説明

油圧ユニット

【課題】 作業性の向上を図ることができる油圧ユニットを提供すること。
【解決手段】 油圧ユニット1は、開口が外部に臨む複数の配管接続口22a〜22d,21a,21b又は複数にグループ化された配管接続口22a〜22d,21a,21bを備えたハウジング2と、一面に備えた粘着材(粘着層101)によりハウジング2の外面201,202に貼付され、1枚で少なくとも2つの開口又は複数にグループ化された配管接続口22a〜22d,21a,21bを同時に被い、配管接続口22a〜22d,21a,21bの開口ごと又は配管接続口22a〜22d,21a,21bのグループごとに分割し剥がすための分割部14、及び作業者が把持する把持部(剥がし用把持部13)を有する保護テープ(第1テープ10a、第2テープ10b)と、を有し、粘着材(粘着層101)による保護テープ10とハウジング2の外面201,202との接着領域は分割部14を除く領域に設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油圧ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ハウジングに複数の配管接続口が設けられた油圧ユニットが知られている。例えば特許文献1に記載の油圧ユニットは、ハウジングの外面に貼られる保護テープを備え、複数の配管接続口の開口を保護テープで被うことで配管接続口への異物の混入等を抑制し、油圧ユニットを保護する。保護テープは、貼り付け又は引き剥がすことによって、開口を閉じ又は開くことができる。保護テープは、各配管接続口の開口ごとに保護テープを分割して剥がすことが可能に設けられており、この分割部には点線状の切り込み線(ミシン目)が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−339903号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記従来の油圧ユニットでは、保護テープの剥がし方によっては保護テープの一部がハウジング側に残ってしまい、これを剥がす手間が掛かり、作業性が低下するおそれがあった。本発明の目的とするところは、作業性の向上を図ることができる油圧ユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、本発明では、保護テープとハウジングの外面との接着領域は、保護テープを分割し剥がすための分割部を除いて設けられていることとした。
【発明の効果】
【0006】
よって、保護テープの一部がハウジング側に残ってしまうことを抑制し、作業性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】実施例1の保護テープをハウジングに貼付した状態の油圧ユニットの斜視図である。
【図2】実施例1の第1テープの平面図である。
【図3】図2のA部分の拡大図であり、実施例1の第1テープの分割部を示す。
【図4】実施例1の第2テープの平面図である。
【図5】比較例の第2テープの平面図であり、ハウジングから引き剥がす際の状態変化を示す。
【図6】実施例2の第1テープの分割部を示す。
【図7】実施例3の第1テープの分割部を示す。
【図8】実施例4の第2テープの分割部近傍とハウジングの外面の断面図である(図4のB−B視方向)。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の油圧ユニットを実現する形態を、図面に基づき説明する。
【0009】
[実施例1]
実施例1のユニットは、車両用、具体的には自動車用の油圧ユニットである(以下、油圧ユニット1という。)。油圧ユニット1は、4輪自動車のブレーキシステムに適用され、自動ブレーキ制御やアンチロックブレーキ制御等を実行可能に設けられた油圧式ブレーキ制御装置のユニットであり、タンデム型のマスタシリンダと各輪のホイルシリンダとの間に配置されている。ブレーキシステムはX配管形式であり、p系統及びs系統のブレーキ配管が設けられている。なお、ハウジングの外面に複数の開口部(配管接続口)を含む流体機器のユニットであればよく、各種の油圧機器だけでなく、例えば空気圧機器のユニットに本発明を適用してもよい。また、流体機器に対して電子的な制御機器やその他の機器が一体化されたユニットであってもよい。
【0010】
図1は、保護テープ10をハウジング2に貼付した状態の油圧ユニット1を示す。油圧ユニット1は、ハウジング2にモータ3が一体に組み付けられた液圧ユニットHUに対して電子制御ユニット4が一体に組み付けられた機電一体型の液圧制御ユニットである。液圧ユニットHUと電子制御ユニット4の一体化によって、ハーネスやコネクタ等の結合箇所を少なくして自動車の搭載スペースを削減するとともに、電気的な接続部分を減らして信頼性の向上を図っている。以下、この液圧制御ユニットを単に油圧ユニット1という。ハウジング2は略直方体形状のブロックであり、アルミ系金属材料を切削加工することで成形されている。なお、材料や加工方法は適当なものを選択可能である。ハウジング2の内部には、作動油としてのブレーキ液が流通する油路(油圧回路)やリザーバ等の容積室、及びポンプや電磁弁(ソレノイドバルブ)の弁体等を収容する収容室が設けられている。モータ3は、ポンプを駆動する動力源であり、有底円筒状のモータケース3a内に収容されている。電子制御ユニット4は、電子回路基板を備えており、油圧ユニット1の各アクチュエータの作動、例えばモータ3の駆動や電磁弁の開閉を制御する。電子制御ユニット4には、制御用の信号及び電源を供給するための入力部(コネクタ5)が備えられている。
【0011】
以下、説明のため、直交座標系を設定し、モータ3の回転軸が延びる方向にy軸を設け、電子制御ユニット4に対してモータ3の側を正方向とする。鉛直方向にz軸を設け、鉛直上方を正方向とする。y軸及びz軸に直交する方向(配管接続口22a〜22dが並ぶ方向)にx軸を設け、電子制御ユニット4におけるコネクタ5の側を負方向とする。ハウジング2は、上記容積室や収容室が形成された本体部2aと、ブレーキ配管を油圧ユニット1に接続するためのポートが形成されたポート部2bとを有している。なお、ポート部2bにも収容室等を形成してもよい。本体部2aは、y軸方向寸法が比較的小さい略直方体形状である。本体部2aのy軸正方向側の面200にはモータケース3aがボルト締結され、ハウジング2にモータ3が一体に支持されている。ハウジング2のy軸負方向側の面には電子制御ユニット4の各ケースが取り付けられ、ハウジング2に電子制御ユニット4が一体に支持されている。本体部2aのz軸負方向側の面には係止用の支持ボルト6が突出して設けられており、この支持ボルト6を用いて油圧ユニット1が車両に設置される。
【0012】
ポート部2bは、本体部2aのz軸正方向側に本体部2aと一体に設けられている。ポート部2bは、z軸方向寸法が本体部2aよりも小さく、かつy軸方向寸法が本体部2aよりも大きく設けられ、本体部2aのy軸正方向側の面200からy軸正方向側に若干突出した面202を有する略直方体形状である。ポート部2bには、複数のブレーキ配管がそれぞれ接続されるポートである配管接続口21,22が複数設けられており、これらの配管接続口21,22を介して、ブレーキ配管とハウジング2内の油路とが接続される。ポート部2bのy軸正方向側の面202には、複数(本実施例1では2つ)の配管接続口21a,21bがハウジング2の外部に臨んで(露出して)開口している。配管接続口21a,21bは、マスタシリンダに接続されるp系統及びs系統のブレーキ配管をそれぞれ接続するためのポートであり、モータ3の軸を挟んで略対称にx軸方向に並んで設けられている。ポート部2bのz軸正方向側の面201には、複数(本実施例1では4つ)の配管接続口22a〜22dがハウジング2の外部に臨んで(露出して)開口している。配管接続口22a〜22dは、各輪のホイルシリンダにそれぞれ接続されるブレーキ配管を接続するためのポートであり、面201におけるy軸負方向側の領域に、x軸方向に略一直線上に互いに略等間隔で並んで設けられている。x軸方向において、配管接続口21aは配管接続口22a,22bの間に位置し、配管接続口21bは配管接続口22c,22dの間に位置している。
【0013】
配管接続口22a,22bはp系統のブレーキ配管(配管接続口21a)に対応し、例えば右前輪と左後輪のホイルシリンダに接続されるブレーキ配管がそれぞれ接続される。配管接続口22c,22dはs系統のブレーキ配管(配管接続口21b)に対応し、例えば左前輪と右後輪のホイルシリンダに接続されるブレーキ配管がそれぞれ接続される。例えば通常ブレーキ時には、マスタシリンダからブレーキ液がp系統及びs系統のブレーキ配管に供給され、配管接続口21a,21bから油圧ユニット1内の油路を通った後、配管接続口22a〜22dを介して4輪のホイルシリンダへ配分される。このように、ハウジング2には、マスタシリンダに接続するブレーキ配管の接続口のグループ21(21a,21b)と、ホイルシリンダに接続するブレーキ配管の接続口のグループ22(22a〜22d)とが存在し、複数(本実施例1では6つ)の配管接続口が複数(本実施例1では2つ)にグループ化されている。なお、ハウジング2の外面に設けられる配管接続口の開口の数や配置は、本実施例1のものに限られない。例えば、X配管形式に限らず前後配管形式でもよい。また、マスタシリンダに接続する配管接続口21(21a,21b)を、ホイルシリンダに接続する配管接続口22(22a〜22d)と同じ面201に開口するように配置してもよい。また、複数の配管接続口をグループ化する際、接続対象別に分類するのではなく、レイアウト上近接しているかにより、また、ある基準位置を境に対称に領域を分けた場合に同一領域内に含まれるか否かや、配管接続作業上の手順が近接しているか否か等により分類してもよく、特に限定されない。本実施例1では、ホイルシリンダに接続する配管接続口22(22a〜22d)を1つのグループとしたが、これを例えば2つずつに分けて2グループとしてもよい。
【0014】
保護テープ10は、異物の混入等から油圧ユニット1を保護するためのテープであり、ハウジング2の外面に貼付され、ハウジング2における複数の配管接続口21,22の開口を被う封止シールである。保護テープ10は、透明なシート状のテープ本体100と、そのテープ本体100の一面にコート(塗布)された粘着層101とを備えている。保護テープ10は、ハウジング2に貼付される前の状態では台紙に貼られた状態であり、保護テープ10の粘着層101の上に(台紙の)剥離層が重なり合って設けられる。保護テープ10の材料としては、各種の樹脂、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレートなどを適用することができるが、透明性、コスト、リサイクル性を考慮すると、ポリエチレンが有利である。また、粘着層101としては、ゴム系、アクリル系、あるいはシリコン系のポリマーをベースにした公知の粘着材を用いることができる。保護テープ10は、第1テープ10aと第2テープ10bを有している。第1テープ10aは、1つの油圧ユニット1に対して1枚設けられており、ハウジング2(ポート部2b)の鉛直上方の外面201に貼られ、1枚で少なくとも2つの配管接続口(本実施例1では4つの接続口22a〜22dの全て)の開口を同時に被って封止する。第2テープ10bは、1つの油圧ユニット1に対して1枚設けられており、ハウジング2(ポート部2b)の側部の外面202に貼られ、1枚で少なくとも2つの配管接続口(本実施例1では2つの接続口21a,21b)を同時に被って封止する。なお、配管接続口22a〜22dを複数にグループ化した場合には、第1テープ10aは、配管接続口の各グループ(例えば接続口22a,22bのグループと接続口22c,22dのグループ)の開口を同時に被って封止することになる。
【0015】
(第1テープ)
図2は、第1テープ10aの平面図である。第1テープ10aは、少なくとも一部分に粘着層101が設けられてハウジング2の外面201に貼付され、配管接続口22a〜22dの開口を被う本体部11と、少なくとも一部分に粘着層101が設けられずに本体部11に接続され、作業者が把持するための把持部12,13と、本体部11を配管接続口22a〜22dの開口ごと又は配管接続口22a〜22dのグループごとに分割し剥がすための分割部14とを有している。本体部11は、第1テープ10aがハウジング2の外面201に貼付された状態で、外面201において配管接続口22a〜22dの開口をそれぞれ被うことが可能な形状に設けられ配置された複数の(本実施例1では4つの)封止部11a〜11dを有している。封止部11a〜11d同士は分割部14により連結されている。
【0016】
図2の斜線部分で示すように、封止部11a〜11dは、その全領域に粘着層101が設けられており、それぞれ配管接続口22a〜22dの開口周囲の外面201に密着することで配管接続口22a〜22dの内外を封止可能に設けられている。具体的には、各封止部11a〜11dは矩形状であり、その長さ(x軸方向寸法)及び幅(y軸方向寸法)は、それぞれ配管接続口22a〜22dの直径よりも大きく設けられている。なお、封止部11a〜11dに粘着層101を設ける領域は、配管接続口22a〜22dの開口周囲を被うことができる領域であれば、少なくとも開口を被って封止することができるため、必ず全領域に設ける必要はない。分割部14は、隣接する封止部11a,11bの間、封止部11b,11cの間、及び封止部11c,11dの間にそれぞれ、封止部11a〜11dと一体に設けられている。各分割部14の全領域には粘着層101が設けられていない。分割部14のx軸方向長さは、各封止部11a〜11dのx軸方向長さの数分の1であり、分割部14のy軸方向幅は、後述する切込み部15が設けられた部分を除き、各封止部11a〜11dのy軸方向幅と同様である。分割部14は、(第1テープ10aがハウジング2の適所に貼付された状態で)隣接する配管接続口22a〜22dの開口間の位置で本体部11を(封止部11a〜11dごとに)分割し剥がすための構成(後述する切り込み部15及びスリット部16)を有している。
【0017】
把持部は、保護テープ10の周縁部位に配置され、本体部11から突出するように設けられており、貼付用把持部12と剥がし用把持部13とを有している。貼付用把持部12は、本体部11のx軸負方向端に設けられた貼付用把持部12aと、本体部11のx軸正方向端に設けられた貼付用把持部12bとを有している。貼付用把持部12a,12bの全領域には粘着層101が設けられていない。貼付用把持部12a,12bは、第1テープ10aをその台紙から引き剥がす際、及び第1テープ10aをハウジング2に貼り付ける際、作業者により把持されることで、これらの作業を容易にする。第1テープ10aをハウジング2の適所に貼り付けた状態で、貼付用把持部12a,12bはハウジング2からx軸方向に突出するように設けられているため、貼付作業が容易化される。貼付用把持部12aは、封止部11aのx軸負方向側の縁からx軸負方向側に向かって延び、x軸負方向側に向かうにつれて徐々にy軸方向幅が狭くなる略台形状に設けられている。貼付用把持部12aのy軸方向幅は本体部11のy軸方向幅よりも大きく、幅広に設けられている。貼付用把持部12aのy軸負方向側部分120は、本体部11(封止部11a)のy軸負方向端よりもy軸負方向側に延在しており、そのx軸正方向側で、後述する剥がし用把持部13aの根元部分に一体に接続している。貼付用把持部12bも同様の形状である。なお、貼付用把持部12の形状は任意である。また、貼付用把持部12を省略することとしてもよい。この場合、作業者は、剥がし用把持部13を把持することで上記作業を行うことが可能である。本実施例1では、貼付用把持部12を別途設けたことで、上記作業をより円滑化できる。
【0018】
剥がし用把持部13は、本体部11のy軸負方向側の辺に4つ設けられ、剥がし用把持部13a〜13dが、x軸負方向側からx軸正方向側に向かってこの順に並んで設けられている。剥がし用把持部13a〜13dは、それぞれ封止部11a〜11dに対応して設けられ、y軸正方向側で封止部11a〜11dに接続している。剥がし用把持部13の全領域には粘着層101が設けられていない。剥がし用把持部13a〜13dは、ハウジング2から本体部11を(封止部11a〜11dごとに)分割し引き剥がす際、作業者によりそれぞれ把持されることで、この作業を容易にする。第1テープ10aをハウジング2の適所に貼り付けた状態で、剥がし用把持部13a〜13dはハウジング2(外面201)からy軸負方向に突出するように設けられているため、引き剥がし作業が容易化される。剥がし用把持部13a〜13dのx軸方向幅は、それぞれ対応する封止部11a〜11dのx軸方向幅よりも若干大きく設けられている。剥がし用把持部13aは、x軸方向幅が略一定のまま封止部11aのy軸負方向側の辺からy軸負方向側に向かって延びる略長方形状に設けられている。他の剥がし用把持部13b〜13dも同様の形状である。剥がし用把持部13a〜13dのy軸方向長さは、作業者が把持して引き剥がし易い大きさであり、かつスペース的に邪魔にならない大きさが好ましい。例えば、ハウジング2の外面201(のz軸方向位置で電子制御ユニット4の側へ延びる剥がし用把持部13a〜13d)と電子制御ユニット4のz軸正方向端部との間のz軸方向隙間が(指が入らない程度に)小さいような場合には、剥がし用把持部13a〜13dを、電子制御ユニット4よりも外側まで延在するy軸方向長さとすれば有利である。
【0019】
剥がし用把持部13a〜13dには、それぞれ"PULL"(「引っ張る」)の文字が表示されており(図1参照)、作業者に対し、この剥がし用把持部13a〜13dを把持して引っ張り、引き剥がし作業を行うべきことを教える。また、第1テープ10aの表側から見て判読可能なように文字"PULL"を記載しているため、第1テープ10aの表裏を判別し易くなっている。なお、文字"PULL"に限らず、絵的に各種情報、例えば作業者の引き剥がし方向を示す矢印や三角形状、その他作業上の注意事項等を把持部13に記載することとしてもよい。また、各把持部12,13の先端部に、半透明ないし不透明な塗り潰し領域を設け、作業者に絵的に把持部分(又は各把持部12,13を把持すべきこと)を教えることとしてもよい。第1テープ10aにおける上記各種の表記は、第1テープ10aの表裏いずれかの面に印刷することによって行うことができる。本実施例1では、テープ本体が透明であるため、各表記の部分を半透明ないしは不透明にしているが、それとは逆に、各表記の部分を透明にし、その周囲の部分を半透明あるいは不透明にすることとしてもよい。この場合も、封止部11a〜11dを透明にしておくことが好ましい。
【0020】
上記のように、貼付用把持部12aのy軸負方向側部分120は、本体部11(封止部11a)よりもy軸負方向側に延在しており、そのx軸正方向側で(封止部11aを分割し引き剥がすための)剥がし用把持部13aの根元部分に一体に連続している。貼付用把持部12aの上記部分120は、第1テープ10aをハウジング2の適所に貼り付けた状態で、ハウジング2(外面201)からx軸負方向及びy軸負方向に突出するように設けられている。貼付用把持部12aの上記部分120は、第1テープ10aをハウジング2に貼り付ける際に把持可能なだけでなく、ハウジング2から封止部11aを分割し引き剥がす際に把持されることで引き剥がし作業を容易にする。すなわち、封止部11aを分割し引き剥がす際に、剥がし用把持部13aと貼付用把持部12aの上記部分120とのどちらを把持して引き剥がしてもよく、上記部分120は剥がし用把持部と貼付用把持部の両方の機能を有する。
【0021】
図3は、図2のA部分の拡大図であり、第1テープ10aの分割部14を示す。分割部14は、作業者が剥がし用把持部13を把持してハウジング2に貼付された第1テープ10aを引き剥がす際、本体部11を分割して封止部11a〜11dごとに選択的に剥がすことを可能にするための構造(切り込みないしスリットの配置構造)であり、切り込み部15とスリット部16を有している。
【0022】
切り込み部15は、分割部14における(剥がし用把持部13が接続された側である)y軸負方向側の辺からy軸正方向側に向かって、所定のy軸方向位置まで切り込まれることで形成された切込み部である。具体的には、切り込み部15は、分割部14のy軸負方向側端に開口するように形成されている。切り込み部15は、第1切込み部としての凹部15aと、第2切込み部としての第1スリット15bとを有している。なお、「スリット」とは、「細長い隙間」ないし「切れ目」を意味するものとする。凹部15aは、各分割部14における剥がし用把持部13(13a〜13d)との接続部位に連続して、剥がし用把持部13の側(y軸負方向側)から分割部14を略三角形状に切り欠くように形成されている。凹部15aは、1つの剥がし用把持部13cのx軸正方向側の辺130に連続する縁150と、この把持部13cに隣接する他の剥がし用把持部13dのx軸負方向側の辺131に連続する縁151とから構成されている。縁150は、分割部14における剥がし用把持部13cとの接続位置からy軸正方向側かつ分割部14のx軸方向略中央に向かって斜めに延びる略直線状に形成されている。同様に、縁151は、分割部14における剥がし用把持部13dとの接続位置からy軸正方向側かつ分割部14のx軸方向略中央に向かって斜めに延びる略直線状である。縁150,151と剥がし用把持部13の辺130,131とのそれぞれの接続部分は、滑らかな曲線状に形成されている。すなわち、剥がし用把持部13は滑らかに凹部15aと連続するように設けられている。縁150と縁151は、分割部14のx軸方向略中央で一致(合流)する。両縁150,151のなす角度は直角よりも僅かに小さく設けられている。
【0023】
分割部14のx軸方向略中央には、両縁150,151の一致点からy軸正方向に切り込まれ略直線状に延びる第1スリット15bが形成されており、y軸負方向側で凹部15aに開口している。第1スリット15bのx軸負方向側の縁152は凹部15aの縁150に連続し、第1スリット15bのx軸正方向側の縁152は凹部15aの縁151に連続している。言い換えると、切り込み部15は、分割部14における剥がし用把持部13との接続部位から(剥がし用把持部13の辺130,131に対して)斜めに延びる縁150,151と、縁150,151にそれぞれ接続し、剥がし用把持部13の辺130,131に対して略平行に延びる縁152,153とが、分割部14のx軸方向略中央の線に関して略対称に設けられることで形成されている。第1スリット15bのy軸方向長さは、凹部15aのy軸方向深さと同程度かそれ以上の寸法に設けられている。切り込み部15(凹部15aと第1スリット15b)のy軸方向長さは、分割部14のy軸方向寸法の1/4強に設けられている。
【0024】
スリット部16は、隣り合う封止部11a〜11d間、具体的には剥がし用把持部13の辺130,131をy軸正方向側に延長した線上に、略直線状に切り込まれることで形成されている。スリット部16は、第1スリット15bの左右位置に、具体的には分割部14のx軸方向略中央の線を挟んでx軸方向略対称位置に、第2スリット16aと第3スリット16bをそれぞれ単一の切れ目として有している。第2スリット16aは、剥がし用把持部13の辺130をy軸正方向側に延長した線上(封止部11cを取り囲む印mのx軸正方向側)においてy軸方向に延びて形成され、その軸線が、切り込み部(第1スリット15b)の軸線からx軸負方向側へ所定距離(隣接する剥がし用把持部13の辺130,131間のx軸方向距離の略半分)だけオフセットした位置に設けられている。第3スリット16bは、剥がし用把持部13の辺131をy軸正方向側に延長した線上(封止部11dを取り囲む印mのx軸負方向側)においてy軸方向に延びて形成され、その軸線が、切り込み部(第1スリット15b)の軸線からx軸正方向側へ所定距離(隣接する剥がし用把持部13の辺130,131間のx軸方向距離の略半分)だけオフセットした位置に設けられている。第2、第3スリット16a,16bは、分割部14のy軸正方向側にもy軸負方向側にも開口しない。第2、第3スリット16a,16bのy軸方向長さは、分割部14のy軸方向寸法の70%程度に設けられている。第2、第3スリット16a,16bのy軸正方向端β2は、分割部14のy軸正方向側の辺からy軸負方向側に所定距離だけ離れた略同位置に設けられている。第2、第3スリット16a,16bのy軸負方向端β1は、ともに第1スリット15bのy軸正方向端α2と略同じy軸方向位置に設けられており、これらの端α2、β1はx軸方向から見て略重なっている。第1スリット15b(のy軸負方向端α1)は、第2、第3スリット16a,16b(のy軸負方向端β1)よりもy軸負方向側、すなわち剥がし用把持部13寄りに形成されている。
【0025】
(第2テープ)
図4は、第2テープ10bの平面図である。なお、第1テープ10aと対応する構成には同一の符号を付して説明を省略する。第2テープ10bは、少なくとも一部分に粘着層101が設けられてハウジング2の外面202に貼付され、配管接続口21a,21bの開口を被う本体部11と、少なくとも一部分に粘着層101が設けられずに本体部11に接続され、作業者が把持するための把持部12,13と、本体部11を配管接続口21a,21bの開口ごとに分割し剥がすための分割部14とを有している。本体部11は、第2テープ10bがハウジング2の外面202に貼付された状態で、外面202において配管接続口21a,21bの開口をそれぞれ被うことが可能な形状に設けられ配置された複数の(本実施例1では2つの)封止部11e,11fを有している。封止部11e,11f同士は分割部14により連結されている。
【0026】
図4の斜線部分で示すように、封止部11e,11fは、その全領域に粘着層101が設けられており、それぞれ配管接続口21a,21bの開口周囲の外面202に密着することで配管接続口21a,21bの内外を封止可能に設けられている。具体的には、各封止部11e,11fは矩形状であり、その長さ(x軸方向寸法)及び幅(z軸方向寸法)は、それぞれ配管接続口21a,21bの直径よりも大きく設けられている。なお、封止部11e,11fに粘着層101を設ける領域は、配管接続口21a,21bの開口周囲を被うことができる領域であれば、少なくとも開口を被って封止することができるため、必ず全領域に設ける必要はない。分割部14は、封止部11e,11fの間に、封止部11e,11fと一体に設けられている。分割部14の全領域には粘着層101が設けられていない。分割部14の詳細な構成は第1テープ10aと同様であるため(図3参照)、説明を省略する。なお、第2テープ10bでは、剥がし用把持部13がテープの長手方向側面に設けられておらず、凹部15aの縁150,151が本体部11のz軸負方向側面に滑らかに連続するように設けられている点のみ、第1テープ10aと異なる。
【0027】
把持部は、テープの長手方向両端から突出するように設けられており、貼付用把持部12と剥がし用把持部13とを有している。貼付用把持部12は、本体部11のx軸負方向端に設けられた貼付用把持部12cと、本体部11のx軸正方向端に設けられた貼付用把持部12dとを有している。貼付用把持部12c,12dの全領域には粘着層101が設けられていない。貼付用把持部12c,12dは、第2テープ10bをその台紙から引き剥がす際、及び第2テープ10bをハウジング2に貼り付ける際、作業者により把持されることで、これらの作業を容易にする。第2テープ10bをハウジング2の適所に貼り付けた状態で、貼付用把持部12c,12dはハウジング2からx軸方向に突出するように設けられているため、貼付作業が容易化される。貼付用把持部12cは、封止部11eのx軸負方向側の縁からx軸負方向側に向かって延び、x軸負方向側に向かうにつれて徐々にz軸負方向側に偏倚する形状に設けられている。貼付用把持部12cのz軸方向幅は本体部11のz軸方向幅よりも大きく、幅広に設けられている。貼付用把持部12cのz軸負方向側部分120は、本体部11(封止部11e)のz軸負方向端よりもz軸負方向側に延在している。このz軸負方向側への突出部分120は、貼付用把持部12cの残りの部分を介して封止部11eに接続し、封止部11eの剥がし用把持部13eを構成している。貼付用把持部12dも貼付用把持部12cと同様の形状であり、そのz軸負方向側部分120は封止部11fの剥がし用把持部13fを構成している。剥がし用把持部13e,13fは、ハウジング2から第2テープ10bを(封止部11e,11fごとに)分割し引き剥がす際、作業者によりそれぞれ把持されることで、この作業を容易にする。第2テープ10bをハウジング2の適所に貼り付けた状態で、剥がし用把持部13e,13fはポート部2b(外面202)からz軸負方向に突出するように設けられているため、引き剥がし作業が容易化される。
【0028】
なお、作業者の把持を妨げない限り、把持部12,13に部分的に粘着層101を設けてもよい。また、第1、第2テープ10a,10bの各封止部11a〜11fをそれぞれ取り囲む領域を円形や四角形に半透明ないし不透明に塗り潰し、印を設けることとしてもよい(図1,図4の印m参照)。これらの印mは、本体部11を外面201,202に貼付する際に各封止部11a〜11fと配管接続口22a〜22d,21a,21bの各開口との対応を表示し、作業者がこの印m内に配管接続口22a〜22d,21a,21bの各開口が位置するように本体部11を貼付するよう絵的に教えることで、作業者の貼付作業を容易化することができる。この場合、各テープ10a,10bの封止部11a〜11fが透明であるため、作業者が(各封止部11a〜11fを透して配管接続口22a〜22d,21a,21bを視認することで、)各封止部11a〜11fを配管接続口22a〜22d,21a,21bの各開口に対して位置決めすることが容易となる。また、これらの印mは、本体部11を外面201,202から剥がす際の分割単位となる領域(封止部11a〜11f)をそれぞれ表示し、作業者は、これらの印を目印として、本体部11が正確に(すなわち実際の切れ目が分割部14を逸脱して封止部11a〜11f内まで達することなく)分割して剥がされたか否かを容易に確認することができる。また、印mに囲まれた領域内に"REMOVE BEFORE ASSEMBLY"(「組立てに際して引き剥がす」)といった表記をテープ上に記載し、作業者に対して注意を促すこととしてもよい。また、第1テープ10aを2つに分け、2枚のテープとしてもよい。この場合、マスタシリンダに接続する配管接続口21a,21bの開口を別々に被って封止することになる。また、第1、第2テープ10a,10bを一体化し、1枚のテープ10としてもよい。この場合、配管接続口の各グループ(接続口21a,21bのグループと接続口22a〜22dのグループ)の開口を同時に被って封止することになる。この場合、保護テープ10は、ハウジング2において外面201から外面202にわたる領域を被うことが可能な形状とし、両面201,202の境界領域、つまり両面201,202が交差する縁の部分で折れ曲がるように、保護テープ10が貼られることになる。
【0029】
[実施例1の作用]
以下、油圧ユニット1の作用を説明する。
(保護テープの作用)
一般に、多くの流体機器はユニット化され、そのハウジングには、配管接続のための配管接続口が複数設けられている。このような流体機器においては、配管接続口の開口が外部に露出しているため、それらの配管接続口の開口を一時的に(ユニット組立後、保管や搬送等の間その他の、配管接続の作業が終わるまでの間)被うことによって、配管接続口の内部に外部から異物が侵入することを抑制することが必要である。例えば、車両用の(すなわち自動車に搭載し又は組み付けるための)油圧ユニットは、自動車に搭載されるまでは独立した一つの製品であり、搭載時の配管接続作業までは、配管接続口を何らかの形で被い保護しなければならない。特に、ブレーキ機器の場合、異物の侵入を抑制する必要性が高い。ここで、配管接続口を被い保護するための方法として、例えば各配管接続口を1つずつ(ねじ込み式やはめ込み式の)栓で蓋をする場合には、栓の取付けや取外しを行う脱着作業が面倒であって時間がかかり、またブレーキ制御装置や車両のコスト高を招く等の問題がある。また、複数の栓を連結手段によって一体にして、複数の配管接続口に対しそれらを一体的に脱着するような場合も、コスト高になってしまう。
【0030】
これに対し、本実施例1では、保護テープ10(第1テープ10a、第2テープ10b)をハウジング2の外面201,202に貼り、複数の配管接続口22a〜22d,21a,21bの少なくとも2つの開口を1つのテープ(第1テープ10a又は第2テープ10b)で同時に被う。よって、配管接続口22a〜22d,21a,21bの開口を専ら栓で保護する場合に比べ、保護テープ10を貼り付け又は引き剥がすことによって開口を閉じ又は開くことができるため、その作業は容易である。また、1つのテープによって複数の開口を同時に保護することができるため、コスト高を抑えることができ、しかも、配管接続口22a〜22d,21a,21bの開口部への封止部材の取付けや取外しの各作業が容易である。また、保護テープ10(第1テープ10a及び第2テープ10bの本体部11)は透明である。よって、ハウジング2の外面201,202における各テープの位置合わせが容易であり、テープ上に各種の表記を設ける際も有利である。なお、テープ(本体部)の輪郭に応じて、テープの貼付け位置を特定することができる場合等には、テープ(本体部)を半透明にしたり、不透明にしたりしてもよい。
【0031】
(分割部を設けたことによる作用)
本実施例1では、配管接続口22a〜22d,21a,21bの開口ごと、及び/又は配管接続口22a〜22d,21a,21bのグループごとに、保護テープ10を分割し剥がすための、分割部14を設けた。分割部14は、それに沿って各封止部11a〜11fを個別に切り取ることができるような加工部分(切り込み部)を有している。配管接続口22a〜22d,21a,21bごと、具体的には各配管接続口22a〜22d,21a,21bに対応して貼付される各封止部11a〜11fの連結部位ごとに分割部14を配置することで、貼付された保護テープ10(第1テープ10a又は第2テープ10b)を各配管接続口22a〜22d,21a,21bの開口に対応する部分(封止部11a〜11d)ごとに分割して剥がすことができる。したがって、一時的に閉じた複数の配管接続口22a〜22d,21a,21bを、個別に開いたり、グループごとに開いたりできる。こうした分割部14があれば、配管接続すべき開口に対応する部分のテープ領域(封止部11a〜11f)を順次剥がし、その間、他のテープ領域(封止部11a〜11f)を選択的に塞いだままとすることができ、これにより、配管接続を終えてない開口を配管接続の直前まで保護することができる。よって、より確実に異物の侵入を抑制することができる。
【0032】
(分割部の構成による作用)
従来のテープ分割構造は、分割位置に点線状の切り取り線(ミシン目など)を配置していた。このため、引き剥がし時にこの切り取り線に対して斜め方向からテープを引っ張ると、生じる切れ目が上記切り取り線を逸脱して他の部位にまで切り込んでしまい、意図しない部位(塞いだままとしておくべき配管接続口の開口部)のテープが剥がれてしまう場合があった。よって、テープ本来の封止機能が損なわれるおそれがあった。また、切り取り線から逸脱してテープが切れることで、意図しない部位(テープを除去しておくべき部位)でハウジング外面に貼り付いたまま残ったテープ部分は、対応する引き剥がし部(本実施例1の剥がし用把持部13に相当)とは独立して切り離されるため、引き剥がし部を用いてテープを剥がす通常の作業とは別に、上記残ったテープ部位を剥がす作業が追加的に必要となる場合がある。これらのことから、従来のテープ分割構造では、テープ引き剥がし時の方向性に注意が求められ、これにより引き剥がし時の作業性を悪化させていた。また、従来のテープ分割構造は、切り取り線を一直線状に設けていたため、テープ切り取り形状の自由度が低かった。なお、テープの素材として、特定の方向にのみ切れ目が出来やすいという意味で異方性を有する素材を用いることも考えられる。しかし、このような素材を用いた場合であっても、引き剥がし時に所定の分割方向(切り取り線)に対して斜め方向からテープが引っ張られると、切れ目が分割位置からオフセットした部位(塞いだままとしておくべき配管接続口の開口部)に発生するおそれは依然として残り、また、高コスト化するおそれもある。また、切り取り形状の自由度が低くなり、特に、配管接続口の任意のグループごとに分割して切り取ることが容易でなくなるおそれがある。これに対し、本実施例1では、テープの素材として異方性を有しない通常の(低コストの)素材を用いて高コスト化を抑制しつつ、分割部14に切り込み部15とスリット部16とを設けることで、切り取り形状の自由度及び引き剥がし時の作業性を向上することが可能である。以下、具体的に説明する。
【0033】
まず、切り込み部15の作用について説明する。作業者が剥がし用把持部13を把持し、これを引っ張って本体部11(各封止部11a〜11f)を剥がす方向は、保護テープ10における剥がし用把持部13の上記配置から、第1テープ10aではy軸正方向、第2テープ10bではz軸正方向となるように設定(予定)されている。切り込み部15は、分割部14における剥がし用把持部13の側(第1テープ10aではy軸負方向側、第2テープ10bではz軸負方向側)から切り込まれた部分(切れ目ないしスリット)である。よって、作業者が剥がし用把持部13を把持し、これを引っ張って本体部11を剥がす際、切れ目は、切り込み部15の第1スリット15bから始まることとなる。なお、第1スリット15bの両脇に設けられたスリット部16は、切り込み部15よりも剥がし用把持部13から遠い位置に設けられている。言い換えると、スリット部16よりも剥がし用把持部13寄り(剥がし用把持部13により近い位置)に、切り込み部15(第1スリット15b)が形成されている。ここで、「剥がし用把持部13から遠い/近い」とは、作業者が剥がし用把持部13を把持して本体部11(各封止部11a〜11f)を剥がす方向(第1テープ10aではy軸負方向、第2テープ10bではz軸負方向)に沿って見たときの「遠い/近い」をいう。よって、分割部14において剥がし用把持部13の側から切れ目が形成される際、(スリット部16よりも剥がし用把持部13寄りに形成された)切り込み部15(第1スリット15b)の側から切れ目が形成され、第1スリット15bのy軸正方向端α2に至る。第1スリット15bは、隣接する封止部11a〜11fの間(分割部14)のx軸方向略中央位置に切り込まれているため、作業者が剥がし用把持部13を把持して引っ張る方向(引き剥がし方向)が予定通りであって一定であれば、切れ目は、隣接する封止部11a〜11dの間のx軸方向略中央位置で、第1スリット15bの延長線に沿って形成される。
【0034】
なお、分割部14において切り込み部15(第1スリット15b)が設けられた側(剥がし用把持部13の側)と反対側(第1テープ10aではy軸正方向側、第2テープ10bではz軸正方向側)に、切り込み部15の軸線(第1スリット15bの延長線)上に延びる第4スリットを設けることとしてもよい。この第4スリットは、作業者による本体部11の剥がし方向が切り込み部15(第1スリット15b)の軸線と略一致していた場合、第1スリット15bから発生する切れ目が第4スリットと連結することで、本体部11が切り込み部15の軸線に沿って剥がされやすくし、これにより作業性を向上可能である。第4スリットとしては、複数の切り込み(ミシン目)でも単一の切り込みでもよい。また、凹部15aを省略して、分割部14における剥がし用把持部13の側の辺から直接第1スリット15bが切れ込まれるようにしてもよい。本実施例1では、凹部15aを設け、剥がし用把持部13により持ち上げられる部分が第1スリット15bと滑らかに連続するようにしたことで、剥がし用把持部13により持ち上げられる部分が、第1スリット15bから外れた位置から切れるのではなく、より確実に第1スリット15b(の端部α1)から切れるようにすることができる。このように、凹部15aは、剥がし用把持部13と第1スリット15bとがx軸方向に離れていても、第1スリット15bから切れ目が始まるようにガイドする機能を有する。また、本実施例1では、第2テープ10bにおいて、剥がし用把持部13を貼付用把持部12と一体に設けたが、本体部11(各封止部11e,11f)のz軸負方向側の辺に設けることとしてもよい。この場合、剥がし用把持部13により最初に持ち上げられる部分が第1スリット15bに近い位置となるため、上記のように第1スリット15bから切れ目が始まることを促進しやすい。本実施例1では、ポート部2bの外面202に貼られる第2テープ10bにおいて、剥がし用把持部13を封止部11e,11fのz軸負方向側の辺を避けるように配置したことで、剥がし用把持部13と(外面202のz軸負方向側に配置された)モータケース3aとの干渉を避け、これにより剥がし作業を効率化することができる。また、剥がし用把持部13を貼付用把持部12と一体に設けることで、第2テープ10bの構成を簡素化することができる。
【0035】
次に、スリット部16の作用について説明する。切り込み部15の軸線と、この切り込み部15とは別に形成した切り込み部であるスリット部16(第2、第3スリット16a,16b)の軸線がオフセットしていることから、作業者が剥がし用把持部13を把持して本体部11を剥がす際、その引き剥がし方向が一定でなくても、切れ目が分割部14の全体から逸脱することが抑制され、分割部14に沿って本体部11を剥がすことが容易となる。ここで、切り込み部ないしスリットの「軸線」を、保護テープ10の平面視で、切り込み部ないしスリットが延びる方向に沿った直線とし、切り込み部ないしを湾曲させて形成した場合には、その任意の点(例えば第1スリット15bの端α2)における接線で近似できるものとする。第2テープ10bを例にとって説明すると、第2スリット16a又は第3スリット16bの軸線は、第1スリット15bの軸線に対し、x軸方向に所定距離だけオフセットしている。よって、作業者による本体部11(封止部11e,11f)の剥がし方向が、切り込み部15の軸線(z軸方向)からx軸方向に外れていた場合、すなわち斜め又は横方向にずれていた場合、切り込み部15(第1スリット15b)のz軸正方向端α2から始まる切れ目は、切り込み部15(第1スリット15b)の軸線からx軸方向に外れて形成され、その後、スリット部16(第2スリット16a又は第3スリット16b)に接続する。スリット部16は、切り込み部15の軸線からずれた軸線を有しているからである。よって、以後、切れ目は、スリット部16を介して、スリット部16(第2スリット16a又は第3スリット16b)に沿って形成されることとなる。第1テープ10aについても同様である。
【0036】
ここで、把持部13は、保護テープ10の長手方向(x軸方向)両端に突出するように設けられた貼付用把持部12a〜12dと、切り込み部15の軸線と平行(第1テープ10aではy軸方向、第2テープ10bではz軸方向)に延びるように設けられた剥がし用把持部13a〜13fとを有し、少なくとも一部の剥がし用把持部(第1テープ10aの剥がし用把持部13a,13d、第2テープ10bの剥がし用把持部13e,13f)は貼付用把持部(第1テープ10aの貼付用把持部12a,12b、第2テープ10bの貼付用把持部12c,12d)と一体に設けられている(一体部分120を有している)。すなわち、剥がし用把持部13を保護テープ10の長手方向(x軸方向)両端に貼付用把持部12と一体に設けることで、レイアウト自由度や利便性を高めている。しかし、このようにレイアウトされた剥がし用把持部13により保護テープ10が引き剥がされる方向は、予定された引き剥がし方向(切り込み部15の軸線)からずれやすくなる(図5参照)。
【0037】
このように、引き剥がし方向が切り込み部15の軸線からずれていても、スリット部16により、切れ目が封止部11a〜11fまで外れて発生する事態が抑制される。言い換えると、スリット部16は、切れ目が分割部14(切り込み部15及びスリット部16)から逸脱して、配管接続口22a〜22d,21a,21bの開口を被う部位まで切れ込むことを抑制する。このように、逸脱抑制用切り込み部としてのスリット部16(第2、第3スリット16a,16b)の内側で保護テープ10を分割して剥がすことが可能になるため、作業者の意図通りに本体部11が配管接続口22a〜22d,21a,21bの開口ごとに分割して剥がされやすくなって保護テープ10の開口保護機能を向上できるとともに、作業者において引き剥がし方向に対する注意が不要となるため、作業を効率化して作業性を向上することが可能である。また、切れ目の逸脱を抑制して作業性の向上を図りつつ、切り込み部15(第1スリット15b)の軸線に沿った切込み部(上記第4スリット)を不要とし、これにより保護テープ10の構成を簡素化できる。
【0038】
ここで、スリット部16(第2、第3スリット16a,16b)の始端β1は、切り込み部15(第1スリット15b)の終端α2と略同じ軸線方向位置に設けられている。よって、作業者による剥がし方向が、切り込み部15(第1スリット15b)の軸線方向に対して極端にずれたとき、例えば軸線方向に対して直角方向であるx軸方向(切り込み部15の軸線に対して左右方向)となった場合でも、切り込み部15(例えば終端α2)から始まる切れ目がスリット部16(第2、第3スリット16a,16b)と連結することが容易であり、これにより、作業者による剥がし方向によらずに切れ目の逸脱を抑制する効果を向上している。また、設計段階でスリット部16(第2、第3スリット16a,16b)の始端β1と切り込み部15(第1スリット15b)の終端α2との位置関係を上記のように設定しておけば、仮に切り込み部15やスリット部16の長さや位置に製造誤差等のバラツキがあった場合でも、作業者による剥がし方向によらずに切れ目の逸脱を抑制できる可能性を向上できる。
【0039】
なお、切り込み部15の終端α2とスリット部16の始端β1との軸線方向位置関係は上記に限らない。第1テープ10aを例にとると、例えばα2がβ1に対して、y軸正方向側に位置し、又はy軸負方向側に位置してもよい。前者の場合(x軸方向から見て、切り込み部15が、ある程度の範囲内でスリット部16とオーバーラップする場合)、作業者による剥がし方向によらずに切れ目の逸脱を抑制するという上記作用効果をより確実に得ることができる。しかし、この場合、分割部14における上記オーバーラップ部位で、x軸方向の力に対して第1テープ10a(分割部14)の剛性を担う部分は、切り込み部15とスリット部16とに挟まれた部位のみとなる。すなわち、上記剛性は、切り込み部15とスリット部16との間の部位が若干変形しつつ担うこととなる。この部位による剛性を高めるためには、この部位のx軸方向幅を増大する必要があるが、それには上限がある。これに対し、後者の場合(切り込み部15がx軸方向でスリット部16とオーバーラップしない場合)、切り込み部15とスリット部16との間の部位のx軸方向幅を上記のように増大させなくても、上記オーバーラップしない部分によって上記剛性を確保できるため、分割部14におけるx軸方向の剛性を向上することができる。このため、作業者が貼付用把持部12を把持して第1テープ10aを台紙から引き剥がしたりハウジング2に貼付したりする際にx軸方向に力が加わっても、第1テープ10aが分割部14において切れてしまうといった事態を抑制することができる。本実施例1では、α2とβ1を略同じy軸方向位置に設けたため、作業者による剥がし方向によらずに切れ目の逸脱を抑制する上記効果を得ることができるとともに、上記オーバーラップを抑制して、分割部14のx軸方向幅の増大を抑制しつつ、分割部14におけるx軸方向の剛性を向上することができる。なお、これらの効果を相乗的に最大化できるよう、α2とβ1のy軸方向位置関係を更に調整することとしてもよい。本実施例1では、封止部11a〜11f間に分割部14を設け、スリット部16と切り込み部15との間にx軸方向で若干の距離を設けることを容易化している。よって、上記オーバーラップさせた場合でも、両者15,16間の部位が変形する際の剛性を向上し、上記方向(x軸方向)の力に対する剛性を担保することが容易である。
【0040】
なお、スリット部16(第2、第3スリット16a,16bのそれぞれ)を単一の切り込みにより構成するのではなく、複数の切り込みにより構成することとしてもよい。この場合であっても、分割位置に線状に切り取り線(ミシン目など)を配置した従来例とは異なり、切り込み部15に対してオフセットさせたスリット部16により、切れ目が分割部14の左右に逸脱して切れ込むことがある程度抑制される。この場合、スリット部16の複数の切り込みの長さを、通常のミシン目と比べて長く設けることが好ましい。本実施例1では、スリット部16(第2、第3スリット16a,16bのそれぞれ)を単一の切り込みにより構成した。よって、複数の切り込みにより構成した場合と異なり、切り込み部15からの切れ目がスリット部16(単一の切り込み)のいずれか一箇所と連結すれば、後は、切れ目がスリット部16に沿ってその先端β2まで実現されるため、切れ目を発生させて本体部11を分割する手間を大幅に削減できるとともに、切れ目の逸脱をより確実に抑制することができる。さらに、本実施例1では、単一の切れ目としてのスリット部16を、分割部14の大部分にわたり設けた(第1テープ10aを例にとると、分割部14のy軸方向寸法の70%程度)。よって、上記作用効果を向上することができる。
【0041】
このように、スリット部16を単一の切れ目(切り込み部)として、分割部14の大部分にわたってスリットを設けた場合、分割部14においてx軸方向の力に対して剛性を担う部分は、スリット部16が設けられていない中実部分のみとなる。よって、上記剛性をどのように確保するかが問題となる。本実施例1では、スリット部16(第2、第3スリット16a,16b)を分割部14の剥がし用把持部13とは反対側の辺まで連続的に設けてこの辺に開口させることはせず、上記辺から若干手前の部位までスリット部16を設けることとした。このため、上記辺とスリット部16(第2、第3スリット16a,16bの端β2)との間に、切り込み(スリット)が設けられていない中実部分が残り、この部分により、上記x軸方向の剛性を担うことができる。なお、切り込み部15の軸線(第1スリット15bの延長線)上に延びる上記第4スリットとして、分割部14の上記辺に開口する単一の切り込みを設けた場合には、x軸方向から見て、スリット部16(第2、第3スリット16a,16b)と上記第4スリットとの重なり部分を少なくすると、上記x軸方向の剛性確保の点から有利である。
【0042】
上記のように、本実施例1では、分割部14において、剥がし用把持部13の側では、切り込み部15(の終端α2)とスリット部16(の始端β1)との位置関係を調整することで上記x軸方向の剛性を担う。剥がし用把持部13とは反対側では、上記のようにスリット部16と分割部14の辺との間に距離を設けることで上記x軸方向の剛性を担う。このように、分割部14を両側で支持する2点支持構造として、上記x軸方向の剛性を効果的に向上している。言い換えると、2点支持構造とすることで剛性を担保しつつ、これにより、スリット部16(第2、第3スリット16a,16bのそれぞれ)を単一の切り込みとした場合でもその切り込み範囲を大きく設けることを可能にし、切れ目の逸脱抑制効果を向上している。本実施例1では、切り込み部15(凹部15aと第1スリット15b)の軸線方向長さを、分割部14の1/4程度までに抑制しているため、その分だけ、単一の切り込みとしてのスリット部16の軸線方向長さ(切り込み範囲)を大きくしつつ、上記2点支持する支持点間の距離を大きくとって上記x軸方向の剛性を向上している。
【0043】
なお、スリット部16(第2、第3スリット16a,16bのそれぞれ)を複数の切り込みにより構成した場合には、分割部14において上記剛性を担う中実部分が、切り込み部を連結する部分の数だけ(スリット部16の軸線方向に)分散して残ることになる。これによっても、上記剛性を向上することができる。この場合、上記複数の切り込みのうち1つを、分割部14の剥がし用把持部13とは反対側の辺に開口させることとしてもよい。また、この場合、スリット部16(第2スリット16a又は第3スリット16b)の上記複数の切り込みを互いにオフセットして(例えば剥がし用把持部13とは反対側に位置する切り込みの軸線ほど第1スリット15bの軸線からx軸方向に離間するように)配置し、切れ目の逸脱をより確実に抑制することとしてもよい。本実施例1では、スリット部16を単一の切り込みにより構成したため、切れ目の逸脱を抑制するために、上記のように複数の切り込みをx軸方向にオフセットさせて設けたり、その他の追加的な構成を設けたりする必要が少ない。よって、分割部14のx軸方向寸法の増大を抑制したり、構成を簡素化したりすることが可能である。
【0044】
また、スリット部16は、切り込み部15(第1スリット15bの軸線)の左右位置に形成された第2、第3スリット16a,16bを有しており、これら第2、第3スリット16a,16bは、配管接続口22a〜22d,21a,21bの隣り合う開口間又はグループ間に延びている。このように、スリット部16(第2、第3スリット16a,16b)が切り込み部15(第1スリット15b)の左右位置にあることから、剥がし方向が切り込み部15の左右どちらにずれても、切れ目が分割部14を超えて(分割部14の左右に)逸脱して切れ込むことが抑制されるため、配管接続口22a〜22d,21a,21bの隣り合う開口ごと又はグループごとに本体部11を分割して剥がす際の作業性を向上可能である。すなわち、スリット部16(第2、第3スリット16a,16b)を、切り込み部15(第1スリット15b)の左位置又は右位置のどちらか一方に形成することも考えられる。作業者が剥し用把持部13を把持して引っ張る方向が、左右方向どちらか一方に決まっている(決めることができる)ような場合には、その方向にのみスリット部16を形成すれば上記作用効果を得ることができる。これに対し、本実施例1では、スリット部16が左右両側に設けられているため、どちらに引っ張っても上記作用効果を得ることができる。よって、引き剥がし作業の方向性を選ばなくともよく、これにより作業性をより向上することができる。
【0045】
なお、分割部14のx軸方向及びy軸(ないしz軸)方向の寸法は、任意である。例えば、分割部14のy軸(ないしz軸)方向寸法は、必ずしも本体部11(封止部11a〜11f)の同方向寸法と同じである必要はなく、本体部11よりも長くても短くてもよい。例えば、第1テープ10aにおいて、分割部14のy軸方向寸法が本体部11よりも大きく、かつ分割部14が本体部11のy軸負方向側の辺からy軸負方向側へ突出するように設けた上で、隣接する剥がし用把持部13同士を分割部14(の上記突出するy軸負方向側部分)により連結することとしてもよい。これらの場合であっても、分割部14(切り込み部15とスリット部16)を本実施例1のように設けることで、本実施例1と同様の作用効果を得ることができる。また、第1〜第3スリット15b,16a,16bの寸法は適宜変更可能である。例えば、スリット幅(隙間)は任意であって、略ゼロであってもよいし所定の大きさを有していてもよい。また、第1〜第3スリット15b,16a,16bの形状は任意であって、直線状でなく、例えば湾曲していてもよい。さらに、分割部14(切り込み構造)の大きさや、パターンの連続の有無も、任意である(実施例2、3参照)。また、第1、第2テープ10a,10bを一体化した場合には、ホイルシリンダに接続する第1のグループの配管接続口22a〜22dと、マスタシリンダに接続する第2のグループの配管接続口21a,21bとに分割して選択的に剥がすための分割部14を設けることが可能である。グループごとに分割するための分割部14は、配管接続口ごとに分割する分割部14としても機能することができる。ここで、配管接続口ごとに分割する分割部14とグループごとに分割する分割部14とを同様の構成とする他、それぞれ違えて、例えば、グループごとに分割するための分割部14のほうが、配管接続口ごとに分割するための分割部14よりも容易に切り取ることができる等の構成にすることも可能である。
【0046】
(分割部に粘着材を設けないことによる作用)
従来の保護テープでは、製品(油圧ユニットのハウジング)側への貼り付けが想定される部位全てに接着性を持たせる構成としている。保護テープを分割して剥がすための切り込み部(切り取り線ないしミシン目)を備えているものにおいては、分割位置である切り込み部にも接着性を持たせている。このため、剥がし方によっては、切り込み部の近傍で保護テープが製品側に残ってしまい、この残ったテープを剥がす手間が掛かり、作業効率が低下するおそれがあった。具体的には、保護テープを引き剥がす際、切り取り線ないしミシン目から切れ目が逸脱する場合がある。この場合、上記の切れ目が逸脱した部位がその接着力によって対象製品側であるハウジングに残ってしまい、これにより引き剥がし時の作業性が低下するおそれがあった。これに対し、本実施例1の油圧ユニット1では、保護テープ10とハウジング2の外面201,202との接着領域は、保護テープ10を分割し剥がすための分割部14を除く領域に設けられている。具体的には、配管接続口22a〜22d,21a,21bごとの分割を行う位置にある切り込み部(切り込み部15、スリット部16)の近傍(分割部14)に接着性を持たせない構成とした。よって、保護テープ10を引き剥がした際に分割部14(の一部)が製品(ハウジング2)側に接着したまま残ってしまうことを抑制し、これにより作業性の向上を図ることができる。
【0047】
図5は、比較例の保護テープ10(第2テープ10b)をハウジング2から引き剥がす際の状態変化を示す。図5(a)で示すように、比較例の保護テープ(第2テープ10b)は、本実施例1と同様の分割部14(切り込み構造)を備えると共に、封止部11e,11fだけでなく分割部14(切り込み部15とスリット部16の近傍)にも、粘着層101(図の斜線部分)が設けられている。上記のように、作業者が各封止部11e,11fを引き剥がす際、剥がし用把持部13e,13fを把持して引っ張る方向(引き剥がし方向)が予定通り、切り込み部15の軸線方向(z軸正方向)で一定である場合には、切れ目は、封止部11e,11fの間のx軸方向略中央位置で、第1スリット15bの延長線に沿って形成される。この場合、分割部14(の一部)がハウジング側に接着したまま残ることはない。しかし、図5(b)で示すように、ある封止部11fの引き剥がし方向が切り込み部15の軸線からずれ、この軸線方向に対して例えば直角方向(x軸正方向)に引き剥がされた場合には、上記のように、切れ目は、第3スリット16bに沿って形成される(これにより切れ目が封止部11fまで入り込んで発生する事態が抑制される)。その後、図5(c)で示すように、残りの封止部11eの引き剥がし方向が切り込み部15の軸線からずれ、この軸線方向に対して例えば直角方向(x軸負方向)に引き剥がされた場合には、上記のように、切れ目は、第2スリット16aに沿って形成される(これにより切れ目が封止部11eまで外れて発生する事態が抑制される)。しかし、図5(c)の斜線部分で示すように、分割部14において切れ目が第1スリット15bの延長線から逸脱した部位(第2スリット16aと第3スリット16bに挟まれた部分C)がハウジング2の側に接着したまま残ってしまう。
【0048】
これに対し、本実施例1の保護テープ10(第2テープ10b)では、図4に示すように、粘着層101は分割部14を除く領域に設けられており、分割部14には設けられていない。よって、最初に封止部11fを引き剥がす際、切れ目が第1スリット15bの延長線から逸脱して例えば第3スリット16bに沿って形成された場合(図5(b)で示す状態)でも、分割部14における上記逸脱した部位(部分C)はハウジング2の側に接着しない。このため、残りの側の封止部11eを引き剥がした際、その引き剥がし方向に関わらず、上記部分Cは、この封止部11eと一体になってハウジングから離脱することとなり、ハウジング2の側に残らない。なお、本実施例1では、スリット部16(第2スリット16aと第3スリット16b)を分割部14の内部に形成したが、これに限らず、分割部14と封止部11a〜11fとの境界部位上に延びるようにスリット部16(第2スリット16aと第3スリット16bの少なくとも一方)を形成することとしてもよい。この場合も、上記部分Cがハウジング側に接着したまま残ることを抑制できる。また、本実施例1では、分割部14の切り込み部として切り込み部15とスリット部16を備えたが、これに限らず、単純な(例えば単線の)切り取り線ないしミシン目を備えたものにおいても、この切り込み部の近傍に接着性を持たせないことで、分割部14の一部がハウジング2側に残ることを抑制できるという上記作用効果を奏することは言うまでもない。本実施例1では、分割部14は上記のように構成された切り込み部15とスリット部16を備えるため、引き剥がし方向が一定でなく予定通りでなくても、切れ目が分割部14から逸脱することを抑制できる。よって、上記のように保護テープ10の一部がハウジング2側に残ることを抑制できることと相俟って、より効果的に作業性の向上を図ることができる。
【0049】
粘着層101を設けない領域は、本実施例1では、分割部14の全領域としたが、保護テープ10の一部がハウジング2側に接着したまま残ることを抑制できる領域であればよく、必ずしも分割部14の全領域で粘着層101を設けないこととしなくてもよい。ここで、粘着層101を設けない領域の大きさや形、及びその連続性の有無は問わない。本実施例1では、粘着層101を設けない領域は、切り込み部(切り込み部15とスリット部16)を含む単一の領域であることとし、粘着層101による保護テープ10とハウジング2の外面201,202との接着領域は、上記単一の領域を除く領域に設けられていることとした。よって、テープ本体100に粘着層101をコートする作業を簡素化できると共に、保護テープ10の一部(切り込み部の近傍)がハウジング2側に残ることをより確実に抑制できる。
【0050】
[実施例1の効果]
以下、実施例1の油圧ユニット1が奏する効果を列挙する。
(1)油圧ユニット1は、開口が外部に臨む複数の配管接続口22a〜22d,21a,21b又は複数にグループ化された配管接続口22a〜22d,21a,21bを備えたハウジング2と、一面に備えた粘着材(粘着層101)によりハウジング2の外面201,202に貼付され、1枚で少なくとも2つの開口又は複数にグループ化された配管接続口22a〜22d,21a,21bを同時に被い、配管接続口22a〜22d,21a,21bの開口ごと又は配管接続口22a〜22d,21a,21bのグループごとに分割し剥がすための分割部14、及び作業者が把持する把持部(剥がし用把持部13)を有する保護テープ(第1テープ10a、第2テープ10b)と、を有し、粘着材(粘着層101)による保護テープ10とハウジング2の外面201,202との接着領域は分割部14を除く領域に設けられている。
よって、作業者が把持部(剥がし用把持部13)を把持して保護テープ10を剥がす際、引き剥がし方向が一定でなくても、保護テープ10の一部がハウジング2の側に接着したまま残ることを抑制できるため、作業性の向上を図ることができる。
【0051】
(2)粘着材(粘着層101)は分割部14を除く領域に設けられている。すなわち、保護テープ(第1テープ10a、第2テープ10b)の分割部14には粘着材(粘着層101)が設けられていない。
このように、保護テープ10(第1テープ10a、第2テープ10b)の側で粘着材(粘着層101)の領域を調整することで、接着領域から分割部14を除くこととした。よって、ハウジング2の外面201,202の側で接着領域から分割部14を除く(実施例4のように凹部203を設ける)場合に比べ、製品(ハウジング2の外面201,202)を加工する必要が無く、保護テープ10のみの加工により比較的簡素な構成で接着領域から分割部14を除くことができ、その分コストを低減することが可能である。
【0052】
(3)分割部14は、把持部13の側(第1テープ10aではy軸負方向側、第2テープ10bではz軸負方向側)から切り込まれた(保護テープ10における剥がし用把持部13が接続された側に開口する)メインの切り込み部15と、切り込み部15の軸線に対し軸線がオフセットして形成されたサブの切り込み部(スリット部16)からなり、メインの切り込み部15をサブの切り込み部(スリット部16)よりも把持部13寄りに形成した
よって、作業者が把持部(剥がし用把持部13)を把持して保護テープ10(第1テープ10a)を剥がす際、剥がし方向が一定でなくても、サブの切り込み部(スリット部16)により、切れ目が分割部14から逸脱することを抑制できるため、分割部14に沿って本体部11を剥がすことが容易となり、作業性の向上を図ることができる。
【0053】
(4)スリット部16(第2、第3スリット16a,16b)は、切り込み部15(第1スリット15b)の左右位置に形成され、配管接続口22a〜22d,21a,21bの隣り合う開口間又はグループ間に延びている。よって、引き剥がし作業の方向性を選ばなくともよく、これにより作業性を更に向上することが可能である。
【0054】
(5)把持部は、保護テープ10の長手方向(x軸方向)両端に突出するように設けられた貼付用把持部12と、切り込み部15の軸線と平行(第1テープ10aではy軸方向、第2テープ10bではz軸方向)に延びるように設けられた剥がし用把持部13とを有し、少なくとも一部の剥がし用把持部13(第1テープ10aの剥がし用把持部13a,13d、第2テープ10bの剥がし用把持部13e,13f)は貼付用把持部12(第1テープ10aの貼付用把持部12a,12b、第2テープ10bの貼付用把持部12c,12d)と一体に設けられている(一体部分120を有している)。
このように、剥がし用把持部13(一体部分120)により保護テープ10が引き剥がされる方向が、予定された引き剥がし方向(切り込み部15の軸線)からずれやすい構成の場合には、上記(1)〜(4)の効果をより効果的に得ることができる。
【0055】
[実施例2]
実施例2の油圧ユニット1は、分割部14の構成が、切り込み部15とスリット部16を有する点、スリット部16よりも剥がし用把持部13寄りに切り込み部15が形成されている点、及び、切り込み部15の軸線に対しスリット部16の軸線がオフセットして形成されている点で、実施例1と共通する一方、切り込み部15とスリット部16からなるユニット14a〜14iが複数設けられている点、各ユニット14a〜14i間で切り込み部15とスリット部16とを接続する接続部17が設けられている点で、実施例1と相違する。
【0056】
図6は、実施例2の第1テープ10aの分割部14を示す。本体部11のy軸負方向側に設けられている剥がし用把持部13については、図示を省略している。なお、第2テープ10bの分割部14についても同様の構成を適用可能である。切り込み部15は、分割部14のx軸方向略中央に、比較的短く切り込まれて形成され、y軸方向に略直線状に延びるスリットであり、複数(10個)形成され、略同一線上に並んでいる。y軸負方向端の切り込み部15は、剥がし用把持部13の側から切り込まれ、分割部14のy軸負方向側の縁に開口する。なお、分割部14のy軸負方向側の縁を略三角形状に切り欠いて実施例1と同様の凹部15aを形成してもよい。y軸正方向端の切り込み部15は、分割部14のy軸正方向側の縁に開口する。なお、y軸正方向端の切り込み部15を省略することとしてもよい。スリット部16は、隣り合う封止部11a〜11d間において比較的短く切り込まれて形成されたスリットであり、各切り込み部15の左右位置にオフセットし、y軸方向に略直線状に延びる。スリット部16は、切り込み部15の軸線を挟んで略対称位置に形成された第1スリット16aと第2スリット16bを有している。第1、第2スリット16a,16bのy軸方向長さは、切り込み部15のy軸方向長さよりも約3〜4倍長く設けられている。
【0057】
本実施例2では、それぞれy軸負方向側(すなわち剥がし用把持部13寄り)に切り込み部15を有し、y軸正方向側にスリット部16(第1、第2スリット16a,16b)を有するユニット14a〜14iが複数(9個)設けられており、これらユニット14a〜14iがy軸方向に(略同一直線上に)並んで設けられている。各ユニット14a〜14iにおいて、切り込み部15(のy軸負方向側の始端α1)は、第1、第2スリット16a,16b(のy軸負方向側の始端β1)よりもy軸負方向側、すなわち剥がし用把持部13寄りに形成されている。なお、始端α1を始端β1よりもy軸正方向側に設けることとしてもよい。この場合も、切り込み部15は、全体として、第1、第2スリット16a,16bよりもy軸負方向側、すなわち剥がし用把持部13寄りに形成されることとなる。一方、各ユニット14a〜14iにおいて、切り込み部15のy軸正方向側の終端α2は、同じユニット14a〜14 iの第1、第2スリット16a,16bの始端β1同士を結ぶ直線と略重なる位置か、この直線よりも剥がし用把持部13から離れる側(第1、第2スリット16a,16bによって挟まれる領域内に若干入り込んだ位置)に設けられている。
【0058】
接続部17は、y軸方向で隣接する各ユニット14a〜14i間に比較的短く切り込まれて形成され、y軸方向に対して斜めに略直線状に延びるスリットであり、各ユニット14a〜14i間でスリット部16と切り込み部15とを接続する。接続部17は、切り込み部15の軸線に関して略対称に、第1接続部17aと第2接続部17bを有している。第1接続部17aは、あるユニット14aにおける第1スリット16aのy軸正方向端β2から斜めに延びる略直線状に形成されている。第2接続部17bは、同じユニット14aにおける第2スリット16bのy軸正方向端β2から斜めに延びる略直線状に形成されている。第1接続部17aと第2接続部17bはy軸正方向側で一致(合流)し、この合流点は、上記ユニット14aにy軸正方向側で隣接するユニット14bの切り込み部15のy軸負方向端α1と一致する。言い換えると、第1、第2接続部17a,17bは、それぞれ、あるユニット14aのスリット部16(第1、第2スリット16a,16b)と、そのユニット14aにy軸正方向側で隣接するユニット14bの切り込み部15とを接続する切り込みである。両接続部17a,17bのなす角度は直角よりも僅かに小さく設けられている。
【0059】
本実施例2の分割部14は、各ユニット14a〜14iにおいてそれぞれ、実施例1の分割部14と同様の作用を得ることができる。さらに接続部17を形成したことで、複数のユニット14a〜14iを設けた場合でも、各ユニット14a〜14i間で切れ目をガイドして分割部14からの逸脱を抑制することができるため、本実施例2の分割部14は、全体として、実施例1の分割部14と同様の作用を得ることができる。また、実施例1に比べ、分割部14においてx軸方向の力に対する剛性を担う部分、すなわち切り込み部15とスリット部16(の始端β1側)との間の中実部分が、各ユニット14a〜14iの数だけ(y軸方向に)分散して存在することになるため、第1テープ10aのx軸方向の剛性を向上することができる。さらに、各ユニット14a〜14iの配列を変えることとしてもよく、分割部14の全体形状(発生する切れ目の軌跡)を直線状に限らず任意の形状とすることができる(実施例3参照)。これにより、テープ切り取り形状の自由度を向上できる。また、切り込み部15の終端α2を、第1、第2スリット16a,16bの始端β1同士を結ぶ直線よりも剥がし用把持部13から離れる側(第1、第2スリット16a,16bによって挟まれる領域内に若干入り込んだ位置)に設けたため、あるユニット14a〜14iにおいて、切れ目を形成する力の方向が切り込み部15の軸線方向に対して大幅にずれたとき(例えば各ユニット14a〜14iを非直線状に配列した場合等、作業者による通常の剥がし方向に対してそのユニット14a〜14iの切り込み部15の軸線がずれて配置されたとき。)であっても、切り込み部15(の終端α2)から始まる切れ目がスリット部16(第1、第2スリット16a,16b)と連結することが容易である。これにより、各ユニット14a〜14iの配列の自由度を向上しつつ、切れ目の逸脱を抑制する効果を向上している。上記のほか、実施例2の油圧ユニット1は実施例1と同様の効果を奏する。
【0060】
なお、分割部14の各ユニットの数や大きさは任意である。第1、第2接続部17a,17bと第1、第2スリット16a,16b及び切り込み部15との各接続部分を、それぞれ滑らかな曲線状に形成し、これらが滑らかに連続するように設けてもよい。また、第1、第2接続部17a,17bは、それぞれ単一の切り込みではなく、複数の切り込みにより構成してもよい。この場合、第1、第2接続部17a,17bの始端β2から始まる切れ目が次の切り込み部15の始端α1に至る途中で第1、第2接続部17a,17bから外れて形成されたときでも、この切れ目が、(第1、第2接続部17a,17bに対して軸線がオフセットして配置された)次のユニットの第1、第2スリット16a,16bと連結すれば、切れ目が分割部14から逸脱することは抑制される。また、切れ目の逸脱をある程度抑制できる限り、y軸正方向側のいくつかのユニット14h,14i等を省略してもよい。
【0061】
粘着層101は分割部14を除く領域に設けられており、分割部14(各ユニット14a〜14iを含む領域)には設けられていない。よって、各ユニット14a〜14iの近傍に接着性を持たせないことで、引き剥がし方向が一定(予定通り)でなくても、分割部14の一部がハウジング2の側に残ることが抑制されるという実施例1と同様の作用を得ることができる。本実施例2の分割部14は、上記のように構成した切り込み部15とスリット部16からなるユニット14a〜14iが複数設けられているため、切れ目が切り込み部15の延長線から逸脱することでハウジング2の側に残るおそれがある(図5(c)の部分Cに相当する)部分が、ユニット14a〜14iの数だけ分散して存在する。よって、ハウジング2に接着したまま残る部分が複数分散して存在する可能性があり、これらを剥がす手間が掛かり、引き剥がし時の作業性が低下するおそれが高い。これに対し、分割部14(各ユニット14a〜14iを含む領域)に接着性を持たせないことで、各ユニット14a〜14iのそれぞれにおいて上記切れ目が逸脱した部位がいずれもハウジング2に接着したまま残らないこととなるため、引き剥がし時の作業性をより効果的に向上することができる。
【0062】
[実施例3]
実施例3の油圧ユニット1は、分割部14の構成として、実施例2の変形例を適用したものである。すなわち、実施例3の分割部14は、切り込み部15とスリット部16からなるユニット14a〜14jが複数設けられている点で、実施例2と共通する一方、各ユニット14a〜14j間でスリット部16と切り込み部15とを接続する接続部をスリット部16が兼ねている点、及び各ユニット14a〜14jが同一直線上に並んで設けられていない点で、実施例2の分割部14と相違する。
【0063】
図7は、実施例3の第1テープ10aの分割部14を示す。本体部11のy軸負方向側に設けられている剥がし用把持部13については、図示を省略している。なお、第2テープ10bの分割部14についても同様の構成を適用可能である。切り込み部15は、略直線状に延びる比較的短いスリットであって、複数(11個)形成されており、全体としてS字形状に配列されている。スリット部16は、各切り込み部15の左右位置に、比較的短く切り込まれて形成され、略直線状に延びるスリットである。スリット部16は、切り込み部15の軸線を挟んで略対称位置に、第1スリット16aと第2スリット16bを有している。第1スリット16aの軸線は、切り込み部15の軸線に対してオフセットして設けられている。具体的には、あるユニット14aの第1スリット16aのy軸負方向端β1は、同じユニット14aの切り込み部15のy軸正方向端α2に対して、上記切り込み部15の軸心に対する直角方向で所定距離だけオフセットしている。第1スリット16aは、y軸負方向側の始端β1からy軸正方向側の終端β2に向かうにつれ、(この第1スリット16aが属するユニット14aに対してy軸正方向側に隣接する)次のユニット14bの切り込み部15の軸線に徐々に近づくように略直線的に延び、その終端β2は、次のユニット14bの切り込み部15のy軸負方向端α1に一致(合流)する。第2スリット16bも同様に、始端β1側では同じユニットの切り込み部15の軸線に対してオフセットしつつ、終端β2側では次のユニットの切り込み部15に接続するよう、切り込み部15に対して傾いて(軸線がオフセットして)設けられている。このように、スリット部16(第1、第2スリット16a,16b)は、切り込み部15の軸線に対してオフセットしつつ斜めに延びる略直線状に形成されている。両スリット16a,16bのなす角度は45°よりも若干小さく設けられている。両スリット16a,16bの長さは、切り込み部15よりも約4〜6倍長く設けられている。
【0064】
また、各ユニット14a〜14j間でスリット部16と切り込み部15とを接続する接続部を、スリット部16が兼ねている。すなわち、スリット部16は、特別な接続部を介さずに、次のユニットの切り込み部15に直接接続する。よって、実施例2と同様、複数のユニット14a〜14jを設けた場合でも、各ユニット14a〜14j間において切れ目をガイドし、逸脱を抑制することができる。また、各ユニット14a〜14jを構成する複数の切込み部15が上記のようにS字形状に配列されているため、各ユニット14a〜14jもS字形状に湾曲して配列されている。剥がし用把持部13が接続された側、すなわちy軸負方向側の最初のユニット14aを始点とするS字状の配列に沿って見たとき、各ユニット14a〜14jにおいて、切り込み部15(の始端α1)は、同じユニット14a〜14jの第1、第2スリット16a,16b(の始端β1)よりも剥がし用把持部13寄りに形成されている。なお、始端α1を始端β1よりも剥がし用把持部13(S字形状配列の始点)から離れる側(第1、第2スリット16a,16bによって挟まれる領域内に若干入り込んだ位置)に設けることとしてもよい。この場合も、切り込み部15は、全体として、第1、第2スリット16a,16bよりも剥がし用把持部13寄りに形成されることとなる。また、各ユニット14a〜14jにおいて、切り込み部15の終端α2は、同じユニット14a〜14jの第1、第2スリット16a,16bの始端β1同士を結ぶ直線と略重なる位置か、この直線よりも剥がし用把持部13から離れる側(第1、第2スリット16a,16bによって挟まれる領域内に若干入り込んだ位置)に設けられている。
【0065】
実施例3の油圧ユニット1は、分割部14の上記構成により、実施例2と同様の効果を奏する。また、粘着層101は分割部14を除く領域に設けられており、分割部14(各ユニット14a〜14jを含む領域)には設けられていない。このように、各ユニット14a〜14jの近傍に接着性を持たせないことで、引き剥がし方向が一定(予定通り)でなくても、分割部14(各ユニット14a〜14j)の一部がハウジング側に(分散して)残ることを抑制し、引き剥がし時の作業性を効果的に向上することができるという実施例2と同様の作用効果を奏する。
【0066】
[実施例4]
実施例4の油圧ユニット1は、保護テープ10とハウジング2の外面201,202との接着領域を、分割部14を除いた領域に設ける点で、実施例1〜3と共通する。そのための手段として、保護テープ10において分割部14を除く領域に粘着層101を設ける(分割部14に粘着層101を設けない)のではなく、保護テープ10の分割部14とハウジング2の外面201,202との間に隙間を設ける点で、実施例1〜3と相違する。
【0067】
図8は、実施例4の油圧ユニット1において、保護テープ10(第2テープ10b)が貼付されたハウジング2の外面202の、分割部14近傍の(図4のB−B視方向)断面図である。第2テープ10bの一面には、封止部11e,11fのみならず、分割部14の全領域に粘着層101が設けられている。ハウジング2の外面202において、隣り合う配管接続口21a,21bの間の領域には、他の部位(配管接続口21a,21bの周囲等)よりも窪んだ凹部203(逃げ溝)が設けられている。この凹部203により、外面202に貼付された第2テープ10bの分割部14において、粘着層101と外面202とが密着せず、両者の間に隙間γが形成される。この隙間γが存在することにより、封止部11e,11fの引き剥がし方向が一定(予定通り)でなく、切れ目が切り込み部15の軸線から逸脱した場合でも、分割部14における上記逸脱した部位(図5(c)の部分C参照)は外面202に接着しない状態となり、ハウジング2の側に残ることが抑制される。凹部203の形状や深さ(隙間γの大きさ)は、第2テープ10bの貼付時にその粘着層101が凹部203の底部と接触しにくいものとすることが望ましい。第1テープ10aが貼付されるハウジング2の外面201においても、外面202と同様、隣り合う配管接続口22a〜22dの間の領域に凹部203を設けることで、第1テープ10aについて上記と同様の作用効果を得ることができる。
【0068】
なお、本実施例4では、分割部14の全領域に対応して凹部203を設けることとしたが、凹部203を設ける領域は、保護テープ10の一部がハウジング2の側に接着したまま残ることを抑制できる領域であればよく、必ずしも分割部14の全領域に対応する部位で凹部203を設けなくてもよい。ここで、凹部203を設ける領域の大きさや形、及びその連続性の有無は問わない。また、凹部203を設けるだけでなく、実施例1と同様、保護テープ10の分割部14に粘着層101を設けないこととしてもよい。本実施例4では、粘着層101を分割部14も含めて設けたため、テープ本体100に粘着層101をコートする作業を簡素化できる。また、全ての配管接続口22a〜22d,21a,21b間に凹部203を設けるのではなく、一部分の配管接続口間にのみ凹部203を設けることとしてもよい。この場合、凹部203を設けなかった配管接続口間の領域については実施例1と同様、保護テープ10の分割部14に粘着層101を設けないようにすることで、分割部14の一部がハウジング2の側に残ることを抑制することとしてもよい。
【0069】
[実施例4の効果]
実施例4の油圧ユニット1は、実施例1の(1)(3)〜(5)と同様の効果を有するほか、以下の効果を奏する。
(6)保護テープ10(第1テープ10a、第2テープ10b)がハウジング2の外面201,202に貼付された状態で、保護テープ10の分割部14とハウジング2の外面201,202との間に隙間γが存在する。
このように、保護テープ10の側で接着領域から分割部14を除くのではなく、ハウジング2の外面201,202に逃げ溝(凹部203)を設けることで、接着領域から分割部14を除くこととした。よって、テープ本体100に粘着層101をコートする作業を簡素化することができるため、その分コストを低減することが可能である。
【0070】
(7)ハウジング2の外面201,202において、隣り合う配管接続口22a〜22d,21a,21bの間の領域に凹部203が設けられており、凹部203により隙間γが形成される。
よって、凹部203を設けるだけの簡単な構成で上記隙間γを形成することができる。なお、凹部203を新たに設けるのではなく、従来から存在する凹部して上記隙間γを形成することとしてもよい。
【0071】
[他の実施例]
以上、本発明を実現するための形態を、実施例1〜4に基づいて説明してきたが、本発明の具体的な構成は実施例1〜4に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても、本発明に含まれる。例えば、実施例2,3の構成と実施例4の構成を適宜組み合わせることとしてもよい。
【符号の説明】
【0072】
1 油圧ユニット
2 ハウジング
21a,21b 配管接続口
22a〜22d 配管接続口
201 ハウジング外面
202 ハウジング外面
10a 第1テープ(保護テープ)
10b 第2テープ(保護テープ)
13 剥がし用把持部(把持部)
14 分割部
15 切り込み部
16 スリット部
101 粘着層(粘着材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口が外部に臨む複数の配管接続口又は複数にグループ化された配管接続口を備えたハウジングと、
一面に粘着材を備え、前記粘着材により前記ハウジングの外面に貼付され、1枚で少なくとも2つの開口又は複数にグループ化された配管接続口を同時に被い、前記配管接続口の開口ごと又は前記配管接続口のグループごとに分割し剥がすための分割部、及び作業者が把持する把持部を有する保護テープと、を有し、
前記粘着材による前記保護テープと前記ハウジングの外面との接着領域は前記分割部を除く領域に設けられている
ことを特徴とする油圧ユニット。
【請求項2】
請求項1に記載の油圧ユニットにおいて、
前記粘着材は前記分割部を除く領域に設けられていることを特徴とする油圧ユニット。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の油圧ユニットにおいて、
前記保護テープが前記ハウジングの外面に貼付された状態で、前記保護テープの前記分割部と前記ハウジングの外面との間に隙間が存在することを特徴とする油圧ユニット。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の油圧ユニットにおいて、
前記分割部は、前記把持部の側から切り込まれた切り込み部と、前記切り込み部の軸線に対し軸線がオフセットして形成されたスリット部からなり、
前記切り込み部を前記スリット部よりも前記把持部寄りに形成した
ことを特徴とする油圧ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−104513(P2013−104513A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−250216(P2011−250216)
【出願日】平成23年11月16日(2011.11.16)
【出願人】(509186579)日立オートモティブシステムズ株式会社 (2,205)
【Fターム(参考)】