説明

油性液状口唇化粧料

【課題】本発明は、ツヤ感と経時での化粧持続性(色持ちとツヤ持ち)に優れ、塗布時の伸びが軽く、仕上がりのべたつき感がない油性液状口唇化粧料を提供すること。
【解決手段】次の成分(A)〜(D)、(A)ロジン酸の多価アルコールエステル、(B)有機シリコーン樹脂、(C)30℃における動粘度が10,000mm/s以上の液状油、(D)分子量250〜700のエステル油、分子量250〜700の炭化水素油、分子量600〜30,000の不揮発性シリコーン油から選ばれる1種又は2種以上の成分(B)を溶解する液状油を配合することを特徴とする油性液状口唇化粧料。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は油性液状口唇化粧料に関するものであり、更に詳しくは、ツヤ感と経時での化粧持続性(色持ちとツヤ持ち)に優れ、塗布時の伸びが軽く、仕上がりのべたつきがない油性液状口唇化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、ツヤ感を求められるリップグロス等の油性液状口唇化粧料では、ポリブテンや重質流動イソパラフィンのような高屈折率で粘度の高い炭化水素油が多く配合される。しかしこの手法は、ツヤ感は得られるが、塗布時の伸びが重く、仕上がりのべたつき感を感じるものであった。こうした使用感や仕上がりを向上させる技術としては、重質流動イソパラフィンと水添ロジンイソステアリン酸グリセリルとメチルフェニルポリシロキサンとを組み合わせる技術(例えば特許文献1)や、特定の構造を有するエステル油とシリコーン樹脂とを組み合わせる技術(例えば特許文献2)や、特定範囲の分子量を持つ有機シリコーン樹脂と揮発性油剤とを組み合わせる技術(例えば特許文献3)などが挙げられる。
【0003】
【特許文献1】特開2000−297012号公報
【特許文献2】特開2006−111543号公報
【特許文献3】特開平9−124430号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1記載の技術では、高いツヤと使用時の伸びは得られるものの、化粧持続性とべたつきのなさに関しては十分な効果が得られていなかった。また特許文献2記載の技術のように、塗布時の光沢やうるおい感を向上させるために特定のエステル油を多量配合したものは、ツヤ感およびべたつきのなさには優れるものの、化粧持続性は十分なものではなかった。また、揮発性油剤の蒸発により有機シリコーン樹脂の皮膜が形成され二次付着防止効果を奏する特許文献3記載の技術では、化粧持続性、伸びの軽さ、べたつきのなさには優れるものの、ツヤ感の点で満足のできるものではなかった。
したがって、ツヤ感、化粧持続性、伸びの軽さ、そしてべたつきのなさを全て併せもつ油性液状口唇化粧料の開発が望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
かかる実情において、本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、(A)ロジンの多価アルコールエステル、(B)有機シリコーン樹脂、(C)30℃における動粘度が10,000mm/s以上の液状油、(D)分子量250〜700のエステル油、分子量250〜700の炭化水素油、分子量600〜30,000の不揮発性シリコーン油から選ばれる1種又は2種以上の成分(B)を溶解する液状油を組み合わせて配合することで、ツヤ感と経時での化粧持続性(色持ちとツヤ持ち)に優れ、塗布時の伸びが軽く、仕上がりのべたつきがない油性液状口唇化粧料が得られることを見出した。
成分(A)および成分(B)は共に付着性が高く、それに加えて成分(A)はツヤ感の高い化粧膜を、成分(B)はべたつきのない化粧膜を形成する特徴がある。本発明者らは、両者を組み合わせることで、強固でありながらツヤ感に優れ、べたつきのない化粧膜を作ると考え、成分(B)を相溶性の良い成分(D)に予め溶解させた後に他の成分と混合することにより、透明性とツヤを損なわずに安定配合できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【発明の効果】
【0006】
本発明の油性液状口唇化粧料は、ツヤ感と経時での化粧持続性(色持ちとツヤ持ち)に優れ、塗布時の伸びが軽く、仕上がりのべたつきがない油性液状口唇化粧料を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明について詳述する。
本発明に用いられる成分(A)のロジンの多価アルコールエステルは、本発明の油性液状口唇化粧料において化粧持続性を向上させる目的で配合されているものであるが、ツヤ感を付与する効果もある。
このようなロジンの多価アルコールエステルとしては、ロジン、水添ロジン、不均化ロジン、重合ロジンの1種又は2種以上と、ペンタエリスリット、ジペンタエリスリット、グリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ヘキサントリオール等の多価アルコールとのエステル等が挙げられる。この中でも特に、ロジンの主成分であるアビエチン酸を水素添加して得られるジヒドロアビエチン酸やテトラヒドロアビエチン酸とグリセリンをエステル化して得られる水添ロジングリセリンエステルおよび/又は、不均化ロジンを水素添加反応してグリセリンとエステル化して得られる不均化ロジングリセリンエステルが、べたつきのなさと付着性および化粧持続性に優れる点で好ましい。市販品としてはパインクリスタルKE―311、KE―100、エステルガムH、スーパーエステルA−75、A−100(以上、荒川化学工業社製)等が挙げられる。
【0008】
成分(A)は必要に応じて1種又は2種以上を使用することができ、その配合量は化粧料全量に対して0.5〜30質量%(以下%とする)が好ましく、より好ましくは1〜20%である。この範囲であれば、特にツヤ感と化粧持続性において優れた効果を有する油性液状口唇化粧料が得られる。
【0009】
本発明に用いられる成分(B)の有機シリコーン樹脂は、本発明の油性液状口唇化粧料において化粧持続性を向上させる目的で配合されているものであるが、化粧膜のべたつきを抑える効果もある。
このような有機シリコーン樹脂は、通常化粧料に用いられるものであればいずれのものも使用することができるが、具体的には、トリメチルシロキシケイ酸、ポリメチルシルセスキオキサン、アクリル−シリコーングラフト共重合体、長鎖アルキル変性アクリル−シリコーングラフト共重合体、ポリビニルピロリドン変性メチルポリシロキサン等が挙げられ、これらを1種又は2種以上用いることができる。トリメチルシロキシケイ酸は、市販品としてはSR1000(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン社製)、シリコーン油で溶解した溶液としてはKF−7312K(60%低粘度メチルポリシロキサン溶液、信越化学工業社製)等が挙げられる。またポリメチルシルセスキオキサンは、RSiO1.5単位とRSiO0.5単位(式中、R、Rは置換又は非置換の1価炭化水素基を表す)から成るシリコーン樹脂であり、市販品としては、SILFORM FLEXIBLE RESIN(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製)等が挙げられる。
【0010】
成分(B)は必要に応じて1種又は2種以上を使用することができ、その配合量は化粧料全量に対して0.5〜30%が好ましく、より好ましくは1〜20%である。この範囲であれば、化粧持続性に優れ、仕上がりのべたつきのなさという点においても良好な油性液状口唇化粧料が得られる。
【0011】
本発明に用いられる成分(C)の30℃における動粘度が10,000mm/s以上の液状油は、本発明の油性液状口唇化粧料においてツヤ感を付与する目的で配合されているものであるが、化粧持続性を向上させる効果もあり、これより粘度が低い液状油を用いた場合には化粧持続性が不十分なものとなる。
このような高粘性油剤としては、通常化粧料に使用されるものであればいずれのものも使用することができ、例えば、重質流動イソパラフィン、ポリブテン、α−オレフィンオリゴマーなどの高粘性炭化水素油、ノナイソステアリン酸デカグリセリルなどのポリグリセリン脂肪酸エステルやジペンタエリスリトール脂肪酸エステルなどの高粘度エステル油、高重合度のジメチルポリシロキサンやメチルフェニルポリシロキサンなどの高粘性シリコーン油などがあげられる。これらの中で特に好ましいものは重質流動イソパラフィンおよびポリブテンである。市販品としては、パールリーム18(30℃動粘度30,000mm/s)、パールリーム24(30℃動粘度90,000mm/s)、パールリーム46(30℃動粘度600,000mm/s)、(以上、日本油脂社製)、ポリブテン2000H(30℃動粘度400,000mm/s)、ポリブテン100R(30℃動粘度30,000mm/s)(出光興産社製)、精製ポリブテンHV100F(SB)(30℃動粘度31,000mm/s)(日本ナチュラルプロダクツ社製)等を例示することができる。これらの1種又は2種以上を適宜選択して用いることができる。
本発明において、粘度値は「単一円筒型回転粘度計−ビスメトロン」(芝浦システム社製)を用いて測定した値である。
【0012】
本発明の油性液状口唇化粧料において、(C)の高粘性油分の配合量は、化粧料全量に対して総量で20〜80%が好ましい。この範囲であれば、ツヤ感と化粧持続性に優れた油性液状口唇化粧料が得られる。
【0013】
本発明に用いられる成分(D)の分子量250〜700のエステル油、分子量250〜700の炭化水素油、600〜30,000の不揮発性シリコーン油から選ばれる1種又は2種以上の成分(B)を溶解する液状油は、本発明の油性液状口唇化粧料において成分(B)を均一溶解させるほかに、伸びの軽さとべたつきのない使用感を具現化する効果もある。
ここで成分(B)を溶解するとは、成分(D)に対して成分(B)が少なくとも0.5%溶解しており、さらに室温において透明な状態であることをいい、選ばれる成分(B)に応じて適宜、成分(D)を選ぶことができる。この際成分(D)は、30℃における動粘度が5000mm/s以下のものが好ましい。
成分(D)の分子量250〜700のエステル油は、具体的には、トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル、トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリル、ジカプリン酸プロピレングリコール、イソノナン酸イソトリデシル、2−エチルヘキサン酸セチル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、ステアリン酸イソセチル、オレイン酸オクチルドデシル、ジオクタン酸ネオペンチルグリコール、コハク酸ジ2−エチルヘキシル、リンゴ酸ジイソステアリル、乳酸ミリスチル、炭酸ジアルキル、トリメリト酸トリデシル等が挙げられ、分子量250〜700の炭化水素油は例えば、イソパラフィン、α−オレフィンオリゴマー、流動パラフィン、スクワランなどが挙げられ、分子量600〜30,000の不揮発性シリコーン油は例えば、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、アルコキシ変性ポリシロキサン等が挙げられる
またこれらの中で、トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル、イソノナン酸イソトリデシル、2−エチルヘキサン酸セチル、リンゴ酸ジイソステアリル、ジメチルポリシロキサン、流動パラフィン、α−オレフィンオリゴマーが成分(B)との相溶性と伸びの軽さという点で好ましい。市販品としては、トリ2−エチルヘキサン酸グリセリルとしてはMYRITOL GTEH(コグニスジャパン社製)、TRIFAT S−308(日光ケミカルズ社製)、イソノナン酸イソトリデシルとしてはSUPER REFINED CRODAMOL TN−LQ−(JP)(クローダジャパン社製)、サラコス913(日清オイリオグループ社製)、2−エチルヘキサン酸セチルとしてはニッコールCIO(日光ケミカルズ社製)、サラコス816T(日清オイリオグループ社製)、リンゴ酸ジイソステアリルとしてはコスモール222(日清オイリオグループ社製)、ジメチルポリシロキサンとしてはKF−96A−6cs、KF−96A−10cs、KF−96A−20cs、KF−96A−30cs、KF−96A−50cs、KF−96A−100cs、KF−96A−1000cs(以上、信越化学工業社製)、流動パラフィンとしてはKLEAROL(SONNEBORN社製)、ハイコールK−230、ハイコールK−350(以上、カネダ社製)、α−オレフィンオリゴマーとしてはSILKFLO 364 NF(LIPO CHEMICALS社製)、ノムコートHP−30(日清オイリオグループ社製)が挙げられる。分子量は、例えばエステル油であれば構造から、ジメチルポリシロキサンであれば、粘度換算等から求めることができる。
【0014】
本発明の油性液状口唇化粧料における成分(D)は必要に応じて1種又は2種以上を用いることができ、配合量は、好ましくは0.5〜80%であり、更に好ましくは10〜60%である。この範囲であれば、ツヤ感に優れ、塗布時の伸びが軽い油性液状口唇化粧料が得られる。
また、成分(B)の有機シリコーン樹脂の配合量に応じて成分(D)の配合量を調整し、(B)と(D)の配合量の質量比率が1/20〜1/1の範囲であると、透明な均一相となり、高温での経時安定性の良いものが得られる。さらに成分(B)を成分(D)に予め溶解させた後、配合することが好ましい。
【0015】
本発明の口唇用化粧料には、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて、前記成分(A)、(B)、(C)、(D)の他に、通常化粧料に配合される成分として、成分(A)、(B)、(C)、(D)以外の油性成分、無機顔料、有機顔料及び体質顔料等の粉体、界面活性剤、水や多価アルコール、低級アルコール、水溶性高分子、保湿剤等の水性成分、糖類、紫外線吸収剤、酸化防止剤、褪色防止剤、防腐剤、薬効成分、安定化剤、色素、香料等を各種の効果の付与のために適宜配合することができる。
【0016】
また、本発明に使用される成分(A)、(B)、(C)、(D)以外の油剤としては、通常化粧料に用いられる油分であれば特に制約なく使用することができ、動物油、植物油、合成油等の起源や、固形油、半固形油、液体油等の性状を問わず、炭化水素類、油脂類、ロウ類、硬化油類、エステル油類、脂肪酸類、高級アルコール類、シリコーン油類、フッ素系油類、ラノリン誘導体類、油性ゲル化剤等を利用することができる。具体的には、ワセリン、セレシンワックス、ポリエチレンワックス、フィッシャートロプシュワックス、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、水添マイクロクリスタリンワックス、オゾケライトワックス、エチレン・プロピレンコポリマー等の炭化水素類、オリーブ油、ヒマシ油、ミンク油、マカデミアンナッツ油、モクロウ等の油脂類、ミツロウ、カルナウバワックス、キャンデリラワックス、ライスワックス、ゲイロウ、モンタンワックス等のロウ類、ペンタエリトリット脂肪酸エステル、コレステロール脂肪酸エステル、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(コレステリル・ベヘニル・オクチルドデシル)、ジイソステアリン酸ポリグリセリル、トリイソステアリン酸ポリグリセリル、ホホバ油、トリメリト酸トリトリデシル等のエステル類、ステアリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ベヘニン酸、イソステアリン酸、オレイン酸等の脂肪酸類、ステアリルアルコール、セチルアルコール、ラウリルアルコール、オレイルアルコール、イソステアリルアルコール、ベヘニルアルコール等の高級アルコール類、パーフルオロデカン、パーフルオロオクタン、パーフルオロポリエーテル等のフッ素系油剤類、ラノリン、酢酸ラノリン、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラノリンアルコール等のラノリン誘導体類が挙げられ、油性ゲル化剤として、12−ヒドロキシステアリン酸、パルミチン酸デキストリン、パルミチン酸/2−エチルヘキサン酸デキストリン、ステアリン酸デキストリン、パルミチン酸/ステアリン酸デキストリン、オレイン酸デキストリン、イソパルミチン酸デキストリン、イソステアリン酸デキストリンのデキストリン脂肪酸エステル類、ステアリン酸スクロース、酢酸ステアリン酸スクロースのショ糖脂肪酸エステル、イソステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム、およびジメチルジステアリルアンモニウムヘクトライト等の有機変性粘土鉱物等が挙げられる。
【0017】
粉体成分としては、化粧料に一般に使用される粉体として用いられる粉体であれば、球状、板状、針状等の形状、煙霧状、微粒子、顔料級等の粒子径、多孔質、無孔質等の粒子構造等により特に限定されず、無機粉体類、光輝性粉体類、有機粉体類、色素粉体類、金属粉体類、複合粉体類等が挙げられる。具体的に例示すれば、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウム、硫酸バリウム等の白色無機顔料、酸化鉄、カーボンブラック、チタン・酸化チタン焼結物、酸化クロム、水酸化クロム、紺青、群青等の有色無機顔料、タルク、白雲母、金雲母、紅雲母、黒雲母、合成雲母、絹雲母(セリサイト)、合成セリサイト、炭化珪素、二酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化アンチモン、珪ソウ土、ケイ酸アルミニウム、メタケイ酸アルミニウムマグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸バリウム、ケイ酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ヒドロキシアパタイト、窒化ホウ素等の白色体質粉体、カオリン、ベントナイト、スメクタイト、ヘクトライト、モンモリロナイト等の粘土鉱物、およびそれらの有機変性物、酸化チタン被覆雲母、酸化チタン被覆オキシ塩化ビスマス、酸化鉄雲母チタン、紺青処理雲母チタン、カルミン処理雲母チタン、オキシ塩化ビスマス、魚鱗箔、ポリエチレンテレフタレート・アルミニウム・エポキシ積層末、ポリエチレンテレフタレート・ポリオレフィン積層フィルム末、ポリエチレンテレフタレート・ポリメチルメタクリレート積層フィルム末、酸化チタン被覆ガラスフレーク等の光輝性粉体、ポリアミド系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリアクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、フッ素系樹脂、セルロース系樹脂、ポリスチレン系樹脂、スチレン−アクリル共重合樹脂等のコポリマー樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ウレタン樹脂等の有機高分子樹脂粉体、ステアリン酸亜鉛、N−アシルリジン等の有機低分子性粉体、シルク粉末、セルロース粉末等の天然有機粉体、赤色201号、赤色202号、赤色205号、赤色226号、赤色228号、橙色203号、橙色204号、青色404号、黄色401号等の有機顔料粉体、赤色3号、赤色104号、赤色106号、橙色205号、黄色4号、黄色5号、緑色3号、青色1号等のジルコニウム、バリウム又はアルミニウムレーキ等の有機顔料粉体あるいは更にアルミニウム粉、金粉、銀粉等の金属粉体、微粒子酸化チタン被覆雲母チタン、微粒子酸化亜鉛被覆雲母チタン、硫酸バリウム被覆雲母チタン、酸化チタン含有二酸化珪素、酸化亜鉛含有二酸化珪素等の複合粉体、等が挙げられる。これら粉体はその1種又は2種以上を用いることができ、更に複合化したものを用いても良い。なお、これら粉体は、フッ素系化合物、シリコーン系化合物、金属石鹸、レシチン、水素添加レシチン、コラーゲン、炭化水素、高級脂肪酸、高級アルコール、エステル、ワックス、ロウ、界面活性剤等の1種又は2種以上を用いて表面処理を施してあっても良い。
【0018】
界面活性剤としては、化粧料一般に用いられている界面活性剤であればいずれのものも使用でき、非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤等が挙げられる。例えば、グリセリン脂肪酸エステルアルキレングリコール付加物、ポリグリセリン脂肪酸エステルアルキレングリコール付加物、ソルビタン脂肪酸エステル及びそのアルキレングリコール付加物、蔗糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシアルキレンアルキル共変性オルガノポリシロキサン、ポリオキシアルキレン変性オルガノポリシロキサン、レシチン等が挙げられる。
【0019】
更に、水性成分はモイスチャー効果を付与する目的で用いることができ、水及び水に可溶な成分であれば何れでもよく、水の他に、例えば、エチアルコール等のアルコール類、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール等のグリコール類、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン等のグリセロール類、アロエベラ、ウイッチヘーゼル、ハマメリス、キュウリ、レモン、ラベンダー、ローズ等の植物抽出液が挙げられる。
水溶性高分子としては、グアーガム、コンドロイチン硫酸ナトリウム、ヒアルロン酸ナトリウム、アラビアガム、アルギン酸ナトリウム、カラギーナン等の天然系のもの、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等の半合成系のもの、カルボキシビニルポリマー、アルキル付加カルボキシビニルポリマー、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸ナトリウム等の合成系のもの、他にタンパク質、ムコ多糖、コラーゲン、エラスチン、ケラチン等が挙げられる。
酸化防止剤としては、例えばα−トコフェロール、アスコルビン酸等、美容成分としては例えばビタミン類、消炎剤、生薬等、防腐剤としては、例えばパラオキシ安息香酸エステル、フェノキシエタノール、1,2−ペンタンジオール等が挙げられる。
紫外線吸収剤としては、例えばベンゾフェノン系、PABA系、ケイ皮酸系、サリチル酸系、4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン、オキシベンゾン等が挙げられる。
【0020】
本発明の油性液状口唇化粧料の製造方法は特に限定されるものではないが、例えば、成分(B)を80〜90℃で成分(D)に溶解し、その油性成分を110〜120℃で溶解した成分(A)、(C)及びその他の成分と混合・分散した後、冷却して充填することにより得ることができる。
【0021】
本発明の油性液状口唇化粧料は、油性成分を主骨格とし、連続相が油性であって、常温で流動性を有するものであり、口紅、リップグロス、リップトリートメント、リップクリーム、口紅下地等が挙げられる。この中でも口紅、リップグロスであることが好ましく、ふた付き容器に流し込むものや、塗布体付きの容器(アプリケーター)やチューブに入れて用いるものが挙げられるが、アプリケーター付き容器やチューブに入れて用いるものが好ましい。
また、本発明の油性液状口唇化粧料はツヤ感の点から、揮発性油を含まないことが好ましいが、揮発性油を含む場合は5%未満が好ましい。ここで揮発性油とは、1気圧、25℃において揮発性のものをいい、具体的には、軽質流動イソパラフィン、デカメチルシクロペンタシロキサン等が挙げられる。
【0022】
次に実施例を挙げて本発明を更に説明するが、本発明はこれによって何ら限定されるものではない。
【実施例】
【0023】
実施例1〜8及び比較例1〜4:リップグロス(油性液状)
下記表1及び表2に示す組成のリップグロスを下記製造方法により調製し、(イ)塗布時の伸びの軽さ、(ロ)ツヤ感、(ハ)べたつきのなさ、(ニ)経時での化粧持続性(ツヤ)、(ホ)経時での化粧持続性(色)、の各項目について、以下に示す評価方法により評価し、結果を併せて表1及び表2に示した。
【0024】
【表1】

*1:パインクリスタルKE−311(荒川化学工業社製)
*2:エステルガムHP(荒川化学工業社製)
*3:パールリーム18(日本油脂社製)
*4:精製ポリブテンHV−100F(SB)(日本ナチュラルプロダクツ社製)
*5:SR1000(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製)
*6:SILFORM FLEXIBLE RESIN(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製)
*7:MYRITOL GTEH(コグニスジャパン社製)
*8:KF−96A(20cs)(信越化学工業社製)
*9:コスモール43V(日清オイリオグループ社製)
*10:レオパールKL2(千葉製粉社製)
*11:AEROSIL R976S(日本アエロジル社製)
*12:メタシャイン1080RC−R(日本板硝子社製)
【0025】
【表2】

【0026】
(製造方法)
A:成分(1)〜(4)を120℃で均一に混合溶解する。
B:成分(5)〜(8)を90℃で均一に混合溶解する。
C:AにBおよび(9)〜(15)を加え、均一に分散する。
D:Cを脱泡後、90℃にて塗布体付き容器に流し込み、冷却してリップグロス(油性液状)を得た。
【0027】
(評価方法)
下記評価項目について各々下記方法により評価を行った。
各試料について専門パネル20名による使用テストを行い、下記(a)6段階絶対評価にて評価し、評点を付け、各試料のパネル全員の評点合計からその平均値を算出し、下記(b)4段階判定基準により判定した。化粧持続性に関する(ニ)および(ホ)の項目については試料塗布後通常の生活をしてもらい5時間後に測定した。
【0028】
(官能評価項目)
(イ)塗布時の伸びの軽さ
(ロ)ツヤ感
(ハ)べたつきのなさ
(ニ)経時での化粧持続性(ツヤ)
(ホ)経時での化粧持続性(色)
【0029】
(a)6段階絶対評価基準
(評点):(評価)
6点:非常に良好
5点:良好
4点:やや良好
3点:普通
2点:やや不良
1点:不良
(b)4段階判定基準
(判定):(評点の平均点)
◎:5点を超える
○:3点を超える5点以下
△:2点を超える3点以下
×:2点以下
【0030】
表1、表2の結果から明らかな如く、本発明の実施例1〜8リップグロスは、比較例1〜4のリップグロスに比べ、塗布時の伸びの軽さ、ツヤ感、べたつきのなさ、経時での化粧持続性の全てにおいて優れたものであった。実施例の中で比較すると、成分(A)として水添ロジン酸グリセリルを用いた実施例1は、水添ロジン酸ペンタエリスリチルを用いた実施例2よりもべたつきのなさの点で優れていた。また、成分(B)と(D)の配合量の質量比率が1/1である実施例6は、比率が1/1よりも高い実施例7に比べでツヤ感の点で優れ、さらに高温での経時安定性にも優れたものであった。
これら実施例に対して、成分(A)の配合されていない比較例1では特にツヤ感と化粧持続性において満足できるものが得られなかった。また、成分(B)の配合されていない比較例2では化粧持続性とべたつきのなさにおいて満足できるものが得られなかった。また、成分(C)の配合されていない比較例3では化粧持続性において満足できるものが得られなかった。また成分(D)の配合されていない比較例4では、相溶性の悪い成分(B)が完全溶解せず白濁した状態となり、全ての官能評価項目において非常に劣るものであった。

【0031】
実施例9:口紅(油性液状)
(成分) (%)
1.水添アビエチン酸グリセリル*1 5
2.エチレン・プロピレンコポリマー*13 3
3.重質流動イソパラフィン*3 30
4.トリイソステアリン酸ジグリセリル*9 残量
5.トリメチルシロキシケイ酸*5 5
6.トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル*7 40
7.無水ケイ酸*11 1
8.酸化チタン被覆ガラスフレーク*12 0.1
9.酸化チタン被覆合成金雲母*14 0.1
10.ポリエチレンテレフタレート・ポリメチルメタクリレート
積層フィルム末*15 0.1
11.雲母チタン 0.3
12.炭酸カルシウム 0.5
13.赤色202号 0.2
14.フェノキシエタノール 0.5
15.ジブチルヒドロキシトルエン 0.01
*13:EP700(Baker Petrolite社製)
*14:プロミネンス SF(トピー工業社製)
*15:オーロラフレーク レッド 0.01(角八魚鱗箔社製)
(製造方法)
A:成分(1)〜(4)を120℃で均一に混合溶解する。
B:成分(5)、(6)を90℃で均一に混合溶解する。
C:AにBおよび(7)〜(15)を加え、均一に分散する。
D:Cを容器に充填し、口紅(油性液状)を得た。
実施例9の口紅は、塗布時の伸びが軽く、仕上がりのべたつき感もなく、ツヤ感と経時での化粧持続性(色持ちとツヤ持ち)に優れた口紅であった。

【0032】
実施例10:リップクリーム(油性液状)
(成分) (%)
1.水添アビエチン酸グリセリル*1 3
2.パルミチン酸デキストリン*10 5
3.重質流動イソパラフィン*3 30
4.ワセリン 10
5.トリメチルシロキシケイ酸*5 3
6.流動パラフィン*16 残量
7.リンゴ酸ジイソステアリル*17 30
8.無水ケイ酸*11 2
9.パラオキシ安息香酸メチル 0.01
10.酢酸トコフェロール 0.02
*16:KLEAROL(SONNEBORN社製)
*17:コスモール222(日清オイリオグループ社製)

(製造方法)
A:成分(1)〜(4)を120℃で均一に混合溶解する。
B:成分(5)〜(7)を90℃で均一に混合溶解する。
C:AにBおよび(8)〜(10)を加え、均一に分散する。
D:Cを容器に充填し、リップクリームを得た。
実施例10のリップクリームは、塗布時の伸びが軽く、仕上がりのべたつき感もなく、ツヤ感と経時での化粧持続性(ツヤ持ち)に優れたリップクリームであった。

【0033】
実施例11:口紅下地(油性液状)
(成分) (%)
1.水添アビエチン酸グリセリル*1 3
2.パルミチン酸/2−エチルヘキサン酸デキストリン*18 5
3.パルミチン酸デキストリン*10 5
4.重質流動イソパラフィン*19 20
5.ポリブテン*4 10
6.トリイソステアリン酸ジリグリセリル*9 残量
7.トリメリト酸トリトリデシル*20 5
8.メチルフェニルポリシロキサン*21 5
9.トリメチルシロキシケイ酸*5 3
10.リンゴ酸ジイソステアリル*15 10
11.メタクリル変性ジメチルポリシロキサンの
30%デカメチルシクロペンタシロキサン溶液*22 3
12.無水ケイ酸*11 3
13.1,2−ペンタンジオール 0.5
14.ジブチルヒドロキシトルエン 0.01
*18:レオパールTT2(千葉製粉社製)
*19:パールリーム24(日本油脂社製)
*20:LIPONATE TDTM(LIPO CHEMICALS社製)
*21:KF−54(信越化学工業社製)
*22:KP−545(信越化学工業社製)
(製造方法)
A:成分(1)〜(8)を120℃で均一に混合溶解する。
B:成分(9)、(10)を90℃で均一に混合溶解する。
C:AにBおよび(11)〜(14)を加え、均一に分散する。
D:Cを容器に充填し、口紅下地を得た。
実施例11の口紅下地は、塗布時の伸びが軽く、仕上がりのべたつき感もなく、ツヤは少し劣るものの、経時での化粧持続性(ツヤ持ち)に優れた口紅下地であった。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(A)〜(D)、
(A)ロジンの多価アルコールエステル;
(B)有機シリコーン樹脂;
(C)30℃における動粘度が10,000mm/s以上の液状油;
(D)分子量250〜700のエステル油、分子量250〜700の炭化水素油、分子量600〜30,000の不揮発性シリコーン油から選ばれる1種又は2種以上の成分(B)を溶解する液状油;
を配合することを特徴とする油性液状口唇化粧料。
【請求項2】
前記成分(B)と(D)の配合量の質量比率が1/20〜1/1である請求項1に記載の油性液状口唇化粧料。
【請求項3】
前記成分(A)が、ロジンとグリセリンとのエステルであって、該ロジンが水添および/又は不均化されているロジンエステル化合物であることを特徴とする請求項1又は2に記載の油性液状口唇化粧料。
【請求項4】
前記成分(A)を0.5〜30質量%、(B)を0.5〜30質量%、(C)を20〜80質量%、(D)を0.5〜80質量%含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の油性液状口唇化粧料。
【請求項5】
前記化粧料中の揮発性油が5質量%未満であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の油性液状口唇化粧料。


【公開番号】特開2011−184317(P2011−184317A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−48740(P2010−48740)
【出願日】平成22年3月5日(2010.3.5)
【出願人】(000145862)株式会社コーセー (734)
【Fターム(参考)】