説明

油性毛髪化粧料

【課題】 油感(べたつき感)やきしみ感がなく、仕上がりの軽さとしなやかさ、なめらかさを毛髪に付与する効果に優れた油性毛髪化粧料の提供。
【解決手段】 新規なデキストリン脂肪酸エステルと、常温でペースト状又は液状を呈する炭化水素油、エステル油から選択される1種又は2種以上の非シリコーン油とを配合する油性毛髪化粧料。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規なデキストリン脂肪酸エステル、常温でペースト状又は液状を呈する炭化水素油、エステル油から選択される1種又は2種以上の非シリコーン油を配合する油性毛髪化粧料に関し、更に詳細には、塗布時のきしみ感や、油剤に起因する不自然なテカリやツヤ感(油感)、べたつき感がなく、軽い仕上がりでありながら、しなやかさ、なめらかさを付与する効果に優れた油性毛髪化粧料に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、ヘアケアへの意識の高まりから、リンスやヘアクリーム等のトリートメント用油性毛髪化粧料には、仕上がりのなめらかさ、しなやかさ、エモリエント感等のコンディショニング効果のより高いものが望まれており、そのために様々な技術が開示されている。例えば、カチオン性ポリマーやシリコーン誘導体を用いて、仕上がりのしなやかさ等を高める技術(例えば、特許文献1〜3)や、炭化水素油を用いて、仕上がりにエモリエント感等を付与する技術(例えば、特許文献4)等がある。
【0003】
また、ヘアオイル等の油性毛髪化粧料は、毛髪に油分を補い、光沢、なめらかさ、柔軟性等を与えることを目的として使用される頭髪化粧料の一種であり、従来より、エステル油、炭化水素油、シリコーン油等が主成分として用いられてきた。特に、毛髪になめらかさを付与する場合には、シリコーン油が用いられてきた。また、高粘性のシリコーン油を軽質流動イソパラフィン等の溶剤に溶解して用いることもされてきた(例えば、特許文献5)。
【0004】
一方で、パルミチン酸デキストリン等のデキストリン脂肪酸エステルは、ヘアオイル基剤をゲル化させ、粘性を付与することにより、毛髪に塗布する際のたれ落ちを防ぐために用いられてきた(例えば、非特許文献1)。また、分岐脂肪酸の割合の低いデキストリン脂肪酸エステルは、従来より、油ゲル化剤として、口紅、アイライナー、マスカラ、ファンデーション等に配合されてきた(例えば、特許文献6)。
【0005】
【特許文献1】特開平6−312915号公報
【特許文献2】特表2001−504136号公報
【特許文献3】特開平6−80538号公報
【特許文献4】特開平6−135823号公報
【特許文献5】特公昭48−1503公報
【特許文献6】特許第3019191号公報
【非特許文献1】吉村淳「液状油脂ゲル化剤の開発と応用」、フレグランス・ジャーナル、No.33(1978)、26〜31頁
【0006】
しかしながら、シリコーン油を配合した油性毛髪化粧料は、シリコーン油特有の人工的ななめらかさやきしみ感を違和感として感じる場合があり、炭化水素油を配合したもののような毛髪に馴染む感じやしなやかさとは異なる仕上がりとなっていた。このため、シリコーン油と炭化水素油やエステル油とを併用する試みもされていたが、シリコーン油は他の油剤との相溶性が良好でないため分離してしまい、安定な油性毛髪化粧料を得ることは難しかった。また、高粘性シリコーン油も同様に、他の油剤と相溶性が悪いため、軽質流動イソパラフィン等の溶剤を用いる必要があるが、軽質流動イソパラフィン等の溶剤は脱脂力が強く、毛髪に適用した場合に毛髪中の油分を取ってしまい、却って毛髪のツヤやハリ、コシを失わせることになり、しなやかさを付与することができない場合があった。
更に、炭化水素油やエステル油のみの油性毛髪化粧料では、塗布時のきしみ感や油剤特有の不自然なテカリやツヤ感(油感)やべたつき感を強く感じ、使用感が好ましくない場合があった。
【0007】
一方、パルミチン酸デキストリンや分岐脂肪酸の割合の低いデキストリン脂肪酸エステルは、油ゲル化剤としては使用されていたが、毛髪のコンディショニング剤として用いる技術については、これまで何ら開示もされていない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
このため、塗布時のきしみ感や、不自然なテカリやツヤ感(油感)、べたつき感がなく、軽い仕上がりで、しなやかさ、なめらかさを付与する効果に優れた油性毛髪化粧料の開発が求められていた。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記実情に鑑み、本発明者らは鋭意検討した結果、新規なデキストリン脂肪酸エステルを毛髪に適用することにより、塗布時のきしみ感や、不自然なテカリやツヤ感(油感)、べたつき感がなく、軽い仕上がりで、しなやかさ、なめらかさに優れることを見出し、そして、該デキストリン脂肪酸エステルが炭化水素油やエステル油等の非シリコーン油との相溶性に優れるため、均一溶解系の安定な油性毛髪化粧料が得られることを見出し、本発明を完成させた。
【0010】
すなわち、本発明は、(1)デキストリンと脂肪酸とのエステル化物であって、デキストリンのグルコースの平均重合度が3〜150であり、脂肪酸が炭素数4〜26の分岐飽和脂肪酸の1種又は2種以上を全脂肪酸に対して50mol%より多く100mol%以下、及び、炭素数2〜22の直鎖飽和脂肪酸、炭素数6〜30の直鎖又は分岐の不飽和脂肪酸及び炭素数6〜30の環状の飽和又は不飽和脂肪酸よりなる群から選ばれる1種又は2種以上を全脂肪酸に対して0mol%以上50mol%未満含有し、グルコース単位当たりの脂肪酸の置換度が1.0〜3.0であるデキストリン脂肪酸エステルと、常温でペースト状又は液状を呈する炭化水素油、エステル油から選択される1種又は2種以上の非シリコーン油とを配合することを特徴とする油性毛髪化粧料を提供するものである。
【0011】
また、本発明は、
(2)デキストリンの水酸基に、全脂肪酸誘導体に対して、炭素数4〜26の分岐飽和脂肪酸誘導体の1種又は2種以上を50mol%より多く100mol%以下、及び、炭素数2〜22の直鎖飽和脂肪酸誘導体、炭素数6〜30の直鎖又は分岐の不飽和脂肪酸誘導体及び炭素数6〜30の環状の飽和又は不飽和脂肪酸誘導体よりなる群から選ばれる1種又は2種以上を0mol%以上50mol%未満含有する脂肪酸誘導体を反応させて得たデキストリンと脂肪酸とのエステル化物であって、デキストリンのグルコースの平均重合度が3〜150であり、グルコース単位当りの脂肪酸の置換度が1.0〜3.0であるデキストリン脂肪酸エステルと、常温でペースト状又は液状を呈する炭化水素油、エステル油から選択される1種又は2種以上の非シリコーン油とを配合することを特徴とする油性毛髪化粧料を提供するものである。
【0012】
さらに、本発明は、
(3)デキストリンの水酸基に、炭素数4〜26の分岐飽和脂肪酸誘導体の1種又は2種以上を反応させ、次いで、その生成物と炭素数2〜22の直鎖飽和脂肪酸誘導体、炭素数6〜30の直鎖又は分岐の不飽和脂肪酸誘導体及び炭素数6〜30の環状の飽和又は不飽和脂肪酸誘導体よりなる群から選ばれる1種又は2種以上を反応させて得たデキストリンと脂肪酸とのエステル化物であって、全脂肪酸誘導体に対して、該炭素数4〜26の分岐飽和脂肪酸誘導体の1種又は2種以上を50mol%より多く100mol%以下、及び、該炭素数2〜22の直鎖飽和脂肪酸誘導体、該炭素数6〜30の直鎖又は分岐の不飽和脂肪酸誘導体及び該炭素数6〜30の環状の飽和又は不飽和脂肪酸誘導体よりなる群から選ばれる1種又は2種以上を0mol%以上50mol%未満反応させたものであり、デキストリンのグルコースの平均重合度が3〜150であり、グルコース単位当りの脂肪酸の置換度が1.0〜3.0であるデキストリン脂肪酸エステルと、常温でペースト状又は液状を呈する炭化水素油、エステル油から選択される1種又は2種以上の非シリコーン油とを配合することを特徴とする油性毛髪化粧料を提供するものである。
【0013】
そして、本発明は、
(4)前記デキストリン脂肪酸エステルを構成する分岐飽和脂肪酸が、炭素数12〜22の分岐飽和脂肪酸から選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれかに記載の油性毛髪化粧料、
(5)前記デキストリン脂肪酸エステルが、ASTM D445測定方法による40℃における動粘度が8mm/sである流動パラフィンをゲル化しないことを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれかに記載の油性毛髪化粧料、
(6)前記デキストリン脂肪酸エステルを40質量%含有する軽質流動イソパラフィン溶液をガラス板に400μm厚のアプリケーターで成膜し、乾燥させた皮膜に、テクスチャーアナライザーを用いて100gの荷重をかけ、10秒保持後に0.5mm/秒で離したときの接触点にかかる荷重変化(最大応力値)が30〜1000gであるデキストリン脂肪酸エステルであること特徴とする上記(1)〜(5)のいずれかに記載の油性毛髪化粧料を提供するものである。
【0014】
また更に、
(7)油性毛髪化粧料中におけるシリコーン油の配合量が5%未満であることを特徴とする上記(1)〜(6)のいずれかに記載の油性毛髪化粧料を提供するものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明の油性毛髪化粧料は、塗布時にシリコーン油配合化粧料特有のきしみ感や、油性化粧料特有の不自然なテカリやツヤ感(油感)やべたつき感がなく、軽い仕上がりでありながら、毛髪にしなやかさやなめらかさを付与する効果に優れるものである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の油性毛髪化粧料に使用されるデキストリン脂肪酸エステルは、デキストリンと脂肪酸とのエステル化物であって、デキストリンのグルコースの平均重合度が3〜150であり、脂肪酸が全脂肪酸に対して炭素数4〜26の分岐飽和脂肪酸を50mol%より多く含有するグルコース単位当たりの脂肪酸の置換度が1.0〜3.0である新規な物質である。(以下、単に「新規なデキストリン脂肪酸エステル」ということもある。)
新規なデキストリン脂肪酸エステルのデキストリンへの脂肪酸の置換度は、グルコース単位当たり1.0〜3.0であり、好ましくは1.2〜2.8である。この置換度が1.0未満であると液状油等への溶解温度が100℃以上と高くなり、着色や特異な臭いが生じ、好ましくない。
【0017】
本発明に用いられる新規なデキストリン脂肪酸エステルは、次の特性を有する。
(1)新規なデキストリン脂肪酸エステルを液状油に混合したときに、液状油がゲル化しない。
「液状油がゲル化しない」とは、ASTM D445測定方法による40℃における動粘度が8mm/sである流動パラフィンを液状油とする場合、デキストリン脂肪酸エステルを5質量%(以下単に「%」で示す。)含有する該流動パラフィンを100℃で溶解し、24時間後25℃で粘度を測定したとき、粘度が、Yamco DIGITAL VISCOMATE粘度計VM−100A(振動式)(山一電機社製)の検出限界以下であることを意味する。なお、ゲル化する場合には、粘度が検出されることで確認できる。
【0018】
(2)新規なデキストリン脂肪酸エステルが形成する皮膜が特定範囲のタック性を有する。
「タック性」を、支持体に該デキストリン脂肪酸エステルを塗布し、もうひとつの支持体を相互に離れた状態から面接触させた後に、後退させて別離させ、後退を開始してから完全に別離するまでの接触点にかかる荷重変化(最大応力値)で表す場合、該デキストリン脂肪酸エステルを40%含有する軽質流動イソパラフィン溶液をガラス板に400μm厚のアプリケーターで成膜し、乾燥させた皮膜に、テクスチャーアナライザー、例えば、テクスチャーアナライザーTA.XTplus(Stable Micro Systems社製)を用いて、プローブとして直径12.5mm円柱状のポリアセタール樹脂(Delrin(登録商標)デュポン社製)製プローブを使用し、100gの荷重をかけ10秒保持後に0.5mm/秒で離したときの荷重変化、すなわちタック性が30〜1,000gである。
【0019】
本発明において、新規なデキストリン脂肪酸エステルに用いられるデキストリンは、グルコース平均重合度3〜150、特に10〜100のデキストリンが好ましい。グルコース平均重合度が2以下では、得られたデキストリン脂肪酸エステルがワックス様となって油剤への溶解性が低下する。また、グルコース平均重合度が150を超えると、デキストリン脂肪酸エステルの油剤への溶解温度が高くなる、又は溶解性が悪くなる等の問題を生ずることがある。デキストリンの糖鎖は直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれでもよい。
【0020】
本発明において、新規なデキストリン脂肪酸エステルに用いられる脂肪酸は、炭素数4〜26の分岐飽和脂肪酸の1種又は2種以上を必須とし、さらに炭素数2〜22の直鎖飽和脂肪酸、炭素数6〜30の直鎖又は分岐の不飽和脂肪酸、及び炭素数6〜30の環状の飽和又は不飽和脂肪酸よりなる群から選ばれる1種又は2種以上(以下、これら炭素数4〜26の分岐飽和脂肪酸以外の脂肪酸をまとめて表すときは「その他の脂肪酸」という)を含有してもよいものである。
【0021】
本発明において、新規なデキストリン脂肪酸エステルにおける脂肪酸の組成割合は、全脂肪酸に対して、炭素数4〜26の分岐飽和脂肪酸の1種又は2種以上が50mol%より多く100mol%以下、好ましくは55mol%以上100mol%以下であり、その他の脂肪酸は、0mol%以上50mol%未満、好ましくは、0mol%以上45mol%以下である。
【0022】
該炭素数4〜26の分岐飽和脂肪酸としては、例えば、イソ酪酸、イソ吉草酸、2−エチル酪酸、エチルメチル酢酸、イソヘプタン酸、2−エチルヘキサン酸、イソノナン酸、イソデカン酸、イソトリデカン酸、イソミリスチン酸、イソパルミチン酸、イソステアリン酸、イソアラキン酸、イソヘキサコサン酸等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を適宜選択又は組み合わせて使用することができる。これらのうち、炭素数12〜22のものが好ましく、特にイソステアリン酸が好ましく、構造の違い等の限定は特にない。
ここで、イソステアリン酸とは、分岐したステアリン酸の1種、又は2種以上の混合物を意味する。
例えば、5,7,7−トリメチル−2−(1,3,3−トリメチルブチル)−オクタン酸は、イソブチレン2量体のオキソ反応により炭素数9の分岐アルデヒドとし、次いでこのアルデヒドのアルドール縮合により炭素数18の分岐不飽和アルデヒドとし、次いで水素添加、酸化することにより製造することができ(以下、「アルドール縮合型」と略す)、これは、例えば、日産化学工業社より市販されている。
2−ヘプチルウンデカン酸は、ノニルアルコールをガーベット反応(Guerbet反応、ゲルベ反応ともいう)により二量化し、次いで酸化することにより製造することができ、これは、例えば、三菱化学社より市販されており、分岐位置の若干異なる類似混合物として、日産化学工業株式会社より市販され、さらに出発アルコールが直鎖飽和ではない2箇所メチル分岐したタイプも同様に日産化学工業社より市販されている(以下、総じて「ガーベット反応型」と略す)。
また、メチル分岐イソステアリン酸は、例えば、オレイン酸のダイマー製造時の副産物として得られるもので、例えばJ.Amer.Oil Chem.Soc.,51,522(1974)に記載されているものや、例えば、米国エメリー社などから市販されていたものがあげられる(以下「エメリー型」と略す)。エメリー型イソステアリン酸の出発物質であるダイマー酸のさらに出発物質は、オレイン酸だけでなく、リノール酸、リノレン酸等も含まれる場合がある。本発明においては、特に、このエメリー型がより好ましい。
【0023】
本発明において、新規なデキストリン脂肪酸エステルに用いられる脂肪酸のうち、炭素数2〜22の直鎖飽和脂肪酸としては、例えば、酢酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキン酸、ベヘン酸等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を適宜選択、又は組み合わせて使用することができる。これらの中でも、炭素数8〜22のものが好ましく、特に炭素数12〜22のものが好ましい。
【0024】
本発明において、新規なデキストリン脂肪酸エステルに用いられる脂肪酸のうち、炭素数6〜30の直鎖又は分岐の不飽和脂肪酸としては、例えば、モノエン不飽和脂肪酸としては、シス−4−デセン(オブツシル)酸、9−デセン(カプロレイン)酸、シス−4−ドデセン(リンデル)酸、シス−4−テトラデセン(ツズ)酸、シス−5−テトラデセン(フィセテリン)酸、シス−9−テトラデセン(ミリストレイン)酸、シス−6−ヘキサデセン酸、シス−9−ヘキサデセン(パルミトレイン)酸、シス−9−オクタデセン(オレイン)酸、トランス−9−オクタデセン酸(エライジン酸)、シス−11−オクタデセン(アスクレピン)酸、シス−11−エイコセン(ゴンドレイン)酸、シス−17−ヘキサコセン(キシメン)酸、シス−21−トリアコンテン(ルメクエン)酸等が挙げられ、ポリエン不飽和脂肪酸としては、ソルビン酸、リノール酸、ヒラゴ酸、プニカ酸、リノレン酸、γ−リノレン酸、モロクチ酸、ステアリドン酸、アラキドン酸、EPA、イワシ酸、DHA、ニシン酸、ステアロール酸、クレペニン酸、キシメニン酸等が挙げられる。
【0025】
本発明において、新規なデキストリン脂肪酸エステルに用いられる脂肪酸のうち、炭素数6〜30の環状の飽和又は不飽和脂肪酸は、環状構造を基本骨格の少なくとも一部に有する炭素数6〜30の飽和又は不飽和脂肪酸を意味し、例えば、9,10−メチレン−9−オクタデセン酸;アレプリル酸、アレプリン酸、ゴルリン酸、α−シクロペンチル酸、α−シクロヘキシル酸、α−シクロペンチルエチル酸、α−シクロヘキシルメチル酸、ω−シクロヘキシル酸、5(6)−カルボキシ−4−ヘキシル−2−シクロヘキセン−1−オクタン酸、マルバリン酸、ステルクリン酸、ヒドノカルピン酸、ショールムーグリン酸などが挙げられる。
【0026】
また、本発明において、新規なデキストリン脂肪酸エステルに用いられる脂肪酸として、分岐飽和脂肪酸単独の場合のデキストリン脂肪酸エステルの具体例としては、例えば、以下のもの等が挙げられる。
デキストリンイソ酪酸エステル
デキストリンエチルメチル酢酸エステル
デキストリンイソヘプタン酸エステル
デキストリン2−エチルヘキサン酸エステル
デキストリンイソノナン酸エステル
デキストリンイソデカン酸エステル
デキストリンイソパルミチン酸エステル
デキストリンイソステアリン酸エステル
デキストリンイソアラキン酸エステル
デキストリンイソヘキサコサン酸エステル
デキストリン(イソ吉草酸/イソステアリン酸)エステル
【0027】
本発明において、新規なデキストリン脂肪酸エステルに用いられる脂肪酸として、分岐飽和脂肪酸とその他の脂肪酸との混合脂肪酸を用いた場合のデキストリン脂肪酸エステルとしては、例えば以下のもの等が挙げられる。
デキストリン(イソ酪酸/カプリル酸)エステル
デキストリン(2−エチルヘキサン酸/カプリル酸)エステル
デキストリン(イソアラキン酸/カプリル酸)エステル
デキストリン(イソパルミチン酸/カプリル酸)エステル
デキストリン(エチルメチル酢酸/ラウリン酸)エステル
デキストリン(2−エチルヘキサン酸/ラウリン酸)エステル
デキストリン(イソヘプタン酸/ラウリン酸/ベヘン酸)エステル
デキストリン(イソステアリン酸/ミリスチン酸)エステル
デキストリン(イソヘキサコサン酸/ミリスチン酸)エステル
デキストリン(2−エチルヘキサン酸/パルミチン酸)エステル
デキストリン(イソステアリン酸/パルミチン酸)エステル
デキストリン(イソステアリン酸/イソ吉草酸/パルミチン酸)エステル
デキストリン(イソノナン酸/パルミチン酸/カプロン酸)エステル
デキストリン(2−エチルヘキサン酸/パルミチン酸/ステアリン酸)エステル
デキストリン(イソデカン酸/パルミチン酸)エステル
デキストリン(イソパルミチン酸/ステアリン酸)エステル
デキストリン(イソステアリン酸/アラキン酸)エステル
デキストリン(2−エチルヘキサン酸/アラキン酸)エステル
デキストリン(2−エチル酪酸/ベヘン酸)エステル
デキストリン(イソノナン酸/リノール酸)エステル
デキストリン(イソパルミチン酸/アラキドン酸)エステル
デキストリン(イソパルミチン酸/カプリル酸/リノール酸)エステル
デキストリン(イソステアリン酸/ステアリン酸/オレイン酸)エステル
デキストリン(イソアラキン酸/パルミチン酸/ショールムーグリン酸)エステル
【0028】
(デキストリン脂肪酸エステルの製造方法)
次に、本発明に用いられる新規なデキストリン脂肪酸エステルの製造方法について説明する。
製造方法としては、特に限定されず、公知の製法を採用することができるが、たとえば以下のようにして製造することができる。
【0029】
(1)グルコースの平均重合度が3〜150であるデキストリンと、炭素数4〜26の分岐飽和脂肪酸誘導体の1種又は2種以上を全脂肪酸誘導体に対して50mol%より多く100mol%以下、及び、炭素数2〜22の直鎖飽和脂肪酸誘導体、炭素数6〜30の直鎖又は分岐の不飽和脂肪酸誘導体及び炭素数6〜30の環状の飽和又は不飽和脂肪酸誘導体よりなる群から選ばれる1種又は2種以上(以下、これらの脂肪酸誘導体をまとめて表すときは「その他の脂肪酸誘導体」という)を全脂肪酸誘導体に対して0mol%以上50mol%未満含有する脂肪酸誘導体とを反応させる。
【0030】
(2)グルコースの平均重合度が3〜150であるデキストリンと、炭素数4〜26の分岐飽和脂肪酸誘導体の1種又は2種以上とを反応させ、次いで、その生成物とその他の脂肪酸誘導体とを反応させる。
その場合、全脂肪酸誘導体に対して炭素数4〜26の分岐飽和脂肪酸誘導体の1種又は2種以上を50mol%より多く100mol%以下、及び、その他の脂肪酸誘導体を全脂肪酸誘導体に対して0mol%以上50mol%未満使用する。
【0031】
本発明において、上記デキストリンとのエステル化反応に使用される脂肪酸誘導体としては、例えば、上記脂肪酸のハロゲン化物、酸無水物等が用いられる。
(1)及び(2)のいずれの場合も、まず、デキストリンを反応溶媒に分散し、必要に応じて触媒を添加する。これに、上記脂肪酸のハロゲン化物、酸無水物等を添加して反応させる。(1)の製造法の場合は、これらの酸を混合して同時に添加反応させ、(2)の製造法の場合は、まず反応性の低い分岐飽和脂肪酸誘導体を反応させた後、次いでその他の脂肪酸誘導体を添加反応させる。
【0032】
製造にあたり、これらのうちの好ましい方法を採用することができる。反応溶媒にはジメチルホルムアミド、ホルムアミド等のホルムアミド系;アセトアミド系;ケトン系;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族化合物系;ジオキサン等の溶剤を適宜使用することができる。反応触媒としてはピリジン、ピコリン等の3級アミノ化合物などを用いることができる。反応温度は原料脂肪酸等により適宜選択されるが、0℃〜100℃の温度が好ましい。
【0033】
本発明の油性毛髪化粧料における成分(a)の配合量は、特に限定されるものではないが、0.02〜20%が好ましく、0.05〜10%がより好ましい。この範囲であれば、塗布時にシリコーン油や後述する、常温でペースト状又は液状を呈する炭化水素油、エステル油から選択される1種又は2種以上の非シリコーン油等の油剤特有のきしみ感や油感、べたつき感を感じることなく、軽い仕上がりでありながら、成分(b)の効果が十分に発揮され、しなやかさやなめらかさを付与する効果に優れた油性毛髪化粧料を得ることができる。
【0034】
本発明に用いられる常温でペースト状又は液状を呈する炭化水素油、エステル油から選択される1種又は2種以上の非シリコーン油とは、ポリシロキサン骨格を含有しない常温でペースト状又は液状を呈する炭化水素油やエステル油のことである。
【0035】
このような炭化水素油としては、通常化粧料に使用できる炭化水素油であれば特に限定されないが、例えば、流動パラフィン、軽質流動イソパラフィン、重質流動イソパラフィン、スクワラン、植物性スクワラン、スクワレン、ワセリン、プリスタン、ポリイソブチレン、ポリブテン、α−オレフィンオリゴマー等が挙げられ、これらを1種又は2種以上を適宜選択して用いることができる。
【0036】
また、このようなエステル油としては、通常化粧料に使用できるエステル油であれば特に限定されないが、例えば、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸2−ヘキシルデシル、アジピン酸ジ−2−ヘプチルウンデシル、モノイソステアリン酸−アルキルグリコール、イソステアリン酸イソセチル、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、ジ−2−エチルヘキサン酸エチレングリコール、2−エチルヘキサン酸セチル、トリ−2−エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、テトラ−2−エチルヘキサン酸ペンタエリスリトール、オクタン酸セチル、オクチルドデシルガムエステル、オレイン酸オレイル、オレイン酸オクチルドデシル、オレイン酸デシル、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、クエン酸トリエチル、コハク酸2−エチルヘキシル、酢酸アミル、酢酸エチル、酢酸ブチル、ステアリン酸イソセチル、ステアリン酸ブチル、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジ−2−エチルヘキシル、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸2−エチルヘキシル、パルミチン酸2−ヘキシルデシル、パルミチン酸2−ヘプチルウンデシル、12−ヒドロキシステアリル酸コレステリル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、ミリスチン酸2−ヘキシルデシル、ミリスチン酸ミリスチル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、ラウリン酸エチル、ラウリン酸ヘキシル、リンゴ酸ジイソステアリル、トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル、ジイソステアリン酸ポリグリセリル、トリイソステアリン酸ジグリセリル等が挙げられ、これらを1種又は2種以上を適宜選択して用いることができる。
【0037】
本発明に用いられる上記炭化水素油、エステル油はこれらから1種又は2種以上を適宜選択して用いることができる。
【0038】
本発明の油性毛髪化粧料における上記炭化水素油、エステル油の配合量は、特に限定されるものではないが、50〜99.98%が好ましく、60〜95%がより好ましく、65〜90%が特に好ましい。この範囲であれば、塗布時の伸び広がりが良好で、毛髪に馴染み、軽い仕上がりでありながら、しなやかさを付与する効果に優れた油性毛髪化粧料を得ることができる。
【0039】
本発明の油性毛髪化粧料とは、連続相が油性成分であり、実質的に水を含まないものである。本発明において、実質的に水を含まないとは、水の配合量が1%未満を意味するものとする。また、本発明の油性化粧料の性状は、液状、ペースト状、固形状の何れでも良い。
【0040】
本発明の油性毛髪化粧料には、上記新規なデキストリン脂肪酸エステル、常温でペースト状又は液状を呈する炭化水素油、エステル油から選択される1種又は2種以上の非シリコーン油の他に、本発明の効果を損なわない質的量的範囲で、通常の毛髪化粧料に用いられる成分を配合することができる。具体的には、例えば、固形状の炭化水素油やエステル油、シリコーン油等の油性成分、粉体、界面活性剤、多価アルコール、キレート化剤、殺菌剤、酸化防止剤、粘度調整剤、収斂剤、抗フケ剤、紫外線吸収剤、染料・色素等の着色剤、香料、ビタミン等の美容成分等を適宜配合することができる。
【0041】
本発明の油性毛髪化粧料に配合可能な上記必須成分以外の油性成分としては、通常化粧料に使用できる油性成分であれば特に限定されないが、固形状の炭化水素油やロウ類、シリコーン油、油脂、高級アルコール、脂肪酸類などの油性成分を使用できる。例えば、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックス、合成炭化水素ワックス、エチレンプロピレンコポリマー、マイクロクリスタリンワックス、セレシンワックス、オゾケライト等の固形状の炭化水素油、ミツロウ、カルナウバワックス、キャンデリラワックス、ゲイロウ等のロウ類、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、ポリエーテル変性ポリシロキサン、ポリオキシアルキレン・アルキルメチルポリシロキサン・メチルポリシロキサン共重合体、アルコキシ変性ポリシロキサン、アルキル変性ポリシロキサン、架橋型オルガノポリシロキサン、フッ素変性ポリシロキサン、アミノ変性ポリシロキサン、グリセリン変性ポリシロキサン、高級アルコキシ変性シリコーン、高級脂肪酸変性シリコーン等のシリコーン油、ラノリン、液状ラノリン、還元ラノリン、ラノリンアルコール、硬質ラノリン、酢酸ラノリン、ラノリン脂肪酸イソプロピル等のラノリン誘導体、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、パルミチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、オレイルアルコール、イソステアリルアルコール、ヘキシルドデカノール、オクチルドデカノール、セトステアリルアルコール、コレステロール、フィトステロール、ラノステロール、モノステアリルグリセリンエーテル(バチルアルコール)等の高級アルコール類、ミツロウ、カルナウバロウ等のロウ類、牛脂、硬化牛脂、硬化油、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、ドコサヘキサエン酸(DHA)、イソステアリン酸等の脂肪酸類等が挙げられ、これらを1種又は2種以上を適宜選択して用いることができる。
【0042】
本発明の油性毛髪化粧料に、ポリシロキサン骨格を有するシリコ−ン油を配合すると、きしみ感や人工的ななめらかさを違和感として感じ、上記必須成分の常温でペースト状又は液状を呈する炭化水素油、エステル油を配合することによる毛髪に馴染む感じとは異なる仕上がりになってしまうため、シリコーン油の配合量は5%未満が好ましい。
【0043】
本発明の油性毛髪化粧料に配合可能な粉体としては、通常化粧料に使用できる粉体であれば、球状、板状、針状等の形状、煙霧状、微粒子、顔料級等の粒子径、多孔質、無孔質等の粒子構造等により特に限定されず、無機粉体類、光輝性粉体類、有機粉体類、色素粉体類、金属粉体類、複合粉体類等を用いることができる。具体的には、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウム、硫酸バリウム等の白色無機顔料、酸化鉄、カーボンブラック、酸化クロム、水酸化クロム、紺青、群青等の有色無機顔料、タルク、白雲母、金雲母、紅雲母、黒雲母、合成雲母、絹雲母(セリサイト)、合成セリサイト、カオリン、炭化珪素、ベントナイト、スメクタイト、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化アンチモン、珪ソウ土、ケイ酸アルミニウム、メタケイ酸アルミニウムマグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸バリウム、ケイ酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ヒドロキシアパタイト、窒化ホウ素等の白色体質粉体、二酸化チタン被覆雲母、二酸化チタン被覆オキシ塩化ビスマス、酸化鉄雲母チタン、紺青処理雲母チタン、カルミン処理雲母チタン、オキシ塩化ビスマス、魚鱗箔等の光輝性粉体、ポリアミド系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリアクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、フッ素系樹脂、セルロース系樹脂、ポリスチレン系樹脂、スチレン−アクリル共重合体等のコポリマー樹脂、ポリプロピレン系樹脂、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂等の有機高分子樹脂粉体、ステアリン酸亜鉛、N−アシルリジン等の有機低分子性粉体、澱粉、シルク粉末、セルロース粉末等の天然有機粉体、赤色201号、赤色202号、赤色205号、赤色226号、赤色228号、橙色203号、橙色204号、青色404号、黄色401号等の有機顔料粉体、赤色3号、赤色104号、赤色106号、橙色205号、黄色4号、黄色5号、緑色3号、青色1号等のジルコニウム、バリウム又はアルミニウムレーキ等の有機顔料粉体あるいは更にアルミニウム粉、金粉、銀粉等の金属粉体、微粒子酸化チタン被覆雲母チタン、微粒子酸化亜鉛被覆雲母チタン、硫酸バリウム被覆雲母チタン、酸化チタン含有二酸化珪素、酸化亜鉛含有二酸化珪素等の複合粉体、ポリエチレンテレフタレート・アルミニウム・エポキシ積層末、ポリエチレンテレフタレート・ポリオレフィン積層フィルム末、ポリエチレンテレフタレート・ポリメチルメタクリレート積層フィルム末のラメ剤等が挙げられ、これらを1種又は2種以上を適宜選択して用いることができる。尚、これら粉体は、フッ素系化合物、シリコーン系化合物、金属石鹸、レシチン、水素添加レシチン、コラーゲン、炭化水素、高級脂肪酸、高級アルコール、エステル、ワックス、ロウ、界面活性剤等の1種又は2種以上を用いて表面処理を施してあっても良い。
【0044】
本発明の油性毛髪化粧料に配合可能な界面活性剤としては、通常化粧料に使用できる界面活性剤であれば特に限定されず、ノニオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤等を用いることができる。
より具体的には、ノニオン性界面活性剤としては、例えば、グリセリン脂肪酸エステル及びそのアルキレングリコール付加物、ポリグリセリン脂肪酸エステルのアルキレングリコール付加物、プロピレングリコール脂肪酸エステル及びそのアルキレングリコール付加物、ソルビタン脂肪酸エステル及びそのアルキレングリコール付加物、ソルビトールの脂肪酸エステル及びそのアルキレングリコール付加物、ポリアルキレングリコール脂肪酸エステル、蔗糖脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、グリセリンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ラノリンのアルキレングリコール付加物、ポリオキシアルキレン変性シリコーン、ポリオキシアルキレンアルキル共変性シリコーン等が挙げられ、これらを1種又は2種以上を適宜選択して用いることができる。
アニオン性界面活性剤としては、例えば、ステアリン酸、ラウリン酸のような脂肪酸及びそれらの無機及び有機塩、アルキルベンゼン硫酸塩、アルキルスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、α−スルホン化脂肪酸塩、アシルメチルタウリン塩、N−メチル−N−アルキルタウリン塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、アルキル燐酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル燐酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル燐酸塩、N−アシルアミノ酸塩、N−アシル−N−アルキルアミノ酸塩、ο−アルキル置換リンゴ酸塩、アルキルスルホコハク酸塩等が挙げられ、これらを1種又は2種以上を適宜選択して用いることができる。
カチオン性界面活性剤としては、例えば、アルキルアミン塩、ポリアミン及びアルカノルアミン脂肪酸誘導体、アルキル四級アンモニウム塩、環式四級アンモニウム塩等が挙げられ、これらを1種又は2種以上を適宜選択して用いることができる。
両性界面活性剤としては、アミノ酸タイプやベタインタイプのカルボン酸型、硫酸エステル型、スルホン酸型、リン酸エステル型のものがあり、人体に対して安全とされるものが使用できる。例えば、大豆リン脂質、N,N−ジメチル−N−アルキル−N−カルボキシメチルアンモニウムベタイン、N,N−ジアルキルアミノアルキレンカルボン酸、N,N,N−トリアルキル−N−スルフォアルキレンアンモニウムベタイン、N,N−ジアルキル−N,N−ビス(ポリオキシエチレン硫酸)アンモニウムベタイン、2−アルキル−1−ヒドロキシエチル−1−カルボキシメチルイミダゾリニウムベタイン等が挙げられ、これらを1種又は2種以上を適宜選択して用いることができる。
【0045】
本発明の油性毛髪化粧料に配合可能な紫外線吸収剤としては、通常化粧料に使用できる紫外線吸収剤であれば、特に限定されないが、例えばベンゾフェノン系、パラアミノ安息香酸系、パラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシル等のケイ皮酸系、サリチル酸系、4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン等を挙げることができる。
多価アルコールとしては、例えば、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジプロピレングリコール等のグリコール類、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン等のグリセロール類が挙げられる。
酸化防止剤としては、例えばα−トコフェロール、アスコルビン酸等、美容成分としては、例えばビタミン類、消炎剤、タンパク質、ムコ多糖、コラーゲン、エラスチン、ケラチン、ヒアルロン酸、アロエベラ、ウイッチヘーゼル、ハマメリス、キュウリ、レモン、ラベンダー、ローズ等の植物抽出液、生薬等、防腐剤としては、例えばp−オキシ安息香酸エステル、フェノキシエタノール等が挙げられる。
【実施例】
【0046】
次に実施例をもって本発明をより詳細に説明するが、発明はこれらにより、何ら限定されるものではない。
【0047】
《新規なデキストリン脂肪酸エステルの参考製造例》
以下に本発明に用いる新規なデキストリン脂肪酸エステルの参考製造例を示す。また、下記方法で置換度、構成脂肪酸のmol%、粘度、タック性を測定した。
【0048】
(置換度、構成脂肪酸のmol%の測定方法)
参考製造例のデキストリン脂肪酸エステルのIRスペクトルを測定し、アルカリ分解後の脂肪酸量とガスクロマトグラフィーから、置換度と、構成脂肪酸のmol%を求めた。
【0049】
(粘度の測定方法)
各試料(参考製造例のデキストリン脂肪酸エステル)を5質量%含有する流動パラフィンを100℃で溶解し、室温(25℃)まで冷却する。25℃の恒温槽で24時間保温し、以下の測定機器を用いて粘度を測定した。
尚、流動パラフィンはASTM D445測定方法による40℃の動粘度が8mm/sのものを使用した。
[測定機器]Yamco DIGITAL VISCOMATE MODEL VM−100A(山一電機社製)
【0050】
(タック性の測定方法)
各試料(参考製造例のデキストリン脂肪酸エステル)をIPクリーンLX(軽質流動イソパラフィン)に40%溶解した溶液を、ガラス板に400μm厚のアプリケーターで塗布し、その皮膜を室温24時間乾燥後、70℃で12時間保存後、室温25℃において、乾燥させた皮膜に、以下に示す機器および条件で荷重をかけたときの接触点にかかる荷重変化(最大応力値)をタック性として評価した。
[測定機器]テクスチャーアナライザーTA.XTplus(Stable Micro Systems社製)
[プローブ]1/2 Cyl.Delrin(ポリアセタール樹脂(POM))P/0.5)、直径12.5mm円柱状
[測定条件]Test Speed:0.5mm/sec, Applied Force:100g, Contact Time:10sec
【0051】
[参考製造例1:デキストリンイソステアリン酸(エメリー型)エステル]
平均グルコース重合度30のデキストリン21.41g(0.132mol)をジメチルホルムアミド71g、3−メチルピリジン62g(0.666mol)とからなる混合溶媒に70℃で分散させ、イソステアリン酸クロライド(エメリー型)120g(0.396mol)を30分かけて滴下した。滴下終了後、反応温度を80℃として5時間反応させた。反応終了後、反応液をメタノールに分散させ、上層を除去した。半固形分をメタノールで数回洗浄後、乾燥して淡黄色の樹脂状物質107gを得た。(仕込み時分岐飽和脂肪酸60mol%)
尚、エメリー型の出発原料はコグニス社製のEMARSOL873を用いた。本原料の脂肪酸組成は分岐飽和脂肪酸が60mol%、その他の脂肪酸が40mol%(パルミチン酸10mol%を含む)のものを用いた。(以下同様)
置換度は2.2、分岐飽和脂肪酸60mol%、その他の脂肪酸40mol%(内パルミチン酸10mol%)、粘度は0mPa・s、タック性は161gであった。
【0052】
[参考製造例2〜4:デキストリンイソステアリン酸(エメリー型)エステル]
参考製造例1記載の原料・方法に準じ、
参考製造例2は、平均グルコース重合度30のデキストリン0.132molに対し、イソステアリン酸クロライド(エメリー型)を0.172mol用い、デキストリンイソステアリン酸(エメリー型)エステルを得た。(仕込み時分岐飽和脂肪酸60mol%)
置換度1.0、分岐飽和脂肪酸60mol%、その他の脂肪酸40mol%(内パルミチン酸10mol%)、粘度は0mPa・s、タック性は35gであった。
参考製造例3は、平均グルコース重合度30のデキストリン0.132molに対し、イソステアリン酸クロライド(エメリー型)を0.224mol用い、デキストリンイソステアリン酸(エメリー型)エステルを得た。(仕込み時分岐飽和脂肪酸60mol%)
置換度1.4、分岐飽和脂肪酸60mol%、その他の脂肪酸40mol%(内パルミチン酸10mol%)、粘度は0mPa・s、タック性は45gであった。
参考製造例4は平均グルコース重合度30のデキストリン0.132molに対し、イソステアリン酸クロライド(エメリー型)を0.502mol用い、デキストリンイソステアリン酸(エメリー型)エステルを得た。(仕込み時分岐飽和脂肪酸60mol%)
置換度2.6、分岐飽和脂肪酸60mol%、その他の脂肪酸40mol%(内パルミチン酸10mol%)、粘度は0mPa・s、タック性は750gであった。
【0053】
[参考製造例5:デキストリンイソステアリン酸エステル]
イソステアリン酸クロライド(エメリー型)の代わりにイソステアリン酸クロライド(ガーベット反応型)を用いた以外は参考製造例1と同様に作成し、淡黄色の樹脂状物質80gを得た。(仕込み時分岐飽和脂肪酸100mol%)
尚、ガーベット反応型の出発原料は日産化学工業社製のファインオキソコール イソステアリン酸−Nを用いた。
置換度は1.8、イソステアリン酸100mol%、粘度は0mPa・s、タック性は173gであった。
【0054】
[参考製造例6:デキストリンイソステアリン酸エステル]
イソステアリン酸クロライド(エメリー型)の代わりにイソステアリン酸クロライド(アルドール縮合型)を用いた以外は参考製造例1と同様に作成し、淡黄色の樹脂状物質60gを得た。(仕込み時分岐飽和脂肪酸100mol%)
尚、アルドール縮合型の出発原料は日産化学工業社製のファインオキソコール イソステアリン酸を用いた。
置換度は1.2、イソステアリン酸100mol%、粘度は0mPa・s、タック性は61gであった。
【0055】
[参考製造例7:デキストリンイソアラキン酸/パルミチン酸エステル]
平均グルコース重合度150のデキストリン51.28gをジメチルホルムアミド150g、ピリジン60gとからなる混合溶媒に70℃で分散させ、イソアラキン酸クロライド132gとパルミチン酸クロライド12gの混合物を30分間かけて滴下した。滴下終了後、反応温度を80℃として5時間反応させた。反応終了後、反応液をメタノールに分散させ、上層を除去した。半固形分をメタノールで数回洗浄後、乾燥して淡黄色の樹脂状物質145gを得た。(仕込み時分岐飽和脂肪酸90mol%)
置換度は1.1、イソアラキン酸85mol%、パルミチン酸15mol%、粘度は0mPa・s、タック性は45gであった。
【0056】
[参考製造例8:デキストリンイソ酪酸/カプリン酸エステル]
平均グルコース重合度5のデキストリン34.19gを3−メチルピリジン215gに70℃で分散させ、イソ酪酸クロライド50g及びカプリン酸クロライド60gの混合物を30分間かけて滴下した。滴下終了後、反応温度を80℃として5時間反応させた。反応終了後、反応液をメタノールに分散させ、上層を除去した。半固形分をエタノールで数回洗浄後、乾燥して淡黄色の樹脂状物質98gを得た。(仕込み時分岐飽和脂肪酸60mol%)
置換度は2.9、イソ酪酸63mol%、カプリン酸37mol%、粘度は0mPa・s、タック性は255gであった。
【0057】
[参考製造例9:デキストリンイソパルミチン酸エステル]
平均グルコース重合度100のデキストリン23.62gをジメチルホルムアミド71g、3−メチルピリジン62gとからなる混合溶媒に70℃で分散させ、イソパルミチン酸クロライド100gを30分間滴下した。滴下終了後、反応温度を80℃として5時間反応させた。反応終了後、反応液をメタノールに分散させ、上層を除去した。半固形分をメタノールで数回洗浄後、乾燥して淡黄色の樹脂状物質90gを得た。(仕込み時分岐飽和脂肪酸100mol%)
置換度は2.0、イソパルミチン酸100mol%、粘度は0mPa・s、タック性は204gであった。
【0058】
[参考製造例10:デキストリンイソノナン酸/ステアリン酸エステル]
平均グルコース重合度20のデキストリン36.34gをジメチルホルムアミド120g、3−メチルピリジン62gとからなる混合溶媒に70℃で分散させ、イソノナン酸クロライド41g及びステアリン酸クロライド58gの混合物を30分間かけて滴下した。滴下終了後、反応温度を80℃として5時間反応させた。反応終了後、反応液をメタノールに分散させ、上層を除去した。半固形分をメタノールで数回洗浄後、乾燥して淡黄色の樹脂状物質95gを得た。(仕込み時分岐飽和脂肪酸55mol%)
置換度は1.6、イソノナン酸51mol%、ステアリン酸49mol%、粘度は0mPa・s、タック性は64gであった。
【0059】
[参考製造例11:デキストリン2−エチルヘキサン酸/ベヘン酸エステル]
平均グルコース重合度20のデキストリン54.56gをジメチルホルムアミド150g、3−メチルピリジン130gとからなる混合溶媒に70℃で分散させ、2−エチルヘキサン酸クロライド147g、次いでベヘン酸クロライド36gを計30分間かけて滴下した。滴下終了後、反応温度を80℃として5時間反応させた。反応終了後、反応液をメタノールに分散させ、上層を除去した。半固形分をメタノールで数回洗浄後、乾燥して淡黄色の樹脂状物質95gを得た。(仕込み時分岐飽和脂肪酸90mol%)
置換度は2.3、2−エチルヘキサン酸95mol%、ベヘン酸5mol%、粘度は0mPa・s、タック性は138gであった。
【0060】
[参考製造例12:デキストリンイソパルミチン酸/酢酸エステル]
平均グルコース重合度20のデキストリン22.56gをジメチルホルムアミド71g、3−メチルピリジン70gとからなる混合溶媒に70℃で分散させ、イソパルミチン酸クロライド110g及び無水酢酸10gの混合物を30分間かけて滴下した。滴下終了後、反応温度を80℃として5時間反応させた。反応終了後、反応液をメタノールに分散させ、上層を除去した。半固形分をメタノールで数回洗浄後、乾燥して淡黄色の樹脂状物質96gを得た。(仕込み時分岐飽和脂肪酸80mol%)
置換度は2.8、イソパルミチン酸79mol%、酢酸21mol%、粘度は0mPa・s、タック性は430gであった。
【0061】
[参考製造例13:デキストリンイソステアリン酸(エメリー型)/オレイン酸エステル]
平均グルコース重合度40のデキストリン19.99gをジメチルホルムアミド71g、3−メチルピリジン62gとからなる混合溶媒に70℃で分散させ、イソステアリン酸クロライド(エメリー型)108gとオレイン酸クロライド12gの混合物を30分間かけて滴下した。滴下終了後、反応温度を80℃として5時間反応させた。反応終了後、反応液をメタノールに分散させ、上層を除去した。半固形分をメタノールで数回洗浄後、乾燥して淡黄色の樹脂状物質88gを得た。(仕込み時分岐飽和脂肪酸54mol%)
置換度は2.2、分岐飽和脂肪酸54mol%、その他の脂肪酸46mol%(内オレイン酸10mol%)、粘度は0mPa・s、タック性は350gであった。
【0062】
実施例1(本発明品1〜4及び比較品1〜5):油性毛髪化粧料(ヘアオイル)
表1に示す処方及び下記製造方法によりヘアオイルを調製し、「a.外観性状」、「b.きしみ感のなさ」、「c.油感のなさ」、「d.仕上がりの軽さ」及び「e.仕上がりのしなやかさ」について評価した。
「a.外観性状」は、50℃一週間の経時安定性において、均一溶解した性状を◎、濁りがあるものを△、分離や沈殿を生じるものを×と判定し、その他b〜eについては、以下に示す評価方法及び判定基準により評価判定した。a〜eの評価結果を併せて表1に示した。
【0063】
【表1】

【0064】
(製造方法)
A:成分1〜13を80℃に加熱して均一混合して、ヘアオイルを得た。
【0065】
〔評価方法(官能評価)〕
10名の官能検査専門パネルにより、市販のシャンプーで洗髪し、ドライヤーで半乾きにした後、本発明品及び比較品のヘアオイルを適量取り、髪に馴染ませ、下記b〜eの評価項目について、(1)の絶対評価基準を用いて7段階に官能評価し、実施品及び比較品の評点の平均値を、更に(2)の4段階判定基準を用いて判定した。
(評価項目)
b.きしみ感のなさ
c.油感のなさ
d.仕上がりの軽さ
e.仕上がりのしなやかさ
【0066】
(1)絶対評価基準
評点:評 価
6:非常に良い
5:良い
4:やや良い
3:普通
2:やや悪い
1:悪い
0:非常に悪い
【0067】
(2)4段階判定基準
評点の平均値 :判 定
5点を超える :◎
3.5点を超えて5点以下 :○
2.5点を超えて3.5点以下 :△
2点以下 :×
【0068】
表1の結果から明らかなように、本発明品1〜4のヘアオイルは、「外観性状」、「きしみ感のなさ」、「油感のなさ」、「仕上がりの軽さ」及び「仕上がりのしなやかさ」の全てにおいて優れた油性毛髪化粧料であった。
これに対して、新規なデキストリン脂肪酸エステルを配合しない比較品1は、「きしみ感のなさ」、「油感のなさ」に劣り、「仕上がりの軽さ」及び「仕上がりのしなやかさ」も良好ではなかった。また、新規なデキストリン脂肪酸エステルを配合せず、他の代表的な樹脂を配合した比較品2〜4のうち、比較品2は、油剤への相溶性が悪く、樹脂の配合が困難で、他の項目について評価できなかった。比較品3、4は共に油剤への溶解に時間がかかり、官能面でも劣るものであった。更に、新規なデキストリン脂肪酸エステルの代わりに、一般にゲル化剤として用いられているデキストリン脂肪酸エステルで、分岐脂肪酸の含有量の少ないものを配合した比較品5は、油剤への相溶性が悪く、濁りがあり、(高温安定性に劣るもので、)「油感のなさ」、「仕上がりの軽さ」、「仕上がりのしなやかさ」にも劣るものであった。
【0069】
実施例2:油性毛髪化粧料(ヘアワックス)
(成分) (%)
1:ワセリン 30
2:ジメチルジステアリルアンモニウムヘクトライト 10
3:プロピレングリコール 2
4:メチルパラベン 0.2
5:流動パラフィン 残量
6:フィッシャートロプシュワックス(注2) 5
7:マイクロクリスタリンワックス 7
8:モノステアリン酸ポリエチレングリコール 5
9:製造例5のデキストリン脂肪酸エステル 5
10:ジブチルヒドロキシトルエン 0.1
11:タルク 20
12:香料 0.1
13:パラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシル 0.5
(注2)CIREBELLE 108(CIREBELLE社製)
(製造方法)
A:成分1〜4を加温して均一混合する。
B:Aに成分5〜10を均一に混合する。
C:Bに成分11を加え、均一に分散する。
D:Cに成分12〜13を加え、均一に混合した後、容器に充填してヘアワックスを得た。
【0070】
実施例2のヘアワックスは、実施例1に倣って評価したところ、外観性状、きしみ感のなさ、油感のなさ、仕上がりの軽さ、及び仕上がりのしなやかさの全てにおいて優れた油性毛髪化粧料であった。
【0071】
実施例3:スティック状毛髪化粧料
(成分) (%)
1.パラフィンワックス 5
2.(エチレン/プロピレン)コポリマー 4
3.マイクロクリスタリンワックス 6
4.イソノナン酸イソトリデシル 5
5.トリイソステアリン酸ジグリセリル 残量
6.メチルフェニルポリシロキサン 2
7.流動パラフィン 10
8.ワセリン 35
9.製造例4のデキストリン脂肪酸エステル 0.1
10.製造例6のデキストリン脂肪酸エステル 0.1
11.メチルシロキサン網状重合体 1
12.シリル化処理無水ケイ酸 0.1
13.パラメトキシ桂皮酸2−エチルヘキシル 0.2
14.ジブチルヒドロキシトルエン 0.1
15.フェノキシエタノール 0.2
16.香料 0.2
(製造方法)
A:成分1〜9を加温して均一混合する。
B:Aに成分10〜14を加え均一に混合する。
C:Bに成分15〜16を添加混合した後、容器に充填してスティック状毛髪化粧料を得た。
【0072】
実施例3のスティック状毛髪化粧料は、実施例1に倣って評価したところ、外観性状、きしみ感のなさ、油感のなさ、仕上がりの軽さ、及び仕上がりのしなやかさの全てにおいて優れた油性毛髪化粧料であった。
【0073】
実施例4:ジェル状毛髪化粧料
(成分) (%)
1.ポリブテン 20
2.イソノナン酸イソノニル 20
3.流動パラフィン 6
4.パルミチン酸デキストリン 7
5.トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル 残量
シリル化処理無水ケイ酸 1
リンゴ酸ジイソステアリル 10
8.製造例1のデキストリン脂肪酸エステル) 0.2
メチルポリシロキサン 0.5
10.ジブチルヒドロキシトルエン 0.2
11.フェノキシエタノール 0.2
12.ジペンタエリトリット脂肪酸エステル 1
13.メチコン・ジメチコン処理ケイ酸・チタン処理マイカ 3
(製造方法)
A:成分4〜5を加温して均一混合する。
B:成分6〜8を均一に湿潤する。
C:AにBを加え、均一に混合し、ローラーにて処理する。
D:成分1〜3にCと成分9〜11を加え、均一に混合する。
E:Dに成分12〜13を加え分散し、ジェル状毛髪化粧料を得た。
【0074】
実施例4のジェル状毛髪化粧料は、実施例1に倣って評価したところ、外観性状、きしみ感のなさ、油感のなさ、仕上がりの軽さ、及び仕上がりのしなやかさの全てにおいて優れた油性毛髪化粧料であった。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明は、軽い仕上がりでありながら、毛髪にしなやかさやなめらかさを付与する効果に優れ、油感、べたつき感やきしみ感がなく、油性毛髪化粧料として有用なものである。
以 上

【特許請求の範囲】
【請求項1】
デキストリンと脂肪酸とのエステル化物であって、デキストリンのグルコースの平均重合度が3〜150であり、脂肪酸が炭素数4〜26の分岐飽和脂肪酸の1種又は2種以上を全脂肪酸に対して50mol%より多く100mol%以下、及び、炭素数2〜22の直鎖飽和脂肪酸、炭素数6〜30の直鎖又は分岐の不飽和脂肪酸及び炭素数6〜30の環状の飽和又は不飽和脂肪酸よりなる群から選ばれる1種又は2種以上を全脂肪酸に対して0mol%以上50mol%未満含有し、グルコース単位当たりの脂肪酸の置換度が1.0〜3.0であるデキストリン脂肪酸エステルと、常温でペースト状又は液状を呈する炭化水素油、エステル油から選択される1種又は2種以上の非シリコーン油とを配合することを特徴とする油性毛髪化粧料。
【請求項2】
デキストリンの水酸基に、全脂肪酸誘導体に対して、炭素数4〜26の分岐飽和脂肪酸誘導体の1種又は2種以上を50mol%より多く100mol%以下、及び、炭素数2〜22の直鎖飽和脂肪酸誘導体、炭素数6〜30の直鎖又は分岐の不飽和脂肪酸誘導体及び炭素数6〜30の環状の飽和又は不飽和脂肪酸誘導体よりなる群から選ばれる1種又は2種以上を0mol%以上50mol%未満含有する脂肪酸誘導体を反応させて得たデキストリンと脂肪酸とのエステル化物であって、デキストリンのグルコースの平均重合度が3〜150であり、グルコース単位当りの脂肪酸の置換度が1.0〜3.0であるデキストリン脂肪酸エステルと、常温でペースト状又は液状を呈する炭化水素油、エステル油から選択される1種又は2種以上の非シリコーン油とを配合することを特徴とする油性毛髪化粧料。
【請求項3】
デキストリンの水酸基に、炭素数4〜26の分岐飽和脂肪酸誘導体の1種又は2種以上を反応させ、次いで、その生成物と炭素数2〜22の直鎖飽和脂肪酸誘導体、炭素数6〜30の直鎖又は分岐の不飽和脂肪酸誘導体及び炭素数6〜30の環状の飽和又は不飽和脂肪酸誘導体よりなる群から選ばれる1種又は2種以上とを反応させて得たデキストリンと脂肪酸とのエステル化物であって、全脂肪酸誘導体に対して、該炭素数4〜26の分岐飽和脂肪酸誘導体の1種又は2種以上を50mol%より多く100mol%以下、及び、該炭素数2〜22の直鎖飽和脂肪酸誘導体、該炭素数6〜30の直鎖又は分岐の不飽和脂肪酸誘導体及び該炭素数6〜30の環状の飽和又は不飽和脂肪酸誘導体よりなる群から選ばれる1種又は2種以上を0mol%以上50mol%未満反応させたものであり、デキストリンのグルコースの平均重合度が3〜150であり、グルコース単位当りの脂肪酸の置換度が1.0〜3.0であるデキストリン脂肪酸エステルと、常温でペースト状又は液状を呈する炭化水素油、エステル油から選択される1種又は2種以上の非シリコーン油とを配合することを特徴とする油性毛髪化粧料。
【請求項4】
前記デキストリン脂肪酸エステルを構成する分岐飽和脂肪酸が、炭素数12〜22の分岐飽和脂肪酸から選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の油性毛髪化粧料。
【請求項5】
前記デキストリン脂肪酸エステルが、ASTM D445測定方法による40℃における動粘度が8mm/sである流動パラフィンをゲル化しないことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の油性毛髪化粧料。
【請求項6】
前記デキストリン脂肪酸エステルを40質量%含有する軽質流動イソパラフィン溶液をガラス板に400μm厚のアプリケーターで成膜し、乾燥させた皮膜に、テクスチャーアナライザーを用いて100gの荷重をかけ、10秒保持後に0.5mm/秒で離したときの接触点にかかる荷重変化(最大応力値)が30〜1000gであるデキストリン脂肪酸エステルであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の油性毛髪化粧料。
【請求項7】
油性毛髪化粧料中におけるシリコーン油の配合量が5%未満であることを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載の油性毛髪化粧料。

【公開番号】特開2011−213630(P2011−213630A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−81764(P2010−81764)
【出願日】平成22年3月31日(2010.3.31)
【出願人】(000145862)株式会社コーセー (734)
【Fターム(参考)】