説明

油性ゲル状クレンジング用組成物

【課題】皮膚に油っぽい感触が残ることなくすっきりと洗い流せる、皮膚のかさつきが生じない、など使用感に優れた油性ゲル状クレンジング用組成物を提供することを課題とする。
【解決手段】
(A)ジ脂肪酸アシルグルタミン酸リシン塩
(B)HLBが15以上の多価アルコール脂肪酸エステルと水酸化レシチンから選択される1種以上
(C)油性成分、
(D)多価アルコール
を、含有することを特徴とする油性ゲル状クレンジング用組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油性ゲル状クレンジング用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
皮膚の汚れや油性のメイクアップ化粧料を落とす目的で、主に界面活性剤の作用でメイク汚れを落とす水性ジェル状クレンジング料、クリーム状や乳液状のエマルションタイプのクレンジング料、油性成分の溶解作用でメイク汚れを落とす油性クレンジング料が上市されている。油性クレンジング料は特にクレンジング効果を発揮させることを主眼として開発されている。そのため、必然的に油性成分の含有量が高く、皮膚等に塗布して水洗した時の残油感が強いことが問題であった。また残油感を残さないようにすると皮膚のかさつきが感じられるようになったりした。
これを解決するために、多量の油性成分を配合しても、皮膚等に塗布してクレンジング後に水洗したとき、残油感がなく、皮膚のかさつきを起こさない使用感に優れたクレンジング化粧料の技術が提案されている。例えば、長鎖疎水基と親水基とを分子内に2個以上ずつ有する多鎖多親水基型化合物と分子内に水酸基を2個以上有するポリヒドロキシル化合物と油性成分とHLBが2〜14であるノニオン性界面活性剤を含有することを特徴とする油性ゲル状クレンジングの技術を例示することができる(特許文献1:特開2006−225403号公報)。
またショ糖脂肪酸エステルと分子内に3個以上の水酸基を有するゲル状洗浄剤の技術が提案されている(特許文献2:特開平5−229916号公報)。しかしこれらの提案も必ずしも満足できるものではなかった。皮膚のかさつきなどの生じない使用感に優れ、しかも残油感がなく、メイク落としなど油性汚れの洗浄効果の高いゲル状油性クレンジング用組成物が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−225403号公報
【特許文献2】特開平5−229916号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、皮膚に油っぽい感触が残ることなくすっきりと洗い流せる、皮膚のかさつきが生じないなど使用感に優れた油性ゲル状クレンジング用組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の主な構成は、次のとおりである。
(1)(A)ジ脂肪酸アシルグルタミン酸リシン塩
(B)HLBが15以上の多価アルコール脂肪酸エステルと水酸化レシチンから選択される1種以上
(C)油性成分
(D)多価アルコール
を、含有することを特徴とする油性ゲル状クレンジング用組成物。
(2)(A)ジ脂肪酸アシルグルタミン酸リシン塩がジラウロイルグルタミン酸リシン塩である(1)に記載の油性ゲル状クレンジング用組成物。
(3)(B)HLBが15以上の多価アルコール脂肪酸エステルが、ラウリン酸ポリグリセリル−10、ステアリン酸スクロース、パルミチン酸スクロースから選択される1種以上の物質である(1)又は(2)のいずれかに記載の油性ゲル状クレンジング用組成物。
(4)(D)多価アルコールが、グリセリン及び/又はソルビトールである(1)〜(3)のいずれかに記載の油性ゲル状クレンジング用組成物。
(5)さらに(E)ソルビタン脂肪酸エステルを含有する(1)〜(4)のいずれかに記載の油性ゲル状クレンジング用組成物。
(6)(E)ソルビタン脂肪酸エステルが、ヤシ油脂肪酸ソルビタン、ラウリン酸ソルビタンから選ばれる1種以上である(1)〜(5)のいずれかに記載の油性ゲル状クレンジング用組成物。
【発明の効果】
【0006】
油性汚れ落としに優れ、洗い流した後に残油感がなくすっきりと洗い流せ、皮膚のかさつきのない使用感に優れた油性ゲル状クレンジング用組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明の必須成分
本発明の(A)ジ脂肪酸アシルグルタミン酸リシン塩
ジ脂肪酸アシルグルタミン酸リシン塩は、化粧料に使用される保湿性に優れ、油性ゲル化能、顔料分散能、乳化安定化能に優れる化合物である。特に下記に述べるソルビトールやグリセリンなどのポリオールと併用すると油性成分をゲル化し、クレンジングに適した粘度のゲルを調製する目的で配合する。
ジ脂肪酸アシルグルタミン酸塩としては、ジラウロイルグルタミン酸リシンナトリウム、ジミリスチルグルタミン酸リシンナトリウム、ジステリルグルタミン酸リシンナトリウム、ジリノレイルグルタミン酸リシンナトリウムなどを例示できる。ジ脂肪酸アシルグルタミン酸リシン塩はL−リシン塩酸塩とN−脂肪酸アシル−L−グルタミン酸無水物を反応させて合成することができる。ジ脂肪酸アシルグルタミン酸リシン塩は市販品を用いることが可能であり、市販品としては旭化成ケミカルズ株式会社製のペリセアL−30:商品名(ジラウロイルグルタミン酸リシンNa)を例示できる。ペリセアL−30は、ジラウロイルグルタミン酸リシンNa29%、水71%から成る。ジ脂肪酸アシルグルタミン酸リシン塩を使用する場合は、0.1〜2質量%の範囲で配合すると好ましい。0.1質量%に満たないと、下記に述べるソルビトールなどを配合してもゲル化しない恐れがある。2質量%を超えて配合してもゲル化の効果は変わらない。
【0008】
本発明の(B)成分であるHLBが15以上の多価アルコール脂肪酸エステルと水酸化レシチンのうち、HLBが15以上の多価アルコール脂肪酸エステルとは、多価アルコールと脂肪酸とのエステル結合反応により得られる化合物である。多価アルコールとしては、ショ糖、グルコース、トレハロース、マルチトール、ポリグリセリンなどが挙げられる。脂肪酸としては、炭素数8〜22の飽和、不飽和のいずれの脂肪酸でも良く、直鎖状、分岐状のいずれでもかまわず、これらの混合物でも良い。これらの脂肪酸としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、オレイン酸などが挙げられる。多価アルコール脂肪酸エステルは、HLBが15〜19であることが好ましい。また、エステル化度は特に限定されず、複数種のエステル化度の混合物でも良い。
具体的には、ポリグリセリンラウリン酸エステル、ポリグリセリンミリスチン酸エステル、ポリグリセリンパルミチン酸エステル、ポリグリセリンステアリン酸エステル、ポリグリセリンイソステアリン酸エステル等のポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖ラウリン酸エステル、ショ糖ミリスチン酸エステル、ショ糖パルミチン酸エステル、ショ糖ステアリン酸エステル、ショ糖イソステアリン酸エステル等のショ糖脂肪酸エステルなどが挙げられる。中でも、ポリグリセリン脂肪酸エステルが好ましく使用される。
本発明では、これら多価アルコール脂肪酸エステルの1種または2種以上を組み合わせて配合することが特に好ましい。さらに、HLB15以上の多価アルコール脂肪酸エステルが一種でも含まれると、水での洗い流し性は良好になる。
HLB15以上の多価アルコール脂肪酸エステルとしてポリグリセリン脂肪酸エステルを例示することができる。本発明に用いるのに適したポリグリセリン脂肪酸エステルとしては、ラウリン酸ポリグリセリル−10が好ましく例示できる。ラウリン酸ポリグリセリル−10の市販品としては日光ケミカルズ株式会社製のDecaglyn 1−L(HLB15.5)、を入手して用いることができる。またHLB15以上の多価アルコール脂肪酸エステルとしてショ糖脂肪酸エステルを例示することができる。本発明に用いるのに適したショ糖脂肪酸エステルとしては、ステアリン酸スクロース、パルミチン酸スクロース、ミリスチン酸スクロース、ラウリン酸スクロースが好ましく例示できる。ステアリン酸スクロースの市販品としては第一工業製薬株式会社製のコスメライクS−160(HLB15)、コスメライクS−190(HLB19)等を入手して用いることができる。パルミチン酸スクロースの市販品としては第一工業製薬株式会社製のコスメライクP−160(HLB16)等を入手して用いることができる。ミリスチン酸スクロースの市販品としては第一工業製薬株式会社製のコスメライクM−160(HLB16)等を入手して用いることができる。ラウリン酸スクロースの市販品としては第一工業製薬株式会社製のコスメライクL−160(HLB16)等を入手して用いることができる。
HLB15以上の多価アルコール脂肪酸エステルの配合量は、0.5〜10質量%、好ましくは1〜5質量%である。0.5質量%に満たないと洗い流しやすさの効果が不十分になる恐れがある。10質量%を超えて配合すると安全性が損なわれる恐れがある。
水酸化レシチンは、レシチン中の不飽和炭素鎖に水酸基を導入したものである。水酸化大豆レシチン、水酸化卵黄レシチンが例示できる。水酸化大豆レシチンとしては、日光ケミカルズ株式会社製のレシノールSH−50を入手して用いることができる。レシノールSH−50は、水酸化レシチン50質量%とグリセリン50質量%から成る。水酸化レシチンの配合量は、0.5〜5質量%、好ましくは1〜3質量%である。0.5質量%に満たないと洗い流しやすさの改善効果が不十分になる恐れがある。5質量%を超えて配合すると安全性が損なわれる恐れがある。
【0009】
本発明の(C)油性成分
本発明で用いる油性成分としては、例えばエステル油、動植物油、炭化水素油、シリコーン油、高級脂肪酸、高級アルコール等が挙げられる。
エステル油としては、例えば2−エチルヘキサン酸セチル、2−エチルヘキサン酸エチル、2−エチルヘキサン酸ステアリル、2−エチルヘキサン酸イソステアリル、イソノナン酸オクチル、イソノナン酸イソノニル、ミリスチン酸イソプロピル、イソノナン酸イソデシル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸オクチル、ラウリン酸ヘキシル、イソパルミチン酸オクチル、ジイソノナン酸ブチレングリコール、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル等が挙げられる。動植物油としてはオリーブ油、ホホバ油、マカデミアナッツ油、ヒマワリ種子油等、炭化水素油としては流動パラフィン、スクワラン等、シリコーン油としてはジメチコン、フェニルトリメチコン、シクロメチコン等、高級脂肪酸としてはイソステアリン酸、オレイン酸等、高級アルコールとしてはオクチルドデカノール、オレイルアルコール等が挙げられる。
本発明に用いる油成成分は、40〜70質量%の範囲で配合することが好ましい。40質量%に満たないと、クレンジング効果が乏しくなる恐れがある。
【0010】
本発明の(D)多価アルコール
本発明で用いる多価アルコールとしては、グリセリン、ジグリセリン、ソルビット、ソルビトール、1,3−ブチレングリコール、1,2−ペンタンジオール、ジプロピレングリコール、プロピレングリコール、マルチトール等が挙げられる。グリセリンやソルビトールを用いることが好ましい。ソルビトールは、純ソルビトールあるいは水との混合物である三菱商事フードテック株式会社製のソルビットD−70(ソルビトール70%、水30%)を用いても良い。本発明に用いる多価アルコールは、1〜30質量%の範囲で配合することが好ましい。1質量%に満たないと、ゲル化しなくなる恐れがある。
【0011】
本発明の(E)ソルビタン脂肪酸エステル
本発明で用いる(E)ソルビタン脂肪酸エステルとしては、ヤシ油脂肪酸ソルビタン、ラウリン酸ソルビタンが挙げられる。
ヤシ油脂肪酸ソルビタンの市販品としては、日本エマルジョン株式会社製のEMALEX SPC−100、日光ケミカルズ株式会社製のNIKKOL SL−10を入手して用いることができる。ラウリン酸ソルビタンの市販品としては、日本エマルジョン株式会社製のEMALEX SPL−100を入手して用いることができる。
【0012】
任意成分
本発明の油性ゲル状クレンジング用組成物には、任意成分として化粧料に常用される各種原料を本発明の効果を損なわない範囲で配合することができる。
例えば、保湿剤、増粘剤、防腐剤、pH調整剤、界面活性剤、香料等を配合することができる。pH調整剤としては、クエン酸、リン酸、乳酸、グルコン酸、コハク酸、及びその塩を挙げることができる。
【0013】
本発明において、クレンジング効果を十分に発揮させるためには、水を含有しないかあるいは、水の添加量は極力少ない方が好ましい。しかし、水は固形の水溶性成分の溶媒となる場合など、必要に応じて含有させることができる。
一般にゲルの粘度は、多価アルコール、界面活性剤、油の種類、pH調整剤、またその配合量によって変化するが、水の配合もゲルの粘度に影響を与える。例えば、水1%配合のゲルの粘度が50000mPa・sのとき、水を10%まで増やすと3500mPa・sへ下がる。本発明に於いて水は、油性ゲル状クレンジング組成物全体の0.1〜10質量%、より好ましくは1〜5質量%であることが好ましい。10質量%を超えるとクレンジング効果が損なわれたり、ゲルが形成されにくくなったりする恐れがある。
【0014】
本発明の油性ゲル状クレンジング用組成物の粘度は、使用性や使用感を考慮して設計されるが、3000〜12万mPa・s、より好ましくは5000〜6万mPa・s(B型粘度計、4号ローター、6rpm、25℃で測定時)である。
【実施例】
【0015】
以下に実施例を挙げて、本発明の特徴と効果をさらに詳細に説明する。
【0016】
(1)ゲル状クレンジング組成物の調製と評価
表1に示す組成にて実施例1〜8、表2に示す組成にて比較例1〜8、表3に示す組成にて比較例9〜15の油性ゲル状クレンジング用組成物を調製した。
調製方法
(A)ジ脂肪酸アシルグルタミン酸リシン塩、(B)多価アルコール脂肪酸エステル及び/又はレシチン、(D)多価アルコールおよび水性成分を均一に混合させた中に、(C)油性成分を少しずつ滴下しながら混合し、油性ゲル状クレンジング用組成物を調製した。尚、多価アルコール脂肪酸エステル及び/又はレシチン(或いは界面活性剤)のうち、HLB値が12以下の多価アルコール脂肪酸エステル及び/又はレシチン(或いは界面活性剤)については、あらかじめ(C)油性成分と共に混合し、その他については同様の方法で調製した。
【0017】
【表1】

【0018】
【表2】

【0019】
【表3】

【0020】
ゲル化・洗い流しやすさの評価、粘度の測定
実施例と比較例の油性クレンジング用組成物を、下記に示す試験により評価した。実施例については粘度を測定した。
【0021】
<ゲル化の評価>
調製したクレンジング用組成物を、目視により、下記基準で評価した。
○;水相と油相に分離せず粘度のあるゲルを形成する
×;水相と油相に分離する
【0022】
<洗い流しやすさの評価>
10名の専門パネルが前腕内則部に調製した油性クレンジング用組成物を定量塗布した後、流水で軽くこすりながら「洗い流しやすさ」について下記基準により評価した。尚、表中にある「評価」とは、次に記す(判定)の基準に基づく評価結果を示したものである。
(基準)
○(洗い流しやすい):皮膚に油っぽい感触がなくすっきりと洗い流せる。
×(洗い流しにくい):皮膚に油っぽい感触が残り洗い流した感じがしない。
(判定)
○:8名以上が○(洗い流しやすい)と評価した。
△:5〜7名が ○(洗い流しやすい)と評価した。
×:4名以下が○(洗い流しやすい)と評価した。
【0023】
<粘度の測定>
得られた乳化組成物を直径約3cmのガラス容器に充填し25℃に保存して、製造翌日に粘度を測定(B型粘度計、4号ローター、6rpm、30秒)した。
【0024】
結果
評価結果を表1、表2、表3の下部、「測定・評価欄」に示した。実施例1〜8の油性クレンジング組成物は、すべて油性ゲル状クレンジング用に適した粘度のゲル状となり、洗い流しやすく、残油感もなく、皮膚のかさつき感のない優れた使用感の油性ゲル状クレンジング組成物であった。
一方、表2に示すとおり、比較例1〜8の油成クレンジング組成物は、ゲル化はしたものの、クレンジング後に水で洗い流しても皮膚に油っぽい感触がいつまでも残り洗い流した感じがしない使用感であり、洗い流しやすさの評価が低かった。
以上の結果から、本願発明の組成物においては、目的とする使用感の良いゲル状のクレンジング組成物を調製するためには、B成分である多価アルコール脂肪酸エステル又は水酸化レシチンの選択が重要であり、その中でもHLB15以上のものを選択した場合に優れた特性を持つゲル状クレンジング組成物となることが確認できた。
【0025】
また表3に示すように、比較例9〜15のクレンジング組成物は全くゲル化せず水相と油相が分離し、目的とするゲル状クレンジング組成物を得ることが出来なかった。
以上の表1、表2、表3に示す結果から、本願発明の組成物においては、目的とする使用感の良いゲル状のクレンジング組成物を調製するためには、B成分である多価アルコール脂肪酸エステル及び/又は水酸化レシチンの選択が重要であり、その中でもHLB15以上の多価アルコール脂肪酸エステル及び/又はレシチンを選択した場合に優れた特性を持つゲル状クレンジング組成物になることが確認できた。
【0026】
(2)ゲル状クレンジング組成物の伸びの改良
次に、表4の組成で、実施例9、10の油性ゲル状クレンジング用組成物を、実施例1〜8と同様の調製方法により調製した。実施例9、10の油性ゲル状クレンジング用組成物は、「ゲル化」、「洗い流しやすさ」、「粘度」の測定および評価に加えて、「ノビ」についても評価した。評価方法を以下に示す。結果を表4に示す。
【0027】
<ノビの評価>
10名の専門パネルが前腕内側部に調製したクレンジング組成物を定量塗布した後、メイク汚れ(口紅)となじませる時の「ノビ」について下記基準により評価した。尚、表中にある「評価」とは、次に記す(判定)の基準に基づく評価結果を示したものである。
(基準)
○(ノビが良い):軽いノビでありクレンジングしやすい。
×(ノビが悪い):重いノビでありクレンジングしにくい。
(判定)
○:8名以上が○(ノビが良い)と評価した。
△:5〜7名が○(ノビが良い)と評価した。
×:4名以下が○(ノビが良い)と評価した。
【0028】
【表4】

【0029】
結果
実施例9、10の油性ゲル状クレンジング用組成物は、軽いノビでありメイク汚れとなじませやすくクレンジングしやすいものであった。洗い流す時に皮膚に油っぽい感触が残ることなくすっきりと洗い流せた。またかさつき感もなかった。そして保管温度の違いによる粘度の差がほとんどないため使用性に優れていた。また、5℃、25℃、40℃に1ヶ月保管したものに外観上の変化はみられず保存安定性に優れていた。
以上の結果から、HLBが15以上の多価アルコール脂肪酸エステルに加えて、(E)成分としてソルビタン脂肪酸エステルを追加することでゲル状クレンジング組成物の伸びを改良することが確認できた。
実施例1〜実施例10で明らかなように、本発明の構成をとることにより、使用感、使用しやすさ、安定性に優れた油性ゲル状クレンジング用組成物を提供することができた。
【0030】
以下に本発明の構成を使用したクレンジング化粧料として適した組成物の処方、製造方法、特性を示す。

処方例1 油性ゲル状クレンジング組成物
成分 配合量(質量%)
1.グリセリン 20
2.ソルビトール(70%水溶液) 5
3.ペリセアL−30(ジラウロイルグルタミン酸リシンナトリウム29%水溶液)

4.クエン酸(1%水溶液) 4
5.NIKKOL SL−10(ヤシ油脂肪酸ソルビタン) 4
6.Decaglyn 1−50SV(日光ケミカルズ株式会社製;ステアリン酸ポリグリセリル−10とポリグリセリン−10の混合物、HLB15.0) 1
7.流動パラフィン 40
8.イソノナン酸イソノニル 12
9.ジメチコン 10
10.マカデミアナッツ油 2

(製法)
1〜4と6を均一に混合させた(水相)中に、あらかじめ混合しておいた5と7〜10(油相)を少しずつ滴下しながら混合し、油性ゲル状クレンジング用組成物を調製した。

得られた油性ゲル状クレンジング用組成物は、ノビが軽く、洗い流す時に皮膚に油っぽい感触が残ることなくすっきりと洗い流せた。またかさつき感もなかった。さらに保管温度の違いによる粘度の差がほとんどなく使用性に優れていた。また、5℃、25℃、40℃に1ヶ月保管したものに外観上の変化はみられず保存安定性に優れていた。
【0031】
処方例2 油性ゲル状クレンジング組成物
成分 配合量(質量%)
1.グリセリン 25
2.ペリセアL−30(ジラウロイルグルタミン酸リシンナトリウム29%水溶液)

3.クエン酸(1%水溶液) 2
4.EMALEX SPL−100(日本エマルジョン株式会社製;ラウリン酸ソルビタン) 4
5.Decaglyn 1−L(日光ケミカルズ株式会社製;ラウリン酸ポリグリセリル−10、HLB15.0) 1
6.トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル 50
7.シクロメチコン 5
8.ジメチコン 5
9.フェニルトリメチコン 5
10.ヒマワリ種子油 2

(製法)
1〜3と5を均一に混合させた(水相)中に、あらかじめ混合しておいた4と6〜10(油相)を少しずつ滴下しながら混合し、油性ゲル状クレンジング用組成物を調製した。

得られた油性ゲル状クレンジング用組成物は、ノビが軽く、洗い流す時に皮膚に油っぽい感触が残ることなくすっきりと洗い流せた。またかさつき感もなく、さらに保管温度の違いによる粘度の差がほとんどないため使用性に優れていた。また、5℃、25℃、40℃に1ヶ月保管したものに外観上の変化はみられず保存安定性に優れていた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)ジ脂肪酸アシルグルタミン酸リシン塩
(B)HLBが15以上の多価アルコール脂肪酸エステルと水酸化レシチンから選択される1種以上
(C)油性成分、
(D)多価アルコール
を、含有することを特徴とする油性ゲル状クレンジング用組成物。
【請求項2】
(A)ジ脂肪酸アシルグルタミン酸リシン塩がジラウロイルグルタミン酸リシン塩である請求項1に記載の油性ゲル状クレンジング用組成物。
【請求項3】
(B)HLBが15以上の多価アルコール脂肪酸エステルが、ラウリン酸ポリグリセリル−10、ステアリン酸スクロース、パルミチン酸スクロースから選択される1種以上の物質である請求項1、2のいずれかに記載の油性ゲル状クレンジング用組成物。
【請求項4】
(D)多価アルコールが、グリセリン及び/又はソルビトールである請求項1〜3のいずれかに記載の油性ゲル状クレンジング用組成物。
【請求項5】
さらに(E)ソルビタン脂肪酸エステルを含有する請求項1〜4のいずれかに記載の油性ゲル状クレンジング用組成物。
【請求項6】
(E)ソルビタン脂肪酸エステルが、ヤシ油脂肪酸ソルビタン、ラウリン酸ソルビタンから選ばれる1種以上である請求項1〜5のいずれかに記載の油性ゲル状クレンジング用組成物。


【公開番号】特開2013−1698(P2013−1698A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−137291(P2011−137291)
【出願日】平成23年6月21日(2011.6.21)
【出願人】(593106918)株式会社ファンケル (310)
【Fターム(参考)】