説明

油性の医薬用および化粧用フォーム

【課題】 本発明は、特有の治療上の特徴を持ったある種の活性剤を含む安定な油性の化粧用または治療用フォーム組成物、およびそのような組成物を用いた治療方法に関する。
【解決手段】この起泡性組成物は、疎水性溶媒、シリコンオイル、皮膚軟化剤、共−溶媒、およびそれらの混合液からなるグループより選択される少なくとも一種の溶媒を含んでおり、その溶媒は濃度が全組成物の約70重量%から約96.5重量%、少なくとも一種の非−イオン性界面活性剤が全組成物の約0.1重量%から約10重量%以下の濃度で、少なくとも一種のゲル化剤が全組成物の約0.1重量%から約5重量%の濃度で、少なくとも一種の活性剤が治療上有効な量で、さらに少なくとも一種の液化または圧縮されたガスの推進剤が全組成物の約3重量%から約25重量%の濃度で存在している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧用または治療用の活性剤を含む油性発泡性組成物、およびその組成物を用いた局所治療の方法に関する。
【背景技術】
【0002】
治療剤および化粧用を局所適用するためのある種のフォーム製品は水中油滴型エマルジョンとして調製されてきた。フォーム、特に高い含有量のオイルを含むフォーム組成物は、全ての環境下でフォームにはならないという複雑な系である。活性成分の添加といったフォーム組成物におけるわずかな変化がフォームを不安定にする可能性がある。疎水性溶媒をフォーム形成製品に配合することが困難であることはこの技術分野では既知である。汎用の疎水性溶媒を添加すると界面活性剤のフォーム形成能力が妨害されるため、したがってこれまでに報告されている高濃度のオイルを含むほんの少数のフォーム製品では高濃度の界面活性剤が用いられているのであるが、それは一面では望ましくない炎症を生じさせるおそれがあり、また他面では用いられるコストの原料が高くなる。
【0003】
化粧用および治療用組成物の調製についての油性配合剤はこの技術分野では既知である。
【0004】
米国特許明細書第6,620,773号は界面活性剤混合液とオイル成分を含むフォーム形成オイル組成物について言及しており、その界面活性剤混合液にはアニオン性または両イオン性の界面活性剤、非イオン性界面活性剤、および少なくとも一種のエトキシ化アルキルリン酸エステル成分が含まれている。この界面活性剤混合液は全組成物の約15%から約50%の範囲内であり、オイル成分のそれは約50%から約85%の範囲内である。
【0005】
米国特許明細書第5,700,396号および5,589,515号には0.1から99重量%の油性成分(水性成分とバランスを保っている)を含む化粧用エマルジョン組成物が開示されている。この油性成分は少なくとも85重量%のシスΔ9-オクタデカン酸またはその誘導体を含んでおり、そのシスΔ-9オクタデカン酸またはその誘導体はこの配合剤においては界面活性剤として作用している。
【0006】
米国特許明細書第6,524,594号には、乳化剤、ゲル化剤、オイル、および界面活性剤を含んでいて、水分の存在下で皮膚に適用する場合に有意量のフォームを生成できるゲル化オイル組成物が記載されている。この界面活性剤は約10%から約20%の量で、好ましくは約15%から約20%の量で用いられる。
【0007】
米国特許明細書第6,121,210号には、起泡可能なシリコンオイル組成物、およびそのような組成物を用いて表面を潤滑にする方法が開示されている。この組成物は、シリコン水中油滴型エマルジョン、液状推進剤、およびHLB値が約3から約8の固体状の非−イオン性親油性界面活性剤であるフォームビルダーを含む水中油滴型エマルジョンである。長鎖脂肪アルコールを含むフォーム安定化剤が含まれている。推進剤は起泡性の組成物を形成するために用いられる。
【0008】
国際公開公報第91/11991号は本質的に非−水性、また非−油性の起泡性組成物を教示しており、それは直腸投与の医薬品として用いることができるものであって、液状の極性ポリオールまたはポリオール混合物、薬学的に活性な成分、および少なくとも一種のフォーム安定化剤と乳化用界面活性剤を含んでいる。しかしながらこのフォーム組成物には欠点があり、本発明の目的ではそれは生じない(下記の比較例参照)。
【0009】
一般にこの技術分野の起泡性組成物は水中油滴型エマルジョンに基づいている。そのうえこれらには、許容できるほど安定で特定の低密度のフォームを形成するのに必要とされる高含有量の界面活性剤やフォーム生成剤が含まれていることが多い。このような界面活性剤、特定するとアニオン性界面活性剤(例えばラウリル硫酸ナトリウム(SDS))のようなイオン性界面活性剤は、濃度−依存性の皮膚疾患を患っているようなある種の患者に悪影響を与える可能性がある。
【0010】
特有の治療用および化粧用の性質を備えた薬品および化粧品を皮膚や粘膜から供給することを意図した、改良が加えられ安定でかつ非−刺激性の油性フォーム組成物に対する未解決の必要性は依然として残っている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、皮膚および粘膜に適用できる少なくとも一種の活性剤を含有する安定な油性フォーム形成組成物を提供する。この組成物は、気持ちよく簡単に広げることができ、結果的に患者にうまく受け入れられることになる安定な製品を提供するフォームとして調剤される。この「油性」組成物は、皮膚または粘膜の組織に局所投与される際の油性物質の感覚受容性の特徴、すなわちオイリーな感触を備えている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一観点によると、この組成物は、
a.疎水性溶媒、シリコンオイル、皮膚軟化剤、共−溶媒、およびそれらの混合物からなるグループより選択された溶媒であって、その溶媒が、全組成物の重量あたり約70%から約96.5%の濃度で存在するような溶媒、
b.全組成物の重量あたり約0.1%から約10%の濃度で存在する界面活性剤、
c.任意であるが、全組成物の重量あたり約0.1%から約5%の濃度で存在するゲル化剤、
d.治療上有効濃度の活性剤、および
e.全組成物の重量あたり約3%から約25%の濃度で存在する推進剤
を含む。
【0013】
水や任意の成分が全重量を100%にするために加えられるが、その組成物は本質的に低級アルキルアルコールを含まないであろう。一つまたはそれ以上の態様における本発明の油性組成物は、炭素鎖骨格中に5個までの炭素原子を持つ短鎖アルコールが約5%以下しか含まれない。
【0014】
一つまたはそれ以上の態様では油性組成物は、約30重量%以下、好ましくは約20重量%以下、より好ましくは10重量%以下の濃度でしか水を含まない。
【0015】
一つまたはそれ以上の態様において本発明の油性組成物は、さらに気泡アジュバントを含む。
【0016】
さらに別の態様では本発明の油性組成物は油中水滴型エマルジョンを形成する。
【0017】
一つまたはそれ以上の態様では本発明の油性組成物は、環境温度で100mlの蒸留水あたり約1グラム以下の溶解度を持つ疎水性溶媒を含む。この疎水性溶媒はミネラルオイル、MCTオイル、トリグリセライドオイル、シリコンオイル、多不飽和オイル、不飽和オイル、および精油、並びにそれらの混合液であることができる。
【0018】
一つまたはそれ以上の態様では油性組成物は共−溶媒を含有する。一つまたはそれ以上の態様での共−溶媒はポリオールである。一つまたはそれ以上の態様における共−溶媒はポリエチレングリコール誘導体、またはグリセリンである。一つまたはそれ以上の態様においては本発明の油性組成物は、少なくとも一種の疎水性溶媒と少なくとも一種の共−溶媒との混合液を含む。少なくとも一種の疎水性溶媒と少なくとも一種の共−溶媒の混合液は約1:8から約8:1の重量比であるとよい。一つまたはそれ以上の態様においては少なくとも一種の疎水性溶媒とグリセリンとの混合液が用いられ、その混合液は重量比が約1:4から約4:1、もしくは約1:2から約2:1であろう。
【0019】
一つまたはそれ以上の態様に関連する油性組成物は溶解能力の高い少なくとも一種の溶媒を含んでおり、ここでは「強溶媒」と呼ばれる。本発明の状況では強溶媒はミネラルオイル以外の溶媒であって、ミネラルオイルまたはペトロラタムのような炭化水素溶媒よりも実質的に多く、例えばミネラルオイルよりも5-倍、もしくはミネラルオイルよりも10-倍も多く特定の活性剤を溶解する。
【0020】
一つまたはそれ以上の態様における本発明の油性組成物は、ポリオール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ヘキシレングリコール、ブタンジオール類およびその異性体、グリセロール、ベンジルアルコール、ジメチルスルホキシド(DMSO)、エチルオレエート、エチルカプリレート、ジイソプロピルアジペート、ジメチルアセタミド、N-メチルピロリドン、N-ヒドロキシエチルピロリドン、ポリビニルピロリドン、イソソルバイド誘導体類、ジメチルイソソルバイド、グリコフロールおよびエトキシジグリコール(トランスクトール(transcutol))、並びにある比率でのそれらの混合物からなるグループより選択される強溶媒を含んでいる。
【0021】
一つまたはそれ以上の態様における油性組成物は、天然のポリマー材料、半合成のポリマー材料、合成のポリマー材料、無機ゲル化剤、およびそれらの混合物からなるグループより選択される少なくとも一種のゲル化剤を含んでいる。しかし別の態様ではゲル化剤は必須ではない。
【0022】
圧縮容器から放出されたときの本発明の油性組成物は約0.02グラム/mlから約0.5グラム/mLといった特定の比重を有しており、それは皮膚科的または粘膜の疾患を治療したり、緩和したり、抑制したりするのに役立つ。
【0023】
本発明のさらに別の観点では油性の油中水滴型エマルジョンが提供される。このエマルジョンは短鎖アルコールを本質的に含まない。このエマルジョンには、
a.約30重量%から約96.5重量%の濃度で疎水性溶媒、共−溶媒および皮膚軟化剤からなるグループより選択された少なくとも一種の溶媒、
b.水、
c.約0.1重量%から約10重量%以下の濃度でHLB値が約3から約10である少なくとも一種の非−イオン性親油性界面活性剤、
d.任意であるが、約0.1重量%から約5重量%の濃度の少なくとも一種のゲル化剤、
e.治療上有効濃度の少なくとも一種の活性剤、および
f.全組成物の重量あたり約3%から約25%の濃度の少なくとも一種の液化または圧縮ガスの推進剤
が含まれる。
【0024】
一つまたはそれ以上の態様ではこの油性の油中水滴型エマルジョンには炭素鎖骨格に5個までの炭素原子を持つ短鎖アルコールが約5%以下しか含まれない。別の態様ではこの油性組成物はさらに気泡アジュバントを含有する。
【0025】
一つまたはそれ以上の態様ではこの油性の油中水滴型エマルジョンは疎水性溶媒と水を約1:3から約6:1の重量比で含んでいる。
【0026】
一つまたはそれ以上の態様においてはこの油性の油中水滴型エマルジョンは、環境温度で100mlの蒸留水あたり約1グラム以下の溶解度を持つ疎水性溶媒を含んでいる。この疎水性溶媒はミネラルオイル、MCTオイル、トリグリセライドオイル、シリコンオイル、多不飽和オイル、不飽和オイル、および精油から選択できる。
【0027】
この油性の油中水滴型エマルジョンはミネラルオイル以外の疎水性溶媒、共−溶媒、および皮膚軟化剤からなるグループより選択される強溶媒を含んでいてもよく、この場合の強溶媒はミネラルオイルが活性剤を溶解するのよりも実質的に多く、例えばミネラルオイルが活性剤を溶解するのよりも少なくとも5-倍、もしくは少なくとも10-倍も多く活性剤を溶解する。
【0028】
一つまたはそれ以上の態様においてこの油性の油中水滴型エマルジョンは、油中水滴型エマルジョンの形成がうまくできるようにHLB値が約3から約10の範囲内の界面活性剤を含んでいる。
【0029】
一つまたはそれ以上の態様におけるこの油性の油中水滴型エマルジョンには天然のポリマー材料、半合成のポリマー材料、合成のポリマー材料、無機ゲル化剤、およびそれらの混合物からなるグループより選択される少なくとも一種のゲル化剤が含まれる。しかし別の態様ではゲル化剤は必須ではない。
【0030】
活性剤は治療用薬剤であってもよいし、あるいは化粧用薬剤であってもよい。治療用薬剤は、皮膚、粘膜、耳のチャネル、膣、ペニスの尿道、結腸、および直腸の疾患を治療、もしくは予防するために選択される。一態様における治療用薬剤は、抗−感染薬、抗生物質、抗細菌薬、抗真菌薬、抗ウイルス薬、抗寄生虫薬、抗炎症薬、麻酔薬、鎮痛薬、抗アレルギー薬、副腎皮質ステロイド、レチノイド、抗増殖剤、抗ガン剤、光力学的治療薬、潤滑剤およびそれらの混合物からなるグループより選択される。
【0031】
別法では活性剤は無機の固形物であり、好ましくは金属酸化物、より好ましくは酸化チタンおよび酸化亜鉛である。
【0032】
活性剤はまた、レチノイド、抗−しわ剤、ラジカル捕獲剤、自己−日焼け剤、皮膚美白剤、皮膚保護材、抗−セルライト剤、マッサージオイル、および抗−イボ薬のような化粧用薬剤であってもよい。
【0033】
別の観点での本発明は、本発明の油性組成物または油性の油中水滴型エマルジョンの治療上有効量を皮膚科的もしくは粘膜の疾患または異常を持つ患者に局所投与することによって、その疾患もしくは異常を治療、緩和または抑制する方法を提供する。
【0034】
さらに別の観点での本発明はまた、ミネラルオイルを含む炭化水素溶媒に実質的に不溶の少なくとも一種の活性剤を含有する起泡性組成物を設計する方法も提供する。この方法には、少なくとも一種の活性剤を選択する行程、およびミネラルオイルがその活性剤を溶解するよりも実質的に多くその活性剤を溶解する溶媒を同定する行程が含まれる。その方法はさらに、界面活性剤およびゲル化剤のタイプと濃度を調整して起泡性組成物を提供する行程を含むであろう。
【0035】
一つまたはそれ以上の態様において強溶媒はミネラルオイルが活性剤を溶解するのより5−倍、または10−倍多くの活性剤を溶解する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
疎水性溶媒を、特定するとオイルを泡−生成製品に配合することが困難であること、また汎用の疎水性溶媒を添加すると界面活性剤の泡形成能力が妨害されることは一般的に既知の事実であるにもかかわらず、本発明では安定な油性の起泡性組成物が驚くべきことに発見された。油性組成物は皮膚投与、経皮投与、および粘膜投与のために少なくとも一種の活性剤を含むことができる。油性組成物は気持ちよく、かつ簡単であるため患者および消費者の高い評価を得て用いられることになる安定な製品を提供するフォームとして調剤される。少なくとも一種の活性剤は治療作用のある薬剤、または化粧用の薬剤であろう。
【0037】
「油性の」という用語は、「オイルの性質または品質を持つ」と定義される。この明細書で用いられている用語「油性組成物」、「油性フォーム」、「油性エマルジョン」および「油性の起泡性組成物」などは、皮膚または粘膜組織のような身体領域に局所的に投与された場合に油性物質の感覚受容性の特徴、すなわちオイリーな感触を持つ組成物のことを相互変換可能に意味している。油性組成物およびエマルジョンについての材料および性質が記載されている。以下には油性組成物について言及して説明がなされているが、その材料は別途言わない限り油性エマルジョンで用いるのにも適していると理解される。
【0038】
驚くべきことに本発明の油性組成物は低濃度、例えば10重量%以下、時にはそれよりもずっと低濃度の界面活性剤しか必要とせず、そのため望ましくない刺激やコストのかかる原料使用のどちらも減じることができる。起泡性組成物は軽重量、すなわち低密度であり、広い身体領域に容易に、かつ気持ちよく広げられ、したがって使用するのに非常に便利で経済的である。
【0039】
本発明の油性組成物は疎水性溶媒、共−溶媒、皮膚軟化剤、およびその混合物からなるグループより選択される少なくとも一種の溶媒を含んでおり、それは再脂肪化作用および皮膚鎮静作用を提供する。一つまたはそれ以上の態様において組成物は、少なくとも30%の前述した少なくとも一種の溶媒を含んでいる。一つまたはそれ以上の態様では組成物は、少なくとも50%の前述した少なくとも一種の溶媒を含んでいる。一つまたはそれ以上の態様においては、組成物は少なくとも65%の前述した少なくとも一種の溶媒を含んでいる。選択された溶媒によって配合剤中にオイル−可溶性活性剤を含有させることが可能になる。一つまたはそれ以上の態様において、その溶媒は活性剤と組み合わせることで共同的な利点をもたらす。その組成物は少なくとも一種のオイル可溶性の活性剤を含むことができる。
【0040】
一つまたはそれ以上の態様においてその組成物は、安定なフォームを発生させるためにフォーム形成剤は低濃度しか必要としない。界面活性剤は高い濃度で皮膚と接触させると刺激があることがわかっているため、界面活性剤を減少させる要求には利点がある。
【0041】
起泡性組成物は容易に塗り広げることができ、腕、背中、体幹、脚、および旨のような広い領域を処置することが可能になる。そのうえ流動性を高めた特徴のためそれらは皺襞やしわの中に効果的に広がって皮膚に吸収され、広範囲にこする必要なく活性剤を均一に分配させることができ、したがって広い身体領域を治療するのに魅力的な手段となる。起泡性組成物は体腔を治療するため、例えば膣、ペニスの尿管、直腸、および耳のチャネルなどを治療するためにもその広がりやすい性質のために使用できる。一つまたはそれ以上の態様においてはこの起泡性組成物はまた、薬物を経皮投与するために用いることが可能である。
【0042】
クラスAフォーム組成物
一観点によると本発明は、
濃度が約70重量%から約96.5重量%であって、疎水性溶媒、共−溶媒、皮膚軟化剤およびそれらの混合物からなるグループから選択される少なくとも一種の溶媒、
濃度が約0.1重量%から約10重量%で、任意ではあるがHLB値が約9またはそれ以下である少なくとも一つの非−イオン性界面活性剤、
任意であるが、濃度が約0.1重量%から約5重量%の少なくとも一種のゲル化剤、
治療上有効濃度の少なくとも一種の活性剤、および
濃度が全組成物の約3重量%から約25重量%の推進剤
を含む局所適用のための油性フォーム組成物を提供する。
【0043】
この組成物の均衡状態には水と付加的な任意の成分が含まれる。フォーム組成物の含有量はここでは濃度(重量パーセント、%w/w)として表される。フォーム組成物は均質な混合液またはエマルジョンである。
【0044】
このような組成物は圧縮された噴霧容器に収容され、その容器から放出されると新たな治療上で有益性の高いフォーム生成物が形成される。
【0045】
水の含有量が少ないと、皮膚や身体の組織の高い潤滑性、再脂肪化、皮膚作用における活性成分の残留調節性、および活性剤の効果的皮膚吸収がもたらされる。また水に弱い活性剤の崩壊を避ける助けにもなる。
【0046】
このように一つまたはそれ以上の態様における油性組成物は、約30重量%もしくはそれ以下の濃度、または約20重量%以下の濃度、または約10重量%以下の濃度で水を含んでいる。
【0047】
油性組成物は任意であるが実質的に短鎖アルコールを含まず、すなわちその骨格中の炭素原子が5個またはそれ以下である短鎖アルコールは約5重量%以下しか含有せず、また気泡アジュバントは更に含んでいても良い。
【0048】
一態様に関連する油性組成物は、疎水性溶媒、皮膚軟化剤、および少なくとも一種の共−溶媒からなるグループより選択される溶媒を含んでいる。一態様に関連する共−溶媒は水に不溶の短鎖アルコール以外の有機溶媒である。このような共−溶媒の非−限定的な例としては、ポリオール類、プロピレングリコール、グリセロール、および他のポリヒドロキシ溶媒(ポリオール類)が挙げられる。好ましくはこの組成物は共−溶媒としてグリセロールを含有する。一態様においてこの組成物は疎水性溶媒成分と共−溶媒を約4:1と約1:4の範囲の重量比で、または約2:1から1:2の重量比で含んでいる。本発明のさらに別の態様では共−溶媒はエマルジョンの連続相を構成しており、少量の水はこの共−溶媒相に含まれる。
【0049】
このような組成物は噴霧容器に入れられ、その噴霧容器から放出されると治療上で有益性の高いフォーム生成物が形成される。
【0050】
クラスBフォーム組成物
一観点に関連する本発明は、油中水滴型エマルジョン、すなわち少なくとも一種の疎水性成分(油相)を含む一相と水を含む一相とが存在するエマルジョンである場合の油性フォームを提供する。エマルジョンの連続相が油相であるという実際により、その組成物はオイリーな感触、皮膚の特徴における活性成分の残留調節性、および保護作用をもたらす。注目すべきことであるが、連続した油相を持つ組成物は高濃度の界面活性剤がないとフォームを形成しそうにないことが知られているにもかかわらず、この油性の油中水滴型エマルジョンは驚くべきことに低密度で安定なフォームを形成する。一つまたはそれ以上の態様においてはクラスAおよびクラスBの組成物の間で部分的に一致しているが、クラスB組成物が油中水滴型エマルジョンとして形成されることとは異なっている。
【0051】
一態様に関連する油中水滴型エマルジョン組成物は、
濃度が約30重量%から約96重量%であって、疎水性溶媒、共−溶媒、皮膚軟化剤、およびそれらの混合液からなるグループより選択される少なくとも一種の溶媒、
濃度が1重量%から約70重量%の水、
例えば濃度が約0.1重量%から約10重量%、または約0.1重量%と約5重量%の間、または約0.1重量%および約2重量%の間の濃度で、HLB値が約3から約10、より好ましくは約3.5から約9である少なくとも一つの非−イオン性の親油性界面活性剤、
任意であるが、濃度が約0.1重量%から約5重量%の少なくとも一種のゲル化剤、
治療上有効濃度の少なくとも一種の活性剤、および
濃度が全組成物の約3重量%から約25重量%の推進剤
を含んでおり、噴霧容器内に入れられる。
【0052】
別の態様によると油相と水との間の比は約1:3と約6:1との間である。
【0053】
油性フォームエマルジョンは、その連続相中に疎水性溶媒、共−溶媒、皮膚軟化剤、およびそれらの混合物からなるグループより選択される少なくとも一種の溶媒を持つ組成物であり、身体の表面に適用した場合にオイリーな感触があることに特徴がある。
【0054】
油性組成物、すなわちエマルジョンは、皮膚作用における活性成分の残留量の調節性を高めることを可能にするものであり、それはまた、活性剤の薬物残留時間と皮膚への浸透性を調節できるものでもある。さらに油性組成物およびエマルジョンは潤いを与える作用、再脂肪化作用、保護作用および潤滑作用をもたらし、そのすべてが皮膚科的疾患の治療に貢献する。こうして油性ビヒクルと活性剤を含んでいるこの性質の組成物は共同的な治療効果を提供すると期待される。
【0055】
溶媒
本発明の組成物の溶媒は、疎水性溶媒、皮膚軟化剤、シリコンオイル、共−溶媒、およびそれらの混合液からなるグループより選択される。この溶媒は少なくとも連続相を占めているが、組成物がエマルジョンである場合はこの例では不連続相に分配されていてもよい。
【0056】
疎水性溶媒
ここで用いられている「疎水性溶媒」は限定する訳ではないが、環境温度で蒸留水100mLあたり約1グラム以下、または100mLあたり約0.5グラム以下、または100mLあたり約0.1グラム以下と同程度の溶解度を持つ材料を含む。それは環境温度で液体である。水へのその溶解度によって疎水性溶媒は認定されるが、この起泡性組成物の何らかの特定の活性剤や何らかの他の成分についてのその溶媒の溶解能力を特徴づけることは想定されていない。むしろそのような情報は、ここに記載された起泡性組成物の疎水性溶媒として使用するのに適した材料を同定する際の助けとなるべく用いられる。
【0057】
一態様において溶媒はミネラルオイルのような疎水性溶媒である。ミネラルオイル(ケミカル アブストラクト サービス登録番号8012-95-1)は石油から誘導される脂肪性、ナフタレン性、および芳香性の液状炭化水素の混合物である。それらは通常は液体であって粘度は約35CSTと約100CST(40℃で)の間の範囲内であり、またそれらの流動点(過剰量のワックスクリスタルを形成して流動を抑制することなくオイルを取り扱うことのできる最低温度)は0℃以下である。対照的に「ワセリン」とも言われるホワイトペトロラタムは、そのワックス状の性質とペトロラタムの半−固体状の特質によって不都合である。適用した後にロウ状でねばねばした感触が残ったままになり、時には布にしみをつけてしまうことがわかっている。このようにホワイトペトロラタムは他のワックス様で半−固体状の化合物と同様に本発明に関する疎水性溶媒としては望ましくない。
【0058】
一態様によると本発明の油性フォーム組成物はミネラルオイル、トリグリセライドオイル、脂肪酸のエステル、ジカルボン酸のエステル、シリコンオイル、多不飽和オイル、不飽和オイルおよび精油から選択される疎水性溶媒を含んでいる。
【0059】
一つの態様によると疎水性溶媒は植物起源、海産物起源、または動物起源の液状オイルである。この疎水性溶媒は飽和または不飽和オイルからなるグループより選択されてもよい。好ましくは不飽和オイルはオリーブ油、コーン油、大豆油、キャノーラ油、綿実油、ココナツ油、ゴマ油、サフラワー油、ルリヂサ実油、シジジウムアロマチクム(syzigium aromaticum)油、麻実油、ニシン油、タラの肝油、サケ油、亜麻仁油、小麦胚芽油、マツヨイグサ油、およびそれらのいくらかの比率での混合物からなるグループより選択される。
【0060】
あるクラスの疎水性溶媒には限定するわけでないが、オメガ-3およびオメガ-6脂肪酸といった多不飽和オイルが含まれ、それは異なる作用モードを経る治療上の特徴を有していることがわかっている。このような多不飽和脂肪酸の例は、リノール酸およびリノレン酸、ガンマ−リノール酸(GLA)、エイコサペンタエン酸(EPA)、並びにドコサヘキサエン酸(DHA)である。こうして本発明の一態様では疎水性溶媒は、オメガ−3オイル、オメガ−6オイル、およびそれらの混合液から選択されるオイルの少なくとも6%を含んでいる。
【0061】
別の種類の疎水性溶媒は、「治療用オイル」と考えられている精油である。治療用オイルは活性な生物学的に産生される分子を含んでおり、局所適用されると治療作用を発揮する。このようなオイルの例は、レチノイドを含み、挫瘡および挫瘡後の瘢痕を減じることが知られているバラの実の油、また、抗細菌性、抗真菌性および抗ウイルス性の性質といった抗菌作用を持つチャノキ油である。精油の別の例としては、バジル、カンファー、カルダモン、キャロット、ラベンダー、レモン、マンダリン、マヨラナ、ミルラ、ネロリ、ナツメグ、プチグレイン、セージ、タンジェリン、バニラ、ベルベナ、同様に本草医薬品の技術分野で知られている他の治療的効果のあるオイルが挙げられる。
【0062】
皮膚軟化剤
溶媒の別の種類は、特に皮膚や粘膜表面のような身体の表面に適用された場合に柔軟作用、再脂肪化作用、または緩和作用を持つ「皮膚軟化剤」である。皮膚軟化剤は必ずしも疎水性である必要はなく、またここに記載された起泡性組成物の活性剤もしくは他の成分を必ずしも溶解する必要もない。この定義の概念から逸脱せずに使用するに適した皮膚軟化剤の例にはヘキシレングリコール、プロピレングリコール、イソステアリン酸誘導体、イソプロピルパルミテート、イソプロピルイソステアレート、ジイソプロピルアジペート、ジイソプロピルジメレート、マレイン化大豆油、オクチルパルミテート、セチルラクテート、セチルリシノレエート、トコフェリルアセテート、アセチル化ラノリンアルコール、セチルアセテート、フェニルトリメチコン、グリセリルオレエート、トコフェニルリノレエート、小麦胚芽グリセライド類、アラキジルプロピオネート、ミリスチルラクテート、デシルオレエート、プロピレングリコールリシノレエート、イソプロピルラノエート、ペンタエリスリチルテトラステアレート、ネオペンチルグリコールジカプリレート/ジカプレート、イソノニルイソノナノエート、イソトリデシルイソノナノエート、ミリスチルミリステート、トリイソセチルシトレート、オクチルドデカノール、脂肪酸のスクロースエステル、オクチルヒドロキシステアレート、およびそれらの混合物が含まれる。他の好適な皮膚軟化剤の例は、Cosmetic Bench Reference, pp.1.19-1.22 (1996)に記載されているであろう。
【0063】
シリコンオイル
シリコンオイルは皮膚の保護作用を有しており、皮膚における活性成分の残留分の調節が容易に行える。シリコンオイルは揮発性シリコンオイル、または非−揮発性シリコンオイルのいずれであってもよい。ジメチコンコポリオールのような水溶性シリコンは本発明に関連するシリコンオイルの定義(疎水性溶媒として)には含まれない。一態様において疎水性溶媒は少なくとも2%(w/w)のシリコンオイル、または少なくとも5%(w/w)のシリコンオイルを含む。
【0064】
この明細書に列挙された疎水性溶媒からなるいくつかの比率の混合液が使用可能である。
【0065】
共−溶媒
本発明に関連している「共−溶媒」は、短鎖アルコール、すなわち一般的には水と油の両方に可溶なアルコール以外の有機溶媒である。本発明に関連する共−溶媒の例には、ポリオール類、スルホキシド類、オレエート類、ラクタム化合物、エステル類、アミド類、アルカン酸類およびアルカノール類、並びにそれらの混合液が含まれる。代表的なポリオール類には、グリセロール(グリセリン)、プロピレングリコール、ヘキシレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、n-アルカノール類、テルペン類、ジ−テルペン類、トリ−テルペン類、テルペノール類、リモネン、テルペン−オール、1−メントール、ジオキソラン、エチレングリコール、および他のグリコール類が含まれる。代表的なスルホキシド類は、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルホルムアミド、メチルドデシルスルホキシド、およびジメチルアセタミドが含まれる。代表的なオレエート類は、エトキシ化グリセライド類(8個から10個のエチレンオキサイドユニットを持つ)とトリオレインを含む。代表的なラクタム化合物はアゾン(1-ドデシルアザシクロヘプタン-2-オン)および2-(n-ノニル)-1,3-ジオキソランを含む。代表的なエステル類には、イソプロピルミリステート/パルミテート、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル、カプリン酸/カプリル酸トリグリセライド、オクチルミリステート、およびドデシルミリステートが含まれる。代表的なアミド類はアセトアミドを含む。他の好適な共−溶媒は、ミリスチルアルコール、ラウリルアルコール、ラウリル酸、ラウリルラクテートケトン類、カプリル酸などの種々のアルカン酸、およびジアルキルアミノアセテート類などのアルカノール類を含む。
【0066】
一態様によると共−溶媒はポリエチレングリコール(PEG)またはPEG誘導体、およびその混合液であり、それは環境温度で流動性であってPEG200(分子量は約190-210kD)、PEG300(分子量は約285-315kD)、PEG400(分子量は約380-420kD)、PEG600(分子量は約570-630kD)、さらにもっと大きな分子量のPEG、すなわちPEG4000、PEG6000およびPEG1000、並びにそれらの混合物などであるが、ただしそのPEGまたはPEGの混合液は環境温度で流動可能であるべきである。「流動可能」に関して言うとその用語が意味するところは、ポリエチレングリコールが環境温度で粘性であることであろう。PEGまたはPEG混合液は環境温度で粘性が約20,000cps、または環境温度で約10,000cps以下であるとよい。
【0067】
一つまたはそれ以上の態様において溶媒は、例えばフリードマン(Friedman)に与えられた米国特許明細書第6,544,530号に記載されたような疎水性溶媒とグリセリンの混合液(例えばエマルジョン)である。疎水性溶媒とグリセリンの比率は約1:4から約4:1の範囲内、より好ましくは約1:2から約2:1の範囲内であるとよい。
【0068】
数個の事例では、対象の溶媒は皮膚軟化剤と共−溶媒の両方であると定義してもよい。共−溶媒は選択された活性剤に対する強溶媒である場合もある。
【0069】
強溶媒
本発明の一つまたはそれ以上の態様において起泡性組成物は、その組成物の疎水性溶媒、共−溶媒および皮膚軟化剤に加えて、またはそれらのうちの一つに代えて強溶媒を含む。強溶媒は以外の溶媒であって、それはミネラルオイルまたはペトロラタムのような炭化水素溶媒よりも実質的に多くの特定の活性剤を溶解する。例えば強溶媒は炭化水素溶媒よりも5倍も多く活性剤を溶解し、また炭化水素溶媒よりも10倍も多く活性剤を溶解する場合すらある。強溶媒への対象の活性剤の溶解度はミネラルオイルへのそのそれぞれの溶解度に比較して、組成物のない状態で測定される。すなわち、強溶媒単独はミネラルオイル単独よりも多くの活性剤を溶解する。これは、強溶媒が組み入れられる組成物とは関係のない、非依存性のテストである。
【0070】
本発明の一つまたはそれ以上の態様において組成物は、治療上有効濃度の少なくとも一種の活性剤と、この組成剤に含まれるその少なくとも一種の活性剤を実質的に溶解するのに充分な量の少なくとも一種の強溶媒とを含む。「実質的に溶解する」という用語は、活性剤の少なくとも95%が溶解すること、すなわち活性剤の5%またはそれ以下が固体のままで存在していることを意味している。一つまたはそれ以上の態様においては、その少なくとも一種の強溶媒の濃度は本発明の組成物の少なくとも一種の溶媒の約40%以上であり、約60%以上の場合すらある。
【0071】
活性剤と強溶媒の組み合わせについての非限定的な例は、
ベタメタゾンバレレート/グリコフロール:ミネラルオイルには事実上不溶(<0.01%);グリコフロールには1%以上可溶。
ヒドロコルチゾンブチレート/グリコフロール:ミネラルオイルには事実上不溶(<0.01%);グリコフロールには1%以上可溶。
メトロニダゾール/ジメチルイソソルバイド:ミネラルオイルには事実上不溶(<0.01%);ジメチルイソソルバイドには1%以上可溶。
ケトコナゾール/ジメチルイソソルバイド:ミネラルオイルには事実上不溶(<0.01%);グリコフロール、プロピレングリコールおよびジメチルイソソルバイドには1%以上可溶。
ムピロシン/種々の溶媒:ミネラルオイルには事実上不溶(<0.01%);グリコフロール、ヘキシレングリコール、ジメチルイソソルバイド、プロピレングリコールおよびポリエチレングリコール400(PEG400)には1%以上可溶。
メロキシカム、すなわち非ステロイド性抗−炎症薬/プロピレングリコール:ミネラルオイルには事実上不溶(<0.001%);プロピレングリコールに可溶:0.3mg/mL、およびPEG400に可溶:3.7mg/mL。
プロゲステロン/PEG400:ミネラルオイルには事実上不溶(<0.001%);PEG400に可溶:15.3mg/mL。
を含む。
【0072】
強溶媒であると考えてよい溶媒についての非−限定的な代表例のリストには、ポリオール類、ポリエチレングリコール(PEG)、プロピレングリコール、ヘキシレングリコール、ブタンジオール類およびその異性体、グリセロール、ベンジルアルコール、DMSO、エチルオレエート、エチルカプリレート、ジイソプロピルアジペート、ジメチルアセタミド、N-メチルピロリドン、N-ヒドロキシエチルピロリドン、ポリビニルピロリドン、ジメチルイソソルバイドのようなイソソルバイド誘導体、グリコフロールおよびエトキシジグリコール(トランスクトール)、並びに幾分かの比でのそれらの混合液が含まれる。
【0073】
別の観点における本発明は、少なくとも一種の活性剤をを選択し、その活性剤をミネラルオイルまたはペトロラタムよりも実質的に多く溶解できる溶媒、例えばミネラルオイルまたはペトロラタムのような炭化水素溶媒よりも5-倍も多く、もしくは10-倍多くと同等程度までも活性剤を溶解できる溶媒を同定することによって安定な油性の起泡性組成物を設計する方法を提供する。この方法はさらに、起泡性組成物を提供するために界面活性剤とゲル化剤のタイプと濃度を適合させる行程も含む。
【0074】
フォーム組成物に強溶媒を使用することによって標的領域へ可溶性が不十分な治療薬を供給する改善される方法を提供する。薬物の溶解度が低いと生物学的利用可能性が不十分であり、治療効果が小さくなってしまうことがわかっている。本発明のフォーム組成物は溶媒が強溶媒を含有しているために溶媒中の活性剤レベルが上昇し、したがって供給性が高まって治療効果が向上する。
【0075】
ここで定義されたような強溶媒は通常は液体である。強溶媒と活性剤を含む配合剤は、それらを使用する際には好ましくないしたたりが起きて不都合の生じる適用方法となり、結果的に不適当な投与量になってしまうため、治療法としては通常は不利である。ここに記載されたフォームはしたたりがなく、このような活性剤にとって優れたビヒクルを提供するものであって、簡便な使用法を可能にするとともに正確な有効量投与を可能にする。
【0076】
本発明の溶媒は、疎水性溶媒、シリコンオイル、皮膚軟化剤、共−溶媒、および強溶媒からなるグループより選択された上記の溶媒の、何らかの比での混合液を含んでいるであろう。
【0077】
界面活性剤
界面活性剤は、エマルジョンを形成し、および/またはフォームへ変化する際に有用な薬剤を含むとよい。界面活性剤の親水性/親油性バランス(HLB)は、水または油に対するその界面活性剤の親和性を表している。HLBスケールは約1(全体としては親油性)から45(全体としては親水性)の範囲であり、非−イオン性界面活性剤の場合は1から20(全体としては親水性)の範囲であって、10は親水性と親油性の両方の特性が同等のバランスであることを表している。親油性乳化剤は油中水滴型(w/o)エマルジョンを生成し、親水性界面活性剤は水中油滴型(o/w)エマルジョンを生成する。二つの乳化剤の混合物のHLBは、乳化剤Aの重量フラクションにHLB値をかけ、乳化剤Bの重量フラクションにHLB値をかけて加えた値に等しい(例えば加重平均)。
【0078】
何らかの特定理論または演算式と結びつけることを望んでいるわけではないが、親水性界面活性剤は水中油滴型(o/w)ミクロエマルジョンを生成し、これに対して親油性界面活性剤は油相に水相を入れた乳化作用を促進させるために用いられる。
【0079】
一つまたはそれ以上の態様に関連する本発明の油性組成物は少なくとも一種の界面活性剤、すなわち配合剤の安定化と満足のゆく泡の発生のどちらも意図する界面活性剤を含む。
【0080】
界面活性剤の濃度が高いと皮膚や粘膜に炎症を起こすことがわかっているため、イオン性界面活性剤の濃度が低い組成物は安全性に関しては望ましい。この技術分野の幾分かの起泡性の油性組成物ではありそうにないが、安定で比重が低く、かつ微細な泡構造を持つ泡を得るために用いられる全界面活性剤はかなり少ない。界面活性剤の量、特にイオン性界面活性剤の量が少ないと皮膚の炎症を減少させる助けとなる。界面活性剤の全体量は起泡性組成物の約0.1%から約10%以下の範囲内であるとよく、約5%以下、さらに約2%以下と同等であるとよい。さらに一またはそれ以上の態様において、本発明の組成物が液状の極性ポリオールまたはポリオール混合物、例えばポリエチレングリコールを含む場合、フォームは界面活性剤がなくても生成できる。
【0081】
一つまたはそれ以上の態様に関連する界面活性剤は、親水性、疎水性、および親水性と疎水性の界面活性剤の混合物から選択される。当業者にはよく知られているとおり、「親水性」および「疎水性」という用語は相対的な用語である。界面活性剤の組み合わせがあり得る。
【0082】
一つまたはそれ以上の態様によると、油中水滴型エマルジョンの配合剤にとって好適な界面活性剤はHLB値が10以上ではなく、例えば約3から約9である。したがってこの組成物はHLB値が3から9の間の単独の界面活性剤を含んでいてもよいし、またHLB値が3から9の間の加重平均であるような界面活性剤の混合物を含んでいてもよい。
【0083】
好適な油中水滴型エマルジョンには限定するわけでないが、ソルビタンラウレートおよびソルビタンパルミテートのようなソルビタン誘導体、ラウレス-4(laureth-4)のようなアルコキシ化アルコール、ジメチコンコポリオールのような重合性シリコンのヒドロキシ化誘導体、セチルジメチコンコポリオールのようなヒドロキシ化された重合性シリコンのアルキル誘導体、ポリグリセリル-4-イソステアレートのようなグリセリルエステル、イソステアロイル-2-ラクチレートナトリウムのようなビーズワックス誘導体、レシチン、並びにそれらの誘導体が含まれる。シリコンオイルといったオイル成分と複合化させる場合の好適な乳化剤は、重合性シリコンのヒドロキシル化誘導体、およびそのアルキル化誘導体である。
【0084】
本発明の一またはそれ以上の態様によると、この組成物は少なくとも一種の非−イオン性界面活性剤を含んでいる。一つまたはそれ以上の態様ではこのそれ異物は、少なくとも一種の非−イオン性界面活性剤と、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、および両イオン性界面活性剤からなるグループより選択された少なくとも一種のイオン性界面活性剤とを、約1:1および約20:0.1の間の重量比で、好ましくは約4:0.1から約20:0.1の重量比で含んでいる。
【0085】
特定の界面活性剤の選択は、この組成物で用いられるはずの特定の疎水性治療薬を考慮に入れてなされるべきであり、その極性は選択された治療薬に対して適合させる。これらの一般的原理を考慮に入れると非常に広範囲の界面活性剤が適合する。
【0086】
あり得る界面活性剤について更なる非−限定的な例としては、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノステアレート(トウィーン60)およびポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエート(トウィーン80)のようなポリソルベート類、Myrj 45、Myrj 49およびMyrj 59のようなポリオキシエチレン(POE)脂肪酸エステル類、ポリ(オキシエチレン)セチルエステル、ポリ(オキシエチレン)パルミチルエステル、ポリエチレンオキサイド ヘキサデシルエステル、ポリエチレングリコールセチルエステル、brij 38、brij 52、brij 56およびbrij W1のようなポリ(オキシエチレン)アルキリルエステル類、スクロースエステル類、ソルビタンモノラウレートおよびソルビタンモノラウレートのようなソルビトールの部分的エステル類およびソルビトールの無水物類、脂肪アルコール類または酸類、モノまたはジグリセライド類、イソセテス(isoceteth)-20、メチルココイルタウリン酸ナトリウム、メチルオレオイルタウリン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、トリエタノールアミンラウリル硫酸、並びにベタイン類が挙げられるが、ただしこの際、単独の界面活性剤の場合はHLB値が3および9の間であって、界面活性剤の混合物の場合はHLB値の加重平均が3および9の間である。
【0087】
一またはそれ以上の態様においてはこの少なくとも一種の界面活性剤はリン脂質である。一またはそれ以上の態様においてリン脂質はホスファチジルコリン、すなわち1,2-ジアシル-sn-グリセロル-3-ホスホリルコリンであり、これは「レシチン」とも言われ、界面活性剤の性質を持つ天然に存在するリン脂質である。レシチンは生物組織の膜に最も多く含まれる脂質であり、そのため非−刺激性であろうと考えられる。レシチンは人の皮膚のリン脂質の組成に非常によく似た組成のリン脂質組成物である。この理由によって約10重量%のレベルでレシチンを乳化剤または界面活性剤として使用することが可能である。一つまたはそれ以上の態様において界面活性剤は約10重量%までのレシチンを含んでおり、そして界面活性剤全量(界面活性剤の混合物が用いられる場合)は15重量%までであるとよい。
【0088】
高濃度の界面活性剤が皮膚に炎症を起こすことがわかっているため、イオン性界面活性剤を低濃度で含むか、またはイオン性界面活性剤を含まないのと同等の組成物が安全性に関しては望ましい。
【0089】
ゲル化剤
本発明の一つまたはそれ以上の態様に関連する組成物は、約0.1%から約5%の濃度の少なくとも一種のゲル化剤を含む。その少なくとも一種のゲル化剤は天然のポリマー材料、半−合成のポリマー材料、合成のポリマー材料、無機のゲル化剤、およびそれらの混合物からなるグループより選択される。さらに一またはそれ以上の態様では、有望な性質を持つフォームはゲル化剤を含まなくても製造することが可能である。
【0090】
本発明の一つまたはそれ以上の態様に関連して用いることのできる代表的なゲル化剤としては、限定するわけではないが、例えばイナゴマメガム(locust bean gum)、アルギン酸ナトリウム、ソジウムカゼイネート(sodium caseinate)、卵のアルブミン、ゼラチン寒天、カラギーニンガム ソジウムアルギネート、キサンタンガム、マルメロ種子の抽出物、トラガカントガム、デンプン、化学修飾されたデンプンおよびその類似物のような天然に存在するポリマー材料、セルロースエーテル類(例えば、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース)、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、グアーガム、ヒドロキシプロピルグアーガム、可溶性デンプン、カチオン性セルロース類、カチオン性グアー類、およびその類似物のような半−合成のポリマー材料、並びにカルボキシビニルポリマー類、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコールポリアクリル酸ポリマー類、ポリメタクリル酸ポリマー類、ポリビニルアセテートポリマー類、ポリビニルクロライドポリマー類、ポリビニリデンクロライドポリマー類、およびその類似物のような合成のポリマー材料が挙げられる。任意であるが、上記の化合物の混合物も企画予想される。
【0091】
脂肪酸や脂肪アルコールのようなフォーム安定化剤が存在しない場合でさえも高いフォーム安定性と、興味をそそるほどの感覚受容性の感触をもったフォームを生成するフォーム組成物を、ある種のゲル化剤が提供することが驚異をもって発見された。そのゲル化剤は両親媒性の共重合体のクラスから選択される。両親媒性の共重合体には、疎水基と親水基またはそれらの領域を持つポリマーが含まれる。これらの材料は、そのポリマーの親水性領域および疎水性領域が組成物の親水性成分および親油性成分とそれぞれ相互作用するように働いて安定化するために、別の言い方として「ポリマー性界面活性剤」と呼ばれる。共重合体はランダム共重合体であってもよいし、グラフト共重合体または櫛形共重合体のブロック共重合体であってもよい。代表的な両親媒性の共重合体は、生物崩壊性のポリマーであるジ−、トリ−、または多−ブロック共重合体またはグラフト共重合体である。
【0092】
ポリマー性界面活性剤はアクリレート共重合体であってもよく、その場合、疎水性部分が親水性ポリマーに化学的に結合したり、あるいは親水性部分が疎水性ポリマーに付着したりして両親媒性の界面活性作用があってかつ界面安定化作用のある薬剤が生成する。例としての好適なポリマー性界面活性剤には、アクリル酸と疎水性のコモノマーとの架橋共重合体、例えばペムレンTR-1(Pemulen TR-1)およびペムレンTR-2、ETD 2020およびカルボポル 1382(Carbopol 1382)(すべてアクリレート/C10-30 アルキルアクリレート架橋重合体)、ナトロゾル CS プラス 330(Natrosol CS Plus 330)と430およびポリサルフ67(Polysurf 67)(全て、セチルヒドロキシエチルセルロース)、アキュリン22(Aculyn 22)(アクリレート/ステアレス-20 メタクリレート共重合体)、アキュリン25(アクリレート/ラウレス-25 メタクリレート共重合体)、アキュリン28(アクリレート/ベヘネス-25 メタクリレート共重合体)、アキュリン46(PEG-150/ステアリルアルコール/SMDI共重合体)、スタビレン30(Stabylen 30)(アクリレート/ビニルイソデカノエート)、ストラクチャー2001(アクリレート/ステアレス-20 イタコネート共重合体)、ストラクチャー3001(アクリレート/セテス-20 イタコネート共重合体)、およびストラクチャープラス(アクリレート/アミノアクリレート/C10-30 アルキルPEG 20イタコネート共重合体)のような架橋共重合体が含まれる。ここでPEGはポリエチレングリコールであり、PPGはポリプロピレングリコールである。
【0093】
他の例示的な両親媒性共重合体は、両親媒性シリコンポリオールまたは例えばセチルジメチコンコポリオールおよびジメチコンコポリオールPPG-3オレイルエーテルといったコポリオール、アセチル化デンプン誘導体、両親媒性の修飾型デンプン、並びにエチレンオキサイド、プロピレンオキサイドおよび/またはプロピレングリコールの両親媒性のブロック共重合体(「ポロキサマー(poloxamer)」としても知られている)のようなポリマーを含む。
【0094】
ゲル化剤は、両親媒性共重合体と組み合わせて他のタイプのゲル化剤を含んでいてもよい。例えば天然に存在する濃化剤を含んでいてもよい。代表的な重合性材料には、イナゴマメガム(locust bean gum)、アルギン酸ナトリウム、ソジウムカゼイネート(sodium caseinate)、卵のアルブミン、ゼラチン寒天、カラギーニンガム ソジウムアルギネート、キサンタンガム、マルメロ種子の抽出物、トラガカントガム、デンプン、化学修飾されたデンプンおよびその類似物、さらにセルロースエーテル類(例えば、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース)、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、グアーガム、ヒドロキシプロピルグアーガム、可溶性デンプン、カチオン性セルロース類、カチオン性グアー類、およびその類似物のような半−合成のポリマー材料、さらにカルボキシビニルポリマー類、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコールポリアクリル酸ポリマー類、ポリメタクリル酸ポリマー類、ポリビニルアセテートポリマー類、ポリビニルクロライドポリマー類、ポリビニリデンクロライドポリマー類およびその類似物のような合成のポリマー材料が挙げられる。任意であるが、上記の化合物の混合物も企画予想される。
【0095】
両親媒性共重合体は、ペムレンポリマー性海面活性剤、アクリレート/C10-30 アルキルアクリレート架橋重合体、セチルヒドロキシエチルセルロース、アクリレート/ステアレス-20 メタクリレート共重合体、アクリレート/ラウレス-25 メタクリレート共重合体、アクリレート/ベヘネス-25 メタクリレート共重合体、PRG-150/ステアリルアルコール/SMDI共重合体、アクリレート/ビニルイソデカノエート、アクリレート/ステアレス-20 イタコネート共重合体、アクリレート/セテス-20 イタコネート共重合体、およびアクリレート/アミノアクリレート/C10-30 アルキルPEG 20イタコネート共重合体、両親媒性シリコンポリオール、アルキルジメチコンコポリオール、セチルジメチコンコポリオール、ジメチコンコポリオールPPG-3オレイルエーテル、アセチル化デンプン誘導体類、両親媒性の修飾型デンプン類、並びにエチレンオキサイド、プロピレンオキサイドおよび/またはプロピレングリコールの両親媒性ブロック共重合体からなるグループより選択することができる。
【0096】
さらに例示的なゲル化剤は、アクリル酸/アクリル酸エチル共重合体およびカルボキシビニル重合体、すなわち例えばB. F. グッドリッチカンパニー(B. F. Goodrich Company)よりカルボポル(登録商標)(Carbopol)樹脂という登録商標で販売されているポリマーを含む。これらの樹脂は、アクリル酸をポリアリルスクロースまたはポリアリルペンタエリスリオールのような架橋剤、0.75%から2%と架橋させたコロイド状の水−溶解性ポリアルケニルポリエーテル架橋型重合体から本質的になる。例としてはカルボポル(登録商標)934、カルボポル(登録商標)940、カルボポル(登録商標)950、カルボポル(登録商標)980、カルボポル(登録商標)951、およびカルボポル(登録商標)981が挙げられる。カルボポル(登録商標)934は、それぞれのスクロース分子あたり約5.8個のアリル基を平均して持つスクロースのポリアリルエーテルと、アクリル酸とを架橋させた水−溶性ポリマーである。
【0097】
さらに別のゲル化剤のグループには、AEROSIL 200 (DEGUSSA)とは限らないがそのような二酸化ケイ素(発煙シリカ)などの無機のゲル化剤が限定するわけでないが含まれる。
【0098】
ゲル化剤は、起泡性組成物の約0.1%から約5.0重量%の範囲内の量で入っている。一つまたはそれ以上の態様においてはそれは通常、起泡性組成物の1重量%以下である。
【0099】
ゲル化剤は約0.1%から5.0重量%の量でフォーム担体、すなわち組成物中に存在している。起泡性組成物に含まれるゲル化剤が、その起泡性の油性組成物の1重量%以下のこともある。
【0100】
気泡アジュバント
本発明の油性組成物は任意であるが、さらに少なくとも一種の気泡アジュバントを含む。一つまたはそれ以上の態様における気泡アジュバントは、その炭素鎖に15個またはそれ以上の炭素を持つ脂肪アルコール、すなわちセチルアルコールおよびステアリルアルコール(またはそれらの混合物)のような脂肪アルコールを含む。脂肪アルコールの例としてはオレイルアルコール(C18、不飽和)、アラキジルアルコール(C20)、ベヘニルアルコール(C22)、1-トリアコンタノール(C30)が挙げられるとともに、同様にもっと長い炭素鎖(C50まで)を持ったアルコールも含まれる。気泡系を保つのに必要とされる脂肪アルコールの濃度はその炭素鎖の長さと逆比例の関係にある。アルコールの混合物を含む蜜蝋から誘導される脂肪アルコールの大部分はその炭素鎖に少なくとも20個の炭素原子を有しており、それは本発明にかかる気泡アジュバントとして特に好適である。
【0101】
本発明の一つまたはそれ以上の態様に関連する別の種類の気泡アジュバントはその炭素鎖に16個またはそれ以上の炭素を持っている脂肪酸、例えばヘキサデカノン酸(C16)、ステアリン酸(C18)、アラキジン酸(C20)、ベヘン酸(C22)、オクタコサノン酸(C28)を含み、同様にもっと長い炭素鎖(C50まで)をもつ脂肪酸、またはそれらの混合物を含む。
【0102】
任意ではあるが脂肪アルコールまたは脂肪酸の炭素原子鎖は少なくとも一つの二重結合を持っていてもよい。本発明に関連する別の種類の気泡アジュバントは炭素原子鎖が分枝状になった長鎖の脂肪アルコールまたは脂肪酸を含んでいる。追加できる好適な種類の気泡アジュバントはその脂肪酸の炭素鎖が水酸基で置換されたものであって、例えば12-ヒドロキシステアリン酸である。
【0103】
本発明にかかる気泡アジュバントは脂肪アルコール、脂肪酸、および水酸化脂肪酸とその誘導体が何らかの比率で混合された混合物を含んでいてもよいが、この際のトータルの濃度は約0.1%から約10%(w/w)であって、一つまたはそれ以上の態様においては好ましくは約0.1%から約5%(w/w)であり、トータルの濃度は全組成物の約0.4%から約2.5%(w/w)である。
【0104】
本発明の一またはそれ以上の態様に関連する起泡性組成物で使用するのに適した脂肪アルコールおよび脂肪酸の特徴は、本質的に治療上の性質と関連している。長鎖の飽和および単一不飽和の脂肪アルコールである例えばステアリルアルコール、エリシルアルコール、アラキジルアルコールおよびドコサノールは、抗ウイルス性、抗感染性、抗−増殖性、および抗−炎症性の性質を持っていると報告されている(米国特許明細書第4,874,794号)。より長い鎖状の脂肪アルコールである例えばテトラコサノール、ヘキサコサノール、ヘプタコサノール、オクタコサノール、トリアコンタノールなども、その代謝修正作用および組織賦活作用について知られている。長鎖の脂肪酸はまた、抗−感染性の特徴を有していることも報告されている。このように付加的に気泡アジュバントを含む本発明の薬剤用または化粧用組成物は、優れた、または追加的な治療上の有効性を示す。
【0105】
水分含有量
水分含有量の少ない起泡性組成物を作成することは容易ではなく、通常は高比率のイオン性界面活性剤を含む非常に高濃度の気泡形成用界面活性剤系が必要である。しかしながらイオン性界面活性剤は濃度依存的に皮膚に刺激を与えることがわかっており、そのため過敏性の皮膚や他の体組織を治療するのにそれらを使用することは非常に制限される。驚くべきことに本発明の油性組成物は水分含有量が低く、それなのに界面活性剤を、主に非−イオン性の界面活性剤を非常に低濃度しか必要としない。
【0106】
実質的に無アルコール
炭素鎖骨格に5個までの炭素原子しか持たない短鎖アルコールである例えばエタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソ−ブタノール、t-ブタノール、およびペンタノールはその皮膚−刺激作用のためにほとんど望まれない溶媒または共−溶媒であると考えられる。したがって本発明の組成物は、短鎖アルコールの最終濃度が約5%以下、または2%以下、または1%以下と同等レベルであるほど実質的にアルコールを含まない。
【0107】
任意成分
本発明の治療用または化粧用組成物は、配合剤の濃度を調製するため、配合剤の成分が分解したり酸化したりするのを抑制するため、またそれらの化粧用としての満足性をもたらすための任意で種々の治療用、または化粧用成分を含んでいる。そのような成分は好ましくは、ジグリセライド、トリグリセライド、安定化剤、抗酸化剤、グリセロール、香料、着色剤、着臭剤、および薬剤用、また化粧用の配合剤の技術分野で既知である何らかの他の配合成分からなるグループより選択される。薬剤用または化粧用組成物は使用が非常に簡単である。人や動物の悩みのある体表面に適用する場合それはフォーム状態であり、したたったりこぼれたりすることなく障害のない適用が可能になる。そのうえ例えばその組成物を体表面にこすりつけたりして機械的な力を加えて適用すると、すんなりとその表面に広がって素早く吸収される。
【0108】
活性剤
ここで利用できる活性剤はある例では、一つ以上の恩恵をもたらすものであってもよいし、あるいは一つ以上の作用形態を経て機能するものであってもよいことを理解すべきである。したがってここでの分類分けは便宜上なされているのであり、その活性剤を特定の適用法または列挙された適用法に限定しようとする意図はない。
【0109】
このフォーム組成物は皮膚疾患を治療するため、また皮膚をケアするため、また化粧用のケアを行うために利用できて都合がよい。塗り広げることのできるフォーム剤に再脂肪化作用、保護的で保湿−維持的な作用のあるオイルを添加すると、最近入手できる皮膚科用および化粧用のクリーム、ローション、ゲル剤などにとって代わることができる。
【0110】
本発明の一またはそれ以上の態様におけるフォームは、医学的疾患または美容上の異常を治療することに向かう活性剤を含んでいる。その活性剤は、それがもたらす効果によってや、それの仮定される作用形態によってカテゴリー分けできる。活性剤はある例においては、一つ以上の恩恵をもたらすものであってもよいし、あるいは一つ以上の作用形態を経て機能するものであってもよい。したがって分類分けは便宜上なされているのであり、その活性剤を特定の適用法または列挙された適用法に限定しようとする意図はない。
【0111】
本発明の組成物は、治療用または化粧用の作用をもたらす少なくとも一つの活性剤を含む。
【0112】
少なくとも一種の「活性剤」を含む本発明の組成物は以下のような恩恵をもたらす。すなわち、
従来の軟膏、クリーム、ローションなどに比較して好ましい拡張性と吸収性、それは治療上の利便性を改善し、より良い受け入れ性をもたらす。
向上した供給性、それは標的器官における薬剤用または化粧用の活性剤の生物学的利用可能性の向上をもたらし、それによって治療効果が改善される。
【0113】
本発明の文脈からすると、薬学用および化粧用活性剤は少なくとも一種の活性剤の範疇に含まれる。一態様に関連する少なくとも一種の活性剤は単独の薬剤であってもよいし、あるいは油性担体組成物に溶解できる薬剤との組み合わせであってもよい。
【0114】
一態様に関連する少なくとも一種の活性剤は環境温度で蒸留水100mLあたり約1グラム以下の溶解度、より好ましくは100mLあたり約0.5グラム以下、そして最も好ましくは100mLあたり約0.1グラム以下の溶解度を持つ疎水性薬剤である。別の態様における少なくとも一種の活性剤は疎水性のエンベロープに封入されたある種の治療用または化粧用の薬剤である。
【0115】
もう一つの態様における少なくとも一種の活性剤は不溶性であり、したがって本発明の起泡性担体には懸濁液として入れられる。
【0116】
活性剤の非−限定的な例として、抗生薬、抗細菌薬、抗真菌薬、抗ウイルス薬、抗炎症薬、麻酔薬、鎮痛薬、抗アレルギー薬、副腎皮質ステロイド、レチノイドレチノイド類、潤滑剤および抗増殖性医薬品、並びに何らかの比率でのそれらの混合物が挙げられる。前記薬剤の濃度は、病んだ領域に適用された場合に疾患に対して治療的効果を示すように採用するとよい。
【0117】
疎水性活性剤についての一般的で、非−限定的なリストにはアバキャビア、アセブトロール、アクリバスタイン、アラトロフロキサシン、アルブテロール、アルベンダゾール、アルプラゾラム、アルプレノロール、アマンタジン、アミロライド、アミノグルテチミド、アミオダロン、アミトリプチリン、アムロジパイン、アモジアキーネ、アモキサピン、アンフェタミン、アンホテリシン、アムプレナビル、アムリノン、アンサクリン、マステミゾール、アテノロール、アトロピン、アザチオプリン、アゼラスチン、アジスロマイシン、バクロフェン、ベネタミン、ベニジピン、ベンズヘキソール、ベンズニダゾール、ベンズトロピン、ジペリデン、ビサコジル、ビサントレン、ブロマゼパム、ブロモクリプチン、ブロムペリドール、ブロムフェニラミン、ブロチゾラム、ブプロピオン、ブテナフィン、ブトコナゾール、カムベンダゾール、カムプトテシン、カルビノキサミン、セファドリン、セファレキシン、セトリジン、シンナリジン、クロラムブシル、クロルフェニラミン、プロルプログアニル、クロルジアゼポキシド、クロルプロマジン、クロルプロチキセン、クロロキン、シメチジン、シプロフロキサシン、シサプライド、シタロプラム、クラリスロマイシン、クレマスチン、クレミゾール、クレンブテロール、クロファジミン、クロミフェン、クロナゼパム、クロピドグレル、クロザピン、クロチアゼパム、クロトリマゾール、コデイン、サイクリジン、シプロヘプタジン、ダカルバジン、ダロジピン、デコキネート、デラビルジン、デメクロサイクリン、デキサムフェタミン、デキシクロルフェニラミン、デキシフェンフルラミン、ジアモルフィン、ジアゼパム、ジエチルプロピオン、ジヒドロコデイン、ジヒドロエルゴタミン、ジルチアゼム、ジメンヒドリネート、ジフェンヒドラミン、ジフェンオキシレート、ジフェニルイミダゾール、ジフェニルプラリン、ジピリダモール、ジリスロマイシン、ジソピラミド、ドラセトロン、ドムペリドン、ドネペジル、ドキサゾシン、ドキシサイクリン、ドロペリドール、エコナゾール、エファビレンズ、エリプチシン、エナラプリル、エノキサシン、エンロフロキサシン、エプリソン、エフェドリン、エルゴタミン、エリスロマイシン、エタムブトール、エチオナミド、エトプロパジン、エトペリドン、フモチジン、フェロジピン、フェンベンダゾール、フェンフルラミン、フェンオルドパム、フェンタニル、フェキソフェナジン、フレカイナイド、フルシトシン、フルナリジン、フルニトラゼパム、フルオプロマジン、フルオキセチン、フルフェンチキソール、フルフェンチキソールデカノエート、フルフェナジン、フルフェナジンデカノエート、フルラゼパム、フルリスロマイシン、フロバトリプタン、ガバペンチン、グラニセトロン、グレパフロキサシン、グアナベンズ、ハロファントリン、ハロペリドール、ハイオサイアミン、イミペネム、インジナビル、イリノテキャン、イソキサゾール、イスラジピン、イタコナゾール、ケトコナゾール、ケトチフェン、ラベタロール、ラミブジン、ラノスプラゾール、レフルノマイド、レボフロキサシン、リシノプリル、ロメフロキサシン、ロペラミド、ロラタジン、ロラゼパム、ロルメタゼパム、リスライド、メパクリン、マプロチリン、マジンドール、メベンダゾール、メクリジン、メダゼパム、メフロキン、メロニカム、メプタジノール、メルカプトプリン、メサラミン、メソリダジン、メトフォルミン、メサドン、メサキアロン、メチルフェニデート、メチルフェノバルビタール、メチセルジド、メトクロパラマイド、メトプロロール、メトロニダゾール、ミアンセリン、ミコナゾール、ミダゾラム、ミグリトール、ミノキシジル、ミトマイシンズ、ミトキサントロン、モリンドン、モンテルカスト、モルフィン、モキシフロキサシン、ナドロール、ナルブフィン、ナラトリプタン、ナタマイシン、ネファゾドン、ネルフィナビル、ネビラピン、ニカルジピン、ニコチン、ニフェジピン、ニモジピン、ニモラゾール、ニソルジピン、ニトラゼパム、ニトロフラゾン、ニザチジン、ノルフロキサシン、ノルトリプチリン、ニスタチン、オフロキサシン、オランザピン、オメプラゾール、オンダンセトロン、オミダゾール、オキサムニキーネ、オキサンテル、オキサトマイド、オキサゼパム、オキシフェンダゾール、オキシコナゾール、オキシプレノロール、オキシブチニン、オキシフェンシクリミン、パロキセチン、ペンタゾシン、ペントキシフィリン、ペリクロルペラジン、ペルフロキサシン、ペルフェナジン、フェンベンザミン、フェニラミン、フェノキシベンザミン、フェンテルミン、フィゾスチグミン、ピモザイド、ピンドロール、ピゾチフェン、プラミペキソール、プランルカスト、プラジクアンテル、プラゾシン、プロカルバジン、プロクロルペラジン、プログアニル、プロプラノロール、シュードエフェドリン、ピランテル、ピリメタミン、クエチアピン、キニジン、キニーネ、ラロキシフェン、ラニチジン、レミフェンタニル、レパグリナイド、レセルピン、リコベンダゾール、リファブチン、リファムピン、リファペンチン、リマンタジン、リスペリドン、リトナビル、リザトリプタン、ロピニロール、ロシグリタゾン、ロキサジチン、ロキシスロマイシン、サルブタモール、サキナビル、セレジリン、セルトラリン、シブトラミン、シデナフィルスパルフロキサシン、スピラマイシン類、スタブジン、スルコナゾール、スルファサラジン、スルピリド、スルマトリプタン、タクリン、タモキシフェン、タムスロシン、テマゼパム、テラゾシン、テルビナフィン、テルブタリン、テルコナゾール、テルフェナジン、テトラミゾール、チアベンダゾール、チアグアニン、チオリダジン、チアガビン、チクロピジン、チモロール、チニダゾール、チオコナゾール、チロフィバン、チザニジン、トルテロジン、トポテカン、トレミフェン、トラマドール、トラゾドン、トリアムテレン、トリアゾラム、トリフルオペラジン、トリメトプリム、トリミプラミン、トロメタミン、トロピカミド、トロバフロキサシン、バンコマイシン、ベンラファキシン、ビガバトリン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビノレルビン、ビタミンK5、ビタミンK6、ビタミンK7、ザフィルルカスト、ゾルミトリプタン、ゾルピデム、ゾピクロン、アセタゾラミド、アセトヘキサミド、アクリバスチン、アラトロフロキサシン、アルブテロール、アルクロフェナク、アロキシプリン、アルプロスタジル、アモジアキン、アムホテリシン、アミロバルビタール、アスピリン、アトルバスタチン、アトバクオン、バクロフェン、バルビタール、ベナゼプリル、ベザフィブレート、ブロムフェナク、ブメタニド、ブトバルビタール、カンデサルタン、カプサイシン、カプトプリル、セファゾリン、セレコキシブ、セファドリン、セファレキシン、セリバスタチン、セトリジン、クロラムブシル、クロロチアジド、クロルプロパミド、クロルサリドン、シノキサシン、シプロフロキサシン、クリノフィブレート、クロキサシリン、クロモグリケート、クロモリン、ダントロレン、ジクロロフェン、ジクロフェナク、ジクロキサシリン、ジクマロール、ジフルニサル、ジメンヒドリネート、ジバルプロエックス、ドクセート、ドロナビノール、エノキシモン、エナラプリル、エノキサシン、エンロフロキサシン、エパルレスタット、エポサルタン、必須脂肪酸、エストラムスチン、エタクリン酸、エソトイン、エトドラク、エトポシド、フェンブフェン、フェノプロフェン、フェキソフェナジン、フルコナゾール、フルルビプロフェン、フルバスタチン、フォシノプリル、フォスフェニトイン、フマジリン、フロセミド、ガバペンチン、ゲムフィブロジル、グリクラジド、グリピジド、グリベンクラミド、グリブライド、グリメピリド、グレパフロキサシン、イブフェナク、イブプロフェン、イミペネム、インドメタシン、イルベサルタン、イソトレチノイン、ケトプロフェン、ケトロラク、ラモトリジン、レボフロキサシン、レボチロキシン、リシノプリル、ロメフロキサシン、ロサルタン、ロバスタチン、メクロフェナム酸、メフェナム酸、メサラミン、メソトレキセート、メトラゾン、モンテルカスト、ナリジクス酸、ナプロキセン、ナタマイシン、ニメスライド、ニトロフラントイン、非−必須脂肪酸、ノルフロキサシン、ニスタチン、オフロキサシン、オキサシリン、オキサプロジン、オキシフェンブタゾン、ペニシリン類、ペントバルビタール、ペルフロキサシン、フェノバルビタール、フェニトイン、ピオグリタゾン、ピロキシカム、プラミペキソール、プランルカスト、プラバスタチン、プロベネシド、プロブコール、プロポフォル、プロピルチオウラシル、キナプリル、、ラベプラゾール、レパグリニド、リファムピン、リファペンチン、スパルフロキサシン、スルファベンザミド、スルファセタミド、スルファジアジン、スルファドキシン、スルファメラジン、スルファメトキサゾール、スルファフラゾール、スルファピリジン、スルファサラジン、スリンダック、スルファサラジン、スルチアーム、テルミサルタン、テニポシド、テルブタリン、テトラヒドロカンナビノール、チロフィバン、トラザミド、トルブタミド、トルカポン、トルメチン、トレチノイン、トログリタゾン、トロバフロキサシン、ウンデセン酸、ウルソデオキシコール酸、バルプロン酸、バルサルタン、バンコマイシン、ベルテポルフィン、ビガバトリン、ビタミンK-S(II)、ザフィルルカスト、並びに薬学的に許容されるオイル−可溶性の誘導体およびそれらの塩が含まれる。
【0118】
抗−感染薬
抗感染薬には抗細菌薬、抗真菌薬、抗ウイルス薬、および抗寄生虫薬が含まれる。
【0119】
抗−細菌薬
ここで用いられている「抗細菌性」という用語は、限定するわけではないが細菌を崩壊させたりもしくは細菌の成長を阻止したりするある種の物質、または細菌および他の微生物の成長を阻止したりもしくはそれらを崩壊させたりする能力を持つある種の物質であって、感染症の治療に用いられる物質が含まれるであろう。
【0120】
ある種類の活性剤は抗細菌薬である。細菌感染は皮膚や粘膜のさまざまな表在性および非−表在性の疾患に関与している。抗細菌薬はグラム陽性細菌およびグラム陰性細菌、原生動物、好気性細菌および嫌気性細菌に対する作用がありうる。組成物は、水溶性の抗細菌薬、オイル可溶性の細菌薬、および懸濁される抗細菌薬のうちの一つ、またはそれらの組み合わせを含んでいればよい。
【0121】
特定のオイル−可溶性物質は例えばエリスロマイシンのようなマクロライド抗生物質と、スルファニルアミド、スルファジアジンおよびスルフアセタミドのようなスルホンアミド(その塩基型になっている)と、ムピロシンと、テトラサイクリンおよびドキシサイクリンのようなテトラサイクリン類と、合成および半−合成のペニシリン類およびベータ−ラクタム類である特定のオイル−可溶性物質と、クロラムフェニコールと、イミダゾール系の特定のオイル−可溶性物質と、アゼライン酸のようなジカルボン酸と、サリチル酸塩と、ペプチド抗生物質と、シクロスポリン、タクロリムス、ピメクロリムスおよびシロリムス(ラパマイシン)のような環状ペプチド類と、強酸化剤およびフリーラジカル遊離性化合物、漂白剤、ヨウ素化合物およびベンゾイル過酸化物のような非−特異性の抗細菌薬である。
【0122】
本発明の一またはそれ以上の態様に関連する抗細菌性組成物は皮膚の感染症を治療するために用いることができる。非常に一般的な皮膚感染症の一例はとびひ、すなわちブドウ球菌(Staphylococcus aureus)とベータ−溶血性連鎖球菌(beta-hemolytic Streptococci)によって引き起こされ、主に子供や幼児がかかる細菌感染症である。例えばムピロシンクリームやムピロシン軟膏のような種々の抗菌性のクリームや軟膏がとびひを治療するために用いられてきたが、治療の受け入れ性は、クリームや軟膏で治療を行う際に行わなければならない広範囲のこすり塗りを子供たちが嫌がるという実情のために甚だしく損なわれている。これに対してフォームは何ら困難を伴うことなく、簡単に適用できることがわかっている。ムピロシンおよびPEG(強溶媒として)を含むビヒクルと、非−イオン性界面活性剤およびゲル化剤であって、非−イオン性界面活性剤の濃度が2重量%でかつ界面活性剤の全量が2.5重量%の範囲内となっているような非−イオン性界面活性剤と、推進剤とからなる組成物が噴霧容器から放出されると安定な微細なフォームを生じさせて悩みのある領域に簡単に適用できることが驚くべきことに発見された。
【0123】
本発明の一つまたはそれ以上の態様に関連する組成物は、例えば切り傷、傷、火傷、および潰瘍で起こっている皮膚−構造の損傷を伴った場合の二次的な感染を抑制して治療する際に特に有用であって、恩恵を与える。このような全てのケースで本発明の配合剤は適用の際には泡状になっていて、かつ優しい適用法で皮膚に直接的に吸収されるため使用しやすい。
【0124】
感染症を抑制したり治療したりするのに役立つ一方で本発明の抗細菌性フォームは、炭疽菌や天然痘菌のような細菌性の交戦型微生物で悩まされている領域の汚染を除去するために利用することも可能である。
【0125】
抗−真菌薬
真菌感染症は、本発明の組成物を用いて治療を行う別の対象である。皮膚の表皮性真菌感染症は一般的な実例で最もよく見られる皮膚疾患の一つである。水虫は皮膚の最もありふれた表在性真菌感染症である。それは人の皮膚、爪または髪のケラチンを代謝させる能力のある真菌の群によって引き起こされる。皮膚真菌症を生じさせる皮膚糸状菌には三つの種類、即ち、ミクロスポラム、トリコフィトンおよびエピデルモフィトンがある。
【0126】
カンジダ症は、イースト様の真菌カンジダアルビカンスによって、時にはカンジダの他の種類によって起こる。カンジダ症の臨床的な症候群には、(a)口腔カンジダ症(スラッシュ(thrush))、(b)皮膚および生殖器粘膜のカンジダ症、および(c)爪や爪床が冒されるカンジダ爪周囲炎、並びに(d)生殖器および膣を冒す性器および膣カンジダ症がある。
【0127】
任意であるがこの薬学的組成物は抗真菌薬を含んでおり、その抗真菌薬は皮膚真菌症やカンジダ症に対して有効な治療法を提供する。抗真菌薬は、アゾール類、ジアゾール類、トリアゾール類、ミコナゾール、フルコナゾール、ケトコナゾール、クロトリマゾール、イトラコナゾール、グリセオフルビン、シクロピロックス、アモロルフィン、テルビナフィン、アムホテリシンB、ヨウ化カリウム、フルシトシン(5FC)および治療上有効濃度でのそれらの組み合わせからなるグループより選択することができる。
【0128】
本発明の一またはそれ以上の態様に関連する組成物は、例えば体部白癬、足白癬、ルブラム白癬(tinea rubrum)、爪白癬、頑癬、須毛白癬、およびなまず、それらと同様にカンジダ症およびカンジダ膣炎のようなイースト感染症を治療しかつ抑制するために有用である。
【0129】
抗−ウイルス薬
本発明の一つまたはそれ以上の態様にかかる組成物は、ウイルス感染症を治療し、かつ抑制する場合に特に有益である。口辺ヘルペスは単純疱疹タイプ1ウイルスによって起こり、時には顔面ヘルペスとも言われる。軟属腫は顔、体幹、下腹部、骨盤、腿部内側、またはペニスに単独で出現するか、あるいは群をなして出現する小ウイルス増殖である。帯状疱疹(ヘルペスゾスター(herpes zoster))は通常人生で一度だけしか起こらないが、発疹(赤色ベースの水疱クラスター)として現れる。帯状疱疹は水痘に応答するのと同じウイルスによって起こる。イボはウイルス感染によって起こる良性の皮膚腫瘍である。
【0130】
ある種の既知の抗ウイルス薬は治療上有効濃度で本発明の一またはそれ以上の態様に関連するフォーム組成物に組み入れることができる。本発明の一つまたはそれ以上の態様に関連する組成物は、上記に列記した抗ウイルス薬のうちのどれかの浸透速度を容易に上昇させ、かつ局所的分散性を容易に良くするために疎水性溶媒を含む。
【0131】
抗−炎症薬および抗−アレルギー薬
さらに本発明の他の態様によると活性剤は抗−炎症薬または抗−アレルギー薬である。抗−炎症薬または抗−アレルギー薬は、副腎皮質ステロイド、非−ステロイド性の抗−炎症薬(NSAID)、抗−ヒスタミン薬、免疫抑制剤、免疫調節剤、および治療上有効濃度でのそれらの組み合わせからなるグループより選択される。
【0132】
次の表は、現在入手可能な副腎皮質ステロイド薬とそれらの治療上有効濃度をまとめたものである。
【表1】

【0133】
上記の表に表示されているとおりの副腎皮質ステロイド薬の濃度は、ここでは単なる例として提示されているのであって、そのような副腎皮質ステロイドの治療上有効濃度が発明に組み入れられる。
【0134】
副腎皮質ステロイド薬は通常は疎水性であるため、疎水性溶媒を含む本発明の一またはそれ以上の態様に関連する組成物は、上記に列挙した薬物のどれかのより良好な局所的分散を容易にするとともに、吸蔵性の改善を容易化し、さらに浸透速度の向上を容易化するビヒクルとして好適である。
【0135】
副腎皮質ステロイドは、乾癬やアトピー性皮膚炎(AD)、即ち鱗状斑に覆われていて境界がはっきりした赤斑からなる周期的発赤(乾癬の場合)、およびADの場合は炎症を起こした皮膚に特徴のある乾癬やアトピー性皮膚炎といったよくある慢性の炎症性皮膚疾患を治療するために用いられる。
【0136】
本発明の一つまたはそれ以上の態様に関連する組成物は、乾癬およびADの治療法を提供するであろうと考えられる。
【0137】
腎皮質ステロイド軟膏はほとんど、もしくは全く水を含まないべとべとした調製物であり、一般には乾癬を治療するために用いられる。それらの主な欠点は、処置を終えた後の長い期間、ねばねばした感触が残ったままになることである。それによって潜在的な不都合が生じ、治療を受ける人に不快を与える可能性がある。これとは対照的に本発明の一またはそれ以上の態様に関連する油性フォーム組成物は相当量の濃度のオイル(疎水性溶媒)を含んでいるため病んでいる領域を網羅して非常に簡単に広がり、厄介な感じや見た目を残さず皮膚に吸収される。
【0138】
本発明の一つまたはそれ以上の態様に関連する油性組成物によって抑制できたりあるいは治療できたりする炎症性疾患の他の非−限定の例は、その薬物がステロイドである場合にはアトピー性皮膚炎、脂漏症、顔面およびのどの脂漏性皮膚炎、脂漏性眼瞼炎、接触性皮膚炎、うっ血性皮膚炎(重力性湿疹、静脈瘤の湿疹)、表皮剥離性皮膚炎(紅皮症)、限局性神経皮膚炎、バラ色ひこう疹、および天疱瘡である。
【0139】
本発明の一つまたはそれ以上の態様に関連する組成物の調製物で用いることのできるある種の溶媒は、オメガ-3およびオメガ-6脂肪酸(例えば、リノール酸およびリノレン酸、ガンマ−リノール酸(GLA)、エイコサペンタエン酸(EPA)およびドコサヘキサエン酸(DHA)。それらは乾癬および他の皮膚炎症性疾患の治療にそれら自体が効果を持つ。)を含む。
【0140】
非ステロイド性抗−炎症薬(NSAID)は皮膚の異常に対して有用であり、本発明の一つまたはそれ以上の態様に関連する油性フォーム組成物に添加することができる。NSAIDに包含される種々の化合物がこの技術分野に精通した人に周知である。本発明で有用な特定の非−ステロイド性抗−炎症薬には限定するわけではないが、
ピロキシカム、イソキシカム、テノキシカム、サドキシカムのようなオキシカム類、
サリチル酸、サリチル酸エチル、サリチル酸メチル、アスピリン、ジサルシド、ベノリレート、トリリゼート、サファプリン、ソルプリン、ジフルニサール、およびフェンドサールのようなサリチレート類、
ジクロフェナク、フェンクロフェナク、インドメタシン、スリンダック、トルメチン、イソキセパック、フロフェナク、チオピナク、ジドメタシン、アセマタシン、フェンチアザック、ゾメピラック、クリンダナク、オキセピナク、フェルビナク、およびケトロラックのような酢酸誘導体、
メフェナミク、メクロフェナミク、フルフェナミク、ニフルミク、およびトルフェナミク酸のようなフェナメート類、
イブプロフェン、ナプロキセン、ベノキサプロフェン、フルルビプロフェン、ケトプロフェン、フェノプロフェン、フェンブフェン、インドプロプフェン、ピルプロフェン、カルプロフェン、オキサプロジン、プラノプロフェン、ミロプロフェン、チオキサプロフェン、スプロフェン、アルミノプロフェン、およびチアプロフェニク、並びに
フェニルブタゾン、オキシフェンブタゾン、フェプラゾン、アザプロパゾン、およびトリメタゾン
が含まれる。
【0141】
急性の炎症プロセスを抑制し、その症状を緩和し、かつ治療を行う能力のあるステロイド性、および非ステロイド性の化合物は一般的に、可能性のある抗−炎症剤として本発明の一つまたはそれ以上の態様において含まれる。
【0142】
現在、入手可能な局所的な抗ヒスタミン調製剤は、1%および2%のジフェンヒドラミン、5%のドキセピン、マレイン酸フリルアミン、クロルフェニラミンおよびトリペレンナミン、フェノリアジン類、プロメタジン塩酸塩、並びにジメチンデンマレイン酸塩を含む。これらの活性剤も別の抗ヒスタミン類と同様に本発明の一つまたはそれ以上の態様にかかる組成物に組み入れることができる。
【0143】
本発明の一つまたはそれ以上の態様に関連する治療用組成物は、炎症が起こる前のサイトカインの出現を減少させ、また炎症が起こる前のサイトカインの影響を阻害する抗−炎症薬および/または抗アレルギー薬を任意で含む。
【0144】
抗−炎症薬の皮膚科的に許容される塩類、エステル類、アミド類、プロドラッグ、およびそれらの誘導体と同様に、それらの抗−炎症薬の何らかの混合物も使用可能であると考えられる。
【0145】
安全で有効な用量のNSAIDを含む油性フォームは、慢性関節リウマチ、骨関節症および痛みの症状の抑制および/または緩和を行う際に局所適用して利用できる。局所適用のNSAIDは、・瘡、酒さ、毛髪生育異常、光線性角化症およびある種の皮膚癌状態のような皮膚科的な疾患を治療する際に利用することもできる。
【0146】
免疫抑制薬、免疫調整薬および免疫モジュレータは、免疫応答または免疫系の作用を変更させる(抗体形成の刺激または白血球の作用の阻害によるような)化学的もしくは生物学的に誘導された薬剤である。免疫抑制剤および免疫モジュレータには、シクロスポリン、タクロリムス、トレスペリムス、ピメクロリムス、シロリムス(ラパマイシン)、ベロリムス、ラフルニムス、ラキニモッドおよびイミキモッドのような環状ペプチド類が、他の選択されたものの中に入れて含まれる。本発明のフォームで供給されるそのような化合物は、例えば乾癬、湿疹およびアトピー性皮膚炎といった皮膚の広領域が治療されなくてはならない皮膚疾患で特に有利性がある。本発明の一つまたはそれ以上の態様に関連する油性フォーム組成物はそのような適用法にとって優れたビヒクルを提供し、従来のクリームや軟膏よりも優れている。
【0147】
局所麻酔薬
任意ではあるが、本発明の一つまたはそれ以上の態様に関連する組成物は有効量の局所麻酔薬を含む。局所麻酔薬は、ベンゾカイン、リドカイン、ブピバカイン、クロルプロカイン、ジブカイン、エリドカイン、メピバカイン、テトラカイン、ジクロニン、ヘキシカイン、プロカイン、コカイン、ケタミン、プロモキシン、フェノール、およびそれらの薬学的に許容される塩からなるグループより選択される。そのような麻酔薬の混合物は、共同作用的に利益をもたらすであろう。
【0148】
本発明の一つまたはそれ以上の態様に関連する組成物は、共同作用的に恩恵をもたらす麻酔薬の何らかの混合物を含む。
【0149】
ケラチン分解作用薬
ここで用いられているような「ケラチン分解作用薬」という用語には、皮膚の角質層を柔らかくして除去したり、皮膚のケラチン層の構造を変更したりする化合物が限定しないが含まれる。
【0150】
ケラチン分解作用薬は、乾燥肌、過角化症(例えば乾癬)、皮膚のかゆみ(例えば皮膚感染症)、・瘡、および乾癬が関与する多くの皮膚科学的疾患の治療で用いられる。
【0151】
好適なケラチン分解作用薬には、フェノールおよび置換型フェノール化合物が含まれる。そのような化合物は過角質化した組織の細胞内マトリックスを溶解して柔らかくすることが知られている。このようにしてそれらは皮膚科学的疾患の治療で用いられる。ジヒドロキシベンゼンおよびその誘導体は強力なケラチン分解薬として認められている。リゾルシノール(m-ジヒドロキシベンゼン)およびその誘導体は抗−・瘡調製物に入れて用いられる。ヒドロキノン(p-ジヒドロキシベンゼン)には、ヒドロキノンの抗−色素沈着性能以外にケラチン分解性でもある。これらの化合物はまた、防腐性能も示す。またクレゾールは殺菌性およびケラチン分解性の特性も備えている。
【0152】
ビタミンAおよびビタミンA誘導体である例えばレチノール酸、イソレチノール酸、レチノールおよびレチナールは、別の分類のケラチン分解作用を備えた薬剤である。
【0153】
別のグループのケラチン分解作用薬は、乳酸およびグリコール酸、並びにそれらのそれぞれの塩および誘導体のようなアルファ−ヒドロキシ酸、また、サリチル酸(o-ヒドロキシ安息香酸)およびサリチル酸塩、並びに薬学的に許容される誘導体であり、それらはケラチン分解作用だけでなく、通常抗−炎症作用も備えている。
【0154】
さらに別の分類のケラチン分解作用薬は尿素および尿素誘導体を含む。
【0155】
レチノイド類
別のグループの活性剤は、例えばレチノール、レチナール、全てトランス型のレチノール酸、並びにそれらの誘導体、異性体およびアナログを含み、それらはまとめて「レチノイド類」と言われる。エトレチネート、アクチレチン、イソトレチノイン、アダパレンおよびタザロテンはレチノイド異性体類およびアナログの別の例である。活性剤としてレチノイドを含む本発明の一つまたはそれ以上の態様に関連する組成物は、・瘡、脂漏症、さまざまな皮膚病、皮膚、粘膜、膣および直腸の炎症、乾癬、光線性角化症、並びに皮膚ガンを治療するために悩んでいる領域に適用することによって使用することができる。
【0156】
殺虫剤および防虫剤
蚊、刺蝿(biting flies)、ダニ、ブユ、ノミ、ツツガムシ、ヌカカ、チョウバエ、シラミおよびマダニのような昆虫は煩わしいことがあり、時には人や動物の健康に重篤な危険をもたらす可能性がある。アメリカ合衆国のある領域では蚊がエキーネ(equine)やセントルイス脳炎のような疾患を伝達するらしい。刺蝿は数日間刺し傷の痛みが残ったり、腫れたり、感染を起こしたりする痛みのある刺し傷を負わせるであろう。マダニはライム病やロッキー山紅斑熱のような重篤な疾患を伝達する可能性がある。
【0157】
飛んだりかみついたりする昆虫、クモ、マダニおよびダニから人や動物を守る際に使用できる数タイプの昆虫用防虫剤がある。昆虫用防虫剤には限定するわけでないが、DEET(N,N-ジエチル-m-トルアミド)、ジメチルフタレート、ピペロニルブトキシドおよびペルメトリンが含まれる。
【0158】
昆虫用防虫剤の別の例としては、米国特許明細書第5,411,992号に記載されているテルペノイド化合物が挙げられる。
テルペノイド−アルコールまたはテルペン−オールは、少なくとも一個の水酸基を持つテルペノイド類である。テルペン−オールの例は、C10H16O化合物、ペリリルアルコール、カルベロール、ミルテノール、およびシス−ベルベノール、さらにC10H18O化合物、ミルタノール、イソ−ピノカムフェオール、ジヒドロカルベロール、イソプレゴール、テルピネオール、テルピネン-4-オール、ネロール、ゲラニオール、およびリナロール、さらにC10H20O化合物、メントール、ベータ−シトロネロール、およびジヒドロ−ミルセノールを含む。
テルペノイド−エステルは、テルペン−オールの水酸基と、脂肪鎖上に水酸基またはアミン基のような官能基を含む可能性のある脂肪族カルボン酸とが結合した生成物である少なくとも一個のエステル基を持つテルペノイドである。好適な脂肪族カルボン酸の例には、酢酸、プロピオン酸、乳酸、およびさまざまなアミノ酸が含まれる。テルペノイド−エステルの例には、カルビル酢酸塩、カルビルプロピオン酸塩、およびメチル乳酸塩が含まれる。
【0159】
精油および香料もテルペノイドを含んでいる。高含有量のテルペン−オール類およびエステル類を持つ精油の非−限定的な例としては、ベルガモット(62%のテルペノイド)、セージ(>50%のテルペノイド)、スチラックス(>50%のテルペノイド)、ペパーミント(>50%のテルペノイド)、およびパインシベリアン(pine Siberian)(75%のテルペノイド%)が挙げられる。テルペノイドは、普遍的な基以外はそれらの利用性に応じてアルデヒドおよびケトンが変化するが、昆虫−防虫剤としての潜在性は持っている。
【0160】
本発明の一つまたはそれ以上の態様に関連する油性フォームは、人や動物の皮膚の広い領域に昆虫用防虫剤を効果的に均一分散させる場合に特に好適である。このフォーム組成物に含まれる疎水性溶媒は、皮膚の表面に長期間その昆虫用防虫剤が残ったままにするのを助ける。
【0161】
さらに別の態様、即ち本発明の一つまたはそれ以上の態様に関連する油性フォームは、人や動物の悩んでいる体表面に昆虫−殺剤(殺虫剤)を分散させるのに適している。このように本発明の一つまたはそれ以上の態様に関連する薬剤用または化粧用組成物は、寄生虫学の技術分野で既知の殺虫剤を含んでいるとよい。この殺虫剤は、ペルメトリン、ヘキサクロルベンゼン、カルバメート、天然に産生するピレトロイド類、ペルメトリン、アレトリン、マラチオン、ピペロニルブトキシド、および治療上有効濃度でのそれらの組み合わせからなるグループより選択される。この組成物を適用するのは非常に便利であり、毛髪のある領域ですら簡単に広げられる。このフォーム組成物に含まれる疎水性溶媒は、処理した領域に長期間その殺虫剤を保持させるのを助ける。そのうえ本発明のフォームには疎水性溶媒が含まれているため、櫛でシラミや卵を機械的に除去することが容易になる。
【0162】
抗癌剤
また抗癌剤は、前−癌状態の光線性角化症だけでなく、基底細胞癌、扁平上皮細胞癌、黒色腫およびカポジ肉腫といった皮膚の悪性腫瘍を治療する際にも本発明の一つまたはそれ以上の態様に関連して用いられるであろう。ある場合には局所的な細胞毒性および抗−増殖性の薬物である5-フルオロウラシル、即ち5-FUとも言われる薬物が、そのような癌を治療したり抑制したりするために用いられる。癌医薬品の技術分野では既知の他の抗−癌剤と同様、5-FUを治療上有効レベルでフォームに組み入れることができる。
【0163】
本発明の配合剤のフォームで使用するのに適した抗癌剤の仲間には、例えばタモキシフェンのような抗−エストロゲンも含まれる。
【0164】
光力学的治療薬
本発明の一つまたはそれ以上の態様に関連するフォーム組成物は、光力学的治療法の技術分野で既知の光−増感剤を供給するためにも有用である。光増感剤はポルフィリン類、クロリン類、バクテリオクロリン類、フタロシアニン類、ナフタロシアニン類、フェオフォルバイド類、プルプリン類、m-THPC、モノ-L-アスパルチルクロリンe6、バクテリオクロリン類、フタロシアニン類、ベンゾポルフィリン誘導体、および光増感剤前駆体である例えばアミノレブリン酸(ALA)からなるグループより選択される。
【0165】
火傷、創傷、切り傷および潰瘍に用いられる活性剤
本発明の一つまたはそれ以上の態様に関連する組成物を用いて火傷、創傷、切り傷および潰瘍を治療することには特に有利性がある。本発明の一つまたはそれ以上の態様に関連する油性フォーム組成物は、抗−感染薬(細菌、真菌および/またはウイルス類に対する)、抗−炎症薬(ステロイド性および/またはNSAID)、および痛みの緩和成分の組み合わせを含んでいても良い。適用するとそのフォームは簡単に広がって悩んでいる領域の表面を覆い、痛みを引き起こすこともない。
【0166】
化粧用活性剤
本発明の一つまたはそれ以上の態様に関連する油性フォームは、皮膚のケアや美容上のケアのために有用で有益性がある。塗り広げることが可能なフォーム剤形に入れて再脂肪化作用、保護作用および水分−保持作用を備えたオイルと組み合わせたものは、現在用いられている皮膚ケア用のクリーム、ローション、ゲルなどに代えて利用できる。本発明の一つまたはそれ以上の態様に関連するフォーム組成物は別の活性成分を含んでいてもよいし含んでいなくてもよく、例えば老化した皮膚、皺、色素過剰症(黒色腫、褐色斑、そばかすなど)、鱗状になった皮膚、および他の皮膚の異常のような「美容上」の皮膚の異常を治療するための「美容学上の」調整品(治療的利点を持つ化粧用製品)のような別の応用品として好適である。
【0167】
CTFA化粧用成分ハンドブックには皮膚ケア業界で一般的に用いられる非常に多くの非−限定的な化粧用、および薬剤用の成分が記載されており、それらは本発明の組成物で利用するのに適している。これらの成分の種類の例は、研磨剤、吸収剤、美的成分である例えば芳香剤、顔料、彩色剤/色素、エッセンシャルオイル、アストリンゼンなど(例えばクローブ油、メントール、カンファ、ユーカリ油、オイゲノール、メンチルラクテート、アメリカマンサクの溜出液)、抗−・瘡薬、抗−固化剤、抗−フォーミング剤、抗−殺菌薬(例えば、インドプロピルブチルカルバメート)、抗酸化剤、結合剤、生物学的添加剤、緩衝剤、容積増量剤、キレート剤、化学的添加剤、着色剤、化粧用アストリンゼン、化粧用殺菌剤、変性剤、薬用アストリンゼン、外用鎮痛薬、組成物の膜−形成の性能および本質を促進するための膜形成剤または材料である例えばポリマー(例えば、エイコセンとビニルピロリドンとの共重合体)、不透明化剤、pH調製剤、推進剤、還元剤、金属イオン封鎖剤、皮膚の漂白剤および明白化剤(例えば、ハイドロキノン、コウジ酸、アスコルビン酸、マグネシウムアスコルビルホスフェート、アスコルビルグルコサミン)、皮膚−調製剤(例えば、さまざまなものを含んでいて、皮膚の活性成分の残存を調節する湿潤剤)、皮膚の鎮静剤および/または修復剤(例えばパンテノールおよび誘導体(例えばエチルパンテノール)、アロエベラ、パントテン酸およびパントテン酸誘導体、アラントイン、ビサボロール、並びにグリチルレチン酸ジカリウム)、皮膚処置剤、およびビタミン類、並びにそれらの誘導体を含む。
【0168】
一態様における活性剤は、レチノイド、抗−しわ剤、ラジカル捕獲剤、自己−日焼け剤、皮膚美白剤、皮膚保護剤、抗−セルライト剤、マッサージオイル、および抗−イボ薬からなるグループから選択される化粧用薬剤である。
【0169】
抗−・瘡および抗−しわ作用薬
抗−・瘡薬は本発明の一つまたはそれ以上の態様に関連する組成物に含まれる。抗−・瘡剤は、治療上有効濃度のレゾルシノール、硫黄、サリチル酸およびサリチル酸塩、アルファ−ヒドロキシ酸、非ステロイド性抗−炎症薬、過酸化ベンゾイル、レチノール酸、イソレチノール酸および他のレチノイド化合物、アダパレン、タザロテン、アゼライン酸およびアゼライン酸誘導体、例えばエリスロマイシンおよびクリンダマイシンといった抗生剤、亜鉛塩および錯体、並びにそれらの組み合わせからなるグループより選択される。このリスト由来のある種の抗−・瘡は、乾癬、湿疹、およびアトピー性皮膚炎のような別の皮膚病を治療する際にも役立つ。
【0170】
抗−しわ作用薬/抗−アトピー作用薬、および乾燥して鱗状になった皮膚(皮膚乾燥症および魚鱗癬)を治療するための薬剤
任意であるが本発明の一つまたはそれ以上の態様に関連する組成物は、安全で有効な量の少なくとも一種の抗−しわ作用薬または抗−アトピー作用薬を含んでいる。本発明の一つまたはそれ以上の態様に関連する組成物で用いるのに適した代表的な抗−しわ/抗−アトピー作用薬は、硫黄−含有DおよびL型アミノ酸とその誘導体および塩、特定するとN-アセチル誘導体、チオール類、ヒドロキシ酸(例えば、乳酸やグリコール酸、並びにそれらの誘導体および塩のようなアルファ−ヒドロキシ酸、またはサリチル酸、並びにサリチル酸の塩および誘導体のようなベータ−ヒドロキシ酸)、尿素、ヒアルロン酸、フィチン酸、リポ酸、リソホスファチジル酸、皮膚剥離剤(例えば、フェノール、レゾルシノールなど)、ビタミンB3化合物(例えば、ナイアシナミド、ニコチン酸、並びにニコチン酸の塩、およびニコチン酸の非−血管拡張性エステル(例えばトコフェニルニコチネート)のようなエステル、ニコチニルアミノ酸、カルボン酸のニコチニルアルコールエステル、ニコチン酸のN-オキシドおよびナイアシナミドのN-オキシド)、ビタミンB5、およびレチノイド類(例えば、レチノール、レチナール、レチノール酸、レチニルアセテート、レチニルパルミテート、レチニルアスコルベート)である。乾燥した鱗状皮膚(乾燥症)および魚鱗癬の場合には、そのような薬剤はこれらの状態に関連して起こるかゆみを一時的に解放させることによってその症状を緩和できる。
【0171】
抗−酸化剤/ラジカル捕獲剤
安全で有効な量の抗−酸化剤/ラジカル捕獲剤を本発明の一つまたはそれ以上の態様に関連する組成物に、その組成物の例えば約0.1%から約10%で、または約1%から約5%で添加してもよい。
【0172】
アスコルビン酸(ビタミンC)およびアスコルビン酸塩、脂肪酸のアスコルビルエステル、アスコルビン酸誘導体(例えば、マグネシウムアスコビルホスフェート、ナトリウムアスコビルホスフェート、アスコビルソルベート)、トコフェロール(ビタミンE)、トコフェロールソルベート、トコフェロールアセテート、トコフェロールの他のエステル、ブチル化ヒドロキシ安息香酸およびそれらの塩、6-ヒドロキシ-2,5,7,8-テトラメチルクロマン-2-カルボキシル酸(商標Trolox. sup.Rとして商業的に入手できる)、没食子酸および没食子酸のアルキルエステル、特にプロピルガレレート、リポ酸、アミン類(例えば、N,N-ジエチルヒドロキシルアミン、アミノ−グアニジン)、スルフィドリル化合物(例えば、グルタチオン)、ジヒドロキシフマル酸およびジヒドロキシフマル酸塩、リシンピドレート、アルギニンピロレート、ノルジヒドログアイアレテッィクアシッド、ビオフラボノイド類、クルクミン、リジン、メチオニン、プロリン、スーパーオキサイドジスムターゼ、シリマリン、茶の抽出物、ブドウの皮/種子の抽出物、メラニン、並びにローズマリーの抽出物のような抗−酸化剤/ラジカル捕獲剤を用いることができる。
【0173】
本発明の一つまたはそれ以上の態様に関連する油性フォームは、皮膚を保護し、活性化する抗−酸化剤/ラジカル捕獲剤を供給することに適している。乾癬、および特殊な実質の別の皮膚炎症症状を治療することに利益性が与えられるべきであるため、この組成物はオメガ-3およびオメガ-6脂肪酸を含む多不飽和脂肪酸(例えばリノール酸およびリノレン酸、ガンマ−リノレン酸(GLA)、エイコサペンタエン酸(EPA)、およびドコサヘキサエン酸(DHA))からなるグループより選択される物質を含む。同様にそれらには水分−保持作用および皮膚の保護作用が与えられるべきであるため、本発明の一つまたはそれ以上の態様に関連する組成物には皮膚軟化薬とシリコンオイルが含まれる。このように一態様では皮膚保護作用のあるフォームが提供されており、それには疎水性溶媒が、即ち皮膚軟化剤、シリコンオイル、および不飽和脂肪酸が豊富なオイルからなるグループより選択される溶媒がいっぱいに、または部分的に含まれていて、それによって抗−酸化剤/ラジカル捕獲剤とビヒクル化合物との共同的治療効果が与えられる。
【0174】
自己−日焼け作用剤
本発明の一つまたはそれ以上の態様に関連する油性フォームは、皮膚の広い領域に日焼け作用剤を均一に供給する目的で特に適している。この組成物は、人為的な日焼け作用薬としてこの技術分野で知られているジヒドロキシアセトンまたは他の何らかの化合物を、約0.1%から約20%で含んでいる。この組成物は、人為的な日焼け作用薬としてこの技術分野で知られているジヒドロキシアセトンまたは他の何らかの化合物を、約2%から約7%、または約3%から約6%で含んでいる。
【0175】
固形物剤
本発明の一つまたはそれ以上の態様に関連する作用薬は固形物、即ち粒子状物質である。即ちこの組成物は、起泡性組成物の液状担体組成物に実質的に不溶の少なくとも一つの活性剤を含む。定義の目的で言うと固形物は限定する訳ではないが起泡性組成物に実質的に不溶の材料を含むであろう。
【0176】
少なくとも10%の濃度の固形物が起泡性組成物に含まれる。起泡性組成物に含まれる固形物の濃度は約1%w/wから約20%w/w、または約2%w/wから約16%w/wである。
【0177】
実例としては二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化鉄およびその混合物を固形物物質として用いることができる。二酸化チタンは主な粒子の平均的な大きさが約15nmから約100nmである。酸化亜鉛は主な粒子の平均的な大きさが約15nmから約150nmである。酸化ジルコニウムは主な粒子の平均的な大きさが約15nmから約150nmである。酸化鉄は主な粒子の平均的な大きさが約15nmから約500nmである。一態様においては金属酸化物は組成物の約0.1%から約20%の量で、または組成物の約0.5%から約16%の量で、または組成物の約1%から約10%と同等程度の量で存在している。さらに別の態様においてはこのような固体は主たる大きさが15nm以下の粒子を形成するように微粉化される。
【0178】
他の好適な固形物としては、「シリカ」、「発煙シリカ」、および「シリカゲル」とも言われる酸化ケイ素、即ち白色または無色の不溶性固体(SiO2)のようなケイ素−含有固形物、およびマグネシウムシリケート水和物からなる微細な粒状鉱物であるタルク、例えばアモルファス炭素またはグラファイトの形状の炭素、例えば過酸化ベンゾイル、次亜塩素酸カルシウムおよびマグネシウムのような酸化剤、抗細菌性や傷修復の目的で用いられるナノ結晶化銀のような小粒子になった金属銀、他の金属粒子およびミネラル粒子、例えばストロベリーの種子、ラズベリーの種子、アプリコットの種子、スウィートアーモンド、クランベリーの種子の粗挽き粒子などの化粧品用スクラブ物質、並びにこの起泡性組成物に不溶の顔料が含まれる。
【0179】
このような固形物剤が本発明の一つまたはそれ以上の態様に関連する油性の起泡性組成物中に含まれると、再脂肪化作用、皮膚における活性成分の残留調節作用、および油性フォームの担体の保護的性質と固形物の有益な性質を併せ持ったフォーム製品が得られる。
【0180】
一般的におむつかぶれの抑制および治療のため、また皮膚の保護のための製品は、赤ちゃんのおむつの中の臀部に適用される意図があるためにペースト状で提供されている。そのペーストは通常約30%のオイルおよび/またはペトロラタムと約10%の酸化亜鉛を含んでおり、赤ちゃんの皮膚とおむつの内側の刺激性の環境との間に保護層を形成できるようになっている。適切な成分を含んではいるものの、これまでの赤ちゃん用ペーストは非常に粘度が高くて濃厚であり、そのため目的とする領域に広げるのが困難である。
【0181】
本発明の一つまたはそれ以上の態様に関連するおむつかぶれを治療したり抑制したりするための油性フォームは以下の成分、即ち、
疎水性溶媒、共−溶媒、皮膚軟化剤、およびそれらの混合物からなるグループより選択され、濃度が約30%から約90%、好ましくは約30%から約70%、水の濃度が1%から約60%である少なくとも一種の溶媒、
約6%から約20%の酸化亜鉛(または代替の金属酸化物)、
好ましくはHLB値が約3から10、より好ましくは約3.5から約9であって、濃度が約0.1%から約10%、または約0.1%と約5%の間であるような少なくとも一種の非−イオン性の親油性界面活性剤、
濃度が約0.1%から約5%である少なくとも一種のゲル化剤、
噴霧容器に入れられ、濃度が全組成物の約3%から約25%の液体または圧縮気体からなる推進剤
を含む。
【0182】
このようなフォームは非常にふわふわして軽い点でこれまでのペーストよりも優れている。噴霧缶から放出されると0.4グラム/mLから0.2グラム/mLの間の密度の大容積を形成し、非常にたやすく目的の領域にむらなく均一に広がることができる。すみずみまでこする必要はなく、したがってそのフォームを適用する場合、従来の赤ちゃん用ペーストとは違って赤ちゃんに何ら苦痛を与えることがない。適用した後でそのフォームを塗り広げると保護層が形成されるが、その層は水に耐性があり、蛇口からの水流で洗い流されない。
【0183】
おむつかぶれおよび/または皮膚の保護のためのフォームはさらに、副腎皮質ステロイド、抗−炎症薬、抗−アレルギー薬、抗−真菌薬、また抗−細菌薬といった抗−刺激薬および/または抗−感染薬を含有していてもよい。
【0184】
皮膚−明白化剤および美白剤
本発明の一つまたはそれ以上の態様に関連するフォームは、皮膚−明白化剤をむらなく供給するのに特に適している。使用する際にはその組成物は、約0.1%から約10%、または約0.2%から約5%の濃度の皮膚−明白か剤を含んでいるであろう。好適な皮膚明白剤または美白剤には、ハイドロキノン、アゼライン酸および他の関連するジカルボン酸、並びにそれらの塩および誘導体、レチノイド類、コウジ酸、アルブチン、ニコチン酸、並びにニコチン酸の前駆体、塩および誘導体、アスコルビン酸、並びにそれらの塩および誘導体(例えばマグネシウムアスコルビルホスフェート、またはナトリウムアスコルビルホスフェート)、さらに草本の抽出液(クワの実の抽出液、胎座の抽出液)といったこの技術分野では既知のものが含まれる。
【0185】
本発明の一つまたはそれ以上の態様においてはフォーム組成物は少なくとも一種の皮膚−美白剤と、レチノイド類、ケラチン分解作用薬および抗−炎症薬から選択された少なくとも一種の付加的な作用薬との組み合わせを含む。
【0186】
一つまたはそれ以上の態様においてはこの組成物は、少なくとも一種の皮膚−美白剤と、アルファヒドロキシ酸、ベータヒドロキシ酸、およびレチノイド類から選択された少なくとも一種のケラチン分解作用のある薬剤との組み合わせを含む。
【0187】
本発明の一つまたはそれ以上の態様においては、フォーム組成物は皮膚−美白剤と、無機系日焼け止め剤の組み合わせを含む。無機系の日焼け止め剤である例えば二酸化チタンおよび酸化亜鉛を皮膚にこすり込むと、それらは白い被膜を残し、女性/男性の外観に瞬時の変化が現れることを望んでいる消費者にかなり切望されている瞬時の(一過性ではあるが)美白効果を示す。美白剤はフォーム担体中で無機系日焼け止め剤と組み合わせた場合、皮膚の表面にたやすく、かつ均一に分散させることができ、そのため皮膚の領域に均一に広げることが困難なクリーム剤とは異なって瞬時と同等の美白効果を与える。
【0188】
日焼け剤
紫外線に当たると皮膚の角質層に過度の鱗片化と肌理の変化を引き起こす可能性がある。このフォーム組成物は、日焼け止め作用を包含させることによって日焼け止め剤を供給するための組成物を提供する目的で配合できる。日焼け止めフォームの適用は非常に便利で、それは皮膚の広い領域に簡単に広がる。このフォーム中には疎水性溶媒が存在するため、入浴した場合でさえも長い耐久効果が確保される。
【0189】
ここで用いられている場合の「日焼け止め作用」とは、日焼け止め剤と物理的な日光遮断の両方を含んでいる。好適な日焼け止め剤は、有機系であってもよいし、無機系であってもよい。ここで用いられる無機系の日焼け止め剤は、主な粒子の平均的な大きさが約15nmから約100nmである二酸化チタン、主な粒子の平均的な大きさが約15nmから約150nmである酸化亜鉛、主な粒子の平均的な大きさが約15nmから約150nmである酸化ジルコニウム、主な粒子の平均的な大きさが約15nmから約500nmである酸化鉄、およびこれらの混合物などの金属酸化物を含む。ここで用いられる場合、無機系の日焼け止め剤は約0.1重量%から約20重量%の量で、または約0.5重量%から約10重量%の量で、または約1重量%から約5重量%の量で存在している。
【0190】
かなりさまざまな種類の従来の有機系日焼け止め剤がここで用いるのに適している。特定の好適な日焼け止め作用剤には、例えばp-アミノ安息香酸、p-アミノ安息香酸の塩類、およびp-アミノ安息香酸の誘導体(エチル、イソブチル、グリセリルエステル類;p-ジメチルアミノ安息香酸)、アントラニレート類(即ち、o-アミノ-ベンゾエート類;メチル、メンチル、フェニル、ベンジル、フェニルエチル、リナリル、テルピニル、およびシクロヘキセニルエステル類)、サリチレート類(アミル、フェニル、オクチル、ベンジル、メンチル、グリセリル、およびジ−ピレングリコールエステル類)、ケイ皮酸誘導体類(メチルおよびベンジルエステル類、p-フェニルシンナモニトリル;ブチルシンナモイルピルベート)、ジヒドロキシケイ皮酸誘導体類(ウンベリフェロン、メチルウンベリフェロン、メチルアセト−ウンベリフェロン)、トリヒドロキシ−ケイ皮酸誘導体類(エスクレチン、メチルエスクレチン、ダフネチン、およびグルコシド類、エスクリンおよびダフィニン)、炭化水素類(ジフェニルブタジエン、スチルベン)、ジベンザルアセトンおよびベンザルアセトフェノン、ナフトールスルホネート類(2-ナフトール-3,6-ジスルホン酸のナトリウム塩、および2-ナフトール-6,8-ジスルホン酸のナトリウム塩)、ジ−ヒドロキシナフトール酸およびジ−ヒドロキシナフトール酸塩、o-およびp-ヒドロキシビフェニルジスルホネート類、クマリン誘導体類(7-ヒドロキシ、7-メチル、3-フェニル)、ジアゾール類(2-アセチル-3-ブロモインダゾール、フェニルベンゾキサゾール、メチルナフトキサゾール、種々のアリールベンゾチアゾール類)、キニーネ塩類(ビサルフェート、サルフェート、クロライド、オレエート、およびタンネート)、キノリン誘導体類(8-ヒドロキシキノリン塩、2-フェニルキノリン)、ヒドロキシ−またはメトキシ−置換されたベンゾフェノン類、尿酸およびビオルル酸、タンニン酸およびタンニン酸誘導体類(例えば、ヘキサエチルエーテル)、(ブチルカルボトール)(6-プロピルピペロニル)エーテル、ヒドロキノン、ベンゾフェノン類(オキシベンゼン、スリゾベンゾン、ジオキシベンゾン、ベンゾレゾルシノール、2,2',4,4'-テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,2'-ジヒドロキシ-4,4'-ジメトキシベンゾフェノン、オクタベンゾン、4-イソプロピルジベンゾイルメタン、ブチルメトキシジベンゾイルメタン、エトクリレン、オクトクリレン、[3-(4'-メチルベンジリデンボルナン-2-オン)、テレフタリリデンジカンファースルホン酸および4-イソプロピル-ジ-ベンゾイルメタンが含まれる。
【0191】
有効量の有機系日焼け止め剤が、通常は組成物の約1重量%から約20重量%、より一般的には約2重量%から約10重量%で用いられる。正確な量は日焼け止め剤によって、即ち選択された日焼け止め剤によってと、望まれるサンプロテクションファクター(Sun protection Factor: SPF)によって異なる。SPFが少なくとも15であるような少なくとも一種の日焼け止め剤を含む組成物が日焼けから肌を守るために用いられる。一つまたはそれ以上の態様では、SPFが少なくとも約15であるような少なくとも一種の日焼け止め剤を含む組成物は、日光に過剰にさらされることに関連して起こる皮膚の過色素沈着、皮膚癌および他の皮膚異常からなる疾患を抑制するために用いられる。SPFが少なくとも約30であるような少なくとも一種の日焼け止め剤を含む組成物を用いることもできる。
【0192】
本発明の一つまたはそれ以上の態様ではフォーム組成物は皮膚−美白剤と無機系日焼け止め剤との組み合わせを含む。無機日焼け止め剤である例えば酸化亜鉛や二酸化チタンを皮膚にこすり込むと、それらは白い被膜を残し、女性/男性の外観に瞬時の変化が現れることを望んでいる消費者にかなり切望されている素早い(一過性ではあるが)美白効果を示す。美白剤はフォーム担体中で無機系日焼け止め剤と組み合わせた場合、皮膚の表面にたやすく、かつ均一に分散させることができ、そのため皮膚の領域に均一に広げることが本質的に困難なクリーム剤とは異なって瞬時と同等の美白効果を与える。
【0193】
活性剤としての溶媒、界面活性剤、フォームアジュバント、およびポリマー材料の利用
一態様に関連する活性剤は、治療上の利点を持っていることがわかっている溶媒、界面活性剤、フォームアジュバント、およびゲル化剤からなるグループより、場合場合に基づいて選択される。
【0194】
組成物およびフォームの物理的特性
組成物の流動性
本発明の一つまたはそれ以上の態様にかかる組成物は、水、疎水性溶媒、配合賦形剤および推進剤を含んでいて安定なエマルジョンを形成し、環境温度で少なくとも二年間の貯蔵寿命がある。促進された安定性が研究された後では、それらは望ましい基本的構造を示し、即ちそれらは表面と接触してもすぐには壊れない微細な泡構造を形成し、処理された領域に容易に広がって素早く吸収される。
【0195】
本発明の一つまたはそれ以上の態様に関連する組成物は推進剤、例えば低分子量の炭化水素の圧縮ガスまたは液状推進剤を含む。
【0196】
さらに組成物の別の性質は、自由度のない流動性組成物が噴霧容器のディップチューブを通って流れることができず、そして許容されるフォームを形成することから、その組成物の流動レベルにある。例えば白ワセリンのような半−固体の疎水性溶媒を含む組成物が過度に粘性が高く、乏しい流動性を示すことが当業者には知られている。
【0197】
本発明の一つまたはそれ以上の態様にかかる起泡性組成物は、優れた伸展能力、流動性、および分断する壊れやすさ(数ある特性の中で)を備えた低比重のフォームを提供する。本発明の一つまたはそれ以上の態様に関連する場合、少なくとも一種の界面活性剤、少なくとも一種のフォームアジュバント(任意)、および少なくともゲル化剤を組み合わせた全量は、起泡性組成物の8%(w/w)を超えない。別の態様では少なくとも一種の界面活性剤、少なくとも一種のフォームアジュバント、および少なくとも一種のゲル化剤の組み合わせた量は、フォーム組成物の5%(w/w)以下である。固体の含有量が少ないとフォームの流動性が改善され、不快な皮膚の残査が減少し、かつ製造コストが減少する。ここで示されているようにこのフォームの安定性と伸展能力は、フォームに含まれるこれらの成分が低量であるにもかかわらず優れている。
【0198】
伸展能力
伸展能力は、体の表面の広い領域と体内腔を治療するように設計された製品の別の特徴である。このように本発明の一態様では、噴霧缶から放出された時点のフォームの比重は約0.02グラム/mLおよび0.5グラム/mLの間、または約0.04グラム/mLおよび約0.2グラム/mLの間である。
【0199】
フォームの物理的特性
許容されるフォームは、以下の濃度と基本的構造の特徴を有している。
【0200】
噴霧缶から放出されると大容量のフォームが形成され、それは少なくとも一分間、好ましくは少なくとも二分間、より好ましくは少なくとも三分間表面上に維持される。
【0201】
フォームの基本構造は、非常に微細なクリーム状のフォームから微細な泡構造まで多様である。
【0202】
このフォームは約0.02グラム/mLから約0.5グラム/mLの範囲内、または約0.04グラム/mLおよび約0.2グラム/mLの間の比重である。
【0203】
許容されるフォームには、次の伸展能力と吸収特性がある。
このフォームは皮膚に塗りつけた時点で容易には崩壊せず、
皮膚表面に容易に塗り広げられ、
皮膚にこすり込むと実質的に吸収される。
油性の特徴の点から見ると許容されるフォームは一つであり、即ち
適用した後で心地良い感触を生み出し、
極少量のオイル残査しか残さず、
残査によるてかてかした見た目は最小である。
【0204】
フォームの質については以下のスケールがフォームを評価する目的で用いられる。即ち、
E(優秀): 外観はかなり豊富でクリーム状であり、何ら泡構造を示さないか、または非常に微細な(小さな)泡構造を示す。
G(良好): 外観は豊富でクリーム状であり、非常に小さな泡のサイズが優秀のフォームよりもより素早く「衰える」。
FG(やや良好): 適度な量のクリームのなさが目立ち、泡構造が顕著である。
F(普通): クリームはほとんどないことが顕著であり、「やや良好」のフォームよりも大きな泡構造である。
P(不良): クリームが全くないことが顕著で、大きな泡構造である。
VP(かなり不良): 乾燥フォーム、、即ち大きなかなり衰えた泡であり、皮膚に広げることが困難である。
【0205】
本発明の一つまたはそれ以上の態様に関連する局所投与するのに適したフォームは、噴霧容器から放出された時点での品質グレードはEまたはGである。より小さな泡は、泡がより安定であることの指標であり、容器から環境温度で表面に放出された場合、または皮膚表面に放出された場合のいずれであってもすぐには自然に崩壊しない。より微細なフォーム構造はよりなめらかな見た目と感触を示し、そのため利用性と魅力が高まる。
【0206】
フォームの安定性と崩壊性
一つまたはそれ以上の態様においてこのフォーム組成物は、長期間安定であることが望ましい。したがってこのフォーム組成物は少なくとも二回の凍結/解凍サイクルの後では相分離に耐えられない。
【0207】
別の態様に関連すると、噴霧缶から約37℃の粘膜に放出された場合、そのフォームはそれについて予定された容量になるまで膨張し、そして適用した後の少なくとも60秒間、または約2分間、または約3分間と同等の時間、フォームとしての安定状態を保つ。
【0208】
本発明の一つまたはそれ以上の態様に関連するフォームの性質についての別の観点は崩壊性である。本発明の組成物によって獲得されているようなフォームの剪断力による崩壊性は、例えば米国特許明細書第6,126,920号および国際公開第91/11991号に、およびそれぞれOlux(登録商標)およびLuxiq(登録商標)という製品に存在している熱的に誘導される崩壊性よりも明らかに利点があるが、それはOlux(登録商標)およびLuxiq(登録商標)の使用説明書によれば、このフォームは皮膚温度にさらされると崩壊するためにフォームは手にはつけることができず、悩みのある領域に供給されるという実情によって明らかにされているとおりである。
【0209】
追加の技術的パラメータ
本発明の一つまたはそれ以上の態様に関連する組成物は、推進ガスの圧力に耐える能力があってかつ加圧下でフォームとして組成物を塗布するためのバルブ/ノズルを備えた容器内に収容され、そしてその容器から塗布できる。通例では液状化されているかまたは圧縮されているガス推進剤は、全組成物の約3%から約25%の量で添加すると良い。液状化推進剤は加圧状態では液体として存在しているガスであり、例えばプロパン、イソブタンおよびn-ブタン、ジメチルエーテル、並びにクロロフルオロカーボン類(CFC)のような純度の高い炭化水素である。
【0210】
一態様によると本発明の組成物は、絆創膏、テープまたは経皮供給装置の皮膚−接触区画上に載せられ、そして効果的な表在性の処理を行なったり、皮膚へ、または皮膚を通してその薬物をうまく浸透させたりするために、皮膚にそのような対象物が塗布される。
【0211】
このような手段を用いると、これまで全身性に投与されている薬物、または経皮的な供給が必要な薬物を投与できる。このような薬物についての例はニコチン、テストステロンおよび他の男性ホルモン、並びに男性ホルモン前駆体、エストロジェンおよび他の女性ホルモン、並びに女性ホルモンの前駆体、成長ホルモン、インスリン、カフェイン、ステロイド性および非−ステロイド性の抗−炎症薬、並びにチロイドホルモンの置換体である。
【0212】
本発明にかかる治療用組成物は、皮膚ケア剤および香料に添加することによって美容上の目的の化粧品を調製するために用いることもできる。
【0213】
測定用量
適切な治療を提供するためには正確な用量測定が好結果の条件である。一態様によると治療用のフォーム製品は、フォーム形状の薬物を正確な用量で塗ることに関連する用量測定バルブが取り付けられた噴霧容器に保存するのに適している。用量測定バルブは、実質的に最小量の過剰投与で、赤ちゃんの皮膚にくまなく活性剤を効果的に広げることを可能にする容量でフォームを放出できるように選択される。
【0214】
一つまたはそれ以上の態様においては用量測定バルブから、約10μLおよび約1000μLの間のユニット用量が得られる。表示されたフォームの密度(比重)が0.06g/mLであると想定すると、10μLのバルブからは約0.17mLのフォームが得られ、また1000μLの用量測定バルブからは約17mLのフォームが得られる。したがって特定の用量測定バルブを選択し、配合剤のパラメータを微調整するとともに組成物の液状成分と推進剤との間の比を調節してフォーム密度を適合させることによって、特定の対象となる体表面と関連づけた適切な投与形態を設計できる。
【0215】
薬学的な適用分野
起泡性の担体に適切な治療薬を含有させることによって、本発明の一つまたはそれ以上の態様にかかるフォーム組成物はさまざまな皮膚科的疾患(「皮膚病」とも言われる)のどれか一つに罹患している患者を治療する際に用いられ、それは例えば以下のグループにしたがって非−限定的な実例方式で分類される。
【0216】
皮膚炎は、接触性皮膚炎、アトピー性皮膚炎、脂漏性皮膚炎、貨幣状皮膚炎、手および足の慢性皮膚炎、全身性剥脱性皮膚炎、うっ血性皮膚炎; 限局性神経皮膚炎; おむつかぶれ; 蜂巣炎、急性リンパ管炎、リンパ節炎、丹毒、皮膚膿瘍、壊死性皮下感染症、ブドウ球菌性熱傷皮膚症候群、毛嚢炎、フルンケル、汗腺膿瘍、カルブンケル、爪周囲感染症、紅色陰癬を含む細菌感染症; 皮膚糸状菌感染症、イースト感染症を含む真菌感染症;疥癬、シラミ寄生症、いん線発疹を含む寄生体感染症; ウイルス感染症; ・瘡、酒・、口周囲皮膚炎、多毛症(男性型多毛症)、男性型禿頭症、円形脱毛症、全身性脱毛症、および全脱毛症を含む脱毛症などの毛包並びに皮膚腺の異常; ひげ偽性毛嚢炎、角質嚢腫; 乾癬、バラ色ひこう疹、扁平苔癬、毛孔性紅色ひこう疹などの鱗屑丘疹状疾患; 母斑、異形成性母斑、懸垂繊維症、脂肪腫、血管腫、化膿性肉芽腫、脂漏性角化症、皮膚繊維腫、角化棘細胞腫、ケロイドなどの良性腫瘍; 基底細胞癌、扁平上皮癌、悪性黒色腫、乳頭のパジェット病、カポジ肉腫などの悪性腫瘍; 日焼け、日光の慢性的影響、感光性などの日光に対する反応: 天疱瘡、水疱性類天疱瘡、疱疹状皮膚炎、線形免疫グロブリンA疾患などの水疱性疾患; 白斑、白皮症および炎症後の色素脱失のような色素脱失症、並びに黒色腫(褐色斑)、薬物−誘導性の色素過剰症、炎症後の色素過剰症のような色素過剰症; 魚鱗癬、毛孔角化症、カルセスおよび鶏眼、光線性角化症などの角質化異常; 褥瘡; 発汗異常; 薬疹、毒素性表皮壊死などの炎症性反応; 多形性紅斑、結節性紅斑、環状肉芽腫を含む。
【0217】
本発明の一つまたはそれ以上の態様にかかる油性組成物は、活性剤を経皮的に供給することが有効である非−皮膚科的疾患の治療にも用いられる。例としてそのような疾患には、関節痛、筋肉痛、背痛、リウマチ痛、関節炎、骨関節症、並びに急性の軟組織傷害およびスポーツ傷害と同様に、一般的に局所的な痛みも含まれる。このクラスの他の疾患は、例えばホルモンを置き換える治療、経皮的ニコチン投与のうよなホルモン治療によって治療可能な症状を含む。本発明のフォーム組成物は局所的な麻酔薬を投与する際にも役立つ。
【0218】
本発明の一つまたはそれ以上の態様に関連する油性組成物はさらに、直腸、膣、ペニスの尿管、および耳管などの他の体腔の異常を治療したり、抑制したりするためにも有用である。
【0219】
このように本発明の一つまたはそれ以上の態様に関連する油性フォーム組成物は、非−限定的な例で以下のグループ、即ち
月経前症候群(PMS)、中間痛(排卵による周期中間の激しい痛み)、子宮内膜症、子宮外妊娠、卵巣の嚢腫および塊、急性骨盤炎症性疾患、骨盤うっ血症候群、および外陰病変などの骨盤痛; 細菌性膣炎、カンジダ膣炎、トリコモナス膣炎、単純疱疹性性器の潰瘍およびイボ、骨盤炎症性疾患(PID)、子宮頸管炎、急性および慢性の卵管炎などの陰門膣感染症; 子宮内膜症; 子宮内膜癌、卵巣癌、子宮頸管癌、外陰癌、膣癌、ファローピウス管癌および妊娠時栄養膜の疾患などの婦人科学的悪性新生物; 良性腫瘍; 性伝達性疾患; 性的刺激異常、女性のオルガズム異常、性交不快症および膣・のような薬学的治療に応答する性的機能異常症; 並びにホルモン治療に応答する種々の婦人科学的疾患、
に従って分類されているようなさまざまな婦人科学的疾患のうちのどれかに罹患している患者を治療する場合に役立つ。
【0220】
本発明の一つまたはそれ以上の態様に関連するフォームは潤滑性フォームとして用いることもできる。限定はしないが潤滑性フォームは、新生児の通過を容易にするための産道の潤滑化、または性交の際の膣腔の潤滑化の際に用いられる。
【0221】
直腸投与は例えば、肛門の膿瘍/瘻孔、肛門癌および疣贅、クローン病、痔核、肛門および会陰部のかゆみ、ただれ、並びに擦り傷、肛門周囲の鵞口瘡、肛門裂、便失禁、便秘、結腸および直腸のポリープを含む。
【0222】
本発明の一つまたはそれ以上の態様に関連する油性フォーム組成物はさらに、性伝達性感染症および非−性伝達性感染症(STD)の膣内や直腸を治療するために用いられる。
【0223】
一つまたはそれ以上の態様では本発明は、皮膚、粘膜、耳のチャネル、膣、直腸およびペニスの尿管の異常を含む異常を治療する方法を提供し、その方法は本発明のフォーム組成物を局所適用し、それによって一種またはそれ以上の作用薬を治療上有効濃度で悩みのある領域に投与する行程を含んでいる。
【0224】
別の態様では本発明は、作用薬の局所投与に応答する非−皮膚科学的疾患の治療方法も提供し、その方法は、本発明のフォーム組成物を局所適用し、それによって一種またはそれ以上の作用薬を治療上有効濃度で皮膚に投与する行程を含んでいる。
【0225】
ここで相互変換可能に用いられている「治療」および「処置」という用語は、疾患または異常に対する何らかの処置を網羅しており、それには例えば、
(i)疾患または異常を癒すこと、
(ii)まだ罹患していると診断されてはいないが、その疾患または異常になりやすいと思われる人にその疾患または異常が起こるのを抑制すること、
(iii)その疾患または異常を阻止すること、
(iv)その疾患の緩解に至らせること、
(v)有益な免疫学的効果を与えること、
(vi)疾患または異常により悩まされている患者の生活の質を改善すること
が含まれ、また美容上の処置の場合には、
(vii)クレンジングをすること、美化すること、魅力を高めること、即ち身体の構造または機能に影響を与えることなく外観を変化させること
が含まれる。
【0226】
以下には、いくつかの非−限定的な実施例と試験が詳細に記載されている。数多くの変形は、添付した請求の範囲の完全な意図された範囲にそれら自体が含まれることが示唆される。
【実施例1】
【0227】
強溶媒を含む無水フォーム
無水フォームの成分が下表に列挙されている。
【表2】

注:
−液化推進剤またはガス状推進剤を約3%から約25%の濃度で添加することができる。
−この組成物は一種のみの非−イオン性界面活性剤を約2%の濃度で用いており、また界面活性剤、フォームアジュバントおよびポリマー剤の全量が約4%から約6%(w/w)の範囲内にある。
−密度が約0.2グラム/mLのこの実施例のフォームは、追加の活性剤の担体として用いられる。それはまた、種々の目的で潤滑用フォームとしても用いられる。
【実施例2】
【0228】
MCTオイルフォーム
オイル/グリセリンフォームの成分が下表に列挙されている。
【表3】

注:
−液化推進剤またはガス状推進剤を約3%から約25%の濃度で添加することができる。
−強溶媒とヘキシレングリコール(皮膚軟化剤)は任意で入れることができる。
−これらの特定の実施例では、ゲル化剤を入れるために必要な最小量の水分含有量が用いられ、より多いレベルの水は任意で用いられる。
−レシチンは界面活性剤として提供される。数種のタイプの粉末化、脱−オイル化および液化された(80%のホスファチジルコリンに対して55%)ホスホリドが、許容されるフォームを生成させる際にうまくゆくとテストされている。
−これまでの例ではポリビニルピロリドン(PVP)がゲル化剤として用いられたが、別のゲル化剤も同様に使用できる。
−この組成物は約2%の濃度の非−イオン性界面活性剤のみを用いており、そして界面活性剤とフォームアジュバントとポリマー剤の全量は約4%から約6%(w/w)の範囲内である。
−この実施例のフォームは付加的な活性剤の担体として用いられ、また種々の目的のための潤滑性フォームとしても用いられる。
−ステアリルアルコール、セチルアルコールまたはオレイルアルコール(フォームアジュバント)、並びにポリプロピレングリコールおよびヘキシレングリコールのような共−溶媒がこのフォームに任意で混合される。
−フォームの密度は約0.08から約0.40グラム/mLである。
【実施例3】
【0229】
ゲル化剤を含まないMCTフォーム
【表4】

【0230】
オイル/グリセリンフォームの成分が下表に列記されている。
【表5】

注:
−液化またはガス化推進剤は、約3%から約25%の濃度で添加するとよい。
−非−限定的実施例では本発明のオイル/グリセリンフォームは約10%から約20%の水、約37%のグリセリン、約30%のオイル混合液、および約10%のヘキシレングリコールを含む。
−この組成物は約2%の濃度の非−イオン性界面活性剤のみを用いており、そして界面活性剤とフォームアジュバントとポリマー剤の全量は約8%から約12%(w/w)の範囲内である。
−この実施例のフォームは付加的な活性剤の担体として用いられ、また種々の目的のための潤滑性フォームとしても用いられる。
−フォームの密度は約0.18から約0.20グラム/mLである。
−噴霧缶から放出されるとフォームが解放され、悩みのある領域にこすり込まれるまでの数分間は安定した状態を保ち、その後速やかに崩壊して吸収される。この性質によって簡便で、かつ良好な感触を伴った適用が可能になる。
【実施例4】
【0231】
PEGを含む組成物
ポリエチレングリコール(PEG)誘導体を含む組成物を調製したところ、優れたフォームであることがわかった。以下の非−限定的な実施例によるとこの組成物は、推進剤(全組成物の約10%)を添加する前に約80%から約97.5%のPEG 400、HLBが2および9の間である約1%から約5%の少なくとも一種の界面活性剤、および0.5%のゲル化剤を含んでいる。注目すべきことに次の組成物は水を全く含んでいない。
【実施例5】
【0232】
PEG400気泡性組成物(ビヒクル)
【表6】

注:
−液化またはガス化推進剤は約3%から約25%の濃度で加えるとよい。
−この実施例のフォームは2%の濃度の非−イオン性界面活性剤を含んでいる。界面活性剤フォームアジュバント、およびポリマー剤の全量は2.5%(w/w)の範囲内である。
−この組成物はさまざまな作用のある治療用活性剤の担体として利用できる。
【0233】
次の表は、ミネラルオイルや他の一般的に用いられる軟膏用の溶媒には不溶のムピロシンのための強溶媒として、PEG400を使用することを例示している。ムピロシンはほとんどの溶媒と両立せず、したがってPEG400を単独溶媒として含むフォームはかなり価値が高い。
【実施例6】
【0234】
ムピロシンを含むPEG起泡性組成物
【表7】

注:
*液化またはガス化推進剤は約3%から約25%の濃度で加えるとよい。
***この実施例のフォームは2%の濃度の非−イオン性界面活性剤を含んでいる。界面活性剤フォームアジュバント、およびポリマー剤の全量は2.5%(w/w)の範囲内である。
【実施例7】
【0235】
界面活性剤を含まないPEG起泡性組成物
【表8】

【実施例8】
【0236】
ゲル化剤を含むPEG400起泡性組成物とゲル化剤を含まないPEG400起泡性組成物との間の比較
テスト品の組成物は以下の表に提示されている。全てのフォームを温かい表面(38℃)に塗りつけ、そのフォームが完全に崩壊する時間を測定した。表に示されているようにゲル化剤を含まないフォーム組成物は30秒以内に100%が崩壊してしまったが、これに対してゲル化剤を含むフォームは界面活性剤が含まれていても含まれていなくても数分間安定であることが顕著に証明された。
【表9】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
a.疎水性溶媒、シリコンオイル、皮膚軟化剤、共−溶媒、およびそれらの混合物からなるグループより選択された溶媒であって、その溶媒が、全組成物の重量あたり約70%から約96.5%の濃度で存在するような溶媒、
b.全組成物の重量あたり約0.1%から約10%の濃度で存在する界面活性剤、
c.治療上有効量の活性剤、
d.全組成物の重量あたり約3%から約25%の濃度で存在する推進剤、
を含む油性起泡性治療用組成物。
【請求項2】
全組成物の重量あたり約0.1%から約5%の濃度でゲル化剤を更に含む請求項1に記載の油性起泡性治療用組成物。
【請求項3】
少なくとも15個の炭素原子を持つ脂肪アルコールおよび少なくとも16個の炭素原子を持つ脂肪酸からなるグループより選択される気泡アジュバントを更に含む請求項1に記載の油性起泡性治療用組成物。
【請求項4】
前記溶媒が、環境温度で蒸留水100mlあたり約1グラム以下の溶媒溶解度である疎水性溶媒を含む請求項1に記載の油性起泡性治療用組成物。
【請求項5】
前記溶媒が、ミネラルオイル、トリグリセライドオイル、シリコンオイル、多不飽和オイル、不飽和オイルおよび精油からなるグループより選択される疎水性溶媒を含む請求項1に記載の油性起泡性治療用組成物。
【請求項6】
前記溶媒が、少なくとも一種の疎水性溶媒と少なくとも一種の共−溶媒の混合液を含む請求項1に記載の油性起泡性治療用組成物。
【請求項7】
前記溶媒が、前記疎水性溶媒と前記共−溶媒の重量比が約1:8から約8:1であるような疎水性溶媒と共−溶媒との混合液を含む請求項1に記載の油性起泡性治療用組成物。
【請求項8】
前記共−溶媒が、ポリオール類、スルホキシド類、オレエート類、ラクタム化合物、エステル類、アミド類、アルカン酸類、およびアルカノール類、並びにそれらの混合液からなるグループより選択される請求項1に記載の油性起泡性治療用組成物。
【請求項9】
前記混合液がエマルジョンを形成する請求項6に記載の油性起泡性治療用組成物。
【請求項10】
前記共−溶媒がグリセリンを含む請求項6に記載の油性起泡性治療用組成物。
【請求項11】
少なくとも一種の疎水性溶媒とグリセリンからなる前記混合液は約1:4から約4:1の重量比である請求項10に記載の油性起泡性治療用組成物。
【請求項12】
少なくとも一種の疎水性溶媒とグリセリンからなる前記混合液は約1:2から約2:1の重量比である請求項10に記載の油性起泡性治療用組成物。
【請求項13】
前記共−溶媒がポリエチレングリコールを含む請求項1または6に記載の油性起泡性治療用組成物。
【請求項14】
前記溶媒が強溶媒(potent solvebt)を含む請求項1に記載の油性起泡性治療用組成物。
【請求項15】
前記強溶媒は、ミネラルオイルが活性剤を溶解する度合いより少なくとも5倍以上の度合いで活性剤を溶解する請求項14に記載の油性起泡性治療用組成物。
【請求項16】
前記強溶媒は、ミネラルオイルが活性剤を溶解する度合いより少なくとも10倍以上の度合いで活性剤を溶解する請求項14に記載の油性起泡性治療用組成物。
【請求項17】
前記強溶媒は、ポリオール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ヘキシレングリコール、ブタンジオール類およびその異性体、グリセロール、ベンジルアルコール、DMSO、エチルオレエート、エチルカプリレート、ジイソプロピルアジペート、ジメチルアセタミド、N-メチルピロリドン、N-ヒドロキシエチルピロリドン、ポリビニルピロリドン、イソソルバイド誘導体類、ジメチルイソソルバイド、グリコフロールおよびエトキシジグリコール(トランスクトール(transcutol))、並びにある比率でのそれらの混合物からなるグループより選択される請求項14に記載の油性起泡性治療用組成物。
【請求項18】
前記強溶媒がポリオールであり、かつ前記活性剤がムピロシン(mupirocin)である請求項15または16に記載の油性起泡性治療用組成物。
【請求項19】
前記ポリオールが液状のポリエチレングリコールである請求項14に記載の油性起泡性治療用組成物。
【請求項20】
前記界面活性剤が少なくとも一種の非−イオン性界面活性剤である請求項1に記載の油性起泡性治療用組成物。
【請求項21】
更にイオン性界面活性剤を含む請求項20に記載の油性起泡性治療用組成物。
【請求項22】
前記非−イオン性界面活性剤および前記イオン性界面活性剤は、非−イオン性界面活性剤とイオン性界面活性剤が約20:1から約1:1の重量比で存在している請求項21に記載の油性起泡性治療用組成物。
【請求項23】
前記界面活性剤の濃度が全組成物の約2%以下である請求項1に記載の油性起泡性治療用組成物。
【請求項24】
前記界面活性剤がリン脂質を含む請求項1に記載の油性起泡性治療用組成物。
【請求項25】
前記リン脂質がホスファチジルコリンを含む請求項24に記載の油性起泡性治療用組成物。
【請求項26】
前記ゲル化剤は、天然のポリマー材料、半合成のポリマー材料、合成のポリマー材料、無機ゲル化剤、およびそれらの混合物からなるグループより選択される請求項2に記載の油性起泡性治療用組成物。
【請求項27】
前記油性起泡性治療用組成物は、水の重量あたり約20%より少なく含まれている請求項1に記載の油性起泡性治療用組成物。
【請求項28】
前記圧縮容器から放出するにあたり、約0.01グラム/mlから約0.4グラム/mlの比重である請求項27に記載の油性起泡性治療用組成物。
【請求項29】
前記活性剤が、皮膚科的または粘膜の疾患を治療するために選択される請求項1に記載の油性起泡性治療用組成物。
【請求項30】
前記疾患が、細菌性疾患、真菌性疾患、ウイルス性疾患、寄生虫性疾患、炎症性疾患、自己免疫疾患、アレルギー性疾患、ホルモン性疾患、悪性疾患、化粧による異常、およびそれらのどれかの組み合わせからなるグループより選択される請求項29に記載の油性起泡性治療用組成物。
【請求項31】
前記活性剤が、溶媒、界面活性剤、ゲル化剤、および気泡アジュバントからなるグループより選択される起泡性組成物の一成分である請求項1に記載の油性起泡性治療用組成物。
【請求項32】
前記治療薬は、抗−感染薬、抗細菌薬、抗真菌薬、抗ウイルス薬、抗寄生虫薬、抗炎症薬、免疫抑制剤、免疫調節物質、免疫調節薬、ホルモン剤、ビタミンA、ビタミンA誘導体、ビタミンB、ビタミンB誘導体、ビタミンC、ビタミンC誘導体、ビタミンD、ビタミンD誘導体、ビタミンE、ビタミンE誘導体、ビタミンF、ビタミンF誘導体、ビタミンK、ビタミンK誘導体、傷治療薬、殺菌剤、麻酔薬、鎮痛薬、抗アレルギー薬、副腎皮質ステロイド、非−ステロイド性抗−炎症薬、アルファヒドロキシル酸、ベータヒドロキシ酸、タンパク質、ペプチド、ニューロペプチド、アレルゲン、免疫原性物質、ハプテン、酸化剤、抗酸化剤、レチノイド、抗増殖薬、抗ガン剤、光力学的治療薬、抗−しわ剤、ラジカル捕獲剤、自己−日焼け剤、皮膚美白剤、皮膚保護剤、抗−セルライト剤、マッサージオイルおよび抗−イボ薬、再脂肪化剤、潤滑剤、並びにそれらの混合剤からなるグループより選択される請求項29に記載の油性起泡性治療用組成物。
【請求項33】
前記治療薬は、皮膚、粘膜、耳のチャネル、膣、ペニスの尿道、結腸、および直腸の疾患を治療するために選択される請求項29に記載の油性起泡性治療用組成物。
【請求項34】
前記化粧用薬剤は、レチノイド、抗−しわ剤、ラジカル捕獲剤、自己−日焼け剤、皮膚美白剤、皮膚保護剤、抗−セルライト剤、マッサージオイル、および抗−イボ剤からなるグループより選択される請求項29に記載の油性起泡性治療用組成物。
【請求項35】
前記治療用薬剤は、経粘膜適用を目的とされる請求項1に記載の油性組成物。
【請求項36】
前記活性剤は無機の固形物を含む請求項1に記載の油性起泡性治療用組成物。
【請求項37】
前記無機の固形物は、体表面または粘膜上に保護層を形成すべく選択された金属酸化物を含む請求項36に記載の油性起泡性治療用組成物。
【請求項38】
a.約30重量%から約96.5重量%の濃度で疎水性溶媒、共−溶媒および皮膚軟化剤からなるグループより選択された溶媒、
b.水、
c.約0.1重量%から約10重量%以下の濃度でHLB値が約3から約10である親油性界面活性剤、
d.治療上有効量の活性剤、および
e.全組成物の重量あたり約3%から約25%の濃度の推進剤、
を含む安定で油性起泡性の油中水滴型エマルジョン。
【請求項39】
全組成物の重量あたり約0.1%から約5%の濃度でゲル化剤を更に含む請求項38に記載の油性起泡性の油中水滴型エマルジョン。
【請求項40】
15個より多くまたは15個の炭素を持つ脂肪アルコール類および16個よりも多くまたは16個の炭素を持つ脂肪酸類からなるグループより選択される気泡アジュバントを更に含む請求項38に記載の油性起泡性の油中水滴型エマルジョン。
【請求項41】
前記溶媒が、環境温度で蒸留水100mlあたり約1グラム以下の溶解度である疎水性溶媒を含む請求項38に記載の油性起泡性の油中水滴型エマルジョン。
【請求項42】
前記疎水性溶媒が、ミネラルオイル、トリグリセライドオイル、脂肪酸のエステル、ジカルボン酸のエステル、シリコンオイル、多不飽和オイル、不飽和オイル、および精油からなるグループより選択される請求項38に記載の油性起泡性の油中水滴型エマルジョン。
【請求項43】
前記疎水性溶媒および水が、約1:3から約6:1の範囲の重量比で存在する請求項38に記載の油性起泡性の油中水滴型エマルジョン。
【請求項44】
前記溶媒は、ミネラルオイル以外の疎水性溶媒からなるグループより選択され強溶媒であって、ミネラルオイルが活性剤を溶解するよりも実質的に多く活性剤を溶解するような強溶媒を含む請求項38に記載の油性起泡性の油中水滴型エマルジョン。
【請求項45】
前記強溶媒は、ミネラルオイルが活性剤を溶解するよりも少なくとも5-倍多くの活性剤を溶解する請求項44に記載の油性起泡性の油中水滴型エマルジョン。
【請求項46】
前記強溶媒は、ミネラルオイルが活性剤を溶解するよりも少なくとも10-倍多くの活性剤を溶解する請求項44に記載の油性起泡性の油中水滴型エマルジョン。
【請求項47】
前記強溶媒は、ポリオール類、ポリエチレングリコール類、プロピレングリコール類、ヘキシレングリコール類、ブタンジオール類およびそれらの異性体、グリセロール類、ベンジルアルコール、DMSO、エチルオレエート類、エチルカプリレート類、ジイソプロピルアジペート、ジメチルアセタミド類、N-メチルピロリドン類、N-ヒドロキシエチルピロリドン類、ポリビニルピロリドン類、イソソルバイト誘導体類、グリコフロール類およびエトキシジグリコール類(トランスクトール)、並びにある比率でのそれらの混合液からなるグループより選択される請求項44に記載の油性起泡性の油中水滴型エマルジョン。
【請求項48】
前記界面活性剤が少なくとも一種の非−イオン性界面活性剤を含む請求項38に記載の油性起泡性治療用組成物。
【請求項49】
更にイオン性界面活性剤を含む請求項48に記載の油性起泡性治療用組成物。
【請求項50】
前記界面活性剤の濃度が約2%以下である請求項38に記載の油性起泡性の油中水滴型エマルジョン。
【請求項51】
前記界面活性剤が、ソルビタン誘導体類、アルコキシ化アルコール類、ポリマー性シリコン類のヒドロキシル化誘導体類、ヒドロキシル化ポリマー性シリコン類のアルキル化誘導体類、グリセリルエステル類、ビーズワックス導体類、レシチン、およびそれらの混合物からなるグループより選択される請求項48に記載の油性起泡性の油中水滴型エマルジョン。
【請求項52】
前記共−溶媒が、ポリオール類、スルホキシド類、オレエート類、ラクタム化合物、エステル類、アミド類、アルカン酸類、およびアルカノール類、並びにそれらの混合物からなるグループより選択される請求項38に記載の油性起泡性の油中水滴型エマルジョン。
【請求項53】
前記ゲル化剤は、天然のポリマー材料、半合成のポリマー材料、合成のポリマー材料、無機ゲル化剤、およびそれらの混合物からなるグループより選択される請求項39に記載の油性起泡性の油中水滴型エマルジョン。
【請求項54】
前記無機ゲル化剤が二酸化ケイ素を含む請求項53に記載の油性起泡性の油中水滴型エマルジョン。
【請求項55】
圧縮容器から放出するにあたり、約0.01グラム/mlから約0.4グラム/mlの比重である請求項38に記載の油性起泡性の油中水滴型エマルジョン。
【請求項56】
前記活性剤が起泡性組成物の一成分であり、かつ溶媒、界面活性剤、ゲル化剤、および気泡アジュバントからなるグループより選択される請求項38に記載の油性起泡性の油中水滴型エマルジョン。
【請求項57】
前記活性剤は、抗−感染薬、抗生剤、抗細菌薬、抗真菌薬、抗ウイルス薬、抗寄生虫薬、抗炎症薬、免疫抑制剤、免疫調節物質、免疫調節薬、ホルモン剤、ビタミンA、ビタミンA誘導体、ビタミンB、ビタミンB誘導体、ビタミンC、ビタミンC誘導体、ビタミンD、ビタミンD誘導体、ビタミンE、ビタミンE誘導体、ビタミンF、ビタミンF誘導体、ビタミンK、ビタミンK誘導体、傷治療薬、殺菌剤、麻酔薬、鎮痛薬、抗アレルギー薬、副腎皮質ステロイド、非−ステロイド性抗−炎症薬、アルファヒドロキシル酸、ベータヒドロキシ酸、タンパク質、ペプチド、ニューロペプチド、アレルゲン、免疫原性物質、ハプテン、酸化剤、抗酸化剤、レチノイド、抗増殖薬、抗ガン剤、光力学的治療薬、抗−しわ剤、ラジカル捕獲剤、自己−日焼け剤、皮膚美白剤、皮膚保護剤、抗−セルライト剤、マッサージオイルおよび抗−イボ薬、再脂肪化剤、潤滑剤、並びにそれらの混合剤からなるグループより選択される請求項38に記載の油性起泡性の油中水滴型エマルジョン。
【請求項58】
前記治療薬は、皮膚、粘膜、耳のチャネル、膣、ペニスの尿道、および直腸の疾患を治療するために選択される請求項38に記載の油性起泡性の油中水滴型エマルジョン。
【請求項59】
前記皮膚科的または粘膜の疾患の病因が細菌性、真菌性、ウイルス性、寄生中性、炎症性、自己免疫性、アレルギー性、ホルモン性、悪性、およびそれらの組み合わせである請求項38に記載の油性起泡性の油中水滴型エマルジョン。
【請求項60】
前記活性剤が無機の固形物である請求項38に記載の油性起泡性の油中水滴型エマルジョン。
【請求項61】
前記無機の固形物は、体表面または粘膜上に保護層を形成すべく選択される請求項60に記載の油性起泡性の油中水滴型エマルジョン。
【請求項62】
前記無機の固形物は過敏性皮膚、おむつかぶれ、およびおむつによる皮膚炎から選択される皮膚疾患を治療すべく選ばれる請求項61に記載の油性起泡性の油中水滴型エマルジョン。
【請求項63】
約30%から約90%、好ましくは約30%から約70%の間の濃度で、疎水性溶媒、共−溶媒、皮膚軟化剤およびそれらの混合液からなるグループより選択される少なくとも一種の溶媒、
1%から約60%の濃度の水、
約6%から約20%の濃度の金属酸化物)、
約3から約10のHLB値を持つ少なくとも一種の非−イオン性親油性界面活性剤、
約0.1%から約5%の濃度の少なくとも一種のゲル化剤、
全組成物の約3%から約25%の濃度の推進剤
を含んでいて、前記組成物がエアロゾル容器に収容されているおむつかぶれの治療または抑制のための油性フォーム。
【請求項64】
前記溶媒の濃度が約30%から約70%である請求項63に記載の油性起泡性の油中水滴型エマルジョン。
【請求項65】
前記濃度の金属酸化物が酸化亜鉛である請求項63に記載の油性起泡性の油中水滴型エマルジョン。
【請求項66】
前記濃度の界面活性剤が約3.5から約9のHLB値を有する請求項63に記載の油性起泡性の油中水滴型エマルジョン。
【請求項67】
前記界面活性剤の濃度が約0.1%から約10%である請求項63に記載の油性起泡性の油中水滴型エマルジョン。
【請求項68】
前記界面活性剤の濃度が約0.1%から約5%の濃度である請求項63に記載の油性起泡性の油中水滴型エマルジョン。
【請求項69】
少なくとも一種の活性成分、少なくとも一種の溶媒、およびゲル化剤を含む油性起泡性治療用組成物であって、その強溶媒による活性成分の溶解性の度合いがミネラルオイルによる前記少なくとも一種の活性剤の溶解度の度合いよりも大きいことを特徴とする油性起泡性治療用組成物。
【請求項70】
前記強溶媒がポリオールまたはポリオール類の混合液を含む請求項69に記載の油性発泡性組成物。
【請求項71】
前記ポリオールは環境温度で流動可能である請求項69に記載の油性発泡性組成物。
【請求項72】
前記ポリオールは環境温度で約20,000cps以下の粘性を備えた請求項69に記載の油性発泡性組成物。
【請求項73】
前記ポリオールは環境温度で約10,000cps以下の粘性を備えた請求項69に記載の油性発泡性組成物。
【請求項74】
ゲル化剤はポリサッカライドである請求項69に記載の油性発泡性組成物。
【請求項75】
前記ポリサッカライドはヒドロキシプロピルセルロースである請求項74に記載の油性発泡性組成物。
【請求項76】
5個までの炭素原子を短鎖アルコールの炭素鎖に有する約5%以下の短鎖アルコールを含む請求項1、38、63、および69に記載の油性発泡性の油中水滴型エマルジョン。
【請求項77】
皮膚科的、化粧の、または粘膜の疾患を治療、緩和または抑制する方法であって、前記疾患を患う患者に請求項1から75のいずれかにかかる油性フォーム組成物の治療上有効量を局所的に投与する行程を含んでいる方法。
【請求項78】
ミネラルオイルに実質的に不溶の少なくとも一種の活性剤を含有する起泡性組成物を設計する方法であって、
i.少なくとも一種の活性剤を選択する行程、
ii.ミネラルオイルが前記少なくとも一種の活性剤を溶解するよりも実質的に多く前記少なくとも一種の活性剤を溶解する強溶媒を同定し、それによって活性剤が組成物に溶解される行程、および
iii.界面活性剤およびゲル化剤のタイプと濃度を調整して起泡性組成物を提供する行程
を含んでいる方法。
【請求項79】
前記強溶媒は、炭化水素溶媒が前記活性剤を溶解するのより5倍多くの前記活性剤を溶解する請求項77に記載の方法。
【請求項80】
前記強溶媒は、炭化水素溶媒が前記活性剤を溶解するのより10倍多くの前記活性剤を溶解する請求項77に記載の方法。
【請求項81】
a.疎水性溶媒、共−溶媒、およびそれらの混合物からなるグループより選択された溶媒であって、その溶媒が、全組成物の約70重量%から約96.5重量%の濃度で存在するような溶媒、
b.全組成物の約0.1重量%から約25重量%の濃度の界面活性剤であって、その界面活性剤がリン脂質を含んでいる界面活性剤、
c.全組成物の約0.1重量%から約5重量%の濃度のゲル化剤、
d.治療上有効量の活性剤、
e.全組成物の約3重量%から約25重量%の濃度の推進剤
を含み、実質的にアルコールを含まない油性起泡性治療用組成物。
【請求項82】
前記リン脂質がレシチンを含む請求項81に記載の組成物。
【請求項83】
前記界面活性剤が、少なくとも一種の非−イオン性界面活性剤を含む請求項81に記載の油性起泡性治療用組成物。
【請求項84】
更にイオン性界面活性剤を含む請求項81に記載の油性起泡性治療用組成物。
【請求項85】
圧力容器が用いられ、測量式用量バルブとフォームを必要量だけ放出できるアクチュエータとが装着されていて、かつ請求項1から75、および81から84のいずれかに記載された油性フォーム組成物が収容されている治療用装置。
【請求項86】
前記測量式用量バルブは約10μLと約100μLの間のユニット用量を提供する請求項85に記載の装置。
【請求項87】
前記測量式用量バルブは約50μLと約250μLの間のユニット用量を提供する請求項85に記載の装置。
【請求項88】
パッケージ材と、少なくとも一種の活性成分、少なくとも一種の溶媒、ゲル化剤、および推進剤の入った容器に入れられ、パッケージ材内に収容された油性発泡性薬学的組成物とからなるキットにおいて、
前記ゲル化剤は前記組成物を濃厚にすることができ、
前記推進剤は前記容器から前記組成物を放出するにあたってフォームを形成することができ、かつ
前記パッケージ材には、前記活性剤による治療に好適に反応する対象の表在性疾患を治療するために、治療上有効量で油性ビヒクルにいれて供給された前記薬学的組成物が使用可能であることを指示するラベルが設けられている
ことを特徴とするキット。

【公表番号】特表2007−516265(P2007−516265A)
【公表日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−544607(P2006−544607)
【出願日】平成16年12月16日(2004.12.16)
【国際出願番号】PCT/IB2004/004464
【国際公開番号】WO2006/003481
【国際公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【出願人】(506038039)フォーミックス エルティーディー. (7)
【Fターム(参考)】