説明

油圧制御装置及び油圧制御方法

【課題】仮想ブリードシステムでアンロード弁が開いているときの油圧ポンプの吐出流量を適正流量に維持すること。
【解決手段】本発明は、油圧アクチュエータがクローズドセンター型の方向切換弁を介して油圧ポンプに接続されると共に、方向切換弁と油圧ポンプの間に、タンクに繋がるアンロード弁が設けられる建設機械において、アンロード弁制御手段と、油圧ポンプを制御する油圧制御装置であって、方向切換弁における油圧アクチュエータへの流路が開かれた状況下で、方向切換弁の位置を可変するための操作部材の操作量と、油圧ポンプの吐出圧とに基づいて、ネガコンシステムを仮想した場合の仮想ネガコン圧を算出し、仮想ネガコン圧に基づいて、油圧ポンプに対する制御指令値を算出する指令値算出手段と、方向切換弁における油圧アクチュエータへの流路が閉じられた状況下で、油圧ポンプの吐出流量が所定流量となるように、指令値又は該制御指令値の算出に使用される任意のパラメータを補正する補正手段とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油圧アクチュエータがクローズドセンター型の方向切換弁を介して油圧ポンプに接続されると共に、方向切換弁と油圧ポンプの間に、タンクに繋がるアンロード弁が設けられる建設機械において、油圧ポンプを制御する油圧制御装置及び油圧制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、コントロールバルブの操作量に応じてブリード流量を変化させることによって、油圧アクチュエータ速度を制御する一般的なブリード制御に代えて、クローズドセンター型のコントロールバルブを用いる一方、コントロールバルブに仮想のブリード開口を設定し、この仮想ブリード開口の面積(仮想ブリード開口面積)を操作量に応じて変化させる可変容量ポンプの制御方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。この制御方法では、仮想ブリード開口面積と、これに基づく仮想ブリード量とを用いて必要なポンプ吐出圧力が計算され、当該ポンプ吐出圧力が実現されるようにポンプ制御が実行される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−47306号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述の特許文献1に記載の技術では、仮想のブリード開口を設定するだけであり、ネガコン絞りを仮想していないので、仮想的にネガコンシステムを再現するものではない。一般的に知られるように、ネガコンシステムは、負荷が高い場合に油圧アクチュエータの速度が低速となり、負荷が低い場合に油圧アクチュエータの速度が高速となる点で人間の慣性に相性が良いものである。
【0005】
他方、クローズドセンター型の方向切換弁を使用して仮想的にネガコンシステムを再現する場合、方向切換弁における油圧アクチュエータへの流路が閉ざされている場合に、油圧ポンプからの余分な流量をタンクへと排出するために、方向切換弁の前段にアンロード弁を設けることが必要となる。しかしながら、かかるアンロード弁で余剰流量を排出している間は、絞りがほとんどなく油圧ポンプの吐出圧がゼロに近くなる。この場合、かかる油圧ポンプの吐出圧に基づいて仮想的にネガコンシステムを再現しようとすると、油圧ポンプの吐出流量が増大するような指令値(例えば、最大流量を指示する指令値)が生成され、エネルギを無駄に損失してしまうという不都合が生じる。
【0006】
そこで、本発明は、クローズドセンター型の方向切換弁を使用して仮想的にネガコンシステムを再現する構成において、アンロード弁が開いているときの油圧ポンプの吐出流量を適正流量に維持することができる油圧制御装置及び油圧制御方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の一局面によれば、油圧アクチュエータがクローズドセンター型の方向切換弁を介して油圧ポンプに接続されると共に、前記方向切換弁と前記油圧ポンプの間に、タンクに繋がるアンロード弁が設けられる建設機械において、前記油圧ポンプを制御する油圧制御装置であって、
前記方向切換弁における前記油圧アクチュエータへの流路が開かれた状況下で、前記油圧ポンプと前記タンクとの間の連通が遮断され、且つ、前記方向切換弁における前記油圧アクチュエータへの流路が閉じられた状況下で、前記油圧ポンプと前記タンクとの間の連通が確立されるように、前記アンロード弁を制御するアンロード弁制御手段と、
前記方向切換弁における前記油圧アクチュエータへの流路が開かれた状況下で、前記方向切換弁の位置を可変するための操作部材の操作量と、前記油圧ポンプの吐出圧とに基づいて、ネガコンシステムを仮想した場合の仮想ネガコン圧を算出し、前記仮想ネガコン圧に基づいて、前記油圧ポンプに対する制御指令値を算出する指令値算出手段と、
前記方向切換弁における前記油圧アクチュエータへの流路が閉じられた状況下で、前記油圧ポンプの吐出流量が所定流量となるように、前記制御指令値又は該制御指令値の算出に使用される任意のパラメータを補正する補正手段とを備える、油圧制御装置が提供される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、クローズドセンター型の方向切換弁を使用して仮想的にネガコンシステムを再現する構成において、アンロード弁が開いているときの油圧ポンプの吐出流量を適正流量に維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明に係る建設機械1の構成例を示す図である。
【図2】本発明の一実施例による油圧制御システム60を示す回路図である。
【図3】オープンセンター型(ネガコン)システムで用いられる方向切換弁の概略図である。
【図4】本実施例のコントローラ10により実現される仮想ブリードシステムにおいて再現されるネガコンシステムのブロック図である。
【図5】仮想方向切換弁及び方向切換弁の特性の一例を示す図である。
【図6】本実施例のコントローラ10により実現される仮想ブリードシステムの制御ブロック図のベース部分である。
【図7】仮想ブリードシステムで再現されるネガコンシステムの一例の概要を示す図である。
【図8】仮想ネガコン圧−流量テーブル及び開口面積−流量テーブルの各一例を示す図である。
【図9】本実施例のコントローラ10により実現される仮想ブリードシステムの制御ブロック図の追加部分である。
【図10】本実施例の油圧制御システム60により実現される主要制御の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、本発明を実施するための最良の形態の説明を行う。
【0011】
図1は、本発明に係る建設機械1の構成例を示す図である。建設機械1は、油圧ショベル、フォークリフト、クレーン等のような、人が操作を行う油圧システムを搭載した機械である。図1において、建設機械1は、クローラ式の下部走行体2の上に、旋回機構を介して、上部旋回体3をX軸周りに旋回自在に搭載している。また、上部旋回体3は、前方中央部に、ブーム4、アーム5及びバケット6、並びに、これらをそれぞれ駆動する油圧アクチュエータとしてのブームシリンダ7、アームシリンダ8及びバケットシリンダ9から構成される掘削アタッチメントを備える。掘削アタッチメントは、ブレーカや破砕機等のような他のアタッチメントであってもよい。
【0012】
図2は、本発明の一実施例による油圧制御システム60を示す回路図である。油圧制御システム60は、一回転当たりの吐出量(cc/rev)が可変である可変容量型の油圧ポンプ11を含む。油圧ポンプ11は、原動機(例えばエンジン)17に接続され、原動機17により回転駆動される。油圧ポンプ11は、供給ライン13及びクローズドセンター型の方向切換弁(コントロールバルブ)20,22,24を介してブームシリンダ7、アームシリンダ8及びバケットシリンダ9(油圧アクチュエータの一例)にパラレルに接続される。また、タンクTに繋がる戻りライン14には、方向切換弁20,22,24を介してブームシリンダ7、アームシリンダ8及びバケットシリンダ9がパラレルに接続される。油圧ポンプ11は、レギュレータ装置12により制御される。尚、方向切換弁20,22,24は、油圧により位置制御されるタイプであってもよいし、図示のようなコントローラ10からの電気信号(駆動信号)により位置制御されるタイプであってもよい。
【0013】
尚、油圧制御システム60は、走行用油圧モータや旋回用油圧モータのような他の油圧アクチュエータを含んでもよい。また、油圧制御システム60に含まれる油圧アクチュエータの数は、図2の示す例では、3つであるが、1つを含む任意の数であってよい。
【0014】
油圧ポンプ11からの供給ライン13には、油圧ポンプ11の吐出圧(ポンプ吐出圧)を検出する油圧センサ30が設けられる。油圧センサ30は、ポンプ吐出圧に応じた電気信号をコントローラ10に入力してよい。
【0015】
供給ライン13には、アンロード弁18が設けられる。アンロード弁18は、タンクTに繋がる戻りライン14が接続される。このようにして、供給ライン13は、アンロード弁18を介してタンクTに連通する。アンロード弁18は、その位置に応じて、供給ライン13がタンクTに連通する状態と、供給ライン13がタンクTから遮断された状態とを切り替える。アンロード弁18は、各方向切換弁20,22,24における各油圧アクチュエータ(ブームシリンダ7、アームシリンダ8及びバケットシリンダ9)への流路(アクチュエータライン)の開閉状態に応じて、制御されてもよい。例えば、アンロード弁18は、各方向切換弁20,22,24における各アクチュエータラインのいずれか1つでも開かれている場合には、閉成され、油圧ポンプ11から吐出された油がタンクTへと排出されないようにする。他方、アンロード弁18は、各方向切換弁20,22,24における各アクチュエータラインの全てが閉じられている場合には、開成され、油圧ポンプ11から吐出された油がタンクTへと排出される状態を形成する。尚、アンロード弁18は、油圧により位置制御されるタイプであってもよいし、図示のような電気信号により位置制御されるタイプであってもよい。
【0016】
また、供給ライン13には、リリーフ弁19が設けられる。また、戻りライン14は、各対応するリリーフ弁21a,21b,23a,23b,25a,25bを介して、ブームシリンダ7、アームシリンダ8及びバケットシリンダ9の各ヘッド側及びロッド側にそれぞれ接続される。尚、図示の例では、リリーフ弁21a,21b,23a,23b,25a,25bは、補給逆止弁を含む。リリーフ弁19,21a,21b,23a,23b,25a,25bは、油圧により位置制御されるタイプであってもよいし、図示のような電気信号により位置制御されるタイプであってもよい。
【0017】
コントローラ10は、マイクロコンピュータを中心に構成されており、例えば、CPU、制御プログラム等を格納するROM、演算結果等を格納する読書き可能なRAM、タイマ、カウンタ、入力インターフェイス、及び出力インターフェイス等を有する。
【0018】
コントローラ10には、各種操作部材40,42,43が電気的に接続される。操作部材40,42は、ユーザが建設機械1を操作すべく各方向切換弁20,22,24の位置を可変操作するための部材である。操作部材40,42,43は、例えばレバーやペダルの形態であってよい。本例では、操作部材40,42,43は、それぞれ、アーム5を操作するためのアーム操作レバー、ブーム4を操作するためのブーム操作レバー、バケット6を操作するためのバケット操作レバーである。ユーザによる操作部材40,42,43の操作量(ストローク)は、電気信号としてコントローラ10に入力される。ユーザによる操作部材40,42,43の操作量の検知方法は、パイロット圧を圧力センサで検知する方法であってもよいし、レバー角度を検知する方法であってもよい。
【0019】
コントローラ10は、操作部材40,42,43の操作量等に基づいて、方向切換弁20,22,24、アンロード弁18を制御する。尚、方向切換弁20,22,24が油圧により位置制御されるタイプである場合は、方向切換弁20,22,24は、操作部材40,42,43の操作に応じて変化されるパイロット圧によりダイレクトに制御される。
【0020】
また、コントローラ10は、操作部材40,42,43の操作量等に基づいて、レギュレータ装置12を介して油圧ポンプ11を制御する。尚、この油圧ポンプ11の制御方法については、後に詳説する。
【0021】
次に、本実施例のコントローラ10による特徴的な制御方法について説明する。
【0022】
本実施例のコントローラ10は、図2に示したクローズドセンター型の方向切換弁20,22,24を備える油圧回路において、オープンセンター型(ネガコンシステム)の制御特性をポンプ制御によって再現する。以下、このようなシステムを、「仮想ブリードシステム」という。
【0023】
図3は、オープンセンター型(ネガコン)システムで用いられる方向切換弁の概略図である。ネガコンシステムでは、方向切換弁が中立状態にあるとき、図3(A)に示すように、油圧ポンプの吐出流量は、センターバイパスラインを通って全てタンクへとアンロードされる。例えば操作部材の操作によって、方向切換弁が右側へ動いたとき、図3(B)に示すように、油圧アクチュエータへの流路が開かれると同時にセンターバイパスラインが絞られる。フル操作状態になると、図3(C)に示すように、センターバイパスラインは完全に閉じられ、油圧ポンプの吐出流量は、全て油圧アクチュエータへ供給される。これらの関係は、次のように表すことができる。
【0024】
【数1】

ここで、ρは密度であり、Q,pは、油圧ポンプの吐出流量及び吐出圧であり、c、Aは、方向切換弁におけるセンターバイパスラインに関する流量係数及び開口面積(ブリード開口面積)であり、c、Aは、方向切換弁におけるアクチュエータラインに関する流量係数及び開口面積であり、pactは、アクチュエータライン圧である。ネガコンシステムでは、センターバイパスラインは、方向切換弁の後段にネガコン絞りが設けられ、ネガコン絞りを介してタンクへと連通される(図7参照)。
【0025】
数1の式から分かるように、負荷によりアクチュエータライン圧が上昇すると差圧(p−pact)が減少し、油圧アクチュエータへ流入する流量が減少する。油圧ポンプからの吐出流量Qが同じであれば、この減少分がセンターバイパスラインを通って流れることになる。これは、油圧アクチュエータの負荷により、同じ操作量であっても油圧アクチュエータの速度が異なることを意味している。
【0026】
図4は、本実施例のコントローラ10により実現される仮想ブリードシステムにおいて再現されるネガコンシステムのブロック図である。尚、図4において、Qはアンロード弁通過流量、Kは体積弾性率、Vはポンプ−コントロールバルブ容量、Vはコントロールバルブ−シリンダ容量、Aはシリンダ受圧面積、Mはシリンダ容量、Fは外乱を表す。
【0027】
本実施例では、仮想ブリードシステムにおいてネガコンシステムを再現するために、図4のブロック70に示すように、オープンセンター型の方向切換弁(図3参照)を仮想し、この仮想方向切換弁におけるブリード部分を演算して仮想ブリード量Qを算出し、ネガコンシステムの制御則に基づく油圧ポンプの吐出流量の目標値Qdtから仮想ブリード量Qを減算した量を指令値として、油圧ポンプ11を制御する。
【0028】
仮想ブリード量Qは、実際のネガコンシステムではセンターバイパスラインにおいてネガコン絞りにより背圧が生じていることを考慮して、以下のように算出されてもよい。即ち、仮想ブリードシステムにおいては、実際のネガコンシステムをモデル化すべく、仮想方向切換弁からのセンターバイパスラインに、タンクに連通するネガコン絞りが設けられることを仮想して、この仮想ネガコン絞りによる背圧が考慮されてもよい。
【0029】
【数2】

ここで、pは、仮想ネガコン絞りによる背圧(以下、「仮想ネガコン圧」という)である。
【0030】
一方、仮想ネガコン絞りでは、以下の式が成り立つ。
【0031】
【数3】

ここで、pは、タンク圧であり、ここではゼロとする。仮想ネガコン圧pに対しては、所定の上限値pnmaxが設定される。上限値pnmaxは、仮想したネガコンシステムにおけるリリーフ弁の設定圧に対応してよい。
【0032】
数2と数3の式から仮想ネガコン圧pは、以下のように表すことができる。
【0033】
【数4】

数4の式から、仮想方向切換弁におけるセンターバイパスラインに関する流量係数c及び開口面積A、及び、仮想ネガコン絞りにおける流量係数c及び開口面積Aに基づいて、油圧ポンプ11の吐出圧pから仮想ネガコン圧pを算出することができることが分かる。ここで、流量係数c及び開口面積A、及び、流量係数c及び開口面積Aについては、仮想の値として初期的に設定することができる(従って、これらは既知)。流量係数c及び開口面積Aについては、想定される仮想ネガコン絞りの特性に基づく。開口面積Aの特性の一例については、後述する。
【0034】
このようにして、実際のブリード開口が無くても(即ち、センターバイパスラインやネガコン絞りが存在しなくても)、仮想したネガコンシステムの特性(流量係数c及び開口面積A、及び、流量係数c及び開口面積A)に基づいて、油圧ポンプ11の吐出圧p(例えば油圧センサ30の検出値又はダミー値)から仮想ネガコン圧pを算出することができ、仮想ネガコン圧pに基づいて、油圧ポンプ11の吐出流量を制御することができる。即ち、仮想ネガコン圧pを、ネガコンシステムで得られるネガコン圧と同様に扱って油圧ポンプ11の吐出流量を制御することで、ネガコンシステムを再現することができる。
【0035】
図5は、仮想方向切換弁及び方向切換弁の特性の一例を示す図である。具体的には、特性C1は、仮想方向切換弁における操作量(ストローク)と開口面積(仮想ブリード開口面積)Aとの関係を表す曲線である。特性C2は、方向切換弁におけるメータイン側の開口特性を示し、特性C3は、方向切換弁におけるメータイン側の開口特性を示す。特性C1を表すテーブルは、ブリード開口データテーブルとして、方向切換弁20,22,24のそれぞれに対して用意される。
【0036】
図6は、本実施例のコントローラ10により実現される仮想ブリードシステムの制御ブロック図のベース部分である。尚、以下の説明では、ネガコンシステムとポジコンシステムとが選択的に実現される構成について説明するが、ネガコンシステムのみが仮想ブリードシステムにおいて再現されてもよい。尚、ネガコンシステムは、図5のブロック90に対応し、ポジコンシステムは、図5のブロック92に対応する。ポジコンシステムの制御ブロックは、通常のポジコンシステムと同様であるので、ここでは、特にネガコンシステムの制御ブロックについて説明する。尚、図6に示すブロック90は、図4に示したブロック70の部分に対応する。
【0037】
この仮想ブリードシステムでは、一例として、図7に示すようなネガコンシステムが再現される。このネガコンシステムでは、クローズドセンター型の方向切換弁20,22,24のそれぞれに対応するオープンセンター型の方向切換弁V1,V2,V3(仮想ブリードシステムでの仮想方向切換弁に対応)が直列に接続され、センターバイパスライン100の後段にはネガコン絞り104(仮想ブリードシステムでの仮想ネガコン絞りに対応)が配置されている。尚、図7では、各方向切換弁V1,V2,V3に対して設けられる各油圧アクチュエータ(ブームシリンダ7、アームシリンダ8及びバケットシリンダ9)については図示が省略されている。
【0038】
図6に示すように、ネガコンシステム及びポジコンシステムのブロック90,92には、操作部材40,42,43の操作量、即ちアーム操作量LS1,ブーム操作量LS2及びバケット操作量LS3を表す信号が入力される。また、ネガコンシステム及びポジコンシステムのブロック90,92には、油圧ポンプ11の吐出圧p(以下、単に「ポンプ吐出圧p」という)を表す信号が入力される。尚、ポンプ吐出圧pは、後述の如く、油圧センサ30の検出値又はダミー値(図9参照)であってよい。
【0039】
アーム操作量LS1,ブーム操作量LS2及びバケット操作量LS3は、それぞれ、対応するブリード開口データテーブル(図5参照)90−1にて、開口面積Abに変換され、ブロック90−2にて、対応する流量係数cが乗算され、ブロック90−5に入力される。ブロック90−5は、直列に接続された絞りの等価開口面積Aを以下の式で表すことができることに基づいて、各仮想方向切換弁の全体としてのパラメータcを算出する。
【0040】
【数5】

ここで、Aは、各仮想方向切換弁(方向切換弁20,22,24のそれぞれに対応する各仮想方向切換弁)の仮想ブリード開口面積である。この考えに流量係数を加えると、以下の通りとなる。
【0041】
【数6】

ここで、cは、各仮想方向切換弁(方向切換弁20,22,24のそれぞれに対応する各仮想方向切換弁)の流量係数である。尚、iは、方向切換弁の数(ひいては油圧アクチュエータの数)に対応し、例えば方向切換弁20しか存在しない構成では、シグマを取らない計算式となる(即ち、単に方向切換弁20に係る流量係数c及び開口面積Aの積が算出されることになる)。
【0042】
このようにして得られたcは、ブロック90−6に入力される。ブロック90−6には、その他、A及びポンプ吐出圧pが入力される。Aは、仮想ネガコン絞りにおける開口面積Aに仮想ネガコン絞りにおける流量係数cを乗じたものであり、ブロック90−3及び90−4から入力される。ブロック90−6では、上述の数4の式に基づいて、仮想ネガコン圧pが算出される。このようにして算出された仮想ネガコン圧pは、ブロック90−7及び90−8に入力される。
【0043】
ブロック90−7では、ポンプ吐出圧pと仮想ネガコン圧pから、上述の数2の式に基づいて、油圧ポンプ11の仮想ブリード量Qが算出される。ブロック90−8では、所与の仮想ネガコン圧−流量テーブル(図8(A)参照)に基づいて、仮想ネガコン圧pから油圧ポンプ11の吐出流量の目標値Qdtが算出される。油圧ポンプ11の吐出流量の目標値Qdtは、ネガコンシステムの制御則に基づいて決定される。即ち、仮想ネガコン圧−流量テーブルは、仮想ネガコン圧pと油圧ポンプ11の吐出流量の目標値Qdtとの関係を表視し、この関係は、仮想されるネガコンシステムの制御則に基づいて決定されてもよい。図8(A)に示す仮想ネガコン圧−流量テーブルは、仮想ネガコン圧pが高いときは、吐出流量の目標値Qdtが小さくなり、仮想ネガコン圧pが低下すると、吐出流量の目標値Qdtが大きくなる関係を有する。ここで、仮想ブリードシステムでは、実際のネガコンシステムと異なり、仮想ブリード量Qが余分であるので、油圧ポンプ11の吐出流量の目標値Qdtから、仮想ブリード量Qが減算され、油圧ポンプ11の吐出流量の指令値(仮想ネガコン制御目標値)が算出される。尚、図示していないが、エンジン回転数と設定トルクから馬力制御時の最大流量(馬力制御目標値)が算出され、仮想ネガコン制御目標値と馬力制御目標値のいずれか小さい方が最終目標値として選択される。
【0044】
尚、モードセレクタ94は、ポジコンシステムを実現するポジコンモードとネガコンシステムを実現するネガコンモードとを切り替える。モードセレクタ94は、ユーザの操作に応じてこれらのモードを切り替えてもよいし、所定の条件に従って自動的にモードを切り替えてもよい。尚、ポジコンモードでは、ブロック92−1で、アーム操作量LS1,ブーム操作量LS2及びバケット操作量LS3に基づいて、アクチュエータラインの開口面積が算出され、ブロック92−2で、開口面積とアクチュエータ要求流量との関係を表す開口面積−流量テーブル(図8(B)参照)に基づいて、各油圧アクチュエータのアクチュエータ要求流量の指令値(ポジコン制御目標値)が算出される。尚、各油圧アクチュエータのアクチュエータ要求流量は、アーム操作量LS1,ブーム操作量LS2及びバケット操作量LS3に基づいて、操作量−流量テーブルによりダイレクトに算出されてもよい。また、仮想ネガコン制御目標値の場合と同様、エンジン回転数と設定トルクから馬力制御時の最大流量(馬力制御目標値)が算出され、ポジコン制御目標値と馬力制御目標値のいずれか小さい方が最終目標値として選択される。
【0045】
このようにモードセレクタ94を設定することで、精密な操作を可能にできるポジコンシステムと、人間の感性と相性が良いとされるネガコンシステムとを適宜切り替えて使用することができる。
【0046】
このように、本実施例では、クローズドセンター型の方向切換弁20,22,24を使用するので、ネガコンシステムで必要となるブリードが不要となり、省エネ性を高めることができる。また、仮想方向切換弁の特性は、電子データに基づくものであり、容易に変更することができ、結果として、仮想方向切換弁の特性(特に仮想ブリード開口面積の特性、図5の特性C1参照)の調整を容易に実現することができる。これについては、仮想ネガコン絞りの特性についても同様である。また、クローズドセンター型の方向切換弁20,22,24を使用するので、方向切換弁のブリードラインが不要となり、方向切換弁のコストダウンを図ることができる。
【0047】
図9は、本実施例のコントローラ10により実現される仮想ブリードシステムの制御ブロック図の追加部分である。この図9に示すブロック図は、図6に示したブロック図(ベース部)に追加的に結合されてよい。具体的には、図9に示すブロック図から出力されるポンプ吐出圧pが、図6に示したブロック図の入力段のポンプ吐出圧pに対応してよい。即ち、図9に示すブロック図は、図6に示したブロック図の入力段のポンプ吐出圧pを算出する部分である。尚、図9に示すブロック図には、アンロード弁18の制御ブロック80−3が併せて示されている。
【0048】
図9に示すように、ブロック80−1には、操作部材40,42,43の操作量、即ちアーム操作量LS1,ブーム操作量LS2及びバケット操作量LS3を表す信号が入力される。ブロック80−1では、アーム操作量LS1,ブーム操作量LS2及びバケット操作量LS3のそれぞれについて、所定の閾値LSth1,LSth2,LSth3以下であるか否かが判定される。所定の閾値LSth1,LSth2,LSth3は、各方向切換弁20,22,24のアクチュエータラインの開口が開き始める際の操作量に対応する。従って、アーム操作量LS1,ブーム操作量LS2及びバケット操作量LS3のそれぞれが閾値LSth1,LSth2,LSth3以下であるときは、各方向切換弁20,22,24のアクチュエータラインの開口が閉じた状態となる。
【0049】
ブロック80−1における各判定結果は、ブロック80−2にてアンドゲートに入力され、全ての判定結果が肯定判定である場合に限り、Highが出力される。従って、アーム操作量LS1,ブーム操作量LS2及びバケット操作量LS3のそれぞれが、それぞれ対応する閾値LSth1,LSth2,LSth3以下であるときは、Highが出力され、アーム操作量LS1,ブーム操作量LS2及びバケット操作量LS3のいずれかが、それぞれ対応する閾値LSth1,LSth2,LSth3を越えると、Lowが出力される。ブロック80−2の出力は、ブロック80−3及び80−5に入力される。
【0050】
ブロック80−3では、ブロック80−2の出力がHighであるときは、アンロード弁18を開く指令が生成される。これにより、各方向切換弁20,22,24のいずれのアクチュエータラインの開口も閉じているときには、油圧ポンプ11から吐出された油がタンクTへと排出される状態が形成される。他方、ブロック80−2の出力がLowであるときは、アンロード弁18を閉じる指令が生成される。これにより、各方向切換弁20,22,24のいずれかのアクチュエータラインの開口が開いているときには、油圧ポンプ11から吐出された油が全て、当該開いているアクチュエータラインの開口を通って流れる状態が形成される。
【0051】
ブロック80−4には、ポンプ吐出圧pを表す信号が入力される。尚、ポンプ吐出圧pは、油圧センサ30の検出値であってよい。ブロック80−4では、ポンプ吐出圧pが所定の閾値Pdth以下であるか否かが判定される。所定の閾値Pdthは、制御不能となるポンプ吐出圧pの閾値に対応し、例えば0であってもよい。ブロック80−4の判定結果は、ブロック80−2の出力と共にブロック80−5にてORゲートに入力される。このようにして、ポンプ吐出圧pが所定の閾値Pdth以下である場合、又は、各方向切換弁20,22,24のいずれのアクチュエータラインの開口も閉じている場合には、ブロック80−5からHighが出力される。他方、ポンプ吐出圧pが所定の閾値Pdtより大きく、且つ、各方向切換弁20,22,24のいずれかのアクチュエータラインの開口が開いている場合には、Lowが出力される。尚、このブロック80−4及び80−5は省略されてもよい。
【0052】
ブロック80−7には、ポンプ吐出圧pを表す信号が入力される。尚、ポンプ吐出圧pは、油圧センサ30の検出値であってよい。また、ブロック80−7には、ブロック80−6からダミーポンプ吐出圧(ダミー値)が入力される。ダミーポンプ吐出圧は、これに基づき算出される油圧ポンプ11の吐出流量の指令値(図6に示したブロック図の出力)が所定流量となるような値である。即ち、ダミーポンプ吐出圧は、この所定流量から逆算されて導出されてもよい。所定流量は、スタンバイ状態として適正な流量であればよい。例えば、所定流量は、油圧ポンプ11の最小吐出流量(例えば電源オン時に実現できる最小吐出流量)であってもよい。
【0053】
ブロック80−7は、ブロック80−5からの入力に応じて、ポンプ吐出圧p(油圧センサ30の検出値)又はブロック80−6からのダミーポンプ吐出圧(ダミー値)を選択するスイッチとして機能する。具体的には、ブロック80−5からの入力がHighであるとき、ブロック80−6からのダミーポンプ吐出圧(ダミー値)を選択して、後段へと出力する。他方、ブロック80−5からの入力がLowであるとき、ポンプ吐出圧p(油圧センサ30の検出値)を選択して、後段へと出力する。
【0054】
このようにして、図9に示すブロック図によれば、ポンプ吐出圧pが所定の閾値Pdth以下である場合、又は、各方向切換弁20,22,24のいずれのアクチュエータラインの開口も閉じている場合には、ダミーポンプ吐出圧(ダミー値)が出力される。他方、それ以外の場合、即ち、ポンプ吐出圧pが所定の閾値Pdtより大きく、且つ、各方向切換弁20,22,24のいずれかのアクチュエータラインの開口が開いている場合には、ポンプ吐出圧p(油圧センサ30の検出値)が出力される。このようにして出力されるダミーポンプ吐出圧又はポンプ吐出圧pは、図6に示したブロック図(ベース部)の入力として使用される。尚、方向切換弁の数が1つである場合は、その方向切換弁のアクチュエータラインの開口が閉じている場合は、ダミーポンプ吐出圧(ダミー値)が出力されることになる。
【0055】
ここで、各方向切換弁20,22,24のいずれのアクチュエータラインの開口も閉じている場合には、上述の如く、アンロード弁18が開かれるので、油圧ポンプ11から吐出される油は、タンクTへと排出される。このようにしてアンロード弁18で余剰流量を排出している間は、絞りがほとんどなくポンプ吐出圧p(油圧センサ30の検出値)がゼロに近くなる。この場合、このポンプ吐出圧p(油圧センサ30の検出値)を用いて仮想的にネガコンシステムを再現しようとすると、略ゼロの仮想ネガコン圧pnが算出されることになり(図6のブロック90−6参照)、仮想ネガコン圧−流量テーブル(図6のブロック90−8、図8(A)参照)から油圧ポンプ11の吐出流量が増大するような指令値(例えば、最大流量を指示する指令値)が生成され、エネルギを無駄に損失してしまうという不都合が生じる。このような不都合は、アンロード弁18が開かれていないときでも、ポンプ吐出圧p(油圧センサ30の検出値)が所定の閾値Pdth以下である場合に生じうる。
【0056】
これに対して、本実施例によれば、上述の如く、各方向切換弁20,22,24のいずれのアクチュエータラインの開口も閉じている場合(ポンプ吐出圧p(油圧センサ30の検出値)が所定の閾値Pdth以下である場合も同様)には、ダミーポンプ吐出圧に基づいて油圧ポンプ11の吐出流量の指令値(図6に示したブロック図の出力)が決定されるので、かかる不都合を適切に防止することができる。即ち、ダミーポンプ吐出圧に基づいて算出される油圧ポンプ11の吐出流量の指令値は、所定流量(例えば、上述の如く、スタンバイ状態として適正な流量)であるので、油圧ポンプ11の吐出流量が無駄に大きくなることを防止することができる。このようにして、ポンプ吐出圧p(油圧センサ30の検出値)が低くなる状況下においても制御の安定化を実現することができる。
【0057】
尚、上述した実施例では、ポンプ吐出圧pをダミー値で置き換えるものであったが、他のパラメータを、同様のダミー値で置き換えても同様の効果を得ることができる。即ち、油圧ポンプ11の吐出流量の指令値(図6に示したブロック図の出力)自体を補正することで又は油圧ポンプ11の吐出流量の指令値を算出するのに用いる任意のパラメータを補正することで、同様の効果を得ることができる。例えば、仮想ネガコン圧pnを適切なダミー値で置き換えてもよいし、油圧ポンプ11の吐出流量の指令値自体を適切なダミー値(上述の所定流量)で置き換えてもよい。或いは、図6のブロック90−8で用いる仮想ネガコン圧−流量テーブルの特性(図8(A)参照)を変更してもよい。
【0058】
尚、上述した実施例においては、図9のブロック80−3が、特許請求の範囲における「アンロード弁制御手段」を実現し、油圧ポンプ11の吐出流量の指令値を算出する各ブロック(図6のブロック90)が、特許請求の範囲における「指令値算出手段」を実現し、図9のブロック80−6,80−7が、特許請求の範囲における「補正手段」を実現している。
【0059】
図10は、本実施例の油圧制御システム60により実現される主要制御の一例を示すフローチャートである。図10に示す処理は、上述した図6及び図8に示す構成に基づいて実行されてもよい。図10に示す処理ルーチンは、所定周期毎に繰り返し実行されてよい。
【0060】
ステップ1000では、油圧センサ30によりポンプ吐出圧が検出される。
【0061】
ステップ1002では、油圧センサ30により検出されたポンプ吐出圧が所定の閾値Pdthより大きいか否かが判定される。ポンプ吐出圧が所定の閾値Pdthより大きい場合は、ステップ1006に進み、ポンプ吐出圧が所定の閾値Pdth以下である場合は、ステップ1004に進む。
【0062】
ステップ1004では、油圧センサ30により検出されたポンプ吐出圧に対して、ダミー値(ダミーポンプ吐出圧)が挿入される。ダミーポンプ吐出圧は、上述の如く、これに基づき算出される油圧ポンプ11の吐出流量の指令値が所定流量(例えば油圧ポンプ11の最小吐出流量)となるような値である。
【0063】
ステップ1006では、操作部材40,42,43の操作量(スプール変位量)、即ちアーム操作量,ブーム操作量及びバケット操作量が検出される。
【0064】
ステップ1008では、操作部材40,42,43の各操作量のいずれかが、それぞれ対応する閾値LSth1,LSth2,LSth3より大きいか否かが判定される。操作部材40,42,43の各操作量のいずれかが、それぞれ対応する閾値LSth1,LSth2,LSth3より大きい場合は、ステップ1014に進み、操作部材40,42,43の各操作量のいずれも、それぞれ対応する閾値LSth1,LSth2,LSth3以下である場合は、ステップ1010に進む。
【0065】
ステップ1010では、アンロード弁18が開かれる。これにより、各方向切換弁20,22,24のいずれのアクチュエータラインの開口も閉じているときには、油圧ポンプ11から吐出された油がタンクTへと排出される状態が形成される。
【0066】
ステップ1012では、上記ステップ1004と同様、油圧センサ30により検出されたポンプ吐出圧に対して、ダミー値(ダミーポンプ吐出圧)が挿入される。尚、上記ステップ1004で既にダミー値が挿入されている場合は、本ステップ1012は省略されてもよい。
【0067】
ステップ1014では、アンロード弁18が閉じられる。これにより、各方向切換弁20,22,24のいずれかのアクチュエータラインの開口が開いているときには、油圧ポンプ11から吐出された油が全て、当該開いているアクチュエータラインの開口を通って流れる状態が形成される。
【0068】
ステップ1016では、油圧センサ30により検出されたポンプ吐出圧又はダミーポンプ吐出圧に基づいて、仮想ネガコン圧pnが算出される。即ち、ステップ1004又はステップ1014を経由した場合は、ダミーポンプ吐出圧に基づいて、仮想ネガコン圧pnが算出され、それ以外の場合は、油圧センサ30により検出されたポンプ吐出圧に基づいて、仮想ネガコン圧pnが算出される。
【0069】
ステップ1018では、油圧ポンプ11の吐出流量の指令値が算出される。尚、ダミーポンプ吐出圧に基づいて、仮想ネガコン圧pnが算出された場合、算出される油圧ポンプ11の吐出流量の指令値は、所定流量(例えば油圧ポンプ11の最小吐出流量)に対応することになる。
【0070】
尚、上述した実施例においては、図10のステップ1016,1018が、特許請求の範囲における「指令値算出手段」を実現し、図10のステップ1004,1012が、特許請求の範囲における「補正手段」を実現している。
【0071】
以上、本発明の好ましい実施例について詳説したが、本発明は、上述した実施例に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなく、上述した実施例に種々の変形及び置換を加えることができる。
【符号の説明】
【0072】
1 建設機械
2 下部走行体
3 上部旋回体
4 ブーム
5 アーム
6 バケット
7 ブームシリンダ
8 アームシリンダ
9 バケットシリンダ
10 コントローラ
11 油圧ポンプ
12 レギュレータ装置
13 供給ライン
14 戻りライン
17 原動機
18 アンロード弁
19 リリーフ弁
20 方向切換弁
21a、21b リリーフ弁
22 方向切換弁
23a、23b リリーフ弁
24 方向切換弁
25a、25b リリーフ弁
30 油圧センサ
40、42、43 操作部材
60 油圧制御システム
100 センターバイパスライン
104 ネガコン絞り

【特許請求の範囲】
【請求項1】
油圧アクチュエータがクローズドセンター型の方向切換弁を介して油圧ポンプに接続されると共に、前記方向切換弁と前記油圧ポンプの間に、タンクに繋がるアンロード弁が設けられる建設機械において、前記油圧ポンプを制御する油圧制御装置であって、
前記方向切換弁における前記油圧アクチュエータへの流路が開かれた状況下で、前記油圧ポンプと前記タンクとの間の連通が遮断され、且つ、前記方向切換弁における前記油圧アクチュエータへの流路が閉じられた状況下で、前記油圧ポンプと前記タンクとの間の連通が確立されるように、前記アンロード弁を制御するアンロード弁制御手段と、
前記方向切換弁における前記油圧アクチュエータへの流路が開かれた状況下で、前記方向切換弁の位置を可変するための操作部材の操作量と、前記油圧ポンプの吐出圧とに基づいて、ネガコンシステムを仮想した場合の仮想ネガコン圧を算出し、前記仮想ネガコン圧に基づいて、前記油圧ポンプに対する制御指令値を算出する指令値算出手段と、
前記方向切換弁における前記油圧アクチュエータへの流路が閉じられた状況下で、前記油圧ポンプの吐出流量が所定流量となるように、前記制御指令値又は該制御指令値の算出に使用される任意のパラメータを補正する補正手段とを備える、油圧制御装置。
【請求項2】
前記所定流量は、前記油圧ポンプの最小吐出流量に対応する、請求項1に記載の油圧制御装置。
【請求項3】
油圧アクチュエータがクローズドセンター型の方向切換弁を介して油圧ポンプに接続されると共に、前記方向切換弁と前記油圧ポンプの間に、タンクに繋がるアンロード弁が設けられる建設機械において、前記油圧ポンプを制御する油圧制御方法であって、
前記方向切換弁における前記油圧アクチュエータへの流路が開かれた状況下で、前記油圧ポンプと前記タンクとの間の連通が遮断されるように、前記アンロード弁を制御すると共に、前記方向切換弁の位置を可変するための操作部材の操作量と、前記油圧ポンプの吐出圧とに基づいて、ネガコンシステムを仮想した場合の仮想ネガコン圧を算出し、前記仮想ネガコン圧に基づいて、前記油圧ポンプに対する制御指令値を算出するステップと、
前記方向切換弁における前記油圧アクチュエータへの流路が閉じられた状況下で、前記油圧ポンプと前記タンクとの間の連通が確立されるように前記アンロード弁を制御すると共に、前記油圧ポンプの吐出流量が所定流量となるように、前記油圧ポンプに対する制御指令値を算出するステップとを含むことを特徴とする、油圧制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−68257(P2013−68257A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−206443(P2011−206443)
【出願日】平成23年9月21日(2011.9.21)
【出願人】(000002107)住友重機械工業株式会社 (2,241)
【Fターム(参考)】