説明

油性洗浄剤

【課題】
本発明の目的は、油性洗浄剤としての適度な粘度を有し、経時的に固化や分離を生じることなく、使用時に肌が濡れていても、洗浄力が低下することなく、メイクアップ化粧料とのなじみが非常に良好で、使用後のしっとり感もある油性洗浄剤を得ることである。
【解決手段】
以下の成分を含む油性洗浄剤
A)デキストリン脂肪酸エステル
B)多価アルコールと、炭素数8〜30の脂肪酸及び/又はヒドロキシ脂肪酸と、炭素数12〜30の二塩基カルボン酸をエステル化して得られるエステル化合物
C)炭素数8〜10の脂肪酸とポリグリセリンのエステル
D)炭素数12〜22の不飽和脂肪酸とポリグリセリンのエステル
E)多価アルコール
さらに分岐脂肪酸及び/又は分岐アルコールを構成成分とするエステル化合物をを用いると効果が増大する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油性洗浄剤に関する。
【背景技術】
【0002】
洗浄剤には石鹸など水性洗浄剤もあるが、メイクアップ化粧料を効果的に除去するために油性洗浄剤は広く利用されている。
しかしながら、以下の問題点があった。
1.浴室内等において濡れた状態で使用する場合、洗浄力が低下する。
2.適正な粘度を保持するために、デキストリン脂肪酸エステルや、多価アルコールと炭素数8〜30の脂肪酸及び/又はヒドロキシ脂肪酸と炭素数12〜30の二塩基カルボン酸をエステル化して得られるエステル化合物を用いることは知られていた。(特許文献1〜4)が経時的に固化したり分離したり経時安定性に問題があった。
3.メイクアップ化粧品が化粧持ちをよくするために種々のシリコーン或いはその誘導体等を配合するようになり、これらとの相溶性との関係で油性洗浄剤にも環状シリコン等が配合させる場合があるが、使用感がよくなく、使用後にしっとり感のある油性洗浄剤が求められていた。(特許文献5)
【0003】
【特許文献1】特許第3729836号公報
【特許文献2】特開平9−124435号公報
【特許文献3】特開2003−113024号公報
【特許文献4】特許第4358286号公報
【特許文献5】特開2003−201215号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は製剤を工夫し、油性洗浄剤としての適度な粘度を有し、経時的に固化や分離を生じることなく、使用時に肌が濡れていても、洗浄力が低下することなく、メイクアップ化粧料とのなじみが非常に良好で、使用後のしっとり感もある油性洗浄剤を得ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は種々検討した結果、以下の組成にすることによって問題を解決することがわかった。
以下の成分を含む油性洗浄剤
A)デキストリン脂肪酸エステル
B)多価アルコールと、炭素数8〜30の脂肪酸及び/又はヒドロキシ脂肪酸と、炭素数12〜30の二塩基カルボン酸をエステル化して得られるエステル化合物
C)炭素数8〜10の脂肪酸とポリグリセリンのエステル
D)炭素数12〜22の不飽和脂肪酸とポリグリセリンのエステル
E)多価アルコール
【0006】
まず本発明で用いられるデキストリン脂肪酸エステルとしては、デキストリンと炭素数12〜22の高級脂肪酸とのエステルが用いられ、具体的にはパルミチン酸デキストリン、(パルミチン酸/2−エチルヘキサン酸)デキストリン、ラウリン酸デキストリン、ミリスチン酸デキストリン、ステアリン酸デキストリン、ベヘン酸デキストリン、ヤシ油脂肪酸デキストリン等が挙げられる。
これらのうち、パルミチン酸デキストリン、(パルミチン酸/2−エチルヘキサン酸)デキストリンが安定性、使用性面から最も好ましい。
【0007】
B)の物質は、(イ)多価アルコールと、(ロ)炭素数8から30の脂肪酸又はヒドロキシ脂肪酸と、(ハ)炭素数12から30の二塩基カルボン酸とをエステル化して得られるエステル化合物である。エステル化に際してのこれらの成分間の混合割合については特に制限はないが、成分(イ):成分(ロ):成分(ハ)=1.0モル:1.0〜2.5モル:0.25〜1.0モルであるのが好ましい。エステル化方法については特に制限はなく公知のエステル化方法を用いることができる。得られるエステル化合物は成分(イ)残基、成分(ロ)残基及び成分(ハ)残基の含有量が異なったエステル化合物の混合物として得られ、通常、混合物のまま用いることができる。
【0008】
(イ)の多価アルコールとしては、水酸基を3個以上、特に3〜6個有するものが好ましく、例えば、グリセリン、グリセリン縮合物、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリット、トリメチロールエタン、ソルビット、キシリトース、ショ糖、グルコース、フルクトース、マンニトールなどが挙げられる。
【0009】
(ロ)の炭素数8から30の脂肪酸又はヒドロキシ脂肪酸は、炭化水素基又はヒドロキシ炭化水素基が、直鎖であっても分岐鎖であってもよく、また、飽和であっても不飽和であってもよく、例えばカプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、べヘン酸、オレイン酸、リシノール酸、パルミトオレイン酸、イソオクチル酸(2−エチルヘキサン酸など)、イソノナン酸(3,5,5−トリメチルヘキサン酸など)、イソパルミチン酸、イソステアリン酸(2−ヘプチルウンデカン酸、エメリー社製の多メチル分枝タイプなど)、セロチン酸、モンタン酸、メリシン酸などが挙げられる。
【0010】
(ハ)の炭素数12から30の二塩基カルボン酸は直鎖であっても分岐鎖であってもよく、また、飽和であっても不飽和であってもよいが飽和であるのが好ましく、例えば、エイコサン二酸、ドデカン二酸、1、10−デカメチレン二酸、1、12−ドデカメチレン二酸、1、15−ペンタデカメチレン二酸、1、28−オクタコサメチレン二酸、1、7−エチルオクタデカン二酸などが挙げられる。
【0011】
本発明においては、エステル化合物としてグリセリンとベヘン酸及びエイコサン二酸をエステル化して得られるエステル化合物であるベヘン酸エイコサン二酸グリセリルを用いることが、使用性及び経時安定性の点で特に好ましい。
【0012】
A)デキストリン脂肪酸エステルと、B)多価アルコールと、炭素数8〜30の脂肪酸及び/又はヒドロキシ脂肪酸と、炭素数12〜30の二塩基カルボン酸をエステル化して得られるエステル化合物は、A):B)=1:10〜5:1、好ましくは1:5〜3:1の比率がよく、両者の合計配合量は0.1〜15%、好ましくは1〜7%である。(なお、本特許の%はすべて重量%である)
【0013】
さらに炭素数8〜10の脂肪酸とポリグリセリンのエステルを使用する。
脂肪酸のエステル化度は1〜5が好ましく、ポリグリセリンの重合度は2〜10が好ましい。そのHLBは、5〜15が好ましく、6〜13がより好ましい。
配合量は、1〜30%、好ましくは2〜20%である。
【0014】
炭素数12〜22の不飽和脂肪酸とポリグリセリンのエステルは、脂肪酸のエステル化度は1〜5が好ましく、ポリグリセリンの重合度は2〜30が好ましい。そのHLBは、8〜18が好ましい。
配合量は、1〜40%、好ましくは2〜30%である。
【0015】
これに多価アルコールを配合する。
多価アルコールは特に限定はなく、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、それ以上のポリエチレングリコール類、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、それ以上のポリプロピレングリコール類、1,3−ブチレングリコール、1,4−ブチレングリコール等のブチレングリコール類、グリセリン、ジグリセリン、それ以上のポリグリセリン類、1,2ペンタンジオール、1,2ヘキサンジオール、1,2オクタンジオール、1、3プロパンジオール、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、マルチトール等の糖アルコール類、グリセリン類のエチレンオキシド(以下、EOと略記)、プロピレンオキシド(以下、POと略記)付加物、糖アルコール類のEO、PO付加物、ガラクトース、グルコース、フルクトース等の単糖類とそのEO、PO付加物、マルトース、ラクトース等の多糖類とそのEO、PO付加物などが例示できる。
配合量は0.5〜20%、好ましくは1〜12%がよい。
【0016】
これ以外にも、分岐脂肪酸及び/又は分岐アルコールを構成成分とするエステル化合物を配合すると、メイクアップ化粧料の除去がスムーズになるので配合するとよい。
分岐脂肪酸及び/又は分岐アルコールを構成成分とするエステル化合物としては、例えば、トリ−2−エチルヘキサン酸グリセリル、トリイソパルミチン酸グリセリル等、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソトリデシル、イソステアリン酸イソセチル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソステアリル、パルミチン酸オクチル、2−エチルヘキサン酸セチル、オレイン酸イソデシル、オレイン酸オクチルドデシル、乳酸オクチルドデシル、ステアリン酸オクチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、ジオクタン酸ネオペンチルグリコール、ジ−2−エチルヘキサン酸エチレングリコール、モノイソステアリン酸N−アルキルグリコール、ジ−2−ヘプチルウンデカン酸グリセリン、トリ−2−エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ−2−エチルヘキサン酸ペンタエリスリトール、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、セチル2−エチルヘキサノエート、2−エチルヘキシルパルミテート、トリイソステアリン酸グリセリン、トリ−2−ヘプチルウンデカン酸グリセライド、(アジピン酸・2−エチルヘキサン酸・ステアリン酸)グリセリンオリゴエステル、(2−ヘキシルデカン酸・セバシン酸)ジグリセリルオリゴエステル、N−ラウロイル−L−グルタミン酸−2−オクチルドデシルエステル、アジピン酸ジ−2−ヘプチルウンデシル、アジピン酸ジイソステアリル、リンゴ酸ジイソステアリル、セバシン酸ジ−2−エチルヘキシル、ミリスチン酸2−ヘキシルデシル、パルミチン酸2−ヘキシルデシル、アジピン酸2−ヘキシルデシル、セバシン酸ジイソプロピル、コハク酸2−エチルヘキシル等が挙げられ、上記の中でもモノエステル化合物が好ましく用いられる。
上記モノエステル化合物としては、例えばイソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソトリデシル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソステアリル、パルミチン酸オクチル、2−エチルヘキサン酸セチル、オレイン酸デシル、オレイン酸オクチルドデシル、乳酸オクチルドデシル、ステアリン酸オクチル、ミリスチン酸オクチルドデシル等が挙げられる。上記の中でも、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソトリデシル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸オクチル、2−エチルヘキサン酸セチルなどの20mPa・S以下(20℃)の低粘度のものが好ましく用いられる。
上記エステル化合物は、単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
【0017】
これ以外にも必要な原料を加える。
【実施例】
【0018】
以下の表1と表2に実施例と比較例を記すがこれに限定されるものではない。数値は重量部を表す。また、その作成方法はそれぞれ計量し、必要により加温と撹拌を加え、溶解し作成する。
【0019】
【表1】

【0020】
【表2】

【0021】
なお、表1及び表2の注の原料は以下の商品を用いた。
注1)エステル化度が平均2.0、グリセリンの重合度が平均10.0である脂肪酸ポリグリセリン
注2)エステル化度が平均1.5、グリセリンの重合度が平均2.0である脂肪酸ポリグリセリン
注3)エステル化度が平均2.0、グリセリンの重合度が平均10.0である脂肪酸ポリグリセリン
注4)千葉製粉社製、商品名レオパールTT2
注5)日清オイリオグループ社製、商品名ノムコートHK−G
注6)エステル化度が平均3.0、グリセリンの重合度が平均15.0である脂肪酸ポリグリセリン
注7)千葉製粉社製、商品名レオパールKL2
【0022】
表1及び表2の下部に記載した経時安定性は、40℃6ヶ月後に目視で判断した。
◎は作成時と外観上変化のないことを示し、×は沈殿、濁りなどの発生を表す。△は少量の外観上変化を示す。
【0023】
女性30名に実施例及び比較例を使用してもらい使用性を評価してもらった。評価は女性10名に実施例1を基準として比較例1〜4、実施例2唐を以下の基準で評価しもらった。その平均値を表3に示す。
3:かなり良好
2:良好
1:やや良好
0:普通
−1:やや不良
−2:不良
−3:かなり不良
【0024】
【表3】

【0025】
油性洗浄剤としての適度な粘度を有し、経時的に固化や分離を生じることなく、使用時に肌が濡れていても、洗浄力が低下することなく、メイクアップ化粧料とのなじみが非常に良好で、使用後のしっとり感もある油性洗浄剤が得られた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の成分を含む油性洗浄剤
A)デキストリン脂肪酸エステル
B)多価アルコールと、炭素数8〜30の脂肪酸及び/又はヒドロキシ脂肪酸と、炭素数12〜30の二塩基カルボン酸をエステル化して得られるエステル化合物
C)炭素数8〜10の脂肪酸とポリグリセリンのエステル
D)炭素数12〜22の不飽和脂肪酸とポリグリセリンのエステル
E)多価アルコール
【請求項2】
さらに分岐脂肪酸及び/又は分岐アルコールを構成成分とするエステル化合物を配合した請求項1の油性洗浄剤
【請求項3】
水を20%以下配合した請求項1乃至請求項2の油性洗浄剤
【請求項4】
環状シリコンを配合しない請求項1乃至請求項3の油性洗浄剤

【公開番号】特開2012−126664(P2012−126664A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−278077(P2010−278077)
【出願日】平成22年12月14日(2010.12.14)
【出願人】(000166959)御木本製薬株式会社 (66)
【Fターム(参考)】