説明

油性まつ毛用化粧料

【課題】ボリューム効果、カール持続効果及び化粧持ちに優れ、更に高温保存時の外観安定性や粘度安定性に優れ、長期間使用し続けた際にも仕上がり低下が少ない油性まつ毛用化粧料の提供。
【解決手段】次の成分(A)、(B)及び(C):
(A)融点が55〜70℃であるワックス 6〜35質量%、
(B)HLBが5〜10の界面活性剤 0.1〜10質量%、
(C)揮発性炭化水素油 10〜90質量%
を含有し、成分(A)を全ワックス中に85質量%以上含有する油性まつ毛用化粧料。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油性まつ毛用化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
まつ毛用化粧料は、まつ毛にボリューム感を与える、上向きにカールさせる、それらの効果を持続させる等の化粧効果や、耐水性、耐皮脂性等の化粧持続効果(化粧持ち)といった化粧を行った当日に求められる効果と、高温保存や長期保存時の物性変化が少なく、長期間使用した際にも仕上がりが低下しない等の経日使用時に求められる効果の双方が求められている。
【0003】
従来、まつ毛用化粧料の化粧効果については、ワックスを多量に含有させてボリューム感を与える、いわゆるボリューム効果を高める技術が多数提案されている。より具体的には、粘着性を有するワックスを配合する技術(例えば、特許文献1)や、融点の異なるワックスを組み合わせる技術(例えば、特許文献2)が提案されている。
しかしながら、ワックスを多量に含有させると、高温保存時の粘度変化が大きくなるという問題があった。
【0004】
カール効果の持続については、アイラッシュカーラー等の用具を用いて物理的にまつ毛をカールさせても、水によってまつ毛が湿潤されてしまい、経時でのカール効果を持続できないため、水中油型のまつ毛用化粧料と比較して、油性もしくは水を少量しか含まない油中水型のまつ毛用化粧料が、高いカール持続効果を得られることが知られている(例えば、特許文献3)。また、耐水性等の化粧持ちについては、水系化粧料と比較して、油性化粧料が優れていることが知られている(例えば、特許文献3)。
【0005】
一方、油性まつ毛用化粧料の高温安定性については、ワックス含有量を5%以下に減らし、デキストリン脂肪酸エステル等を用いて油をゲル化させると、高温保存時の油分の染み出しや分離等を抑制可能であることが知られている(例えば、特許文献3)。しかしながら、ワックスの低減によりボリューム効果が低減してしまうという問題があった。
また、油性まつ毛用化粧料の高温保存安定性については、(ベヘン酸/エイコサン二酸)グリセリルと無水ケイ酸の組み合わせにより、高温保存時の油分の染み出しを抑制可能であることが知られている(例えば、特許文献4)。
しかしながら、この場合でも、高温保存時の粘度変化抑制に対しては不十分であるという問題があった。
【0006】
これら先行技術においては、化粧を行った当日、及び経日で求められる個々の問題ついて対策が行われてきたが、全ての問題が同時に満足されることはなかった。
例えば、油性まつ毛用化粧料を高温保存した際の油分の分離や、ワックスの一部が溶解して表面で白く固まるという表面白化現象に対しては、カルナウバワックス等の高融点ワックスを多く配合すれば改善されるものの、高融点ワックスが有する高いオイル固化能力のため、高温保存した際に剤の粘度を大幅に増加させてしまい、長期間使用した際に付着性の低下、ダマ付き等の仕上がり不良が発生するという問題があった。
【0007】
これに対して、高融点ワックスを配合しない場合は、オイル固化能力が高くないため、高温保存した際でも粘度は増加しにくく、長期間使用し続けても付着性や仕上がりの変化は少ないが、高温保存した際にワックスが溶解しやすくなるため、表面白化現象が発生してしまうという問題があった。また、ワックス配合量を低減した場合にも高温保存時の粘度増加は改善されるが、ワックス配合量が少ないため、ボリューム効果等の化粧効果が低下してしまうという問題があった。
【0008】
このように、ワックスの配合量、高融点ワックスの有無及び配合量によって、ボリューム効果等の化粧効果と、高温保存時の外観安定性と、高温保存時の粘度安定性及び長期間使用した際の仕上がりの安定性のバランスが変化してしまうため、全ての問題が同時に満足されることはなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2004−262915号公報
【特許文献2】特表2004−522701号公報
【特許文献3】特開2006−306829号公報
【特許文献4】特開2004−168662号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、ボリューム効果、カール持続効果及び化粧持ちに優れ、更に高温保存時の外観安定性や粘度安定性に優れ、長期間使用し続けた際にも仕上がりの低下が少ない油性まつ毛用化粧料を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者は、油性まつ毛用化粧料に含有させるワックス成分の融点及び配合量を特定し、且つ特定の界面活性剤と組み合わせることで、上記課題を解決し得ることを見出した。
【0012】
本発明は、次の成分(A)、(B)及び(C):
(A)融点が55〜70℃であるワックス 6〜35質量%、
(B)HLBが5〜10の界面活性剤 0.1〜10質量%、
(C)揮発性炭化水素油 10〜90質量%
を含有し、成分(A)を全ワックス中に85質量%以上含有する油性まつ毛用化粧料を提供するものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明の油性まつ毛用化粧料は、ボリューム効果、カール持続効果及び化粧持ちに優れ、更に高温保存時の外観安定性や粘度安定性に優れ、長期間使用し続けた際にも、良好な仕上がりが得られるものである。
特に、連続相となる揮発性炭化水素油との極性差があるロウエステルをワックス成分の主体とすることで、揮発性炭化水素油中でのワックスと界面活性剤の親和性を向上させることが可能となり、高温保存安定性効果をより高めることができる。
また、特定の製造方法により製造することで、より均一な油性まつ毛用化粧料を、より安全に得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明において、ワックスの融点は、医薬部外品原料規格の一般試験法である融点測定法第2法によって測定された値である。
【0015】
ワックスとしては、動物性ワックス、植物性ワックス、鉱物性ワックス、シリコーンワックス、合成ワックス等を用いることができる。
成分(A)の融点が55〜70℃のワックスとしては、例えば、ミツロウ、水添ホホバ油、パラフィンワックス、シリコーンワックス等が挙げられる。市販品としては、クローダジャパン社製のSA ビーズワックス−PA(融点60〜67℃)、三木化学工業社製のゴールデンブランド(融点60〜67℃)、香栄興業社製の極度水添ホホバ油(融点66〜70℃)、日本精鑞社製のパラフィンワックス135(融点57〜60℃)、パラフィンワックス140(融点60〜63℃)、パラフィンワックス150(融点66〜68℃)、HNP−11(融点66〜70℃)、モメンティブパフォーマンスマテリアルズジャパン合同会社製のSF1642(融点60〜70℃)等が挙げられる。これらのうち、付着性(ボリューム効果)付与及び皮膜の柔軟性付与の点でミツロウが好ましく、また高温保存及び経日保存時の外観安定性の点で水添ホホバ油が好ましい。
【0016】
成分(A)以外の(融点が55〜70℃ではない)ワックスとしては、雪ロウ、セラックワックス、コメヌカロウ、カルナウバロウ、キャンデリラロウ、木ロウ、ヒマワリ種子ロウ、オレンジワックス、レモンワックス、セレシン、上記以外のパラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ポリエチレンワックス、シリコーンワックス、合成ミツロウ等が挙げられる。市販品としては、セラリカ野田社製の脱臭精製カルナウバワックスNo.1(融点80〜86℃)、日本精鑞社製のHNP−9(融点74〜78℃)、Hi−Mic−2065(融点72〜78℃)、Hi−Mic−1070(融点77〜82℃)、Hi−Mic−1080(融点82〜88℃)、Hi−Mic−1090(融点86〜90℃)、HNP−0190(融点87〜93℃)、特開平2005−145886号公報の実施例に記載されているアルキル変性シリコーンワックス(融点71〜75℃)等が挙げられる。
【0017】
融点が70℃を超えるワックスについては、粘度調整及び乾燥後の皮膜強度調整等を目的に配合することは可能であるが、成分(A)の質量に対して15質量%未満、特に10質量%以下、更に5質量%以下であることが好ましく、実質的に配合しないことがいっそう好ましい。また、融点が55℃未満のワックスについては、使用感調整等を目的に配合することは可能であるが、高温保存時及び経日保存時の外観安定性の点で、成分(A)の質量に対して15質量%未満、特に10質量%以下、更に5質量%以下であることが好ましく、実質的に配合しないことがいっそう好ましい。さらに、成分(A)以外の(融点が55〜70℃ではない)ワックスの合計量は、全ワックス中に15質量%未満、特に10質量%以下、更に5質量%以下であることが好ましく、実質的に配合しないことがいっそう好ましい。
【0018】
成分(A)は、ミツロウ、水添ホホバ油等のロウエステルを成分(A)中に80〜100質量%、更に90〜100質量%含むのが、高温保存時及び経日保存時の、粘度安定性や外観安定性の点で好ましい。
また、成分(A)は、成分(A)中に水添ホホバ油を5〜50質量%、更に10〜45質量%含むのが、高温保存時および経日保存時の外観安定性の点で好ましい。
【0019】
成分(A)は、全組成中に6〜35質量%、好ましくは8〜31質量%、より好ましくは10〜27質量%含有される。この範囲内であるのが、ボリューム効果及びダマになりにくさの両立の点から好ましい。
【0020】
また、成分(A)のワックスは、全ワックス中に85質量%以上、好ましくは90〜100質量%含有される。この範囲内であれば、粘度安定性に優れ、長期使用時にも高い品質を維持することができる。
【0021】
本発明で用いる成分(B)の界面活性剤は、HLB5〜10のものである。特に、HLB6〜9であるのが、高温保存時の外観安定性の点でより好ましい。
ここで、HLBは、IOB(Inorganic Organic Balance:油分の無機性−有機性のバランスを意味し、その油分の極性の度合いを示す指標で、その油分の無機性の有機性に対する比率を表す値であり、IOB=その油分の無機性値/その油分の有機性値で表される)を10倍することにより求められる値である。
【0022】
成分(B)の界面活性剤としては、シリコーン系界面活性剤、非イオン界面活性剤等を用いることができる。より具体的には、オキサゾリン変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン、(ビニルピロリドン/ヘキサデセン)コポリマー、(エイコセン/ビニルピロリドン)コポリマー、イソステアリルグリセリル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンベヘニルエーテル、ポリオキシエチレンイソセチルエーテル、ポリオキシエチレンイソステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルドデシルエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル、モノステアリン酸ポリエチレングリコール、モノイソステアリン酸ポリエチレングリコール、モノステアリン酸ポリエチレングリセリル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、イソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル、トリイソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル、ラウリン酸ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、イソステアリン酸ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、トリイソステアリン酸ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリグリセリン脂肪酸エステル等が挙げられる。これらのうち、オキサゾリン変性シリコーン、(ビニルピロリドン/ヘキサデセン)コポリマー、(エイコセン/ビニルピロリドン)コポリマー、モノイソステアリン酸ポリエチレングリコール、イソステアリン酸ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、トリイソステアリン酸ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油が、高温保存時の外観安定性の点で好ましい。
【0023】
成分(B)は、1種以上を用いることができ、全組成中に0.1〜10質量%、好ましくは0.5〜8質量%、より好ましくは1〜6質量%含有される。この範囲内であるのが、高温保存時の外観安定性の点から好ましい。
【0024】
本発明で用いる成分(C)の揮発性炭化水素油としては、通常の化粧料に用いられるものであれば制限されず、例えば、イソドデカン、炭素数8〜16を中心とする飽和イソパラフィン系炭化水素油(水添ポリイソブテン)等を用いることができる。市販品としては、丸善石油化学社製のマルカゾールR、出光興産社製のIPソルベント1620、同2028等が挙げられる。
【0025】
成分(C)は、1種以上を用いることができ、全組成中に10〜90質量%、好ましくは15〜70質量%、より好ましくは20〜60質量%含有される。この範囲内であるのが、良好な乾燥速度を得ることができるとともに、ボリューム効果等を発現するために必要なワックス等の油性成分を分散、溶解することができ、好ましい。
【0026】
更に、本発明の油性まつ毛用化粧料は、油溶性樹脂を含有することができ、ボリューム効果、カール持続効果、化粧持ち等をより向上させることができる。油溶性樹脂は、連続相である油に溶解可能であれば特に限定されないが、シリコーン系、フッ素系、植物系、合成系等を用いることができる。
かかる油溶性樹脂としては、例えば、トリメチルシロキシケイ酸、ポリメチルシルセスキオサン、キャンデリラレジン、水添ロジン酸ペンタリスリチル等が挙げられる。
【0027】
油溶性樹脂は、1種以上を用いることができ、全組成中に0.5〜30質量%、特に2〜27質量%、更に5〜24質量%含有するのが、ボリューム効果、カール持続効果及び化粧持ちの点から好ましい。
【0028】
更に、本発明の油性まつ毛用化粧料は、粉体を含有することができ、ボリューム効果等をより向上させることができる。かかる粉体としては、通常の化粧料に用いられる無機粉体、有機粉体、それらの複合粉体等が挙げられる。より具体的には、コンジョウ、群青、ベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄、酸化チタン、酸化亜鉛、二酸化珪素、窒化ホウ素、カーボンブラック、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、マイカ、合成マイカ、セリサイト、合成セリサイト、タルク、ベントナイト、ヘクトライト、PMMA、ナイロンパウダー、ポリエチレンパウダー、ラウロイルタウリンCa、ラウロイルリシン、シリカ、カオリン、炭化珪素、硫酸バリウム、スメクタイト、雲母チタン、酸化鉄雲母チタン、アルミニウムパウダー、有機タール系顔料、有機色素のレーキ顔料、微粒子酸化チタン被覆雲母チタン、微粒子酸化亜鉛被覆雲母チタン、硫酸バリウム被覆雲母チタン等が挙げられる。
【0029】
粉体は、表面を疎水処理したものでも良く、分散性をより向上させることができる。疎水処理としては、特に限定されないが、アルキルシラン、シリコーン、アクリルシリコーン、フッ素化合物、及びそれらの複合処理等が挙げられる。
【0030】
粉体は、1種以上を用いることができ、全組成中に0.1〜30質量%、特に2〜26質量%、更に4〜22質量%含有するのが、ボリューム効果の点から好ましい。
【0031】
本発明のまつ毛用化粧料は、前記成分のほか、通常の化粧料に用いられる成分、例えば、水、脂肪酸、高級アルコール、アルコール類、多価アルコール類、揮発性シリコーン油、揮発性フッ素油、不揮発性エステル油、不揮発性炭化水素油、不揮発性シリコーン油、不揮発性フッ素油、pH調整剤、中和剤、無機塩、紫外線吸収剤、紫外線散乱剤、保湿剤、香料、酸化防止剤、防腐剤、金属イオン封鎖剤、消泡剤、繊維、染料、各種エキス等の添加剤を含有することができる。
【0032】
本発明の化粧料は、全原料をワックスの融点以上に加熱し、均一に撹拌しつつ冷却することにより製造することができる。
【0033】
特に、管状のケーシング内に、駆動軸と、該駆動軸に取り付けられた攪拌羽根とからなる攪拌体を備え、該駆動軸が軸方向に振動するようになされている振動式攪拌混合装置を用いて製造することが好ましい。このような装置により、冷却速度を速めることが可能となるため、ワックスがより微細な化粧料を得ることができる。このような振動式攪拌混合装置は、例えば、特開2008−214212号公報に記載のものを用いることができる。
【0034】
更に、連続相となる油相を、油相の引火点以上に加熱せずに製造することで、より安全に化粧料を製造することができる。
【0035】
本発明の油性まつ毛用化粧料は、例えば、ブラシ又は樹脂成型塗布具又は金属成型塗布具を用いてまつ毛に塗布することにより、使用することができる。
【実施例】
【0036】
実施例1〜3及び比較例1〜3
表1に示す組成のまつ毛用化粧料を製造し、ボリューム効果、カール持続効果、化粧持ち効果、外観安定性、粘度安定性及び長期使用時の品質を評価した。結果を表1に併せて示す。
【0037】
(製造方法)
表1中の油相1の成分を、90℃で加熱混合した後、ディスパー混合して油相1とした。これとは別に、表1中の油相2の成分を、25℃でディスパー混合して油相2とした。油相1を振動式攪拌混合装置(冷化工業社製、バイブロミキサー)へ定量ポンプで供給し、攪拌しながら連続的に25℃以下まで冷却した。攪拌しながら連続的に冷却する過程で、油相2を定量ポンプで振動式攪拌混合装置の途中から注入し、攪拌しながら連続的に油性まつ毛用化粧料を得た。油相1と油相2の混合部での液温は、全て油相2の引火点(49℃)を下回る45〜48℃になるよう、振動式攪拌混合装置のジェケット温度を調節した。また、振動式攪拌混合装置の振動数は、20ストローク/secとした。
【0038】
(評価方法)
各まつ毛用化粧料について、ボリューム効果、カール持続効果及び化粧持ちを、女性モニター20人による実使用を行い、使用者により官能評価を行なった。塗布具は、まつ毛用化粧料に通常用いられる繊維を針金でねじったブラシを用いた。
【0039】
(1)ボリューム効果:
各まつ毛用化粧料の塗布直後の状態について、目視評価し、ボリューム効果があると評価した人数により、結果を示した。
【0040】
(2)カール持続効果:
各まつ毛用化粧料の塗布4時間経過時点の状態について、目視評価し、カール持続効果があると評価した人数により、結果を示した。
【0041】
(3)化粧持ち:
各まつ毛用化粧料の塗布8時間経過時点の状態について、目視評価し、化粧持ち(にじみにくさ)に優れると評価した人数により、結果を示した。
【0042】
(4)外観安定性:
各まつ毛用化粧料を密閉容器に入れた状態で50℃1週間保存し、保存後の外観を目視評価し、下記判定を行った。
◎:油分の分離、表面白化がない。
○:僅かに油分の分離、表面白化が見られるが、実際の使用上は問題ない。
△:少し油分の分離、表面白化が見られるが、実際の使用上は許容範囲内である。
×:油分の分離、表面白化が見られ、使用に問題が生じる。
【0043】
(5)粘度安定性:
各まつ毛用化粧料を密閉容器に入れた状態で40℃2週間保存し、保存前後の粘度変化率を求め、下記判定を行った。粘度測定は、B型粘度計(形式B8R、東機産業社製)を用いて、25℃で行い、回転数を5rpmとし、1分の回転後に値を読みとった。また、ローターはまつ毛用化粧料の粘度範囲に応じて、指示値がゲージの10〜100の範囲に入るように適宜選んだ。
◎:40℃2週間保存で、保存前後の粘度変化が2倍以下。
○:40℃2週間保存で、保存前後の粘度変化が2倍を超え、2.5倍以下。
△:40℃2週間保存で、保存前後の粘度変化が2.5倍を超え、3倍以下。
×:40℃2週間保存で、保存前後の粘度変化が3倍を超える。
【0044】
(6)長期使用時の品質:
各まつ毛用化粧料について、長期使用時の品質を、女性モニター20人による実使用を行い、官能評価した。塗布具は、まつ毛用化粧料に通常用いられる繊維を針金でねじったブラシを用いた。
各まつ毛用化粧料の2ヶ月使用後の品質について、官能評価し、長期使用時の品質(ボリューム、仕上がり)に優れると評価した人数により、結果を示した。
【0045】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(A)、(B)及び(C):
(A)融点が55〜70℃であるワックス 6〜35質量%、
(B)HLBが5〜10の界面活性剤 0.1〜10質量%、
(C)揮発性炭化水素油 10〜90質量%
を含有し、成分(A)を全ワックス中に85質量%以上含有する油性まつ毛用化粧料。
【請求項2】
成分(A)の80〜100質量%がロウエステルである請求項1記載の油性まつ毛用化粧料。
【請求項3】
成分(A)の5〜50質量%が水添ホホバ油である請求項1又は2記載の油性まつ毛用化粧料。
【請求項4】
成分(B)が、オキサゾリン変性シリコーン、(ビニルピロリドン/ヘキサデセン)コポリマー、(エイコセン/ビニルピロリドン)コポリマー、モノイソステアリン酸ポリエチレングリコール、イソステアリン酸ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油及びトリイソステアリン酸ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油から選択されるものである請求項1〜3のいずれか1項記載の油性まつ毛用化粧料。
【請求項5】
管状のケーシング内に、駆動軸と、該駆動軸に取り付けられた攪拌羽根とからなる攪拌体を備え、該駆動軸が軸方向に振動するようになされている振動式攪拌混合装置を用いて製造する請求項1〜4のいずれか1項記載の油性まつ毛用化粧料。
【請求項6】
連続相となる油相を、油相の引火点以上に加熱せずに製造する請求項5記載の油性まつ毛用化粧料。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項記載の油性まつ毛用化粧料を、ブラシ又は樹脂成型塗布具又は金属成型塗布具を用いてまつ毛に塗布する化粧方法。

【公開番号】特開2012−140338(P2012−140338A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−292401(P2010−292401)
【出願日】平成22年12月28日(2010.12.28)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】