説明

油性ゲル状組成物を用いたヘアオイル

【課題】 使用中の伸び広がりがなめらかで、更に、仕上がりのしなやかさ、軽さ、しっとり感やまとまり易さ、ツヤ感を付与する効果にも優れたヘアオイルを提供すること。
【解決手段】 ゲル形成剤と油相成分とからなる油性ゲル状組成物を含むヘアオイルであって、
該ゲル形成剤が、レシチン100重量%に対して、ポリグリセリン及びポリグリセリン脂肪酸エステルから選択される少なくとも1種を5〜100重量%(合計量)配合したものであり、
該ポリグリセリンの重合度が2〜20であり、
該ポリグリセリン脂肪酸エステルが、炭素数が14以下の脂肪酸残基を有し、有機概念図で算出されるHLBが15以上であり、重合度8〜40であることを特徴とするヘアオイルを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油性ゲル状組成物を用いたヘアオイルに関する。更に詳細には、レシチンと、特定のポリグリセリン又は/及び特定のポリグリセリン脂肪酸エステルからなるゲル形成剤を、油性成分と配合したヘアオイルで、使用中の伸び広がりがなめらかで、仕上がりのしなやかさ、軽さに優れ、しっとり感やまとまり易さ、ツヤ感を付与する効果にも優れたヘアオイルに関する。
【背景技術】
【0002】
ヘアオイルは、毛髪に油分を補い、光沢、なめらかさ、柔軟性等を与えることを目的として使用される頭髪化粧料の一種である。ヘアオイルとしては、従来、ツバキ油、オリーブ油等の植物油や、流動パラフィン等の鉱物油を主成分として用いられてきた。そして、これに高級脂肪酸やシリコーン油等を配合し、使用感を調節することがなされてきた(例えば、非特許文献1参照)。特に、シリコーン油は、使用中及び使用後のなめらかさ、しなやかさの付与、仕上がりの軽さを出すために、異なる構造や分子量を有する種々のタイプのものが用いられてきた。そして、更なる使用感の向上を求め、高分子量のシリコーンを、低分子量のシリコーン又は揮発性シリコーン等と併用することもなされてきた(例えば、特許文献1、2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭63−183517号公報
【特許文献2】特開平1−175923号公報
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】光井武夫著「新化粧品学」(第1版;1993年1月12日南山堂発行)436〜439頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、これらの油組成物は概して低粘度であり、髪に塗布する際に指の間から流れ落ちたり、意図しない髪の部位に塗布してしまったりするという問題があった。また既存のゲル化剤で油性成分を調製した場合は、塗布する場合の伸び性が非常に悪かった。
【0006】
したがって、本発明の目的は、使用中の伸び広がりがなめらかで、更に、仕上がりのしなやかさ、軽さ、しっとり感やまとまり易さ、ツヤ感を付与するヘアオイルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、かかる実情に鑑み、ヘアオイルにおける使用性を向上し、機能を付加するべく鋭意検討を行った。その結果、レシチンと、特定のポリグリセリン又は/及び特定のポリグリセリン脂肪酸エステルとを特定量配合したゲル形成剤を、油性成分と配合することにより、使用中の伸び広がりがなめらかで、仕上がりのしなやかさ、軽さに優れ、しっとり感やまとまり易さ、ツヤ感を付与する効果にも優れたヘアオイルが得られることを見いだし、本発明を完成させるに至った。
【0008】
すなわち、本発明は、
ゲル形成剤と油相成分とからなる油性ゲル状組成物を含むヘアオイルであって、
該ゲル形成剤が、レシチン100重量%に対して、ポリグリセリン及びポリグリセリン脂肪酸エステルから選択される少なくとも1種を5〜100重量%(合計量)配合したものであり、
該ポリグリセリンの重合度が2〜20であり、
該ポリグリセリン脂肪酸エステルが、炭素数が14以下の脂肪酸残基を有し、有機概念図で算出されるHLBが15以上であり、重合度8〜40であることを特徴とするヘアオイルを提供する。
【0009】
前記油性ゲル状組成物は、前記ゲル形成剤1〜30重量%と前記油相成分70〜99重量%とを含有することが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明のヘアオイルは、使用中の伸び広がりがなめらかで、更に、仕上がりのしなやかさ、軽さ、しっとり感やまとまり易さ、ツヤ感を付与する効果に非常に優れている。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[油性ゲル状組成物]
本発明にいう油性ゲル状組成物とは、水を含まないか、あるいは極微量(例えば、1重量%以下、好ましくは0.2重量%以下)しか含まないゲル状組成物をいう。油性ゲル状組成物としては、ゲル形成剤と油相成分とからなればよく、特に限定されない。
【0012】
油性ゲル状組成物の含有量は、ヘアオイル全体に対して、1〜30重量%の範囲が好ましいが、3〜20重量%の範囲がより好ましく、3〜10重量%の範囲がさらに好ましい。含有量が少なすぎるとゲル形成不良となり、安定なジェル状ヘアオイルを得ることができない。また、含有量が多すぎると、ゲル形成力、保湿・保水効果が頭打ちとなるために多量に用いるメリットがなく、経済的でない。したがって、上記範囲で含有することが好ましい。
【0013】
[ゲル形成剤]
本発明のヘアオイルにおいてゲル形成剤は、レシチン100重量%に対して、ポリグリセリン及びポリグリセリン脂肪酸エステルから選択される少なくとも1種を5〜100重量%(合計量)配合したものであるが、5〜80重量%の範囲が好ましく、10〜50重量%の範囲がより好ましい。含有量が少なすぎると、ゲル形成能が著しく低下するため好ましくない。また、含有量が多すぎると、ポリグリセリン誘導体自体が可溶化されずに白濁した組成になる上に著しく粘度低下を引き起こす。したがって、上記範囲で含有することが好ましい。
【0014】
後述するように、レシチンとしては、ホスファチジルコリンの含有量が55〜99重量%のものが好ましいので、ゲル形成剤としては、ホスファチジルコリン55〜99重量%(例えば、75重量%)に対して、ポリグリセリン及びポリグリセリン脂肪酸エステルから選択される少なくとも1種が、上記と同様に5〜100重量%(合計量)等の割合で配合されているものが好ましく、5〜80重量%の範囲がより好ましく、10〜50重量%の範囲がさらに好ましい。
【0015】
ゲル形成剤の含有量は、ヘアオイル全体に対して、1〜30重量%の範囲が好ましいが、5〜20重量%の範囲がより好ましく、10〜15重量%の範囲がさらに好ましい。含有量が少なすぎるとゲル形成不良となり、安定なジェル状ヘアオイルを得ることができない。また、含有量が多すぎると、ゲル形成力、保湿・保水効果が頭打ちとなるために多量に用いるメリットがなく、経済的でない。したがって、上記範囲で含有することが好ましい。
【0016】
レシチンの含有量は、ヘアオイル全体に対して、1〜20重量%の範囲が好ましく、5〜10重量%の範囲が特に好ましい。レシチンの含有量が少なすぎるとゲル形成不良となり、安定なジェル状ヘアオイルを得ることができない。また、含有量が多すぎる場合は、ゲル形成力、保湿・保水効果が頭打ちとなるために多量に用いるメリットがなく、経済的でない。したがって、上記範囲で含有することが好ましい。
【0017】
ポリグリセリン及びポリグリセリン脂肪酸エステルから選択される少なくとも1種の含有量(合計量)は、ヘアオイル全体に対して、0.048〜15重量%の範囲が好ましく、0.5〜15重量%の範囲が特に好ましい。また、ポリグリセリン及びポリグリセリン脂肪酸エステルから選択される少なくとも1種の含有量(合計量)は、ゲル形成剤全量に対して、5〜100重量%の範囲が好ましく、5〜33重量%の範囲が特に好ましい。含有量が少なすぎるとゲル形成不良となり、安定なジェル状ヘアオイルを得ることができない。また、含有量が多すぎる場合は、ゲル形成力、保湿・保水効果が頭打ちとなり、多量に用いるメリットがなく、経済的でない。したがって、上記範囲で含有することが好ましい。
【0018】
[油相成分]
本発明で用いる油相成分は、極性油のみ、あるいは極性油と非極性油の混合物、あるいは非極性油を主成分とする。非極性油としては、スクワラン、ワセリン、流動パラフィン等の炭化水素類、鎖状または環状のシリコーン油等を挙げることができる。極性油の例としては、オリーブ油等の油脂類、ラノリン等のロウ類、ミリスチン酸イソプロピル、オレイン酸デシル、2−エチルヘキサン酸セチル、トリ−2−エチルヘキサン酸グリセリン等のエステル類[炭素数8以上(好ましくは、炭素数8〜25)の脂肪酸とアルコールとのエステル等]、オレイン酸、ラウリン酸等の高級脂肪酸類[炭素数12以上(好ましくは、炭素数12〜25)の脂肪酸等]、セタノール等の常温で固体の高級アルコール類[炭素数12以上(好ましくは、炭素数12〜25)のアルコール等]等を挙げることができる。これら油相成分の含有量は、油性ゲル状組成物全量に対し、70〜99重量%の範囲で、単独あるいは組み合わせて配合される。油相成分の含有量が70重量%より低濃度ではゲル形成剤の量が多くなりすぎ、また、99重量%を越えるとゲルの安定性が悪くなり、さらに経済的でないことから上記範囲が好ましい。油相成分の含有量は、油性ゲル状組成物全量に対して、70〜99重量%が好ましく、80〜97重量%がより好ましい。
【0019】
[ポリグリセリン脂肪酸エステル]
本発明に用いられるポリグリセリン脂肪酸エステルは様々な方法を用いて製造される。例えば、(1)グリセリンにグリシドールを付加重合した後、これに脂肪酸でエステル化する方法、(2)グリシドールを脂肪酸に付加する方法、またこれに関連して(3)水酸基を保護したグリシドールをグリセリンに付加した後、脱保護をし、これを任意の重合度になるまで繰り返したあと、これに脂肪酸でエステル化する方法、(4)アルカリ存在下でグリセリンを熱縮合させたあと、これに脂肪酸でエステル化する方法が挙げられる。このうち、最も好ましい製造方法は(1)の方法であり、当該油性ゲル状組成物のゲル形成剤として好適に用いることができる。
【0020】
用いるポリグリセリン脂肪酸エステルは、炭素数14以下の脂肪酸残基を有するが、炭素数が6〜14であることがより好ましい。炭素数が14を上回ると、乳化組成となり、透明なゲルを得ることができなくなる。肪酸酸残基は、直鎖状でも分岐鎖状であってもよいが、直鎖状であることが好ましい。また、脂肪酸残基に対応する脂肪酸は、飽和脂肪酸でも不飽和脂肪酸であってもよいが飽和脂肪酸であることが好ましい。脂肪酸残基に対応する脂肪酸の具体例としては、例えば、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、ウンデカン酸、ドデカン酸、テトラデカン酸等が挙げられる。ポリグリセリン脂肪酸エステルは、これらの脂肪酸残基を1又は2以上有していてもよい。脂肪酸残基が2以上の場合は、これらの脂肪酸残基は同一であっても、異なっていてもよい。
【0021】
用いるポリグリセリン脂肪酸エステルの、グリセリン単位の重合度は8〜40であり、特に、重合度8〜20であることが好ましい。重合度が8より少ないと安定なゲルを得ることができず、40より大きい場合は乳化組成となり、透明なゲルを得ることができなくなるばかりか、ゲル自体を得ることができなくなる。
【0022】
これらのポリグリセリン脂肪酸エステルにおいて、有機概念図で計算されるHLBは15以上であるが、15〜20であることがより好ましい。有機概念図で計算されるHLBが15を下回ると透明な溶液状となり、ゲル組成を得ることができない。有機概念図で計算されるHLBが15〜20の場合、乳化組成になることを防止でき、ゲル組成を得ることがより容易になる。有機概念図で計算されるHLBは20以下であるほうが、乳化組成になりにくく、ゲル組成を得ることがより容易である。なお、有機概念図から計算されるHLBとは、下記式(A)によって得られた値とする。
HLB=Σ無機性/Σ有機性×10 (A)
(参考文献:日本エマルジョン(株)「有機概念図による乳化処方設計」)
【0023】
ポリグリセリン脂肪酸エステルは、異なるものを複数組み合わせて使用することができ、あるいは単独で使用することもできる。
【0024】
[ポリグリセリン]
本発明に用いられるポリグリセリンは様々な方法を用いて製造される。例えば、(1)エピクロルヒドリンをグリセリンに付加重合した後、アルカリ条件下で脱塩化水素閉環し、次いで希硫酸で開環する操作を目的の重合度に達するまで繰り返す方法、(2)グリシドールをグリセリンに付加する方法、またこれに関連して(3)水酸基を保護したグリシドールをグリセリンに付加した後、脱保護をし、これを任意の重合度になるまで繰り返す方法、(4)アルカリ存在下でグリセリンを熱縮合させる方法、(5)グリセリンにハロゲン化アリルを付加させエポキシ化後、水で開環し、これを任意の重合度になるまで繰り返す方法、最も好ましい製造方法は(2)の方法であり、当該ヘアオイルのゲル形成剤として好適に用いることができる。
【0025】
用いるポリグリセリンの重合度は2〜20である。2より少ないと安定なゲルを得ることができず、20より大きい場合は乳化組成となり、透明なゲルを得ることができなくなるばかりか、ゲル自体を得ることができなくなる。重合度2〜10(特に、重合度3〜10)のポリグリセリンが好ましく用いられる。ポリグリセリンは、単独あるいは異なる重合度のものを組み合わせて使用することもできる。
【0026】
[レシチン]
レシチンは、ホスファチジルコリンを主成分とする脂質製品であり、天然の動物、植物、微生物等の生体に広く分布するもので、肝臓、卵黄、大豆、酵母等に多く含まれることが知られている。代表的なレシチンとして、卵黄レシチン、大豆レシチン等が挙げられる。レシチンは単独で又は2種以上を混合して用いることができる。レシチンとしては、ホスファチジルコリンの含有量が55〜99重量%程度のものが好ましい。この範囲のものは、クリーム状となりやすく、適度の稠度があり、肌につけたときに流れ落ちたりせず、使用感が良好である。天然のレシチンは、L−α−形のみであるが、それ以外のものも使用可能である。天然のレシチンは酸化されやすく、不安定であるので、使用に際しては、公知の方法により水素添加しておけばよい。本発明では、このような水素添加されたレシチンも「レシチン」に含まれる。
【0027】
ホスファチジルコリンは、グリセロール(グリセリン)を少なくとも1つの不飽和脂肪酸及びリン酸と反応させることにより得られるエステルを意味し、該リン酸のプロトンはアミン官能基としてのコリンで置換されている。本発明では、不飽和結合が水素添加されたホスファチジルコリンも「ホスファチジルコリン」に含める。
【0028】
本発明において、ホスファチジルコリンは、特に下記一般式(I)に従って定義される。ここで、R1及びR2は、互いに独立して、炭素数4〜24の飽和又は不飽和の脂肪酸に由来する(対応する)脂肪族炭化水素基(すなわち、炭素数3〜23の飽和又は不飽和脂肪族炭化水素基)を示し、それらは直鎖状又は分岐鎖状のいずれであってもよく、1以上のヒドロキシル官能基及び/又はアミン官能基で置換されていてもよい。Xはコリン残基を示す。ホスファチジルコリンとしては、式(I)で表される化合物のうちの1種であってもよく、2種以上の混合物であってもよい。
【0029】
【化1】

【0030】
本発明の実施態様の一つにおいて、R1及びR2に対応する脂肪酸(R1COOH、R2COOH)は、例えば、酪酸、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、カプロレイン酸、ラウリン酸、ラウロレイン酸、ミリスチン酸、チリストレイン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキジン酸、イソステアリン酸、ジヒドロキステアリン酸、及びリシノール酸から選択される。
【0031】
本発明の組成物の実施に適切である水素化されていないホスファチジルコリン(PC)は、「天然」又は「合成」起源であり得る。
【0032】
「天然」のPCは、動物源又は植物源、例えば大豆、ヒマワリ、又は卵からの抽出により得られ得る。天然物から、例えば大豆から得られた水素化されていないホスファチジルコリンは、一般的にグリセロールをエステル化する脂肪酸としてパルミチン酸、ステアリン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、及びおそらくC20〜22の脂肪酸を含む。これらは、単独あるいは組み合わせて使用することができる。
【0033】
[その他]
本発明のヘアオイルは、上記油性ゲル状組成物の他に、本発明の効果を損なわない質的量的範囲で、通常の毛髪化粧料に用いられる成分を適宜配合しても良い。前記成分としては、水性成分、非水性成分のいずれであってもよいが、好ましくは非水性成分である。前記成分としては、例えば、油性成分、界面活性剤、多価アルコール、ポリオール、キレート化剤、殺菌剤、酸化防止剤、粘度調整剤、収れん剤、抗フケ剤、紫外線吸収剤、染料・色素等の着色剤、香料、ビタミン等の美容成分、エアゾール噴射剤等が挙げられる。
【0034】
本発明のヘアオイルは、常法により液状、ジェル状、多層状等とすることができ、また容器との組み合わせによりミストタイプ、エアゾール等とすることができる。
【実施例】
【0035】
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。
【0036】
実施例1〜9、比較例1〜6
表1、2に示す組成(重量%)にてヘアオイルを調製し、これらについて下記評価方法で使用テストを行った。その結果も併せて表1、2に示す。表中の数値は各成分の配合割合(重量%)を表す。用いた試薬、調製方法、評価方法を下記に示す。
【0037】
<試薬>
レシチンは、エイチホルスタイン社製PHOSPHLIPON 90G(フォスファチジルコリン濃度95%以上)を使用した。
テトラグリセリンは、ダイセル化学工業社製PGL04Pを使用した。
デカグリセリンは、ダイセル化学工業社製PGL10PSを使用した。
ポリ(20)グリセリンは、ダイセル化学工業社製PGL20Pを使用した。
ポリ(20)グリセリンモノラウリン酸エステルは、ダイセル化学工業製社PGL20Pと市販のラウリン酸を定法により脱水縮合したものを使用した。
ポリ(20)グリセリンモノミリスチン酸エステルは、ダイセル化学工業社製PGL20Pと市販のミリスチン酸を定法により脱水縮合したものを使用した。
ポリ(40)グリセリンモノミリスチン酸エステルは、ダイセル化学工業社製PGLXPと市販のミリスチン酸を定法により脱水縮合したものを使用した。
オクタン酸セチルは、高級アルコール工業社製CEHを使用した。
ひまわり油は、日光ケミカルズ社製ヒマワリ油を使用した。
デカメチルペンタシロキサンは、信越化学工業社製KF−995を使用した。
イソドデカンは、日本光研工業社製パーメチル99Aを使用した。
流動パラフィンは、MORESCO社製モレスコホワイトP−100を使用した。
【0038】
<調製方法>
全ての材料を均一に混合溶解してヘアオイルを得た。
【0039】
<評価方法>
実施例及び比較例で得られた各ヘアオイルの評価を以下の方法で行った。
【0040】
(1)とろみ感、なめらかさ
10名の官能検査専門パネルにより、市販のシャンプーで洗髪し、ドライヤーで半乾きにした後、各試料を適当量取り、髪に馴染ませ、下記評価基準を用いて5段階に官能評価し、各試料について評点を得た。
非常に良い:5点
良い:4点
普通:3点
悪い:2点
非常に悪い:1点
【0041】
前記評点の平均値を、更に下記3段階判定基準を用いて判定した。
○:3点以上
△:2点以上3点未満
×:2点未満
【0042】
(2)透明度
実施例及び比較例で得られた各ヘアオイルについて、透明度を目視により以下のように判定した。
◎:透明である
○:半透明である
△:白濁している
×:二相分離している
【0043】
【表1】

【0044】
【表2】

【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明で得られたヘアオイルは、使用中の伸び広がりがなめらかで、仕上がりのしなやかさ、軽さに優れ、しっとり感やまとまり易さ、ツヤ感を付与する効果にも優れており、極めて有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゲル形成剤と油相成分とからなる油性ゲル状組成物を含むヘアオイルであって、
該ゲル形成剤が、レシチン100重量%に対して、ポリグリセリン及びポリグリセリン脂肪酸エステルから選択される少なくとも1種を5〜100重量%(合計量)配合したものであり、
該ポリグリセリンの重合度が2〜20であり、
該ポリグリセリン脂肪酸エステルが、炭素数が14以下の脂肪酸残基を有し、有機概念図で算出されるHLBが15以上であり、重合度8〜40であることを特徴とするヘアオイル。
【請求項2】
前記油性ゲル状組成物が、前記ゲル形成剤1〜30重量%と前記油相成分70〜99重量%とを含有する請求項1記載のヘアオイル。

【公開番号】特開2013−53081(P2013−53081A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−190764(P2011−190764)
【出願日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【出願人】(000002901)株式会社ダイセル (1,236)
【出願人】(899000057)学校法人日本大学 (650)
【Fターム(参考)】