説明

油性インク及びインクジェット印刷法

【課題】普通紙印刷において、濃い画像を形成することができる油性インク及びインクジェット印刷方法を提供する。
【解決手段】顔料、顔料分散剤、及び有機溶剤を含む油性インクであって、
前記油性インクは、HLB6〜16のノニオン性界面活性剤をインク質量に対し0.1〜10質量%含み、
前記HLB6〜16のノニオン性界面活性剤は、脂肪酸エステル、脂肪酸エステルのエーテル、及びポリオキシアルキレンエーテルからなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする油性インク。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油性インク及びインクジェット印刷法に関し、詳細には、油性インクが逆ベシクルを形成する物質を含み、該インクを用いてインクジェット印刷を行うことによって、該逆ベシクルが紙の目止め効果を奏し、油性インクの裏抜けを防ぐことができる、油性インク及びインクジェット印刷法に関する。
【背景技術】
【0002】
油性インク(以下、単に「インク」という場合がある)は、印刷用紙のカールを起こさず、インクの乾燥時間が短いなどの特長を有する。しかし、インク中の溶剤が紙、特に普通紙、に浸透する際に、顔料も一緒に紙の中へと引き込まれて画像濃度が低くなる、所謂「裏抜け」という問題がある。
【0003】
これを解決するために、油性インクに無機微粒子を添加して、紙の目止めとして作用させることが提案されている(特許文献1)。しかし、インクジェット印刷では、インクの吐出口を塞がないよう、粒子サイズの上限が制限されるため、その目止め効果にも限界がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−239790号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明は、無機粒子の上記欠点が無い、普通紙印刷において、濃い画像を形成することができる油性インク及びインクジェット印刷方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
即ち、本発明は顔料、顔料分散剤、及び有機溶剤を含む油性インクであって、
前記油性インクは、HLB6〜16のノニオン性界面活性剤をインク質量に対し0.1〜10質量%含み、
前記HLB6〜16のノニオン性界面活性剤は、脂肪酸エステル、脂肪酸エステルのエーテル、及びポリオキシアルキレンエーテルからなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする油性インクである。
また、本発明は、上記油性インクを用いるインクジェット印刷方法であって、該印刷方法が、
(1)該油性インクを40〜70℃に加温する工程と、
(2)該加温された油性インクを吐出する工程と
を含むことを特徴とするインクジェット印刷方法である。
【発明の効果】
【0007】
本発明のインクにおいて、HLB6〜16のノニオン性界面活性剤はインク中で、逆ベシクル、即ち、親水性部を向け合い、親油性部を外側に向けた2分子膜もしくは多分子膜からなる構造、を構成する。逆ベシクルを形成する物質をインク等の組成物に配合することは公知である(例えば、特開2010−104946号公報)。しかし、該組成物は乳化系であり、逆ベシクル形成物質は乳化剤として使用されている。これに対して、本発明は、均一系での使用であり、その目止め効果も、上記乳化効果とは全く異質な効果である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明のインクは、HLB6〜16の、脂肪酸エステル、脂肪酸エステルのエーテル、及びポリオキシアルキレンエーテルからなる群より選ばれる少なくとも1種のノニオン性界面活性剤(以下、「逆ベシクル形成剤」という場合がある)を含む。HLBが上記範囲外のものは、油性インク中で逆ベシクルを形成し難い。好ましくは、HLB7〜12のものが使用される。
【0009】
脂肪酸エステルとしては、グリセリン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、及び蔗糖脂肪酸エステル等の多価アルコールと飽和もしくは不飽和脂肪酸のエステルが挙げられる。脂肪酸エステルのエーテルとしては、前記脂肪酸エステルにエチレンオキサイドを付加したものが挙げられる。ポリオキシアルキレンエーテルとしては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポロオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキレンエーテル、及びポリオキシプロピレンアルキルエーテルが挙げられる。
【0010】
これらのうち蔗糖脂肪酸エステルが好ましい。該脂肪酸エステルとしては、蔗糖と炭素数12〜22の脂肪酸とのエステルが挙げられ、例えば、商品名S−770(蔗糖ステアレート、40%モノエステル、60%ジ−、トリ−及びポリエステル)、S−970(蔗糖ステアレート、50%モノエステル、50%ジ−、トリ−及びポリエステル);P−1570(蔗糖パルミテート、70%モノエステル); M−1695(蔗糖ミリステート、80%モノエステル)及びL−1695(蔗糖ラウレート、80%モノエステル)(いずれも三菱化学フーズ(株)製)、で市販されている。
【0011】
また、下記式(1)で表されるポリオキシエチレンアルキルエーテルも好ましく使用される。
【化1】


上式で、Rは炭素数10〜20、好ましくは12〜18のアルキル基もしくはアルキレン基であり、nは2〜10、好ましくは3〜7の整数である。該ポリオキシエチレンアルキルエーテルとしては、ポリオキシエチレンカプリルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンパルミチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル等が包含される。
【0012】
逆ベシクル形成剤の量は、油性インクの質量に対して、0.1〜10質量%、好ましくは、0.5〜7.0%、より好ましくは、1〜5質量%である。該量が前記下限値未満では、満足の行く裏抜け防止効果が得難く、前記上限値を超えるとインク粘度の上昇を招く場合がある。
【0013】
好ましくは、本発明のインクは、逆ベシクルを安定化するために、HLB1〜5のノニオン性界面活性剤(以下「安定化剤」という場合がある)を含む。ノニオン性界面活性剤としては逆ベシクル形成剤として列挙したもののうち、HLB1〜5、好ましくは2〜5、のものを使用することができる。HLBが上記範囲外では、逆ベシクルの安定化効果が得られ難い。
【0014】
好ましい安定化剤として、ソルビタン脂肪酸エステル及び/又はポリエチレングリコール脂肪酸エステルが挙げられる。ソルビタン脂肪酸エステルとしては、ソルビトールと、炭素数18〜30の脂肪酸とのエステル、例えばソルビタンモノステアレート、ソルビタンジステアレート、ソルビタントリステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタントリオレエート、ソルビタンセスキオレエート等が例示される。ポリエチレングリコール脂肪酸エステルとしては、エチレンオキサイド(EO)付加モル数が1〜4のポリエチレングリコールと炭素数12〜22の脂肪酸とのエステルが挙げられ、例えば、ポリエチレングリコールラウレート、ポリエチレングリコールモノオレエート、ポリチレングリコールモノステアレート、ポリエチレングリコールジステアレート、ポリエチレングリコールジイソステアレート等が例示される。
【0015】
安定化剤の量は、油性インクの質量に対して、0.1〜10質量%、好ましくは、0.5〜7.0%、より好ましくは、1.0〜5.0質量%である。該量が、前記下限未満の場合、もしくは上限を超えて添加した場合、逆ベシクルの安定性が悪く、満足の行く裏抜け防止効果が得られ無い場合がある。
【0016】
本発明のインクにおいて、顔料は任意のものであってよく、たとえば、アゾ系、フタロシアニン系、染料系、縮合多環系、ニトロ系、ニトロソ系等の有機顔料(ブリリアントカーミン6B、レーキレッドC、ウォッチングレッド、ジスアゾイエロー、ハンザイエロー、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、アルカリブルー、アニリンブラック等);コバルト、鉄、クロム、銅、亜鉛、鉛、チタン、バナジウム、マンガン、ニッケル等の金属類、金属酸化物および硫化物、ならびに黄土、群青、紺青等の無機顔料、ファーネスカーボンブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラック類を用いることができる。これらの顔料は、いずれか1種が単独で用いられるほか、2種以上組み合わせて使用してもよい。
【0017】
顔料の平均粒径は、分散性と保存安定性の観点から300nm以下であることが好ましく、150nm以下であることがより好ましく、100nm以下であることがさらに好ましい。ここで、顔料の平均粒径は、動的光散乱法により測定することができる。
【0018】
インク中の顔料の含有量は、通常、0.01〜20質量%であり、印刷濃度とインク粘度の観点から1〜15重量%であることが好ましく、5〜10重量%であることが一層好ましい。
【0019】
顔料分散剤としては種々の物を使用することができ、例えば、水酸基含有カルボン酸エステル、長鎖ポリアミノアマイドと高分子量酸エステルの塩、高分子量ポリカルボン酸の塩、長鎖ポリアミノアマイドと極性酸エステルの塩、高分子量不飽和酸エステル、変性ポリウレタン、変性ポリアクリレート、ポリエーテルエステル型アニオン系活性剤、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物塩、ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリエステルポリアミン、ステアリルアミンアセテート等が挙げられる。
【0020】
これらのうち、高分子系分散剤が好ましく、例えば、以下の商品名で販売されているものが挙げられる:ソルスパース5000(フタロシアニンアンモニウム塩系)、11200(ポリアミド系)、13940(ポリエステルアミン系)、17000、18000(脂肪酸アミン系)、22000、24000、及び28000(いずれも日本ルブリゾール社製);エフカ400、401、402、403、450、451、453(変性ポリアクリレート)、46、47、48、49、4010、及び4055(変性ポリウレタン)(いずれもEfka CHEMICALS社製);デモールP、EP、ポイズ520、521、530、及びホモゲノールL−18(ポリカルボン酸型高分子界面活性剤)(いずれも花王(株)製);ディスパロンKS−860、KS−873N4(高分子ポリエステルのアミン塩)(いずれも楠本化成社製);ディスコール202、206、OA−202、及びOA−600(多鎖型高分子非イオン系)(いずれも第一工業製薬(株)製);ANTARON V216(ビニルピロリドン−ヘキサデセンコポリマー)(アイエスピー・ジャパン(株)製)。なかでも、ポリアミド系及びビニルピロリドン−ヘキサデセンコポリマーがより好ましい。
【0021】
顔料分散剤の含有量は、上記顔料を十分にインク中に分散可能な量であればよく、通常、顔料に対する質量比で、分散剤の固形分が0.1から2程度、好ましくは、0.3〜1.0程度である。
【0022】
有機溶剤としては、非極性有機溶剤、極性有機溶剤又はこれらの混合物を使用して、逆ベシクル形成剤が安定な逆ベシクルを形成できる溶剤系とすることができる。非極性有機溶剤の例としては、脂肪族炭化水素溶剤、脂環式炭化水素系溶剤、芳香族炭化水素溶剤等を挙げることができる。脂肪族炭化水素溶剤、脂環式炭化水素系溶剤としては、パラフィン系、イソパラフィン系、ナフテン系の溶剤が挙げられる。例えば、以下の商品名で販売されているものが挙げられる。テクリーンN−16、テクリーンN−20、テクリーンN−22、日石ナフテゾールL、日石ナフテゾールM、日石ナフテゾールH、0号ソルベントL、0号ソルベントM、0号ソルベントH、日石アイソゾール300、日石アイソゾール400、AF−4、AF−5、AF−6、及びAF−7(いずれもJX日鉱日石エネルギー社製);Isopar(アイソパー)G、IsoparH、IsoparL、IsoparM、ExxolD40、ExxolD80、ExxolD100、ExxolD130、及びExxolD140(いずれもExxon社製)。芳香族炭化水素溶剤としては、日石クリーンソルG(アルキルベンゼン、JX日鉱日石エネルギー社製)、ソルベッソ200(Exxon社製)等が挙げられる。これらのうち、ナフテン系溶剤、例えば、AF−4、AF−5、AF−6、及びAF−7(商品名)が好ましい。
【0023】
極性有機溶剤としては、エステル系溶剤、アルコール系溶剤、高級脂肪酸系溶剤、エーテル系溶剤を用いることができる。エステル系溶剤としては、ラウリル酸メチル、ラウリル酸イソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソステアリル、オレイン酸メチル、オレイン酸エチル、オレイン酸イソプロピル、オレイン酸ブチル、リノール酸メチル、リノール酸イソブチル、リノール酸エチル、イソステアリン酸イソプロピル、大豆油メチル、大豆油イソブチル、トール油メチル、トール油イソブチル、アジピン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジエチル、モノカプリン酸プロピレングリコール、トリ2−エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル;アルコール系溶剤としてはイソミリスチルアルコール、イソパルミチルアルコール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール;高級脂肪酸系溶剤としてはイソノナン酸、イソミリスチン酸、ヘキサデカン酸、イソパルミチン酸、オレイン酸、イソステアリン酸;エーテル系溶剤としてはジエチルグリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールジブチルエーテルが挙げられる。なかでも、エステル系溶剤、アルコール系溶剤及びこれらの混合物が好ましい。
【0024】
好ましくは、非極性溶剤、なかでもナフテン系溶剤が使用される。極性溶剤を使用する場合には、その量は、逆ベシクル形成剤、安定化剤等に依存して異なるが、好ましくは、非極性有機溶剤:極性溶剤の質量比で、1:0.1〜1:0.8、より好ましくは、1:0.2〜1:0.5である。
【0025】
上記各成分に加えて、本発明のインク組成物には、本発明の目的を阻害しない範囲で、慣用の添加剤を配合することができる。該添加剤としては、酸化防止剤、例えばジブチルヒドロキシトルエン、没食子酸プロピル、トコフェロール、ブチルヒドロキシアニソール、及びノルジヒドログアヤレチック酸等、が挙げられる。
【0026】
本発明の油性インク組成物は、顔料を有機溶剤の一部にミル等の手段により分散させた顔料分散液、逆ベシクル形成剤と、所望により安定化剤を有機溶剤の一部に分散させた逆ベシクル分散液を、別々に調製した後、双方の分散液と、残りの有機溶剤を混合し、次いで、メンブレンフィルター等で固形物を除去して、調製することができる。なお、フィルター操作は、40〜70℃に1〜2分加温した後に行っても良い。逆ベシクル分散液は、逆ベシクル形成剤と、所望により安定化剤と、有機溶剤の一部を混合するだけで作ることができる。混合は、ミキサー、超音波処理装置等の公知の混合手段を用いてよい。好ましくは、混合しながら、40〜70℃程度に、1〜2分間程度、加温した後、静置して室温まで冷却する。これにより、安定な逆ベシクルが形成される。該逆ベシクルが形成されているかどうかは、例えば、偏光や微分干渉を利用した光学顕微鏡観察や、凍結割断法による電子顕微鏡観察により確認することができる。
【0027】
このようにして得られたインクは、インクジェット印刷に好適に使用される。本発明は、該インクを使用してインクジェット印刷する方法を提供する。該方法は、(1)油性インクを40〜70℃に加温する工程と、(2)該加温された油性インクを吐出する工程とを含むことを特徴とする。本発明の油性インクは、加温せずとも吐出することはできる。しかし、加温することによって、粘度が低下すること、逆ベシクルのサイズが小さくなってノズルを通過し易くなることによって、より安定に吐出されるようになる。加温された状態で吐出されたインクが飛翔、紙への着弾、紙中への浸透の過程で冷却されると、逆ベシクルが形成されて、紙の繊維間の空隙を埋めて、顔料の浸透を抑制するため、画像濃度の向上、裏抜けの低減が達成できる。
【0028】
使用するインクジェットプリンタは、ピエゾ方式、又はサーマル方式のものが使用され、好ましくは、ピエゾ式のものが使用される。
【実施例】
【0029】
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、以下において、特に断わりの無い限り、「部」は「質量部」を意味する。
<実施例1〜8>
表2に示す処方に従い、油性インクを調製した。顔料分散液を、顔料8部、顔料分散剤8部(有り姿)、鉱物油16部をガラス容器に入れ、これにジルコニアビーズ(φ0.5mm)を入れ、ロッキングミル(セイワ技研製 RM05S型)を用いて周波数65Hzで120分間運転して調製した。
逆ベシクル分散液を、鉱物油18部に、表2に示す量の逆ベシクル形成剤と、実施例2〜6では安定化剤を添加し、60℃で1〜2分加温した後、超音波分散機で2分間処理し、次いで、室温まで冷却して調製した。
得られた顔料分散液32部、逆ベシクル分散液20部、鉱物油48部を攪拌して混合した後、3.0μmのメンブレンフィルターを通した。
【0030】
各成分の詳細は以下のとおりである。
ブラック顔料:MA7(三菱化学社製)
シアン顔料:フタロシアニン銅(DIC社製)
顔料分散剤:ソルスパースS13940(固形分40%、ルブリゾール社製)
ナフテン系溶剤:AF−4(JX日鉱日石エネルギー社製)
脂肪酸エステル:オレイン酸メチル
蔗糖脂肪酸エステル:
S770(蔗糖ステアレート、三菱化学フーズ社製)
S970(蔗糖ステアレート、三菱化学フーズ社製)
ポリオキシエチレンアルキルエーテル:
BL−4.2(ポリオキシエチレン(4.2)ラウリルエーテル、ニッコーケミカルズ社製)
BO−7(ポリオキシエチレン(7)オレイルエーテル、ニッコーケミカルズ社製)
ソルビタン脂肪酸エステル:
SO−15(セスキオレイン酸ソルビタン、ニッコーケミカルズ社製)
SO−30(トリオレイン酸ソルビタン、ニッコーケミカルズ社製)
ポリエチレングリコール脂肪酸エステル:
MYO−2(モノオレイン酸ポリエチレングリコール、ニッコーケミカルズ社製)
【0031】
<比較例1>
逆ベシクル分散液を配合せず、鉱物油68部を配合したことを除き、実施例と同様にして、油性インクを調製した。
【0032】
<比較例2>
逆ベシクル分散液を配合せず、ソルビタン脂肪酸エステル2部と、鉱物油66部を配合したことを除き、実施例と同様にして、油性インクを調製した。
【0033】
<画質評価方法>
東芝テック社製のピエゾ方式インクジェットヘッドに、調製した各インクを充填し、40℃に加温した後、普通紙(理想科学工業社製「理想用紙薄口」)に、1passで液滴42pl、300dpi×300dpiのベタを印字し、24時間放置後、印字したベタ部の表裏濃度をOD値で測定し(マクベス社)、表1に示す基準で評価した。結果を表2に示す。
【表1】

【表2】

【0034】
表2に示すように、逆ベシクルを含む実施例の油性インクを用いた場合には、濃い画像を得ることができた。一方、逆ベシクルを欠く比較例の油性インクでは、いずれも裏抜けが顕著であった。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明の油性インクを用いてインクジェット印刷することによって、濃度の濃い画像を形成することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
顔料、顔料分散剤、及び有機溶剤を含む油性インクであって、
前記油性インクは、HLB6〜16のノニオン性界面活性剤をインク質量に対し0.1〜10質量%含み、
前記HLB6〜16のノニオン性界面活性剤は、脂肪酸エステル、脂肪酸エステルのエーテル、及びポリオキシアルキレンエーテルからなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする油性インク。
【請求項2】
前記HLB6〜16のノニオン性界面活性剤が、蔗糖脂肪酸エステルであることを特徴とする請求項1に記載の油性インク。
【請求項3】
前記HLB6〜16のノニオン性界面活性剤が、下記式(1)のポリオキシアルキレンエーテルであることを特徴とする請求項1に記載の油性インク。
【化1】


(上式で、Rは炭素数10〜20のアルキル基又はアルキレン基であり、nは2〜10の整数である。)
【請求項4】
インク質量に対し、0.1〜10質量%のHLB1〜5のノニオン性界面活性剤をさらに含み、前記HLB1〜5のノニオン性界面活性剤が脂肪酸エステル、脂肪酸エステルのエーテル、及びポリオキシアルキレンエーテルからなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の油性インク。
【請求項5】
前記HLB1〜5のノニオン性界面活性剤が、ソルビタン脂肪酸エステルである、請求項4項記載の油性インク。
【請求項6】
前記HLB1〜5のノニオン性界面活性剤が、ポリエチレングリコール脂肪酸エステルである、請求項4記載の油性インク。
【請求項7】
有機溶剤が、ナフテン系溶剤である、請求項1〜6のいずれか1項記載の油性インク。
【請求項8】
前記1〜7のいずれか1項記載の油性インクを用いるインクジェット印刷方法であって、該印刷方法が、
(1)該油性インクを40〜70℃に加温する工程と、
(2)該加温された油性インクを吐出する工程と
を含むことを特徴とするインクジェット印刷方法。

【公開番号】特開2012−144639(P2012−144639A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−3796(P2011−3796)
【出願日】平成23年1月12日(2011.1.12)
【出願人】(000250502)理想科学工業株式会社 (1,191)
【Fターム(参考)】