説明

油分濃度測定方法および油分濃度測定装置

【課題】 少なくとも油分抽出能力をクロロトリフロロエチレンダイマーを用いた場合と同等に維持しながら、オゾン破壊係数だけでなく、地球温暖化係数も小さくできる油分濃度測定方法および油分濃度測定装置を提供すること。
【解決手段】 油分を含んだ液体に油分抽出用溶媒を加えて油分を抽出した油分抽出用溶媒を赤外吸光法によって分析する油分濃度測定装置において、前記油分抽出用溶媒としてハイドロクロロフルオロカーボンを用い、油分を抽出したハイドロクロロフルオロカーボンが供給されるセル11と、その一端側に配置された赤外光源16と、セル11の他端側に配置された光学フィルタ19,20および赤外光検出器17,18とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、自然水や、工場、下水処理場などからの排水あるいは土壌に含まれる油分の濃度を測定する油分濃度測定方法および油分濃度測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
前記自然水や排水などに含まれる油分を測定する方法として、波長が3.4μm付近におけるC−H基の吸収を用いた赤外吸光法(以下、NDIR法と言う)が広く用いられている。図8は、この赤外吸光法による油分濃度測定に用いる装置の全体を概略的に示すもので、この図において、1は抽出槽で、その内部には、商用の電源によって駆動されるバイブレータ2に連結された攪拌棒3とこれに取り付けられた攪拌羽根板4とからなる攪拌部材5が設けられており、その上部には、サンプルおよび抽出用溶媒の注入口6が設けられている。抽出槽1の下部には電磁弁7を介して流路8が接続され、この流路8に設けられるフィルタ9の下流には、非分散形赤外線分析計(NDIR;Non Dispersive Infrared Analyzer)を組み込んだ油分濃度計10が設けられている。
【0003】
このように構成された油分濃度測定装置においては、それぞれ計量されたサンプル(油分を含んだ液体)と油分抽出用溶媒とを抽出槽1に収容して、攪拌部材5によって攪拌を行って、サンプル中に含まれる油分を油分抽出用溶媒に抽出し、油分を含んだ油分抽出用溶媒をフィルタ9を介して油分濃度計10に供給し、この分析部10において、例えば下記特許文献1に開示されるように、NDIR法によって分析を行うことにより、油分濃度を得ることができる。
【特許文献1】特開平7−270310号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このように試料水から油分を油分抽出用溶媒に抽出しNDIR法を用いて油分抽出用溶媒に抽出された油分の濃度を定量する際、波長が3.4μm付近におけるC−H基の吸収を用いて測定を行う必要であるところから、従来油分の油分抽出溶媒として、C−H基を含まない四塩化炭素を使用するのが一般的であった。しかし、四塩化炭素の使用および製造規制に伴い、その代替としてクロロトリフロロエチレンダイマーを用いて油分濃度の定量を実施していた。クロロトリフロロエチレンダイマーはクロロフルオロカーボンの一種である。このクロロトリフロロエチレンダイマーは四塩化炭素に比較してオゾン破壊係数が小さく環境負荷が小さいというメリットがあった。ところが、近年、クロロトリフロロエチレンダイマーにおいてもオゾン破壊係数が高く環境負荷が大きいという不都合が指摘されている。
【0005】
また、従来用いていた油分抽出溶媒としてのクロロトリフロロエチレンダイマー溶媒では、図7に示すクロロトリフロロエチレンダイマー溶媒(以下、単に溶媒という)の吸収スペクトル100から分かるように、油分の測定範囲である3.4μm付近(2941cm-1付近)の前後では、ほとんど吸収がないことから、溶媒による妨害を受けずに測定することが可能である。なお、図7において、101,102,103は、油分濃度計10を用いて油分の濃度を定量するときに用いる吸収スペクトルの一例を示している。そして、この例では、これら吸収スペクトル101,102,103は同一油種(同一測定対象成分)における異なる濃度での吸収スペクトルを示している。そして、吸収スペクトル101,102および103の順で油分の濃度が高い。
しかし、測定対象となる油分は当該範囲に広い吸収を有している。そのため、非分散方式のNDIR法により油分の濃度を定量する場合、用いる光学フィルタとしては、理想的には油分の測定範囲である3.4μm付近を含み溶媒そのものの吸収と当該溶媒に抽出された測定対象成分の吸収とが重なるまでの、図6(A)に両矢印で示した理想的な光学フィルタの範囲(端部Pと端部Qの間)104を透過させる分光特性を有するものが必要となる。しかし、光学フィルタ自体の個体差などを考慮して実際には、理想的な光学フィルタの範囲104より狭い範囲104’(端部P’と端部Q’の間)の光学フィルタを用いることになる。ところが、上述したような光学フィルタ自体の個体差や測定対象となる油分が異なることから、実際用いる光学フィルタが透過する範囲の両端部P’,Q’での吸収が左右に変動を生じるおそれがある。すなわち、図7において、実際の光学フィルタ範囲104’が例えば105で示す範囲となるおそれがある。このことは、装置毎の指示差や同一装置での直線性の悪化の原因になる。そこで、本発明者らは、如何にして、油分抽出能力をクロロトリフロロエチレンダイマーを用いた場合と同等に維持でき、オゾン破壊係数をクロロトリフロロエチレンダイマーを用いた場合より小さくできるのかを各種の溶媒で鋭意研究した。その結果、本発明者らは、溶媒としてハイドロクロロフルオロカーボンを用いるのが最も好ましいことを見出し、以下の発明を提供するに至った。
【0006】
すなわち、この発明の目的は、少なくとも油分抽出能力をクロロトリフロロエチレンダイマーを用いた場合と同等に維持しながら、オゾン破壊係数だけでなく、地球温暖化係数も小さくできる油分濃度測定方法および油分濃度測定装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明の油分濃度測定方法は、油分を含んだ液体に油分抽出用溶媒を加えて油分を抽出した油分抽出用溶媒を赤外吸光法によって分析することにより、油分濃度を求めるようにした油分濃度測定方法において、前記油分抽出用溶媒としてハイドロクロロフルオロカーボンを用いることを特徴とする(請求項1)。
【0008】
また、この発明は別の観点から、油分を含んだ液体に油分抽出用溶媒を加えて油分を抽出した油分抽出用溶媒を赤外吸光法によって分析する油分濃度測定装置において、前記油分抽出用溶媒としてハイドロクロロフルオロカーボンを用い、油分を抽出したハイドロクロロフルオロカーボンが供給されるセルと、その一端側に配置された赤外光源と、セルの他端側に配置された光学フィルタおよび赤外光検出器とを備えたことを特徴とする油分濃度測定装置を提供する(請求項4)。
【発明の効果】
【0009】
本願の請求項1に係る発明では、例えば排水、環境水中の油分濃度測定において、試料水から油分を抽出する溶媒としてハイドロクロロフルオロカーボンを使用し、赤外吸光法(NDIR法)を適用して油分濃度を測定するようにしている。そして、本願の請求項1に係る発明では、油分抽出用溶媒としてハイドロクロロフルオロカーボンを用いることで以下の効果を奏する。
【0010】
(1)油分抽出能力がクロロトリフロロエチレンダイマーを用いたときと同等もしくはそれ以上になる。
(2)地球温暖化係数、オゾン破壊係数とも、クロロトリフロロエチレンダイマーと比較して小さくできる。
【0011】
また、本願の請求項4に係る発明では、油分抽出用溶媒としてハイドロクロロフルオロカーボンを用い、油分を抽出したハイドロクロロフルオロカーボンが供給されるセルと、その一端側に配置された赤外光源と、セルの他端側に配置された光学フィルタおよび赤外光検出器とを備えている。すなわち、ハイドロクロロフルオロカーボン溶媒(以下、単に溶媒という)は、例えばジクロロペンタフルオロプロパン(請求項6)のようなC−H結合を一つだけ有し、他の結合がハロゲンとカーボンの結合であることから、油分の測定範囲より高波数側に強い吸収がある。すなわち、この溶媒は、油分中のC−H基特有の吸収帯の高波数側に近接した波数域に強い赤外吸収帯を有している。そのため、溶媒そのものの吸収と当該溶媒に抽出された測定対象成分の吸収とが重なるまでの領域、すなわち、例えば図6(B)に両矢印で示したような理想的な光学フィルタの範囲204は図6(A)の理想的な光学フィルタの範囲104に比べて狭くすることができる。そこで、前記実際の光学フィルタ範囲104’を持つ、図6(A)に示したのと同じ光学フィルタを用いても、図6(B)にXで示した波数領域は溶媒自身の強い吸収があることから、Xで示した波数領域が、あたかも赤外線の透過範囲を制限する光学フィルタのような作用を奏することになり、それによって、従来問題となっていたような影響、すなわち、光学フィルタ自体の個体差や測定対象となる油分が異なることに起因する影響をなくすことができる。このことから、装置毎の指示差や同一装置での直線性を改善できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、この発明の実施の形態を、図を参照しながら説明する。なお、それによってこの発明は限定されるものではない。
【0013】
図1〜図4はこの発明の一実施の形態を示す。なお、図1〜図4において、図6、図7に示した符号と同一のものは、同一または相当物である。
【0014】
この発明の油分濃度測定方法が従来のNDIR法と大きく異なる点は、油分抽出用溶媒として、例えばジクロロペンタフルオロプロパンなどのハイドロクロロフルオロカーボンを用いて分析するようにしたことである。ジクロロペンタフルオロプロパン(以下、HCFC−225という)は、3,3−ジクロロ−1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロパン(3,3-Dichloro-1,1,1,2,2-pentafluoropropane )〔HCFC−225ca〕及び/又は1,3−ジクロロ−1,1,2,2,3−ペンタフルオロプロパン(1,3-Dichloro-1,1,2,2,3-pentafluoropropane )〔HCFC−225cb〕を成分とする。
【0015】
HCFC−225は、下記表1に示すように、クロロトリフロロエチレンダイマーと同様の油分抽出能力を有する。すなわち、 HCFC−225を用いることで油分抽出能力がクロロトリフロロエチレンダイマーを用いたときと同等もしくはそれ以上となった。
【0016】
【表1】

【0017】
また、HCFC−225は、下記表2に示すように、クロロトリフロロエチレンダイマーに比べて地球温暖化係数、オゾン破壊係数は小さい。
【0018】
【表2】

【0019】
HCFC−225では、図3に示すHCFC−225の吸収スペクトル200から分かるように、HCFC−225はC−H基特有の吸収帯(2941cm-1付近;3.4μm付近)の高波数側に近接した波数域(2970〜3090cm-1)に赤外吸収帯があり、C−H基特有の吸収帯域での赤外吸収が少ない。このHCFC−225固有の赤外線透過特性を利用することで、用いる光学フィルタ(赤外線透過フィルタ)、例えば図6(B)、図6(A)に示すような光学フィルタ範囲104’を持つ光学フィルタの高波数側の選択性を緩和することができる。すなわち、上述したように、図6(B)にXで示した波数領域には溶媒自身の強い吸収があることから、Xで示した波数領域では、溶媒があたかも赤外線の透過範囲を制限する光学フィルタのような作用を奏する。つまり、この発明では、油分抽出用溶媒固有の赤外透過特性を光学フィルタ(赤外線透過フィルタ)の分光特性同様に扱い、演算処理することで、光学フィルタ(赤外線透過フィルタ)の高波数側での選択可能な範囲を緩和することができる。その結果、C−H基特有の赤外吸収を精度良く検出することが可能となり、直線性も向上した。図4において、○はHCFC−225を用いたときの測定値を示し、図5において、△はクロロトリフロロエチレンダイマーを用いたときの測定値を示す。図4、図5からクロロトリフロロエチレンダイマーを用いたときの指示値に比して、HCFC−225を用いた場合の指示値のほうが誤差が小さくなっていることが分かる。
【0020】
以下、この発明の油分濃度測定方法の手順について説明する。まず、図1に示すように、油分を含んだ液体であるサンプルと、油分抽出用溶媒としてのHCFC−225とをそれぞれ所定量になるように計量する(ステップS1)。
【0021】
前記サンプルおよびHCFC−225を攪拌槽1内で攪拌し、油分の抽出処理を行う。この処理によって、サンプル中の油分がHCFC−225に移行して抽出される(ステップS2)。なお、攪拌槽1として、例えば特開平7−308506号公報に開示されたものを用いるのが好ましい。
【0022】
前記抽出後に、油分を含んだ溶媒層と水層とに分離させ、溶媒層のみを分析部に供給する(ステップS3)。
【0023】
前記分析部において、NDIR法により、2800〜3100cm-1付近の吸収を測定し、油分濃度を得る(ステップS4)。
【0024】
図2は、この発明の油分濃度測定装置で用いられる油分濃度計10の構成を示すもので、この図において、11は前記油分を含んだ溶媒層(以下、試料Sという)が供給されるセルで、ステンレス鋼など耐腐蝕性に優れた素材よりなり、その両端部が赤外線透過性素材(例えば石英ガラスなど)よりなるセル窓12,13で封止されているとともに、試料Sを供給・排出するための試料入口14、試料出口15が設けられている。
【0025】
16はセル11の一方のセル窓12側に設けられ、セル11に赤外光を照射するための赤外光源である。
【0026】
17、18はセル11の他方のセル窓13側に、互いに並列的に設けられ、セル11を通過してきた赤外光を受光するための赤外線検出器としての測定用検出器、比較用検出器で、両検出器17,18はいずれも例えば焦電型赤外線検出器よりなる。
【0027】
19,20は測定用検出器17、比較用検出器20のそれぞれ前面(受光面側)に設けられる干渉フィルタ(バンドパスフィルタ)で、測定用検出器17側の干渉フィルタ19は、波数領域が例えば2800〜3100cm-1の赤外光のみを通過させる一方、それ以外の波数領域の赤外光は透過させないように構成されたものである。また、比較用検出器20側の干渉フィルタ20も、波数領域が例えば2800〜3100cm-1の赤外光のみを通過させる一方、それ以外の波数領域の赤外光は透過させないように構成されたものである。
【0028】
21は検出器側のセル窓13と干渉フィルタ19,20との間に設けられる光チョッパで、モータ22によって駆動され、セル11を通過してきた赤外光を所定の周期で断続するものである。
【0029】
23,24は測定用検出器17、比較用検出器18の出力をそれぞれ適宜処理する前置増幅器、25は前置増幅器23,24の出力をそれぞれ増幅およびA/D変換するアンプ、26はマイクロコンピュータなどよりなる演算部である。
【0030】
上述のNDIR法による油分濃度計10においては、測定用検出器17からは、試料S中に含まれる油分による油分吸収波数帯出力Iが出力される。また、比較用検出器18からは、油分の吸収を受けない比較出力I0 が出力される。そして、演算部26において、log(I0 /I)なる演算を行い、これに所定の定数を乗ずることにより油分濃度を得ることができる。
【0031】
この発明の油分濃度計10による測定結果は、クロロトリフロロエチレンダイマーを用いた結果とよく一致していることが分かった。
【0032】
なお、この発明で用いる油分濃度計として、例えば特開平8−334459号公報に開示されたものも用いることができる。この場合、測定用検出器の前面(受光面側)に設けられる干渉フィルタとしては上記実施の形態で用いたのと同じ干渉フィルタ19を備えるとともに、赤外光源の強度をある割合(例えば8%)だけ全波数領域にわたり均一に低下させるような特性を持つ、いわゆる、NDフィルタを比較用検出器の前面(受光面側)に設けることにより、上記実施の形態と同様に油分の濃度を定量することができる。また、この発明で用いる別構成の油分濃度計として、測定用セルと空気が封入された比較用セルを有し、上記実施の形態で用いたのと同じ干渉フィルタ19,20を測定用検出器、比較用検出器のそれぞれ前面(受光面側)に設けるものを用いても、上記実施の形態と同様に油分の濃度を定量することができる。
【0033】
また、この発明では、油分抽出用溶媒に比べて量が無視できる程度の極微量の油分の重量の測定を重量法またはマイクロバランス法で行うようにしている。すなわち、HCFC−225は、四塩化炭素、クロロトリフロロエチレンダイマーに比べ沸点が低い。HCFC−225の沸点は54℃、クロロトリフロロエチレンダイマーの沸点は134℃である。この物性を利用して、極微量の油分をHCFC−225に抽出させた後、HCFC−225を揮発させることで、HCFC−225中の油分濃度を高くすることができ、その結果、高感度の油分濃度の定量が可能となる。
【0034】
前記重量の測定に用いる前記重量法は、例えば日本工業規格JIS K0102に準拠したn−ヘキサン抽出法を応用することにより可能となる。また、前記重量の測定に用いる前記マイクロバランス法としては、例えば特開平6−194290号公報に開示されるように、水晶振動子を用いた重量測定を挙げることができる。
【0035】
ここで、例えば1ppm以下の低濃度の油分を含んだ抽出用溶媒を用意し、抽出用溶媒が半分の量になるまで大気中で1時間程抽出用溶媒を揮発させることで油分濃度を2倍にすることができる。抽出用溶媒を揮発させて例えば抽出用溶媒10mlを5mlにするのにHCFC−225の場合1時間程度の短時間で済む。一方、クロロトリフロロエチレンダイマーで同様のことを行うのにヒータを用意して行う必要があるとともに、揮発時間も長くなる。
【0036】
このように濃縮した抽出用溶媒をNDIR法で測定することにより、高感度の油分濃度の測定を可能にすることができる。
【0037】
他に、土壌中の油分については当該溶媒に抽出させることにより定量が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】この発明の油分濃度測定方法における測定手順を概略的に示すフローチャートである。
【図2】この発明で用いる油分濃度計の構成の一例を示す図である。
【図3】この発明で用いる油分抽出用溶媒の吸収スペクトルと、油分の濃度を定量するときに用いる吸収スペクトルを示す図である。
【図4】この発明で得られる標準液濃度対指示値特性図である。
【図5】従来例の標準液濃度対指示値特性図である。
【図6】(A)は、従来例の動作原理および問題点を説明するための図である。(B)は、この発明の動作原理を説明するための図である。
【図7】従来例で用いた油分抽出用溶媒の吸収スペクトルと、油分の濃度を定量するときに用いる吸収スペクトルを示す図である。
【図8】一般的な油分濃度測定装置の構成を概略的に示す図である。
【符号の説明】
【0039】
11 セル
16 赤外光源
17,18 赤外光検出器
19,20 光学フィルタ
200 油分抽出用溶媒の吸収スペクトル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
油分を含んだ液体に油分抽出用溶媒を加えて油分を抽出した油分抽出用溶媒を赤外吸光法によって分析することにより、油分濃度を求めるようにした油分濃度測定方法において、前記油分抽出用溶媒としてハイドロクロロフルオロカーボンを用いることを特徴とする油分濃度測定方法。
【請求項2】
油分抽出用溶媒に含まれる極微量の油分の重量の測定を重量法またはマイクロバランス法で行う請求項1に記載の油分濃度測定方法。
【請求項3】
前記ハイドロクロロフルオロカーボンとして、ジクロロペンタフルオロプロパンを用いる請求項1または2に記載の油分濃度測定方法。
【請求項4】
油分を含んだ液体に油分抽出用溶媒を加えて油分を抽出した油分抽出用溶媒を赤外吸光法によって分析する油分濃度測定装置において、前記油分抽出用溶媒としてハイドロクロロフルオロカーボンを用い、油分を抽出したハイドロクロロフルオロカーボンが供給されるセルと、その一端側に配置された赤外光源と、セルの他端側に配置された光学フィルタおよび赤外光検出器とを備えたことを特徴とする油分濃度測定装置。
【請求項5】
光学フィルタは、所定の波数域の赤外光を透過させ、かつそれ以外の波数領域の赤外光は透過させないよう構成された干渉フィルタである請求項4に記載の油分濃度測定装置。
【請求項6】
前記ハイドロクロロフルオロカーボンとして、ジクロロペンタフルオロプロパンを用いる請求項4または5に記載の油分濃度測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−145498(P2006−145498A)
【公開日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−339484(P2004−339484)
【出願日】平成16年11月24日(2004.11.24)
【出願人】(000155023)株式会社堀場製作所 (638)
【出願人】(592187534)株式会社 堀場アドバンスドテクノ (26)
【Fターム(参考)】