説明

油性化粧料

【課題】光輝性に優れ且つなめらかな感触が持続する油性化粧料を提供する。
【解決手段】次の成分(A)、(B)及び(C):
(A)主鎖にセルロース骨格を有し、全水酸基の67mol%以上が基−O-M-R(MはCH2又はカルボニル基C=Oを示し、Rは炭素数3〜40の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基を示す)で置換されているセルロース誘導体 0.1〜15質量%、
(B)25℃で液状のエステル油 10〜80質量%、
(C)平均粒径30〜500μmの光輝性粉体 0.2〜20質量%
を含有する油性化粧料。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油性化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
油性化粧料は油を連続相とする化粧料で、口唇や皮膚に塗布されて、乾燥を防ぎ、滑らかな感触を付与するものである。また、顔料を含有させ、口紅、アイシャドウ、ファンデーション等のメイクアップ化粧料として用いることができる。メイクアップ化粧料は、色味や質感を付与する化粧料であり、特に質感を変えるために、雲母チタン、光輝性ガラスフレーク等のパール顔料や、ポリエチレンテレフタレート・ポリメチルメタクリレート積層フィルムといった光輝性粉体が使用されている。
近年、特に高い光輝性を付与するため、粒径の大きい光輝性粉体が使用される傾向にある(例えば、特許文献1〜4)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−89324号公報
【特許文献2】特開2001−270805号公報
【特許文献3】特開2002−138010号公報
【特許文献4】特開2004−249587号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、粒径の大きい光輝性粉体は、塗布時又は塗布後の使用感を非常に悪化させる問題があった。
本発明は、光輝性に優れ且つなめらかな感触が持続する油性化粧料を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、粒径が大きく光輝性が高い粉体を、特定のセルロース誘導体及び特定の油剤と共に用いることにより、光輝性に優れ且つなめらかな感触が持続する油性化粧料が得られることを見出した。
【0006】
本発明は、次の成分(A)、(B)及び(C):
(A)主鎖にセルロース骨格を有し、全水酸基の67mol%以上が基−O−M−R(MはCH2又はカルボニル基C=Oを示し、Rは炭素数3〜40の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基を示す)で置換されているセルロース誘導体 0.1〜15質量%、
(B)25℃で液状のエステル油 10〜80質量%、
(C)平均粒径30〜500μmの光輝性粉体 0.2〜20質量%
を含有する油性化粧料を提供するものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明の油性化粧料は、塗布時に伸ばしやすく、光輝性に優れるものであり、しかも、ざらつきのない、なめらかな感触が持続するものである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明で用いる成分(A)のセルロース誘導体は、主鎖にセルロース骨格を有するものであれば特に限定されないが、原料セルロース誘導体としては、セルロースを含むほか、アセチルセルロース、アセチルブチルセルロース等の短鎖アシル化セルロース、ヒドロキシアルキル基、グリセリルエーテル基、(モノ)アルキルグリセリルエーテル基で変性されたセルロースが好ましい。より具体的には、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、グリセリルセルロース、メチルグリセリルセルロース等が挙げられる。
更には、原料セルロース誘導体としては、以下の構成単位を有するものが好ましい。
【0009】
【化1】

【0010】
(式中、R'は炭素数2〜8の直鎖又は分岐鎖のアルキレン基を示し、nはグルコース単位当たりのR'Oの平均付加モル数が0.1〜10となる数を示す)
【0011】
当該構成単位において、R'としては、直鎖又は分岐鎖の炭素数2〜4のアルキレン基が好ましく、更には、エチレン基及びプロピレン基が好ましい。またnとしては、グルコース単位当たりのR'Oの平均付加モル数が0.3〜5となる数が好ましく、0.5〜4.5となる数がより好ましく、1〜4となる数が更に好ましい。
【0012】
原料セルロース誘導体の好ましいものとしては、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等が挙げられ、特に、ヒドロキシプロピルセルロースが好ましい。
また、原料セルロース誘導体の重量平均分子量(Mw)は、油剤への溶解性、及び感触の点から、好ましくは1万〜400万、より好ましくは10万〜300万、更に好ましくは50万〜200万である。
【0013】
原料セルロース誘導体の水酸基の置換基である基−O−M−R中、MはCH2又はカルボニル基C=Oを示し、Rは炭素数3〜40の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基である。
(i)直鎖のアルキル基としては、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基、ヘンイコシル基、ドコシル基、トリコシル基、テトラコシル基、ペンタコシル基、ヘキサコシル基、ヘプタコシル基、オクタコシル基、ノナコシル基、トリアコンチル基、ヘントリアコンチル基、ドトリアコンチル基、トリトリアコンチル基、テトラトリアコンチル基、ペンタトリアコンチル基、ヘキサトリアコンチル基、ヘプタトリアコンチル基、オクタトリアコンチル基、ノナトリアコンチル基、テトラコンチル基等が挙げられる。
【0014】
(ii)分岐鎖のアルキル基としては、メチルペンチル基、メチルヘキシル基、メチルペンチル基、メチルオクチル基、メチルノニル基、メチルウンデシル基、メチルヘプタデシル基、エチルヘキサデシル基、メチルオクタデシル基、プロピルペンタデシル基、2−ヘキシルデシル基、2−オクチルドデシル、2−ヘプチルウンデシル基、2−デシルテトラデシル基、2−ドデシルヘキサデシル基、2−テトラデシルオクタデシル基、2−オクタデシルベヘニル基等が挙げられる。
【0015】
(iii)直鎖のアルケニル基としては、ドデセニル、トリデセニル、テトラデセニル、ペンタデセニル、ヘキサデセニル、ヘプタデセニル、オクタデセニル、ノナデセニル、イコセニル、ヘニコセニル、ドコセニル、トリコセニル、テトラコセニル、ヘプタコセニル、ヘキサコセニル、ヘプタコセニル、オクタコセニル等が挙げられる。
(iv)分岐鎖のアルケニル基としては、イソトリデセニル、イソオクタデセニル、イソトリアコンテニル、2−ブチルオクテニル、2−ヘキシルデセニル、2−オクチルドデセニル、2−デシルテトラデセニル、2−ドデシルヘキサデセニル等が挙げられる。
【0016】
これらのうち、油性化粧料の塗布時の滑らかさ付与の観点から、直鎖アルキル基が好ましい。更には、伸ばしやすさ、密着性の良さから、炭素数9〜21が好ましく、更に、炭素数11〜17、特に15が好ましい。
【0017】
水酸基の基−O−M−R置換率は、67mol%以上であり、特に70mol%以上が好ましく、80mol%以上100mol%がより好ましい。基−O−M−Rの置換率は、油剤への溶解性を高める観点からは高い方が好ましいが、うるおい感やすべり性の観点からは、90mol%以下が好ましい。また、水酸基が適当に残留していることが、ざらつきのなさの点で好ましい。好ましい水酸基量は2〜33mol%、より好ましくは、5〜20mol%である。
【0018】
成分(A)のセルロース誘導体の重量平均分子量は、10万以上、更には20万以上が好ましく、400万以下、更には300万以下が好ましい。特に、溶解性、滑らかな感触が持続する点で、50万〜200万が好ましい。
なお、重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(クロロホルム溶媒、直鎖ポリスチレンを標準として定められた較正曲線、屈折率検出器を用いる)測定によって求められるものである。
【0019】
このようなセルロース誘導体は、原料セルロース誘導体と、炭素数3〜40の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基を有する酸ハライドとを反応させ、原料セルロース誘導体の全水酸基の67mol%以上を置換することにより製造される。
また、MがCH2であるものは、塩基存在下に、セルロース誘導体と対応するアルキルハライドあるいはアルキルメシラート等のスルホン酸エステルを反応させることによって製造することができる。主鎖がセルロース骨格からなるものは、アセチルセルロースのエステル交換反応(アシドーリシス)によっても得ることができる。この方法によれば、水酸基の残留量が極めて低いセルロースエステル誘導体が得られる。
【0020】
具体的には、ヒドロキシエチルセルロースラウリン酸エステル、ヒドロキシエチルセルロースミリスチン酸エステル、ヒドロキシエチルセルロースパルミチン酸エステル、ヒドロキシエチルセルロースステアリン酸エステル、ヒドロキシエチルセルロースベヘン酸エステル;ヒドロキシプロピルセルロースラウリン酸エステル、ヒドロキシプロピルセルロースミリスチン酸エステル、ヒドロキシプロピルセルロースパルミチン酸エステル、ヒドロキシプロピルセルロースステアリン酸エステル、ヒドロキシプロピルセルロースベヘン酸エステル;ヒドロキシエチルメチルセルロースラウリン酸エステル、ヒドロキシエチルメチルセルロースミリスチン酸エステル、ヒドロキシエチルメチルセルロースパルミチン酸エステル、ヒドロキシエチルメチルセルロースステアリン酸エステル、ヒドロキシエチルメチルセルロースベヘン酸エステル;ヒドロキシプロピルメチルセルロースラウリン酸エステル、ヒドロキシプロピルメチルセルロースミリスチン酸エステル、ヒドロキシプロピルメチルセルロースパルミチン酸エステル、ヒドロキシプロピルメチルセルロースステアリン酸エステル、ヒドロキシプロピルメチルセルロースベヘン酸エステル等が挙げられる。中でも、ヒドロキシプロピルセルロースラウリン酸エステル、ヒドロキシプロピルセルロースミリスチン酸エステル、ヒドロキシプロピルセルロースパルミチン酸エステル、ヒドロキシプロピルセルロースステアリン酸エステル、ヒドロキシプロピルセルロースベヘン酸エステルが好ましく、ヒドロキシプロピルセルロースパルミチン酸エステルが特に好ましい。
【0021】
成分(A)のセルロース誘導体は、1種以上用いることができ、皮膚への塗布しやすさの観点から、本発明の油性化粧料中に0.1〜15質量%含有され、更に0.2質量%以上、特に0.5質量%以上含有するのが好ましく、更に15質量%以下、特に10質量%以下が好ましい。この範囲であれば、後述の油剤との組み合わせから、塗布後のなめらかさがより持続する。
【0022】
本発明で用いる成分(B)は、25℃で液状のエステル油である。かかるエステル油としては、通常の化粧料に用いられるものであれば制限されず、例えば、ミリスチン酸オクチルドデシル、ミリスチン酸イソプロピル、イソステアリン酸イソプロピル、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソトリデシル、ステアリン酸ブチル、オレイン酸オレイル、リシノレイン酸オクチルドデシル、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、リンゴ酸ジイソステアリル、ヒドロキシステアリン酸オクチル、マカデミアナッツ油、オリーブ油、ヒマシ油、ホホバ油、アボガド油、ヒマワリ油、ジイソステアリン酸ポリグリセリル、トリイソステアリン酸ポリグリセリル、ジイソステアリン酸グリセリル、トリイソステアリン酸グリセリル、トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリル、トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル、テトラオクタン酸ペンタエリスリチル等が挙げられる。
【0023】
成分(B)のエステル油は、成分(A)のセルロース誘導体の良溶媒となり、成分(A)を可溶化するために好適であり、特に、分岐脂肪酸エステルが、成分(A)のセルロース誘導体を溶解しやすい点で好ましい。
分岐脂肪酸エステルとしては、ミリスチン酸イソプロピル、イソステアリン酸イソプロピル、リンゴ酸ジイソステアリル、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソトリデシル、パルミチン酸2−エチルヘキシル、ミリスチン酸オクチルドデシル、オレイン酸オクチルドデシル、エルカ酸オクチルドデシル等が挙げられる。特に、分岐脂肪酸分岐アルコールエステルが好ましく、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソトリデシルがより好ましく、更に、イソノナン酸イソトリデシルが好ましい。
【0024】
成分(B)のエステル油は、1種以上用いることができ、成分(A)のセルロース誘導体の溶解性と油性化粧料の使用感(伸び、馴染み)の観点から、本発明の油性化粧料中に10〜80質量%含有され、好ましくは20〜60質量%含有される。
【0025】
本発明で用いる成分(C)は、平均粒径30〜500μm、好ましくは40〜400の光輝性粉体である。
かかる光輝性粉体としては、板状基材を被覆剤で被覆した粉体、薄層状物を多層に積層した粉体(積層末)が好適に用いられる。
【0026】
板状基材を被覆剤で被覆した粉体としては、例えば、平均粒径30〜500μmの板状基材を、金属、金属酸化物及び有機顔料から選ばれる1種以上の被覆剤で被覆したものが挙げられる。
板状基材としては、雲母、合成雲母、シリカフレーク、ガラスフレーク、アルミナフレーク、金属アルミフレーク等が挙げられる。被覆剤のうち、金属としては、金、銀、アルミニウム等が挙げられ、金属酸化物としては、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、酸化鉄、酸化珪素、酸化クロム、その他金属錯体として紺青等が挙げられ、有機顔料としては、カルミン、赤色202号、青色1号、黄色4号、群青等が挙げられる。
【0027】
また、成分(C)の光輝性粉体としては、平均粒径30〜500μmの積層末を用いることができる。
積層末としては、ポリエチレンテレフタレート・ポリメチルメタクリレート積層末、ポリエチレンテレフタレート・ポリエチレンイソテレフタレート積層フィルム末、ポリエチレンテレフタレート・アルミニウム・エポキシ積層末、ポリエチレンテレフタレート・銀・エポキシ積層末、ポリエチレンテレフタレート・金・エポキシ積層末、ポリエチレンテレフタレート・アルミニウム・ウレタン積層末、ポリエチレンテレフタレート・銀・ウレタン積層末、ポリエチレンテレフタレート・金・ウレタン積層末、ポリエチレンテレフタレート・ウレタン積層末、ポリエチレンテレフタレート・(ポリエチレンテレフタレート/ポリエチレンイソフタレートコポリマー)積層末等が挙げられる。
【0028】
これらの光輝性粉体は、通常の方法により、撥水処理、撥水・撥油化処理等の各種表面処理を施して用いても良い。
【0029】
成分(C)の光輝性粉体としては、例えば、メタシャインMC1120RR、メタシャインMC1120RB、メタシャインMC1120RS、メタシャインMC1120RY、メタシャインMC1080RR、メタシャインMC1080RB、メタシャインMC1080RS、メタシャインMC1080RY(以上、酸化チタン・無水ケイ酸被覆ガラス末;日本板硝子社)、フラメンコ スパークルゴールド、フラメンコ スパークルレッド、フラメンコ スパークルブルー(以上、雲母チタン;エンゲルハード社)、プロミネンスSF、プロミネンスYF、プロミネンスRF、プロミネンスVF、プロミネンスGF、プロミネンスSH、プロミネンスYH、プロミネンスRH、プロミネンスVH(以上、雲母チタン;日本光研社)、PRESTIGE Twinkling Silver(雲母チタン;ECKART社)、NEW オーロラフレーク(19)レッド、NEW オーロラフレーク(16)グリーン(以上、ポリエチレンテレフタレート・ポリエチレンイソテレフタレート積層フィルム末;角八魚鱗箔社)、Diamond Piece CO−3UC、CO−20UC、CO−40UC(以上、ポリエチレンテレフタレート・アルミニウム・ウレタン積層末;ダイヤ工業社)、RAINBOW FLAKE II No.55−S、No.501−S、No.530−S(以上、ポリエチレンテレフタレート・ポリメチルメタクリレート・積層フィルム末;ダイヤ工業社)等の市販品が好適に用いられる。
【0030】
成分(C)光輝性粉体は、1種以上用いることができ、高い光輝性の観点から、本発明の油性化粧料中に0.2〜20質量%、好ましくは0.5〜15質量%含有される。
また、成分(A)と成分(C)の質量割合は、(A)/(C)=0.01〜150、特に0.05〜20であるのが、塗布時の伸びの良さと滑らかさの持続の点で好ましい。
さらに、成分(B)と成分(C)の質量割合は、(B)/(C)=0.5〜400、特に2〜60であるのが、塗布時の伸びの良さと光輝感の高さの点で好ましい。
【0031】
本発明の油性化粧料は、さらに、(D)25℃で液状の炭化水素油を含有することが好ましい。かかる炭化水素油の具体例としては、軽質イソパラフィン、流動パラフィン、流動イソパラフィン、重質流動イソパラフィン、水添ポリイソブテン、水添ポリデセン、スクワラン等が挙げられる。
【0032】
炭化水素油は、1種以上用いることができ、油性化粧料の滑らかさと塗布感の観点から、本発明の油性化粧料中に合計で5〜60質量%、特に15〜40質量%含有するのが好ましい。
また、成分(B)と炭化水素油の合計含有量は、油性化粧料の剤型によっても異なるが、20〜90質量%が好ましく、特に50〜90質量%が好ましい。
【0033】
本発明の油性化粧料は、更に、感触調整剤として、分岐脂肪酸、高級アルコール、シリコーン油を含有することができる。分岐脂肪酸としては、炭素数10〜32のもので、イソノナン酸、イソステアリン酸等が挙げられ、高級アルコールとしては、炭素数10〜30のもので、ラウリルアルコール、イソステアリルアルコール、オクチルドデカノール等が挙げられる。シリコーン油としては、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ジメチルシクロポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン等が挙げられる。
【0034】
また、本発明の油性化粧料は保形剤として、ワックス成分を含有することもできる。かかるワックス成分としては、例えば、キャンデリラロウ、ライスワックス、カルナウバロウ、木ロウ等の植物性ワックス;ミツロウ、鯨ロウ等の動物性ワックス;モンタンワックス、オゾケライト、セレシン等の鉱物系ワックス;マイクロクリスタリンワックス、パラフィン等の石油系ワックス;硬化ひまし油、水素添加ホホバ油、12−ヒドロキシステアリン酸、ステアリン酸アミド、無水フタル酸イミド、シリコーンワックス等の合成ワックス;ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、ラノリン脂肪酸等の脂肪酸などが挙げられる。
【0035】
このほか、色材として体質顔料、着色顔料等を用いることができる。
体質顔料としては、例えば、ケイ酸、無水ケイ酸、ケイ酸マグネシウム、タルク、セリサイト、マイカ、カオリン、クレー、ベントナイト、オキシ塩化ビスマス、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、硫酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の無機顔料及びこれらの複合粉体が挙げられる。
【0036】
着色顔料としては、酸化チタン、酸化亜鉛、黄酸化鉄、ベンガラ、黒酸化鉄、酸化クロム、水酸化クロム等の金属酸化物、マンガンバイオレット、チタン酸コバルト等の金属錯体、更にカーボンブラック等の無機顔料、タール系色素、レーキ顔料等の有機顔料、カルミン等の天然色素などが挙げられる。
これらの色材は、通常の方法により、撥水処理、撥水・撥油化処理等の各種表面処理を施して用いても良い。
【0037】
さらに、本発明の油性化粧料は、前記成分以外に、通常の化粧料に用いられる成分、例えば、界面活性剤、アルコール、多価アルコール、高分子化合物、紫外線吸収剤、酸化防止剤、染料、香料、色素、防汚剤、保湿剤、水等を含有することができる。
【0038】
本発明の油性化粧料は、通常の方法により製造することができ、その剤型としては、固形、半固形、ゲル、液状等のいずれでも良い。
【0039】
本発明の化粧料は、粘弾性測定において、法線応力を示す。法線応力とは、材料にせん断を与えた際に、せん段面に垂直方向に発生する面を押し広げるように働く応力である。具体的には、化粧料をガラスシャーレ中でスパチュラを用いて押しつぶし、ダマがなくなるまで、練りまぜた後、回転式粘弾性測定装置(例えば、アントンパール社製、MCR−301)を用い、直径25mmコーンプレート(CP25-2)、30℃にて、ずり速度0.001s-1から1000s-1までの間を対数軸で等分して19点を低ずり速度側から測定するとき、ずり速度1000s-1までに10Pa以上の第1法線応力差N1を示す。好ましい方線応力の範囲は1000s-1において、50〜10000Pa、更に100〜5000Pa、特に300〜3000Paである。法線応力が50Pa未満では、うるおい感が低下し、ざらつきを感じる傾向がある。一方、法線応力が10000Paを超えると、感触が重くなったり、糸引きを生じたりする場合がある。
【0040】
本発明の油性化粧料は、皮膚、口唇、睫毛、爪、毛髪に使用され、油剤を連続相とする化粧料である。口紅、リップグロス、リップライナー等の口唇化粧料や、マスカラ、アイライナー、アイシャドウ、チーク、ファンデーション、コンシーラー等のメイクアップ化粧料、クリーム、乳液、美容液、マッサージ剤、デオドラント、サンスクリーン、育毛剤、ヘアカラー、ヘアワックス、ヘアフォームなどとすることができ、特に、口唇化粧料として好適である。
【実施例】
【0041】
製造例1(セルロース誘導体1の製造)
窒素下クロロホルム中室温で10g(16.6×10-6mol)のヒドロキシプロピルセルロース(セルニーM;日本曹達社製)に、100gのピリジン(1.26mol)を加えて溶解させた。50g(0.172mol)の塩化パルミトイルを0.5時間かけて滴下した。その後50℃で15時間反応させ、メタノール中で沈殿させて精製し、乾燥させると、ヒドロキシプロピルセルロースパルミチン酸エステルが得られた。(重量平均分子量87万、平均アシル置換度は全水酸基の85mol%)
【0042】
(重量平均分子量の測定)
重合体の平均分子量(Mw)は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)によって測定した。示差屈折検出器、カラムはGMHHR-Hを接続したものを用いた。サンプルは、溶離液で0.5g/100mLの濃度に調整し、20μLを用いた。溶離液には、1mmol/Lのジメチルラウリルアミンを含むクロロホルムを使用した。カラム温度は40℃で、流速は1.0mL/分で行った。
【0043】
(平均アシル(エステル)置換度の測定)
セルロース誘導体を約0.5g精秤し、5N水酸化ナトリウム4mL及びエタノール25mLを加え、約90℃で5時間還流し、完全にエステルを加水分解した。水を30g加え、約90℃で5時間還流した後、リン酸で中和し、完全に中和されていることをpH試験紙で確認した。テトラヒドロフラン70gを加え30分撹拌、3時間室温で静置した後に、上澄み液を、日立L-7000型高速液体クロマトグラフィーを使用し、脂肪酸の量を測定した。検出器は日立L-7400(UV測定)を用い、210nmの波長で測定し、溶離液にはTHF:水:リン酸=60:39:1を使用した。
【0044】
製造例2(セルロース誘導体2の製造)
窒素下クロロホルム中室温で10g(16.6×10-6mol)のヒドロキシプロピルセルロース(セルニーM;日本曹達社製)に、100gのピリジン(1.26mol)を加えて溶解させた。35.5g(0.172mol)の塩化カプロイルを0.5時間かけて滴下した。その後50℃で15時間反応させ、メタノール中で沈殿させて精製し、乾燥させると、ヒドロキシプロピルセルロースカプリン酸エステルが得られた。(重量平均分子量70万、平均アシル置換度は全水酸基の85mol%)
【0045】
製造例3(セルロース誘導体3の製造)
窒素下クロロホルム中室温で10g(16.6×10-6mol)のヒドロキシプロピルセルロース(セルニーM;日本曹達社製)に、100gのピリジン(1.26mol)を加えて溶解させた。64.4g(0.172mol)の塩化ベヘニルを0.5時間かけて滴下した。その後50℃で15時間反応させ、メタノール中で沈殿させて精製し、乾燥させると、ヒドロキシプロピルセルロースベヘン酸エステルが得られた。(重量平均分子量100万、平均アシル置換度は全水酸基の80mol%)
【0046】
製造例4(セルロース誘導体4の製造)
窒素下クロロホルム中室温で10g(10×10-5mol)のヒドロキシプロピルセルロース(セルニーSL;日本曹達社製)に、100gのピリジン(1.26mol)を加えて溶解させる。50g(0.172mol)の塩化パルミトイルを0.5時間かけて滴下する。その後50℃で15時間反応させ、メタノール中で沈殿させて精製し、乾燥させると、ヒドロキシプロピルセルロースパルミチン酸エステルが得られた。(重量平均分子量15万、平均アシル置換度は全水酸基の80mol%)
【0047】
製造例5(セルロース誘導体5の製造)
窒素下クロロホルム中室温で10g(10×10-6mol)のヒドロキシプロピルセルロース(セルニーH;日本曹達社製)に、100gのピリジン(1.26mol)を加えて溶解させる。55g(0.189mol)の塩化パルミトイルを0.5時間かけて滴下する。その後50℃で15時間反応させ、メタノール中で沈殿させて精製し、乾燥させると、ヒドロキシプロピルセルロースパルミチン酸エステルが得られた。(重量平均分子量150万、平均アシル置換度は全水酸基の70mol%)
【0048】
製造例6(セルロース誘導体6の製造)
窒素下クロロホルム中室温で10g(16.6×10-6mol)のヒドロキシプロピルセルロース(セルニーM;日本曹達社製)に、100gのピリジン(1.26mol)を加えて溶解させた。40g(0.138mol)の塩化パルミトイルを0.5時間かけて滴下した。その後50℃で15時間反応させ、メタノール中で沈殿させて精製し、乾燥させると、ヒドロキシプロピルセルロースパルミチン酸エステルが得られた。(重量平均分子量80万、平均アシル置換度は全水酸基の70mol%)
【0049】
製造例7(セルロース誘導体7の製造)
窒素下クロロホルム中室温で10g(16.6×10-6mol)のヒドロキシプロピルセルロース(セルニーM;日本曹達社製)に、100gのピリジン(1.26mol)を加えて溶解させた。55g(0.189mol)の塩化パルミトイルを0.5時間かけて滴下した。その後50℃で15時間反応させ、メタノール中で沈殿させて精製し、乾燥させると、ヒドロキシプロピルセルロースパルミチン酸エステルが得られた。(重量平均分子量90万、平均アシル置換度は全水酸基の95mol%)
【0050】
実施例1〜16、比較例1〜3
表1に示す組成の口紅を製造し、法線応力を測定するとともに、各口紅を塗布したときの伸ばしやすさ、光輝感、ざらつきのなさ及びなめらかさを評価した。結果を表1に併せて示す。
【0051】
(製造方法)
基剤原料(色材以外)を80℃で加熱融解して均一に混合した。次に、これに色材原料を加えて加熱状態でディスパーザーにて均一に分散させ、脱泡した後、型に流し込んで、口紅を得た。
【0052】
(評価方法)
(1)法線応力:
サンプルの調製;口紅をガラスシャーレ中でスパチュラを用いて押しつぶし、ダマがなくなるまで、練りまぜた。
測定機器;回転式粘弾性測定装置(アントンパール社製 MCR−301)。
冶具;直径25mmコーンプレート、(CP25-2)。
測定温度;30℃。
サンプルをプレート間に挟みこみ、ずり速度0.001s-1から1000s-1までの間を対数軸で等分して19点測定した。ずり速度1000s-1の場合の第1法線応力差N1を求めた。
【0053】
(2)伸ばしやすさ(官能評価):
専門パネラー10名により、各口紅を塗布したとき、伸ばしやすさを官能評価した。良好である(伸ばしやすい)と評価したパネラーの人数で示した。
【0054】
(3)光輝感(官能評価):
専門パネラー10名により、各口紅を塗布したとき、塗布直後及び3時間後の光輝感を官能評価した。良好である(光輝感が高い)と評価したパネラーの人数で示した。
【0055】
(4)ざらつきのなさ(官能評価):
専門パネラー10名により、各口紅を塗布したとき、塗布直後及び3時間後のざらつきのなさを官能評価した。良好である(ざらつきがない)と評価したパネラーの人数で示した。
【0056】
(5)なめらかさ(官能評価):
専門パネラー10名により、各口紅を塗布したとき、塗布直後及び3時間後のなめらかさを官能評価した。良好である(なめらかである)と評価したパネラーの人数で示した。
【0057】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(A)、(B)及び(C):
(A)主鎖にセルロース骨格を有し、全水酸基の67mol%以上が基−O-M-R(MはCH2又はカルボニル基C=Oを示し、Rは炭素数3〜40の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基を示す)で置換されているセルロース誘導体 0.1〜15質量%、
(B)25℃で液状のエステル油 10〜80質量%、
(C)平均粒径30〜500μmの光輝性粉体 0.2〜20質量%
を含有する油性化粧料。
【請求項2】
成分(C)が、平均粒径30〜500μmの板状基材を、金属、金属酸化物及び有機顔料から選ばれる1種以上の色材で被覆したものである請求項1記載の油性化粧料。
【請求項3】
板状基材が、雲母、合成雲母、シリカフレーク、ガラスフレーク、アルミナフレーク及び金属アルミフレークから選ばれるものである請求項2記載の油性化粧料。
【請求項4】
成分(C)が、平均粒径30〜500μmの積層末である請求項1記載の油性化粧料。
【請求項5】
積層末が、ポリエチレンテレフタレート・ポリメチルメタクリレート積層末、ポリエチレンテレフタレート・アルミニウム・エポキシ積層末、ポリエチレンテレフタレート・銀・エポキシ積層末、ポリエチレンテレフタレート・金・エポキシ積層末、ポリエチレンテレフタレート・アルミニウム・ウレタン積層末、ポリエチレンテレフタレート・銀・ウレタン積層末、ポリエチレンテレフタレート・金・ウレタン積層末、ポリエチレンテレフタレート・ウレタン積層末、ポリエチレンテレフタレート・(ポリエチレンテレフタレート/ポリエチレンイソフタレートコポリマー)積層末から選ばれる1種以上である請求項4記載の油性化粧料。

【公開番号】特開2011−32253(P2011−32253A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−183267(P2009−183267)
【出願日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】