説明

油圧駆動システム

【課題】チャージポンプでのエネルギーロスを低減する油圧駆動システムを提供する。
【解決手段】油圧駆動システム1において、作動油流路15はメインポンプ10と油圧アクチュエータ14を接続すると共に、閉回路を構成する。チェック弁44,45はメインポンプと油圧アクチュエータとの間に配置される。第1油圧調整部43は作動油流路の油圧が所定の第1設定圧を超えないように調整する。チャージ流路35はメインポンプとチェック弁との間に接続される。チャージポンプ28はチャージ流路に作動油を吐出する。第2油圧調整部42はチャージ流路に接続され、チャージ流路の油圧が第1設定圧よりも小さい第2設定圧を超えないように調整する。流路開閉部41a、41bはチャージ流路から作動油流路への作動油の流れを許容し、作動油流路からチャージ流路への作動油の流れを禁止する。アキュムレータ38は、チャージ流路に接続される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油圧駆動システムに関する。
【背景技術】
【0002】
油圧ショベルやホイールローダー等の作業機械は、油圧シリンダや油圧モータなどの油圧アクチュエータを備えている。油圧アクチュエータには、油圧回路を介して油圧ポンプから吐出された作動油が供給される。例えば、特許文献1では、油圧アクチュエータに作動油を供給するための油圧閉回路を備える作業機械が提案されている。油圧回路が閉回路であることにより、油圧アクチュエータによって駆動される部材の運動エネルギーや位置エネルギーが回生される。その結果、油圧ポンプを駆動する原動機の燃費を低減することが可能となる。
【0003】
油圧閉回路には、チャージ回路が併設されることが多い。チャージ回路は、油圧閉回路への作動油の補充を行うために設けられる。チャージ回路は、チャージポンプと、チャージ流路とを有する。チャージポンプは、通常、固定容量ポンプであり、エンジンなどの駆動源によって駆動される。チャージポンプは、チャージ流路に作動油を吐出する。チャージ流路は、油圧閉回路に接続されている。油圧ポンプに供給される作動油の流量が不足して、油圧閉回路の油圧がチャージ流路の油圧よりも低下すると、作動油がチャージ流路から油圧閉回路に供給される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2009−511831号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のような油圧閉回路には、作動油の逆流を防止するために、チェック弁が設けられることがある。チェック弁は、油圧閉回路において油圧ポンプと油圧アクチュエータとの間に配置される。例えば、油圧アクチュエータが油圧ショベルのブームシリンダである場合、チェック弁は、油圧閉回路において油圧ポンプとブームシリンダとの間に配置される。ブームシリンダには、バケットの積載荷重、或いは、作業機の自重による荷重が作用しているため、ブームシリンダとチェック弁との間の流路には、この荷重を支えるための油圧(以下、「保持圧」という)が発生している。この状態で、ブームシリンダに作動油を供給する場合、油圧ポンプから吐出された作動油は、まず油圧ポンプとチェック弁と間の流路の油圧を保持圧まで昇圧させるために使われる。そして、油圧ポンプとチェック弁との間の流路の油圧が保持圧以上になると、チェック弁が開いて、ブームシリンダに作動油が供給される。これにより、ブームシリンダが作動を開始する。ブームシリンダが作動を開始するまでの間は、ブームシリンダから油圧ポンプへの戻り油は無いため、油圧ポンプに供給される作動油の全てが、チャージ回路から供給されることになる。従って、チャージポンプは、このような昇圧時の作動油の流量を供給できるだけの容量を有することが必要となる。一方、ブームシリンダの作動中には、既に油圧ポンプとブームシリンダとの間の油圧は、ブームシリンダを駆動するために必要な圧力に達している。このため、チャージポンプは、上述した昇圧時の流量よりも少ない流量の作動油を供給できればよい。従って、チャージポンプの容量が、上述した昇圧時を基準にして設定されると、ブームシリンダの作動中には、余剰流量の作動油が生じる。余剰流量の作動油は、チャージ流路から作動油タンクへ排出される。
【0006】
油圧ショベルは、所謂、ダンプ積作業を行うことがある。ダンプ積作業は、掘削した土砂をダンプトラックの荷台に積み込む作業である。ダンプ積作業では、油圧ショベルは、土砂を掘削してバケットに積込んだ後に、油圧ショベルの横に停車しているダンプトラックの荷台の高さまでブームを上昇させながら、旋回する。そして、油圧ショベルは、バケットの土砂をダンプトラックの荷台に排出して、再び元の掘削位置に戻る。このようなダンプ積作業の1サイクルの動作において、ブームシリンダの昇圧に要する時間は、ブームシリンダが作動中である時間に比べて非常に短い。例えば、ブームシリンダが作動中である時間が約10秒であるのに対して、ブームシリンダの昇圧に要する時間は0.1秒程度である。従って、多くの流量の作動油がチャージ流路から無駄に排出されており、チャージポンプを駆動するためのエネルギーを無駄に消費していることになる。
【0007】
本発明の課題は、チャージポンプでのエネルギーロスを低減することができる油圧駆動システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の態様に係る油圧駆動システムは、メインポンプと、油圧アクチュエータと、作動油流路と、チェック弁と、第1油圧調整部と、チャージ流路と、チャージポンプと、第2油圧調整部と、流路開閉部と、アキュムレータとを備える。メインポンプは、作動油を吐出する。油圧アクチュエータは、メインポンプから吐出された作動油によって駆動される。作動油流路は、メインポンプと油圧アクチュエータとを接続し、メインポンプと油圧アクチュエータとの間で閉回路を構成する。チェック弁は、作動油流路においてメインポンプと油圧アクチュエータとの間に配置される。チェック弁は、メインポンプから油圧アクチュエータへの作動油の流れを許容する。チェック弁は、油圧アクチュエータからメインポンプへの作動油の流れを禁止する。第1油圧調整部は、作動油流路の油圧が所定の第1設定圧を超えないように作動油流路の油圧を調整する。チャージ流路は、作動油流路においてメインポンプとチェック弁との間に接続される。チャージポンプは、チャージ流路に作動油を吐出する。第2油圧調整部は、チャージ流路に接続され、チャージ流路の油圧が第1設定圧よりも小さい第2設定圧を超えないようにチャージ流路の油圧を調整する。流路開閉部は、チャージ流路から作動油流路への作動油の流れを許容し、作動油流路からチャージ流路への作動油の流れを禁止する。アキュムレータは、チャージ流路に接続される。
【0009】
本発明の第2の態様に係る油圧駆動システムは、第1の態様の油圧駆動システムであって、メインポンプは、第1ポンプポートと第2ポンプポートとを有する。メインポンプは、第2ポンプポートに作動油が供給され第1ポンプポートから作動油が吐出される状態と、第1ポンプポートに作動油が供給され第2ポンプポートから作動油が吐出される状態と、に切り換え可能である。油圧アクチュエータは、第1アクチュエータポートと第2アクチュエータポートとを有する。油圧アクチュエータは、第2アクチュエータポートに作動油が供給され第1アクチュエータポートから作動油が排出される状態と、第1アクチュエータポートに作動油が供給され第2アクチュエータポートから作動油が排出される状態と、に切り換え可能である。作動油流路は、第1流路と第2流路とを有する。第1流路は、第1ポンプポートと第1アクチュエータポートとを接続する。第2流路は、第2ポンプポートと第2アクチュエータポートとを接続する。チャージ流路は、第1流路と第2流路とに接続される。
【発明の効果】
【0010】
本発明の第1の態様に係る油圧駆動システムでは、油圧アクチュエータの作動中には、チャージポンプから吐出された作動油によって、十分に作動油流路への作動油の補充を行うことができる。また、メインポンプとチェック弁との間の作動油流路の圧力を保持圧まで昇圧させる時には、チャージポンプから吐出された作動油と共に、アキュムレータに蓄えられた作動油によって、作動油流路への作動油の補充を行うことができる。このため、チャージポンプのみによって作動油流路に作動油が補充される場合と比べて、チャージポンプを小型化することができる。これにより、チャージポンプでのエネルギーロスを低減することができる。
【0011】
本発明の第2の態様に係る油圧駆動システムでは、第1流路の油圧が低下したときには、チャージポンプから吐出された作動油と共に、アキュムレータに蓄えられた作動油が、チャージ流路を介して第1流路に補充される。また、第2流路の油圧が低下したときには、チャージポンプから吐出された作動油と共に、アキュムレータに蓄えられた作動油が、チャージ流路を介して第2流路に補充される。このため、油圧アクチュエータが、いずれの方向に駆動される場合にも、メインポンプとチェック弁との間の作動油流路の圧力を保持圧まで昇圧させる時には、チャージポンプから吐出された作動油と共に、アキュムレータに蓄えられた作動油を、第1流路又は第2流路へ補充することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1実施形態に係る油圧駆動システムの構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の第2実施形態に係る油圧駆動システムの構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の他の実施形態に係る油圧駆動システムの構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の他の実施形態に係る油圧駆動システムの構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係る油圧駆動システムについて説明する。
【0014】
1.第1実施形態
図1は、本発明の第1実施形態に係る油圧駆動システム1の構成を示すブロック図である。油圧駆動システム1は、例えば油圧ショベル、ホイールローダー、ブルドーザなどの作業機械に搭載される。油圧駆動システム1は、エンジン11と、メインポンプ10と、油圧アクチュエータ14と、作動油流路15と、流路切換弁16と、ポンプコントローラ24とを有する。
【0015】
エンジン11は、第1油圧ポンプ12と第2油圧ポンプ13とを駆動する。エンジン11は、例えば、ディーゼルエンジンであり、燃料噴射装置21からの燃料の噴射量が調整されることにより、エンジン11の出力が制御される。燃料噴射量の調整は、燃料噴射装置21がエンジンコントローラ22によって制御されることで行われる。なお、エンジン11の実回転速度は、回転速度センサ23にて検出され、その検出信号は、エンジンコントローラ22およびポンプコントローラ24にそれぞれ入力される。
【0016】
メインポンプ10は、エンジン11によって駆動され、作動油を吐出する。メインポンプ10は、第1油圧ポンプ12と第2油圧ポンプ13とを有する。メインポンプ10から吐出された作動油は、流路切換弁16を介して油圧アクチュエータ14に供給される。
【0017】
第1油圧ポンプ12は、可変容量型の油圧ポンプである。第1油圧ポンプ12の傾転角が制御されることにより、第1油圧ポンプ12の吐出流量が制御される。第1油圧ポンプ12の傾転角は、第1ポンプ流量制御部25によって制御される。第1ポンプ流量制御部25は、ポンプコントローラ24からの指令信号に基づいて、第1油圧ポンプ12の傾転角を制御することにより、第1油圧ポンプ12の吐出流量を制御する。第1油圧ポンプ12は、2方向吐出型の油圧ポンプである。具体的には、第1油圧ポンプ12は、第1ポンプポート12aと第2ポンプポート12bとを有する。第1油圧ポンプ12は、第1吐出状態と第2吐出状態とに切り換え可能である。第1油圧ポンプ12は、第1吐出状態では、第2ポンプポート12bから作動油を吸入して第1ポンプポート12aから作動油を吐出する。第1油圧ポンプ12は、第2吐出状態では、第1ポンプポート12aから作動油を吸入して第2ポンプポート12bから作動油を吐出する。
【0018】
第2油圧ポンプ13は、可変容量型の油圧ポンプである。第2油圧ポンプ13の傾転角が制御されることにより、第2油圧ポンプ13の吐出流量が制御される。第2油圧ポンプ13の傾転角は、第2ポンプ流量制御部26によって制御される。第2ポンプ流量制御部26は、ポンプコントローラ24からの指令信号に基づいて第2油圧ポンプ13の傾転角を制御することにより、第2油圧ポンプ13の吐出流量を制御する。第2油圧ポンプ13は、2方向吐出型の油圧ポンプである。具体的には、第2油圧ポンプ13は、第1ポンプポート13aと第2ポンプポート13bとを有する。第2油圧ポンプ13は、第1油圧ポンプ12と同様に、第1吐出状態と第2吐出状態とに切り換え可能である。第2油圧ポンプ13は、第1吐出状態では、第2ポンプポート13bから作動油を吸入して第1ポンプポート13aから作動油を吐出する。第2油圧ポンプ13は、第2吐出状態では、第1ポンプポート13aから作動油を吸入して第2ポンプポート13bから作動油を吐出する。
【0019】
油圧アクチュエータ14は、第1油圧ポンプ12及び第2油圧ポンプ13から吐出された作動油によって駆動される油圧シリンダである。油圧アクチュエータ14は、例えば、ブーム、アーム、或いはバケットなどの作業機を駆動する。油圧アクチュエータ14は、シリンダロッド14aとシリンダチューブ14bとを有する。シリンダチューブ14bの内部は、シリンダロッド14aによって第1室14cと第2室14dとに区画されている。油圧アクチュエータ14は、第1アクチュエータポート14eと第2アクチュエータポート14fとを有する。第1アクチュエータポート14eは、第1室14cに連通している。第2アクチュエータポート14fは、第2室14dに連通している。油圧アクチュエータ14は、第2アクチュエータポート14fに作動油が供給され第1アクチュエータポート14eから作動油が排出される状態と、第1アクチュエータポート14eに作動油が供給され第2アクチュエータポート14fから作動油が排出される状態と、に切り換え可能である。すなわち、油圧アクチュエータ14は、第1室14cと第2室14dに対する作動油の供給と排出とが切り換えられることにより伸縮する。具体的には、第1アクチュエータポート14eを介して第1室14cに作動油が供給され、第2アクチュエータポート14fを介して第2室14dから作動油が排出されることによって、油圧アクチュエータ14は伸張する。第2アクチュエータポート14fを介して第2室14dに作動油が供給され、第1アクチュエータポート14eを介して第1室14cから作動油が排出されることによって、油圧アクチュエータ14は収縮する。なお、シリンダロッド14aの第1室14cにおける受圧面積は、シリンダロッド14aの第2室14dにおける受圧面積よりも大きい。従って、油圧アクチュエータ14を伸張させるときには、第2室14dから排出される作動油よりも多量の作動油が第1室14cに供給される。また、油圧アクチュエータ14を収縮させるときには、第2室14dに供給される作動油よりも多量の作動油が第1室14cから排出される。
【0020】
作動油流路15は、第1油圧ポンプ12と、第2油圧ポンプ13と、油圧アクチュエータ14とに接続されている。作動油流路15は、第1流路17と第2流路18とを有する。第1流路17は、第1油圧ポンプ12の第1ポンプポート12aと第1アクチュエータポート14eとを接続する。また、第1流路17は、第2油圧ポンプ13の第1ポンプポート13aと第1アクチュエータポート14eとを接続する。第2流路18は、第1油圧ポンプ12の第2ポンプポート12bと第2アクチュエータポート14fとを接続する。第1流路17は、第1アクチュエータ流路31と第1ポンプ流路33とを有する。第2流路18は、第2アクチュエータ流路32と第2ポンプ流路34とを有する。第1アクチュエータ流路31は、第1アクチュエータポート14eを介して油圧アクチュエータ14の第1室14cに接続される。第2アクチュエータ流路32は、第2アクチュエータポート14fを介して油圧アクチュエータ14の第2室14dに接続される。第1ポンプ流路33は、第1アクチュエータ流路31を介して油圧アクチュエータ14の第1室14cに作動油を供給する、或いは、第1アクチュエータ流路31を介して油圧アクチュエータ14の第1室14cから作動油を回収するための流路である。第1ポンプ流路33は、第1油圧ポンプ12の第1ポンプポート12aに接続される。また、第1ポンプ流路33は、第2油圧ポンプ13の第1ポンプポート13aに接続される。従って、第1ポンプ流路33には、第1油圧ポンプ12と第2油圧ポンプ13との両方からの作動油が供給される。第2ポンプ流路34は、第2アクチュエータ流路32を介して油圧アクチュエータ14の第2室14dに作動油を供給する、或いは、第2アクチュエータ流路32を介して油圧アクチュエータ14の第2室14dから作動油を回収するための流路である。第2ポンプ流路34は、第1油圧ポンプ12の第2ポンプポート12bに接続される。第2油圧ポンプ13の第2ポンプポート13bは、作動油タンク27に接続される。従って、第2ポンプ流路34には、第1油圧ポンプ12からの作動油が供給される。作動油流路15は、第1ポンプ流路33と第1アクチュエータ流路31と第2アクチュエータ流路32と第2ポンプ流路34とによって、メインポンプ10と油圧アクチュエータ14との間で閉回路を構成している。
【0021】
作動油流路15は、リリーフ流路36をさらに有する。リリーフ流路36は、チェック弁41cを介して第1ポンプ流路33に接続されている。チェック弁41cは、第1ポンプ流路33の油圧がリリーフ流路36の油圧よりも高くなったときに開かれる。リリーフ流路36は、チェック弁41dを介して第2ポンプ流路34に接続されている。チェック弁41dは、第2ポンプ流路34の油圧がリリーフ流路36の油圧よりも高くなったときに開かれる。また、リリーフ流路36は、リリーフ弁43を介してチャージ流路35に接続されている。リリーフ弁43は、リリーフ流路36の圧力を所定の第1設定圧以下に維持する。従って、リリーフ弁43は、第1ポンプ流路33及び第2ポンプ流路34の油圧が所定の第1設定圧を超えないように作動油流路の油圧を調整する。リリーフ弁43は、本発明の第1油圧調整部に相当する。
【0022】
油圧駆動システム1は、チャージポンプ28とチャージ流路35とをさらに備える。チャージポンプ28は、第1流路17又は第2流路18に作動油を補充するための油圧ポンプである。チャージポンプ28は、エンジン11によって駆動されることによりチャージ流路35に作動油を吐出する。チャージポンプ28は、固定容量型の油圧ポンプである。チャージ流路35は、第1流路17と第2流路18とに接続されている。チャージ流路35は、作動油流路15においてメインポンプ10と第1チェック弁44との間に接続されている。具体的には、チャージ流路35は、チェック弁41aを介して第1ポンプ流路33に接続されている。チェック弁41aは、チャージ流路35から第1ポンプ流路33への作動油の流れを許容し、第1ポンプ流路33からチャージ流路35への作動油の流れを禁止する。チェック弁41aは、第1ポンプ流路33の油圧がチャージ流路35の油圧よりも低くなったときに開かれる。また、チャージ流路35は、作動油流路15においてメインポンプ10と第2チェック弁45との間に接続されている。具体的には、チャージ流路35は、チェック弁41bを介して第2ポンプ流路34に接続されている。チェック弁41bは、チャージ流路35から第2ポンプ流路34への作動油の流れを許容し、第2ポンプ流路34からチャージ流路35への作動油の流れを禁止する。チェック弁41bは、第2ポンプ流路34の油圧がチャージ流路35の油圧よりも低くなったときに開かれる。チェック弁41aとチェック弁41bとは、本発明の流路開閉部に相当する。
【0023】
チャージ流路35は、チャージリリーフ弁42を介して作動油タンク27に接続されている。チャージリリーフ弁42は、チャージ流路35の油圧が所定の第2設定圧を超えないようにチャージ流路35の油圧を調整する。第2設定圧は、上述した第1設定圧よりも小さい。第1ポンプ流路33又は第2ポンプ流路34の油圧がチャージ流路35の油圧よりも低くなると、チャージポンプ28からの作動油がチャージ流路35を介して第1ポンプ流路33又は第2ポンプ流路34に供給される。これにより、第1ポンプ流路33及びは第2ポンプ流路34の油圧が所定値以上に維持される。チャージリリーフ弁42は、本発明の第2油圧調整部に相当する。また、チャージ流路35には、アキュムレータ38が接続されている。作動油流路15は、調整流路37をさらに有する。調整流路37は、チャージ流路35に接続されている。
【0024】
流路切換弁16は、後述するポンプコントローラ24からの指令信号に基づいて制御される電磁制御弁である。流路切換弁16は、ポンプコントローラ24からの指令信号に基づいて、流路の接続を切り換える。流路切換弁16は、作動油流路15においてメインポンプ10と油圧アクチュエータ14との間に配置される。流路切換弁16は、第1ポンプ用ポート16aと第1シリンダ用ポート16bと第1調整用ポート16cと第1バイパスポート16dとを有する。第1ポンプ用ポート16aは、第1チェック弁44を介して第1ポンプ流路33に接続される。第1シリンダ用ポート16bは、第1アクチュエータ流路31に接続される。第1調整用ポート16cは、調整流路37に接続される。
【0025】
第1チェック弁44は、作動油流路15においてメインポンプ10と油圧アクチュエータ14との間に配置される。第1チェック弁44は、メインポンプ10から油圧アクチュエータ14への作動油の流れを許容する。第1チェック弁44は、油圧アクチュエータ14からメインポンプ10への作動油の流れを禁止する。具体的には、第1チェック弁44は、流路切換弁16によって作動油が第1ポンプ流路33から第1アクチュエータ流路31に供給される際に、第1ポンプ流路33から第1アクチュエータ流路31への作動油の流れを許容し、第1アクチュエータ流路31から第1ポンプ流路33への作動油の流れを禁止する。
【0026】
流路切換弁16は、第2ポンプ用ポート16eと第2シリンダ用ポート16fと第2調整用ポート16gと第2バイパスポート16hとをさらに有する。第2ポンプ用ポート16eは、第2チェック弁45を介して第2ポンプ流路34に接続される。第2チェック弁45は、作動油の流れを一方向に規制するチェック弁である。第2シリンダ用ポート16fは、第2アクチュエータ流路32に接続される。第2調整用ポート16gは、調整流路37に接続される。
【0027】
第2チェック弁45は、作動油流路15においてメインポンプ10と油圧アクチュエータ14との間に配置される。第2チェック弁45は、メインポンプ10から油圧アクチュエータ14への作動油の流れを許容する。第2チェック弁45は、油圧アクチュエータ14からメインポンプ10への作動油の流れを禁止する。具体的には、第2チェック弁45は、流路切換弁16によって作動油が第2ポンプ流路34から第2アクチュエータ流路32に供給される際に、第2ポンプ流路34から第2アクチュエータ流路32への作動油の流れを許容し、第2アクチュエータ流路32から第2ポンプ流路34への作動油の流れを禁止する。
【0028】
流路切換弁16は、第1位置状態P1と第2位置状態P2と中立位置状態Pnに切り換え可能である。流路切換弁16は、第1位置状態P1では、第1ポンプ用ポート16aと第1シリンダ用ポート16bとを連通させ、且つ、第2シリンダ用ポート16fと第2バイパスポート16hとを連通させる。従って、流路切換弁16は、第1位置状態P1では、第1ポンプ流路33を、第1チェック弁44を介して第1アクチュエータ流路31に接続し、且つ、第2アクチュエータ流路32を、第2チェック弁45を介さずに第2ポンプ流路34に接続する。なお、流路切換弁16が第1位置状態P1であるときには、第1バイパスポート16dと第1調整用ポート16cと第2ポンプ用ポート16eと第2調整用ポート16gとは、何れのポートに対しても遮断されている。
【0029】
油圧アクチュエータ14を伸張させるときには、第1油圧ポンプ12と第2油圧ポンプ13とが第1吐出状態で駆動されると共に、流路切換弁16が第1位置状態P1に設定される。これにより、第1油圧ポンプ12の第1ポンプポート12aと、第2油圧ポンプ13の第1ポンプポート13aとから吐出された作動油が、第1ポンプ流路33、第1チェック弁44、第1アクチュエータ流路31を通って、油圧アクチュエータ14の第1室14cに供給される。また、油圧アクチュエータ14の第2室14dの作動油が、第2アクチュエータ流路32、第2ポンプ流路34を通って、第1油圧ポンプ12の第2ポンプポート12bに回収される。これにより、油圧アクチュエータ14が伸長する。
【0030】
流路切換弁16は、第2位置状態P2では、第2ポンプ用ポート16eと第2シリンダ用ポート16fとを連通させ、且つ、第1シリンダ用ポート16bと第1バイパスポート16dとを連通させる。従って、流路切換弁16は、第2位置状態P2では、第1アクチュエータ流路31を、第1チェック弁44を介さずに第1ポンプ流路33に接続し、且つ、第2ポンプ流路34を、第2チェック弁45を介して第2アクチュエータ流路32に接続する。なお、流路切換弁16が第2位置状態P2であるときには、第1ポンプ用ポート16aと第1調整用ポート16cと第2バイパスポート16hと第2調整用ポート16gとは、何れのポートに対しても遮断されている。
【0031】
油圧アクチュエータ14を収縮させるときには、第1油圧ポンプ12と第2油圧ポンプ13とが第2吐出状態で駆動されると共に、流路切換弁16が第2位置状態P2に設定される。これにより、第1油圧ポンプ12の第2ポンプポート12bから吐出された作動油が、第2ポンプ流路34、第2チェック弁45、第2アクチュエータ流路32を通って、油圧アクチュエータ14の第2室14dに供給される。また、油圧アクチュエータ14の第1室14cの作動油が、第1アクチュエータ流路31、第1ポンプ流路33を通って、第1油圧ポンプ12の第1ポンプポート12a及び第2油圧ポンプ13の第1ポンプポート13aに回収される。これにより、油圧アクチュエータ14が収縮する。
【0032】
流路切換弁16は、中立位置状態Pnでは、第1バイパスポート16dと第1調整用ポート16cとを連通させ、且つ、第2バイパスポート16hと第2調整用ポート16gとを連通させる。従って、流路切換弁16は、中立位置状態Pnでは、第1ポンプ流路33を、第1チェック弁44を介さずに調整流路37に接続し、且つ、第2ポンプ流路34を、第2チェック弁45を介さずに調整流路37に接続する。なお、流路切換弁16が中立位置状態Pnであるときには、第1ポンプ用ポート16aと第1シリンダ用ポート16bと第2ポンプ用ポート16eと第2シリンダ用ポート16fとは、何れのポートに対しても遮断されている。
【0033】
油圧駆動システム1は、操作装置46をさらに備える。操作装置46は、操作部材46aと、操作検出部46bとを有する。操作部材46aは、作業機械の各種の動作を指令するためにオペレータによって操作される。例えば、油圧アクチュエータ14が、ブームを駆動するブームシリンダである場合には、操作部材46aは、ブームを操作するためのブーム操作レバーである。操作部材46aは、中立位置から油圧アクチュエータ14を伸長させる方向と、油圧アクチュエータ14を収縮させる方向との2方向に操作可能である。操作検出部46bは、操作部材46aの操作量及び操作方向を検出する。操作検出部46bは、例えば操作部材46aの位置を検出するセンサである。操作部材46aが中立位置に位置しているときには、操作部材46aの操作量はゼロである。操作部材46aの操作量及び操作方向を示す検出信号が、操作検出部46bからポンプコントローラ24に入力される。ポンプコントローラ24は、操作部材46aの操作量に応じて油圧アクチュエータ14に供給される作動油の目標流量を演算する。
【0034】
エンジンコントローラ22は、燃料噴射装置21を制御することによりエンジン11の出力を制御する。エンジンコントローラ22には、設定された目標エンジン回転速度および作業モードに基づいて設定されるエンジン出力トルク特性がマップ化されて記憶されている。エンジン出力トルク特性は、エンジン11の出力トルクと回転速度との関係を示す。エンジンコントローラ22は、エンジン出力トルク特性に基づいて、エンジン11の出力を制御する。
【0035】
ポンプコントローラ24は、操作部材46aによって設定された目標流量に応じて、油圧アクチュエータ14へ供給される作動油の流量を制御する、油圧アクチュエータ14を伸張させる場合には、ポンプコントローラ24は、第1ポンプ流量制御部25及び第2ポンプ流量制御部26によって、油圧アクチュエータ14へ供給される作動油の流量を制御する。油圧アクチュエータ14を収縮させる場合、ポンプコントローラ24は、第1ポンプ流量制御部25によって油圧アクチュエータ14へ供給される作動油の流量を制御する。
【0036】
ポンプコントローラ24は、操作部材46aの操作方向に応じて、流路切換弁16を制御する。操作部材46aが、中立位置から油圧アクチュエータ14を伸長させる方向に操作されたときには、ポンプコントローラ24は、流路切換弁16を第1位置状態P1に設定する。これにより、第1ポンプ流路33と第1アクチュエータ流路31とが第1チェック弁44を介して接続される。また、第2ポンプ流路34と第2アクチュエータ流路32とが第2チェック弁45を介さずに接続される。そして、作動油が、第1油圧ポンプ12の第1ポンプポート12aと第2油圧ポンプ13の第1ポンプポート13aとから第1ポンプ流路33に吐出される。しかし、第1ポンプ流路33の油圧が、第1アクチュエータ流路31の保持圧を超えるまでは、第1チェック弁44は開かれず、油圧アクチュエータ14は作動しない。一方、第2ポンプ流路34の作動油は、第1油圧ポンプ12の第2ポンプポート12bに吸込まれる。このため、第2ポンプ流路34の油圧が低下する。第2ポンプ流路34の油圧が、チャージ流路35の油圧以下になると、チェック弁41bが開かれて、チャージ流路35と第2ポンプ流路34とが連通する。これにより、チャージ流路35から第2ポンプ流路34に作動油が補充される。このとき、チャージポンプ28からの作動油と共に、予めチャージポンプ28により畜圧されたアキュムレータ38からの作動油が、チャージ流路35を介して第2ポンプ流路34に補充される。そして、第1ポンプ流路33の油圧が、第1アクチュエータ流路31の保持圧を超えると、第1チェック弁44が開いて、第1ポンプ流路33と第1アクチュエータ流路31とが連通する。これにより、油圧アクチュエータ14の第1室14cに作動油が供給され、油圧アクチュエータ14が伸長する。また、油圧アクチュエータ14の伸長動作中には、油圧アクチュエータ14の第2室14dから作動油が排出され、第2アクチュエータ流路32および第2ポンプ流路34を通って、第1油圧ポンプ12の第2ポンプポート12bへと戻る。このとき、第1油圧ポンプ12内において作動油を圧縮するために必要な流量の作動油と、第1油圧ポンプ12での作動油の漏れ量を補充できる程度の流量の作動油とが、チャージ流路35から第2ポンプ流路34へ補充される。
【0037】
操作部材46aが、中立位置から油圧アクチュエータ14を収縮させる方向に操作されたときには、ポンプコントローラ24は、流路切換弁16を第2位置状態P2に設定する。これにより、第2ポンプ流路34と第2アクチュエータ流路32とが第2チェック弁45を介して接続される。また、第1ポンプ流路33と第1アクチュエータ流路31とが第1チェック弁44を介さずに接続される。そして、作動油が、第1油圧ポンプ12の第2ポンプポート12bから第2ポンプ流路34に吐出される。しかし、第2ポンプ流路34の油圧が、第2アクチュエータ流路32の保持圧を超えるまでは、第2チェック弁45は開かれず、油圧アクチュエータ14は作動しない。一方、第1ポンプ流路33の作動油は、第1油圧ポンプ12の第1ポンプポート12aと第2油圧ポンプ13の第1ポンプポート13aとに吸込まれる。このため、第1ポンプ流路33の油圧が低下する。第1ポンプ流路33の油圧が、チャージ流路35の油圧以下になると、チェック弁41aが開いて、チャージ流路35と第1ポンプ流路33とが連通する。これにより、チャージ流路35から第1ポンプ流路33に作動油が補充される。このとき、チャージポンプ28からの作動油と共に、予めチャージポンプ28により畜圧されたアキュムレータ38からの作動油が、チャージ流路35を介して第1ポンプ流路33に補充される。そして、第2ポンプ流路34の油圧が、第2アクチュエータ流路32の保持圧を超えると、第2チェック弁45が開いて、第2ポンプ流路34と第2アクチュエータ流路32とが連通する。これにより、油圧アクチュエータ14の第2室14dに作動油が供給され、油圧アクチュエータ14が収縮する。また、油圧アクチュエータ14の収縮動作中には、油圧アクチュエータ14の第1室14cから作動油が排出され、第1アクチュエータ流路31および第1ポンプ流路33を通って、第1油圧ポンプ12の第1ポンプポート12aと第2油圧ポンプ13の第1ポンプポート13aへ戻る。このとき、第1油圧ポンプ12内において作動油を圧縮するために必要な流量の作動油と、第1油圧ポンプ12での作動油の漏れ量を補充できる程度の流量の作動油とが、チャージ流路35から第1ポンプ流路33へ補充される。
【0038】
本実施形態に係る油圧駆動システム1は、以下の特徴を有する。
【0039】
油圧アクチュエータ14の作動中には、チャージポンプ28から吐出された作動油によって、十分に第1ポンプ流路33又は第2ポンプ流路34への作動油の補充を行うことができる。また、メインポンプ10とチェック弁44,45との間の作動油流路15の圧力を保持圧まで昇圧させる時には、チャージポンプ28から吐出された作動油と共に、アキュムレータ38に蓄えられた作動油が、チャージ流路35を介して第1ポンプ流路33又は第2ポンプ流路34に補充される。このため、チャージポンプ28のみによって作動油が補充される場合と比べて、チャージポンプ28を小型化することができる。これにより、チャージポンプ28でのエネルギーロスを低減することができる。
【0040】
2.第2実施形態
油圧アクチュエータ14への作動油の流れの方向の切換は、第1実施形態の流路切換弁16に限らず、他の構成によって行われてもよい。図2は、本発明の第2実施形態に係る油圧駆動システム2の構成を示すブロック図である。油圧駆動システム2では、第1実施形態の流路切換弁16に替えて、第1パイロットチェック弁51と第2パイロットチェック弁52が用いられている。第1パイロットチェック弁51は、ポンプコントローラ24からの指令信号によって規制状態と開放状態とに切り換えられる。第1パイロットチェック弁51は、規制状態では、第1ポンプ流路33から第1アクチュエータ流路31への作動油の流れを許容し、第1アクチュエータ流路31から第1ポンプ流路33への作動油の流れを禁止する。第1パイロットチェック弁51は、開放状態では、第1アクチュエータ流路31から第1ポンプ流路33への作動油の流れを許容する。第2パイロットチェック弁52は、ポンプコントローラ24からの指令信号によって規制状態と開放状態とに切り換えられる。第2パイロットチェック弁52は、規制状態では、第2ポンプ流路34から第2アクチュエータ流路32への作動油の流れを許容し、第2アクチュエータ流路32から第2ポンプ流路34への作動油の流れを禁止する。第2パイロットチェック弁52は、開放状態では、第2アクチュエータ流路32から第2ポンプ流路34への作動油の流れを許容する。
【0041】
操作部材46aが、中立位置から油圧アクチュエータ14を伸長させる方向に操作されたときには、ポンプコントローラ24は、第1パイロットチェック弁51を規制状態に設定し、第2パイロットチェック弁52を開放状態に設定する。従って、第1ポンプ流路33の油圧が、第1アクチュエータ流路31の保持圧を超えると、第1パイロットチェック弁51が開き、第1油圧ポンプ12及び第2油圧ポンプ13から吐出された作動油が、第1ポンプ流路33と第1アクチュエータ流路31を通って油圧アクチュエータ14の第1室14cに供給される。また、作動油が、油圧アクチュエータ14の第2室14dから排出され、第2アクチュエータ流路32と第2ポンプ流路34とを通って、第1油圧ポンプ12に戻される。
【0042】
操作部材46aが、中立位置から油圧アクチュエータ14を収縮させる方向に操作されたときには、ポンプコントローラ24は、第1パイロットチェック弁51を開放状態に設定し、第2パイロットチェック弁52を規制状態に設定する。従って、第2ポンプ流路34の油圧が、第2アクチュエータ流路32の保持圧を超えると、第1油圧ポンプ12から吐出された作動油が、第2ポンプ流路34と第2アクチュエータ流路32を通って油圧アクチュエータ14の第2室14dに供給される。また、作動油が、油圧アクチュエータ14の第1室14cから排出され、第1アクチュエータ流路31と第1ポンプ流路33とを通って、第1油圧ポンプ12及び第2油圧ポンプ13に戻される。
【0043】
油圧駆動システム2の他の構成は、第1実施形態の油圧駆動システム1と同様である。また、第2実施形態の油圧駆動システム2も、第1実施形態の油圧駆動システム1と同様の特徴を有する。
【0044】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0045】
上記の第1実施形態及び第2実施形態では、ポンプ流量制御部25,26が、油圧ポンプ12,13の傾転角を制御することにより、油圧ポンプ12,13の吐出流量を制御している。しかし、油圧ポンプ12,13の回転速度を制御することにより、油圧ポンプ12,13の吐出流量が制御されてもよい。例えば、図3に示すように、駆動源として電動機57が用いられてもよい。図3では、第1実施形態の油圧駆動システム1において、エンジン11に替えて、電動機57が用いられている。また、油圧ポンプ12,13は、固定容量型の油圧ポンプである。この場合、ポンプコントローラ24は、電動機57の回転速度を制御することにより、油圧ポンプ12,13の吐出流量が、操作部材46aの操作量に対応する目標流量になるように、油圧ポンプ12,13の回転速度を制御する。或いは、図4に示すように、第2実施形態の油圧駆動システム2において、エンジン11に替えて、駆動源として電動機57が用いられてもよい。
【0046】
上記の実施形態では、油圧アクチュエータ14に2つの油圧ポンプ12,13が接続されている2ポンプ型の油圧駆動システムに本発明が適用されているが、油圧アクチュエータに1つの油圧ポンプが接続される1ポンプ型の油圧駆動システムに本発明が適用されてもよい。上記の実施形態では、油圧アクチュエータ14は油圧シリンダであるが、他の種類の油圧アクチュエータが用いられてもよい。例えば、油圧モータが油圧アクチュエータとして用いられてもよい。油圧モータは、例えば、HST(Hydro Static Transmission)を構成する走行用の油圧モータである。或いは、油圧モータは、上部旋回体を旋回させる油圧モータであってもよい。
【0047】
上記の実施形態では、本発明の第1油圧調整部としてリリーフ弁43が用いられているが、他の構成が用いられてもよい。上記の実施形態では、本発明の第2油圧調整部としてチャージリリーフ弁42が用いられているが、他の構成が用いられてもよい。上記の実施形態では、本発明の流路開閉部としてチェック弁41a,41bが用いられているが、他の構成が用いられてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明によれば、チャージポンプでのエネルギーロスを低減することができる油圧駆動システムを提供することができる。
【符号の説明】
【0049】
1,2 油圧駆動システム
10 メインポンプ
14 油圧アクチュエータ
15 作動油流路
17 第1流路
18 第2流路
28 チャージポンプ
35 チャージ流路
38 アキュムレータ
41a,41b チェック弁(流路開閉部)
42 チャージリリーフ弁(第2油圧調整部)
43 リリーフ弁(第1油圧調整部)
44 第1チェック弁
45 第2チェック弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
作動油を吐出するメインポンプと、
前記メインポンプから吐出された作動油によって駆動される油圧アクチュエータと、
前記メインポンプと前記油圧アクチュエータとを接続し、前記メインポンプと前記油圧アクチュエータとの間で閉回路を構成する作動油流路と、
前記作動油流路において前記メインポンプと前記油圧アクチュエータとの間に配置され、前記メインポンプから前記油圧アクチュエータへの作動油の流れを許容し、前記油圧アクチュエータから前記メインポンプへの作動油の流れを禁止するチェック弁と、
前記作動油流路の油圧が所定の第1設定圧を超えないように前記作動油流路の油圧を調整する第1油圧調整部と、
前記作動油流路において前記メインポンプと前記チェック弁との間に接続されるチャージ流路と、
前記チャージ流路に作動油を吐出するチャージポンプと、
前記チャージ流路に接続され、前記チャージ流路の油圧が前記第1設定圧よりも小さい第2設定圧を超えないように前記チャージ流路の油圧を調整する第2油圧調整部と、
前記チャージ流路から前記作動油流路への作動油の流れを許容し、前記作動油流路から前記チャージ流路への作動油の流れを禁止する流路開閉部と、
前記チャージ流路に接続されるアキュムレータと、
を備える油圧駆動システム。
【請求項2】
前記メインポンプは、第1ポンプポートと第2ポンプポートとを有し、前記第2ポンプポートに作動油が供給され前記第1ポンプポートから作動油が吐出される状態と、前記第1ポンプポートに作動油が供給され前記第2ポンプポートから作動油が吐出される状態と、に切り換え可能であり、
前記油圧アクチュエータは、第1アクチュエータポートと第2アクチュエータポートとを有し、前記第2アクチュエータポートに作動油が供給され前記第1アクチュエータポートから作動油が排出される状態と、前記第1アクチュエータポートに作動油が供給され前記第2アクチュエータポートから作動油が排出される状態と、に切り換え可能であり、
前記作動油流路は、前記第1ポンプポートと前記第1アクチュエータポートとを接続する第1流路と、前記第2ポンプポートと前記第2アクチュエータポートとを接続する第2流路と、を有し、
前記チャージ流路は、前記第1流路と前記第2流路とに接続される。
請求項1に記載の油圧駆動システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−44399(P2013−44399A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−182942(P2011−182942)
【出願日】平成23年8月24日(2011.8.24)
【出願人】(000001236)株式会社小松製作所 (1,686)
【Fターム(参考)】