油圧式無段変速機構を有する作業用車両
【課題】所望の位置で前進変速ペダルを保持可能な油圧式無段変速装置を有する作業用車両を提供する。
【解決手段】前進変速ペダル27Fと、後進変速ペダル27Bと、前進変速ペダル27Fおよび後進変速ペダル27Bと連動する揺動プレート54と、揺動プレート54と連動するトラニオンアームTAとを備える油圧式無段変速装置20を有するトラクタ10において、前進変速ペダル27Fの下部に取り付けられた金属製の停止板71と、停止版71から一定の距離をもって配置され、かつ、車体フレーム11に取り付けられた電磁石72とでオートクルーズ機構を構成し、前進変速ペダル27Fを踏み込んで所望の走行速度となったとき、電磁石72を停止板71に吸着させることで前進変速ペダル27Fを所望の踏込量で保持する。
【解決手段】前進変速ペダル27Fと、後進変速ペダル27Bと、前進変速ペダル27Fおよび後進変速ペダル27Bと連動する揺動プレート54と、揺動プレート54と連動するトラニオンアームTAとを備える油圧式無段変速装置20を有するトラクタ10において、前進変速ペダル27Fの下部に取り付けられた金属製の停止板71と、停止版71から一定の距離をもって配置され、かつ、車体フレーム11に取り付けられた電磁石72とでオートクルーズ機構を構成し、前進変速ペダル27Fを踏み込んで所望の走行速度となったとき、電磁石72を停止板71に吸着させることで前進変速ペダル27Fを所望の踏込量で保持する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油圧式無段変速機構を有する作業用車両に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の油圧式無段変速装置を有するトラクタ(作業用車両)は、前進変速ペダル(前進用操作手段)と、後進変速ペダル(後進用操作手段)と、前進変速ペダルおよび後進変速ペダルと連動する変速動作部と、該変速動作部と連動するトラニオンアームとを備える。そして、前進変速ペダルを一定量踏み込んだ状態で保持するためのオートクルーズ機構を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−74128号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されているオートクルーズ機構は、運転席近傍にオートクルーズ操作レバーを備え、このオートクルーズ操作レバーの下部に連結されたギアと、前進変速ペダルの回動軸に取り付けられたギアとを噛合させて、前進変速ペダルの回動を保持する。しかし、このような構成のオートクルーズ機構は、前進変速ペダルの保持位置は、前進変速ペダルの回動軸に取り付けられたギアの間隔によって制限を受けており、運転者が所望の位置で前進変速ペダルを保持することができないという問題があった。そこで、この発明の目的は、所望の位置で前進用操作手段を保持可能な作業用車両を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このため請求項1に記載の発明は、前進用操作手段と、
後進用操作手段と、
前記前進用操作手段および前記後進用操作手段と連動する変速動作部と、
該変速動作部と連動するトラニオンアームとを備える油圧式無段変速装置を有する作業用車両において、
前記前進用操作手段の下部に取り付けられた金属製の被吸着部と、
該被吸着部から一定の距離をもって配置され、かつ、車体フレームに取り付けられた磁石とでオートクルーズ機構を構成し、
前記前進用操作手段を操作して所望の走行速度となったとき、前記磁石を前記被吸着部に吸着させることで前記前進用操作手段を所望の操作位置で保持することを特徴とする。
【0006】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の油圧式無段変速装置を有する作業用車両において、前記磁石が電磁石であり、該電磁石の磁力をON・OFFするスイッチを備え、
前記前進用操作手段を操作して所望の走行速度となったとき、前記スイッチをONにして前記電磁石に磁力を発生させ、前記電磁石を前記被吸着部に吸着させることで前記前進用操作手段を所望の操作位置で保持することを特徴とする。
【0007】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の油圧式無段変速装置を有する作業用車両において、前記前進用操作手段および前記後進用操作手段とそれぞれ連動する1組の伝達部を備え、
該伝達部が作動することでエンジンスロットルバルブを開閉させる油圧式無段変速装置を有する作業用車両であって、
前記伝達部に切替部を備え、
該切替部にて前記伝達部の作動を前記エンジンスロットルバルブに伝達するか否かを選択することを特徴とする。
【0008】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の油圧式無段変速装置を有する作業用車両において、前記伝達部がワイヤーからなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に記載の発明によれば、前進用操作手段と、後進用操作手段と、前記前進用操作手段および前記後進用操作手段と連動する変速動作部と、該変速動作部と連動するトラニオンアームとを備える油圧式無段変速装置を有する作業用車両において、前記前進用操作手段の下部に取り付けられた金属製の被吸着部と、該被吸着部から一定の距離をもって配置され、かつ、車体フレームに取り付けられた磁石とでオートクルーズ機構を構成し、前記前進用操作手段を操作して所望の走行速度となったとき、前記磁石を前記被吸着部に吸着させることで前記前進用操作手段を所望の操作位置で保持する。
【0010】
このため、磁石と被吸着部との組み合わせによって、運転者は所望の位置で前進用操作手段を保持することができる。すなわち、これまでは、ギアの間隔などによって前進用操作手段の保持位置が制限を受けていたのに対して、運転者は所望の前進速度でオートクルーズを設定することができるようになる。したがって、所望の位置で前進用操作手段を保持可能な油圧式無段変速装置を有する作業用車両を提供することができる。また、ギアなどを用いるのに比べて、構成部材を少なくすることができるとともに、オートクルーズ機構を小型化することができる。したがって、コンパクトで簡単な構成のオートクルーズ機構を実現可能とした油圧式無段変速装置を有する作業用車両を提供することができる。
【0011】
請求項2に記載の発明によれば、前記磁石が電磁石であり、該電磁石の磁力をON・OFFするスイッチを備え、前記前進用操作手段を操作して所望の走行速度となったとき、前記スイッチをONにして前記電磁石に磁力を発生させ、前記電磁石を前記被吸着部に吸着させることで前記前進用操作手段を所望の操作位置で保持する。
【0012】
これにより、スイッチをON・OFFするだけで磁石を被吸着部に吸着させることができ、操作を容易にする。
【0013】
請求項3に記載の発明によれば、前記前進用操作手段および前記後進用操作手段とそれぞれ連動する1組の伝達部を備え、該伝達部が作動することでエンジンスロットルバルブを開閉させる油圧式無段変速装置を有する作業用車両であって、前記伝達部に切替部を備え、該切替部にて前記伝達部の作動を前記エンジンスロットルバルブに伝達するか否かを選択する。
【0014】
したがって、切替部で切り替えることで、油圧式無段変速装置を操作する際、エンジンスロットルバルブを開いてエンジン出力を増加させるか否かを簡単に選択することができる。
【0015】
請求項4に記載の発明によれば、前記伝達部がワイヤーからなるので、簡単な構成で伝達部を構成することができる。また、構成が簡単なので、故障するリスクを低減することができる。さらに、ワイヤーを用いることで、複雑に入り組んだ作業用車両の内部の隙間を有効に活用することができる。このため、リンクバーなどを伝達部として用いる場合には直線的にスペースを確保する必要があったが、ワイヤーにすることで、作業用車両をコンパクトにすることができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】この発明の油圧式無段変速装置を有する作業用車両の一例としてのトラクタの側面図である。
【図2】その要部平面図である。
【図3】運転席フロアの一部拡大図である。
【図4】前進変速ペダルおよび後進変速ペダルのリンク機構を説明するための図である。
【図5】図4の部分拡大図である。
【図6】揺動プレートの動きを説明するための図であり、(a)は中立位置、(b)は前進変速ペダルが踏まれたときの図、(c)は後進変速ペダルが踏まれたときの図である。
【図7】(a)は図6の(b)の状態のときのリンク部材46とワイヤーW1との位置関係を説明するための図、(b)は図6の(c)の状態のときのリンク部材45とワイヤーW2との位置関係を説明するための図である。
【図8】連動レバーを説明するための図である。
【図9】運転席フロアのフレーム構成を説明するための図である。
【図10】(a)は前進変速ペダルのリンクプレートおよび停止板の取り付けを説明するための図、(b)は停止板の部品図である。
【図11】(a)は前進変速ペダルのリンクプレートおよび停止板の取り付けを説明するための概略平面図、(b)は(a)のX矢視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しつつ、この発明を実施するための最良の形態について詳述する。図1にこの発明の油圧式無段変速装置を有する作業用車両としてのトラクタ10の側面図、図2にその要部概略平面図を示す。トラクタ10は、車体フレーム11の前後に一対の前タイヤ(前輪)12,12および一対の後タイヤ(後輪)13,13を備える。前タイヤ12,12の上方にボンネット14を配置し、その内側には駆動部としてのエンジンEを備える。そして、ボンネット14の後方には、ハンドルコラム15を備え、ハンドルコラム15には上方に向けてハンドル16を突設する。ハンドルコラム15の右側下方には、左ブレーキペダル17A、右ブレーキペダル17Bを設ける。
【0018】
ハンドルコラム15の後方には運転席25を設ける。運転席25の左右側方にはフェンダー24,24を設ける。フェンダー24は後タイヤ13の一部を覆うように設けられる。運転席25の前方には、運転席フロア22を設ける。運転席フロア22はフレーム21によって支持されている。フレーム21の下方には油圧式無段変速装置20をリンクプレート26を介して車体フレーム11に取り付ける。油圧式無段変速装置20の後部にはミッションケースTMを連結して取り付ける。ミッションケースTMは運転席25の下方に位置する。
【0019】
右側部の運転席フロア22には、油圧式無段変速装置20にリンクする前進変速ペダル27Fと後進変速ペダル27Bを備える。また、前進変速ペダル27Fと後進変速ペダル27BとエンジンEのスロットルとの連動を入り切りするための連動レバー(切替部)31をダッシュボード32の右側下方に備える。
【0020】
次に、図3〜5を用いて、前進変速ペダル(前進用操作手段)27Fと後進変速ペダル(後進用操作手段)27Bのリンク機構について説明する。前進変速ペダル27Fの下端はリンクプレート41にボルトを介して固定されている。リンクプレート41は回動支点C1にてボルトによってブラケットB1に回動自在に取り付けられている。リンクプレート41の端部には、リンクバー43の一端が回動自在に取り付けられている。リンクバー43の他端はリンク部材45に回動自在に取り付けられている。リンク部材45の下端にはワイヤーW2が固設されている。このワイヤーW2は後述する連動レバーに延びている。
【0021】
一方、後進変速ペダル27Bの下端はリンクプレート42にボルトを介して固定されている。リンクプレート42は回動支点C2にてボルトによってブラケットB1に回動自在に取り付けられている。リンクプレート42の端部には、リンクバー44の一端が回動自在に取り付けられている。リンクバー44の他端はリンク部材46に回動自在に取り付けられている。リンク部材46の下端にはワイヤーW1が固設されている。このワイヤーW1は後述する連動レバーに延びている。
【0022】
リンク部材45は回動軸48に固定されている。一方、リンク部材46は回動自在となるように回動軸48に取り付けられている(すなわち、リンク部材46が回動しても回動軸48は回動しない)。リンク部材46には連結部材47の一端が回動可能に取り付けられている。連結部材47の他端はリンク部材50に回動可能に取り付けられている。リンク部材50は回動軸49に固定されている。
【0023】
回動軸48,49は保持プレート52に回動自在に取り付けられている。保持プレート52はブラケット51を介してフレーム60に固定されるとともに、ボルトBT1にてミッションケースTMの右側面に固定されている。なお、回動軸48には揺動プレート(変速動作部)54の一端が固設されている。揺動プレート54には窪み54Mが形成されている。
【0024】
一方、別の揺動プレート55が回動ピン56を介してミッションケースTMの右側面に回動可能に固定されている。揺動プレート55には円板状の当接部材57が固設されており、この当接部材57の外周に、揺動プレート54の側部54Bを当接させる。詳しくは、揺動プレート55の一端にコイルバネS1を取り付けて揺動プレート55を回動ピン56を支点としてトラクタ10の前進方向に回動するように付勢する。これによって、当接部材57が揺動プレート54の側部54Bを常時押すように構成される。当接部材57が窪み54Mに位置するときがコイルバネS1の引張力が最も小さくなる(この位置を中立位置とする)。当接部材57が窪み54Mから左右いずれかに少し離れて側部54Bを移動すると、揺動プレート55が後方に向けて回動しコイルバネS1を延ばして引張力を増す。このため、揺動プレート55が当接部材57介して揺動プレート54の側部54Bを強く押し、当接部材57が窪み54Mに戻るように(すなわち中立位置となるように)、作動する。
【0025】
なお、図5に示すように、リンク部材45の下部には、係止部材45Aが固設されている。係止部材45Aは金属製の板状で、その側部をリンク部材45に表面に溶接などで固定する。係止部材45Aには貫通孔が形成されており、この貫通孔にワイヤーW2を貫通させて保持している。なお、貫通孔はワイヤーW2の直径よりもやや大きく形成される。また、ワイヤーW2と係止部材45Aとは固定されていない。ワイヤーW2の先端には円柱状のタイコエンドT2を形成する。このタイコエンドT2はワイヤーW2が係止部材45Aから抜け落ちるのを防止している(タイコエンドT2は抜け止めとなっている)。タイコエンドT2と係止部材45Aとは固定されていない。
【0026】
同様に、リンク部材46の下部には、係止部材46Aが固設されている。係止部材46Aは金属製の板状で、その側部をリンク部材46に表面に溶接などで固定する。係止部材46Aには貫通孔が形成されており、この貫通孔にワイヤーW1を貫通させて保持している。なお、貫通孔はワイヤーW1の直径よりもやや大きく形成される。また、ワイヤーW1と係止部材46Aとは固定されていない。ワイヤーW1の先端には円柱状のタイコエンドT1を形成する。このタイコエンドT1はワイヤーW1が係止部材46Aから抜け落ちるのを防止している(タイコエンドT1は抜け止めとなっている)。タイコエンドT1と係止部材46Aとは固定されていない。
【0027】
一方、リンクプレート59が回動軸49に固定されている(リンクプレート59は図6(a)に図示)。リンクプレート59の一端は、バネによって付勢され、回動部材(不図示)と常に当接するようになっている。回動部材は、揺動プレート54に平行に配置され、かつ、回動軸48に固設されている。したがって、揺動プレート54と同期して回動する。
【0028】
揺動プレート54の下端にはリンクバー58の一端が回動自在に取り付けられている。リンクバー58の他端は油圧式無段変速装置20の右側面に突設されたトラニオンアームTAの一端に回動自在に取り付けられている。トラニオンアームTAの他端はトラニオン軸Tが固設されている。トラニオン軸Tが回動することで、油圧式無段変速装置20内の斜板が傾動し、油圧ポンプからの吐出量およびモータ出力を変化させてミッションケースTM内に入力してエンジン出力を変速するように構成されている。なお、トラニオン軸Tが前方に(図4にて時計回り)回動すると前進走行となり、トラニオン軸Tの回動量が大きくなるにしたがって高速となる。一方、トラニオン軸Tが後方に(図4にて反時計回り)回動すると後進走行となり、トラニオン軸Tの回動量が大きくなるにしたがって高速となる。なお、図4のトラニオンアームTAの状態が中立(非操作)位置である。
【0029】
なお、図6(a)では、前進変速ペダル27Fと後進変速ペダル27Bはいずれも踏み込まれていない状態を示しており、当接部材57は窪み54Mに配置されている(中立位置)。
【0030】
このように構成されているので、前進変速ペダル27Fを踏み込むと、リンクプレート41が回動支点C1を中心として後方に回動する。これによって、リンクバー43が後方に押され、リンク部材45の下端が後方に押され、回動軸48が前方に向けて回動する。これによって、揺動プレート54は図6(b)に示すように前方に向けて回動する。すると、リンクバー58は後方に向けて引っ張られ、トラニオンアームTAの下端は後方に引かれる。これによってトラニオン軸Tは前方に向けて回動し、油圧式無段変速装置20は前進モードとなり、トラニオン軸Tの回動量が大きくなるにしたがって高速となる。このとき、回動軸48に固設された回動部材も揺動プレート54と同期して前方に向けて回動する。すると、これと当接するリンクプレート59が後方に向けて回動する。リンクプレート59に固設されている回動軸49も後方に向けて回動するので、連結部材47、リンク部材46を介してリンクバー44を前方に押し、後進変速ペダル27Bを戻す方向に回動させる。なお、リンク部材45の下端は後方に押されるため、ワイヤーW1を後方に引っ張る。一方、リンク部材46の下端は前方に押されるが、タイコエンドT1は係止部材46Aから浮き上がるのみで、ワイヤーW1を前方に押すことはない(図7(a)参照)。
【0031】
前進変速ペダル27Fから足を離すと、リンクプレート41、リンクバー43にかかる力が解除される。これによって、回動軸48と揺動プレート45にかかっていた力も解除される。一方、コイルバネS1によって揺動プレート55には付勢力が働いているので、揺動プレート55に取り付けられた当接部材57が窪み54Mに戻るように揺動プレート54を動かす。すなわち、揺動プレート54は図6(b)に示す位置から図6(a)に示す中立位置となるように回動する。これに伴ってリンクバー58は前方に向けて押され、トラニオンアームTAの下端は前方に押される。これによってトラニオン軸Tは後方に向けて回動して中立位置となり、前進モードが終了する。
【0032】
一方、後進変速ペダル27Bを踏み込むと、リンクプレート42が回動支点C2を中心として後方に回動する。これによって、リンクバー44が後方に押され、リンク部材46が後方に移動する。このとき、リンク部材46は回動軸48を回動させることなく単独で回動する。リンク部材46と連結されたリンク部材50を介して回動軸49が前方に向けて回動する。これによって、リンクプレート59が前方に向けて回動し、回動軸48に固設された回動部材(不図示)を前方に向けて押す。このため、回動軸48が後方に向けて回動し、回動軸48に固設された揺動プレート54の下端が前方に向かうように回動する(図6(c))。これによって、リンクバー58は前方に向けて押され、トラニオンアームTAの下端は前方に押される。これによってトラニオン軸Tは後方に向けて回動し、油圧式無段変速装置20は後進モードとなり、トラニオン軸Tの回動量が大きくなるにしたがって高速となる。回動軸48が後方に向けて回動することで、リンク部材45の下端は前方に向かうように回動し、リンクバー43を前方に押して前進変速ペダル27Fを戻す方向に回動させる。なお、リンク部材46の下端は後方に向けて動くため、ワイヤーW1を後方に引っ張る。一方、リンク部材45の下端は前方に向けて動くが、タイコエンドT2は係止部材45Aから浮き上がるのみで、ワイヤーW2を前方に押すことはない(図7(b)参照)。
【0033】
後進変速ペダル27Bから足を離すと、リンクプレート42、リンクバー44にかかる力が解除される。これによって、回動軸49とリンクプレート59にかかっていた力も解除され、さらに、揺動プレート54にかかる力も解除される。一方、コイルバネS1によって揺動プレート55には付勢力が働いているので、揺動プレート55に取り付けられた当接部材57が窪み54Mに戻るように揺動プレート54を動かす。すなわち、揺動プレート54は図6(c)に示す位置から図6(a)に示す中立位置となるように回動する。これに伴ってリンクバー58は後方に向けて引かれ、トラニオンアームTAの下端は後方に引かれる。これによってトラニオン軸Tは前方に向けて回動して中立位置となり、後進モードが終了する。
【0034】
次に、図8を用いて連動レバー31について説明する。連動レバー31は、ハンドル31aをガイド溝31cの中で移動させることでワイヤー(伝達部)W1,W2とワイヤー(伝達部)W3との連動を入り切りするためのものである(図8は、ワイヤーW1,W2とワイヤーW3との連動が切れている状態を示す)。ワイヤーW3は、不図示のエンジンスロットルバルブバルブと連結されており、ワイヤーW3が引かれるとエンジンスロットルバルブが開いてエンジンEへ燃料を寄り多く供給してエンジンEの出力を増加させるようになっている。ハンドル31aを図中で手前側に移動させると連動が入り状態となり、リンクバー31dに備える連動棒がリンクプレート31bに嵌合してリンクプレート31bとリンクバー31dとが一体となり、回動軸31eを支点として回動可能となる。
【0035】
そして、前進変速ペダル27F(または後進変速ペダル27B)が踏み込まれると、リンク部材45(またはリンク部材46)が後方に回動し、ワイヤーW2(またはワイヤーW1)を後方に向けて引っ張る。すると、ワイヤーW2と連結されたリンクバー31dが下方に向けて回動する。リンクバー31dとリンクプレート31bが連動しているので、リンクプレート31bも下方に向けて回動し、ワイヤーW3が引かれてエンジンスロットルバルブが開く。
【0036】
ハンドル31aを図6のように移動させると連動が切り状態となり、ワイヤーW1,W2とワイヤーW3との連動が切れ、前進変速ペダル27Fまたは後進変速ペダル27Bが踏み込まれても、エンジンスロットルバルブの開閉とは連動しない。
【0037】
図9〜11には、前進変速ペダル27Fに対するオートクルーズ機構について説明する。前進変速ペダル27Fを連結するリンクプレート41には2つの貫通孔を備える。一方、金属板からなる停止板(被吸着部)71には2つの貫通孔71H,71Hを備える。この貫通孔71Hとリンクプレート41の貫通孔とを合わせてボルトによってリンクプレート41と停止板71とを連結する。また、停止板71には切り欠き71Cを備える。
【0038】
油圧式無段変速装置20の右側面には、フレーム62が突出し、フレーム62には、フレーム60,64を略直角方向に張り出して備える。フレーム60の他端は、ブラケット61によって支持されている。ブラケット61はミッションケースTMに張り出すように取り付けられている。ブラケット61、フレーム60,62,64には、運転席フロア22を載置する。
【0039】
フレーム64にはブラケット73をボルトにて取り付け、ブラケット73には、停止板71を吸着させるための電磁石(磁石)72をボルトによって取り付ける。電磁石72はスイッチによってON・OFFすることができる。このスイッチは、運転席25に着席した運転者の手の届く位置に配置される。なお、電磁石72は停止板71が回動する際、吸着予定エリア71Zで吸着することができるように配置されるとともに、停止板71のやや右外側にわずかな隙間(一定の距離)Δdをもって配置される。なお、切り欠きC1は吸着予定エリア71Zに連続して形成される。
【0040】
前進変速ペダル27Fを踏み込むと前述の手順で油圧式無段変速装置20が作動する。前進変速ペダル27Fを踏み込むと停止板71も回動支点C1を支点として回動する。前進変速ペダル27Fの踏込量が一定量に達すると、側面視で電磁石72が吸着予定エリア71Zに位置する。所望の走行速度となったときの前進変速ペダル27Fの踏込量を保持したいとき(すなわち、所望の位置でトラニオン軸Tを保持したいとき)は、運転者が前述のスイッチをONとすることで電磁石72に磁力を発生させ、電磁石72が停止板71に吸着する。この状態で前進変速ペダル27Fから足を離しても電磁石72が停止板71を吸着して保持するため、前進変速ペダル27Fは戻らない。この状態がオートクルーズ状態である。このように、電磁石72と停止板71との組み合わせによって、運転者は所望の位置で前進変速ペダル27Fを固定することができる。すなわち、これまでは、ギアの間隔などによって前進変速ペダルの保持位置が決定されていたのに対して、運転者は所望の前進速度でオートクルーズを設定することができる。
【0041】
オートクルーズ状態を解除したいときは、スイッチをOFFにする。すると、前進変速ペダル27Fは元に戻り、前述のように油圧式無段変速装置20の作動が停止する。
【0042】
上述の例では、運転席フロア22に突出して備える前進変速ペダル(前進用操作手段)27Fと後進変速ペダル(後進用操作手段)27Bをリンク機構を介してトラニオンアームTAに連結して、油圧式無段変速装置20を機械的に操作したが、この発明はこれに限定されるものではない。例えば、2つの操作レバー(前進用操作手段および後進用操作手段)を運転席25周辺に配置し、2つの操作レバーをリンク機構を介してトラニオンアームTAに連結して、油圧式無段変速装置20を機械的に操作してもよい。さらに、2つの操作レバーの回動支点にポテンショメータを取り付け、回動角度を検出して制御部に送り、制御部からの電気信号によってトラニオンアームTAをモータなどで回動させるようにしてもよい。
【0043】
また、電磁石72に代えて、永久磁石を用いて停止板71に吸着させるようにしてもよい。この場合、永久磁石を停止板71から所定距離だけ離して操作レバーに連結して配置し、前進変速ペダル27Fが所望の位置にあるときに、操作レバーを操作することで永久磁石を停止板71に吸着させるように構成する。このとき、永久磁石はブラケットなどを介して油圧式無段変速装置の側面などに移動可能に固定する。
【0044】
さらに、ワイヤー(伝達部)W1,W2,W3に代えて、リンクバーなどを用いて伝達部を構成してもよい。また、ワイヤー、リンクバーなどに代えて電気的な構成としてもよい。この場合、制御部を備え、前進変速ペダル(前進用操作手段)27Fと後進変速ペダル(後進用操作手段)27Bの回動支点C1,C2にそれぞれポテンショメータなどを配置して、前進変速ペダル27Fと後進変速ペダル27Bの回動量を電気的に検知して制御部に送信するとともに、連動スイッチ(切替部)を運転席25近傍に配置して制御部と連結する。さらに、エンジンスロットルバルブバルブの開閉をモータにて行うようにし、このモータと制御部とを連結する。そして、連動スイッチがONのとき、回動支点C1,C2に備えるポテンショメータの回動量に応じてエンジンスロットルバルブバルブの開閉量をモータで制御するように構成する。
【産業上の利用可能性】
【0045】
この発明の作業用車両は、トラクタに限定されるものではなく、田植機、コンバインなどあらゆる農業機械に適用することができる。
【符号の説明】
【0046】
10 トラクタ(油圧式無段変速装置を有する作業用車両)
11 車体フレーム
20 油圧式無段変速装置
27F 前進変速ペダル(前進用操作手段)
27B 後進変速ペダル(後進用操作手段)
31 連動レバー(切替部)
54 揺動プレート(変速動作部)
71 停止板(被吸着部)
72 電磁石(磁石)
TA トラニオンアーム
W1,W2,W3 ワイヤー(伝達部)
【技術分野】
【0001】
本発明は、油圧式無段変速機構を有する作業用車両に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の油圧式無段変速装置を有するトラクタ(作業用車両)は、前進変速ペダル(前進用操作手段)と、後進変速ペダル(後進用操作手段)と、前進変速ペダルおよび後進変速ペダルと連動する変速動作部と、該変速動作部と連動するトラニオンアームとを備える。そして、前進変速ペダルを一定量踏み込んだ状態で保持するためのオートクルーズ機構を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−74128号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されているオートクルーズ機構は、運転席近傍にオートクルーズ操作レバーを備え、このオートクルーズ操作レバーの下部に連結されたギアと、前進変速ペダルの回動軸に取り付けられたギアとを噛合させて、前進変速ペダルの回動を保持する。しかし、このような構成のオートクルーズ機構は、前進変速ペダルの保持位置は、前進変速ペダルの回動軸に取り付けられたギアの間隔によって制限を受けており、運転者が所望の位置で前進変速ペダルを保持することができないという問題があった。そこで、この発明の目的は、所望の位置で前進用操作手段を保持可能な作業用車両を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このため請求項1に記載の発明は、前進用操作手段と、
後進用操作手段と、
前記前進用操作手段および前記後進用操作手段と連動する変速動作部と、
該変速動作部と連動するトラニオンアームとを備える油圧式無段変速装置を有する作業用車両において、
前記前進用操作手段の下部に取り付けられた金属製の被吸着部と、
該被吸着部から一定の距離をもって配置され、かつ、車体フレームに取り付けられた磁石とでオートクルーズ機構を構成し、
前記前進用操作手段を操作して所望の走行速度となったとき、前記磁石を前記被吸着部に吸着させることで前記前進用操作手段を所望の操作位置で保持することを特徴とする。
【0006】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の油圧式無段変速装置を有する作業用車両において、前記磁石が電磁石であり、該電磁石の磁力をON・OFFするスイッチを備え、
前記前進用操作手段を操作して所望の走行速度となったとき、前記スイッチをONにして前記電磁石に磁力を発生させ、前記電磁石を前記被吸着部に吸着させることで前記前進用操作手段を所望の操作位置で保持することを特徴とする。
【0007】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の油圧式無段変速装置を有する作業用車両において、前記前進用操作手段および前記後進用操作手段とそれぞれ連動する1組の伝達部を備え、
該伝達部が作動することでエンジンスロットルバルブを開閉させる油圧式無段変速装置を有する作業用車両であって、
前記伝達部に切替部を備え、
該切替部にて前記伝達部の作動を前記エンジンスロットルバルブに伝達するか否かを選択することを特徴とする。
【0008】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の油圧式無段変速装置を有する作業用車両において、前記伝達部がワイヤーからなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に記載の発明によれば、前進用操作手段と、後進用操作手段と、前記前進用操作手段および前記後進用操作手段と連動する変速動作部と、該変速動作部と連動するトラニオンアームとを備える油圧式無段変速装置を有する作業用車両において、前記前進用操作手段の下部に取り付けられた金属製の被吸着部と、該被吸着部から一定の距離をもって配置され、かつ、車体フレームに取り付けられた磁石とでオートクルーズ機構を構成し、前記前進用操作手段を操作して所望の走行速度となったとき、前記磁石を前記被吸着部に吸着させることで前記前進用操作手段を所望の操作位置で保持する。
【0010】
このため、磁石と被吸着部との組み合わせによって、運転者は所望の位置で前進用操作手段を保持することができる。すなわち、これまでは、ギアの間隔などによって前進用操作手段の保持位置が制限を受けていたのに対して、運転者は所望の前進速度でオートクルーズを設定することができるようになる。したがって、所望の位置で前進用操作手段を保持可能な油圧式無段変速装置を有する作業用車両を提供することができる。また、ギアなどを用いるのに比べて、構成部材を少なくすることができるとともに、オートクルーズ機構を小型化することができる。したがって、コンパクトで簡単な構成のオートクルーズ機構を実現可能とした油圧式無段変速装置を有する作業用車両を提供することができる。
【0011】
請求項2に記載の発明によれば、前記磁石が電磁石であり、該電磁石の磁力をON・OFFするスイッチを備え、前記前進用操作手段を操作して所望の走行速度となったとき、前記スイッチをONにして前記電磁石に磁力を発生させ、前記電磁石を前記被吸着部に吸着させることで前記前進用操作手段を所望の操作位置で保持する。
【0012】
これにより、スイッチをON・OFFするだけで磁石を被吸着部に吸着させることができ、操作を容易にする。
【0013】
請求項3に記載の発明によれば、前記前進用操作手段および前記後進用操作手段とそれぞれ連動する1組の伝達部を備え、該伝達部が作動することでエンジンスロットルバルブを開閉させる油圧式無段変速装置を有する作業用車両であって、前記伝達部に切替部を備え、該切替部にて前記伝達部の作動を前記エンジンスロットルバルブに伝達するか否かを選択する。
【0014】
したがって、切替部で切り替えることで、油圧式無段変速装置を操作する際、エンジンスロットルバルブを開いてエンジン出力を増加させるか否かを簡単に選択することができる。
【0015】
請求項4に記載の発明によれば、前記伝達部がワイヤーからなるので、簡単な構成で伝達部を構成することができる。また、構成が簡単なので、故障するリスクを低減することができる。さらに、ワイヤーを用いることで、複雑に入り組んだ作業用車両の内部の隙間を有効に活用することができる。このため、リンクバーなどを伝達部として用いる場合には直線的にスペースを確保する必要があったが、ワイヤーにすることで、作業用車両をコンパクトにすることができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】この発明の油圧式無段変速装置を有する作業用車両の一例としてのトラクタの側面図である。
【図2】その要部平面図である。
【図3】運転席フロアの一部拡大図である。
【図4】前進変速ペダルおよび後進変速ペダルのリンク機構を説明するための図である。
【図5】図4の部分拡大図である。
【図6】揺動プレートの動きを説明するための図であり、(a)は中立位置、(b)は前進変速ペダルが踏まれたときの図、(c)は後進変速ペダルが踏まれたときの図である。
【図7】(a)は図6の(b)の状態のときのリンク部材46とワイヤーW1との位置関係を説明するための図、(b)は図6の(c)の状態のときのリンク部材45とワイヤーW2との位置関係を説明するための図である。
【図8】連動レバーを説明するための図である。
【図9】運転席フロアのフレーム構成を説明するための図である。
【図10】(a)は前進変速ペダルのリンクプレートおよび停止板の取り付けを説明するための図、(b)は停止板の部品図である。
【図11】(a)は前進変速ペダルのリンクプレートおよび停止板の取り付けを説明するための概略平面図、(b)は(a)のX矢視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しつつ、この発明を実施するための最良の形態について詳述する。図1にこの発明の油圧式無段変速装置を有する作業用車両としてのトラクタ10の側面図、図2にその要部概略平面図を示す。トラクタ10は、車体フレーム11の前後に一対の前タイヤ(前輪)12,12および一対の後タイヤ(後輪)13,13を備える。前タイヤ12,12の上方にボンネット14を配置し、その内側には駆動部としてのエンジンEを備える。そして、ボンネット14の後方には、ハンドルコラム15を備え、ハンドルコラム15には上方に向けてハンドル16を突設する。ハンドルコラム15の右側下方には、左ブレーキペダル17A、右ブレーキペダル17Bを設ける。
【0018】
ハンドルコラム15の後方には運転席25を設ける。運転席25の左右側方にはフェンダー24,24を設ける。フェンダー24は後タイヤ13の一部を覆うように設けられる。運転席25の前方には、運転席フロア22を設ける。運転席フロア22はフレーム21によって支持されている。フレーム21の下方には油圧式無段変速装置20をリンクプレート26を介して車体フレーム11に取り付ける。油圧式無段変速装置20の後部にはミッションケースTMを連結して取り付ける。ミッションケースTMは運転席25の下方に位置する。
【0019】
右側部の運転席フロア22には、油圧式無段変速装置20にリンクする前進変速ペダル27Fと後進変速ペダル27Bを備える。また、前進変速ペダル27Fと後進変速ペダル27BとエンジンEのスロットルとの連動を入り切りするための連動レバー(切替部)31をダッシュボード32の右側下方に備える。
【0020】
次に、図3〜5を用いて、前進変速ペダル(前進用操作手段)27Fと後進変速ペダル(後進用操作手段)27Bのリンク機構について説明する。前進変速ペダル27Fの下端はリンクプレート41にボルトを介して固定されている。リンクプレート41は回動支点C1にてボルトによってブラケットB1に回動自在に取り付けられている。リンクプレート41の端部には、リンクバー43の一端が回動自在に取り付けられている。リンクバー43の他端はリンク部材45に回動自在に取り付けられている。リンク部材45の下端にはワイヤーW2が固設されている。このワイヤーW2は後述する連動レバーに延びている。
【0021】
一方、後進変速ペダル27Bの下端はリンクプレート42にボルトを介して固定されている。リンクプレート42は回動支点C2にてボルトによってブラケットB1に回動自在に取り付けられている。リンクプレート42の端部には、リンクバー44の一端が回動自在に取り付けられている。リンクバー44の他端はリンク部材46に回動自在に取り付けられている。リンク部材46の下端にはワイヤーW1が固設されている。このワイヤーW1は後述する連動レバーに延びている。
【0022】
リンク部材45は回動軸48に固定されている。一方、リンク部材46は回動自在となるように回動軸48に取り付けられている(すなわち、リンク部材46が回動しても回動軸48は回動しない)。リンク部材46には連結部材47の一端が回動可能に取り付けられている。連結部材47の他端はリンク部材50に回動可能に取り付けられている。リンク部材50は回動軸49に固定されている。
【0023】
回動軸48,49は保持プレート52に回動自在に取り付けられている。保持プレート52はブラケット51を介してフレーム60に固定されるとともに、ボルトBT1にてミッションケースTMの右側面に固定されている。なお、回動軸48には揺動プレート(変速動作部)54の一端が固設されている。揺動プレート54には窪み54Mが形成されている。
【0024】
一方、別の揺動プレート55が回動ピン56を介してミッションケースTMの右側面に回動可能に固定されている。揺動プレート55には円板状の当接部材57が固設されており、この当接部材57の外周に、揺動プレート54の側部54Bを当接させる。詳しくは、揺動プレート55の一端にコイルバネS1を取り付けて揺動プレート55を回動ピン56を支点としてトラクタ10の前進方向に回動するように付勢する。これによって、当接部材57が揺動プレート54の側部54Bを常時押すように構成される。当接部材57が窪み54Mに位置するときがコイルバネS1の引張力が最も小さくなる(この位置を中立位置とする)。当接部材57が窪み54Mから左右いずれかに少し離れて側部54Bを移動すると、揺動プレート55が後方に向けて回動しコイルバネS1を延ばして引張力を増す。このため、揺動プレート55が当接部材57介して揺動プレート54の側部54Bを強く押し、当接部材57が窪み54Mに戻るように(すなわち中立位置となるように)、作動する。
【0025】
なお、図5に示すように、リンク部材45の下部には、係止部材45Aが固設されている。係止部材45Aは金属製の板状で、その側部をリンク部材45に表面に溶接などで固定する。係止部材45Aには貫通孔が形成されており、この貫通孔にワイヤーW2を貫通させて保持している。なお、貫通孔はワイヤーW2の直径よりもやや大きく形成される。また、ワイヤーW2と係止部材45Aとは固定されていない。ワイヤーW2の先端には円柱状のタイコエンドT2を形成する。このタイコエンドT2はワイヤーW2が係止部材45Aから抜け落ちるのを防止している(タイコエンドT2は抜け止めとなっている)。タイコエンドT2と係止部材45Aとは固定されていない。
【0026】
同様に、リンク部材46の下部には、係止部材46Aが固設されている。係止部材46Aは金属製の板状で、その側部をリンク部材46に表面に溶接などで固定する。係止部材46Aには貫通孔が形成されており、この貫通孔にワイヤーW1を貫通させて保持している。なお、貫通孔はワイヤーW1の直径よりもやや大きく形成される。また、ワイヤーW1と係止部材46Aとは固定されていない。ワイヤーW1の先端には円柱状のタイコエンドT1を形成する。このタイコエンドT1はワイヤーW1が係止部材46Aから抜け落ちるのを防止している(タイコエンドT1は抜け止めとなっている)。タイコエンドT1と係止部材46Aとは固定されていない。
【0027】
一方、リンクプレート59が回動軸49に固定されている(リンクプレート59は図6(a)に図示)。リンクプレート59の一端は、バネによって付勢され、回動部材(不図示)と常に当接するようになっている。回動部材は、揺動プレート54に平行に配置され、かつ、回動軸48に固設されている。したがって、揺動プレート54と同期して回動する。
【0028】
揺動プレート54の下端にはリンクバー58の一端が回動自在に取り付けられている。リンクバー58の他端は油圧式無段変速装置20の右側面に突設されたトラニオンアームTAの一端に回動自在に取り付けられている。トラニオンアームTAの他端はトラニオン軸Tが固設されている。トラニオン軸Tが回動することで、油圧式無段変速装置20内の斜板が傾動し、油圧ポンプからの吐出量およびモータ出力を変化させてミッションケースTM内に入力してエンジン出力を変速するように構成されている。なお、トラニオン軸Tが前方に(図4にて時計回り)回動すると前進走行となり、トラニオン軸Tの回動量が大きくなるにしたがって高速となる。一方、トラニオン軸Tが後方に(図4にて反時計回り)回動すると後進走行となり、トラニオン軸Tの回動量が大きくなるにしたがって高速となる。なお、図4のトラニオンアームTAの状態が中立(非操作)位置である。
【0029】
なお、図6(a)では、前進変速ペダル27Fと後進変速ペダル27Bはいずれも踏み込まれていない状態を示しており、当接部材57は窪み54Mに配置されている(中立位置)。
【0030】
このように構成されているので、前進変速ペダル27Fを踏み込むと、リンクプレート41が回動支点C1を中心として後方に回動する。これによって、リンクバー43が後方に押され、リンク部材45の下端が後方に押され、回動軸48が前方に向けて回動する。これによって、揺動プレート54は図6(b)に示すように前方に向けて回動する。すると、リンクバー58は後方に向けて引っ張られ、トラニオンアームTAの下端は後方に引かれる。これによってトラニオン軸Tは前方に向けて回動し、油圧式無段変速装置20は前進モードとなり、トラニオン軸Tの回動量が大きくなるにしたがって高速となる。このとき、回動軸48に固設された回動部材も揺動プレート54と同期して前方に向けて回動する。すると、これと当接するリンクプレート59が後方に向けて回動する。リンクプレート59に固設されている回動軸49も後方に向けて回動するので、連結部材47、リンク部材46を介してリンクバー44を前方に押し、後進変速ペダル27Bを戻す方向に回動させる。なお、リンク部材45の下端は後方に押されるため、ワイヤーW1を後方に引っ張る。一方、リンク部材46の下端は前方に押されるが、タイコエンドT1は係止部材46Aから浮き上がるのみで、ワイヤーW1を前方に押すことはない(図7(a)参照)。
【0031】
前進変速ペダル27Fから足を離すと、リンクプレート41、リンクバー43にかかる力が解除される。これによって、回動軸48と揺動プレート45にかかっていた力も解除される。一方、コイルバネS1によって揺動プレート55には付勢力が働いているので、揺動プレート55に取り付けられた当接部材57が窪み54Mに戻るように揺動プレート54を動かす。すなわち、揺動プレート54は図6(b)に示す位置から図6(a)に示す中立位置となるように回動する。これに伴ってリンクバー58は前方に向けて押され、トラニオンアームTAの下端は前方に押される。これによってトラニオン軸Tは後方に向けて回動して中立位置となり、前進モードが終了する。
【0032】
一方、後進変速ペダル27Bを踏み込むと、リンクプレート42が回動支点C2を中心として後方に回動する。これによって、リンクバー44が後方に押され、リンク部材46が後方に移動する。このとき、リンク部材46は回動軸48を回動させることなく単独で回動する。リンク部材46と連結されたリンク部材50を介して回動軸49が前方に向けて回動する。これによって、リンクプレート59が前方に向けて回動し、回動軸48に固設された回動部材(不図示)を前方に向けて押す。このため、回動軸48が後方に向けて回動し、回動軸48に固設された揺動プレート54の下端が前方に向かうように回動する(図6(c))。これによって、リンクバー58は前方に向けて押され、トラニオンアームTAの下端は前方に押される。これによってトラニオン軸Tは後方に向けて回動し、油圧式無段変速装置20は後進モードとなり、トラニオン軸Tの回動量が大きくなるにしたがって高速となる。回動軸48が後方に向けて回動することで、リンク部材45の下端は前方に向かうように回動し、リンクバー43を前方に押して前進変速ペダル27Fを戻す方向に回動させる。なお、リンク部材46の下端は後方に向けて動くため、ワイヤーW1を後方に引っ張る。一方、リンク部材45の下端は前方に向けて動くが、タイコエンドT2は係止部材45Aから浮き上がるのみで、ワイヤーW2を前方に押すことはない(図7(b)参照)。
【0033】
後進変速ペダル27Bから足を離すと、リンクプレート42、リンクバー44にかかる力が解除される。これによって、回動軸49とリンクプレート59にかかっていた力も解除され、さらに、揺動プレート54にかかる力も解除される。一方、コイルバネS1によって揺動プレート55には付勢力が働いているので、揺動プレート55に取り付けられた当接部材57が窪み54Mに戻るように揺動プレート54を動かす。すなわち、揺動プレート54は図6(c)に示す位置から図6(a)に示す中立位置となるように回動する。これに伴ってリンクバー58は後方に向けて引かれ、トラニオンアームTAの下端は後方に引かれる。これによってトラニオン軸Tは前方に向けて回動して中立位置となり、後進モードが終了する。
【0034】
次に、図8を用いて連動レバー31について説明する。連動レバー31は、ハンドル31aをガイド溝31cの中で移動させることでワイヤー(伝達部)W1,W2とワイヤー(伝達部)W3との連動を入り切りするためのものである(図8は、ワイヤーW1,W2とワイヤーW3との連動が切れている状態を示す)。ワイヤーW3は、不図示のエンジンスロットルバルブバルブと連結されており、ワイヤーW3が引かれるとエンジンスロットルバルブが開いてエンジンEへ燃料を寄り多く供給してエンジンEの出力を増加させるようになっている。ハンドル31aを図中で手前側に移動させると連動が入り状態となり、リンクバー31dに備える連動棒がリンクプレート31bに嵌合してリンクプレート31bとリンクバー31dとが一体となり、回動軸31eを支点として回動可能となる。
【0035】
そして、前進変速ペダル27F(または後進変速ペダル27B)が踏み込まれると、リンク部材45(またはリンク部材46)が後方に回動し、ワイヤーW2(またはワイヤーW1)を後方に向けて引っ張る。すると、ワイヤーW2と連結されたリンクバー31dが下方に向けて回動する。リンクバー31dとリンクプレート31bが連動しているので、リンクプレート31bも下方に向けて回動し、ワイヤーW3が引かれてエンジンスロットルバルブが開く。
【0036】
ハンドル31aを図6のように移動させると連動が切り状態となり、ワイヤーW1,W2とワイヤーW3との連動が切れ、前進変速ペダル27Fまたは後進変速ペダル27Bが踏み込まれても、エンジンスロットルバルブの開閉とは連動しない。
【0037】
図9〜11には、前進変速ペダル27Fに対するオートクルーズ機構について説明する。前進変速ペダル27Fを連結するリンクプレート41には2つの貫通孔を備える。一方、金属板からなる停止板(被吸着部)71には2つの貫通孔71H,71Hを備える。この貫通孔71Hとリンクプレート41の貫通孔とを合わせてボルトによってリンクプレート41と停止板71とを連結する。また、停止板71には切り欠き71Cを備える。
【0038】
油圧式無段変速装置20の右側面には、フレーム62が突出し、フレーム62には、フレーム60,64を略直角方向に張り出して備える。フレーム60の他端は、ブラケット61によって支持されている。ブラケット61はミッションケースTMに張り出すように取り付けられている。ブラケット61、フレーム60,62,64には、運転席フロア22を載置する。
【0039】
フレーム64にはブラケット73をボルトにて取り付け、ブラケット73には、停止板71を吸着させるための電磁石(磁石)72をボルトによって取り付ける。電磁石72はスイッチによってON・OFFすることができる。このスイッチは、運転席25に着席した運転者の手の届く位置に配置される。なお、電磁石72は停止板71が回動する際、吸着予定エリア71Zで吸着することができるように配置されるとともに、停止板71のやや右外側にわずかな隙間(一定の距離)Δdをもって配置される。なお、切り欠きC1は吸着予定エリア71Zに連続して形成される。
【0040】
前進変速ペダル27Fを踏み込むと前述の手順で油圧式無段変速装置20が作動する。前進変速ペダル27Fを踏み込むと停止板71も回動支点C1を支点として回動する。前進変速ペダル27Fの踏込量が一定量に達すると、側面視で電磁石72が吸着予定エリア71Zに位置する。所望の走行速度となったときの前進変速ペダル27Fの踏込量を保持したいとき(すなわち、所望の位置でトラニオン軸Tを保持したいとき)は、運転者が前述のスイッチをONとすることで電磁石72に磁力を発生させ、電磁石72が停止板71に吸着する。この状態で前進変速ペダル27Fから足を離しても電磁石72が停止板71を吸着して保持するため、前進変速ペダル27Fは戻らない。この状態がオートクルーズ状態である。このように、電磁石72と停止板71との組み合わせによって、運転者は所望の位置で前進変速ペダル27Fを固定することができる。すなわち、これまでは、ギアの間隔などによって前進変速ペダルの保持位置が決定されていたのに対して、運転者は所望の前進速度でオートクルーズを設定することができる。
【0041】
オートクルーズ状態を解除したいときは、スイッチをOFFにする。すると、前進変速ペダル27Fは元に戻り、前述のように油圧式無段変速装置20の作動が停止する。
【0042】
上述の例では、運転席フロア22に突出して備える前進変速ペダル(前進用操作手段)27Fと後進変速ペダル(後進用操作手段)27Bをリンク機構を介してトラニオンアームTAに連結して、油圧式無段変速装置20を機械的に操作したが、この発明はこれに限定されるものではない。例えば、2つの操作レバー(前進用操作手段および後進用操作手段)を運転席25周辺に配置し、2つの操作レバーをリンク機構を介してトラニオンアームTAに連結して、油圧式無段変速装置20を機械的に操作してもよい。さらに、2つの操作レバーの回動支点にポテンショメータを取り付け、回動角度を検出して制御部に送り、制御部からの電気信号によってトラニオンアームTAをモータなどで回動させるようにしてもよい。
【0043】
また、電磁石72に代えて、永久磁石を用いて停止板71に吸着させるようにしてもよい。この場合、永久磁石を停止板71から所定距離だけ離して操作レバーに連結して配置し、前進変速ペダル27Fが所望の位置にあるときに、操作レバーを操作することで永久磁石を停止板71に吸着させるように構成する。このとき、永久磁石はブラケットなどを介して油圧式無段変速装置の側面などに移動可能に固定する。
【0044】
さらに、ワイヤー(伝達部)W1,W2,W3に代えて、リンクバーなどを用いて伝達部を構成してもよい。また、ワイヤー、リンクバーなどに代えて電気的な構成としてもよい。この場合、制御部を備え、前進変速ペダル(前進用操作手段)27Fと後進変速ペダル(後進用操作手段)27Bの回動支点C1,C2にそれぞれポテンショメータなどを配置して、前進変速ペダル27Fと後進変速ペダル27Bの回動量を電気的に検知して制御部に送信するとともに、連動スイッチ(切替部)を運転席25近傍に配置して制御部と連結する。さらに、エンジンスロットルバルブバルブの開閉をモータにて行うようにし、このモータと制御部とを連結する。そして、連動スイッチがONのとき、回動支点C1,C2に備えるポテンショメータの回動量に応じてエンジンスロットルバルブバルブの開閉量をモータで制御するように構成する。
【産業上の利用可能性】
【0045】
この発明の作業用車両は、トラクタに限定されるものではなく、田植機、コンバインなどあらゆる農業機械に適用することができる。
【符号の説明】
【0046】
10 トラクタ(油圧式無段変速装置を有する作業用車両)
11 車体フレーム
20 油圧式無段変速装置
27F 前進変速ペダル(前進用操作手段)
27B 後進変速ペダル(後進用操作手段)
31 連動レバー(切替部)
54 揺動プレート(変速動作部)
71 停止板(被吸着部)
72 電磁石(磁石)
TA トラニオンアーム
W1,W2,W3 ワイヤー(伝達部)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前進用操作手段と、
後進用操作手段と、
前記前進用操作手段および前記後進用操作手段と連動する変速動作部と、
該変速動作部と連動するトラニオンアームとを備える油圧式無段変速装置を有する作業用車両において、
前記前進用操作手段の下部に取り付けられた金属製の被吸着部と、
該被吸着部から一定の距離をもって配置され、かつ、車体フレームに取り付けられた磁石とでオートクルーズ機構を構成し、
前記前進用操作手段を操作して所望の走行速度となったとき、前記磁石を前記被吸着部に吸着させることで前記前進用操作手段を所望の操作位置で保持することを特徴とする、油圧式無段変速装置を有する作業用車両。
【請求項2】
前記磁石が電磁石であり、該電磁石の磁力をON・OFFするスイッチを備え、
前記前進用操作手段を操作して所望の走行速度となったとき、前記スイッチをONにして前記電磁石に磁力を発生させ、前記電磁石を前記被吸着部に吸着させることで前記前進用操作手段を所望の操作位置で保持することを特徴とする、請求項1に記載の油圧式無段変速装置を有する作業用車両。
【請求項3】
前記前進用操作手段および前記後進用操作手段とそれぞれ連動する1組の伝達部を備え、
該伝達部が作動することでエンジンスロットルバルブを開閉させる油圧式無段変速装置を有する作業用車両であって、
前記伝達部に切替部を備え、
該切替部にて前記伝達部の作動を前記エンジンスロットルバルブに伝達するか否かを選択することを特徴とする、請求項1に記載の油圧式無段変速装置を有する作業用車両。
【請求項4】
前記伝達部がワイヤーからなることを特徴とする、請求項3に記載の油圧式無段変速装置を有する作業用車両。
【請求項1】
前進用操作手段と、
後進用操作手段と、
前記前進用操作手段および前記後進用操作手段と連動する変速動作部と、
該変速動作部と連動するトラニオンアームとを備える油圧式無段変速装置を有する作業用車両において、
前記前進用操作手段の下部に取り付けられた金属製の被吸着部と、
該被吸着部から一定の距離をもって配置され、かつ、車体フレームに取り付けられた磁石とでオートクルーズ機構を構成し、
前記前進用操作手段を操作して所望の走行速度となったとき、前記磁石を前記被吸着部に吸着させることで前記前進用操作手段を所望の操作位置で保持することを特徴とする、油圧式無段変速装置を有する作業用車両。
【請求項2】
前記磁石が電磁石であり、該電磁石の磁力をON・OFFするスイッチを備え、
前記前進用操作手段を操作して所望の走行速度となったとき、前記スイッチをONにして前記電磁石に磁力を発生させ、前記電磁石を前記被吸着部に吸着させることで前記前進用操作手段を所望の操作位置で保持することを特徴とする、請求項1に記載の油圧式無段変速装置を有する作業用車両。
【請求項3】
前記前進用操作手段および前記後進用操作手段とそれぞれ連動する1組の伝達部を備え、
該伝達部が作動することでエンジンスロットルバルブを開閉させる油圧式無段変速装置を有する作業用車両であって、
前記伝達部に切替部を備え、
該切替部にて前記伝達部の作動を前記エンジンスロットルバルブに伝達するか否かを選択することを特徴とする、請求項1に記載の油圧式無段変速装置を有する作業用車両。
【請求項4】
前記伝達部がワイヤーからなることを特徴とする、請求項3に記載の油圧式無段変速装置を有する作業用車両。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−23099(P2013−23099A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−160516(P2011−160516)
【出願日】平成23年7月22日(2011.7.22)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年7月22日(2011.7.22)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【Fターム(参考)】
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