説明

油性アイライナー化粧料

【課題】
本発明の油性アイライナー化粧料は、発色が良く目の輪郭を強調することに優れ、仕上がり膜の均一性が高く、涙等の水分や皮脂に対するにじみや、まばたき等の連続運動により化粧膜の剥離を防ぐ化粧持続効果に優れる油性アイライナー化粧料に関するものである。

【解決手段】次の成分(A)〜(C);(A)油溶性皮膜形成樹脂、(B)特定の含フッ素共重合体を含む化合物で被覆した表面処理粉体、(C)揮発性油剤を配合したことを特徴とする油性睫用化粧料に関するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油性アイライナー化粧料に関し、更に詳しくは発色が良く目の輪郭を強調することに優れ、仕上がり膜の均一性が高く、涙等の水分や皮脂に対するにじみや、まばたき等の連続運動により化粧膜の剥離を防ぐ化粧持続効果に優れる油性アイライナー化粧料に関するものである。
【背景技術】
【0002】
油性アイライナー化粧料は、目の輪郭を強調し印象的な目元を演出する化粧効果を持つものである。一般的に油性アイライナー化粧料は、ワックス、ロウ等の固形状油分、粉体及び皮膜形成樹脂を中心として構成されており、化粧料としての使用感及び機能性を持たせるため、さまざまな配合検討が行われている。例えば、ワックスやロウを高配合することにより瞼の際への密着性を向上させ、化粧膜の持続性は向上することはできる。(特許文献1参照)また、油溶性皮膜形成樹脂とフッ素化合物処理粉体を組み合わせて化粧効果や化粧持続性を向上させる技術(特許文献2参照)や、揮発性炭化水素、油溶性被膜形成樹脂、粉体等を特定の比率で配合し、化粧膜にツヤを与え、耐皮脂性を向上させることで化粧持続性を向上する技術があった(特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許3019191号公報
【特許文献2】特開2001−187715号公報
【特許文献3】特開2010−70516号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の技術で経時安定性を確保するために高融点ワックスを高配合する必要があり、化粧膜の均一性を損ない、使用性の悪化の原因となることがある。また、特許文献2及び3の技術では、肌に対する密着性が充分でなく、密着性を向上させるために、皮膜形成樹脂の配合量を多くすると使用感が悪くなるという傾向があった。このため、発色が良く目の輪郭を強調することに優れ、化粧膜の均一性が高く、瞼上でのにじみや化粧膜の剥離を防ぐ化粧持続効果が良好である油性アイライナー化粧料の開発が望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そこで本発明者らは上記課題を解決するため鋭意検討の結果、粉体の表面処理剤として、肌へのなじみの良い親水性基と耐皮脂性を持つ撥油性基を有する新規な含フッ素共重合体を含む化合物に着目し、この化合物で被覆した表面処理粉体を、油溶性皮膜形成樹脂と揮発性油剤と組み合わせることで、化粧膜が肌への密着性を有することで、発色効果に優れ、均一性の高い化粧膜が得られ、にじみや化粧膜の欠落を防ぐ化粧効果の持続性を向上させることを見出し、本発明を完成させた。
【0006】
すなわち本発明は次の成分(A)、(B)及び(C)
(A)油溶性皮膜形成樹脂;
(B)下記一般式(1)で表される含フッ素単量体(b1)と、下記一般式(2)で表されるアルコキシ基含有単量体(b2)とを必須に含む単量体を共重合して得られる含フッ素共重合体で表面処理した粉体;
CH=C(−X)−C(=O)−Y−[−(CH−Z−]−(CH−Rf・(1)
[式中、Xは、水素原子、炭素数1〜21の直鎖状又は分岐状のアルキル基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、CFX基(但し、X及びXは、それぞれ水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子である。)、シアノ基、炭素数1〜20の直鎖状又は分岐状のフルオロアルキル基、置換又は非置換のベンジル基、置換又は非置換のフェニル基であり;Yは、−O−又は−NH−であり;Zは、直接結合、−S−又は−SO−であり;Rfは、炭素数1〜6のフルオロアルキル基であり;mは1〜10、nは0〜10、pは0又は1である。]
CH=C(R)−C−OO−(RO)−R ・・・(2)
[式中、Rは、水素原子又はメチル基であり;Rは、水素原子の一部又は全部が水酸基で置換されていてもよい炭素数2〜4のアルキレン基;Rは、水素原子または炭素数1〜22の不飽和または飽和の炭化水素基であり;qは、1〜50の整数である。]
(C)揮発性油剤
を配合したことを特徴とする油性アイライナー化粧料に関するものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、油性アイライナー化粧料に関し、更に詳しくは発色が良く目の輪郭を強調することに優れ、仕上がり膜の均一性が高く、涙等の水分や皮脂に対するにじみや、まばたき等の連続運動により化粧膜の剥離を防ぐ化粧持続効果に優れる油性アイライナー化粧料に関するものである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の油性アイライナー化粧料に使用される成分(A)油溶性皮膜形成樹脂を配合することにより、均一性の高い化粧膜や、涙等の水分や皮脂によるにじみを防ぐなどの化粧持続効果を向上させることができる。油溶性皮膜形成樹脂としては特に限定されず、通常化粧料に配合されるものであればいずれのものも使用できる。例えば、ロジン酸系樹脂、トリメチルシロキシケイ酸、ポリメチルシルセスキオキサン、アクリル変性シリコーン、酢酸ビニル系樹脂、ポリブテン、ポリイソブチレン、ポリビニルイソブチルエーテル、アクリル酸アルキル共重合体などが挙げられる。なかでも、ポリイソブチレン、トリメチルシロキシケイ酸が使用性、化粧効果、及び化粧効果の持続の点で最も好ましい。これらの樹脂は必要に応じ、1種又は2種以上を用いることができる。成分(A)の市販品としては、例えば、ブチルワックス201(興立化学株式会社製)、KF−7312J(信越化学工業社製)、KF−9021(信越化学工業社製)、X21−5250(東レ・ダウコーニング社製)、SILFORM FLEXIBLE RESIN(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン社製)等が挙げられる。
【0009】
本発明の油性アイライナー化粧料における成分(A)の油溶性皮膜形成樹脂の配合量は、全油性アイライナー化粧料中の0.1〜25%が好ましく、特に1〜20%が好ましい。この範囲であれば、均一な化粧膜、化粧持ちの良さという点で良好なものが得られる。
【0010】
本発明の油性アイライナー化粧料に使用される成分(B)特定の含フッ素共重合体で表面処理した粉体は、親水基と撥油基を併せ持つことにより、発色が良く、仕上がり膜の均一性を向上させ、瞼上での化粧持続効果を演出するものである。
成分(B)の表面処理に用いられる含フッ素共重合体は、下記一般式(1)で表される含フッ素単量体(b1)と、下記一般式(2)で表されるアルコキシ基含有単量体(b2)とを必須に含む単量体を共重合して得られるものである。
【0011】
含フッ素単量体(b1)は、下記一般式(1)で表される。
【0012】
CH=C(−X)−C(=O)−Y−[−(CH)−Z−]−(CH)−Rf
・・・(1)
[式中、Xは、水素原子、炭素数1〜21の直鎖状又は分岐状のアルキル基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、CFX基(但し、X及びXは、それぞれ水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子である。)、シアノ基、炭素数1〜20の直鎖状又は分岐状のフルオロアルキル基、置換又は非置換のベンジル基、置換又は非置換のフェニル基であり;Yは、−O−又は−NH−であり;Zは、直接結合、−S−又は−SO−であり;Rfは、炭素数1〜6のフルオロアルキル基であり;mは1〜10、nは0〜10、pは0又は1である。]
【0013】
アルコキシ基含有単量体(b2)は、下記一般式(2)で表わされる。
CH=C(R)−COO−(RO)−R ・・(2)
[式中、Rは、水素原子又はメチル基であり;Rは、水素原子の一部又は全部が水酸基で置換されていてもよい炭素数2〜4のアルキレン基;Rは、水素原子または炭素数1〜22の不飽和または飽和の炭化水素基であり;qは、1〜50の整数である。]
【0014】
上記一般式(1)において、pが0であることが好ましい。Xの好ましい例は水素原子である。
【0015】
上記一般式(1)において、Rfは一般にはパーフルオロアルキル基及び/又は部分的にフッ素化されたフルオロアルキル基を表し、パーフルオロアルキル基であることが好ましい。Rfのアルキル基の炭素数は1〜6であり、4、5または6が好ましく、特に6が好ましい。Rfの例は、−CF、−CFCF、−CFCFCF、CF(CF、−CFCFCFCF、−CFCF(CF、−C(CF、−(CFCF、−(CFCF(CF、−CFC(CF、−CF(CF)CFCFCF、−(CFCF等が挙げられる。
【0016】
(b1)の含フッ素単量体は単独で使用することはもちろんのこと、2種以上を混合して用いてもよい。
【0017】
含フッ素単量体(b1)としては、例えば、次のものが挙げられる。
CH=C(−X)−COO−(CH−S−(CH−Rf
CH=C(−X)−COO−(CH−SO−(CH−Rf
CH=C(−X)−COO−(CH−Rf
CH=C(−X)−CO−NH−(CH−Rf
[式中、Xは、水素原子、炭素数1〜21の直鎖状又は分岐状のアルキル基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、CFX基(但し、X及びXは、それぞれ水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子である。)、シアノ基、炭素数1〜20の直鎖状又は分岐状のフルオロアルキル基、置換又は非置換のベンジル基、置換又は非置換のフェニル基であり;Yは、−O−又は−NH−であり;Zは、直接結合、−S−又は−SO−であり;Rfは、炭素数1〜6のフルオロアルキル基であり;mは1〜10、nは0〜10、pは0又は1である。]
【0018】
上記一般式(1)のさらに具体的な例としては、以下のものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
CH=C(−H)−COO−(CH−S−Rf
CH=C(−H)−COO−(CH−S−(CH−Rf
CH=C(−H)−COO−(CH−SO−Rf
CH=C(−H)−COO−(CH−SO−(CH−Rf
CH=C(−H)−COO−(CH−Rf
CH=C(−H)−CO−NH−(CH−Rf
CH=C(−H)−COO−CHCHN(C)SO−Rf
CH=C(−H)−COO−CHCHN(CH)SO−Rf
CH=C(−H)−COO−CHCH(OCOCH)SO−Rf
CH=C(−CH)−COO−(CH−S−Rf
CH=C(−CH)−COO−(CH−S−(CH−Rf
CH=C(−CH)−COO−(CH−SO−Rf
CH=C(−CH)−COO−(CH−SO−(CH−Rf
CH=C(−CH)−COO−(CH−Rf
CH=C(−CH)−CO−NH−(CH−Rf
CH=C(−CH)−COO−CHCHN(C)SO−Rf
CH=C(−CH)−COO−CHCHN(CH)SO−Rf
CH=C(−CH)−COO−CHCH(OCOCH)CH−Rf
【0019】
CH=C(−F)−COO−(CH−S−Rf
CH=C(−F)−COO−(CH−S−(CH−Rf
CH=C(−F)−COO−(CH−SO−Rf
CH=C(−F)−COO−(CH−SO−(CH−Rf
CH=C(−F)−COO−(CH−Rf
CH=C(−F)−CO−NH−(CH−Rf
CH=C(−Cl)−COO−(CH−S−Rf
CH=C(−Cl)−COO−(CH−S−(CH−Rf
CH=C(−Cl)−COO−(CH−SO−Rf
CH=C(−Cl)−COO−(CH−SO−(CH−Rf
CH=C(−Cl)−COO−(CH−Rf
CH=C(−Cl)−CO−NH−(CH−Rf
【0020】
CH=C(−CF)−COO−(CH−S−Rf
CH=C(−CF)−COO−(CH−S−(CH−Rf
CH=C(−CF)−COO−(CH−SO−Rf
CH=C(−CF)−COO−(CH−SO−(CH−Rf
CH=C(−CF)−COO−(CH−Rf
CH=C(−CF)−CO−NH−(CH−Rf
CH=C(−CFH)−COO−(CH−S−Rf
CH=C(−CFH)−COO−(CH−S−(CH−Rf
CH=C(−CFH)−COO−(CH−SO−Rf
CH=C(−CFH)−COO−(CH−SO−(CH−Rf
CH=C(−CFH)−COO−(CH−Rf
CH=C(−CFH)−CO−NH−(CH−Rf
CH=C(−CN)−COO−(CH−S−Rf
CH=C(−CN)−COO−(CH−S−(CH−Rf
CH=C(−CN)−COO−(CH−SO−Rf
CH=C(−CN)−COO−(CH−SO−(CH−Rf
CH=C(−CN)−COO−(CH−Rf
CH=C(−CN)−CO−NH−(CH−Rf
【0021】
CH=C(−CFCF)−COO−(CH−S−Rf
CH=C(−CFCF)−COO−(CH−S−(CH−Rf
CH=C(−CFCF)−COO−(CH−SO−Rf
CH=C(−CFCF)−COO−(CH−SO−(CH−Rf
CH=C(−CFCF)−COO−(CH−Rf
CH=C(−CFCF)−CO−NH−(CH−Rf
CH=C(−F)−COO−(CH−S−Rf
CH=C(−F)−COO−(CH−S−(CH−Rf
CH=C(−F)−COO−(CH−SO−Rf
CH=C(−F)−COO−(CH−SO−(CH−Rf
CH=C(−F)−COO−(CH−Rf
CH=C(−F)−CO−NH−(CH−Rf
【0022】
CH=C(−Cl)−COO−(CH−S−Rf
CH=C(−Cl)−COO−(CH−S−(CH−Rf
CH=C(−Cl)−COO−(CH−SO−Rf
CH=C(−Cl)−COO−(CH−SO−(CH−Rf
CH=C(−CF)−COO−(CH−S−Rf
CH=C(−CF)−COO−(CH−S−(CH−Rf
CH=C(−CF)−COO−(CH−SO−Rf
CH=C(−CF)−COO−(CH−SO−(CH−Rf
CH=C(−CFH)−COO−(CH−S−Rf
CH=C(−CFH)−COO−(CH−S−(CH−Rf
CH=C(−CFH)−COO−(CH−SO−Rf
CH=C(−CFH)−COO−(CH−SO−(CH−Rf
【0023】
CH=C(−CN)−COO−(CH−S−Rf
CH=C(−CN)−COO−(CH−S−(CH−Rf
CH=C(−CN)−COO−(CH−SO−Rf
CH=C(−CN)−COO−(CH−SO−(CH−Rf
CH=C(−CFCF)−COO−(CH−S−Rf
CH=C(−CFCF)−COO−(CH−S−(CH−Rf
CH=C(−CFCF)−COO−(CH−SO−Rf
CH=C(−CFCF)−COO−(CH−SO−(CH−Rf
[上記式中、Rfは、1〜6のフルオロアルキル基である。]
【0024】
これらのうち、特に
CH=C(−H)−COO−(CH−Rf
CH=C(−CH)−COO−(CH−Rf
が好ましい。
【0025】
アルコキシ基含有単量体(b2)は、非フッ素単量体であり、下記一般式(2)で表される化合物(アルキレングリコール(メタ)アクリレート)である。
【0026】
CH=C(R)−COO−(RO)−R ・・・(2)
[式中、Rは、水素原子又はメチル基であり;Rは、水素原子の一部又は全部が水酸基で置換されていてもよい炭素数2〜4のアルキレン基;Rは、水素原子または炭素数1〜22の不飽和または飽和の炭化水素基であり;qは、1〜50の整数である。]
【0027】
一般式(2)において、Rは水素原子が好ましい。
また、qは1〜30が好ましく、より好ましくは2〜10であり、特に2〜5であることが好ましい。
【0028】
さらにまた、一般式(2)において、Rは、エチレン又はプロピレンが好ましく、特にエチレンであることが好ましい。一般式(2)中のRは一種または二種類以上のアルキレンの組み合わせであっても良い。その場合、少なくともRの一つはエチレンであることが好ましい。Rの組み合せとしては、例えば、エチレン基/プロピレン基の組み合せ、エチレン基/ブチレン基の組み合わせが挙げられる。
【0029】
アルコキシ基含有単量体(b2)は、2種類以上の混合物であっても良い。
【0030】
アルコキシ基含有単量体(b2)の具体例は、例えば以下のものを例示できるが、これらに限定されるものではない。
CH=C(R)−COO−(CHCHO)−R
(以下、「CHCHO」を「CO」と記載する場合がある)
CH=C(R)COO−(CHCH(CH)O)−R
CH=C(R)COO−(CO)q’−(CHCH(CH)O)q”−R
[式中、q’+q”=q]
【0031】
さらにより具体的な例としては、以下のもの等が挙げられる。
CH=C(H)COO−CHCHO−H
CH=C(H)COO−(CHCHO)−H
CH=C(H)COO−(CHCHO)−H
CH=C(H)COO−(CHCHO)−H
CH=C(H)COO−(CHCHO)30−H
CH=C(CH)COO−(CHCHO)−H
CH=C(CH)COO−(CHCHO)23−H
CH=C(CH)COO−(CHCHO)50−H
CH=C(CH)COO−(CHCH(CH)O)−H
CH=C(CH)COO−(CHCHCHO)−H
CH=C(H)COO−(CHCH(CH)O)−H
CH=C(CH)COO−(CHCH(CH)O)−H
CH=C(CH)COO−(CO)−(CHCH(CH)O)−H
CH=C(CH)COO−(CO)−(CHCH(CH)O)−H
CH=C(H)COO−(CO)−(CHCH(CH)O)−CH
【0032】
これらのうち、特に
CH=C(H)COO−CHCHO−H
CH=C(H)COO−(CHCHO)−H
CH=C(H)COO−(CHCHO)−H
CH=C(CH)COO−CHCHO−H
CH=C(CH)COO−(CHCHO)−H
CH=C(CH)COO−(CHCHO)−H
が好ましい。
【0033】
本発明の成分(B)の表面処理剤として用いられる含フッ素共重合体は、本発明の効果を損なわない範囲であれば、上記一般式(1)で表される含フッ素単量体(b1)と、上記一般式(2)で表されるアルコキシ基含有単量体(b2)と、他の共重合可能な単量体(b3)とを共重合して得られる共重合体であってもよい。
他の共重合可能な単量体(b3)としては、特に限定されないが、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸、ビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、アクリル酸アミドメチルプロパンスルホン酸、アクリル酸アシッドホスホアキシアルキル等の重合性酸、アクリル酸アルキル、メタクリル酸アルキル等の重合性エステル、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルピロリドン等の重合性ビニル誘導体、シリコーンマクロマー、ポリアクリルマクロモノマー、ポリエステルマクロモノマー、ポリアミドマクロモノマー、ポリオキシアルキレンマクロモノマー等の重合性マクロモノマーや、重合性糖、スチレン等を挙げることができる。
【0034】
また、他の共重合可能な単量体(b3)としては、さらに架橋性単量体を含んでもよい。
架橋性単量体は、少なくとも2つの反応性基および/または炭素−炭素二重結合を有し、フッ素を含有しない化合物とすることができる。架橋性単量体は、少なくとも2つの炭素−炭素二重結合を有する化合物、あるいは少なくとも1つの炭素−炭素二重結合および少なくとも1つの反応性基を有する化合物とすることができる。反応性基の例は、ヒドロキシル基、エポキシ基、クロロメチル基、ブロックドイソシアネート、カルボキシル基などである。本発明においては、アミノ基を有する単量体を使用しない。
【0035】
架橋性単量体は非フッ素架橋性単量体であることが好ましく、ジ(メタ)アクリレートであることがより好ましい。
【0036】
架橋性単量体は、一般式:
CH=C(R)−COO−(RO)−CO−C(R)=CH ・・(3)
[式中、それぞれのRは水素原子またはメチル基であり;Rは水素原子の一部または全部が水酸基で置換されていてもよい炭素数2〜10のアルキレン基であり;sは1〜50の整数である。]
で示される化合物(アルキレングリコールジ(メタ)アクリレート)であることが特に好ましい。
なお、Rの炭素数は、2〜10、例えば2〜6、特に2〜4であることが好ましく、Rが、エチレン基であることが好ましい。
【0037】
本発明の成分(B)に用いられる含フッ素共重合体を構成する各モノマーの分子量やモル比をコントロールすることで、含フッ素共重合体の粉体粒子への被覆特性や皮膜形成能、粉体粒子の分散能、吸湿・保湿能等を付与できる。成分(B)に用いられる含フッ素共重合体の重量平均分子量は、1000〜1000000程度、好ましくは5000〜500000程度とすることができる。1000未満であると皮膜形成能が弱く本発明の効果を有する表面処理に適さず、1000000より大きいとポリマーの溶解性が悪くなるばかりか表面処理粉体の分散性が悪化する場合がある。なお、この重量平均分子量は、ゲルパーミエ−ションクロマトグラフィーによりポリスチレン換算で求めた値である。
【0038】
本発明の成分(B)に用いられる含フッ素共重合体において含フッ素単量体(b1)100質量部に対するアルコキシ基含有単量体(b2)の量は、10〜400質量部、好ましくは25〜150質量部、より好ましくは43〜100質量部である。
(b2)の量が少ないと親水性が得られない場合があり、大きいと撥油性が低下する場合がある。
また、他の共重合可能な単量体(b3)を用いる場合は、その割合は共重合体に対し30質量%未満が好ましい。
特に、架橋性単量体を含有させる場合、架橋性単量体の量は、含フッ素単量体(b1)100質量部に対し、30質量部以下、例えば0.1〜20質量部、特に0.5〜10質量部が好ましい。30質量部より大きいと硬い皮膜になり使用感触が悪くなる場合がある。
【0039】
成分(B)に用いられる含フッ素共重合体の重合方法は、特に限定されず、塊状重合、溶液重合、乳化重合、放射線重合などの種々の方法を選択できる。例えば一般的には有機溶剤を用いた溶液重合や、水又は有機溶剤と水を併用する乳化重合が選定される。さらに一般的には、重合後に水で希釈したり、乳化剤を加えて水に乳化することで処理液に調製される。
具体的には、例えば、特開2000−290640号公報やWO2009/142047号パンフレットの共重合体の製造例として開示される方法で製造可能であるがこれに限定されるものではない。
【0040】
本発明の成分(B)の含フッ素共重合体の表面処理に用いられる粉体としては通常化粧料に用いられるものであればいずれのものでもよく、板状、紡錘状、針状等の形状、煙霧状、微粒子、顔料級などの粒子径、多孔質、無孔質等の粒子構造等により特に限定されず、無機粉体類、光輝性粉体類、有機粉体類、色素粉体類、複合粉体類、等が挙げられる。具体的には、コンジョウ、群青、ベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化セリウム、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、酸化クロム、水酸化クロム、カーボンブラック、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、雲母、合成雲母、合成セリサイト、セリサイト、タルク、カオリン、シリカ、炭化珪素、硫酸バリウム、窒化硼素等の無機粉体類、オキシ塩化ビスマス、雲母チタン、酸化鉄処理雲母、酸化鉄処理雲母チタン、有機顔料処理雲母チタン、酸化チタン処理ガラス末、酸化鉄酸化チタン処理ガラス末、アルミニウムパウダー等の光輝性粉体類、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、N−アシルリジン、ナイロン、ポリアクリル酸アルキル、シリコーン樹脂粉体等の有機粉体類、有機タール系顔料、有機色素のレーキ顔料等の色素粉体類、微粒子酸化チタン被覆雲母チタン、微粒子酸化亜鉛被覆雲母チタン、硫酸バリウム被覆雲母チタン、酸化チタン含有二酸化珪素、酸化亜鉛含有二酸化珪素等の複合粉体、ポリエチレンテレフタレート・アルミニウム・エポキシ積層末、ポリエチレンテレフタレート・ポリオレフィン積層フィルム末、ポリエチレンテレフタレート・ポリメチルメタクリレート積層フィルム末等が挙げられ、これらを1種又は2種以上を用いることができる。また、これら粉体は1種又は2種以上の複合化したものを用いても良い。
【0041】
成分(B)の表面処理方法は特に制限なく、公知の方法で実施できる。表面処理方法は大別すると乾式法と湿式法がある。例えば、ヘンシルミキサーやボールミル、ジェットミル、ニーダー、プラネタリーミキサー、ポニーミキサー、サンドミル、アトライター、リボンブレンダー、ディスパーミキサー、ホモミキサー、エクストルーダー等の攪拌機や粉砕機、混合機、分散機を用いて本発明において使用する表面処理剤と粉体を一定時間混合接触することにより処理される。この時にメカノケミカル的な機械力、プラズマ、火炎、紫外線、電子線、過熱水蒸気、レーザー光、電磁波等のエネルギーを与えながら処理しても構わない。湿式法としては、水や溶剤、超臨界流体(水、CO等)に粉体と表面処理剤を分散させ混合接触させてその後溶媒を蒸発させることより処理が可能である。例えばWO2009/142047に記載の方法に従って処理することも出来る。
【0042】
また、成分(B)は本発明の効果を損なわない範囲で、成分(B)に用いられる含フッ素共重合体以外のフッ素化合物やシリコーン系油剤、炭化水素、高級脂肪酸、高級アルコール、エステル、ワックス、金属石ケン、界面活性剤等の表面処理剤で複合的に表面処理してあってもよい。
【0043】
複合的に表面処理する場合、特定の含フッ素共重合体を先に表面処理した後、当該特定の含フッ素共重合体以外の他の表面処理剤成分を表面処理する方法、特定の含フッ素共重合体と当該特定の含フッ素共重合体以外の他の表面処理剤成分を同時に表面処理する方法、特定の含フッ素共重合体以外の他の表面処理剤成分を先に表面処理した後、特定の含フッ素共重合体を表面処理する方法等が挙げられる。
【0044】
好ましい表面処理方法は、前記特定の含フッ素共重合体のみで表面処理する場合及び複合的に表面処理する場合の何れにおいても、処理される粉体粒子を予め空気中や液中でまたは他の粉体と共存下で分散した後表面処理するか同時に表面処理する方法である。
【0045】
本発明における成分(B)に用いられる含フッ素共重合体はその分子中に撥油性基と親水性基を有するため粉体粒子表面より撥油性基のみを露出させると撥水撥油性が発現する。撥油性を有する表面処理粉体の化粧料製剤に配合される他の成分との優れた親和性や分散性を得るためには親水撥油性が有利である。本発明の特定の含フッ素共重合体は被覆方法や被覆量により粉体粒子表面上に撥油性基と親水性基の両方を露出させることができこれにより親水撥油性が発現する。
【0046】
成分(B)における含フッ素共重合体で表面処理した粉体の処理量は粉体100質量部に対して0.05〜15質量部が好ましく、0.1〜10質量部がより好ましい。この範囲であれば処理剤同士の縮合や未反応の処理剤の残存による感触や流動性への悪影響などが起きることなく、本発明品の油性睫用化粧料中での分散性を十分に付与することができる。
【0047】
本発明における成分(B)の配合量は特に限定されないが、5〜40%が好ましく、10〜30%がより好ましい。この範囲であれば、発色が良く、仕上がり膜の均一性に優れた油性アイライナー化粧料を得ることができる。また、成分(B)は本発明の効果を損なわない範囲で、成分(B)の基剤として用いられる粉体の未処理のものや、一般油剤、シリコーン系油剤、界面活性剤等で処理したものと組み合わせて使用することもできる。
【0048】
本発明の油性アイライナー化粧料に使用される成分(C)の揮発性油剤は1気圧での沸点が260℃以下の油剤であり、化粧料に使用できるものであれば、特に制限されない。例えば、軽質流動イソパラフィン、イソドデカン等の炭化水素油、デカメチルシクロペンタシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、メチルトリメチコン、低重合度ジメチルポリシロキサン等のシリコーン類が挙げられるが、中でも炭素数8〜12である分岐脂肪族炭化水素油である軽質流動イソパラフィンを用いると、すばやく化粧膜を形成するため、塗布中にべたつくことがなく、化粧持続効果に優れ、好ましい。成分(C)の市販品としては、例えば、IPソルベント1016(出光興産株式会社製)、IPソルベント1620(出光興産株式会社製)、PARMETHYL99A(日本光研株式会社)等が挙げられる。
【0049】
本発明の油性アイライナー化粧料には、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて、前記必須成分以外の通常化粧料に使用される各種成分、例えば、粉体成分、油性成分、界面活性剤、紫外線吸収剤、保湿剤、酸化防止剤、美容成分、防腐剤、褪色防止剤、香料などを本発明の効果を損なわない範囲で適宜配合することができる。
【0050】
粉体成分としては、成分(B)以外に、球状、板状、針状等の形状、煙霧状、微粒子、顔料級等の粒子径、多孔質、無孔質等の粒子構造等により特に限定されず、無機粉体類、光輝性粉体類、有機粉体類、色素粉体類、金属粉体類、複合粉体類等が挙げられる。具体的に例示すれば、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウム、硫酸バリウム等の白色無機顔料、黄酸化鉄、ベンガラ、酸化クロム、水酸化クロム、紺青、群青等の有色無機顔料、白雲母、金雲母、紅雲母、黒雲母、合成雲母、絹雲母(セリサイト)、合成セリサイト、カオリン、炭化珪素、ベントナイト、スメクタイト、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化アンチモン、珪ソウ土、ケイ酸アルミニウム、メタケイ酸アルミニウムマグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸バリウム、ケイ酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ヒドロキシアパタイト、窒化ホウ素等の白色体質粉体、酸化チタン被覆雲母、酸化チタン被覆オキシ塩化ビスマス、酸化チタン被覆合成金雲母、ガラス末、酸化チタン被覆ガラス末、酸化鉄被覆ガラス末、ベンガラ被覆雲母チタン、コンジョウ被覆雲母チタン、カルミン被覆雲母チタン、カルミン・コンジョウ被覆雲母チタン、酸化クロム被覆雲母チタン、オキシ塩化ビスマス、魚鱗箔、酸化鉄被覆雲母、有機顔料被覆雲母チタン、多層被覆雲母チタン、ケイ酸・酸化チタン被覆雲母、ベンガラ被覆無水ケイ酸、酸化チタン被覆無水ケイ酸、酸化チタン被覆酸化アルミニウム等のパール剤やポリエチレンテレフタレート・アルミニウム・エポキシ積層末、ポリエチレンテレフタレート・ポリオレフィン積層フィルム末、ポリエチレンテレフタレート・ポリメチルメタクリレート積層フィルム末等のラメ剤の光輝性粉体、ポリアミド系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリアクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、フッ素系樹脂、セルロース系樹脂、ポリスチレン系樹脂、スチレン−アクリル共重合樹脂等のコポリマー樹脂、ポリプロピレン系樹脂、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂等の有機高分子樹脂粉体、ステアリン酸亜鉛等の有機低分子性粉体、澱粉、シルク粉末、セルロース粉末等の天然有機粉体、赤色201号、赤色202号、赤色205号、赤色226号、赤色228号、橙色203号、橙色204号、青色404号、黄色401号等の有機色素粉体、赤色3号、赤色104号、赤色106号、橙色205号、黄色4号、黄色5号、緑色3号、青色1号等のジルコニウム、バリウム又はアルミニウムレーキ等の有機顔料粉体あるいは更にアルミニウム粉、金粉、銀粉等の金属粉体、微粒子酸化チタン被覆雲母チタン、微粒子酸化亜鉛被覆雲母チタン、硫酸バリウム被覆雲母チタン、酸化チタン含有二酸化珪素、酸化亜鉛含有二酸化珪素等の複合粉体、等が挙げられ、これら粉体はその1種又は2種以上を用いることができ、更に複合化したものを用いても良い。尚、これら粉体は、フッ素系化合物、シリコーン系化合物、金属石鹸、レシチン、水素添加レシチン、コラーゲン、炭化水素、高級脂肪酸、高級アルコール、エステル、ワックス、ロウ、界面活性剤等の1種又は2種以上を用いて表面処理を施してあっても良い。
【0051】
成分(A)および(C)以外の油性成分としては、動物油、植物油、合成油等の起源、及び、固形油、半固形油、液体油等の性状を問わず、炭化水素類、油脂類、ロウ類、硬化油類、エステル油類、脂肪酸類、高級アルコール類、シリコーン油類、フッ素系油類、ラノリン誘導体類、油性ゲル化剤類等が挙げられる。
具体的には、流動パラフィン、スクワラン、ワセリン、パラフィンワックス、セレシン、水添マイクロクリスタリン、ワックス、マイクロクリスタリンワックス、エチレンプロピレンコポリマー、モンタンワックス、フィッシャトロプスワックス等の炭化水素類、モクロウ、オリーブ油、ヒマシ油、ミンク油、マカデミアンナッツ油等の油脂類、ミツロウ、カルナウバワックス、キャンデリラワックス、ゲイロウ等のロウ類、ホホバ油、セチルイソオクタネート、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、トリオクタン酸グリセリル、ジイソステアリン酸ポリグリセリル、トリイソステアリン酸ジグリセリル、トリベヘン酸グリセリル、リンゴ酸ジイソステアリル、ジオクタン酸ネオペンチルグリコール、コレステロール脂肪酸エステル、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(コレステリル・ベヘニル・オクチルドデシル)等のエステル類、ステアリルアルコール、セチルアルコール、ラウリルアルコール、オレイルアルコール、イソステアリルアルコール、ベヘニルアルコール等の高級アルコール類、メチルフェニルポリシロキサン、フッ素変性オルガノポリシロキサン等のシリコーン類、パーフルオロデカン、パーフルオロオクタン、パーフルオロポリエーテル等のフッ素系油剤類、ラノリン、酢酸ラノリン、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラノリンアルコール等のラノリン誘導体、蔗糖脂肪酸エステル、デンプン脂肪酸エステル、12−ヒドロキシステアリン酸、ステアリン酸カルシウム等の油性ゲル化剤類等が挙げられる。
【0052】
界面活性剤としては、非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤等が挙げられる。非イオン界面活性剤としては、例えば、ステアリン酸、ラウリン酸のような脂肪酸の無機及び有機塩、グリセリン脂肪酸エステル及びそのアルキレングリコール付加物、ポリグリセリン脂肪酸エステル及びそのアルキレングリコール付加物、プロピレングリコール脂肪酸エステル及びそのアルキレングリコール付加物、ソルビタン脂肪酸エステル及びそのアルキレングリコール付加物、ソルビトールの脂肪酸エステル及びそのアルキレングリコール付加物、ポリアルキレングリコール脂肪酸エステル、蔗糖脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、グリセリンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ラノリンのアルキレングリコール付加物、ポリオキシアルキレンアルキル共変性オルガノポリシロキサン、ポリエーテル変性オルガノポリシロキサン等が挙げられる。アニオン界面活性剤としては、例えば、ステアリン酸、ラウリン酸のような脂肪酸の無機及び有機塩、アルキルベンゼン硫酸塩、アルキルスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、α−スルホン化脂肪酸塩、アシルメチルタウリン塩、N−メチル−N−アルキルタウリン塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、アルキル燐酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル燐酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル燐酸塩、N−アシルアミノ酸塩、N−アシル−N−アルキルアミノ酸塩、ο−アルキル置換リンゴ酸塩、アルキルスルホコハク酸塩等が挙げられる。カチオン界面活性剤としては、例えば、アルキルアミン塩、ポリアミン及びアルカノールアミン脂肪酸誘導体、アルキル四級アンモニウム塩、環式四級アンモニウム塩等が挙げられる。両性界面活性剤としては、アミノ酸タイプやベタインタイプのカルボン酸型、硫酸エステル型、スルホン酸型、リン酸エステル型のものがあり、人体に対して安全とされるものが使用できる。例えば、N,N−ジメチル−N−アルキル−N−カルボキシルメチルアンモニウムベタイン、N,N−ジアルキルアミノアルキレンカルボン酸、N,N,N−トリアルキル−N−スルフォアルキレンアンモニウムベタイン、N,N−ジアルキル−N,N−ビス(ポリオキシエチレン硫酸)アンモニウムベタイン、2−アルキル−1−ヒドロキシエチル−1−カルボキシメチルイミダゾリニウムベタイン、レシチン等が挙げられる。
【0053】
紫外線吸収剤としては、例えばベンゾフェノン系、PABA系、ケイ皮酸系、サリチル酸系、4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン、オキシベンゾン等が挙げられる。保湿剤としては、モイスチャー効果を付与する目的で用いる水性成分が用いられ、水及び水に可溶な成分であり、水の他に、例えば、タンパク質、ムコ多糖、コラーゲン、エラスチン、ケラチン等の多糖類、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジプリピレングリコール、ポリエチレングリコール等のグリコール類、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン等のグリセロール類、アロエベラ、ウイッチヘーゼル、ハマメリス、キュウリ、レモン、ラベンダー、ローズ等の植物抽出液が挙げられる。
【0054】
酸化防止剤としては、例えばα−トコフェロール、アスコルビン酸等が挙げられる。美容成分としては、例えばビタミン類、消炎剤、生薬等が挙げられる。防腐剤としては、例えばパラオキシ安息香酸エステル、フェノキシエタノール1,3−ブチレングリコール、1,2−ペンタンジオール等が挙げられる。
【0055】
本発明の油性アイライナー化粧料は油性成分が連続相であればよく、油性、油中水型があげられるが、水の配合量が5%以下である油性が好適である。また、形状は液状、ジェル状、クリーム状、固形等があげられる。
【0056】
本発明の油性アイライナー化粧料の製造方法は特に限定されるものではないが、例えば、成分(A)、(C)を含む油性成分と成分(B)を含む粉体を110℃程度で加熱混合したものを混練後、容器に充填することにより得ることができる。
【実施例】
【0057】
以下に実施例を挙げて、本発明を更に詳細に説明する。尚、これらは本発明を何ら限定するものではない。
【0058】
成分(B)の表面処理に用いられる含フッ素共重合体の合成例
[合成例1]
還流冷却管、窒素導入管、温度計および攪拌装置を備えた100ml四つ口フラスコに、含フッ素モノマ−CH=C(H)COO−CHCH13を18.6g、ヒドロキシエチルアクリレ−ト(東京化成工業社製)を2.5g、ポリエチレングリコールアクリレートCH=C(H)COO−(CHCHO)−H(BLEMMER AE200 日油株式会社製 nの平均値は4.5)を8.0g、ポリエチレングリコールジアクリレートCH=C(H)COO−(CHCHO)−CO−CH=CH(BLEMMER ADE300 日油株式会社製 nの平均値は7.0)を0.9gとIPAを45g仕込んで、30分間窒素バブリングした。窒素気流下で内温を50−65℃に昇温後、PVを0.4g添加し、60〜65℃で6時間反応させた。得られた溶液を減圧条件下にて70℃でIPAを除去し、淡黄色の共重合体を得た。得られた共重合体の重量平均分子量(Mw)は、ポリスチレン換算のGPC測定にて16280であった。
[合成例2]
還流冷却管、窒素導入管、温度計および攪拌装置を備えた100ml四つ口フラスコに、含フッ素モノマ−CH=C(H)COO−CHCH13を18.6g、ヒドロキシエチルアクリレ−ト(東京化成工業社製)を3.5g、ポリエチレングリコールアクリレ−トCH=C(H)COO−(CHCHO)−H(BLEMMER AE200 日油株式会社製 nの平均値は4.5)を7.2g、ポリエチレングリコ−ルジアクリレートCH=C(H)COO−(CHCHO)−CO−CH=CH(BLEMMER ADE300 日油株式会社製 nの平均値は7.0)を0.7gとIPAを45g仕込んで、参考製造例5と同様の重合反応を行い、淡黄色の共重合体を得た。得られた共重合体の重量平均分子量(Mw)は、ポリスチレン換算のGPC測定にて17200であった。
【0059】
成分(B)の含フッ素共重合体で表面処理した粉体の製造例
[製造例1]含フッ素共重合体5%処理タルク
タルクJA−46R(浅田製粉社製)100gを高速混合機に仕込み、含フッ素化合物(合成例1)を固形分で5.0gとイソプロピルアルコールと水の混合物(50:50wt%)50gを加えて30分間混練した。混合物を80℃で3時間乾燥後、更に110℃で10時間乾燥した。アトマイザー粉砕して各含フッ素共重合体5%処理タルクを得た。
[製造例2]含フッ素共重合体3%処理雲母チタン
製造例1記載の方法と同様に、FLAMENCO BLUE 620C(エンゲルハード社製)100gと含フッ素化合物(合成例1)を固形分で3.0gを混合し、含フッ素共重合体3%処理雲母チタンを得た。
[製造例3]含フッ素共重合体4%処理セリサイト
製造例1記載の方法と同様に、セリサイトFSE(三信鉱工社製)100gと含フッ素化合物(合成例1)を固形分で4.0gを混合し、含フッ素化合物4%処理セリサイトを得た。
[製造例4]含フッ素共重合体5%処理ベンガラ
製造例1記載の方法と同様に、ベンガラ七宝(三好化成社製)100gと含フッ素化合物(合成例1)を固形分で5.0g混合し、含フッ素共重合体5%処理ベンガラを得た。
[製造例5]含フッ素共重合体2%処理黒酸化鉄
実施例1記載の方法と同様に、ブラックBL−100P(チタン工業社製)100gと含フッ素化合物(合成例1)を固形分で2.0g混合し、含フッ素化合物2%処理黒酸化鉄を得た。
[製造例6]含フッ素共重合体3%処理ナイロン繊維
製造例1記載の方法と同様に、ナイロンファイバー3.3T 1MM(中部パイル社製)100gと含フッ素化合物(合成例1)を固形分で3.0g混合し、含フッ素共重合体3%処理ナイロン繊維を得た。
[製造例7]含フッ素共重合体2%処理酸化チタン被覆ガラス末
実施例1記載の方法と同様に、メタシャイン1080RC−S(日本板硝子社製)100gと含フッ素化合物(合成例1)を固形分で2.0g混合し、含フッ素共重合体2%処理酸化チタン被覆ガラス末を得た。
[製造例8]含フッ素共重合体2%処理セリサイト
製造例1記載の方法と同様に、セリサイトFSE(三信鉱工社製)100gと含フッ素化合物(合成例2)を固形分で2.0gを混合し、含フッ素化合物2%処理セリサイトを得た。
[製造例9]含フッ素共重合体4%処理黒酸化鉄
実施例1記載の方法と同様に、ブラックBL−100P(チタン工業社製)100gと含フッ素化合物(合成例2)を固形分で4.0g混合し、含フッ素化合物4%処理黒酸化鉄を得た。
【0060】
実施例1〜6及び比較例1〜4:油性アイライナー化粧料(固形状)
下記表1に示す処方の油性アイライナー化粧料を調製し、a.化粧持続効果(にじみのなさ)b.化粧持続効果(化粧膜の剥離のなさ)、c.発色のよさ、d.化粧膜の均一性を下記の評価方法により評価した結果も併せて表1に示す。
【0061】
【表1】

*1:合成ワックスP−200(日本ナチュラルプロダクツ社製)
*2:X21−5250(東レ・ダウコーニング社製)
*3:SILFORM FLEXIBLE RESIN(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン社製)
*4:BENTONE 38V BC(エレメンティス社製)
*5:KF−6028P(信越化学工業社製)
*6:パーフルオロアルキルリン酸エステルエタノールアミン塩5%処理
*7:メチルポリシロキサン3%処理
*8:IPソルベント1620(出光興産社製)
(製法)
A.成分(1)〜(2)及び(15)を約110℃に加熱し、均一に混合する。
B.Aに(3)〜(14)を添加し、均一に混合する。
C.Bを容器に充填して油性アイライナー化粧料を得た。
【0062】
(評価方法)
a〜dの項目について、各試料について専門パネル20名による使用テストを行った。各試料を1回瞼に塗布し、パネル各人が下記絶対評価にて評価し、評点をつけ、パネル全員の評点合計からその平均値を算出し、下記判定基準により判定した。
<評価項目>
a.化粧持続効果(にじみのなさ)
b.化粧持続効果(化粧膜の剥離のなさ)
c.発色のよさ
d.化粧膜の均一性
<絶対評価>
(評点):(評価)
5:非常に良い
4:良い
3:やや良い
2:普通
1:やや悪い
0:悪い
<判定>
◎:4点以上 :非常に良好
○:3点以上で4点未満 :良好
△:1.5点以上で3点未満 :やや不良
×:1.5点未満 :不良
【0063】
表1の結果から明らかな如く、本発明の実施例1〜6の油性アイライナー化粧料は、比較例1〜4の油性アイライナーに比べ、発色が高く、化粧膜の均一性に優れ、にじみや化粧膜の剥離のない化粧持続効果の全てにおいて優れたものであった。
これに対して、成分(A)を配合しない比較例1では、瞼上での皮膜が弱いため、にじみや化粧膜の剥離を防ぐ化粧持続効果が著しく低下した。
成分(B)の代わりに未処理の粉体を配合した比較例2は、化粧膜が水や皮脂でぬれやすく、化粧持続効果において満足のいくものが得られなかった。
成分(B)の代わりにフッ素含有アルキル化合物処理した粉体を配合した比較例3は、耐皮脂性は優れるものの、化粧膜が上滑りして均一に付着していかないことから発色および化粧膜の均一性に欠けていた。
成分(B)の代わりにシリコーン処理した粉体を配合した比較例4は、比較例2に比べ耐皮脂性は若干向上するものの、化粧膜が上滑りして発色や、化粧膜の均一性に欠けていた。
【0064】
実施例7〜14及び比較例5〜8:油性アイライナー化粧料(液状)
下記表2に示す処方の油性アイライナー化粧料を調製し、実施例1〜6と同様に評価し結果を示した。
【0065】
【表2】

*9:ブチルワックス 201(興立化学社製)
*10:KF−7312J(信越化学工業社製)
*11:PERFOMALENE 500(ニューフェーズテクノロジー社製)
*12:レオパール KL(千葉製粉社製)
(製法)
A.成分(5)〜(9)及び(23)を約95℃に加熱し、均一に混合する。
B.Aに(1)〜(4)、(10)〜(22)を添加し、均一に混合する。
C.Bを容器に充填して油性アイライナー化粧料を得た。
【0066】
表2の結果から明らかな如く、本発明の実施例7〜14の油性アイライナー化粧料は、比較例5〜8の油性アイライナーに比べ、発色が高く、化粧膜の均一性に優れ、にじみや化粧膜の剥離を防ぐ化粧持続効果の全てにおいて優れたものであった。
これに対して、成分(A)を配合しない比較例5では、瞼上での皮膜が弱いため、にじみや化粧膜の剥離を防ぐ化粧持続効果が著しく低下した。
成分(B)の代わりに未処理の粉体を配合した比較例6は、化粧膜が水や皮脂でぬれやすいため、化粧持続効果において満足のいくものが得られなかった。
成分(B)の代わりにフッ素含有アルキル化合物処理粉体を配合した比較例7は、耐皮脂性は優れるものの、化粧膜が上滑りして均一に付着していかないことから発色および化粧膜の均一性に欠けていた。
成分(B)の代わりにシリコーン処理粉体を配合した比較例8は、未処理の粉体を配合した比較例6に比べ耐皮脂性は若干向上するものの、化粧膜が上滑りして発色や、化粧膜の均一性に欠けていた。
【0067】
実施例15:油性アイライナー化粧料(クリーム状)
(成分) (%)
1.マイクロクリスタリンワックス*13 3
2.ポリエチレンワックス 7
3.水添ポリイソブテン 1
4.軽質流動イソパラフィン 残量
5.トリメチルシロキシケイ酸*14 10
6.デカメチルシクロペンタシロキサン 10
7.有機変性ベントナイト 2
8.製造例1の含フッ素共重合体処理黒酸化鉄 20
9.製造例3の含フッ素共重合体処理セリサイト 5
10.製造例2の含フッ素共重合体3%処理雲母チタン 5
11.製造例7の含フッ素共重合体処理酸化チタン被覆ガラス末 1
12.香料 適量
*13:ムルチワックス W−445(SONNEBORN社製)
*14:SR 1000(モメンティヴ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン社製)
(製法)
A.成分(1)〜(4)を約100℃に加熱し、均一に混合溶解する。
B.Aに(5)〜(12)を均一に混合する。
C.Bを容器に充填して油性アイライナー化粧料を得た。
【0068】
以上のようにして得られた油性アイライナーは、発色に優れ、仕上がり膜の均一性が高く、涙等の水分や皮脂に対するにじみや、まばたき等の連続運動により化粧膜の剥離を防ぐ化粧持続効果に優れるものであった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(A)、(B)及び(C);
(A)油溶性皮膜形成樹脂;
(B)下記一般式(1)で表される含フッ素単量体(b1)と、下記一般式(2)で表されるアルコキシ基含有単量体(b2)とを必須に含む単量体を共重合して得られる含フッ素共重合体で表面処理した粉体;
CH=C(−X)−C(=O)−Y−[−(CH−Z−]−(CH−Rf・(1)
[式中、Xは、水素原子、炭素数1〜21の直鎖状又は分岐状のアルキル基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、CFX基(但し、X及びXは、それぞれ水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子である。)、シアノ基、炭素数1〜20の直鎖状又は分岐状のフルオロアルキル基、置換又は非置換のベンジル基、置換又は非置換のフェニル基であり;Yは、−O−又は−NH−であり;Zは、直接結合、−S−又は−SO−であり;Rfは、炭素数1〜6のフルオロアルキル基であり;mは1〜10、nは0〜10、pは0又は1である。]
CH=C(R)−COO−(RO)−R ・・・(2)
[式中、Rは、水素原子又はメチル基であり;Rは、水素原子の一部又は全部が水酸基で置換されていてもよい炭素数2〜4のアルキレン基;Rは、水素原子または炭素数1〜22の不飽和または飽和の炭化水素基であり;qは、1〜50の整数である。]
(C)揮発性油剤;
を配合することを特徴とする油性アイライナー化粧料。
【請求項2】
前記成分(A)を0.1〜25質量%、及び(B)を5〜40質量%配合することを特徴とする請求項1に記載の油性アイライナー化粧料。
【請求項3】
前記成分(C)が炭素数8〜12である分岐脂肪族炭化水素油であることを特徴とする請求項1又は2のいずれかに記載の油性アイライナー化粧料。
【請求項4】
前記成分(A)がポリイソブチレン及び/又はトリメチルシロキシケイ酸であることを特徴とする請求項1〜3いずれかに記載の油性アイライナー化粧料。


【公開番号】特開2012−184207(P2012−184207A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−49890(P2011−49890)
【出願日】平成23年3月8日(2011.3.8)
【出願人】(000145862)株式会社コーセー (734)
【Fターム(参考)】