウム、硫酸カリウム、硫酸ナトリウム、硫酸アルミニウム、硝酸マグネシウム、硝酸カリウム、硝酸ナトリウム、硝酸アルミニウム等の無機塩類。
【0013】
ビタミンA群:レチノール、レチナール(ビタミンA1)、デヒドロレチナール(ビタミンA2)、カロチン、リコピン(プロビタミンA)、ビタミンB群:チアミン塩酸塩、チアミン硫酸塩(ビタミンB1)、リボフラビン(ビタミンB2)、ピリドキシン(ビタミンB6)、シアノコバラミン(ビタミンB12)、葉酸類、ニコチン酸類、パントテン酸類、ビオチン類、コリン、イノシトール類、ビタミンC群:アスコルビン酸又はその誘導体、ビタミンD群:エルゴカルシフェロール(ビタミンD2)、コレカルシフェロール(ビタミンD3)、ジヒドロタキステロール、ビタミンE群:トコフェロール又はその誘導体、ユビキノン類、ビタミンK群:フィトナジオン(ビタミンK1)、メナキノン(ビタミンK2)、メナジオン(ビタミンK3)、メナジオール(ビタミンK4)、その他、必須脂肪酸(ビタミンF)、カルニチン、フェルラ酸、γ−オリザノール、オロット酸、ビタミンP類(ルチン、エリオシトリン、ヘスペリジン)、ビタミンU等の各種ビタミン類。
バリン、ロイシン、イソロイシン、トレオニン、メチオニン、フェニルアラニン、トリプトファン、リジン、グリシン、アラニン、アスパラギン、グルタミン、セリン、システイン、シスチン、チロシン、プロリン、ヒドロキシプロリン、アスパラギン酸、グルタミン酸、ヒドロキシリジン、アルギニン、オルニチン、ヒスチジン等や、それらの硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩、クエン酸塩、或いはピロリドンカルボン酸のようなアミノ酸誘導体等。
【0014】
アーモンド、アカシア、アルテア、アルニカ、イタドリ、イチジク、イチョウ、イブキジャコウソウ、イラクサ、イランイラン、ウーロン茶、ウイキョウ、ウラジロガシ、ウワウルシ、エゾウコギ、オウギ、オウレン、オオバナサルスベリ、サンザシ、オタネニンジン、セイヨウオトギリソウ、オノニス、オミナエシ、オリーブ、カシア、ガジュツ、カスミソウ、カバノキ、カミツレ、カワラヨモギ、カンゾウ、キズタ、キダチアロエ、キハダ、ギョリュウ、キンミズヒキ、グアバ、クララ、ヒキオコシ、クローブ、ゲンノショウコ、コガネバナ、コケモモ、米又は米糠、コメ油、ザクロ、ササ、サラシナショウマ、サルビア、サンシュユ、サンショウ、シア、シャクヤク、ジャスミン、ショウガ、セイヨウキズタ、マロニエ、ゼニアオイ、センナ、センブリ、ダイオウ、タチアオイ、タチジャコウソウ、チクセツニンジン、アーティチョーク、ツユクサ、テンチャ、トウキ、ナツメ、ニワトコ、ノイバラ、ノバラ、ハトムギ、バラ、ヒシ、ヒナギク、ヒノキ、ヒバ、ブドウ、ブナ、ボタンピ、ホップ、ホホバ、マンネンタケ、ミモザ、ミョウガ、メマツヨイグサ、メリッサ、メリロート、ヤグルマソウ、ヤナギ、 ユーカリ、ユキノシタ、ユッカ、ユズ、ユリ、ヨロイグサ、ヨモギ、ライム、リンドウ、ローズマリー、ローズヒップ等の植物の水、メタノール、エタノール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ブタノール、イソブタノール等の低級アルコール或いは含水低級アルコール、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、グリセリン等の多価アルコール或いは含水多価アルコール、アセトン、酢酸エチル等の各種有機溶媒の中から選ばれる1種若しくは2種以上の混液による抽出物。
【0015】
クロレラ、アオノリ、アナアオサ、コンブ、ワカメ、アオワカメ、ジャイアントケルプ、ヒジキ、ヒバマタ、ウミウチワ、テングサ、トサカノリ、キリンサイ、スギノリ、ドゥナリエラ等の海藻又は藻類の水、メタノール、エタノール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ブタノール、イソブタノール等の低級アルコール或いは含水低級アルコール、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、グリセリン等の多価アルコール或いは含水多価アルコール、アセトン、酢酸エチル等の各種有機溶媒の中から選ばれる1種若しくは2種以上の混液による抽出物。
鶏冠抽出物、牛又は豚、人の胎盤抽出物、牛又は豚の胃、十二指腸、腸、脾臓の抽出物若しくはその分解物、牛又は豚の脳組織の抽出物、牛・豚又は魚類のコラーゲン加水(酸、アルカリ、酵素等)分解物や水溶性コラーゲン又はアシル化コラーゲン等のコラーゲン誘導体、牛又は豚のエラスチン又はエラスチン加水分解物(酸、アルカリ、酵素等)又は水溶性エラスチン誘導体、ケラチン及びその分解物又はそれらの誘導体、シルク蛋白及びその分解物又はそれらの誘導体、豚又は牛血球蛋白分解物(グロビンペプチド)、牛又は豚へモグロビン分解物(ヘミン、ヘマチン、ヘム、プロトヘム、ヘム鉄等)、牛乳、カゼイン及びその分解物又はそれらの誘導体、脱脂粉乳及びその分解物又はそれらの誘導体、ラクトフェリン又はその分解物、鶏卵成分、魚肉分解物、核酸関連物質(リボ核酸、デオキシリボ核酸)等の動物系原料由来原料。
海水塩、海水乾燥物、死海又は大西洋又は太平洋の海より得た無機塩(塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、塩化カリウム等)、海泥又は泥(ファンゴ)類、聖徳石、黒耀石等の無機物。
酵母代謝物、酵母菌抽出エキス、細菌代謝物、細菌抽出エキス、カビ又は放線菌代謝物、カビ又は放線菌抽出エキス、納豆菌代謝物、納豆抽出エキス、米発酵エキス、米糠(赤糠、白糠)発酵エキス、ユーグレナ抽出物又はその分解物又はそれら水溶性誘導体、トレハロース又はその誘導体、生乳又は脱脂粉乳の乳酸発酵物、マメ科植物の乳酸菌発酵物、ココヤシ属植物の乳酸菌発酵物等の微生物培養代謝物。
【0016】
グリコール酸、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、乳酸等のα-ヒドロキシ酸類。
無水ケイ酸、ケイ酸マグネシウム、タルク、カオリン、ベントナイト、マイカ、雲母チタン、オキシ塩化ビスマス、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化チタン、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、黄酸化鉄、ベンガラ、黒酸化鉄、グンジョウ、酸化クロム、水酸化クロム、カーボンブラック、カラミン等の無機顔料。
ベンゾフェノン誘導体、パラアミノ安息香酸誘導体、メトキシ桂皮酸誘導体、サリチル酸誘導体、アントラニル酸誘導体、ウロカニン酸誘導体、ベンゾトリアゾール誘導体、テトラゾール誘導体、イミダゾリン誘導体、ピリミジン誘導体、ジオキサン誘導体、フラン誘導体、ピロン誘導体、ウンベリフェロン、桂皮酸ベンジル、シノキサート、オキシベンゾン、ジオキシベンゾン、オクタベンゾン、スリソベンゾン、ベンゾレソルシノール、酸化亜鉛、タルク、カオリン等の紫外線吸収/遮断剤。
グアイアズレン、シコニン、バイカリン、バイカレイン、ベルベリン、胎盤エキス、エラグ酸、ルシノール、アスコルビン酸又はその誘導体(アスコルビン酸リン酸エステルマグネシウム塩、アスコルビン酸グルコシド等)、ハイドロキノン又はその誘導体(ハイドロキノンベンジルエーテル等)、コウジ酸又はその誘導体、トコフェロール又はその誘導体、N−アセチルチロシン又はその誘導体、グルタチオン、過酸化水素、過酸化亜鉛、胎盤エキス、エラグ酸、アルブチン、ルシノール、シルク抽出物、植物エキス(カミツレ、クワ、トウキ、ワレモコウ、クララ、ヨモギ、キハダ、甘草)等の美白剤またはチロシナーゼ活性阻害剤。
その他、ターンオーバーの促進作用/細胞賦活物質剤、収斂剤、抗酸化剤、抗炎症剤、抗菌・殺菌剤等々を配合する。
【0017】
以上の原料を配合したものを、常法に従って、油中水型或いは油中水中油型乳化組成物を作成する。
作成した油中水型或いは油中水中油型乳化組成物は、ハンドクリーム、顔用クリーム、ボディクリーム、日焼け止めクリーム、ファンデーション等に利用することができる。
【実施例】
【0018】
表1及び表2に実施例を記載する。なお、実施例、比較例の数字は重量部である。
なお、実施例、比較例の製造方法は以下のように行った。
油相と水相をそれぞれ85℃に加熱し均一溶解し、油相に水相を加えて乳化後、撹拌しながら室温まで冷却する。
【0019】
【表1】

【0020】
【表2】

【0021】
安定性、使用性について以下の確認を行った。
なお、以下の評価に関しては5℃、25℃、40℃、−10℃⇔10℃サイクル、5℃⇔35℃サイクルで1か月間保管したのち、以下の基準で評価した。
(サイクル試験はそれぞれの温度を12時間サイクルで行った)

安定性1 温度安定性
分離(排油、離水)、凝集、析出などの有無を目視により評価した。
(評価基準)
○:変化がほとんどない。
△:わずかに分離(排油、離水)、凝集、析出などのいずれかが認められた。
×:分離(排油、離水)、凝集、析出などのいずれかが認められた。

安定性2 乳化安定性1
電気抵抗値(テスターで測定)により評価した。
(評価基準)
○:通電しない。
△:わずかに通電が認められた。
×:顕著な電気抵抗値の低下が見られた。

安定性3 乳化安定性2(チューブでの反復加圧試験)
チューブ(高密度ポリエチレン製)に10g程度充填後、密封し、チューブ中央を指で押して加圧し、チューブを変形させた。これを連続100回繰り返した後、中身を取り出し、目視及び官能評価により評価した。
(評価基準)
○:変化がほとんどない。
△:わずかに離水あるいは上滑りが認められた。
×:顕著な離水あるいは塗布時に上滑りが認められた。

使用性
チューブから塗布する際の使いやすさ、使用中のなじみ具合(のび)、使用後のべたつき感を評価した。
(評価基準)
○:チューブからの取り出しもスムーズで、使用中のなじみ具合(のび)も良好で、使用後のべたつき感もない。
△:チューブからの取り出し、使用中のなじみ具合(のび)、使用後のべたつき感のいずれかで若干の問題があった。
×:チューブからの取り出し、使用中のなじみ具合(のび)、使用後のべたつき感のいずれかで、問題があった。

結果を表3に示す。
【0022】
【表3】


【0023】
実施例1は、比較例4や5のようなワセリン基剤に比べると、排油や分離(離水)が起こらず、製剤の安定性が高く、なお且つ、のびがよく、べたつき感もない。さらに低温(5℃)での著しい固化等も生じない。
比較例1〜3と比較しても、排油やべたつき感の面で差があり、本発明の製剤の優位性が証明された。
(なお、実施例2〜6も排油、離水、電気抵抗値、反復加圧試験等で問題がなく、製剤の安定性が高い。また、使用性に関しても優れていることが確認されている)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
常温で液状の炭化水素油と、ポリエチレンと、多糖類脂肪酸エステルを配合した油中水型或いは油中水中油型乳化組成物
【請求項2】
外相油分が25%以上である請求項1の油中水型或いは油中水中油型乳化組成物
【請求項3】
多糖類脂肪酸エステルが、パルミチン酸デキストリン、(パルミチン酸/エチルヘキサン酸)デキストリン、ミリスチン酸デキストリン、ステアリン酸デキストリンから選択される1種以上である請求項1乃至請求項2の油中水型或いは油中水中油型乳化組成物
【請求項4】
常温液状の炭化水素油が、流動パラフィン、オレフィンオリゴマー、スクワラン、流動イソパラフィンから選択される1種以上である請求項1乃至請求項3の油中水型或いは油中水中油型乳化組成物

【公開番号】特開2013−14544(P2013−14544A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−148730(P2011−148730)
【出願日】平成23年7月5日(2011.7.5)
【出願人】(000166959)御木本製薬株式会社 (66)
【Fターム(参考)】