説明

油圧ユニット

【課題】油圧作業装置と油圧ユニットとを接続する油圧ホースの損傷を防止することができる構造を備えた油圧ユニットを提供する。
【解決手段】油圧ユニット23の上部に、旋回可能かつ伸縮可能なブーム25bと、該ブームの先端部に設けたシーブ25dと、前記ブームの基端側に配置したロープ巻取器25cと、該ロープ巻取器から繰り出されて前記シーブから垂下するロープ25eの先端部に設けたホース吊り上げ部材25fとを備えた油圧ホース吊り上げ装置25を設け、油圧作業装置(杭打機11)と油圧ユニットとを接続する油圧ホース24を吊り上げた状態とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油圧ユニットに関し、詳しくは、杭打機やクレーン等の油圧で作動する油圧作業装置に油圧ホースを介して油圧を供給する油圧ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
油圧シリンダや油圧モータといった油圧アクチュエータを作動させて各種作業を行う油圧作業装置、例えば杭打機やクレーンなどは、通常は、装置自体に搭載した油圧ユニットから各種油圧アクチュエータに油圧を供給している。また、作業中に油圧アクチュエータが昇降する杭打機の場合、油圧ホースを分割し、分割したホースの接続部にワイヤロープの接続部を形成すると共に、ワイヤロープの両端を作業装置とバックステーとにそれぞれ取り付け、前記ワイヤロープによって油圧ホースに弛みを持たせた状態で支持するようにし、油圧ホースが傷まないようにしたものがあった(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭63−194943号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上述の特許文献1に記載された油圧ホースは、杭打機に搭載した油圧ユニットと、杭打機のリーダに沿って昇降する油圧アクチュエータとを接続する油圧ホースを保護するものであって、杭打機自体が備えているバックステーを利用しているため、油圧作業装置と、該油圧作業装置とは別置きされる油圧ユニットとを接続する油圧ホースには適用できなかった。
【0005】
実際の作業現場で油圧作業装置と油圧ユニットとを油圧ホースで接続する場合、油圧ホースは、地上に這わせた状態で置かれていることが多く、このため、重機などに踏まれて油圧ホースが損傷することがあった。
【0006】
そこで本発明は、油圧作業装置と油圧ユニットとを接続する油圧ホースの損傷を防止することができる構造を備えた油圧ユニットを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の油圧ユニットは、油圧作業装置に油圧ホースを介して油圧を供給する油圧ユニットにおいて、該油圧ユニットの上部に、旋回可能なブームと、該ブームの先端部に設けたシーブと、前記ブームの基端側に配置したロープ巻取器と、該ロープ巻取器から繰り出されて前記シーブから垂下するロープの先端部に設けたホース吊り上げ部材とを備えた油圧ホース吊り上げ装置を設けたことを特徴としている。
【0008】
さらに、本発明の油圧ユニットは、前記ブームが伸縮可能に形成されていること、また、前記ロープ巻取器が電動モータ又は油圧モータで駆動されることを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
本発明の油圧ユニットによれば、油圧作業装置と油圧ユニットとを接続する油圧ホースを油圧ホース吊り上げ装置で吊り上げておくことができるので、油圧ホースが重機などに踏まれたりすることがなくなり、油圧ホースを保護することができる。また、油圧ホース吊り上げ装置のブームを旋回可能としていることにより、油圧ホースの接続方向が異なっても容易に対応することができ、さらに、油圧作業装置が多少移動しても、油圧ユニットを移動させずに対処することができ、伸縮可能に形成することで、より幅広い範囲で油圧ホースを吊り上げておくことができる。また、ロープ巻取器を、電動モータ又は油圧モータで駆動するように形成することにより、重い油圧ホースの吊り上げも容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】油圧作業装置に油圧を供給している状態の油圧ユニットの一形態例を示す側面図である。
【図2】同じく平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本形態例は、油圧作業装置の一つである杭打機に油圧を供給する油圧ユニットに本発明を適用したものである。本形態例に示す杭打機11は、クローラ12を備えた下部走行体13と、該下部走行体13上に旋回可能に設けられた上部旋回体14とを有するベースマシン15と、前記上部旋回体14の前部に起伏可能に設けられたリーダ16と、該リーダ16を上部旋回体14の後部から支持するバックステー17とを備えている。また、上部旋回体14のメインフレーム14a上には、下部走行体13を作動させるための小型油圧ユニット18とカウンタウエイト19とが搭載されており、メインフレーム14aの後端側には、油圧配管接続部14bが設けられている。
【0012】
この杭打機11は、リモコン20でオーガ駆動装置などの作業装置21をリーダ16に沿って昇降させると共に、作業装置21でオーガスクリュー22を回転駆動することにより、所定の杭打ち作業を行う。杭打ち作業中の杭打機11は、杭打機11とは別に所定の場所に設置した油圧ユニット23から油圧ホース24を介して供給される油圧により、作業装置21をはじめとする各種油圧アクチュエータを作動させる。
【0013】
油圧ユニット23は、杭打機11とは別に、油圧ホース24の長さに応じて作業現場の適当な場所に配置される。この油圧ユニット23は、下部に走行部23aを備えた自走式であって、油圧ユニット23の上部には油圧ホース吊り上げ装置25が設けられている。
【0014】
油圧ホース吊り上げ装置25は、油圧ユニット23の天板上面に取り付けられる取付ブラケット25aと、該取付ブラケット25aに水平方向に旋回可能に取り付けられ、かつ、伸縮可能に形成されたブーム25bと、該ブーム25bの基端側下部に取り付けられたロープ巻取器25cと、前記ブーム25bの先端部に取り付けられたシーブ25dと、前記ロープ巻取器25cから繰り出されて前記シーブ25dを介して垂下するロープ25eと、該ロープ25eの先端部に設けられたホース吊り上げ部材25fとを備えており、ホース吊り上げ部材25fは、杭打機11と油圧ユニット23との間を接続する複数の油圧ホース24を吊り上げ可能な構造に形成されている。
【0015】
また、本形態例では、杭打機11のカウンタウエイト19の上面にも、油圧ユニット23の油圧ホース吊り上げ装置25と同じ構造を有する油圧ホース吊り上げ装置25を取り付けている。
【0016】
杭打機11と油圧ユニット23とは、作業現場にそれぞれ搬入された後、杭打機11と油圧ユニット23とを所定本数の油圧ホース24で接続する共に、各油圧ホース吊り上げ装置25のブーム25bを杭打機11と油圧ユニット23との位置関係に応じて旋回させ、両者の距離に応じてブーム25bを伸縮させた状態でホース吊り上げ部材25fで油圧ホース24を吊り上げた状態とする。
【0017】
このとき、各油圧ホース吊り上げ装置25による油圧ホース24の吊り位置は、杭打機11と油圧ユニット23との位置関係、油圧ホース24の長さ、杭打機11の移動範囲や上部旋回体14の旋回による吊り方向の変化などを考慮して設定し、油圧ホース24に適当な弛みを持たせた状態で吊り上げるようにする。
【0018】
油圧ホース吊り上げ装置25のブーム25bの旋回や伸縮、ロープ巻取器25cの操作は、杭打機11や油圧ユニット23が小型であって、油圧ホース24が比較的軽量な場合には全てを手動で行うことができる。一方、杭打機11や油圧ユニット23が大型で、油圧ホース24の重量が嵩む場合には、ロープ巻取器25cを電動モータや油圧モータで駆動したり、ブーム25bの旋回や伸縮に電動モータや油圧モータ、油圧シリンダを使用したりすることにより、油圧ホース24を吊り上げる操作を簡単に行うことができる。なお、電動モータは、油圧ユニット23のエンジンに設けられている発電機やバッテリを電源とすることができ、油圧モータや油圧シリンダは、油圧ユニット23自体からの油圧で駆動することができる。また、ブーム25bの仰角を調節できるようにしておくこともできる。
【0019】
このようにして杭打機11と油圧ユニット23とを接続する油圧ホース24を油圧ホース吊り上げ装置25で吊り上げておくことにより、油圧ホース24が重機や作業者などに踏まれたりすることがなくなり、また、杭打機11の移動や上部旋回体14の旋回によって油圧ホース24が地面と擦れたりすることがなくなり、油圧ホース24を保護することができる。
【0020】
なお、本発明は、杭打機以外のクレーンやパワーショベルなど、各種油圧作業装置に油圧を供給する油圧ユニットに適用することができ、油圧ホース吊り上げ装置を持たない油圧作業装置にも適用することができる。
【符号の説明】
【0021】
11…杭打機、12…クローラ、13…下部走行体、14…上部旋回体、14a…メインフレーム、14b…油圧配管接続部、15…ベースマシン、16…リーダ、17…バックステー、18…小型油圧ユニット、19…カウンタウエイト、20…リモコン、21…作業装置、22…オーガスクリュー、23…油圧ユニット、23a…走行部、24…油圧ホース、25…油圧ホース吊り上げ装置、25a…取付ブラケット、25b…ブーム、25c…ロープ巻取器、25d…シーブ、25e…ロープ、25f…ホース吊り上げ部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
油圧作業装置に油圧ホースを介して油圧を供給する油圧ユニットにおいて、該油圧ユニットの上部に、旋回可能なブームと、該ブームの先端部に設けたシーブと、前記ブームの基端側に配置したロープ巻取器と、該ロープ巻取器から繰り出されて前記シーブから垂下するロープの先端部に設けたホース吊り上げ部材とを備えた油圧ホース吊り上げ装置を設けたことを特徴とする油圧ユニット。
【請求項2】
前記ブームは、伸縮可能に形成されていることを特徴とする請求項1記載の油圧ユニット。
【請求項3】
前記ロープ巻取器は、電動モータ又は油圧モータで駆動されることを特徴とする請求項1又は2記載の油圧ユニット。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2012−52298(P2012−52298A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−193488(P2010−193488)
【出願日】平成22年8月31日(2010.8.31)
【出願人】(000004617)日本車輌製造株式会社 (722)
【出願人】(593139374)株式会社エムオーテック (10)
【Fターム(参考)】