説明

油圧ショベル

【課題】外装ドアから十分なエアを取り込めるように、より大きい開口部を形成することができ、しかも外装ドアに高い応力を生じさせたり、重量を増大させたりすることなく、開口部をルーバによって塞ぐことができるようにする。
【解決手段】この油圧ショベルは、外装ドア21と、主ルーバ40と、副ルーバ41と、を備えている。外装ドア21は、上部旋回体3の枠フレーム25に開閉自在に支持され、副開口部212aが形成された曲面部212を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油圧ショベル、特に、油圧ショベルに設けられた外装ドアのルーバ構造に関する。
【背景技術】
【0002】
油圧ショベルには、エンジンの冷却水を冷却するためのラジエータや、油圧機器の作動油を冷却するオイルクーラ、エンジンに供給される圧縮空気を冷却するアフタクーラ等を含む各種の冷却装置が搭載されている。
【0003】
これらの複数の冷却装置は、油圧ショベルにおいては車体の側面に配置されている。そして、複数の冷却装置を覆うように外装ドアが設けられている。外装ドアには、冷却装置に冷却用のエアを導くために開口部が形成され、開口部には、雨や砂塵等が入り込まないように、またエアの流れる方向を決めるためにルーバが取り付けられている。
【0004】
例えば特許文献1に示された油圧ショベルでは、車体の側面に冷却装置が配置されるとともに、これらの冷却装置を覆うために、サイドドア及びエンジンフードが設けられ、さらにこれらとは別にスクリーンの上方を覆うリッドが設けられている。また、サイドドア等には、外気を取り込むための開口部が形成されている。また、特許文献2に示された油圧ショベルでは、外装ドアに形成された開口部にルーバが設けられた構成が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−3519号公報
【特許文献2】特開2005−325590号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
近年、油圧ショベルにおいてもハイブリッド化が進められている。このハイブリッド油圧ショベルでは、従来の複数の冷却装置に加えて、インバータ等の電動機システムを冷却するためのラジエータ(ここでは、このラジエータを「ハイブリッドラジエータ」と称す)が必要になる。このため、従来装置に比較して冷却用エアの供給量を増やし、ヒートバランスが悪化するのを防止する必要がある。
【0007】
ここで、外装ドアは、一般的に、エア吸入口としての開口部が形成された平面部分と、平面部分の上部に形成された曲面部分と、を有している。吸入されるエアを増大させるために、外装ドアの曲面部分にも開口部を形成することが考えられる。このように曲面部分に開口部を形成する場合、平面部の開口部を塞ぐルーバと同様のルーバによって、曲面部の開口部を塞ぐ必要がある。
【0008】
外装ドアの曲面部に開口部を形成し、この開口部を塞ぐルーバを曲面部に固定する場合、ルーバのブラケットを開口周辺部に溶接等によって固定する必要がある。しかし、曲面部にブラケットを溶接しようとすると、曲面部の製作誤差からブラケットを溶接できない場合があり得る。したがって、曲面部にルーバを固定するのは困難である。なお、外装ドアの上部に、曲面部ではなく直線状の傾斜部が形成されているような場合でも、同様の問題が生じる。
【0009】
また、外装ドアに2つのルーバを固定した場合、外装ドア全体の重量が増大し、外装ドアを支持するヒンジ部分の強度を高くする必要があり、コストの増大につながる。
【0010】
本発明の課題は、外装ドアから十分なエアを取り込めるように、より大きい開口部を形成することができ、しかも外装ドアの曲面部にブラケットを溶接することなく、開口部をルーバによって塞ぐことができるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
第1発明に係る油圧ショベルは、下部走行体と、上部旋回体と、外装ドアと、ルーバと、を備えている。上部旋回体は、下部走行体に旋回自在に支持され、旋回台と、下端部が旋回台に固定された枠フレームと、を有する。外装ドアは、上部旋回体の枠フレームに開閉自在に支持され、開口部が形成された曲面部を有する。ルーバは、上部旋回体の枠フレームに装着され、閉状態の外装ドアの開口部を塞ぐ。
【0012】
ここでは、外装ドアの曲面部に開口部が形成されているので、従来同様に平面部にも開口部を形成することにより、従来に比較してより広い開口部を形成でき、より多くのエアを外部から取り入れることができる。また、曲面部の開口部を塞ぐルーバは上部旋回体の枠フレームに装着されているので、外装ドアの構成が簡単になる。また、ルーバの取り付けが容易になる。
【0013】
なお、ここでは、外装ドアを開いても、ルーバは枠フレーム側に残った状態である。しかし、一般的に曲面部の開口部は開口面積が小さく、したがってこの開口部を塞ぐルーバの占有面積は小さい。このため、外装ドアの内側に配置された構成部品に対してアクセスする際に、ルーバが邪魔になることはない。
【0014】
第2発明に係る油圧ショベルは、第1発明の油圧ショベルにおいて、枠フレームは、第1縦フレーム及び第2縦フレームと、上部フレームと、を有している。第1縦フレーム及び第2縦フレームは、それぞれ下端部が旋回台に固定されるとともに上方に延び、互いに間隔をあけて配置されている。上部フレームは、第1縦フレームの上端部と第2縦フレームの上端部との間に、第1及び第2縦フレームに対して着脱自在に配置されている。そして、ルーバは、上部フレームに固定され、上部フレームとともに第1及び第2縦フレームに対して着脱自在である。
【0015】
ここでは、ルーバは枠フレームを構成する上部フレームに装着されている。ここで、上部フレームの下方には、交換部品が配置されている場合がある。交換部品の重量が重い場合、リフトを使用して交換部品の着脱をする必要があり、上部フレーム及びそれに装着されたルーバが交換作業の妨げになる場合がある。
【0016】
そこでこの第2発明では、ルーバは上部フレームに固定され、ルーバ及び上部フレームを一体として他のフレームから取り外すことができるようにしている。したがって、ルーバが部品交換作業の妨げになることはない。
【0017】
第3発明に係る油圧ショベルは、第2発明の油圧ショベルにおいて、ルーバは、第1縦フレームと第2縦フレームとの間に配置された第1ブラケット及び第2ブラケットと、一端部が第1ブラケットに固定されるとともに他端部が第2ブラケットに固定された複数の羽板と、をさらに有している。そして、第1ブラケットの上端部は上部フレームの第1縦フレーム側の一端部に固定され、第2ブラケットの上端部は上部フレームの第2縦フレーム側の他端部に固定されている。
【0018】
ここでは、ルーバを構成する2つのブラケットが上部フレームに固定され、2つのブラケットの間に複数の羽板が固定されている。このため、ルーバを確実に、安定した姿勢で上部フレームに固定することができる。
【0019】
第4発明に係る油圧ショベルは、第1から第3発明のいずれかの油圧ショベルにおいて、外装ドアは、曲面部の下方において平坦な面で形成された平面部をさらに有し、平面部には、曲面部に形成された開口部とは別の開口部が形成されている。また、この油圧ショベルは、外装ドアに装着され、平面部の開口部を塞ぐルーバをさらに備えている。
【0020】
ここでは、外装ドア全体を有効に利用して多くのエアを取り込むことができる。
【0021】
第5発明に係る油圧ショベルは、第1発明の油圧ショベルにおいて、枠フレームは、第1縦フレーム及び第2縦フレームと、上部フレームと、を有している。第1縦フレーム及び第2縦フレームは、それぞれ下端部が旋回台に固定されるとともに上方に延び、互いに間隔をあけて配置されている。上部フレームは、第1縦フレームの上端部と第2縦フレームの上端部との間に、第1及び第2縦フレームに対して着脱自在に配置されている。そして、ルーバは第1縦フレーム及び第2縦フレームに支持されている。
【0022】
ここでは、ルーバが第1及び第2縦フレームに固定されているので、外装ドア側にルーバを装着する必要がない。また、上部フレーム及びルーバを第1及第2縦フレームから取り外すことができるので、上部フレームの下方に配置された部品の交換作業時に、ルーバが作業の妨げになることはない。
【0023】
第6発明に係る油圧ショベルは、第1から第5発明のいずれかの油圧ショベルにおいて、上部旋回体に支持され、平面部及び曲面部に形成された開口部と対向する位置に配置された冷却ユニットをさらに備えている。
【0024】
ここでは、両開口部から取り込まれたエアが冷却ユニットに供給されるので、冷却ユニットを冷却する能力を向上させることができる。
【0025】
第7発明に係る油圧ショベルは、第1から第6発明のいずれかの油圧ショベルにおいて、上部旋回体に支持され、上部フレームの下方に配置された交換部品をさらに備えている。
【0026】
ここでは、バッテリ等の交換部品の交換作業において、ルーバ及び上部フレームを取り外すことができるので、交換作業が容易になる。
【発明の効果】
【0027】
以上のような本発明では、油圧ショベルにおいて、外装ドアから十分なエアを取り込むことができ、しかも外装ドアの曲面部にブラケットを溶接する必要がない。また、外装ドアを開けて作業をする際の作業性を損なうことがない。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の一実施形態によるハイブリッド油圧ショベルの外観斜視図。
【図2】図1の油圧ショベルの上部旋回体の一部を後方から見た外観斜視図。
【図3】外装ドア及び外装ドアに関連する構成を説明するための外観斜視図。
【図4】外装ドアの外観斜視図。
【図5】枠フレーム及び副ルーバを示す外観斜視図。
【図6】上部フレーム及び副ルーバの断面図。
【図7】図3から上部フレーム及び副ルーバを取り外した図。
【図8】本発明の他の実施形態の図3に相当する図。
【発明を実施するための形態】
【0029】
[全体構成]
本発明の一実施形態による油圧ショベル1を図1に示す。油圧ショベル1は、ハイブリッド型の油圧ショベルであり、旋回電気モータ、発電機モータ、変換器としてのインバータ、蓄電器としてのキャパシタ、ディーゼルエンジン等を備えている。そして、このハイブリッド油圧ショベル1では、車体旋回の減速時に発生するエネルギが電気エネルギに変換され、エンジンと直結した発電機モータのエネルギと併せて得られた電気エネルギはキャパシタに蓄えられる。また、蓄えられた電気エネルギは、発電機モータを通じてエンジン加速時の補助エネルギとして利用される。なお、以下の説明において、「前」「後」「左」「右」とは、運転席に着座したオペレータを基準として決められる方向である。
【0030】
図1に示す油圧ショベル1は、下部走行体2と、上部旋回体3と、作業機4と、キャブ5とを備えている。
【0031】
下部走行体2は左右両側部に1対の履帯Cを有し、この履帯Cを駆動することで走行が可能である。上部旋回体3は、下部走行体2に旋回自在に支持されており、図示しない旋回電気モータによって任意の方向に旋回が可能である。作業機4及びキャブ5は、上部旋回体3に搭載されている。作業機4は、ブーム10、アーム11及びバケット12を有している。また、作業機4は、これらの構成部材10〜12を駆動するための複数の油圧シリンダを有している。
【0032】
また、上部旋回体3の後部には、エンジン15が横置きで配置されている。すなわち、エンジン15のクランク軸(図示せず)は油圧ショベル1の前後方向に対してほぼ直交するように配置されている。このエンジン15は、エンジンカバーやその上方に設置された外装カバー16によって覆われている。エンジン15の先端部(右端部)には、エンジン15によって回転される冷却ファン17が設けられている。
【0033】
さらに、上部旋回体3の後部の右側端部には、図2に示すように、後外装ドア21及び前外装ドア22が開閉自在に設けられている。なお、図2では、上部旋回体3のみを示し、他の構成は省略している。
【0034】
[外装ドア及びそれに関連する構成]
図3に、後外装ドア21、前外装ドア22、及びこれらの外装ドア21,22に関連する構成を抽出して示している。この図3に示すように、上部旋回体3は、旋回台24と、枠フレーム25と、を有している。枠フレーム25は、第1〜第3縦フレーム26,27,28と、第1及び第2上部フレーム29,30と、を有している。
【0035】
第1〜第3縦フレーム26,27,28は、ともに下端部が旋回台24の側部に固定されている。各縦フレーム26,27,28は、上端部を除く部分(垂直部)26a,27a,28aが旋回台24に対してほぼ垂直上方に延び、それぞれの上部(傾斜部)26b,27b,28bは車体内方に向かって傾斜している。第1縦フレーム26はもっとも後方に配置され、第2縦フレーム27は第1縦フレーム26の前方に所定の間隔をあけて配置されている。また、第3縦フレーム28は、第2縦フレーム27の前方に所定の間隔をあけて配置されている。第1縦フレーム26と第2縦フレーム27の間の間隔は、第2縦フレーム27と第3縦フレーム28の間隔よりも広く設定されている。
【0036】
第1上部フレーム29は、前後方向に延びており、後端部29aが第1縦フレーム26の上端面にボルト32により固定され、前端部29bが第2縦フレーム27の上端面にボルト32により固定されている。また、第2上部フレーム30も前後方向に延びており、後端部30aが第1上部フレーム29の前端部29bとともに第2縦フレーム26の上端面にボルト32により固定され、前端部30bが第3縦フレーム28の上端面にボルト32により固定されている。
【0037】
以上から明らかなように、第1上部フレーム29及び第2上部フレーム30は、それぞれボルト32を取り外す、あるいは締め付けることによって、各縦フレーム26〜28に対して着脱自在である。
【0038】
後外装ドア21は第1縦フレーム26と第2縦フレーム27との間に設けられ、前外装ドア22は第2縦フレーム27と第3縦フレーム28との間に設けられている。後外装ドア21は、後方の側部が第1縦フレーム26にヒンジ(図示せず)により開閉自在に支持されている。また、前外装ドア22は、前方の側部が第3縦フレーム28にヒンジ(図示せず)により開閉自在に支持されている。
【0039】
旋回台24の後部には、図3に示すように、冷却ユニット35が配置されている。冷却ユニット35は、エンジン冷却水を冷却するためのラジエータ、作動油を冷却するためのオイルクーラ、エンジンに供給される圧縮空気を冷却するためのアフタクーラ、インバータ等の電動機システムを冷却するためのハイブリッドラジエータ、及び空調装置のコンデンサを有している。また、冷却ユニット35の側方で、第1上部フレーム29の下方には、交換部品としての複数のバッテリ36が搭載されている。
【0040】
[外装ドアの詳細]
図4に外装ドア21,22を示している。後外装ドア21、前外装ドア22、及びこれらに関連する構成は基本的に同様であるので、ここでは、後外装ドア21及びこれに関連する構成について説明する。
【0041】
後外装ドア21は、上下方向の下方のほぼ2/3を占める平面部211と、平面部211の上方に形成された曲面部212と、を有している。平面部211は第1及び第2縦フレーム26,27の垂直部26a,27aに対向し、曲面部212は第1及び第2縦フレーム26,27の傾斜部26b,27bに対向している。平面部211は、ほぼ鉛直に起立する平面を有し、主開口部211aを有している。また、曲面部212は、平面部211の上端から上方かつ車体内方に向かって円弧状に延びる曲面を有し、副開口部212aを有している。副開口部212aは主開口部211aに比較して開口面積は小さい。
【0042】
[ルーバ]
図4に示すように、主開口部211a及び副開口部212aは、後外装ドア21の閉状態において、それぞれ主ルーバ40及び副ルーバ41によって覆われている。主ルーバ40及び副ルーバ41は、雨や砂塵等の異物の侵入を抑えるとともにエアの流れの方向を決めるための部材である。これらのルーバ40,41は、外観形状は異なるが、基本的には同様の構成である。図3から明らかなように、主ルーバ40は後外装ドア21の内面(車体側の面)に固定されており、副ルーバ41は枠フレーム25に固定されている。主ルーバ40の形状、構造、及び後外装ドア21への固定構造は従来とまったく同様であるので、説明を省略し、ここでは、副ルーバ41及びその固定構造について、以下に詳細に説明する。
【0043】
副ルーバ41は、図5に示すように、第1縦フレーム26と第2縦フレーム27との間において、両縦フレーム26,27の傾斜部26b,27bに沿って配置されている。副ルーバ41は、第1端部ブラケット411及び第2端部ブラケット412と、複数の中間ブラケット413と、複数の羽板414と、を有している。なお、前外装ドア22用の各ルーバは端部ブラケットのみを有し、中間ブラケットは設けられていない。
【0044】
第1端部ブラケット411及び第2端部ブラケット412は第1縦フレーム26と第2縦フレーム27との間に配置されており、第1端部ブラケット411は第1縦フレーム26に隣接し、第2端部ブラケット412は第2縦フレーム27に隣接して配置されている。両端部ブラケット411,412は、上下方向に延びる板状の部材であり、図5及び図6に示すように、第1上部フレーム(以下、単に「上部フレーム」と記す)29に平行な上固定部412a(図6では第2端部ブラケット412のみが表れているが、第1端部ブラケット411についてもまったく同様の構成である)と、上固定部412aから第2縦フレーム27の傾斜部27bに沿って下方に延びる羽板固定部412bと、を有している。また、各端部ブラケット411,412の羽板固定部411b,412bの下端部には、図3から明らかなように(図5では一部の図示を省略している)、それぞれ後方及び前方に突出する横固定部411c,412cを有している。
【0045】
複数の中間ブラケット413のそれぞれは、端部ブラケット411,412と同様に、上下方向に延びる板状の部材であり、上固定部413aと、縦フレーム26,27の傾斜部26b,27bに沿って延びる羽板固定部413bと、両固定部413a,413bを連結する連結部413cと、を有している。羽板固定部413bは、車体外側の部分が複数の水平面413dを有する階段状に形成されている。
【0046】
複数の羽板414のそれぞれは、前後方向に延びる帯状の部材であり、図6に示すように、ほぼ水平な固定部414aと、固定部414aから斜め下方に延びる本体部414bと、を有している。羽板414の後端面は第1端部ブラケット411の羽板固定部411bの前方側の面に溶接され、前端面は第2端部ブラケット412の羽板固定部412bの後方側の面に溶接されている。また、羽板414の固定部414aは、複数の中間ブラケット413の階段状に形成された部分の水平面413dに溶接されている。
【0047】
以上のようにして、2つの端部ブラケット411,412、複数の中間ブラケット413、及び複数の羽板414は、互いに溶接により固定されてユニット化されて、1つの副ルーバ41が構成されている。そして、各端部ブラケット411,412及び各中間ブラケット413の上固定部411a,412a,413aの上面と、上部フレーム29の下面と、が溶接されている。また、両端部ブラケット411,412の横固定部411c,412cがボルト45によって対応する縦フレーム26,27に取り外し自在に装着されている。これにより、副ルーバ41は、上部フレーム29と一体化されて、縦フレーム26,27に対して着脱自在である。
【0048】
なお、前述のように、前外装ドア22の構成は、寸法を除き後外装ドア21の構成と基本的に同じである。また、前外装ドア22の副開口部を塞ぐ副ルーバ及びその取付構造についても、後外装ドア21用の副ルーバ41及びその取付構造と基本的に同じである。
【0049】
[作用効果]
後外装ドア21において、平面部211に主開口部211aが形成されるとともに、曲面部212に副開口部212aが形成されているので、従来の構造に比較してより多くのエアを取り込むことができる。したがって、特に、ハイブリッドラジエータが必要なハイブリッド油圧ショベルにおいても、ヒートバランスを良好にすることができる。
【0050】
また、副開口部212aを塞ぐ副ルーバ41を後外装ドア21ではなく枠フレーム25側に固定しているので、後外装ドア21に副ルーバ41を設ける際のブラケットが不要になる。また、後外装ドア21の重量を重くしたりすることがない。さらに、同様の理由により、副ルーバ41を容易に、かつ安定して固定することができる。なお、副ルーバ41が枠フレーム25側に固定されているので、後外装ドア21を開けたときに副ルーバ41が車体側に残る。しかし、副ルーバ41の占有面積は比較的小さいので、内部の構成部品にアクセするときに副ルーバ41が邪魔になることはない。
【0051】
バッテリ交換時においては、バッテリ36の重量が重いので、リフトを利用してバッテリ36の着脱が行われる。このときは、上部フレーム29を各縦フレーム26,27に固定しているボルト32と、副ルーバ41の両端の端部ブラケット411,412を縦フレーム26,27に固定しているボルト45を取り外せば、上部フレーム29及び副ルーバ41を一体で取り外すことができる。図7に上部フレーム29及び副ルーバ41を取り外した状態を示している。したがって、バッテリ36の交換作業時に副ルーバ41が作業の妨げになることはない。
【0052】
[他の実施形態]
本発明は以上のような実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱することなく種々の変形又は修正が可能である。
【0053】
(a)前記実施形態では、副ルーバを第1上部フレームと一体化した例を示したが、副ルーバの配置はこの例に限定されない。図8に示すように、副ルーバ41’を第1及び第2縦フレーム26,27に固定してもよい。この図8に示す例では、副ルーバ41’自体の構成は前記実施形態と同様である。しかし、端部ブラケット411’,412’及び中間ブラケットは第1上部フレーム29に溶接されていない。各端部ブラケット411’,412’の横固定部411c’,412c’が第1縦フレーム26及び第2縦フレーム27にボルト45によって装着されている。
【0054】
この図8に示す実施形態においては、第1上部フレーム29と副ルーバ41’とを別々に各縦フレーム26,27から取り外す必要がある点を除いて、前記実施形態と同様の作用効果が得られる。
【0055】
(b)前記実施形態では、後外装ドア及び前外装ドアの両方に本発明を適用したが、一方のドアのみに本発明を適用してもよい。
【0056】
(c)外装ドアの形状として、平面部と曲面部とを有している例を示したが、曲面部が直線状に傾斜しているような場合にも、本発明を同様に適用することができる。
【0057】
(d)前記実施形態では、外装ドアが車体の側方に配置されている例を示したが、外装ドアが車体後部に設けられている場合にも、本発明を同様に適用することができる。
【符号の説明】
【0058】
1 油圧ショベル
2 下部走行体
3 上部旋回体
21,22 外装ドア
211平面部
211a 主開口部
212 曲面部
212a 副開口部
24 旋回台
25 枠フレーム
26〜28 縦フレーム
29,30 上部フレーム
35 冷却ユニット
36 バッテリ
40 主ルーバ
41,41’ 副ルーバ
411,411’,412,412’ 端部ブラケット
414 羽板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下部走行体と、
前記下部走行体に旋回自在に支持され、旋回台と、下端部が前記旋回台に固定された枠フレームと、を有する上部旋回体と、
前記上部旋回体の枠フレームに開閉自在に支持され、開口部が形成された曲面部を有する外装ドアと、
前記上部旋回体の枠フレームに装着され、閉状態の前記外装ドアの開口部を塞ぐルーバと、
を備えた油圧ショベル。
【請求項2】
前記枠フレームは、
それぞれ下端部が前記旋回台に固定されるとともに上方に延び、互いに間隔をあけて配置された第1縦フレーム及び第2縦フレームと、
前記第1縦フレームの上端部と前記第2縦フレームの上端部との間に、前記第1及び第2縦フレームに対して着脱自在に配置された上部フレームと、を有し、
前記ルーバは、前記上部フレームに固定され、前記上部フレームとともに前記第1及び第2縦フレームに対して着脱自在である、
請求項1に記載の油圧ショベル。
【請求項3】
前記ルーバは、前記第1縦フレームと前記第2縦フレームとの間に配置された第1ブラケット及び第2ブラケットと、一端部が前記第1ブラケットに固定されるとともに他端部が前記第2ブラケットに固定された複数の羽板と、をさらに有し、
前記第1ブラケットの上端部は前記上部フレームの前記第1縦フレーム側の一端部に固定され、前記第2ブラケットの上端部は前記上部フレームの前記第2縦フレーム側の他端部に固定されている、
請求項2に記載の油圧ショベル。
【請求項4】
前記外装ドアは、前記曲面部の下方において平坦な面で形成された平面部をさらに有し、
前記平面部には、前記曲面部に形成された開口部とは別の開口部が形成されており、
前記外装ドアに装着され、前記平面部の開口部を塞ぐルーバをさらに備えた、
請求項1から3のいずれかに記載の油圧ショベル。
【請求項5】
前記枠フレームは、
それぞれ下端部が前記旋回台に固定されるとともに上方に延び、互いに間隔をあけて配置された第1縦フレーム及び第2縦フレームと、
前記第1縦フレームの上端部と前記第2縦フレームの上端部との間に、前記第1及び第2縦フレームに対して着脱自在に配置された上部フレームと、を有し、
前記ルーバは前記第1縦フレーム及び前記第2縦フレームに支持されている、
請求項1に記載の油圧ショベル。
【請求項6】
前記上部旋回体に支持され、前記平面部及び前記曲面部に形成された開口部と対向する位置に配置された冷却ユニットをさらに備えた、請求項4に記載の油圧ショベル。
【請求項7】
前記上部旋回体に支持され、前記上部フレームの下方に配置された交換部品をさらに備えた、請求項1から6のいずれかに記載の油圧ショベル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−28973(P2013−28973A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−166228(P2011−166228)
【出願日】平成23年7月29日(2011.7.29)
【出願人】(000001236)株式会社小松製作所 (1,686)
【Fターム(参考)】