説明

油性白色インキ

【課題】 油性白色インキが経時的に酸化チタンの硬い沈降物を生成することを防止する。
【解決手段】 ゼータ電位がマイナスの値をとる酸化チタンと、炭化水素系溶剤と、該炭化水素系溶剤に可溶な樹脂と、水とからなる油性白色インキ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炭化水素系溶剤を主媒体とした油性白色インキに関し、特に、顔料の再分散性に優れた油性白色インキに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、炭化水素系溶剤を主媒体とした油性白色インキは、酸化チタンなどの白色顔料と、溶剤としてメチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサンなどの炭化水素系溶剤と、該炭化水素系溶剤に可溶なアクリル樹脂やスチレンブタジエン系熱可塑性エラストマーなどの樹脂とより少なくともなる修正液、マーカー用インキが知られている。(特許文献1参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭54−72122号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
酸化チタンは比重が高く沈降し易いため、酸化チタンを使用した修正液やマーカー用インキは容器の中に金属やガラス製の攪拌体を入れ、使用前に容器を振り、沈降した酸化チタンを再分散して使用するものであった。
しかし、沈降した酸化チタンは、経時的に、ハードケーキと呼ばれる硬い沈降層となり、容器を攪拌しても攪拌体が動かず再分散できないものになってしまうという問題を有していた。
【0005】
特許文献1に記載されている修正液のように、界面活性剤や分散剤としての樹脂を添加することによって、酸化チタンの分散維持を向上することはなされてきた。
しかし、比重の高い酸化チタンは経時的に沈降し、酸化チタン同士が接近して密な沈降層を形成してしまう。
【0006】
本願発明は、酸化チタンが沈降しても硬い沈降層を形成せず、撹拌対を入れた容器を振ることにより、容易に再分散できる白色インキを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この改善策として本発明は、ゼータ電位がマイナスの値をとる酸化チタンと、炭化水素系溶剤と、該炭化水素形容剤に可溶な樹脂と、水とからなる白色インキを要旨とする。
【発明の効果】
【0008】
炭化水素系溶剤中に、ゼータ電位がマイナスの値の酸化チタンと水とが存在すると、水は非極性の炭化水素系溶剤には溶解しないので、親水性の酸化チタンに吸着するなどして酸化チタン表面は負帯電することとなり、その表面に樹脂や分散剤が吸着しにくくなる。そのため、酸化チタン表面には分散剤が吸着していない部分が多く残るので、非極性(疎水性)の炭化水素系溶剤の中で、親水性部分を多く持つ酸化チタン同士が結合し、やがてはこれが連続的につながり、再分散容易な嵩高の沈降層を形成するものと推察される。よって、酸化チタンが硬い沈降層を形成せず、撹拌対を入れた容器を振ることにより、容易に再分散できる白色インキを得ることができる。
これに対して、ゼータ電位がプラスの酸化チタンの場合には、組成物中の樹脂や分散剤が表面に密に吸着するので、良好な分散状態が得られるものの、重力により経時的に沈降した場合に硬い緻密な沈降層を形成してしまい再分散し難いものとなってしまう。また、組成中に水が存在しない場合は、本来親水性である酸化チタン表面に樹脂や分散剤が吸着し難く、良好な分散状態が得られない。
【発明を実施するための形態】
【0009】
酸化チタンは、隠蔽性のある着色剤として使用する。表面をアルミナやシリカなどで処理されたものも使用することができる。いずれにしても、ゼータ電位は添加する水のpHが概ね6.0〜8.0でマイナスの値である必要がある。
商品の具体例としては、TIPAQUE R−820(ゼータ電位−10mV、比表面積15m/g)、同R−830(ゼータ電位−10mV、比表面積13m/g)、同R−550(ゼータ電位−10mV、比表面積14m/g)、同R−780(ゼータ電位−35mV、比表面積17m/g)、同R−780−2(ゼータ電位−40mV、比表面積34m/g)(以上、石原産業(株)製)、TITONE R7E(ゼータ電位−31mV、比表面積43m/g)、R62N(ゼータ電位−20mV、比表面積12m/g)(以上、堺化学工業(株)製)、 TITANIX JR800(ゼータ電位−30mV、比表面積27m/g)、JR805(ゼータ電位−20mV、比表面積10m/g)、JRNC(ゼータ電位−5mV、比表面積15m/g)(以上、テイカ(株)製)など挙げられる。
酸化チタンのゼータ電位は−10〜−40mVが好ましい。また、好ましい比表面積は15〜45m/gである。
ゼータ電位とは、液中に分散された顔料の界面の電位であり、酸化チタンの表面の電荷の状態の指標となるものである。この値がプラスの時顔料表面は正帯電し、マイナスの時は負帯電している。また、ゼータ電位の絶対値が大きいほどより強く帯電していることを示している。金属酸化物で表面処理された酸化チタンも、その金属酸化物の種類と被覆率によってゼータ電位が変わってくる。酸化チタンの表面処理がアルミナ単独の場合ゼータ電位はおよそ+30〜+40mVになるが、アルミナとシリカの場合、アルミナ/(アルミナ+シリカ)が小さくなるに従いゼータ電位は小さくなる。尚、ゼータ電位は動的光散乱法(大塚電子社製ELS−Z2、pH=7±0.5の水に酸化チタンを分散させた時のゼータ電位を測定)で測定した。
【0010】
ところで、表面処理された酸化チタンには、緻密に処理されたものと、綿状の多孔質に処理されたものがある。綿状の多孔質の表面処理層を持つ酸化チタン同士が結合した場合、緻密処理酸化チタンと比べ、酸化チタン同士の接触面積が大きくなるのでその結びつきはより強固になる。このため長期間静置しても嵩高な構造は重力によりつぶれにくく、維持しやすくなるので、長期間再分散性が良好な状態が維持される。この表面処理状態の違いは酸化チタンの比表面積を測ることにより分かる。緻密に表面処理した場合は、比表面積が小さく、綿状の多孔質に表面処理した場合は比表面積が大きくなり、上記効果を得るためには25m/g以上の比表面積が必要となる。尚、比表面積はBET一点法(マウンテック社製Macsorb、HM−120)で測定した。
【0011】
炭化水素系有機溶剤は、修正液の粘度を調製するために使用するもので、塗膜の乾燥性を考慮すると沸点40〜150℃の溶剤が好ましい。具体的には、ノルマルペンタン(沸点36.0℃)、シクロペンタン(沸点49.2℃)、メチルシクロペンタン(沸点71.8℃)ノルマルヘキサン(沸点68.7℃)、イソヘキサン(沸点62℃)、ノルマルヘプタン(沸点98.4℃)、ノルマルオクタンなど脂肪族炭化水素系溶剤、シクロヘキサン(沸点80.0℃)、メチルシクロヘキサン(沸点100.9℃)、エチルシクロヘキサン(沸点132℃)等の他、エクソールDSP 100/140(初留点102℃、乾点138℃)(以上、エクソン化学(株)製)等の脂肪族炭化水素系溶剤の混合品などが挙げられる。これらは、単独もしくは混合して使用可能である。使用量はインキ全量に対して30〜60重量%が好ましい。
【0012】
樹脂は顔料の分散や修正液の紙面等への定着のため使用する。
上記炭化水素系有機溶剤を使用した場合、一例を挙げると。マレイン酸樹脂、アルキッド樹脂、熱可塑性エラストマー、石油樹脂、テルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂、ロジン系樹脂なども使用できるが、顔料分散性、紙面への定着性などを考慮するとアクリル系の樹脂が好ましい。
以下、アクリル系樹脂について説明する。使用可能なモノマーはアクリル酸エステルとしては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、イソプロピルアクリレート、ノルマルブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、メタクリル酸エステルとしては、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、tert−ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、オクチルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、セチルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、オレイルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ベンジルメタクリレートなどが挙げられる。また、アミノ基を含有するモノマーとして、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジプロピルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジイソプロピルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジ−tert−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジシクロヘキシルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,Nジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミドN,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドなどが挙げられる。これらのモノマー以外にも酢酸ビニル、スチレン、ビニルトルエン、マレイン酸、イタコン酸、メタクリル酸−2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシプロピル、アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、アクリル酸ヒドロキシプロピル、アクリルアミド、N−チロールアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、グリシジルメタクリレートなどの共重合可能なビニルモノマーを含有することもできる。
その使用量は樹脂固形分量がインキ全体の3〜15重量%が好ましい。
【0013】
水は非極性の炭化水素系溶剤中で酸化チタンを帯電させるために使用する。その添加量は、酸化チタン1重量部に対し、0.01重量%以上0.25重量%以下が好ましい。酸化チタン1重量%に対し水分が0.01重量%未満では、酸化チタン表面の帯電が不十分で分散され難い。酸化チタン1重量%に対し、水分が0.25重量%以上では、酸化チタンが吸着できる水分量を超え、炭化水素系溶剤に溶解しない水分が上澄みとして分離する。そうなると紙面などに塗布した際に、使用前に撹拌しても水の層と油性白色インキに分かれ、斑な塗膜になりやすくなる。
【0014】
針状粒子は、嵩高な酸化チタンの構造を支える補強材のような役目をし、嵩高な構造は重力に対し、より安定になるため、良好な再分散性が長期間維持することができる。
針状の粒子の具体例として、窒化ケイ素ウィスカー、炭化ケイ素ウィスカー、ホウ酸アルミニウムウィスカー、酸化亜鉛ウィスカー、チタン酸カリウムウィスカー、ウィスカー状炭酸カルシウム、ウィスカー状酸化チタン、アルミナ径ウィスカー、マグネシアウィスカー、ムライトウィスカー、ホウ酸マグネシウムウィスカー、ホウ化チタンウィスカー、アルミナ及びアルミナシリカ短繊維、シリカ短繊維、ジルコニアファイバー(短繊維)、カオリン系セラミックス短繊維などが挙げられる。その使用量は、0.5〜15重量%が好ましい。
【0015】
更に、その他の体質顔料、樹脂粒子なども適宜使用でき、その形状も特に限定されるものではない。具体例としては、球状、塊状の粒子としては、炭微粒子酸化チタン、架橋ポリメタクリル酸メチル、ベンゾグアナミン・ホルムアルデヒド縮合物、ベンゾグアナミン・メラミン・ホルムアルデヒド縮合物、メラミン・ホルムアルデヒド縮合物、シリカ、炭酸カルシウム、板状の粒子としては、マイカ、タルク、窒化ホウ素、二硫化モリブデンなどがある。
【0016】
また、顔料分散安定性の為に、アルキル硫酸エステル塩、アルキルリン酸塩、ポリカルボン酸高分子などの陰イオン性界面活性剤、ポリエチレンアルキルエーテル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル等の非イオン性界面活性剤、第4級アンモニウム塩、アルキルアミン塩などの分散剤を添加することが出来る
【0017】
本発明の修正液は、上記各成分をボールミル、アトライター、サンドグラインダー、インペラー等の攪拌分散機を使用して分散混合することによって得られる。
【実施例】
【0018】
実施例1
TITANIX JR−805(酸化チタン、ゼータ電位−10mV、比表面積13m2/g、テイカ(株)製) 40.0重量部
メチルシクロヘキサン 9.0重量部
エチルシクロヘキサン 30.0重量部
ハリマックM−453(ロジン変性マレイン酸樹脂、ハリマ化成(株)製)
20.0重量部
ディスパロンPW−36(界面活性剤、楠本化成(株)製) 1.0重量部
TITANIX JR−805を40℃、80%の恒温恒湿器に1時間放置した後、上記各成分をボールミルで24時間分散し、酸化チタン1重量%に対し、水分が0.015重量%の油性白色インキを得た。
【0019】
実施例2
TITONE R−62N(酸化チタン、ゼータ電位−20mV、比表面積15m2/g、堺化学工業(株)製) 40.0重量部
メチルシクロヘキサン 50.0重量部
ダイヤナールBR105(アクリル樹脂、三菱レイヨン(株)製) 8.7重量部
水 1.0重量部
Disperbyk101(界面活性剤、BYK−Chemie(独国)製)
1.0重量部
上記各成分をボールミルで24時間分散し、酸化チタン1重量%に対し、水分が0.045重量%の油性白色インキを得た。
【0020】
実施例3
TITANIX JR−800(酸化チタン、ゼータ電位−35mV、比表面積27m/g、テイカ(株)製) 45.0重量部
エチルシクロヘキサン 30.0重量部
Quintone1500(石油樹脂、日本ゼオン(株)製) 23.0重量部
ディスパロンPW−36(前述) 2.0重量部
TITANIX JR−805を40℃、80%の恒温恒湿器に3時間放置した後、上記各成分をボールミルで24時間分散し、酸化チタン1重量%に対し、水分が0.056重量%の油性白色インキを得た。
【0021】
実施例4
TITONE R−7E(酸化チタン、ゼータ電位−31mV、比表面積43m2/g、堺化学工業(株)製) 38.0重量部
エチルシクロヘキサン 35.0重量部
YSポリスターT100(テルペンフェノール共重合体、ヤスハラケミカル(株)製)
25.0重量部
ディスパロンPW−36(前述) 2.0重量部
TITONE R−7Eを40℃、80%の恒温恒湿器に1時間放置した後、上記各成分をボールミルで24時間分散し、酸化チタン1重量%に対し、水分が0.023重量%の油性白色インキを得た。
【0022】
実施例5
TIPAQUE R−780−2(酸化チタン、ゼータ電位−35mV、比表面積34m2/g、石原産業(株)製) 40.0重量部
メチルシクロヘキサン 48.0重量部
ダイヤナールBR105(前述) 9.0重量部
水 2.0重量部
Disperbyk101(前述) 1.0重量部
上記各成分をボールミルで24時間分散し、酸化チタン1重量%に対し、水分が0.078重量%の油性白色インキを得た。
【0023】
実施例6
TITANIX JR−805(前述) 35.0重量部
メチルシクロヘキサン 44.5重量部
ダイヤナールBR105 9.0重量部
水 0.5重量部
ウィスカルA(針状粒子、丸尾カルシウム(株)製) 10.0重量部
Disperbyk101(前述) 1.0重量部
上記各成分をボールミルで24時間分散し、酸化チタン1重量%に対し、水分が0.049重量%の油性白色インキを得た。
【0024】
実施例7
TITONE R−7E(前述) 32.0重量部
YSポリスターT100(前述) 25.0重量部
エチルシクロヘキサン 38.0重量部
ウィスカルA(前述) 3.0重量部
ディスパロンPW−36(前述) 2.0重量部
TITONE R−7Eを40℃、80%の恒温恒湿器に1時間放置した後、上記各成分をボールミルで24時間分散し、酸化チタン1重量%に対し、水分が0.028重量%の油性白色インキを得た。
【0025】
実施例8
JR800(前述) 36.0重量部
Quintone1500(前述) 25.0重量部
エチルシクロヘキサン 35.0重量部
ウィスカルA(前述) 1.0重量部
水 1.0重量部
ディスパロンPW−36(前述) 2.0重量部
上記各成分をボールミルで24時間分散し、酸化チタン1重量%に対し、水分が0.068重量%の油性白色インキを得た。
【0026】
実施例9
TITANIX JR805(前述) 40.0重量部
エチルシクロヘキサン 19.1重量部
メチルシクロヘキサン 10.0重量部
ハリマックM453(前述) 12.0重量部
YSポリスターT100(テルペンフェノール共重合体、ヤスハラケミカル(株)製)
12.0重量部
水 5.4重量部
Disperbyk101(前述) 1.5重量部
上記各成分をボールミルで24時間分散し、酸化チタン1重量%に対し、水分が0.140重量%の油性白色インキを得た。
【0027】
実施例10
JR800(前述) 37.0重量部
エチルシクロヘキサン 36.8重量部
ハリマックM453(前述) 12.5重量部
YSポリスターT130(前述) 12.5重量部
水 8.5重量部
Disperbyk101(前述) 1.0重量部
上記各成分をボールミルで24時間分散し、酸化チタン1重量%に対し、水分が0.241重量%の油性白色インキを得た。
【0028】
実施例11
TITANIX JR−805(前述) 40.0重量部
メチルシクロヘキサン 41.0重量部
ダイヤナールBR105(前述) 8.0重量部
水 10.0重量部
Disperbyk101(前述) 1.0重量部
上記各成分をボールミルで24時間分散し、酸化チタン1重量%に対し、水分が0.258重量%の油性白色インキを得た。
【0029】
比較例1
TITANIX JR−301(酸化チタン、ゼータ電位+40mV、比表面積18m/g、テイカ(株)製) 40.0重量部
メチルシクロヘキサン 9.0重量部
エチルシクロヘキサン 30.0重量部
ハリマックM−453(前述) 20.0重量部
ディスパロンPW−36(前述) 1.0重量部
TITANIX JR−301を40℃、80%の恒温恒湿器に1時間放置した後、上記各成分をボールミルで24時間分散し、酸化チタン1重量%に対し、水分が0.020重量%の油性白色インキを得た。
【0030】
比較例2
TITANIX JR−805(前述) 40.0重量部
メチルシクロヘキサン 51.0重量部
ダイヤナールBR105(前述) 8.7重量部
Disperbyk101(前述) 1.0重量部
上記各成分をボールミルで24時間分散し、酸化チタン1重量%に対し、水分が0重量%の油性白色インキを得た。
【0031】
水分量測定
各実施例、比較例で得た油性白色インキの水分量は、カールフィッシャー水分測定装置AQV−300(平沼産業(株)製)で測定した。尚、カールフィッシャー液は力価1.0のものを使用した。
【0032】
沈降物硬さ測定
各実施例、比較例で得た油性白色インキを底面の直径19mmのネジ口瓶に高さ5cmまで充填し、室温で3年放置する。その後、FUDOHレオメーター((株)レオテック)で沈降層の底の部分の硬さを測定した。
測定条件
使用アダプター:φ10の円盤
測定スピード:2cm/分
【0033】
再分散試験
各実施例、比較例で得た油性白色インキを直径8mm、重さ2gのボールを入れた、底面の直径19mmのネジ口瓶に高さ5cmまで充填し、室温で3年放置する。その後、ネジ口瓶を振り、ボールが動き出すまでの回数を測定した。
【0034】
塗膜均一性
各実施例、比較例で得た油性白色インキを厚さ250μmのアプリケーターで黒上質紙上に塗布し、塗膜の均一性を目視にて確認した。
○:塗膜が均一
×:塗膜が斑になる
【0035】
【表1】

【0036】
以上、各実施例で示したようにゼータ電位がマイナスの値をとる酸化チタンと、水分を含有する油性白色インキは、比較例1のゼータ電位がプラスの値をとる酸化チタン、及び比較例2の水分を含有しない油性白色インキに比べ、沈降物硬さが小さく、再分散の振り回数が少ない、経時安定性が良好なものである。
また、実施例3〜8に示したように比表面積が25m/g以上の酸化チタンの使用、及び/または針状粒子の併用により沈降硬さ、再分散性は更に向上し、経時安定性が良好なインキとなる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゼータ電位がマイナスの値をとる酸化チタンと、炭化水素系溶剤と、該炭化水素系溶剤に可溶な樹脂と、水とからなる油性白色インキ。
【請求項2】
酸化チタンの比表面積が25m/g以上である請求項1記載の白色インキ。
【請求項3】
針状粒子を含有する請求項1又は請求項2記載の油性白色インキ。
【請求項4】
酸化チタン1重量%に対し、水分が0.020〜0.250重量%である請求項1乃至3のいずれかに記載の油性白色インキ。

【公開番号】特開2012−131927(P2012−131927A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−286208(P2010−286208)
【出願日】平成22年12月22日(2010.12.22)
【出願人】(000005511)ぺんてる株式会社 (899)
【Fターム(参考)】