説明

油検知具および油検知方法

【課題】単純な構造且つ低コストであり、作業員による目視での判定であっても、水への油の混入の有無を高い精度で検知することが可能な油検知具および油検知方法を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明にかかる油検知具110の構成は、油(絶縁油104)と反応して変質する試薬122を塗布または含浸された試験体120と、細孔132を有し試験体120の表面を被覆する防水性シート130と、を備えることを特徴する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水に混入した油を検知するための油検知具および油検知方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、都市部を中心として、地中にトンネルや管路、地下道を構築し、その中に送電ケーブルを敷設した地中送電が普及している。地中送電の送電ケーブルとしては、OFケーブル(Oil-Filled CABLE:油浸絶縁紙ケーブル)やCVケーブル(Cross-linked poly ethylene insulated poly Vinyl chloride sheathed cable:架橋ポリエチレン絶縁ビニルシースケーブル)が主に使用されている。OFケーブルは、導体の周りに絶縁体である油浸紙が巻きつけられており、ケーブル内部に油(絶縁油)を流通させる(充填する)ことで電気絶縁性を高めている。
【0003】
ところで、トンネルや管路、地下道およびこれらに繋がっているマンホール等(以下、地下設備と称する)には、主として雨水が流入して溜まっている場合が多い。このため、このような地下設備で作業を行う際には、それらの内部の水を下水等に排出する(排水処理を行う)必要がある。しかし、地下設備に敷設されているケーブルがOFケーブルであった場合、経年劣化や敷設環境の変化などによりOFケーブルに損傷が生じ、その内部を流通する油が、ケーブル外へ流出し、地下設備内の水に混入していることがある。
【0004】
地下設備内の水に油が混入していた場合、油が混入した水をそのまま下水へ排出すると環境汚染に繋がるおそれがある。このような事態を回避するために、排水設備を備えた大規模な地下道等では、据え置き型の油検知装置を設置し、水への油の混入の有無を常時監視している。
【0005】
据え置き型の油膜検知装置としては、油と水の静電容量差を利用するものや、油による光の屈折率変化を利用するもの等があり、例えば特許文献1には、油が光ファイバに付着したときに生じる光漏洩量の変化に基づいて油を検知する光学式油検知器が開示されている。特許文献1によれば、油が付着したことによる光ファイバの光伝送損失の増大を利用し、水に漏出する油を好適に検知することができるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−90750号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
マンホール等の小規模な地下設備においては、排水設備を備えておらず、作業する段階になって排水処理を行っている。このため、小規模な地下設備では油漏れが発生しても緊急の対処が必要ではなく、油漏れの常時監視を行っていない。しかし、水に油が混入していた場合には、やはりそのまま下水に排水することはできないため、小規模な地下設備においても油を検知する必要がある。
【0008】
しかし、特許文献1に記載の光学式油検知器に限らず、据え置き型の油検知装置は、いずれも検出センサーと検出制御盤を備えたものであるため大掛かりな装置である。したがって、据え置き型の油検知装置は、地下道等の大規模な地下設備であれば容易に設置可能であるが、マンホール等の小規模な地下設備である場合、設置面積や電源、通信線の設置の都合上、設置が困難である。
【0009】
また据え置き型の油検知装置は高価であるため、大規模な地下道等のみならず、すべての小規模なマンホール等にまでそれを設置するには、莫大な費用を要する。したがって、コスト面においても、マンホール等の小規模な地下設備への据え置き型の油検知装置の設置は困難であった。
【0010】
したがって、現状では、マンホール等の小規模な地下設備では、水への油の混入の有無を、作業員が目視で確認して判定している。しかしながら、マンホール等の内部は、光の入射が少ないため暗く、視認性が著しく悪い。更に、OFケーブルに用いられている油は無色である場合が多く、水面に薄く油膜が張られていたとしても、水と油とを判別することが極めて困難である。さらに地中であるマンホール等の内部には汚泥や落ち葉が混入している場合もあるため、水面の状態の確認もままならない。これらの事情から、作業員による目視での判定には非常な苦労を伴うという課題があった。
【0011】
本発明は、このような課題に鑑み、単純な構造且つ低コストであり、作業員による目視での判定であっても、水への油の混入の有無を高い精度で検知することが可能な油検知具および油検知方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために、本発明にかかる油検知具の代表的な構成は、油と反応して変質する試薬を塗布または含浸された試験体と、細孔を有し試験体の表面を被覆する防水性シートと、を備えることを特徴する。
【0013】
上記構成によれば、細孔が水面より下に位置するように当該油検知具を水中に挿入すると、水に油が混入していた場合、油と水との表面張力の違いにより、主に油が細孔を通過して試験体と接触する。これにより、試験体に塗布または含浸させた試薬がかかる油と反応して変質するため、作業員は試薬の変質の有無を目視で確認するだけで、水への油の混入の有無を容易に判定することが可能となる。したがって、作業員の個人の感覚による誤判定要素を除外することができ、水への油の混入の有無を高い精度で検知することが可能となる。
【0014】
またマンホール等に溜まっている水には汚泥等が含まれていることが多いが、試験体を被覆する防水性シートを備えることで、汚泥等の試験体への付着を防ぐことができる。これにより、試験体の汚染を回避し、視認性の低下を防止することが可能となる。このように、当該油検知具は試験体および防水性シートの2つの部材から構成されるため、その構造が極めて単純であり、且つ安価に製造することができる。
【0015】
上記の細孔は、直径が100μm以上250μm以下であるとよい。かかる構成により、油が細孔を好適に通過することができる。なお、細孔の直径が100μmより小さいと、油が細孔を通過しづらくなってしまう。したがって、水に油が混入していたとしても油と試薬との反応が生じにくくなり、誤判定が生じやすくなる可能性がある。また、細孔の直径が250μmより大きいと、油だけでなく大量の水までもが細孔を通過してしまう。これにより、水に混入している汚泥等が試験体に付着し、試薬の変質を確認しづらくなるため好ましくない。
【0016】
上記の防水性シートは、厚さが0.08mm以上0.1mm以下のポリプロピレンシートからなるとよい。ポリプロピレンシートは防水性に優れるため、かかる防水性シートに好適に用いることができる。なお、厚さが0.1mmより厚いと、油が細孔を通過しづらくなり、上述したように誤判定が生じやすくなる可能性がある。また、厚さが0.08mmより薄いと、水が細孔を通過しやすくなり、上述したように試薬の変質を確認しづらくなるため好ましくない。
【0017】
上記の試薬は、油と反応して変色するとよい。何らかの方法によって変質したことを検知できれば油の検知としては足りるが、色が変化することにより、作業者が作業現場において試薬の変質を一目で視認することができ、水への油の混入の有無を更に容易に確認することが可能となる。
【0018】
上記課題を解決するために、本発明にかかる油検知具の他の構成は、油と反応して変質する試薬を塗布または含浸されたシート状の試験体と、防水性を有する材料からなり試験体を収容する収容ケースと、を備え、収容ケースは、試験体の試薬を塗布または含浸された面と接する面に細孔を有することを特徴とする。
【0019】
かかる構成によれば、上述した油検知具と同様の利点を得ることができ、且つシート状の試験体を収容ケースに入れるだけで、当該油検知具を容易に作製することが可能となる。
【0020】
上記課題を解決するために、本発明にかかる油検知方法の代表的な構成は、油と反応して変質する試薬を塗布または含浸された試験体と、細孔を有し試験体の表面を被覆する防水性シートとを備える油検知具を用いて、細孔が水面より下に位置するように油検知具を水中に挿入し、所定時間経過後に油検知具を水中から取り出し、試薬の変質の有無を判断することを特徴とする。
【0021】
上述した油検知具における技術的思想に対応する構成要素やその説明は、油検知方法にも適用可能である。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、単純な構造且つ低コストであり、作業員による目視での判定であっても、水への油の混入の有無を高い精度で検知することが可能な油検知具および油検知方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本実施形態にかかる油検知具および油検知方法を適用する地下設備を示す図である。
【図2】本実施形態にかかる油検知具を示す図である。
【図3】本実施形態にかかる油検知方法について説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。係る実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値などは、発明の理解を容易とするための例示にすぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、又本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0025】
図1は、本実施形態にかかる油検知具および油検知方法を適用する地下設備を示す図である。なお、図1では、地下設備として小規模のマンホール100を例示するが、これに限定するものではなく、油が混入している可能性のある水が存在するすべての地下設備に、当該油検知具および油検知方法を適用することが可能である。
【0026】
図1(a)に示すマンホール100には、コネクタ102aにより接続されたOFケーブル102が敷設されており、OFケーブル102の内部には絶縁油(図示せず)が流通している。経年や敷設環境の変化などによりかかるOFケーブル102に劣化や損傷が生じると、図1(b)に示すように、絶縁油104が、OFケーブル102外へ流出し、マンホール100内の水106に混入する。すると、水と油との比重の差により絶縁油104は水面106aに浮上し、かかる水面106aには油膜104aが形成される。
【0027】
このように、マンホール100内(地下施設内)の水に油(絶縁油104、油膜104a)が混入すると、かかる水を、単に排水することができず、吸引して所定の施設で脱油処理を施す必要がある。したがって、排水処理を行う前に、水への油の混入の有無を確認する必要がある。以下の実施形態では、作業員による目視での判定であっても、水への油の混入の有無を高い精度で検知することが可能な油検知具および油検知方法について詳述する。
【0028】
図2は、本実施形態にかかる油検知具を示す図である。特に、図2(a)は油検知具の正面図であり、図2(b)は図2(a)のA−A断面図であり、図2(c)は図2(b)の部分拡大図である。図2に示すように、本実施形態にかかる油検知具110は、試験体120と、防水性シート130とを備える。
【0029】
試験体120は、絶縁油104(油)と反応して変質する試薬122(図2中、ハッチングで示す)を塗布または含浸される、すなわち試薬122の担持体である。本実施形態では、試験体120はシート状である。これにより、当該油検知具110の厚みを薄くすることができるため、小型化を図り、かかる油検知具110を容易に携行することが可能となる。試験体120の材質としては、上質紙等の紙が好適である。しかし、これに限定するものではなく、試薬122を担持可能な材質であればよい。
【0030】
本実施形態においては上記の試薬122は、絶縁油104と反応して変色する薬剤を用いる。これにより、作業者が、試薬122の変質を一目で視認することができ、水106への絶縁油104の混入の有無を更に容易に確認することができる。しかし、これに限定するものではなく、絶縁油104と反応して変質し、紫外線照射により蛍光を発する薬剤等も好適に用いることができる。
【0031】
なお、上記の理由から、試験体120自体の色は、変色後の試薬122の色と異なる色彩であることが好ましく、更に好ましくは、白色またはそれに近い色であるとよい。これにより、視認性をより向上することが可能となる。
【0032】
図2(a)および(b)に示すように、本実施形態では、試薬122は、試験体120の両面のうち、後述する防水性シート130の細孔132を有する面と当接する面の略下半分の領域にのみ塗布されている。これは、絶縁油104は、細孔132を通過して防水性シート130内に浸入するため細孔132付近において試験体120に付着するためである。したがって、上記構成のように、試験体120の、絶縁油104が付着する部分付近にのみ試薬122を塗布することで、試薬122の無駄を省き、これに要するコストを削減することができる。
【0033】
防水性シート130は、防水性を有する材料からなり試験体120の表面を被覆するシートである。これにより、マンホール100に溜まっている水106に含まれる汚泥等の試験体120への付着を防ぐことができ、試験体120の汚染を回避し、視認性の低下を防止することが可能となる。また仮に防水性シート130に汚泥等が付着しても、拭き取ることにより汚泥等を容易に除去することができるため、良好な視認性を確保することができる。更に、防水性シート130により試験体120への大量の水106の含浸を防ぐことができるため、試験体120に塗布された試薬122がかかる水106により剥離することを防ぐことができる。
【0034】
本実施形態においては、防水性シート130を、試験体120を収容する袋状の収容ケースとしている。これにより、シート状の試験体120を防水性シート130の内部に入れるだけで、当該油検知具110を容易に作製することができる。また防水性シート130はポリプロピレンシートから構成される。これにより、高い防水性を確保することが可能となる。なお、これに限定するものではなく、ポリプロピレン以外の高分子材料からなるシートを用いてもよいし、紙や布等の高分子材料以外からなるシートに防水加工を施したものを用いてもよい。
【0035】
防水性シート130の厚さは、0.08mm以上0.1mm以下であるとよい。厚さが0.1mmより厚いと、絶縁油104が細孔132を通過しづらくなり誤判定が生じやすくなる可能性があり、厚さが0.08mmより薄いと、水106が細孔132を通過しやすくなり、試薬122の変質を確認しづらくなるためである。
【0036】
また防水性シート130は、試験体120の試薬122を塗布された面と接する面に細孔132を有する。これにより、絶縁油104が、防水性シート130を通過して試験体120に付着し、試薬122と反応することが可能となる。なお、本実施形態においては、細孔132は防水性シート130の1面のみに設けられているが、これに限定するものではなく、防水性シート130の両面に設けられていてもよい。また細孔132を防水性シート130の1面のみに設ける場合には、本実施形態のように試験体120の試薬122が塗布されている面に当接する面に設けるべきであり、試験体120に試薬が表裏なく含浸されているときには、防水性シート130の両面のうちいずれの面に設けてもよい。
【0037】
図2(c)に示すように、本実施形態では、細孔132は針等の尖鋭な工具(図示せず)を防水性シート130の1面に貫通させることにより穿孔することができる。この場合において、細孔132には、工具の形状に沿って略ハの字状の(防水性シート130内部に向かって先細りの)窪みが形成されている。これにより、細孔132が油膜を通過した際に、かかる窪みに絶縁油104を好適に保持することが可能となる。ただし、本実施形態にかかる細孔132の形状はあくまでも一例であり、例えばレーザー切断機やプレス加工によって平坦な孔を形成してもよい。
【0038】
上記の細孔132は、直径が100μm以上250μm以下であるとよい。細孔132の直径が100μmより小さいと、絶縁油104が細孔132を通過しづらくなり誤判定が生じやすくおそれがあり、細孔132の直径が250μmより大きいと、絶縁油104だけでなく大量の水106までもが細孔132を通過してしまい、試薬122の変質を確認しづらくなるため好ましくない。
【0039】
ここで、上記の細孔132の直径による不具合と同様のことが、既に述べた防水性シート130の厚さによっても生じる。すなわち、細孔132が主に油を通過させるための原理は、絶縁油104と水106との表面張力の違いにより生じるものであり、細孔132付近に付着した絶縁油104にかかる水106の圧力(水圧)に依存するものである。絶縁油104にかかる水106の圧力は、当該油検知具110を水106に挿入する深さ(挿入位置:喫水線)を変えれば変化するため、挿入位置と、防水性シート130の厚さおよび細孔132の直径とは、依存関係にあるということが言える。
【0040】
したがって、挿入位置を本実施形態よりも低い位置にする場合には、防水性シート130の厚さの範囲の上限および下限を上記の値よりも薄くするべきであり、細孔132の直径の範囲の上限および下限を上記の値よりも大きくするべきである。反対に、挿入位置を本実施形態よりも高い位置にする場合には、防水性シート130の厚さの範囲の上限および下限を上記の値よりも厚くするべきであり、細孔132の直径の範囲の上限および下限を上記の値よりも小さくするべきである。故に、上述した防水性シート130の厚さの範囲、および細孔132の直径の範囲は、必ずしもこれに限定するものではなく、挿入位置に応じて適宜変更するべきである。
【0041】
なお、本実施形態においては、細孔132は1行10列設けられているが、かかる数に限定するものではなく、その数は適宜変更することが可能である。更に、細孔132は防水性シート130の下部に設けられているが、これも一例であり、細孔132は、当該油検知具110の挿入位置より下方、且つ試験体120の試薬122を塗布されている領域と当接する領域であれば、いずれの位置に設けられていてもよい。
【0042】
上記説明したように、本実施形態にかかる油検知具110は、試験体120および防水性シート130の2つの部材から構成されるため、その構造が極めて単純であり、且つ安価に製造することができる。次に、油検知具110を用いた油検知方法について詳述する。
【0043】
図3は、本実施形態にかかる油検知方法について説明する図である。マンホール100内(地下設備内)の水106への絶縁油104(油)の混入の有無を上述した油検知具110を用いて検知する場合には、まず、図3(a)に示す矢印の方向に油検知具110を移動させ、これを水中に挿入する。すると、細孔132が油膜104aおよび水面106a付近を通過し、図3(b)に示す状態となる。このとき、図3(b)の拡大図に示すように、細孔132は絶縁油104を保持した状態となる。
【0044】
そして、油検知具110を、挿入位置が油膜104aまたは水面106a付近に位置するように図3(b)に示す状態から更に水106中に挿入し、細孔132を水面より下に位置させる。これにより、図3(c)に示す状態となる。このとき、図3(c)に拡大図に示すように、油と水との表面張力の違いにより主に絶縁油104が細孔132を通過して試験体120と接触する。これにより、かかる絶縁油104と、試験体120に塗布された(または含浸させた)試薬122とが接触して反応し、試薬122が変色(変質)する。
【0045】
油検知具110の水への挿入から所定時間が経過したら、油検知具110を水中から取り出し、試薬122の変色の有無を目視で確認する。試薬122が変色していた場合には、水106に絶縁油104が混入していると判定することができ、試薬122が変色していない場合には、水106に絶縁油104が混入していないと判定することができる。
【0046】
上記説明したように、本実施形態にかかる油検知具および油検知方法によれば、細孔が水面より下に位置するように当該油検知具を水中に挿入すると、油と水との表面張力の違いにより、主に油が細孔を通過して試験体と接触する。これにより、試験体に塗布(または含浸させた)試薬がかかる油と反応して変質するため、作業員は試薬の変質の有無を目視で確認するだけで、水への油の混入の有無を容易に判定することができる。したがって、視認性の悪い地下設備内であっても水への油の混入の有無を高い精度で検知することが可能となる。
【0047】
以上、本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明は係る実施形態に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明は、水に混入した油を検知するための油検知具および油検知方法に利用することができる。
【符号の説明】
【0049】
100 …マンホール、102 …ケーブル、102a …コネクタ、104 …絶縁油、104a …油膜、106 …水、106a …水面、110 …油検知具、120 …試験体、122 …試薬、130 …防水性シート、132 …細孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
油と反応して変質する試薬を塗布または含浸された試験体と、
細孔を有し前記試験体の表面を被覆する防水性シートと、
を備えることを特徴する油検知具。
【請求項2】
前記細孔は、直径が100μm以上250μm以下であることを特徴とする請求項1に記載の油検知具。
【請求項3】
前記防水性シートは、厚さが0.08mm以上0.1mm以下のポリプロピレンシートからなることを特徴とする請求項1に記載の油検知具。
【請求項4】
前記試薬は、油と反応して変色することを特徴とする請求項1に記載の油検知具。
【請求項5】
油と反応して変質する試薬を塗布または含浸されたシート状の試験体と、
防水性を有する材料からなり前記試験体を収容する収容ケースと、
を備え、
前記収容ケースは、前記試験体の試薬を塗布または含浸された面と接する面に細孔を有することを特徴とする油検知具。
【請求項6】
油と反応して変質する試薬を塗布または含浸された試験体と、細孔を有し該試験体の表面を被覆する防水性シートとを備える油検知具を用いて、
前記細孔が水面より下に位置するように前記油検知具を水中に挿入し、
所定時間経過後に前記油検知具を水中から取り出し、
前記試薬の変質の有無を判断することを特徴とする油検知方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−33378(P2011−33378A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−177517(P2009−177517)
【出願日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【出願人】(000003687)東京電力株式会社 (2,580)
【Fターム(参考)】