説明

油料種子ミールの分別および処理

【課題】本発明の課題は、低価値副産物または廃棄成分を有意な量で含まない高価値産物を生成する、油料種子材料の水性抽出、分別および酵素的処理を提供することである。
【解決手段】油料種子材料を、水性溶媒を使用して最初に溶媒抽出し、水性抽出物を残りの固形物から分離する。該水性抽出物を、フィターゼ富化酵素で処理することによって脱フィチン化する。この脱フィチン化した抽出物を熱処理し、該抽出物中に含まれるタンパクの凝固を誘導し得る。次いで、この沈殿したタンパク質を固体−液体分離によって残りの液体から分離し得る。本発明の方法は、効率的抽出を提供し、同時に、抽出されない材料が反芻動物用のタンパク質−繊維として良好な給餌価値を有するように、そのタンパク質含量を維持する。沈殿したタンパク質の分離後に得られる液体抽出物を、さらに膜濾過によって処理し、高度に有用な産物を生成し得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
本発明は概括的には、低価値副産物または廃棄成分(waste stream)を有意な量で含まない高価値産物を生成する、油料種子(oilseed)材料の水性抽出、分別および酵素的処理に関する。特に、該分別スキームは、主として反芻動物で使用するためのタンパク質繊維飼料成分(protein-fiber feed ingredient)および第2の脱フィチン化高タンパク質分画を生成する。該脱フィチン化高タンパク質分画は、多様な種の動物のための飼料成分としての価値を有する。
【背景技術】
【0002】
背景技術
油料種子、例えばダイズから、高価値タンパク質濃縮物およびタンパク質単離物(>90%タンパク質)を生産するための水性処理系および技術の開発に、かなりの努力が向けられてきた。これらの既存の処理系および技術のすべての目的は、単一のきわめて高度に有用なタンパク質産物を生成することである。その出発材料の非タンパク質成分の価値については、ほとんどまたは全く考察はない。低価値の副産物または廃棄成分の生成なく、出発材料を一連の有用産物に分別するための処理系は、案出されていない。
【0003】
油料種子からの単一の高度に有用なタンパク質産物の生産を目標とする技術および処理系は、しばしば、効率的なタンパク質抽出および単離を達成するために、高レベルの水および化学物質、例えば、塩類、酸または塩基を使用する。水および化学物質の過度な使用を要する系は、しばしば、高価である。低価値の副産物または廃棄成分の処分に、更なるコストが伴う。
【0004】
キャノーラまたはナタネは、およそ40%の油および60%の非油成分からなる。化学工業的処理において、油のほとんどを溶媒抽出または圧搾(expelling)によって種子から取り出す。溶媒抽出に基づく処理系において、非油材料は当初、溶媒を含む白色フレークまたはしぼりかすとして存在する。典型的には、溶媒を、蒸気および熱の適用を含む処理によって白色フレークから除去し、ミールと称する最終的な脱溶媒化した焼き(toasted)産物を生成する。該ミールは、約35%のタンパク質を含み、そしてブタ、家禽およびウシを含む広範な種の動物への食餌飼料(diets feed)に含ませるための飼料成分として販売される。
【0005】
キャノーラ種子タンパク質は、すぐれた飼料価値を有する。該タンパク質は、メチオニン(全タンパク質の2.0%)およびリジン(全タンパク質の5.8%)に富み、これは必須アミノ酸の良いバランスである。種々のタンパク質源の栄養的品質の概説において、Friedman M.(J. Agric. Food Chem. 44: 6-29, 1996)は、ナタネタンパク質濃縮物について3.29、カゼインについて3.13およびダイズ濃縮物について1.60のタンパク質有効性比率(PER)を報告した。ナタネタンパク質濃縮物は、報告された植物性タンパク質源のすべての中で、最高のPERを有した。このように、キャノーラまたはナタネタンパク質は、それ自体が優れた飼料価値を有し、そして他の植物タンパク質に対して例外的であるとみなすことができる。Prendergast, A. F. et al.(Nort. Aquacult. 10: 15-20, 1994)は、脱フィチン化ナタネタンパク質濃縮物が、レインボートラウトへの食餌飼料中の上質フィッシュミールの100%を、該魚の成長成績および飼料効率性に不利な影響なく、置換し得ることを見出した。
【0006】
タンパク質を、ミールの一部としての慣行の形態で供給するとき、動物は、キャノーラまたはナタネタンパク質のタンパク質飼料価値を十分には利用しない。皮を取り除いていない脱溶媒化した焼きキャノーラミールは、高レベルの繊維を含む。繊維は、動物、例えば、魚、ニワトリおよび若いブタにはあまり摂取されず、こうしてミールのタンパク質およびエネルギー含量を希釈する。
【0007】
さらに、抗栄養性ファクター、例えば繊維と関連するフェノール類は、ブタ、ニワトリおよび魚のような単胃性動物の成績に否定的な影響を有し得る。最終ミール産物を調製する間に使用される焼き工程は、該ミールのタンパク質の可溶性を減少させ、そしてニワトリに与えたときのリジン消化性を減少させることが示されている(Newkirkm R.W., et al. Poult.Sci.79:64, 2000)。キャノーラミールは、例外的に高レベルのフィチン酸(phytic acid)を含む(ミールのおよそ3%)。フィチン酸は、該種子でのリンの貯蔵形態であり、そして単胃性種、例えば、ブタ、ニワトリおよび魚によってあまり消化されない。
【0008】
フィチン酸は、ミネラル、アミノ酸およびタンパク質と複合体を形成することができ、それによって栄養消化性を減少させる。さらに、フィチン酸分子中のリンは、該動物には多くは利用できず、そして糞便中に排出される。フィテート(phytate)−Pのこの低い消化性のために、動物の要求に合致するためには食餌を十分利用可能な食物性Pで調製しなければならず、そしてこれはしばしば飼料のコストを増加させる。加えて、厩肥中の未消化Pは、環境を破壊し得、集約的な家畜生産の領域で相当の問題である。全体として、キャノーラミール中の高繊維および高フィテート含量は、単胃性動物、例えば、ブタ、ニワトリおよび魚のためのタンパク質源としてのその飼料価値を限定する。
【0009】
反芻動物、例えばウシは、ルーメン中での発酵によって繊維からエネルギーを抽出できる。さらに、ルーメンの微生物は、フィテートを効率的に加水分解し、こうして抗栄養性効果について有力であり、そして食物性フィチン酸からの環境ヘのダメージは、反芻動物に給餌することにおいては、それほど問題ではない。高度に可溶性のタンパク質は、ルーメン中の微生物によって急速に加水分解され、そして利用される。ルーメン中の分解に抵抗性であるが、その後の小腸通過の間に多くが消化されるタンパク質は、反芻動物にとって最高のタンパク質給餌価値を有する。反芻動物のための飼料成分として、キャノーラ種子中の高度に可溶性のタンパク質は、比較的不溶性である総キャノーラタンパク質の分画よりもより低い給餌価値を有する。
【0010】
この領域の先行技術は、油料種子に基づく出発材料からの効率的タンパク質抽出、次いで単一の高価値産物へのタンパク質の濃縮または単離を達成する方法に焦点がある。
【0011】
米国特許5,658,714号は、抽出媒体のpHを7.0−10.0の範囲に調節することによって、植物性穀粉から効率的にタンパク質を抽出できることを教示する。次いで、タンパク質を、限外濾過により濃縮し、透過物のpHを3.5−6.0に調節することにより沈殿させる。フィテートはタンパク質沈殿工程に抵抗性であり、こうして最終タンパク質濃縮物中のフィテート含量は、タンパク質単離物中の乾物の1%より少ないと記載されている。
【0012】
米国特許4,420,425号は、抽出媒体:油料種子出発材料比率が>10:1である、アルカリ条件を使用する脱脂大豆の水性抽出方法を記載する。この方法では、抽出物中の固形物を濾過によって除去し、溶解しているタンパク質を低温殺菌し、そして抽出物を、分子量カットオフが>100,000である限外濾過膜を経由して通過させ、タンパク質濃縮物を生成する。
【0013】
米国特許5,989,600号は、植物性タンパク質の可溶性を、酵素、例えば、フィターゼおよび/またはタンパク質分解酵素で植物性タンパク質源を処理することによって増加させることができることを教示している。該酵素を、タンパク質可溶性を改善する目的の任意の抽出相に先立ち、出発材料に直接的に適用する。
【0014】
米国特許3,966,971号は、酸フィターゼを植物性タンパク質源材料の水性分散液に添加し、タンパク質抽出を容易化できることを教示している。該水性スラリーを所定のタンパク質についての最小タンパク質可溶性のpHで維持し、そしてタンパク質溶解性を促進するため酸フィターゼでの消化の対象とする。酵素活性を不活性化するのに十分な温度で該混合物を熱処理し、次いで可溶成分を不溶性消化残さから分離する。可溶化されている残さを、遠心分離または濾過またはこれらの手法の組み合わせによって不溶性残さから分離すると記載されている。次いで、該抽出液のpHを望ましいように調節し、そして乾燥し最終産物を生成する。
【0015】
米国特許4,435,319号は、タンパク質をヒマワリミールから、pH4.0ないし7.0の酸でミールの水性スラリーを処理することによって、抽出できることを教示している。該可溶性および不溶性残さを分離し、そして不溶性材料をタンパク質の望まれる抽出が達成されるまで酸溶液で継続的に処理する。次いで、抽出されたタンパク質を沈殿または限外濾過によって回収する。
【0016】
米国特許3,635,726号は、アルカリ条件でのダイズ出発材料の抽出によるダイズタンパク質単離物の生産のための手法を記載し、ここで、該pHはグリシニンの等電pH以上である。不溶性残さからの抽出物の分離後、該抽出物のpHをグリシニンの等電pHに減少させ、タンパク質沈殿を誘導する。
【0017】
米国特許4,418,013号は、水抽出媒体中の化学的添加剤を使用しない、水中での抽出から成る植物性タンパク質源からのタンパク質の抽出のための方法を記載する。次いで、該可溶性抽出物を固形物から分離し、そして冷却水のボディに希釈し、タンパク質粒子の形成を誘導し、これを次いで水から取り出し、乾燥し、実質的に未変成であると記載されるタンパク質単離物を形成する。
【0018】
国際特許出願公開WO95/27406は、フィターゼをダイズベースの出発材料の水懸濁液に添加できることを教示する。pHおよび温度の制御された条件下で、該フィテート含量を、出発材料のフィテート含量の<50%まで減少させる。この発明の好ましい具体例では、出発ダイズ材料は、低温熱処理に曝露されたものであり、そして窒素可溶性指数>50%を有する。排液(effluent)のpHは7−9の範囲内であり、そして該排液は可溶性および不溶性分画に分離される。次いで、該可溶性分画を熱処理し、酵素を不活性化し、そして可溶分をナノ濾過によって濃縮し、そして乾燥し、最終産物を形成させる。該不溶性分画およびナノ濾過中に形成される透過物を廃棄する。
【0019】
Tzeng et al.(Journal of Food Science 1990. 55:1147-1156)は、水性処理スキームを使用する種々の油料種子材料の分別についての一連の実験を記載する。商業的キャノーラミールおよび油を抽出された脱溶媒化された非焼き(non-toasted)キャノーラ白色フレークを出発材料として使用した。すべての抽出を、10以上のpHの水性アルカリ条件下で実施した。この工程では、非抽出固形物残さを分離し、そして該抽出物のpHを3.5に調節し、等電タンパク質沈殿を誘導した。
【0020】
沈殿したタンパク質を、遠心分離によって残りの可溶分から分離した。該可溶性タンパク質を、10,000分子量カットオフ膜を使用して限外濾過およびダイアフィルトレーションによって濃縮した。不溶性残さ、等電沈殿タンパク質および限外濾過された可溶性タンパク質を、乾物、タンパク質、フィテートおよびグルコシノレートレベルについてアッセイした。これらの条件下で、キャノーラミールからの抽出されなかった残さは、出発材料中に存在する固形物の67%およびタンパク質の62%を含有した。乾物基準では、該ミール残さは、42%のタンパク質および5.7%のフィテート含量を有した;該等電沈殿タンパク質は、83%のタンパク質および2%のフィテート含量を有した;および該可溶性タンパク質は86%のタンパク質および1.7%のフィテート含量を有した。
【0021】
等電および可溶性タンパク質は、キャノーラミール出発材料中の全タンパク質中のそれぞれ22%および11%を含んだ。対照的に、アルカリ条件下のタンパク質抽出は、脱溶媒化した非焼きキャノーラ白色フレークを出発材料として使用すると、実質的に高かった。この場合では、抽出されなかった残さは、出発材料中に見出される固形物の50%およびタンパク質の15%を含んだ。乾物基準では、該ミール残さは、11%のタンパク質および6.5%のフィテート含量を有した;等電沈殿タンパク質は87%のタンパク質および1%のフィテート含量を有した;および該可溶性タンパク質は96%のタンパク質および1.2%のフィテート含量を有した。該等電および可溶性タンパク質は、キャノーラ白色フレーク出発材料中の全タンパク質のそれぞれ43%および33%を含んだ。キャノーラ白色フレークからの非常に高い窒素抽出は、アルカリ抽出条件と組み合わせた出発材料の高い窒素可溶性を反映している。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】FFIまたはNatuphosフィターゼのいずれかでの60分の加水分解後の、キャノーラ抽出物のフィテート濃度を示す。
【発明の概要】
【0023】
発明の開示
本発明は、その最も広い態様では、油料種子出発材料、例えば、ナタネまたはキャノーラに由来する油を抽出された脱溶媒化されたフレークの、水性抽出および分別のための方法に関する。この油料種子材料を、水性溶媒を使用して最初に溶媒抽出し、そして水性抽出物を、残りの固形物から分離する。該水性抽出物を、フィターゼ富化酵素(phytase enriched enzyme)で処理することによって脱フィチン化する。
【0024】
こうして得た脱フィチン化した抽出物を熱処理し、該抽出物中に含まれるタンパクの凝固(curdling)を誘導し得る。次いで、この沈殿したタンパク質を固体−液体分離によって残りの液体から分離することができる。
【0025】
その結果は、副産物または廃棄成分の生成を伴わない、一連の高価値産物である。本発明の方法は、効率的抽出を提供し、同時に、抽出されない材料が反芻動物用のタンパク質−繊維として良好な給餌価値を有するように、そのタンパク質含量を維持する。沈殿したタンパク質の分離後に得られる液体抽出物を、さらに膜濾過によって処理し、そしてその後に高度に有用な産物を生成し得る。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明の実施のためのベストモード
油料種子、例えばナタネまたはキャノーラの非油成分の固有の価値の十分な利用は、分別処理を要求し、ここで、該成分を目的の使用のために良好な価値を有する別個の産物に分割する。本発明による分別−処理系は、以下の基準を満たす:
【0027】
産物のすべては、例えば、種々の種、例えば、魚、ブタ、ニワトリおよびウシのための飼料成分、またはヒトの使用のための食物成分のための良好な価値を有する。
【0028】
タンパク質のような栄養分の抽出の効率は、高価値産物の実質的な量を生成するのに十分であるが、抽出残さの価値を過度に妥協してはならない。該抽出残さは、反芻動物のためのタンパク質−繊維としての良好な価値を保持する。高価値産物中の繊維および例えばフィチン酸のような抗栄養性ファクターの含量は、ゼロまたは許容できる程低レベルである。該方法は、低価値副産物または廃棄成分を生成しない。
【0029】
該分別−処理系は、最小水分含量の脱水中間体産物を生成し、全体の工程の乾燥コストを減少させる。
【0030】
該分別−処理系は、水分および化学物質のリサイクルに関連するコストにより、または、ロスおよび置換により、処理の全体コストを増加させるものである、過剰の水分または化学物質を必要としない。
【0031】
よって、本発明は、油料種子の非油成分を別個の産物に効率的に分別するための、油料種子材料、例えば、キャノーラまたはナタネで使用できる、分別−処理スキームを開示する。これらの産物のそれぞれは、かなりの価値を有し、こうして該方法は、何らの実体的な廃棄成分または副産物成分を生成しない。さらに、該方法は、最小の水分含量の脱水された中間体産物を生成し、そして高レベルの水分または化学物質を要しない。該方法は、油料種子からのタンパク質の高度に効率的な抽出および単離に焦点を置き、そして該種子の非油成分の十分な使用をもたらす高価値産物への該材料の効率的な分別に焦点を置かない、先行技術と明確に異なる。
【0032】
該発明は、出発材料として、ナタネまたはキャノーラに由来する油料種子材料を使用する。特に、該出発材料は、ナタネまたはキャノーラからの、油を抽出された、焼かれていないか、または軽度に焼かれた(lightly toasted)フレークである。本発明では、焼かれていないか、または軽度に焼かれたフレークを、油抽出後に残る、種子の残さとして定義し、ここでこの材料は、実質的な熱に対する曝露なく、脱溶媒化されている。より正確には、焼かれていないか、または軽度に焼かれたフレークを、>50%の窒素分散性指数(Nitrogen dispersibility index, NPI)を有すると定義する。窒素分散性指数を、AOCS公式方法Baによって決定できる。
【0033】
本発明は、2段階の抽出および脱フィチン化工程を記載する。第1段階では、該出発材料を、好ましくは10%(W/V)ないし50%(W/V)、より好ましくは15%(W/V)ないし約30%(W/V)の水性抽出媒体と混合する。該水性抽出媒体は、塩、例えば、NaClまたはKCl;酸、例えば、HClまたはクエン酸;または塩基、例えば、NaOHまたはKOHを含み得る。塩は、<2%(W/V)で存在することができる。酸は、該抽出媒体のpHが>2であるように含まれることができ、塩基は、pH<12であるように含まれることができる。本発明の好ましい実施態様では、該抽出媒体は、塩、酸または塩基の添加のない水からなる。
【0034】
出発材料の抽出媒体との混合後、該混合物を、圧縮および/または真空濾過およびふるい分け、または、可溶性材料プラス小固形物断片を含む液体から成る抽出物を取り出す任意の他の分離系のような系を使用して脱水する。該抽出物中の小固形物断片は、本質的に細胞ミート(meats)を含む。該抽出された残さ材料は、より大きい抽出された粒子、例えば、外皮および抽出された細胞ミートのより大きい断片からなる。出発材料中のフェノール性化合物のほとんどは、種子外皮の繊維構造中に見出される。本発明で使用する抽出媒体中で酸、塩基または塩を使用しない温和な抽出条件下では、フェノール類の酸化はおこらず、そして高レベルの、フェノール類の酸化を阻害する化合物、例えば、NaSOを要しない。
【0035】
バルク抽出物中の可溶分と一緒の細胞ミートの小断片の取り出しは、効率的かつバランスのとれた抽出という結果となる。全タンパク質の30%より多い、好ましくは50%より多いものは、バルク抽出物中で回収される。本発明の好ましい視点では、全タンパク質のおよそ65%をバルク抽出物中に回収する。
【0036】
本発明にしたがって、抽出された材料は、反芻動物のためのタンパク質−繊維飼料としてかなりの価値を保持する。該タンパク質含量は、抽出された材料中の乾物の>20%、好ましくは>30%である。抽出された材料の脱水は、比較的効率的な工程であり、その結果、該脱水工程後の水分含量は、全マスの<70%である。本発明では、脱水された抽出材料をさらに処理し、この材料のタンパク質−繊維飼料成分としての価値を増加させる選択肢が存在する。例えば、該材料を化学物質、例えば、NaOHで既知のやり方でさらに処理し、繊維消化性を増加させ得る。
【0037】
加えて、物理的繊維破壊の既知の方法、例えば、蒸気またはアンモニアに基づく繊維爆発を使用し、繊維消化性を増加させ得る。最終的に、該材料を繊維分解酵素、例えばフェルラ酸エステラーゼ、セルラーゼ、およびヘミセルラーゼで処理し、反芻動物に給餌したときの、産物内の繊維の消化性を増加させ得る。本発明にしたがって、脱水された抽出材料を既知のやり方で乾燥し、反芻動物、例えばウシおよびヒツジのためのタンパク質−繊維飼料として良好な価値を有する最終産物を生産することができる。
【0038】
本発明の第2段階において、該抽出物を、温度および時間の制御条件下でフィターゼ富化酵素産物とのインキュベーションによって全部または一部脱フィチン化する。該バルク抽出物のpHを修飾し、酵素活性を促進することができる。さらに、化学キレート化剤、例えば、クエン酸を該抽出物に添加し、脱フィチン化工程を促進することができる。Maenz, D.D., et al.(Ani. Feed Sci. Tech. 81:177-192, 1999)は、キレート化剤、例えばクエン酸は、キャノーラミールを含むフィターゼの水性スラリーに添加されると、脱フィチン化工程を促進することを実証した。
【0039】
恐らく、これは競合的キレート化の機構を経由して起こり、それによって該キレート化剤はミネラルに結合し、これによってフィチン酸へのミネラル結合を減少させ、そして該基質の該酵素による加水分解に対する感受性を増加させる。本発明の好ましい実施態様では、脱フィチン化工程でpH修飾せず、かつ、化学キレート化剤を使用しない。本発明によると、酵素インキュベーションは10−70℃の温度で1ないし600分であることができる。しかし、脱フィチン化の工程は比較的効率的であり、そして本発明の好ましい実施態様では、該反応は、50℃で60分間で起こる。バルク抽出物中の全フィテートの50%以上、好ましくは70%以上が、酵素処理相中に加水分解される。
【0040】
本発明において、脱フィチン化抽出物のタンパク質含量は、乾物の>40%、好ましくは>50%である。脱フィチン化抽出物のフィテート含量は、乾物の<1.0%、好ましくは<0.5%である。既知のやり方で該抽出物を乾燥し、低フィテート高タンパク質産物を生成する選択肢が存在する。この産物は、動物、例えば魚、ブタ、家禽、反芻および愛玩動物のための飼料成分として良好な価値を有する。
【0041】
本発明の好ましい実施態様では、抽出物の価値をさらなる分別によって増加させる。例として、抽出物中のタンパク質の一部を既知のやり方で、例えば、等電沈殿のような方法によって沈殿させることができる。この特定の方法では、抽出物のpHを抽出物中の溶液中のタンパク質のpKa値に調節し、沈殿を誘導する。
【0042】
次いで、沈殿したタンパク質を液体から分離し、そして乾燥し、低フィテート高タンパク質産物を形成する。第2の例では、抽出物中のタンパク質を既知のやり方で、膜濾過のような方法によって濃縮することができ、分子量の相違に基づいて溶液中の分子を分離する。抽出物を限外濾過膜に通過させることによって、可溶性タンパク質を濃縮液(retentate)中で濃縮し、そしてより低い分子量の化合物から部分的に分離する。この限外濾過段階中に形成されるタンパク質濃縮物を乾燥し、低フィテート高タンパク質産物を生成することができる。
【0043】
さらに、2または3以上のタンパク質濃縮段階を逐次的に実施し、抽出物から複数の産物を生産することができる。例として、沈殿段階、例えば、等電沈殿を使用し、抽出物中の全タンパク質の一部を沈殿させることができる。この材料を、液体から除去することができ、そして該液体を次いで限外濾過膜を経由して通過させ、タンパク質濃縮物を生成することができる。この系では、2種のタンパク質産物を抽出物から調製することができる。
【0044】
本発明の好ましい実施態様では、脱フィチン化抽出物を熱処理によってさらに処理する。脱フィチン化抽出物を1分以上>80℃で加熱する。好ましい実施態様では、脱フィチン化抽出物の該温度を、95℃に上昇させ、そして5分間維持する。該抽出物中の全タンパク質の一部は、熱誘導性タンパク質凝固に感受性である。さらに、熱処理工程は該抽出物を低温殺菌するために供し、それによって最終産物中にある微生物を減少させる。
【0045】
加えて、熱処理は、酵素処理相中に抽出物に添加されたいずれの酵素活性をも変成させる。所望により、熱誘導性タンパク質凝固を高めると知られる化学物質、例えば、CaSOを抽出物に添加する。
【0046】
加えて、HClのような酸またはNaOHのような塩基を抽出物に所望により添加し、熱誘導性凝固の工程を高める。好ましい実施態様では、化学物質を添加せず、そして熱誘導性タンパク質凝固が、抽出物の補填なく起こる。次いで、該熱処理された脱フィチン化された抽出物を圧縮および/または真空濾過および/または固形物(凝固タンパク質と小固形断片)から液体を効率的に除去する任意の他の分離系と組み合わせた、金属ふるいでのふるい分けのような系によって処理する。
【0047】
本発明によると、熱処理した脱フィチン化された抽出物中の全タンパク質の>30%、好ましくは>50%は、前記のような容易に脱水できる固形物の形態である。脱水は、効率的工程であり、その結果、脱水後の水分含量は、脱水された固形物の全マスの<70%である。抽出物から形成される脱水されたタンパク質産物の水分含量が少ないことは、最終産物を生成するための乾燥コストが低いことにより実質的な節約がある点において、予測されなかったものであり、かつ、有用である。
【0048】
本発明によると、タンパク質は、熱処理された、脱フィチン化抽出物から分離される、脱水された固形物中の乾物の>45%、好ましくは>55%を占める。
【0049】
本発明によると、該フィテート含量は、該脱水された固形物中の乾物の<1%、好ましくは<0.5%である。本発明では、該脱水された固形物を既知のやり方で容易に乾燥し、低フィテート高タンパク質産物を、魚、ブタ、家禽、反芻動物および愛玩動物を含む動物の広範な種のための優れた飼料価値を有して生産することができる。
【0050】
熱処理され、脱フィチン化された抽出物の脱水中に形成される液体相は、熱誘導性沈殿に抵抗性である、可溶性炭水化物および可溶性タンパク質を主として含む。この液体を既知のやり方で乾燥し、魚、ブタ、家禽、反芻動物および愛玩動物を含む広範な種の動物のための飼料成分として価値を有する、エネルギー−タンパク質産物を生成することができる。
【0051】
本発明の好ましい実施態様では、熱処理した、脱フィチン化抽出物の脱水中に形成された液体相をさらに分別し、材料の価値を増加させる。ある例として、該抽出物中の全タンパク質の一部を既知のやり方で、例えば等電沈殿のような技術によって沈殿できる。沈殿したタンパク質を次いで分離し、そして乾燥し、低フィテート高タンパク質産物を形成することができる。沈殿したタンパク質の除去後の残留液体は、主として、熱誘導性および等電沈殿に抵抗性である可溶性炭水化物およびタンパク質を含む。この材料を乾燥し、ブタおよび家禽のような動物のための良好な飼料価値を有する産物を生成し得る。
【0052】
本発明の他の好ましい実施態様では、熱処理され、脱フィチン化された抽出物の脱水中に形成される液体を、膜濾過系によって直接的に処理し、構成可溶性タンパク質および炭水化物を分離および濃縮する。具体的には、タンパク質含量が乾物の>65%、好ましくは>75%であるタンパク質濃縮物を、該液体を限外濾過膜に通過させることによって形成できる。
【0053】
限外濾過中に形成されるタンパク質濃縮物を既知のやり方で乾燥し、高価値タンパク質産物を生成できる。本発明によると、このタンパク質濃縮物のフィテート含量は乾物の<0.1%である。本発明の好ましい側面では、該タンパク質濃縮物のフィテート含量は、検出不能である。0−フィテート高タンパク質濃縮物は、魚、ブタ、ニワトリおよびウシのための飼料成分として優れた価値を有する。このタンパク質濃縮物には、さらに、食物成分としてのヒトの使用および消費の可能性がある。
【0054】
なおも、本発明の他の好ましい実施態様では、限外濾過段階中に形成された透過物をナノ濾過によってさらに処理し、炭水化物富化濃縮物を生成できる。この炭水化物濃縮物を動物のための液体濃縮物エネルギー飼料として直接的に使用できる。あるいは、該濃縮物を既知のやり方で乾燥し、そして乾燥飼料成分として使用できる。最終的に、エタノール生産のための発酵工程への供給原料として該濃縮液を直接的に使用する選択肢が存在する。
【0055】
さらに、本発明の別の好ましい実施態様では、ナノ濾過中に形成される透過物を当初の抽出媒体中に直接的にリサイクルできる。逆浸透により濾液中の水を精製し、それによって追加的産物としてミネラル濃縮物を生成する選択肢が存在する。
【0056】
本発明をより詳細に以下の実施例によって記載する。該実施例は、本発明を例示するためのみに提供し、そしていかなる意味でも本発明の範囲を限定するものと解すべきではない。
【実施例】
【0057】
実施例1
非焼き(non-toasted)キャノーラフレークの分別
ヘキサン負荷して油を抽出したキャノーラフレークを、商業的粉砕設備から取得する。この材料は、脱溶媒化、または焼き工程を経由していなかった。該フレークをバーラップバッグ中で貯蔵し、そして開放空気環境で最低7日維持し、ヘキサンが蒸発させた。該脱溶媒化フレークを、そのフレーク中のより大きいかたまりを粉砕するために砕いた。
【0058】
20kgの脱溶媒化キャノーラフレークを、リボンブレンダー中、50℃で、60リットルの水と10分間混合する。該混合物を圧縮ベルトフィルタープレス(Frontier Technolofies Incorporated)に通過させた。該ベルトは、9個のプレッシャーロールおよびニップロールを有する、30cmの350CFMベルトからなる。ベルトプレスの通過は、該混合物を抽出物とプレスケーキに分離した。該抽出物を、慣行的に確立された0.15mm開口金属ふるいと適合化された小スケールの商業的デパルパー(depulper)に通過させた。該デパルパーは、該抽出物からより大きい粒子を除去した。該パルプを2度該デパルパーに通過させ、より大きい粒子の分離を改善した。第2の通過後に残っているパルプを、プレスケーキ材料と混合した。50℃で20リットルの水を、プレスケーキに添加し、そして一様なコンシステンシーが得られるまでリボンブレンダーで混合した。該混合物を次いで、ベルトフィルタープレスに通過させた。ベルトプレスを経由するこの第2通過からの抽出物を、第1抽出のために記載したように、デパルパーによって処理した。
【0059】
第2抽出物の処理からの残っているパルプを、第2プレスケーキに混合した。50℃で10リットルの水を、一様なコンシステンシーが得られるまでリボンミキサーで第2プレスケーキと混合した。次いで、該混合物を6インチ脱水スクリュープレス(Model CP-6)Vincent Corporationによって処理し、抽出物およびプレスケーキを生成した。該抽出物を、前記のようにデパルパーによって処理し、そして該パルプを、該スクリュープレスによって第1通過から取得したプレスケーキに添加した。50℃で5リットルの水を、一様なコンシステンシーが得られるまでリボンミキサーで該プレスケーキと混合した。該混合物を、該スクリュープレスに通過させた。
【0060】
該抽出物を、前記のようにデパルパーによって処理し、そして該パルプを該プレスケーキに添加した。該パルプとプレスケーキの混合物を(さらなる水の添加なく)、該スクリュープレスへの最終的な通過によって処理し、最終的なプレスケーキおよび抽出物を生成した。抽出−脱水処理中の、種々の段階からの脱パルプ抽出物のすべてをプールし、そして混合して最終抽出物を生成した。該出発材料、最終抽出物および最終プレスケーキの粗タンパク質および乾物含量を、アッセイした。該タンパク質および乾物マスフローは、表1に示す。
【0061】
【表1】

【0062】
実施例2
キャノーラフレークの抽出物の脱フィチン化
フィターゼ(Natuphos(商標)5000, BASF)またはFFIフィターゼ(FinnFeeds Internationalによって供給される非商業的酵素)を水で希釈し、その結果、250μlアリコートは、それぞれフィターゼの0、250、500、1000、2000、4000、6000、8000、および10000Uを添加した等価物であった。フィターゼ活性の1単位は、37℃およびpH5.5で過剰のフィチン酸ナトリウム溶液から1分あたり1マイクロモルの無機リンを放出する酵素源の量として定義される。
【0063】
コニカル遠心管で、20gの非焼き脱溶媒化キャノーラフレークを、100mlの50℃の0.75%のNaClと混合した。該スラリーを3000*gで10分間遠心分離した。該上清を取り出し、そしてガラス試験管中、2mlアリコートに分割し、そして50℃のウォーターバス中に置いた。60分が経過した後、該反応を、氷冷1MのHClを添加し、そしてボルテックスで撹拌することによって停止させた。該サンプルを氷上で放置し、反応が停止することを確保した。該サンプルを可溶性リンについて分析し、そしてその60分のサンプルをフィテートについて分析した。
【0064】
FFIおよびNatuphosフィターゼの60分の処理後の、塩水抽出物中のフィテートのレベルを、図1に示す。たった250単位のいずれかのフィターゼを、pH5.8でのキャノーラ抽出物の完全な脱フィチン化に要した。キャノーラミールスラリーの完全な脱フィチン化は、5000U/kgのフィターゼを要することが、以前の研究で示された。以前の研究はまた、その脱フィチン化の効率がスラリーのpHを5.8から5.0に減少させることによって改善されたことを示したが、この研究では、pH5.8でなお、該反応が非常に速やかに起こった。
【0065】
実施例3
キャノーラフレークの脱フィチン化抽出物の熱誘導性タンパク質凝固
非焼き脱溶媒化キャノーラフレークを、実施例に記載のように抽出−脱水によって処理した。しかし、この場合では該脱溶媒化フレークを10U.S.メッシュふるいでふるい分けし、出発材料から大きな凝集物を除去した。
【0066】
最終抽出物を、100Lスチームケトル中に置き、そして抽出物の温度を、50℃に上げた。フィターゼ(実施例2に記載したFFIフィターゼ)を該混合物に添加し、1500FTU/kgのオリジナルフレーク出発材料を提供した。該混合物を、機械的アジテーターで継続的に撹拌し、そして抽出物の脱フィチン化に影響するように、温度を60分間維持した。脱フィチン化期間の終わりに、混合物の温度を95℃に上げ、そしてこの温度を5分間維持した。該熱処理期間の終わりに、該ケトルヘの蒸気をとめ、そしてラインを経由して冷水を流した。
【0067】
タンパク質富化凝固物が該液体のトップに形成し、そして該凝固物を20分の冷却期間中に硬化させた。ケトルの全内容物を、200ミクロン開口ニテックス(nitex)ふるいに注いだ。固形物を、ふるい上にとり、そして該ふるいおよび内容物を折り重ね、そしてチーズ型中に置いた。該タンパク質富化凝固物を10分間液圧チーズプレスで5PSIで圧縮した。
【0068】
該圧力を10PSIに上げ、そして10分間維持した。該圧力を再び20PSIに上げ、そしてさらに10分間維持した。該圧力を再び30PSIに上げ、そしてさらに10分間維持した。最終的に該圧力を40分に上げ、そして20分間維持した。該出発フレーク、最終プレスケーキ、抽出物、脱水タンパク質富化凝固物、および、脱フィチン化熱処理抽出物の脱水からの液体分画をタンパク質および乾物についてアッセイした。種々の分画のタンパク質および乾物含量およびマスフロータンパク質および乾物を表2に示す。
【0069】
【表2】

【0070】
実施例4
キャノーラ抽出物の熱処理によって形成される、タンパク質凝固物の脱水中に得られた液体抽出物の限外濾過
液体抽出物を、キャノーラフレーク抽出物の熱処理によって形成された、タンパク質凝固物の圧縮脱水によって得た。液体抽出物を取得するための手法は、実施例1および3に記載したのと同じであった。
【0071】
7.5リットルの液体を、濾過処理の間に、一定の45℃で維持した。該液体を、名目分子量カットオフが10000である1812限外濾過膜に通過させた。該透過物を収集し、そして濃縮液(retentate)を1.5Lに濃縮した。限外濾過の終了後、全部で6ラウンドのダイアフィルトレーションを行った。それぞれのランについて、45℃で1.5Lの水を該濃縮液に添加し、そして該濃縮液を、1.5Lの体積に濾過した。最終濃縮液を、タンパク質および乾物含量についてアッセイした。91.3%(乾物のパーセントとして表示)の最終タンパク質濃度が該濃縮液について得られた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
低価値副産物または廃棄成分を有意に伴わずに高価値産物を生成するための、油料種子出発材料の水性抽出および分別の方法であって、
(a)ナタネまたはキャノーラ出発材料を水性溶液と混合し、そこからタンパク質を抽出すること、
(b)取得した水性抽出物を残りの固形物残さから分離すること、
(c)該水性抽出物をフィターゼ富化酵素で処理し、出発材料中に含まれる全タンパク質の30重量%以上を含む脱フィチン化された高タンパク質分画を取得すること、および、
(d)抽出の固形物残さを、該固形物残さの乾物基準で少なくとも20重量%のタンパク質を含む有用なタンパク質−繊維産物として回収すること、
を含む方法。
【請求項2】
該出発材料が、ナタネまたはキャノーラに起源する、油を抽出され、脱溶媒化されたフレークを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
該脱溶媒化されたフレークが軽度に焼かれたフレークである、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
該脱フィチン化された水性抽出物を加熱し、該抽出物中に含まれるタンパク質の凝固を誘導する、請求項1、請求項2または請求項3に記載の方法。
【請求項5】
該油料種子出発材料を約10ないし50%(w/v)の濃度で水性溶液と混合する、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
該水性抽出物を、濾過およびふるい分けによって残りの固形物残さから分離し、細胞ミートの小断片を含む水性抽出物を取得する、請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
該油料種子出発材料中に含まれる全タンパク質の50%以上が、該水性抽出物中に抽出される、請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
該フィターゼ富化酵素での処理が、10ないし70℃の範囲の温度で実施される、請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
該フィターゼ富化酵素での処理が、該水性抽出物中に含まれる全フィテートの50%以上を加水分解する、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
該脱フィチン化された抽出物を、少なくとも80℃の温度で少なくとも1分間加熱し、タンパク質の凝固を誘導する、請求項2ないし請求項9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
脱フィチン化された抽出物の熱処理後に存在する、凝固したタンパク質および固形物の小断片を、固体−液体分離によって残りの液体抽出物から分離する、請求項2ないし請求項10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
該分離された固体が、1重量%以下のフィテートを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
該液体抽出物を限外濾過によってさらに処理して、可溶性タンパク質を濃縮し、より低分子量の成分から部分的に分離する、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
該分離した固形物を乾燥させて、高タンパク質かつ低フィテートのタンパク質濃縮物を生産する、請求項12に記載の方法。

【図1】
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【公開番号】特開2010−252802(P2010−252802A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−140734(P2010−140734)
【出願日】平成22年6月21日(2010.6.21)
【分割の表示】特願2001−583561(P2001−583561)の分割
【原出願日】平成13年5月14日(2001.5.14)
【出願人】(306045040)ユニバーシティー・オブ・サスカチェワン (1)
【Fターム(参考)】