説明

油性固形化粧料及びその製造方法

(A)ビタミンA及び/又はその脂肪酸エステル、(B)無水ケイ酸、(C)油溶性抗酸化剤及び(D)室温でペースト状及び/又は液状の油性成分を含有する油性固形化粧料を開示する。また、成分(B)が煙霧状無水ケイ酸である前記油性固形化粧料、及び成分(D)がポリブテン及び/又は重質流動イソパラフィンである前記油性固形化粧料を開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、ビタミンA及び/又はその脂肪酸エステルを安定に配合でき、且つ、良好な使用性、使用感を有する油性固形化粧料およびその製造方法に関するものである。
【背景技術】
ビタミンA及び/又はその脂肪酸エステルは、肌荒れの改善、皮膚角化症等の予防や治療、さらには皮膚老化の防止や回復等に有効な成分であることが知られている。しかしながら、ビタミンA及び/又はその脂肪酸エステルは、構造的に極めて不安定であり、光、空気、熱、金属イオン等により容易に種々の異性化、分解、重合等を起こすため、安定に化粧料に配合することが困難であった。上述した問題点を解決するために酸化防止剤もしくは金属イオン封鎖剤を配合したり、多量の油分を配合するなどの取り組みがなされている。
例えば、特開平6−32713号公報には、ビタミンA及び/又はその脂肪酸エステルとともに、特定の油溶性抗酸化剤、エチレンジアミン四酢酸塩及びベンゾフェノン系化合物を配合することによって、ビタミンA等の安定性が向上した皮膚外用剤となることが記載されていて、オイルエッセンス又はオイルジェルの実施例が同公報の実施例6、8及び9に記載されている。
また、特開平6−32720号公報には、ビタミンA及び/又はその脂肪酸エステルとともに、ペンタエリスリトール脂肪酸エステル及び/又はトリメチロールプロパンを配合することによって、ビタミンA等の安定性が向上した皮膚外用剤となることが記載されていて、オイルエッセンスの実施例が同公報の実施例9及び11に記載されている。
更に、ビタミンAの保存に関して、大木道則ら編「化学大辞典」(東京化学同人 1989年10月20日発行)のP1870 ビタミンAの項 右段落には、パルミタートのようなエステルとして、新鮮な植物油に溶解し、酸化防止剤(dl−α−トコフェロール、ジブチルヒドロキシトルエンなど)を添加して保存するとの情報もある。
一方、特開平6−24956号公報には、肌荒れ改善効果のある皮膚外用剤として、ビタミンAとポリオキシアルキレン変性オルガノポリシロキサンとを配合した皮膚外用剤が記載されていて、口紅にかかわる実施例が同公報の実施例9に記載されている。
しかし、上記いずれの文献にも、本願発明の組合せや効果、及び剤型に関する記載も示唆もない。
【発明の開示】
従来のオイル剤型である液状タイプやジェルタイプは、ボトルやチューブから手もしくはコットンに取り出す等の使用の際の利便性に欠けたり、また、使用時に滑らかさや肌への密着感に欠ける等の使用性及び使用感に劣るものであった。従って、本発明は、ビタミンAおよび/またはその脂肪酸エステルを安定に含有し、且つ使用性に優れ、使用時の滑らかさや肌への密着感がある化粧料を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記実状において鋭意検討を重ねた結果、ビタミンA及び/又はその脂肪酸エステルを含有する化粧料において、室温でペースト状及び/又は液状の油性成分、無水ケイ酸を含有する油性固形化粧料、特にスティック状油性固形化粧料とすることで、このような使用性の不便さ、使用感を改善できることを見出した。また更に、油溶性抗酸化剤を配合することでビタミンA及び/又はその脂肪酸エステルの安定性も向上でき、その効果を持続的に発揮できる化粧料となることを見出した。
すなわち、本発明の油性固形化粧料は、次の成分(A)〜(D);
(A)ビタミンA及び/又はその脂肪酸エステル
(B)無水ケイ酸
(C)油溶性抗酸化剤
(D)室温でペースト状及び/又は液状の油性成分
を含有する油性固形化粧料である。また、本発明の他の態様は、成分(B)が煙霧状無水シリカ、成分(D)がポリブテン及び/又は重質流動イソパラフィンである前記油性固形化粧料;実質的に水を含有しない前記油性固形化粧料;及びスティック状である前記油性固形化粧料;口紅、リップグロス又はリップクリームである前記油性固形化粧料;である。
また、別の観点から、本発明によって、(A)ビタミンA及び/又はその脂肪酸エステルと、(B)無水ケイ酸と、(C)油溶性抗酸化剤と、(D)室温でペースト状及び/又は液状の油性成分を含有する組成物を調製する工程を含む油性固形化粧料の製造方法;前記組成物を、スティック状に成形する工程を含む前記方法;及び前記組成物を、容器に充填する工程を含む前記方法;が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
以下、本発明の実施の形態について詳述する。
本発明に用いられる成分(A)ビタミンA及び/又はその脂肪酸エステルは、肌荒れの改善、皮膚角化症等の予防や治療、さらには皮膚老化の防止や回復等に有効な成分である。本発明に用いられるビタミンA及び/又はその脂肪酸エステルとしては、ビタミンA、ビタミンA酢酸エステル、ビタミンAパルミチン酸エステル等が挙げられ、all−トランス型または13−シス型であることが好ましく、それらの混合物であってもよい。これらは、一種または二種以上を適宜選択して組み合わせることができる。
本発明の油性固形化粧料における成分(A)のビタミンA及び/又はその脂肪酸エステルの含有量は、特に限定されるものではないが、0.001〜10質量%(以下、単に「%」と記載する)が好ましく、特に優れた肌荒れの改善、皮膚角化症等の予防や治療、さらには皮膚老化の防止や回復等の効果や皮膚へのべたつき等の使用感を考慮すると、0.01〜1%がより好ましい。
本発明に用いる成分(B)無水ケイ酸は、組成物を固形状に形状保持し使用性を向上させることを目的として、並びに組成物の使用感及び保存安定性を向上させることを目的として添加される。成分(B)は、通常化粧料に使用される無水ケイ酸であれば、煙霧状、多孔質、無孔質及び球状等、いずれの形態のものも使用できるが、特に煙霧状無水ケイ酸が好ましい。煙霧状無水ケイ酸は、例えば四塩化ケイ素を水素と酸素炎中で加水分解して得られるものが挙げられ、市販品としては、AEROSIL 50、AEROSIL 130、AEROSIL 200、AEROSIL 200V、AEROSIL 200CF、AEROSIL 200FAD、AEROSIL 300、AEROSIL 300CF、AEROSIL 380(以上、日本アエロジル社製)等が挙げられる。また、前記煙霧状無水ケイ酸を反応性アルキルシランやオルガノシラザン等で処理した疎水性煙霧状無水ケイ酸でもよい。疎水化処理(「親油化処理」という場合もある)の方法としては、ジメチルジクロルシランによるジメチルシリル化処理、トリメチルクロルシランやヘキサメチルジシラザンによるトリメチルシリル化処理、オクチルトリクロルシランによるオクチルシリル化処理、ジメチルポリシロキサンやメチルハイドロジェンポリシロキサンによるシリコーン処理、金属セッケン化合物によるコーティング処理等が挙げられる。市販品としては、AEROSIL R−972、AEROSIL R974、AEROSIL R976(以上、ジメチルジクロルシラン処理)、AEROSIL RX200、AEROSIL RX300(以上、ヘキサメチルジシラザン処理)、AEROSIL R805(オクチルシラン処理)、AEROSIL RY200、AEROSIL RY300(以上、ジメチルシロキサン処理)(いずれも日本アエロジル社製)、キャボジルTS530(トリメチルクロルシラン処理)(キャボット社製)等が挙げられる。
本発明に用いる成分(B)無水ケイ酸は、一次粒子の平均粒子径が50nm以下であるのが好ましく、7〜20nmであるのがより好ましい。煙霧状無水ケイ酸の一次粒子の平均粒径は、通常50nm以下である。
本発明に用いる成分(B)無水ケイ酸は、必要に応じ一種又は二種以上を用いることができ、含有量は0.01〜30%が好ましく、更に0.5〜20%が形状保持、使用感及び保存安定性の点でより好ましい。
本発明に用いられる成分(C)油溶性抗酸化剤は、成分(A)ビタミンA及び/又はその脂肪酸エステルの経時における劣化の防止、それに伴う変臭及び変色の防止、並びに保存安定性の向上に寄与する。本発明に用いられる成分(C)の油溶性抗酸化剤は、通常化粧料に汎用されているものであれば特に限定されないが、具体的には、ジブチルヒドロキシトルエン(以下BHTと表記する)、ブチルヒドロキシアニソール(以下BHAと表記する)、α、β、γ、σ−トコフェロール類、没食子酸プロピル及びL−アスコルビン酸脂肪酸エステル等が挙げられる。これらは、一種または二種以上を適宜選択して組み合わせることができる。
本発明の化粧料における成分(C)の油溶性抗酸化剤の含有量は、特に限定されるものではないが、0.001〜10%が好ましく、特に優れたビタミンA及び/又はその脂肪酸エステルの保存安定性向上効果や皮膚へのべたつき等の使用感を考慮すると、0.01〜1%がより好ましい。
本発明に用いる成分(D)室温でペースト状及び/又は液状の油性成分は、使用時の滑らかさや肌への密着感等の改善、ビタミンA及び/又はその脂肪酸エステルの保存安定性の改善に寄与する。一般的に化粧料に用いられる油性成分であればいずれでもよく、動物油、植物油、合成油等の起源を問わず、炭化水素類、油脂類、ロウ類、硬化油類、エステル油類、脂肪酸類、高級アルコール類、シリコーン油類、フッ素系油類、ラノリン誘導体類等が挙げられる。具体的には、流動パラフィン、重質流動イソパラフィン、α−オレフィンオリゴマー、スクワラン、ワセリン、ポリイソブチレン、ポリブテン等の炭化水素類、オリーブ油、ヒマシ油、ミンク油、マカデミアンナッツ油等の油脂類、ホホバ油、リンゴ酸ジイソステアリル、セチルイソオクタネート、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、ジイソステアリン酸ポリグリセリル、トリイソステアリン酸ジグリセリル、ジオクタン酸ネオペンチルグリコール、コレステロール脂肪酸エステル、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(コレステリル・ベヘニル・オクチルドデシル)等のエステル類、イソステアリン酸、オレイン酸等の脂肪酸類、オレイルアルコール、イソステアリルアルコール等の高級アルコール類、低重合度ジメチルポリシロキサン、高重合度ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、ポリエーテル変性ポリシロキサン、ポリオキシアルキレン・アルキルメチルポリシロキサン・メチルポリシロキサン共重合体、アルコキシ変性ポリシロキサン、フッ素変性ポリシロキサン等のシリコーン類、パーフルオロデカン、パーフルオロオクタン、パーフルオロポリエーテル等のフッ素系油剤類、ラノリン、酢酸ラノリン、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラノリンアルコール等のラノリン誘導体等が挙げられる。これら中でも、ポリブテン、重質流動イソパラフィンが肌への密着感等の使用感の面から特に好ましく、市販品としては、パールリーム16、パールリーム18(以上、日本油脂社製)、ポリブテン100R、ポリブテン300R、ポリブテン2000H(以上、出光石油化学社製)等が例示できる。これらは必要に応じて一種又は二種以上を用いることができる。
本発明に用いる成分(D)の室温でペースト状及び/又は液状の油性成分の含有量は、特に限定されないが、5〜99%が好ましく、更に10〜80%が好ましい。この範囲であれば使用感及び保存安定性の点で好ましい。
本発明の油性固形化粧料は、前記成分(A)〜(D)を含有することにより、ビタミンA及び/又はその脂肪酸エステルを安定に配合でき、且つ形状を保持でき、良好な使用性、使用感を有する油性固形化粧料とすることができる。
なお、本明細書において「固形」の意義は、最も広義に解釈されるべきであり、室温(約25℃)において流動性を示さず、一定の形状を保持する限り、軟固形および半固形いずれも含まれるものとする。
本発明の油性固形化粧料の剤型としては、油性型及び乳化型(W/O型)が挙げられ、形態的には、例えば、皿状容器に充填された軟固形状の形態のものから固形スティック状の形態のもの等、種々の形態を含むものである。
また、実質的に水を含有しない油性固形化粧料は、ビタミンA及び/又はその脂肪酸エステルの安定性の向上の点からより好ましく、更に形態的には、スティック状形態のものは、使用に際しての利便性、使用時の滑らかさ、べたつきの無さ、肌への密着感等の使用感、及びビタミンA及び/又はその脂肪酸エステルや製剤の保存安定性の点からより好ましい。特に、皮膚に局所的に適用する、例えば、唇のみ、まぶたのみ、目じりのみ等に適用する化粧料として適している。
本発明の油性固形化粧料には、本発明の効果を損なわない程度で、必要に応じて、前記必須成分以外の各種成分、例えば、油性成分、粉体成分、界面活性剤、紫外線吸収剤、褪色防止剤、防腐剤、キレート剤、水溶性高分子、皮膜形成剤、保湿剤、美容成分、香料などを各種の効果を付与するために適宜配合することができる。
【実施例】
次に実施例をもって本発明をより詳細に説明する。本発明はこれらにより、何ら限定されるものではない。
・実施例1〜9及び比較例1〜3
表1(実施例)及び表2(比較例)に示す組成のビタミンAパルミチン酸エステル含有油性固形化粧料(スティック状)を調製し、肌効果(肌荒れの改善)、使用性(使い易さ)、使用感(使用時の滑らかさ、密着感)、保存安定性(変色・変臭評価、分離性(発汗)評価)について下記の方法により評価を行った。その結果も併せて表1及び表2に示す。


(製造方法)
成分(1)、(3)〜(9)を均一に加熱混合した後、成分(2)、(10)〜(14)を加え、均一に混合した。この混合物を容器に充填し冷却固化して製品を得た。
(肌効果評価方法)
各試料毎に専門パネル20名による使用テスト(朝晩洗顔後、一ヶ月間塗布)を行い、肌荒れ改善効果について下記7段階評価基準にて評価し、パネル員の評点合計から、その平均値を算出し、下記4段階判定基準により判定した。
(使用性、使用感評価方法)
各試料毎に専門パネル20名による使用性及び使用テスト(洗顔後、塗布)を行い、使用性(使い易さ)の確認、使用時の滑らかさ、肌への密着感について下記7段階評価基準にて評価し、パネル員全員の評点合計から、その平均値を算出し、下記4段階判定基準により判定した。
(肌効果、使用性、使用感;7段階評価基準)
評点:評価
6点:非常に良い
5点:良い
4点:やや良い
3点:普通
2点:やや悪い
1点:悪い
0:非常に悪い
(肌効果、使用性、使用感;4段階判定基準)
5点を超える :非常に良い(◎)
3点を超えて5点以下:良好(○)
2点を超えて3点以下:やや不良(△)
2点以下 :不良(×)
(保存安定性:変臭、変色試験方法)
各試料を40℃及び5℃の恒温槽で1ヶ月間保存し、調製直後の状態を基準として下記4段階判定基準(保存安定性用)により判定した。
(保存安定性:分離性(発汗)試験方法)
各試料の45℃で2週間保存し、その状態を観察し、室温保存品と比較して、下記4段階判定基準(保存安定性用)により判定した。
(保存安定性;4段階判定基準)
◎:変化なく良好。
○:ほとんど変化はないが、僅かに変化が認められる。
△:かなり変化が認められる。
×:変化し、劣悪である。
上記表1及び表2の結果から明らかなように、本発明品の実施例1〜9の油性固形化粧料は、比較例1〜3の油性固形化粧料に比較して、肌効果、使用感、保存安定性に優れたものであった。
実施例10:リップクリーム(金皿充填タイプ)
(成分) (%)
1.ポリエチレン・マイクロクリスタリンワックス混合物 2.5
2.ポリエチレンワックス 2.0
3.ワセリン 20.0
4.トリ−2−エチルヘキサン酸グリセリル 20.0
5.スクワラン 5.0
6.流動パラフィン 残量
7.重質流動イソパラフィン(注1) 20.0
8.ジメチルジクロルシラン処理無水ケイ酸(注2) 10.0
9.1,3−ブチレングリコール 0.5
10.セスキオレイン酸ソルビタン 0.1
11.アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体(注3)0.01
12.アロエベラ抽出液 0.1
13.BHT 0.1
14.ビタミンA 1.0
15.ビタミンAパルミチン酸エステル 0.5
16.香料 0.05
注1:パールリーム18 (日本油脂社製)
注2:AEROSIL R−974 (日本アエロジル社製、一次粒子の平均粒径12nm)
注3:ペミュレンTR−2 (NOVEON社製)
(製造方法)
成分(1)〜(7)、(13)〜(16)を均一に加熱混合した後、成分(8)、(9)〜(12)及び(16)を加え、均一に混合した。この混合物を、容器に充填し、固化して製品を得た。
実施例10のリップクリームは、使用性が高く、塗布時の滑らかさや密着感等の使用感が良好で、肌効果、保存安定性においても優れたものであった。
実施例11:口紅(スティック状)
(成分) (%)
1.(ベヘン酸/エイコサン二酸)グリセリル 5.0
2.ポリエチレンワックス 5.0
3.キャンデリラワックス 5.0
4.ロジン酸ペンタエリスリット 2.0
5.重質流動イソパラフィン(注1) 30.0
6.ポリブテン(注2) 5.0
7.流動パラフィン 残量
8.トリ−2−エチルヘキサン酸グリセリル 15.0
9.無水ケイ酸(注3) 0.5
10.赤色202号 適量
11.黄色4号 適量
12.香料 0.05
13.BHT 0.1
14.ビタミンAパルミチン酸エステル 1.0
注1:パールリーム18 (日本油脂社製)
注2:ポリブテン300R(出光石油化学社製)
注3:AEROSIL 300 (日本アエロジル社製、一次粒子の平均粒径7nm)
(製造方法)
成分(1)〜(8)、(13)及び(14)を均一に加熱混合した後、成分(9)、(10)〜(12)を加え、均一に混合した。この混合物を充填成型し、固化して製品を得た。
実施例11のスティック状口紅は、使用性が高く、塗布時の滑らかさや密着感等の使用感が良好で、肌効果、保存安定性においても優れたものであった。
実施例12:口紅(金皿充填タイプ)
(成分) (%)
1.(ベヘン酸/エイコサン二酸)グリセリル 10.0
2.ポリエチレンワックス 3.0
3.キャンデリラワックス 3.0
4.ロジン酸ペンタエリスリット 2.0
5.重質流動イソパラフィン(注1) 10.0
6.ポリブテン(注2) 5.0
7.流動パラフィン 残量
8.トリ−2−エチルヘキサン酸グリセリル 15.0
9.ジメチルジクロルシラン処理無水ケイ酸(注3) 0.5
10.ベンガラ被覆雲母チタン 15.0
11.赤色202号 適量
12.黄色4号 適量
13.黒色酸化鉄 適量
14.アロエベラ抽出液 0.1
15.トコフェロール 0.05
16.BHT 0.1
17.ビタミンAパルミチン酸エステル 1.0
18.ビタミンA 0.5
19.香料 0.05
注1:パールリーム18 (日本油脂社製)
注2:ポリブテン300R(出光石油化学社製)
注3:AEROSIL R−974 (日本アエロジル社製、一次粒子の平均粒径12nm)
(製造方法)
成分(1)〜(8)及び(15)〜(18)を均一に加熱混合した後、成分(9)、(10)〜(14)及び(19)を加え、均一に混合した。この混合物を充填成型し、固化して製品を得た。
実施例12の金皿充填タイプ口紅は、使用性が高く、塗布時の滑らかさや密着感等の使用感が良好で、肌効果、保存安定性においても優れたものであった。
実施例13:リップグロス
(成分) (%)
1.(ベヘン酸/エイコサン二酸)グリセリル 1.5
2.ポリエチレンワックス 4.5
3.キャンデリラワックス 3.0
4.ロジン酸ペンタエリスリット 0.1
5.ポリブデン(注1) 40.0
6.リンゴ酸ジイソステアリル 6.0
7.流動パラフィン 残量
8.無水ケイ酸(注2) 8.0
9.ビタミンA 0.1
10.BHA 0.1
11.紫外線吸収剤(注3) 0.1
12.赤色202号 適量
13.群青 適量
14.酸化チタン処理合成雲母 15.0
15.ラメ剤(注4) 適量
16.BHT 0.1
注1:ポリブテン300R(出光石油化学社製)
注2:AEROSIL 300 (日本アエロジル社製、一次粒子の平均粒径7nm)
注3:ユビナールMC80(BASF社製)
注4:ダイヤホログラム(ダイヤ工業社製)
成分(1)〜(7)及び(9)〜(11)、(16)を均一に加熱混合した後、成分(8)及び(12)〜(15)を加え、均一に混合した。この混合物を、充填成型し、固化して製品を得た。
実施例13のリップグロスは、使用性が高く、塗布時の滑らかさや密着感等の使用感が良好で、肌効果、保存安定性においても優れたものであった。
【産業上の利用可能性】
本発明の油性固形化粧料は、ビタミンA及び/又はその脂肪酸エステルを安定に含有でき、且つ使用性が高く、使用時の滑らかさ、肌への密着感等の使用感や保存安定性に優れたものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の成分(A)〜(D);
(A)ビタミンA及び/又はその脂肪酸エステル
(B)無水ケイ酸
(C)油溶性抗酸化剤
(D)室温でペースト状及び/又は液状の油性成分
を含有する油性固形化粧料。
【請求項2】
成分(B)無水ケイ酸が、煙霧状無水ケイ酸である請求の範囲第1項の油性固形化粧料。
【請求項3】
成分(D)室温でペースト状及び/又は液状の油性成分が、ポリブテン及び/又は重質流動イソパラフィンである請求の範囲第1項又は第2項の油性固形化粧料。
【請求項4】
実質的に水を含有しない請求の範囲第1項〜第3項のいずれかの油性固形化粧料。
【請求項5】
スティック状である請求の範囲第1項〜第4項のいずれかの油性固形化粧料。
【請求項6】
口紅、リップクリーム又はリップグロスである請求の範囲第1項〜第5項のいずれかの油性固形化粧料。
【請求項7】
(A)ビタミンA及び/又はその脂肪酸エステルと、(B)無水ケイ酸と、(C)油溶性抗酸化剤と、(D)室温でペースト状及び/又は液状の油性成分を含有する組成物を調製する工程を含む油性固形化粧料の製造方法。
【請求項8】
前記組成物を、スティック状に成形する工程を含む請求の範囲第7項の方法。
【請求項9】
前記組成物を、容器に充填する工程を含む請求の範囲第7項の方法。

【国際公開番号】WO2004/032893
【国際公開日】平成16年4月22日(2004.4.22)
【発行日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−542860(P2004−542860)
【国際出願番号】PCT/JP2003/012971
【国際出願日】平成15年10月9日(2003.10.9)
【出願人】(000145862)株式会社コーセー (734)
【Fターム(参考)】