説明

油圧ショベル

【課題】油圧ショベルにおいて、キャブマウントの交換時に、作業を容易にするハーネスの配線構造を提供する。
【解決手段】油圧ショベル1は、下部走行体2と、上部旋回体3と、ハーネス50と、ブラケット52と、を備えている。上部旋回体3は、キャブ5、及び複数の電装品を有する。ハーネス50は、キャブ5内部から引き出され、電装品に接続されている。ブラケット52は、キャブ5に固定され、ハーネス50をキャブ側面5bに沿って支持する。また、ハーネス50は、キャブ5の底面から下方に引き出された第1部分と、第1部分からキャブ5の底面に沿って前方にかつキャブ5の側面より外方に延び第2部分と、第2部分からキャブ5の側面に沿って上方に延び第3部分と、第3部分からキャブ5の側面に沿って車両後方に延びる第4部分と、を有し、ブラケット52の周囲に支持されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油圧ショベル、特に、油圧ショベルに設けられたハーネスの配線構造に関する。
【背景技術】
【0002】
油圧ショベルは、下部走行体と、下部走行体に旋回自在に搭載された上部旋回体と、を備えている。上部旋回体には、エンジンや油圧モータが設けられるとともに、運転席や操作レバー等が内部に配置されたキャブが搭載されている。さらに、上部旋回体には、ブーム、アーム、バケット等からなる作業機が設けられている。
【0003】
また、上部旋回体には、センサ、ライト等の各種の電装品が配置されている。これらの電装品は、キャブ内の操作パネル等にハーネスにより接続されており、このハーネスを配線するための種々の構造が従来から提案されている。
【0004】
例えば、特許文献1に示された配線構造では、燃料タンクの前面部に溝部が形成されており、この溝部に、バッテリや電装品アッセンブリから延びるケーブルやハーネスが配線されている。
【0005】
また特許文献2には、操作レバー装置と制御弁とを接続する信号ライン群を、運転席支持台の内部に導入した後、運転席の床に形成された縦向き開口を通して制御弁側に引き出す構造が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−77700号公報
【特許文献2】特開2005−133495号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
油圧ショベルのキャブは、キャブマウントを介して旋回フレームに支持されている。このキャブマウントが消耗した場合、交換する必要がある。キャブマウントの交換作業においては、キャブが所定の高さまで持ち上げられ、この状態でキャブマウントが取り替えられる。
【0008】
このようなキャブマウントの交換時には、キャブが持ち上げられるので、キャブあるいはキャブ内部の機器や装置類と旋回フレームとを接続するホースやハーネス等を予め取り外しておく必要がある。また、キャブマウントの交換後には、先に取り外されたホースやハーネス等を、各機器等に接続する必要がある。このような作業は煩雑であるので、ホースやハーネス等の部材の取り外し及び取り付け作業を極力少なくできるようにすることが望ましい。
【0009】
また、近年、油圧ショベルにおいてもハイブリッド化が進められている。ハイブリッド油圧ショベルでは、エンジンや油圧モータに加えて、発電機モータや、インバータ及びキャパシタ等が設けられている。そして、これらの機器を電気的に接続するためにパワーケーブルが配線されている。したがって、ハーネスの配線に際しては、パワーケーブルとの干渉を避ける必要があるが、パワーケーブルとの干渉を無理に避けようとすると、ハーネスに折れ曲がり(キンク)が生じる場合がある。さらに、パワーケーブルには比較的高電圧の電気が流されるために、パワーケーブルとハーネスとを接近させると、ハーネスを通じて通信される信号にノイズがのりやすい。
【0010】
本発明の課題は、油圧ショベルにおいて、キャブマウントの交換時に、作業を容易にすることができるハーネスの配線構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
第1発明に係る油圧ショベルは、下部走行体と、上部旋回体と、ハーネスと、ブラケットと、を備えている。上部旋回体は、センタフレームと、センタフレームからそれぞれ車両幅方向の両外方に張り出して設けられた左右のデッキと、を有する旋回フレームを含み、下部走行体に旋回自在に支持されるとともに、駆動源、作業機、左右のデッキの一方に搭載されたキャブ、及び複数の電装品を有する。ハーネスは、キャブ内部から引き出され、キャブとセンタフレームとの間に配置され、電装品に接続されている。ブラケットは、キャブに固定され、ハーネスをキャブ側面に沿って支持する。そして、ハーネスは、キャブの底面から下方に引き出された第1部分と、第1部分からキャブの底面に沿って前方にかつキャブの側面より外方に延びる第2部分と、第2部分からキャブの側面に沿って上方に延びる第3部分と、第3部分からキャブの側面に沿って車両後方に延びる第4部分と、を有し、ブラケットの周囲に支持されている。
【0012】
ここでは、キャブから引き出されたハーネスは、キャブに固定されたブラケットによってキャブ側面に沿って支持されている。このため、キャブマウントの交換時にキャブを持ち上げると、ハーネスはブラケットに支持された状態でキャブとともに持ち上げられる。このため、キャブマウントの交換時にハーネスのキャブ側の接続端を取り外す必要がなく、作業が容易になる。
【0013】
また、例えばハーネスがキャブの底面に沿って支持されている場合、キャブを旋回フレームに搭載する組み立て作業において、キャブをクレーン等で持ち上げた状態で、すなわちキャブを旋回フレームから浮かせた状態で、その下方で作業者がハーネスの取り付け作業を行う必要がある。
【0014】
そこで、この第1発明では、ハーネスはキャブとセンタフレームとの間に配置されている。このため、まずブラケットを介してキャブにハーネスの一部を取り付けておき、その後、キャブを旋回フレームに搭載した後に、ハーネスを旋回フレーム等に取り付けることができ、組み立て作業が容易になる。
【0015】
さらに、この第1発明では、キャブの底面から下方に引き出されたハーネスは、一旦前方に引き出された後、キャブの側面に引き出され、その後キャブの側面に沿って後方に引き出されている。この構造では、ハーネスを無理なく配線することができ、ハーネスがキンクするのを避けることができる。
【0016】
第2発明に係る油圧ショベルは、第1発明の油圧ショベルにおいて、ブラケットは、キャブの底面に装着される装着部と、ハーネスの第3部分及び第4部分を支持する複数の支持部と、を有している。そして、ハーネスの第4部分は、ブラケットの支持部に支持された部分よりさらに後方側において、センタフレームに支持されている。
【0017】
第3発明に係る油圧ショベルは、第2発明の油圧ショベルにおいて、左右のデッキの一方側の車両後部に配置された発電機モータと、左右のデッキの他方側の車両前部に配置されたインバータと、発電機モータとインバータとの間に設けられたパワーケーブルと、をさらに備えている。また、センタフレームは車両幅方向の両端に車両前後方向に延びる左右の縦プレートを有し、左右の縦プレートは車両前部側において車両幅方向に貫通する開口を有している。そして、パワーケーブルは、左右の縦プレートの開口を通過し、ハーネスの第1〜第3部分と発電機モータが配置された側の縦プレートとの間を通過し、縦プレートに沿って発電機モータ側に延びている。
【0018】
第3発明は、ハイブリッド油圧ショベルに関するものであり、発電機モータとインバータとが、車両の対角線上に配置されている。このため、これらを結ぶパワーケーブルは、センタフレームを車両幅方向に貫通する必要があり、センタフレームとキャブとの間に配線されているハーネスと干渉するおそれがある。
【0019】
しかし、この第3発明では、ハーネスは、一旦前方に引き出された後、キャブの側面に引き出されているために、センタフレームの開口を通過したパワーケーブルと干渉しにくくなっている。
【0020】
第4発明に係る油圧ショベルは、第2発明の油圧ショベルにおいて、左右のデッキの一方側の車両後部に配置された発電機モータと、左右のデッキの他方側の車両前部に配置されたインバータと、発電機モータとインバータとの間に設けられたパワーケーブルと、をさらに備えている。また、センタフレームは車両幅方向の両端に左右の縦プレートを有し、左右の縦プレートのうちの少なくともインバータが配置された側の縦プレートの車両前部側には車両幅方向に貫通する開口を有している。そして、パワーケーブルは、インバータが配置された側の縦プレートの開口を通過し、発電機モータが配置された側の縦プレートの内側に沿って発電機モータ側に延びて配置されている。また、ハーネスは縦プレートを挟んでパワーケーブルとは逆側の縦プレートの側面に沿って配置されている。
【0021】
第4発明は、第3発明と同様に、ハイブリッド油圧ショベルに関するものであり、発電機モータとインバータとが、車両の対角線上に配置されている。このため、これらを結ぶパワーケーブルは、センタフレームを車両幅方向に貫通する必要があり、センタフレームとキャブとの間に配線されているハーネスとが近接するおそれがある。
【0022】
ここで、パワーケーブルには比較的高電圧の電気が流れるために、パワーケーブルとハーネスとを近接させると、ハーネスによって通信される信号にノイズが発生しやすい。
【0023】
そこで第4発明では、センタフレームの縦フレームの内側にパワーケーブルが配線され、縦フレームを挟んで逆側にハーネスが配線されている。このため、ハーネスによって通信される信号にノイズが含まれにくくなる。
【発明の効果】
【0024】
以上のような本発明では、油圧ショベルにおいて、キャブマウントの交換時の作業を容易にすることができる。また、本発明では、ハイブリッド油圧ショベルにおいて、パワーケーブルとハーネスの物理的干渉を避けることができ、またハーネスによって通信される信号にノイズが発生しにくくなる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の一実施形態によるハイブリッド油圧ショベルの斜視図。
【図2】図1に示された油圧ショベルの旋回フレーム及びそれに搭載された機器の斜視図。
【図3】図2に示された旋回フレーム及びそれに搭載された機器の平面図。
【図4】ハーネス及びパワーケーブルの配線構造を示す斜視図。
【図5】キャブ及びキャブに支持されたハーネス及びブラケットを示す斜視図。
【図6】ブラケットの斜視図。
【図7】ハーネス及びパワーケーブルの配線構造を示す側面図。
【図8】図7に示された状態からキャブが持ち上げられた状態を示す側面図。
【図9】本発明の他の実施例による図7に相当する図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
[全体構成]
本発明の一実施形態による油圧ショベル1を図1に示す。油圧ショベル1は、ハイブリッド型の油圧ショベルであり、下部走行体2と、上部旋回体3と、作業機4と、キャブ5と、を備えている。なお、以下の説明において、「前」「後」「左」「右」とは、運転席に着座したオペレータを基準として決められる方向である。したがって、「左右方向」とは「車両幅方向」と同義である。
【0027】
下部走行体2は左右両側部に1対の履帯Cを有し、この履帯Cを駆動することで走行が可能である。上部旋回体3は、下部走行体2に旋回自在に支持されており、旋回モータ等を含む旋回装置6(図2参照)によって任意の方向に旋回が可能である。作業機4及びキャブ5は、上部旋回体3に搭載されている。作業機4は、ブーム10、アーム11及びバケット12を有している。また、作業機4は、これらの構成部材10〜12を駆動するための複数の油圧シリンダを有している。また、上部旋回体3の後部には、エンジン(図示せず)が横置きで配置されている。
【0028】
[旋回フレーム及び旋回フレームに搭載される主な構成要素]
図2及び図3に、上部旋回体3を構成する旋回フレーム7と、旋回フレーム7に搭載された主な構成要素と、を示している。旋回フレーム7には、電装品としての発電機モータ21と、変換器としてのインバータ22と、蓄電器としてのキャパシタ23と、が搭載されている。なお、旋回フレーム7には、下部走行体2に支持された旋回モータや、旋回フレーム7に支持されたギア等から構成された旋回装置6が配置されている。
【0029】
旋回フレーム7は、センタフレーム26と、左右のデッキ27,28と、を有している。
【0030】
センタフレーム26は、ベースプレート30と、左右の縦プレート31,32と、を有している。ベースプレート30は、前後方向に延びており、旋回装置6が配置された開口を含む複数の開口を有している。左右の縦プレート31,32は、ベースプレート30の左右両端部に固定されている。左右の縦プレート31,32の前端部には、側面視三角形状の1対の支持部31a,32aが形成され、1対の支持部31a,32aは連結プレート33aによって連結されている。そして、1対の支持部31a,32a及び連結プレート33aによって、作業機4の基端部を支持するセンタブラケット33が構成されている。左右の縦プレート31,32は、センタブラケット33から後方に延び、後方に行くにしたがって高さが低くなっている。また、左右の縦プレート31,32の各支持部31a,32aの下端部には、それぞれ左右方向に貫通する開口31b,32bが形成されている。
【0031】
左右のデッキ27,28のそれぞれは、複数のクロスビーム35,36と、サイドプレート37,38と、を有している。複数のクロスビーム35,36はセンタフレーム26から左右外方に張り出して設けられている。サイドプレート37,38は、左右それぞれの複数のクロスビーム35,36の最外周部を前後方向に連結している。
【0032】
発電機モータ21は左デッキ27の後端部に配置されている。インバータ22及びキャパシタ23は右デッキ28の前端部に配置されている。そして、発電機モータ21とインバータ22との間に2本のパワーケーブル40が配置されている。パワーケーブル40の配置については後述する。
【0033】
また、図3に示すように、右デッキ28において、インバータ22及びキャパシタ23の後方には燃料タンク42が配置されている。センタフレーム26において、旋回装置6の後方には制御弁43が配置され、この制御弁43に連結された各種の油圧配管44がセンタフレーム26に配置されている。また、燃料タンク42の後方には、エンジンに燃料を供給するための燃料パイプ45が配置されている。
【0034】
[パワーケーブル]
前述のように、2本のパワーケーブル40が発電機モータ21とインバータ22との間に接続されている。また、パワーケーブル40は、インバータ22、旋回装置6の旋回モータ、キャパシタ23の間にも設けられている。
【0035】
インバータ22と発電機モータ21とを接続するパワーケーブル40は、図2及び図2の一部拡大図である図4に示すように、右縦プレート32の開口32bを通過し、センタブラケット33の下方を通過して、左縦プレート31の開口31bを通過して左デッキ27側に引き出されている。そして、左縦プレート31の外方の側面31cに沿って発電機モータ21に接続されている。また左縦プレート31に沿って配線されている2本のパワーケーブル40は、左縦プレート31の側面31cに複数のクランプ47を介して固定されている。
【0036】
以上のように、パワーケーブル40は、油圧配管44や燃料タンク42及び燃料パイプ45を避けて配置されている。
【0037】
[キャブ]
キャブ5は左デッキ27の前方部分に配置されている。図5に示すように、キャブ5は、キャブ全体の枠を構成する枠フレーム5aと、枠フレーム5aに装着された外装5b、窓5c、ドア(図示せず)等から構成されている。また、キャブ5の内部には、図示していないが、運転席、操作レバー、表示用コントローラ、モニタ等が設けられている。そして、これらの各機器には電線が接続され、これらの電線は結束されてハーネス50としてキャブ5の底面5dから引き出されている。
【0038】
[ハーネス及びブラケット]
ハーネス50は、前述のように、キャブ5の床の底面5dから下方に引き出され、車両後部に設けられたセンサや各種の電装品に接続されている。より詳細には、ハーネス50は、図4(キャブ5は省略している)及び図5の拡大部分図に示すように、キャブ5の床の底面5dから下方に引き出され(第1部分50a)、キャブ5の底面5dに沿って前方にかつキャブ5の外装側面5b(以下、単に側面と記す)より外方に延び(第2部分50b)、さらにキャブ5の側面5bに沿って上方に延び(第3部分50c)、そしてキャブ5の側面5bに沿って車両後方に延びている(第4部分50d)。
【0039】
以上のように、ハーネス50をいったん前方に引き出した後、上方に湾曲させてキャブ側面5bまで持ち上げているので、左縦プレート31の開口31bを貫通して配線されているパワーケーブル40とハーネス50とが干渉するのを避けることができる。また、ハーネス50が無理に折り曲げられることがないので、ハーネス50がキンクするのを避けることができる。
【0040】
以上のようにして配線されたハーネス50は、キャブ5に固定されたブラケット52によって支持されている。ブラケット52は、図6に示すように、装着部52aと本体部52bとを有している。装着部52aと本体部52bとは段差を有しており、これらの間に水平部52cを有している。
【0041】
装着部52aには、貫通孔52d及び切欠き52eが形成されている。切欠き52eは横方向に長く形成され、一端は外方に開放されている。ブラケット52は、貫通孔52d及び切欠き52eを通して、ボルトによってキャブ5を構成する底面の枠フレーム5aに固定されている。
【0042】
本体部52bは、ブラケット52をキャブ5に取り付けた状態で、キャブ5の側面5bにほぼ平行である。本体部52bの前端側部には第1支持部53aが溶接等により固定され、本体部52bの上端部には前後方向に所定の間隔をあけて第2支持部53bと第3支持部53cとが同様に溶接等により固定されている。
【0043】
図4及び図5に示すように、ハーネス50は、キャブ側面5bに沿って上方に引き出された第3部分50cが、クランプ55によってブラケット52の第1支持部53aに支持されている。また、ハーネス50のキャブ側面5bに沿って車両後方に延びる第4部分50dが、2つのクランプ56,57によって第2支持部53b及び第3支持部53cに支持されている。
【0044】
また、ハーネス50は、ブラケット52に支持された部分の後方では、図4に示すように、簡易クランプ58及び複数のクランプ59(図4では1つのクランプのみ示している)によって左縦プレート31の外側の側面31cに支持されている。簡易クランプ58は、ブラケット52にもっとも近い位置に配置されている。簡易クランプ58は、U字形状のプレートによって形成されており、上方が開放している。このため、簡易クランプ58を左縦プレート31に取り付けたままで、ハーネス50のみを左縦プレート31から取り外すことができる。
【0045】
[キャブの旋回フレームへの搭載]
組立工程においてキャブ5を旋回フレーム7に搭載する場合は、図5に示すように、ハーネス50はブラケット52を介してキャブ5に予め取り付けられている。この状態で、キャブ5が旋回フレーム7の左デッキ27に搭載される。このとき、ハーネス50は、キャブ5の右側面5bとセンタフレーム26の左縦プレート31の間に配置される。そして、キャブ5が旋回フレーム7に搭載された後に、ハーネス50の後方に延びる部分を、クランプ59によって左縦プレート31の側面に固定する。
【0046】
以上のように、本実施形態では、キャブ5を旋回フレーム7に搭載した後に、ハーネス50を左縦プレート31に取り付けることができる。したがって、キャブ5をリフト等によって持ち上げた状態でハーネス50の組み付け作業をする必要がなく、ハーネス50の組み付け作業が容易になる。
【0047】
[キャブマウント交換時]
図7にキャブ5が旋回フレーム7に搭載されている状態を示している。キャブマウント(図示せず)の交換を行う際には、キャブ5を旋回フレーム7に固定しているボルト(図示せず)を取り外す。そして、リフトによってキャブ5を例えば200mm程度持ち上げる。図8にキャブ5が持ち上げられた状態を示している。このとき、ハーネス50はキャブ5に固定されたブラケット52に支持されている。またブラケット52にもっとも近い部分は簡易クランプ58によって支持されている。このため、簡易クランプ58や他のクランプ59を左縦プレート31から取り外すことなく、ハーネス50をキャブ5とともに上方に持ち上げることが可能である。したがって、マウントキャブの交換作業が非常に容易になる。
【0048】
[特徴]
本実施形態の特徴をまとめると、以下の通りである。
【0049】
(1)ハーネス50を本実施形態のように配線することによって、パワーケーブル40との物理的干渉を避けることができる。また、ハーネス50がキンクするのを避けることができる。
【0050】
(2)ハーネス50をキャブ5に固定されたブラケット52に支持し、ハーネス50をキャブ側面5bと左縦プレート31との間に配置しているので、キャブ5を旋回フレーム7に搭載する際の組み付け作業が容易になる。
【0051】
(3)ハーネス50を、ブラケット52を介してキャブ5に装着し、ハーネス50のブラケット52に近い部分を簡易クランプ58に支持させているので、キャブマウントの交換作業が容易になる。
【0052】
(4)パワーケーブル40を、燃料タンク42及び燃料配管45や油圧配管44から避けて配置することができる。
【0053】
[他の実施形態]
本発明は以上のような実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱することなく種々の変形又は修正が可能である。
【0054】
前記実施形態では、パワーケーブル40を左縦プレート31の外側の側面に沿って配置したが、図9に示すように、左縦プレート31の内側の側面に沿ってパワーケーブル40’を配置してもよい。この場合は、パワーケーブル40’とハーネス50との間に左縦プレート31が存在することになるので、ハーネス50を介して通信される信号に、パワーケーブル40’によるノイズが発生するのを抑えることができる。
【符号の説明】
【0055】
1 油圧ショベル
2 下部走行体
3 上部旋回体
4 作業機
5 キャブ
7 旋回フレーム
21 発電機モータ
22 インバータ
23 キャパシタ
26 センタフレーム
27,28 左右のデッキ
31,32 左右の縦プレート
31b,32b 開口
40,40’ パワーケーブル
50 ハーネス
50a〜50d ハーネスの第1部分〜第4部分
52 ブラケット
52a 装着部
52b 本体部
53a〜53c 第1支持部〜第3支持部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下部走行体と、
センタフレームと、前記センタフレームからそれぞれ車両幅方向の両外方に張り出して設けられた左右のデッキと、を有する旋回フレームを含み、前記下部走行体に旋回自在に支持されるとともに、駆動源、作業機、前記左右のデッキの一方に搭載されたキャブ、及び複数の電装品を有する上部旋回体と、
前記キャブ内部から引き出され、前記キャブと前記センタフレームとの間に配置され、前記電装品に接続されたハーネスと、
前記キャブに固定され、前記ハーネスを前記キャブ側面に沿って支持するためのブラケットと、
を備え、
前記ハーネスは、前記キャブの底面から下方に引き出された第1部分と、前記第1部分から前記キャブの底面に沿って前方にかつ前記キャブの側面より外方に延びる第2部分と、前記第2部分から前記キャブの側面に沿って上方に延びる第3部分と、前記第3部分から前記キャブの側面に沿って車両後方に延びる第4部分と、を有し、前記ブラケットの周囲に支持されている、
油圧ショベル。
【請求項2】
前記ブラケットは、前記キャブの底面に装着される装着部と、前記ハーネスの第3部分及び第4部分を支持する複数の支持部と、を有し、
前記ハーネスの第4部分は、前記ブラケットの支持部に支持された部分よりさらに後方側において、前記センタフレームに支持されている、
請求項1に記載の油圧ショベル。
【請求項3】
前記左右のデッキの一方側の車両後部に配置された発電機モータと、
前記左右のデッキの他方側の車両前部に配置されたインバータと、
前記発電機モータと前記インバータとの間に設けられたパワーケーブルと、
をさらに備え、
前記センタフレームは車両幅方向の両端に車両前後方向に延びる左右の縦プレートを有し、前記左右の縦プレートは車両前部側において車両幅方向に貫通する開口を有し、
前記パワーケーブルは、前記左右の縦プレートの開口を通過し、前記ハーネスの第1〜第3部分と前記発電機モータが配置された側の縦プレートとの間を通過し、前記縦プレートに沿って前記発電機モータ側に延びている、
請求項2に記載の油圧ショベル。
【請求項4】
前記左右のデッキの一方側の車両後部に配置された発電機モータと、
前記左右のデッキの他方側の車両前部に配置されたインバータと、
前記発電機モータと前記インバータとの間に設けられたパワーケーブルと、
をさらに備え、
前記センタフレームは車両幅方向の両端に左右の縦プレートを有し、前記左右の縦プレートのうちの少なくとも前記インバータが配置された側の縦プレートの車両前部側には車両幅方向に貫通する開口を有し、
前記パワーケーブルは、前記インバータが配置された側の縦プレートの開口を通過し、前記発電機モータが配置された側の縦プレートの内側に沿って前記発電機モータ側に延びて配置され、
前記ハーネスは前記縦プレートを挟んで前記パワーケーブルとは逆側の縦プレートの側面に沿って配置されている、
請求項2に記載の油圧ショベル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−2169(P2013−2169A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−135230(P2011−135230)
【出願日】平成23年6月17日(2011.6.17)
【出願人】(000001236)株式会社小松製作所 (1,686)